JP5440338B2 - ラミネートフィルム - Google Patents

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Description

本発明はラミネートフィルムに関するものである。更に詳しくは、ポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤のポットライフを損なわずにラミネート成形直後の接着性に優れ、ラミネート成形後に行われる高温エージング処理時間の短縮が可能となり、スリップ性及び帯電防止性に優れたラミネートフィルムに関するものである。
ラミネートフィルムは、食品包装、医療品・薬品等の包装、シャンプー及び化粧品等の包装など、包装材料の多機能化を可能とする方法として広く採用されている。このようなラミネートフィルムは、一般に、押出ラミネート法、溶剤型ドライラミネート法、無溶剤型ドライラミネート法などを用い、ポリエステルやポリアミド、アルミ箔などの基材にポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤を介し、ポリオレフィンフィルムを貼り合わせることで製造される。ポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤は、基材表面に塗布され、ポリオレフィンフィルムと貼り合わされた後に硬化することにより高い接着強度を発現させるが、これらの接着剤では硬化反応が遅く、エージングと称される40℃程度の熱処理が数日間必要とされている。また、硬化速度が遅いことによりラミネート直後の接着強度が低いため、トンネリングなどの接着不良を生じることもある。
また、このエージング処理では、フィルムに配合した高級脂肪族アミド系のスリップ剤が接着剤に吸収され、開口性を悪化させるという欠点があった(例えば特許文献1〜3参照。)。そのため、スリップ性を維持する方法が提案されている。
例えば、エルカ酸アミドのような汎用スリップ剤と高融点の脂肪酸アミドのようなラミネート接着剤に吸着されにくいスリップ剤を併用する方法(例えば、特許文献1、4及び5。)、高融点脂肪酸アミドと粒径の大きな無機充填剤を併用する方法(例えば特許文献2及び3。)などが提案されている。しかしながら、このような高融点の脂肪酸アミドを使用すると、フィルム表面にブリードしてフィルムの表面外観を損なったり、ラミネート装置のガイドロールを汚染すること、また基材との接着性を悪化させること、などの問題があった。
また、このエージング処理では、フィルムに配合した帯電防止剤が接着剤に吸収され、帯電防止性能の持続性を悪化させるという欠点があった(例えば特許文献6〜9参照。)。そのため、帯電防止性能を維持する方法が提案されている。
例えば、グリセリン脂肪酸エステルのような汎用非イオン系界面活性剤とフィルム中を移行しにくい有機スルホン酸塩やポリグリセリン脂肪酸エステルのような界面活性剤を併用する方法(例えば、特許文献6、7、8。)、フィルムを多層化し一部の層に高密度、高結晶性ポリマー層を設けることにより帯電防止剤の移行を防止する方法(例えば特許文献9。)などが提案されている。しかしながら、このようなフィルム中を移行しにくい界面活性剤はフィルム表面へのブリード性に劣るため帯電防止性能が不十分であり、一方、高密度、高結晶性ポリマー層を設ける多層化はコスト上昇を招くなどの問題があった。
さらに、帯電防止剤はポリウレタン系接着剤やイソシアネート系接着剤の硬化反応を妨げるものが多く、接着剤の硬化前に帯電防止剤が接着剤層へ移行し接着不良を生じることがあった。そのため、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどのポリマー中の移行速度が低い帯電防止剤を選択する方法などが提案されているものの(例えば、特許文献10。)、帯電防止性能が不十分であるなどの問題があった。
一方、エージング処理時間を短縮するため、貼り合わせるフィルムの少なくとも一方にポリウレタン硬化触媒を添加する方法が提案されている(例えば、特許文献11参照。)。しかし、本文献に記載されている触媒は、アミン化合物、有機錫化合物、イプシロンカプロラクタムなど人体に悪影響を及ぼす可能性が高く、ラミネートフィルムの主用途である食品包装などに用いることができない。
特開平3−172328号公報 特開平6−312491号公報 特開平10−235815号公報 特開平6−928号公報 特開平6−1894号公報 特開2007−313737号公報 特開2007−320219号公報 特開2004−160964号公報 特開2002−264283号公報 特開2001−260284号公報 米国特許第6074755号明細書
本発明は、上記のような状況を鑑みなされたものであって、ラミネート成形直後の接着性に優れ、ポリウレタン系接着剤の硬化速度を高めるエージング処理時間を短縮できるとともに、スリップ性に優れたラミネートフィルムを提供することを目的とするものである。
また本発明は、ラミネート成形直後の接着性に優れ、ポリウレタン系接着剤の硬化速度を高めるエージング処理時間を短縮できるとともに、帯電防止性に優れたラミネートフィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、オレフィン系重合体に特定の脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物から構成される樹脂組成物をラミネートフィルムに用いることによりラミネート直後の接着性が優れるとともにスリップ性及び/又は帯電防止性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成され、(A)層がオレフィン重合体98〜99.999重量%及び脂肪酸アミド0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Aa、(B)層がオレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物B、(C)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(D)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルムに関するものである。
また、本発明は、少なくとも(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成され、(A)層がオレフィン重合体98〜99.999重量%及び帯電防止剤0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Ab、(B)層がオレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫から郡から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物B、(C)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(D)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルムに関するものである。
さらに、上記(A)層がオレフィン重合体98〜99.999重量%、脂肪酸アミド及び帯電防止剤0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Acであることを特徴とするラミネートフィルムに関するものである。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明の(A)層及び(B)層を構成するオレフィン系重合体は、エチレン、プロピレン、1−ブテンなど炭素数2〜12のα−オレフィンの単独重合体もしくはビニル化合物との共重合体を示す。例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体などのエチレン・α−オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのエチレン・ビニルエステル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレンとアクリル系モノマーの共重合体、ポリプロピレン(PP)、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・1−ブテン共重合体などのプロピレン系重合体、ポリ1−ブテン、ポリ1−ヘキセン、ポリ4−メチル−1−ペンテン等の1−オレフィン重合体などが挙げられ、これらオレフィン系重合体は、1種単独又は2種以上の組み合わせで用いてもよい。このようなオレフィン系重合体の中では、フィルム成形性やコストパフォーマンスに優れるため、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン・1−ブテン共重合体、エチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体が好ましく、フィルム強度の観点からエチレン・1−へキセン共重合体、エチレン・1−オクテン共重合体、プロピレン系重合体が特に好ましい。
本発明の(A)層を構成する脂肪酸アミドは、ラミネートフィルムのスリップ性を向上させるために添加されるものであり、脂肪酸とアンモニアやアミン化合物との反応により得られる。このような脂肪酸アミドとしては、カプロン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ミリストレイン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸モノアミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミドなどの脂肪酸ビスアミドなどが例示される。このような脂肪酸アミドは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。このような脂肪酸アミドは、日油株式会社から商品名アルフロー、日本精化株式会社から商品名ニュートロンなどが市販されている。
また、本発明の(A)層を構成する帯電防止剤としては、ポリオレフィン用帯電防止剤として用いられる、非イオン系界面活性剤、両性イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
上記非イオン系界面活性剤としては、例えば、カプロン酸グリセリンエステル、ミリスチン酸グリセリンエステル、パルミチン酸グリセリンエステル、ステアリン酸グリセリンエステル、オレイン酸グリセリンエステル、ラウリン酸グリセリンエステルなどのグリセリン脂肪酸エステル類;ステアリン酸ジグリセリンエステル、オレイン酸ジグリセリンエステル、ステアリン酸テトラグリセリンエステル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類;ソルビトール類;N,Nージヒドロキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシプロピレンステアリルアミン等のアルキルアミン類;ポリオキシエチレンステアリルアマイド、ポリオキシプロピレンステアリルアマイド等のアルキルアマイド類;カプリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコールなどのアルコール類、を挙げることができる。
また上記両性イオン系界面活性剤としてアルキルベタイン、アルキルイミダゾリウムベタインなどのベタイン類を挙げることができる。
さらにアニオン系界面活性剤として、ラウリルスルフォン酸ナトリウム、ラウリルスルフォン酸カリウム、オレイルスルフォン酸ナトリウム、オレイルスルフォン酸カリウム、ステアリルスルフォン酸ナトリウム、ステアリルスルフォン酸カリウムなどのアルキルスルフォン酸塩類;ラウリルベンゼンスルフォン酸カリウム、オレイルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、オレイルベンゼンスルフォン酸カリウム、ステアリルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、ステアリルベンゼンスルフォン酸カリウムなどのアルキルベンゼンスルフォン酸塩類、アルキルフォスフェート類等を例示することができる。
このような界面活性剤は、単独で帯電防止剤として使用することもできるが、複数を併用して帯電防止剤として使用することも可能である。
このような帯電防止剤のうち、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、アルキルスルフォン酸塩類が、帯電防止性に優れ、接着性を悪化させないため好ましく、グリセリン脂肪酸エステルとポリグリセリン脂肪酸エステルの併用、グリセリン脂肪酸エステルとアルキルアマイドの併用が特に好ましい。
このような帯電防止剤は、市販のものを使用することができる。例えば、グリセリン脂肪酸エステル類及びポリグリセリン脂肪酸エステル類として理研ビタミン製「リケマール」、日本油脂製「モノグリ」、「ユニグリ」、花王製「エレクトロストリッパー」等、アルキルスルフォン酸塩類としてICI製「アトマー」、ライオン製「レオスタット」、ミヨシ油脂「ダスパー」等が挙げられる。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物Aaにおける配合は、オレフィン系重合体98〜99.999重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%、好ましくはオレフィン系重合体99〜99.995重量%、脂肪酸アミド0.005〜1重量%、さらに好ましくはオレフィン系重合体99.5〜99.995重量%、脂肪酸アミド0.005〜0.5重量%、もっとも好ましくはオレフィン系重合体99.7〜99.99重量%、脂肪酸アミド0.01〜0.3重量%である。脂肪酸アミドが0.001重量%未満の場合、フィルム表面のスリップ性が劣るため好ましくなく、脂肪酸アミドが2重量%を超える場合は、ラミネートフィルムからの滲出が過剰となり、包装材料とした場合に内容物の質を損なう恐れがあるため好ましくない。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物Abにおける配合は、オレフィン系重合体98〜99.999重量%、帯電防止剤0.001〜2重量%、好ましくはオレフィン系重合体99〜99.995重量%、帯電防止剤0.005〜1重量%、さらに好ましくはオレフィン系重合体99.5〜99.995重量%、帯電防止剤0.005〜0.5重量%である。帯電防止剤が0.001重量%未満の場合、フィルム表面の帯電防止性が劣るため好ましくなく、帯電防止剤が2重量%を超える場合は、ラミネートフィルムからの滲出が過剰となり、包装材料とした場合に内容物の質を損なう恐れがあるため好ましくない。
また、本発明の(A)層を構成する樹脂組成物は、脂肪酸アミドと帯電防止剤が併用されていてもよい。その場合の樹脂組成物Acにおける配合は、オレフィン系重合体96〜99.998重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%、帯電防止剤0.001〜2重量%の範囲にあるとスリップ性と帯電防止性の両性能に優れるため好ましく、オレフィン系重合体98〜99.99重量%、脂肪酸アミド0.005〜1重量%、帯電防止剤0.005〜1重量%の範囲にあるとさらに好ましい。
また、本発明を構成する樹脂組成物Aには、必要に応じて酸化防止剤、中和剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤等、通常のオレフィン系重合体に使用される添加剤を添加したものであっても構わない。
本発明の(A)層を構成する樹脂組成物Aは、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、回転ロールなどの溶融混練装置、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどが挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はオレフィン系重合体の融点〜350℃程度が好ましい。
本発明を構成する(A)層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、1μm〜100μmの範囲が最も好適である。
本発明の(A)層は、インフレーション成形機やTダイキャスト成形機などの公知のフィルム成形装置により製造することができる。また、押出ラミネート成形機により溶融フィルムを製造することも可能である。
また、本発明の(A)層は、共押出インフレーション成形機やTダイキャスト成形機などの公知の共押出フィルム成形装置により複数層としてもよい。この場合、(A)層を構成する全ての層が樹脂組成物Aa、樹脂組成物Ab、又は樹脂組成物Acにより構成されていてもよいが、(B)層と接する面の反対面を構成する表層のみが樹脂組成物Aa、樹脂組成物Ab、又は樹脂組成物Acにより構成されていてもよい。
本発明の(B)層を構成する脂肪酸金属塩は、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含むことを特徴とし、金属が亜鉛であると接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また、1分子内に1種又は長さ、及び/又は構造の異なる2種以上の脂肪酸を有していてもよい。
このような脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸は、炭素数4〜30、好ましくは炭素数8〜22、さらに好ましくは炭素数8〜18、最も好ましくは8〜14である飽和及び/又は不飽和脂肪酸である。脂肪酸鎖長の制御は、脂肪酸金属塩の接着剤への移行速度を決定するため重要である。炭素数が4以上である場合、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行量が増大し、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また炭素数が30以下である場合は金属原子の量が十分であり、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。このような脂肪酸金属塩としては、オクタン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫マレート、ジブチル錫ラウレート、ジオクチル錫マレート、ジオクチル錫ラウレート、ラウリン酸鉄、ステアリン酸鉄、などを例示することができ、オクタン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛、オクタン酸リチウム、ラウリン酸リチウム、ステアリン酸リチウム、ナフテン酸コバルト、及びステアリン酸コバルトが特に好適である。これらの脂肪酸金属塩は単独、又は併用して使用することができる。また、これらの脂肪酸金属塩の中では脂肪酸亜鉛塩がエージング時間の短縮効果が高いため好ましく、最も好ましくはオクタン酸亜鉛、オクテン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸亜鉛などの脂肪酸の炭素数が8である脂肪酸亜鉛である。
本発明の(B)層を構成するアミン化合物としては、分子内にアミノ基を有する化合物であれば特に限定されるものではないが、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミン、ヒンダードアミン系光安定剤、及び下記一般式(II)で表されるアルキルアミンが接着性に優れるため好ましく、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミンが最も好ましい。また、これらのアミン化合物は単独、もしくは2種以上の併用で使用できる。
Figure 0005440338
(式中、Rは炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に−OCR′(R′は炭素数8〜30の炭化水素基を表す)又は−Hを表し、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数である。)
Figure 0005440338
(式中、Rは炭素数が8〜30である直鎖又は分岐鎖の脂肪酸残基、R及びRはそれぞれ独立に水素、又は炭素数が1〜8である直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基である。)
このようなポリオキシエチレンアルキルアミンを構成するR、R、又はRの炭素数は、該ポリオキシエチレンアルキルアミンの接着剤への移行速度を決定するため重要であり、炭素数が8〜30であり、好ましくは8〜22である。R、R、又はRの炭素数が8以上である場合、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行量が増大し、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また炭素数が30以下である場合はアミノ基の量が多くなり、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。このようなポリオキシエチレンアルキルアミンとしては、ドデシルジオキシエチルアミン、テトラデシルジオキシエチルアミン、オクタデシルジオキシエチルアミン、16−オキシヘプタデシルジオキシエチルアミン、オクタデシルオキシエトキシエチルアミン、17−オクタデセニルジオキシエチルアミン、1−メチルヘプタデシルジオキシエチルアミンなどを例示することができる。このようなポリオキシエチレンアルキルアミンは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。
このようなポリオキシエチレンアルキルアミンは市販品から入手することができ、例えば日油株式会社からナイミーンL−201、ナイミーンL−202、ナイミーンL−207、ナイミーンS−202、ナイミーンS−204、ナイミーンS−210、ナイミーンO−205、ナイミーンT2−202などの名称で販売されている。
本発明を構成するヒンダードアミン光安定剤は、分子中にピペリジン環を有し、該ピペリジン環の2位及び6位の炭素上の水素がメチル基で置換された構造を有する化合物である。このようなヒンダードアミン光安定剤としては、特に限定するもではなく、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルベンゾエート、ビス(1,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロネート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,1’−(1,2−エタンジイル)ビス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)、(ミックスト2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、(ミックスト1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ミックスト{1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル/β,β,β’,β’−テトラメチル−3−9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエチル}−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2−4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと1,2−ジブロモエタンとの縮合物、[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−2−メチル−2−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]プロピオンアミド、ポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}、ポリ{2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−20(2,3−エポキシプロピル)ジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン}、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−ジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザ−ジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−20−プロパノイックアシドデシルエステル/テトラデシルエステル等が挙げられる。このようなヒンダードアミン光安定剤は市販品から入手することができ、例えばチバジャパン株式会社からチヌビン、クラリアントジャパン株式会社からホスタビン、アデカ株式会社からアデカスタブなどの商品名で販売されている。該ヒンダードアミン光安定剤は、1種類を単独で用いるだけでなく、構造の異なる2種類以上を併用して用いてもよい。
下記一般式(II)で表されるアルキルアミンを構成するR基の炭素数は、該アルキルアミンの接着剤への移行速度を決定するため重要であり、好ましくは炭素数が8〜30であり、更に好ましくは8〜22である。R基の炭素数がこの範囲にあると、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤への移行性に優れ、接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。また、R又はR基の炭素数がこの範囲にあると接着剤の硬化速度向上効果が高く好ましい。このようなアルキルアミンは一種を単独で用いても構わないが、二種以上を混合して使用してもよい。
このようなアルキルアミンとしては、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、ベヘニルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミンなどが例示され、これらは日油株式会社かららニッサンアミンBB、ニッサンアミンAB、ニッサンアミンOB、3級ニッサンアミンBB、3級ニッサンアミンABなどの名称で販売されている。
また、これらのアミン化合物と亜鉛、リチウム、コバルト、鉄又は錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩を併用して使用することもできる。
本発明の(B)層を構成する樹脂組成物Bにおける配合は、オレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%、好ましくはオレフィン系重合体99〜99.995重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.005〜1重量%、さらに好ましくはオレフィン系重合体99.5〜99.995重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.005〜0.5重量%、もっとも好ましくはオレフィン系重合体99.7〜99.99重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.01〜0.3重量%である。亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物が0.001重量%未満の場合、接着剤の硬化速度向上効果が低いため好ましくなく、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物が2重量%を超える場合は、ラミネートフィルムからの滲出が過剰となり、包装材料とした場合に内容物の質を損なう恐れがあるため好ましくない。
また、本発明の(B)層を構成する樹脂組成物Bには、必要に応じて酸化防止剤、滑剤、無機充填剤、界面活性剤、スリップ剤等、通常オレフィン系樹脂に使用される添加剤を、接着性を損なわない範囲で添加したものであっても構わない。
本発明の(B)層を構成する樹脂組成物Bは、通常用いられる樹脂の混合装置により製造することができる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー、回転ロールなどの溶融混練装置、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーなどが挙げられる。溶融混練装置を用いる場合、溶融温度はオレフィン系重合体の融点〜350℃程度が好ましい。
本発明を構成する(B)層の厚みは、本発明の目的が達成される限りにおいて特に限定はなく、柔軟性に優れ、破損などの問題が小さいことから、1μm〜5mmの厚みであることが好ましく、経済性の観点から、1μm〜100μmの範囲が最も好適である。
本発明の(B)層は、インフレーション成形機やTダイキャスト成形機などの公知のフィルム成形装置により製造することができる。また、押出ラミネート成形機により溶融フィルムを製造することも可能である。
本発明の(B)層の(C)層と接触する側の表面は、(C)層に用いる接着剤の硬化速度を高め良好な接着性能を得るために、(C)層の接着剤と接する接着面が酸化されていることが好ましい。
(B)層表面を酸化する際の酸化処理方法としては、クロム酸処理、硫酸処理、空気酸化、オゾン処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理等が挙げられ、ポリオレフィンフィルム表面に酸化物を効果的に形成させるためコロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、及び/又はオゾン処理が特に好ましい。
コロナ放電処理は、プラスチックフィルムやシート表面の連続処理技術として広く使用されているものであり、コロナ放電処理機により発生したコロナ雰囲気にフィルムを通過させることにより行われる。コロナ放電密度として、1〜100W・分/mであることが接着剤の硬化速度を高め良好な接着性能が得られるため好ましい。
フレーム処理は、天然ガスやプロパン等を燃焼させたときに生じる火炎にフィルム表面を接することで処理が行われる。
プラズマ処理は、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素、酸素、空気等の単体又は混合気体をプラズマジェットで電子的に励起せしめた後、帯電粒子を除去し、電気的に中性とした励起不活性ガスをフィルム表面に吹き付けることにより行われる。
また、押出ラミネート成形に供する際には、良好な接着性を得るため、ダイより押出された(B)層の基材と接する面を空気酸化、もしくはオゾン処理による酸化が可能である。空気による酸化反応を進行させる場合、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は290℃以上であることが好ましく、オゾンガスによる酸化反応を進行させる場合は、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物の温度は200℃以上であることが好ましい。またオゾンガスの処理量としては、ダイより押出された本発明の押出ラミネート用樹脂組成物よりなるフィルム1m2当たり0.5mg以上であることが好ましい。
本発明の(C)層を構成するポリウレタン系接着剤及びイソシアネート系接着剤は、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
ポリウレタン系接着剤は、分子内に少なくとも2個以上の水酸基を有する少なくとも1種以上のポリオール成分と分子内に少なくとも2個以上のイソシアネート基を有する少なくとも1種以上のポリイソシアネート成分及び/又はジイソシアネートから構成される接着剤であることが好ましい。ポリオール成分は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオールなどから適宜選択することができ、ポリエステルポリオールが(C)層との接着性の経時低下を抑制機能が高いため特に好ましい。ジイソシアネートとしては、4,4’−、2,4’−及び2,2’−ジイソシアネートジフェニルメタン、1,5−ジイソシアネートナフタリン、4,4’−ジイソシアネートジシクロヘキシルメタン、1,4−ジイソシアネートベンゼン、及び/又は2,4−もしくは2,6−ジイソシアネートトルエンなどの芳香族ジイソシアネート、1,6−ジイソシアネートヘキサン、1,10−ジイソシアネートデカン、1,3−ジイソシアネートシクロペンタン、1,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル−3もしくは−5−イソシアネートメタンシクロヘキサンなどの脂肪族及び脂環式ジイソシアネートを例示することができる。ポリイソシアネート成分は、これらのジイソシアネート単量体から製造することができる。
ポリウレタン系接着剤として、大日精化工業(株)製、商品名セイカボンドE−263、セイカボンドC−26、三井化学ポリウレタン(株)製、商品名タケラックA3210、タケネートA3072等、イソシアネート系接着剤として、日本ポリウレタン工業(株)製、コロネートL等の市販品を用いることができる。
これらのポリウレタン系接着剤又はイソシアネート系接着剤には、接着性やポットライフに悪影響を与えない範囲で反応触媒やその他の添加剤を配合することができる。
イソシアネート系接着剤としては、上記ポリイソシアネート及び/又はジイソシアネートを主成分とし、アミン化合物などを硬化剤として用いるものを例示することができる。
これらの接着剤の厚みは、特に限定されるものではないが、0.01〜10μmであると接着剤の硬化速度向上効果が高いため好ましく、更に好ましくは0.1〜6μmである。
接着剤は、公知の押出ラミネーター、溶剤型ドライラミネーター、又は無溶剤型ドライラミネーターに付帯されているコーターにて基材及び/又はポリオレフィンフィルムに塗布される。
接着剤の希釈に用いられる溶剤については、特に限定されるものではないが、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、イソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、メチレンクロリド、エチレンクロリド等のハロゲン化炭化水素類、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、水等を例示することができる。
本発明の(D)層を構成する基材としては、合成高分子フィルム又はシート、織布、不織布、紙、金属箔等が挙げられる。合成高分子フィルム又はシートとして、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成高分子からなるフィルム又はシート等が挙げられる。更に、これら高分子フィルム又はシートは、その表面がアルミニウムやアルミナ、シリカなどにより蒸着されたものでもよく、また、表面がウレタン系インキ等を用い印刷されたものであってもよい。織布又は不織布としては、ポリエステルやポリエチレン、ポリプロピレンなどの合成樹脂製のもの、あるいはスフなどの天然材料を原料したものが挙げられる。紙としては、クラフト紙、クルパック紙、上質紙、グラシン紙、板紙等が挙げられる。これらの基材は単独での使用の他にこれらを積層したものを使用することも可能である。
本発明のラミネートフィルムは(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成されるものであるが、(A)層表面あるいは(D)層表面に他の層を含んでいてもよい。
本発明のラミネートフィルムは、公知の押出ラミネート成形機、溶剤型ドライラミネート成形機、無溶剤型ドライラミネート成形機などを用いて、(B)層と基材を(C)層を介して貼り合わせることにより製造することができる。以下に、ラミネートフィルムの製造方法を例示するが、これらの方法に限定されない。
・(D)層に(C)層を塗工した後、タンデム押出ラミネーターにより(B)層と(A)層を順次積層する。
・(D)層に(C)層を塗工した後、予め製造された(A)層フィルムと(C)層の間にサンドイッチ押出ラミネーターにより(B)層を溶融積層する。
・(D)層に(C)層を塗工した後、共押出ラミネーターにより(B)層と(A)層を同時に積層する。
・(D)層に(C)層を塗工した後、予め共押出フィルム成形機により製造された(B)層と(A)層が積層されたフィルムをドライラミネートする。
本発明のラミネートフィルムは、公知の押出ラミネート成形や溶剤型ドライラミネート成形、無溶剤型ドライラミネート成形後に施される30℃以上での熱処理(エージング処理)を施してもよいが、生産性の観点から該熱処理を不要とすることも可能である。
その際、ラミネート成形後、23℃の雰囲気で5分間放置した際の接着強度が0.7N/25mm以上であると、トンネリングなどの接着トラブルを回避することが可能となり好ましく、さらに好ましくは1.0N/25mm以上である。この範囲を満たすラミネートフィルムは、該アルキルを有するアミン化合物及び該脂肪酸金属塩の配合割合、ポリオレフィンフィルムの厚み、ポリウレタン系接着剤の塗布量を制御することにより適宜得ることができる。
また、ラミネート成形後、23℃の雰囲気で700分間放置した際の接着強度が10N/25mm以上であると、エージング処理を不要とすることが可能となるため好ましい。
さらに、ラミネート成形後、23℃の雰囲気で放置した際のラミネートフィルムのシール強度が40℃の雰囲気で72時間放置した試料のシール強度の80%となる時間が12時間以内であると、接着トラブルの回避や包装袋とした際の内容物保護性を向上させることが可能となり好ましい。
また、本発明のラミネートフィルムは、(A)層に樹脂組成物Aa又は樹脂組成物Acを用いた場合には、(A)層側表面の表面固有抵抗値が1013〜1017(Ω)の範囲にあると経時での接着強度低下を抑制することができるため好ましく、1014〜1017(Ω)が更に好ましい。この範囲を満たすラミネートフィルムは、該脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物の配合割合、(B)層の厚み、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤の塗布量を制御することにより適宜得ることができる。
また、本発明のラミネートフィルムは、(A)層に樹脂組成物Ab又は樹脂組成物Acを用いた場合には、(A)層側表面の表面固有抵抗値が10〜1014(Ω)の範囲にあると経時での接着強度低下を抑制することができるため好ましく、10〜1013(Ω)が更に好ましい。この範囲を満たすラミネートフィルムは、帯電防止剤の配合割合、該脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物の配合割合、(A)層及び/又は(B)層の厚み、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤の塗布量を制御することにより適宜得ることができる。なお、表面固有抵抗値の測定は、(株)アドバンテスト製TR8601とTR−42を用い、23℃及び50%RHの環境下で、加電圧500kVにおける1分後の積層体表面の固有抵抗値を読み取ることにより求めることができる。
このようなラミネートフィルムは、スナック菓子、インスタントラーメン等の乾燥食品、スープ、味噌、漬物、飲料等の水物飲食品、薬、輸液バッグ等の医薬品、シャンプー、化粧品など広範囲にわたる包装材料として用いることができる。
本発明のラミネートフィルムは、エージング処理を施さなくても接着性に優れ、かつ良好なスリップ性、帯電防止性を長期に維持することができるため、生産性に優れた食品などの包装フィルムとして非常に有用である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(1)メルトマスフローレート(MFR)
エチレン系重合体の場合は、JIS K6922−1(1997年)に準拠し、プロピレン系重合体の場合はJIS K7210に準拠して測定した。
(2)密度
JIS K6922−1(1997年)に準拠して測定した。
(3)接着性
実施例により得られたラミネートフィルムを幅25mm、長さ100mmの形状に切り取り、ポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤を介して接着させたポリエステル(PET)フィルムとポリオレフィンフィルム間の接着強度をオートグラフDCS−100((株)島津製作所製)にて測定した。測定はラミネート成形5分後と700分後に行った。剥離速度は300mm/分である。なお、ラミネート成形から剥離強度測定までのラミネートフィルム保管温度は23℃である。
(4)シール強度発現時間
実施例により得られたラミネートフィルムのポリオレフィンフィルム表面同士を温度150℃、圧力0.1MPa、時間1秒の条件でヒートシールした。ヒートシールしたフィルムを幅15mm、長さ100mmの形状に切り取り、ヒートシール部の剥離強度をオートグラフDCS−100((株)島津製作所製)にて測定した。測定は、ラミネート成形後1〜16時間の間は1時間間隔で、その後、24時間後からは12時間間隔で72時間後まで行った。試料は、ラミネート成形後23℃雰囲気に放置したものを用いた。剥離速度は300mm/分である。40℃の雰囲気で72時間放置した試料のシール強度の80%の強度が発現する時間をシール強度発現時間とした。
(5)表面固有抵抗値
(株)アドバンテスト製TR8601とTR−42を用い、23℃,50%RHの環境下で、加電圧500kVにおける1分後の実施例により得られたラミネートフィルムの(A)層側表面の固有抵抗値を測定した。
(6)水の接触角
協和界面科学(株)製自動接触角・界面張力計PD−Zを使用し、23℃、50%RHの環境下において、実施例により得られたラミネートフィルムの(A)層側表面に純水を滴下した直後の接触角を求めた。
(7)スリップ性
実施例により得られたラミネートフィルムの(A)層表面どうしを、JIS K7125(1999年)に準拠して、μK(動摩擦係数)を測定した。測定に供したラミネートフィルムは、ラミネート成形後23℃雰囲気に放置したものを用いたが、一部の接着性が不十分な試料には40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施した。
実施例1
オレフィン系重合体として、MFRが8g/10分、密度が918kg/mである低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、以下PE−Bと記す場合がある)99.98重量%、ポリオキシエチレンアルキルアミンとしてポリオキシエチレンドデシルアミン(日油(株)製 商品名ナイミーンL−202、以下、CAT−1と記す場合がある)を0.05重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練し(B)層に用いる樹脂組成物Bのペレットを得た。
同様の方法で、オレフィン系重合体として、MFRが10g/10分、密度が913kg/mであるエチレン・1−ヘキセン共重合体と低密度ポリエチレンの混合物(東ソー(株)製 商品名ニポロン−Z TZ420、以下PE−Aと記す場合がある)を99.95重量%、脂肪酸アミドとしてエルカ酸アミド(日油(株)製 商品名アルフローP−10、以下、FA−1と記す場合がある)を0.02重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練し(A)層に用いる樹脂組成物Aaのペレットを得た。
ラミネートフィルムの作製には、90mmφ/65mmφ共押出ラミネーター((株)プラコー製)を用いた。得られた樹脂組成物Bペレットを90mmφのスクリューを有する押出機へ、樹脂組成物Aaペレットを65mmφのスクリューを有する押出機へ供給し、320℃の温度でTダイより共押出し、(D)層として第一給紙部から繰り出したニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名エステルフィルムE−5100、厚み25μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に、(C)層として以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した基材上に樹脂組成物Bが20μm、樹脂組成物Aが40μmの厚さになるよう共押出ラミネートしラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:タケラックA3210(15部)+タケネートA3072(5部)+酢酸エチル(140部)
タケラックA3210、タケネートA3072はいずれも三井化学ポリウレタン(株)製
接着剤厚み:0.2μm
得られたラミネートフィルムの物性を表1に示した。
Figure 0005440338
実施例2
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.95重量%、ジステアリン酸亜鉛(日油(株)製 商品名ジンクステアレート、以下、CAT−2と記す場合がある)を0.05重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例3
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、CAT−2を0.10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例4
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.80重量%、CAT−2を0.20重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例5
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジラウリル酸亜鉛(日油(株)製 商品名ジンクラウレート、以下、CAT−3と記す場合がある)を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例6
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ヒンダードアミン光安定剤としてポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}(チバジャパン(株)製 商品名キマソーブ944FDL、以下、CAT−4と記す場合がある)を0.10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例7
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジメチルステアリン酸アミン(日油(株)製 商品名3級ニッサンアミンAB、以下、CAT−5と記す場合がある)を0.10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例8
樹脂組成物Aaとして、PE−Aを99.98重量%、FA−1を0.02重量%の代わりに、PE−Aを99.92重量%、FA−1を0.08重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例9
樹脂組成物Aaとして、PE−Aを99.98重量%、FA−1を0.02重量%の代わりに、PE−Aを99.98重量%、エチレンビスオレイン酸アミド(日油(株)製 商品名アルフローAD281−F、以下、FA−2と記す場合がある)を0.02重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
実施例10
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、2エチル−ヘキサン酸亜鉛(日本化学産業(株)製 商品名ニッカオクチックス亜鉛18%、以下、CAT−6と記す場合がある)を0.1重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表1に示した。
比較例1
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを100重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、スリップ性評価には、接着強度が低かったため40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施した試料を用いたが、静摩擦係数が高く、スリップ性に劣っていた。
Figure 0005440338
比較例2
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを97.80重量%、CAT−1を2.2重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施したものの接着強度が上昇しなかったため、スリップ性の評価は行わなかった。
比較例3
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジステアリン酸カルシウム(日油(株)製 商品名カルシウムステアレートG、以下、CAT−7と記す場合がある。)を0.10重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、スリップ性評価には、接着強度が低かったため40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施した試料を用いたが、静摩擦係数が高く、スリップ性に劣っていた。
比較例4
樹脂組成物Aaとして、PE−Aを99.98重量%、FA−1を0.02重量%の代わりに、PE−Aを100重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表2に示したが、静摩擦係数が高く、スリップ性に劣っていた。
比較例5
樹脂組成物Aaとして、PE−Aを99.98重量%、FA−1を0.02重量%の代わりに、PE−Aを97.8重量%、FA−1を2.2重量%とした以外は、実施例1と同様にしてラミネートフィルムの作製を試みたが、ラミネート成形中の発煙がひどく、ラミネートフィルムを得ることはできなかった。
実施例11
オレフィン系重合体として、MFRが6.5g/10分、密度が900kg/mであるプロピレン系重合体(日本ポリプロ(株)製、商品名FW4BT、以下、PPと記す場合がある。)99.90重量%、CAT−2を0.10重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練しB層に用いる樹脂組成物B−1のペレットを得た。
同様に、PP99.96重量%、FA−1を0.04重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練しA層に用いる樹脂組成物Aa−1のペレットを得た。
フィルム成形は、3種3層共押出キャストフィルム成形機(プラスチック工学研究所製)を用いた。一方の表面層(A層)を構成する押出機に上記樹脂組成物Aa−1ペレットを、他の2層(B1層、B2層)を構成する押出機には樹脂組成物B−1ペレットを供給し、220℃の温度でTダイより押出し、(A)層/(B1)層/(B2)層からなる多層フィルムを得た後、(B2)層表面に30W・分/mの条件でコロナ処理を施した。各層の厚みは20μmであった。
ラミネート成形は、溶剤型ドライラミネーター(井上金属工業(株)製)を用いた。ニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名エステルフィルムE−5100、厚み25μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した基材と上記フィルムのコロナ処理面とを貼り合わせラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:セイカボンドE−263(25部)+セイカボンドC−26(5部)+酢酸エチル(150部)
セイカボンドは大日精化工業(株)製
接着剤厚み:3μm
得られたラミネートフィルムの接着強度を表3に示した。
Figure 0005440338
実施例12
樹脂組成物B−1の代わりに、MFRが2g/10分、密度が920kg/mであるエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ−ZF230、以下、PE−Cと記す場合がある)を99.90重量%、CAT−2を0.10重量%とした樹脂組成物B−2へ変更し、樹脂組成物Aa−1の代わりに、PE−Cを99.96重量%、FA−1を0.04重量%とした樹脂組成物Aa−2に変更した以外は、実施例10と同様にしてラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムの接着強度を表3に示した。
実施例13
樹脂組成物Aa−1の代わりに、PE−Cを99.96重量%、FA−1を0.02重量%、FA−2を0.02重量%とした樹脂組成物Aa−3に変更した以外は、実施例11と同様にしてラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムの接着強度を表3に示した。
実施例14
オレフィン系重合体として、MFRが8g/10分、密度が918kg/mである低密度ポリエチレン(東ソー(株)製 商品名ペトロセン213、以下PE−Bと記す場合がある)99.95重量%、ポリオキシエチレンアルキルアミンとしてポリオキシエチレンドデシルアミン(CAT−1)を0.05重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練し(B)層に用いる樹脂組成物Bのペレットを得た。
同様の方法で、オレフィン系重合体として、MFRが10g/10分、密度が913kg/mであるエチレン・1−ヘキセン共重合体と低密度ポリエチレンの混合物(PE−A)を99.80重量%、帯電防止剤としてステアリン酸グリセリンエステル(理研ビタミン(株)製 商品名リケマールS−100、以下、AS−1と記す場合がある)を0.1重量%、ステアリン酸ポリグリセリンエステル(理研ビタミン(株)製 商品名リケマールS−71D、以下、AS−2と記す場合がある)を0.1重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練し(A)層に用いる樹脂組成物Abのペレットを得た。
ラミネートフィルムの作製には、90mmφ/65mmφ共押出ラミネーター((株)プラコー製)を用いた。得られた樹脂組成物Bペレットを90mmφのスクリューを有する押出機へ、樹脂組成物Abペレットを65mmφのスクリューを有する押出機へ供給し、320℃の温度でTダイより共押出し、(D)層として第一給紙部から繰り出したニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名エステルフィルムE−5100、厚み25μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に、(C)層として以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した基材上に樹脂組成物Bが20μm、樹脂組成物Abが40μmの厚さになるよう共押出ラミネートしラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:タケラックA3210(15部)+タケネートA3072(5部)+酢酸エチル(140部)
タケラックA3210、タケネートA3072はいずれも三井化学ポリウレタン(株)製
接着剤厚み:0.2μm
得られたラミネートフィルムの物性を表4に示した。
Figure 0005440338
実施例15
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.95重量%、ジステアリン酸亜鉛(CAT−2)を0.05重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例16
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、CAT−2を0.10重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例17
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.80重量%、CAT−2を0.20重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例18
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジラウリル酸亜鉛(CAT−3)を0.10重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例19
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ヒンダードアミン光安定剤としてポリ{[6−〔(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]}(CAT−4)を0.10重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例20
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジメチルステアリン酸アミン(CAT−5)を0.10重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例21
樹脂組成物Abとして、PE−Aを99.80重量%、AS−1を0.1重量%、AS−2を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.70重量%、AS−1を0.15重量%、AS−2を0.15重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例22
樹脂組成物Abとして、PE−Aを99.80重量%、AS−1を0.1重量%、AS−2を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.80重量%、アルキルスルフォン酸ナトリウム塩(ミヨシ油脂(株)製、商品名ダスパー802D、以下、AS−3と記す場合がある)を0.2重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
実施例23
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、2エチル−ヘキサン酸亜鉛(CAT−6)を0.1重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表4に示した。
比較例6
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを100重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表5に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、帯電防止性評価には、接着強度が低かったため40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施した試料を用いたが、帯電防止性に劣っていた。
Figure 0005440338
比較例7
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを97.80重量%、CAT−1を2.2重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表5に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施したものの接着強度が上昇しなかったため、帯電防止性の評価は行わなかった。
比較例8
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、ジステアリン酸カルシウム(日油(株)製 商品名カルシウムステアレートG、以下、CAT−7と記す場合がある。)を0.10重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表5に示した。初期接着強度(5分後)、700分後の接着強度とも低く劣っていた。また、スリップ性評価には、接着強度が低かったため40℃の雰囲気で72時間のエージング処理を施した試料を用いたが、帯電防止性に劣っていた。
比較例9
樹脂組成物Abとして、PE−Aを99.80重量%、AS−1を0.1重量%、AS−2を0.1重量%の代わりに、PE−Aを100重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表5に示したが、帯電防止性に劣っていた。
比較例10
樹脂組成物Abとして、PE−Aを99.80重量%、AS−1を0.1重量%、AS−2を0.1重量%の代わりに、PE−Aを97.8重量%、AS−1を1.1重量%、AS−2を1.1重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムの作製を試みたが、ラミネート成形中の発煙がひどく、ラミネートフィルムを得ることはできなかった。
実施例24
オレフィン系重合体として、MFRが6.5g/10分、密度が900kg/mであるプロピレン系重合体(PP)99.90重量%、CAT−2を0.10重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練しB層に用いる樹脂組成物B−1のペレットを得た。
同様に、PP99.60重量%、AS−1を0.2重量%、ポリオキシエチレンラウリルアマイド(日油(株)製、商品名スタホームDL、以下AS−4と記す場合がある)を0.2重量%になるよう配合し、ニ軸押出機((株)東洋精機製作所製 ラボプラストミル)にて溶融混練しA層に用いる樹脂組成物Ab−4のペレットを得た。
フィルム成形は、3種3層共押出キャストフィルム成形機(プラスチック工学研究所製)を用いた。一方の表面層(A層)を構成する押出機に上記樹脂組成物Ab−4ペレットを、他の2層(B1層、B2層)を構成する押出機には樹脂組成物B−1ペレットを供給し、220℃の温度でTダイより押出し、(A)層/(B1)層/(B2)層からなる多層フィルムを得た後、(B2)層表面に30W・分/mの条件でコロナ処理を施した。各層の厚みは20μmであった。
ラミネート成形は、溶剤型ドライラミネーター(井上金属工業(株)製)を用いた。ニ軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製 商品名エステルフィルムE−5100、厚み25μm、以下、PETと記す場合がある)のコロナ処理面に以下に示す比率で配合したポリウレタン系接着剤を塗布し溶剤を乾燥した基材と上記フィルムのコロナ処理面とを貼り合わせラミネートフィルムを得た。
ポリウレタン系接着剤の配合:セイカボンドE−263(25部)+セイカボンドC−26(5部)+酢酸エチル(150部)
セイカボンドは大日精化工業(株)製
接着剤厚み:3μm
得られたラミネートフィルムの接着強度を表6に示した。
Figure 0005440338
実施例25
樹脂組成物B−1の代わりに、MFRが2g/10分、密度が920kg/mであるエチレン・1−ヘキセン共重合体(東ソー(株)製、商品名ニポロンZ−ZF230、以下、PE−Cと記す場合がある)を99.90重量%、CAT−2を0.10重量%とした樹脂組成物B−2へ変更し、樹脂組成物Ab−4の代わりに、PE−Cを99.90重量%、AS−1を0.05重量%、AS−2を0.05重量%とした樹脂組成物A−5に変更した以外は、実施例24と同様にしてラミネートフィルムを得た。
得られたラミネートフィルムの接着強度を表6に示した。
実施例26
樹脂組成物Aとして、PE−Aを99.80重量%、AS−1を0.1重量%、AS−2を0.1重量%の代わりに、PE−Aを99.72重量%、AS−1を0.10重量%、AS−2を0.10重量%、FA−1を0.08重量%とした以外は、実施例14と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表7に示した。
Figure 0005440338
実施例27
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、CAT−2を0.10重量%とした以外は、実施例26と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表7に示した。
実施例28
樹脂組成物Bとして、PE−Bを99.95重量%、CAT−1を0.05重量%の代わりに、PE−Bを99.90重量%、CAT−6を0.10重量%とした以外は、実施例26と同様にしてラミネートフィルムを得た。評価結果を表7に示した。

Claims (13)

  1. 少なくとも(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成され、(A)層がオレフィン重合体98〜99.999重量%及び脂肪酸アミド0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Aa、(B)層がオレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物B、(C)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(D)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルム。
  2. 少なくとも(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成され、(A)層がオレフィン重合体98〜99.999重量%及び帯電防止剤0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Ab、(B)層がオレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物B、(C)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(D)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルム。
  3. 少なくとも(A)層/(B)層/(C)層/(D)層の4層から構成され、(A)層がオレフィン重合体96〜99.998重量%、脂肪酸アミド0.001〜2重量%及び帯電防止剤0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物Ac、(B)層がオレフィン系重合体98〜99.999重量%、亜鉛、リチウム、コバルト、鉄及び錫からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩及び/又はアミン化合物0.001〜2重量%から構成される樹脂組成物B、(C)層がポリウレタン系接着剤及び/又はイソシアネート系接着剤、(D)層が少なくとも1層以上の基材からなることを特徴とするラミネートフィルム。
  4. (B)層の樹脂組成物Bを構成する脂肪酸金属塩が、亜鉛、リチウム及びコバルトからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム。
  5. (B)層の樹脂組成物Bを構成するアミン化合物が、下記一般式(I)で表されるポリオキシエチレンアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム。
    Figure 0005440338
    (式中、Rは炭素数8〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に−OCR′(R′は炭素数8〜30の炭化水素基を表す)又は−Hを表し、m及びnはそれぞれ独立に1〜10の整数である。)
  6. (B)層の樹脂組成物Bを構成するアミン化合物が、ヒンダードアミン系光安定剤であることを特徴とする請求項1〜3に記載のラミネートフィルム。
  7. (B)層の樹脂組成物Bを構成するアミン化合物が、下記一般式(II)で表されるアルキルアミンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のラミネートフィルム。
    Figure 0005440338
    (式中、Rは炭素数が8〜30である直鎖又は分岐鎖の脂肪酸残基、R及びRはそれぞれ独立に水素、又は炭素数が1〜8である直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基若しくはアルケニル基である。)
  8. ラミネートフィルムの(A)層側表面の表面固有抵抗値が1013〜1017(Ω)であることを特徴とする請求項1、4〜7のいずれかに記載のラミネートフィルム。
  9. ラミネートフィルムの(A)層側表面における水の接触角が50°以上110°以下であることを特徴とする請求項1、4〜8のいずれかに記載のラミネートフィルム。
  10. (A)層の樹脂組成物Ab又は樹脂組成物Acを構成する帯電防止剤が、グリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のラミネートフィルム。
  11. (A)層の樹脂組成物Ab又は樹脂組成物Acを構成する帯電防止剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のラミネートフィルム。
  12. (A)層の樹脂組成物Ab又は樹脂組成物Acを構成する帯電防止剤が、アルキルスルフォン酸塩を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のラミネートフィルム。
  13. ラミネート成形後、23℃の雰囲気で5分間放置した際の接着強度が0.7N/25mm以上であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のラミネートフィルム。
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