JP5278193B2 - ラミネート用樹脂組成物及びラミネートフィルム - Google Patents

ラミネート用樹脂組成物及びラミネートフィルム Download PDF

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Description

本発明はラミネート用樹脂組成物に関するものである。更に詳しくは、ポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤のポットライフを損なわずにラミネート成形直後の接着性に優れ、ラミネート成形後に行われる高温エージング処理時間の短縮が可能となり、かつスリップ性に優れたラミネート用樹脂組成物に関するものである。
ラミネートフィルムは、食品包装、医療品・薬品等の包装、シャンプー・化粧品等の包装など、包装材料の多機能化を可能とする方法として広く採用されている。このようなラミネートフィルムは、一般に、押出ラミネート法、溶剤型ドライラミネート法、無溶剤型ドライラミネート法などを用い、ポリエステルやポリアミド、アルミ箔などの基材にポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤を介し、ポリオレフィンフィルムを貼り合わせることで製造される。ポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤は、基材表面に塗布され、ポリオレフィンフィルムと貼り合わされた後に硬化することにより高い接着強度を発現させるが、これらの接着剤では硬化反応が遅く、エージングと称される40℃程度の熱処理が数日間必要とされている。また、硬化速度が遅いことによりラミネート直後の接着強度が低いため、トンネリングなどの接着不良を生じることもある。
また、このエージング処理は、フィルムに配合した高級脂肪族アミド系のスリップ剤が接着剤に吸収され、開口性を悪化させるという欠点があった(例えば特許文献1〜3参照。)。そのため、スリップ性を維持する方法が提案されている。
例えば、エルカ酸アミドのような汎用スリップ剤と高融点の脂肪酸アミドのようなラミネート接着剤に吸着されにくいスリップ剤を併用する方法(例えば、特許文献1、4、5参照。)、高融点脂肪酸アミドと粒径の大きな無機充填剤を併用する方法(例えば特許文献2、3参照。)などが提案されている。しかしながら、このような高融点の脂肪酸アミドを使用すると、フィルム表面にブリードしてフィルムの表面外観を損なうこと、ラミネート装置のガイドロールを汚染すること、また基材との接着性を悪化させること、などの問題があった。
特開平3−172328号公報 特開平6−312491号公報 特開平10−235815号公報 特開平6−928号公報 特開平6−1894号公報
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、ラミネート成形直後の接着性に優れ、ポリウレタン系接着剤の硬化速度を高めるエージング処理時間を短縮できるとともに、スリップ性に優れたラミネート用樹脂組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、オレフィン系重合体に特定の脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物、さらに脂肪酸アミドから構成される樹脂組成物を用いることによりラミネート直後の接着性が優れるとともにスリップ性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、オレフィン系重合体96〜99.998重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%、及び亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成されることを特徴とするラミネート用樹脂組成物に関するものである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明を構成するオレフィン系重合体は、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくはビニル化合物との共重合体を示す。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体などのエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレンとアクリル系モノマーの共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等の1−オレフィン重合体などが挙げられ、これらオレフィン系重合体は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。このようなオレフィン系重合体の中では、フィルム成形性やコストパフォーマンスに優れるため、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が好ましく、フィルム強度の観点からエチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン系重合体が特に好ましい。
本発明を構成する脂肪酸アミドは、ラミネートフィルムのスリップ性を向上させるために添加されるものであり、脂肪酸とアンモニアやアミン化合物との反応により得られる。このような脂肪酸アミドとしては、カプロン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ミリストレイン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸モノアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの脂肪酸ビスアミドなどが例示される。このような脂肪酸アミドは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。このような脂肪酸アミドは、日油株式会社から商品名アルフロー、日本精化株式会社から商品名ニュートロンなどが市販されている。
本発明を構成する脂肪酸金属塩は、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを特徴とし、金属が亜鉛、リチウム、コバルトであると接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また、1分子内に1種または長さ、構造の異なる2種以上の脂肪酸を有していてもよい。
このような脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、炭素数4〜30、好ましくは炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数8〜18、最も好ましくは8〜14である飽和及び/又は不飽和脂肪酸である。脂肪酸鎖長の制御は、脂肪酸金属塩の接着剤への移行速度を決定するため重要である。炭素数が4未満である場合、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行量が減少し、接着剤の硬化速度向上効果が低く好ましくない。また炭素数が30を超える場合は金属原子の量が少なくなり、接着剤の硬化速度向上効果が低く好ましくない。このような脂肪酸金属塩としては、オクタン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫マレート、ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート、ラウリン酸鉄、ステアリン酸鉄、などを例示することができる。これらの脂肪酸金属塩は単独、または併用して使用することができる。また、これらの脂肪酸金属塩の中では脂肪酸亜鉛塩がエージング時間の短縮効果が高いため好ましく、さらに好ましくはオクタン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの脂肪酸の炭素数が8である脂肪酸亜鉛である。脂肪酸の炭素数が少なくなるほどポリウレタン接着剤への相溶性が向上するが、脂肪酸の炭素数が高いほどB層表面への滲出性に優れることから、両者のバランスに優れる炭素数8の脂肪酸亜鉛が最もエージング時間短縮効果が高い。
本発明を構成するアミン化合物としては、分子内にアミノ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン、ヒンダードアミン系光安定剤、下記一般式(II)で表されるアルキルアミンが接着性に優れるため好ましく、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミンが最も好ましい。また、これらのアミン化合物は単独、もしくは二種以上の併用で使用できる。
Figure 0005278193
(式中、Rは炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R、Rは−OCR′(R′は炭素数8〜30の炭化水素基を表す)又は−Hを表し、m、nは1〜10の整数である。)
Figure 0005278193
(式中、Rは炭素数が8〜30である直鎖又は分岐鎖の脂肪酸残基、RおよびRは水素、又は炭素数が1〜8である直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基である。)
このようなポリオキシエチレンアルキルアミンを構成するR、R、Rの炭素数は、該ポリオキシエチレンアルキルアミンの接着剤への移行速度を決定するため重要であり、炭素数が8〜30であり、好ましくは8〜22である。R、R、Rの炭素数が8以上である場合、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行量が増大し、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また炭素数が30以下の場合はアミノ基の量が多くなり、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。このようなポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、ドデシルジオキシエチルアミン、テトラデシルジオキシエチルアミン、オクタデシルジオキシエチルアミン、16−オキシヘプタデシルジオキシエチルアミン、オクタデシルオキシエトキシエチルアミン、17−オクタデセニルジオキシエチルアミン、1−メチルヘプタデシルジオキシエチルアミンなどを例示することができる。このようなポリオキシエチレンアルキルアミンは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。
このようなポリオキシエチレンアルキルアミンは市販品から入手することができ、例えば日油株式会社からナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンL−207、ナイミーンS−202、ナイミーンS−204、ナイミーンS−210、ナイミーンO−205、ナイミーンT2−202などの名称で販売されている。
ヒンダードアミン系光安定剤は、分子中にピペリジン環を有し、該ピペリジン環の2位及び6位の炭素上の水素がメチル基で置換された構造を有する化合物である。このようなヒンダードアミン光安定剤としては、特に限定するもではなく、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、ビス−(1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、ポリ{2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−20(2,3−エポキシプロピル)ジスピロ−[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オン}、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−ジスピロ−[5.1.11.2]−ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−ジスピロ−[5.1.11.2]−ヘネイコサン−20−プロパノイックアシドデシルエステル/テトラデシルエステル等が挙げられる。このようなヒンダードアミン光安定剤は市販品から入手することができ、例えばチバジャパン株式会社からチヌビン、クラリアントジャパン株式会社からホスタビン、アデカ株式会社からアデカスタブなどの商品名で販売されている。該ヒンダードアミン系光安定剤は、1種類を単独で用いるだけでなく、構造の異なる2種類以上を併用して用いてもよい。
前記一般式(II)で表されるアルキルアミンを構成するRの炭素数は、該アルキルアミンの接着剤への移行速度を決定するため重要であり、好ましくは炭素数が8〜30であり、更に好ましくは8〜22である。Rの炭素数がこの範囲にあると、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行性に優れ、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また、R,Rは水素、又は炭素数が1〜8である直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であると接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。このようなアルキルアミンは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。
このようなアルキルアミンとしては、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミンなどが例示され、これらは日油株式会社からニッサンアミンBB、ニッサンアミンAB、ニッサンアミンOB、3級ニッサンアミンBB、3級ニッサンアミンABなどの名称で販売されている。
また、これらのアミン化合物と亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩を併用して使用することもできる。
本発明を構成する樹脂組成物における配合は、オレフィン系重合体96〜99.998重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%、好ましくはオレフィン系重合体98〜99.99重量%、脂肪酸アミド0.005〜1重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.005〜1重量%、さらに好ましくはオレフィン系重合体99〜99.99重量%、脂肪酸アミド0.005〜0.5重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.005〜0.5重量%、もっとも好ましくはオレフィン系重合体99.4〜99.98重量%、脂肪酸アミド0.01〜0.3重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.01〜0.3重量%である。脂肪酸アミドが0.001重量%未満の場合、フィルム表面のスリップ性が劣るため好ましくなく、脂肪酸アミドが2重量%を超える場合は、ラミネートフィルムからの滲出が過剰となり、包装材料とした場合に内容物の質を損なう恐れがあるため好ましくない。また、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物が0.001重量%未満の場合、接着剤の硬化速度向上効果が低いため好ましくなく、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄、錫から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物が2重量%を超える場合は、ラミネートフィルムからの滲出が過剰となり、包装材料とした場合に内容物の質を損なう恐れがあるため好ましくない。
また、本発明を構成する樹脂組成物には、必要に応じて酸化防止剤、無機充填剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常オレフィン系樹脂に使用される添加剤を、接着性を損なわない範囲で添加したものであっても構わない。
本発明を構成する樹脂組成物は、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、回転ロールなどの溶融混練装置、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどが挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はオレフィン系重合体の融点〜350℃程度が好ましい。
本発明の樹脂組成物を用い、インフレーション成形機やTダイキャスト成形機などの公知のフィルム成形装置によりポリオレフィンフィルムを製造することができる。また、押出ラミネート成形機により溶融フィルムを製造することも可能である。
本発明を構成するポリオレフィンフィルムの厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、1〜100μmの範囲が最も好適である。
このようにして得られたフィルムを(A)層、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤を(B)層、基材を(C)層とした少なくとも(A)層/(B)層/(C)層からなるラミネートフィルムを製造することも可能である。
該ラミネートフィルムの(A)層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、1〜100μmの範囲が最も好適である。
本発明の(A)層の(B)層と接触する側の表面は、(B)層に用いる接着剤の硬化速度を高め良好な接着性能を得るために、酸化されていることが好ましい。
(A)層表面を酸化する際の酸化処理方法としては、クロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等が挙げられ、ポリオレフィンフィルム表面に酸化物を効果的に形成させるためコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、オゾン処理が特に好ましい。
コロナ放電処理は、プラスチックフィルムやシート表面の連続処理技術として広く使用されているものであり、コロナ放電処理機により発生したコロナ雰囲気にフィルムを通過させることにより行われる。コロナ放電密度として、1〜100W・分/mであることが接着剤の硬化速度を高め良好な接着性能が得られるため好ましい。
フレーム処理は、天然ガスやプロパン等を燃焼させたときに生じる火炎にフィルム表面を接することで処理が行われる。
プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスをフィルム表面に吹き付けることにより行われる。
また、押出ラミネート成形に供する際には、良好な接着性を得るため、ダイより押出された(A)層の基材と接する面を空気酸化、もしくはオゾン処理による酸化が可能である。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は290℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は200℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物よりなるフィルム1m当たり0.5mg以上であることが好ましい。
本発明の(B)層を構成するポリウレタン系接着剤およびイソシアネート系接着剤は、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
ポリウレタン系接着剤は、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する少なくとも1種以上のポリオール成分と分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種以上のポリイソシアネート成分及び/又はジイソシアネートから構成される接着剤であることが好ましい。ポリオール成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどから適宜選択することができ、ポリエステルポリオールが(C)層との接着性の経時低下を抑制する機能が高いため特に好ましい。ジイソシアネートとしては、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネートジフェニルメタン、1,5−ジイソシアネートナフタリン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1,4−ジイソシアネートベンゼン、及び/又は2,4−もしくは2,6−ジイソシアネートトルエンなどの芳香族ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,3−ジイソシアネートシクロペンタン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−3もしくは−5−イソシアネートメタンシクロヘキサンなどの脂肪族および脂環式ジイソシアネートを例示することができる。ポリイソシアネート成分は、これらのジイソシアネート単量体から製造することができる。
ポリウレタン系接着剤として、大日精化工業(株)製、商品名セイカボンドE−263、セイカボンドC−26、三井化学ポリウレタン(株)製、商品名タケラックA3210、タケネートA3072等、イソシアネート系接着剤として、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL等の市販品を用いることができる。
これらのポリウレタン系接着剤、イソシアネート系接着剤には、接着性やポットライフに悪影響を与えない範囲で反応触媒やその他の添加剤を配合することができる。
イソシアネート系接着剤としては、上記ポリイソシアネート及び/又はジイソシアネートを主成分とし、アミン化合物などを硬化剤として用いるものを例示することができる。
これらの接着剤の厚みは、特に限定されるものではないが、0.01〜10μmであると接着剤の硬化速度向上効果が高いため好ましく、更に好ましくは0.1〜6μmである。
接着剤は、公知の押出ラミネーター、溶剤型ドライラミネーター、無溶剤型ドライラミネーターに付帯されているコーターにて基材および/またはポリオレフィンフィルムに塗布される。
接着剤の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
本発明の(C)層を構成する基材としては、合成高分子フィルム又はシート、織布、不織布、紙、金属箔等が挙げられる。合成高分子フィルム又はシートとして、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子からなるフィルム又はシート等が挙げられる。更に、これら高分子フィルム又はシートは、その表面がアルミニウムやアルミナ、シリカなどにより蒸着されたものでもよく、また、表面がウレタン系インキ等を用い印刷されたものであってもよい。織布、不織布としては、ポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のもの、あるいはスフなどの天然材料を原料したものが挙げられる。紙としては、クラフト紙、クルパック紙、上質紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。これらの基材は単独での使用の他にこれらを積層したものを使用することも可能である。
本発明のラミネートフィルムは(A)層/(B)層/(C)層の3層から構成されるものであるが、(A)層表面あるいは(C)層表面に他の層を含んでいてもよい。
本発明のラミネートフィルムは、公知の押出ラミネート成形機、溶剤型ドライラミネート成形機、無溶剤型ドライラミネート成形機などを用いて、(A)層と基材とを(B)層を介して貼り合わせることにより製造することができる。
本発明のラミネートフィルムは、公知の押出ラミネート成形や溶剤型ドライラミネート成形、無溶剤型ドライラミネート成形後に施される30℃以上での熱処理(エージング処理)を施してもよいが、生産性の観点から該熱処理を不要とすることも可能である。
このようなラミネートフィルムは、スナック菓子、インスタントラーメン等の乾燥食品、スープ、味噌、漬物、飲料等の水物飲食品、薬、輸液バッグ等の医薬品、シャンプー、化粧品など広範囲にわたる包装材料として用いることができる。
本発明のラミネート用樹脂組成物は、短時間のエージング処理でも良好な接着性が得られるため、エージング処理による脂肪酸アミドの接着剤層への移動が防げられ、良好なスリップ性を長期に維持することができ、生産性に優れた食品などの包装フィルムとして非常に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
エチレン系重合体の場合は、JIS K6922−1(1997年)に準拠し、プロピレン系重合体の場合はJIS K7210に準拠して測定した。
(2)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)シール強度
実施例により得られたラミネートフィルムのポリオレフィンフィルム表面同士を温度150℃、圧力0.1MPa、時間1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールしたフィルムを幅15mm、長さ100mmの形状に切り取り、ヒートシール部の剥離強度をオートグラフDCS−100((株)島津製作所製)にて測定した。測定は、ラミネート成形の60分後および24時間後に行った。試料は、ラミネート成形後23℃雰囲気に放置したものを用いた。剥離速度は300mm/分である。
(4)静摩擦係数
実施例により得られたラミネートフィルムの(A)層表面どうしを、JIS K7125(1999年)に準拠して、μS(静摩擦係数を測定した。なお、測定はラミネート成形72時間後に行なった。測定に供したラミネートフィルムは、ラミネート成形後23℃雰囲気に放置したものを用いた。
実施例1
オレフィン系重合体として、エチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製 商品名ニポロン−Z TZ420、以下PE−Aと記す場合がある)99.88重量%、脂肪酸アミドとしてエルカ酸アミド(日油(株)製 商品名アルフローP−10、以下、FA−1と記す場合がある)を0.02重量%、ジステアリン酸亜鉛(日油(株)製 商品名ジンクステアレート、以下、CAT−1と記す場合がある)を0.1重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練し樹脂組成物のペレットを得た。
ラミネートフィルムの作製には、25mmφ押出ラミネーター((株)プラコー製)を用いた。得られた樹脂組成物ペレットを25mmΦのスクリューを有する押出機へ供給し、300℃の温度でTダイより共押出し、(C)層として第一給紙部から繰り出したニ軸延伸ナイロンフィルム(東洋紡績(株)製 商品名エステルフィルムN−1102、厚み25μm、以下、Nyと記す場合がある)のコロナ処理面に、(B)層として以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した基材上に樹脂組成物が30μmの厚さになるよう押出ラミネートしラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:タケラックA3210(15部)+タケネートA3072(5部)+酢酸エチル(140部)
タケラックA3210、タケネートA3072はいずれも三井化学ポリウレタン(株)製
接着剤厚み:0.2μm
得られたラミネートフィルムの物性を表1に示した。
Figure 0005278193
実施例2
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.86重量%、FA−1を0.04重量%、CAT−1を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例3
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.82重量%、FA−1を0.08重量%、CAT−1を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例4
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.76重量%、FA−1を0.04重量%、CAT−1を0.2重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例5
樹脂組成物として、CAT−1の代わりに2−エチルヘキサン酸亜鉛(日本化学産業(株)製 商品名ニッカオクチックス亜鉛18%、以下CAT−2と記す場合がある。)とした以外は、実施例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例6
樹脂組成物として、CAT−1の代わりにポリオキシエチレンラウリルアミン(日油(株)製 商品名ナイミーンL−202、以下CAT−3と記す場合がある。)とした以外は、実施例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例7
樹脂組成物として、CAT−1の代わりにジメチルラウリルアミン(日油(株)製 商品名ニッサンアミンBB、以下CAT−4と記す場合がある。)とした以外は、実施例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例8
樹脂組成物として、CAT−1の代わりにCAT−2を0.05重量%、CAT−3を0.05重量%とした以外は、実施例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
比較例1
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.96重量%、FA−1を0.04重量%とし、CAT−1を使用しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、60分後および24時間後のシール強度が低かった。
Figure 0005278193
比較例2
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.9重量%、CAT−1を0.1重量%とし、FA−1を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、静摩擦係数が高くスリップ性に劣っていた。
比較例3
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを97.7重量%、FA−1を2.2重量%、CAT−1を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、60分後および24時間後のシール強度が低かった。
比較例4
樹脂組成物として、PE−Aを99.88重量%、FA−1を0.02重量%、CAT−1を0.1重量%の代わりに、PE−Aを97.76重量%、FA−1を0.04重量%、CAT−1を2.2重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、24時間後のシール強度およびスリップ性に劣っていた。
比較例5
樹脂組成物として、CAT−1の代わりにステアリン酸カルシウム(日油(株)製 商品名カルシウムステアレート、以下CAT−5と記す場合がある。)とした以外は、実施例2と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、60分後のシール強度および24時間後が低かった。
比較例6
比較例1により得たラミネートフィルムを成形直後に40℃のオーブンに保管した。本試料について、成形60分後および24時間後のシール強度、静摩擦係数を測定した結果を表2に示すが、スリップ性に劣っていた。

Claims (5)

  1. 少なくとも(A)層/(B)層/(C)層の3層から構成され、(A)層がオレフィン重合体96〜99.998重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%、及び、脂肪酸亜鉛塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成されるラミネート用樹脂組成物、(B)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(C)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルム。
  2. 脂肪酸亜鉛が、炭素数が8〜22である脂肪酸亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム。
  3. 脂肪酸亜鉛が、脂肪酸の炭素数が8の脂肪酸亜鉛であることを特徴とする請求項1に記載のラミネートフィルム。
  4. アミン化合物が、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム。
    Figure 0005278193
    (式中、Rは炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R、Rは−OCR’(R’は炭素数8〜30の炭化水素基を表す)又は−Hを表し、m、nは1〜10の整数である。)
  5. アミン化合物が、下記一般式(II)で表されるアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム
    Figure 0005278193
    (式中、Rは炭素数が8〜30である直鎖又は分岐鎖の脂肪酸残基、RおよびRは水素、又は炭素数が1〜8である直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基である。)
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