JP5276547B2 - カッターホイール - Google Patents
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Description
まず、刃先部分(突起)と溝部分とが交互に基板上を転動するので、突起は食い込みやすいが、順次基板上に位置することとなる溝部分が刃先の食い込みを制限する抵抗として働き、刃先が基板に深く食い込みすぎないように「食い込み抑制」がかかるようになる。これにより、荷重を大きくした場合でも、大きな稜線角の刃先の過度な食い込みによって生じる不規則な方向への割れや水平クラックの発生が防止され、方向が制御されたスクライブラインが形成されるようになる。また、刃先部分と溝部分とが基板上に交互に接近することにより、刃先が間欠的に基板に当たるようになる。その結果、基板に打点衝撃が与えられつつスクライブラインが形成されるので、スクライブラインに沿って伸展する垂直クラックの深さは、(溝のない)通常のカッターホイールによるスクライブラインに沿って形成されるクラックの深さよりも、はるかに深くなる。また、刃先部分に集中的に圧接荷重が加わるようになり、これによってもクラックの深さがより深くなる。
なお、溝付きカッターホイールでは、高浸透性のスクライブラインを形成できるので、場合によってはクラックが基板を貫通し、いきなり完全分断されてしまうこともあるが、その場合のクラックは基板平面に対して直角方向に伸展した垂直クラックとなり、クラックの方向はスクライブラインに沿った直線状になっており、上述した不規則な方向の割れとは異なり、クラックの伸展方向が制御された好ましい分断が行われることになる。
特許文献1に記載された溝付きカッターホイールは、通常のカッターホイールに比べると、深い垂直クラックを伴う高浸透性のスクライブラインを形成することができる点で優れている。
しかしながら、被加工基板の厚みや材質により、さらに深い垂直クラックを伴う高浸透性のスクライブラインを形成することが望まれる場合があり、また、より望ましくは、同じ高浸透性のスクライブラインを形成する場合でも、できるだけ小さい圧接荷重で高浸透性のスクライブラインを形成できることがスクライブラインの加工品質を高める上で好ましい。
(1)さらに深い垂直クラックを伴う高浸透性のスクライブラインを形成することができるカッターホイール、
(2)相対的に低い圧接荷重でも高浸透性のスクライブラインを形成することができるカッターホイール、を提供することを目的とする。
第一稜線角Φ1を100°〜160°にすることにより、第一刃面が基板に圧接されたときに、適切な圧接荷重でスクライブラインを形成すること(水平クラックの発生や不規則な方向への割れが発生する不具合を防止すること)ができ、さらに外径Dを1mm〜10mmにすることにより、使いやすく、ホイールの研磨加工が比較的容易な大きさの溝付きカッターホイールを作成することができる。
第二刃面の最小幅W(第一刃面の最大幅と同じである)を2μm〜200μmにすることにより、また、第一稜線角が100°〜160°であることにより、幾何学的な関係から、第一刃面の稜線から第一刃面の根元までの深さが約1μm〜100μmとなる。
例えば、液晶パネル等で使用する一般的なガラス基板の厚さは0.1mm〜1.5mm程度であることから、第一刃面の深さが上記範囲(1μm〜100μm)であれば、ガラスの板厚に応じて、第二刃面の最小幅Wを、上記範囲内で適切な値にすることで、第一刃面が根元まで基板に食い込んだ上(すなわち第一刃面は1μm〜100μm食い込む)で、さらに第二刃面が食い込もうとするときに、水平クラックの発生や不規則な方向の割れを防止することができる。その後は、第二刃面がさらに食い込んでいくが、このとき、カッターホイールの溝の深さは、第二刃面に達していることから、第一刃面の深さよりも大きな溝深さにしてあり、具体的には第一刃面の深さが1μmのときは1μmより深く、100μmのときは100μmより深くしてある。第二刃面が食い込むと、やがて溝による食い込み抑制が働くようになるため、第二刃面が食い込みすぎて水平クラックや不規則な方向の割れが生じることを防止することができる。
ホイール本体11は、使用の際に使いやすく、研磨加工もしやすいように、外径Dを1mm〜10mm(通常は2〜5mm)にしている。
第一刃面12は、ホイール本体11の外周縁に第一稜線角Φ1の稜線をなすように形成され、先端が刃先14となる。この第一稜線角Φ1を100°〜160°の範囲で設定することで、稜線角が狭すぎる場合や広すぎる場合の不都合(不規則な方向へのクラックの発生、食い込みすぎによる被加工基板の破壊等)を防止している。
したがって、第二刃面13の最小幅Wを、被加工基板の板厚によって適切な値に設定する必要がある。具体的には、板厚が0.1mm〜1.5mm程度のガラス基板のスクライブを行う場合は、板厚に応じて、最小幅Wを2μm〜200μmの範囲で設定するようにしている。
第一稜線角Φ1は100°〜160°の範囲で任意に設定することができる。第二稜線角Φ2は外径Dとのバランスで適切な値を設定しており、具体的には、カッターホイール全体の厚み(通常、0.3〜1mm程度)を考慮して、外径Dが大きくなるにつれて、第二稜線角Φ2が小さくなるようにしている。
第一刃面の深さLは、外径Dが小さくなるほど、深くすることができるようになる。そして溝深さMは第一刃面の深さLより深くするようにすればよいが、通常は、2〜100μm、特には5〜50μmであり、最低でも2μmより深くするようにしている。これより小さくすると、打点衝撃が加わりにくくなり、また、食い込み抑制も働きにくくなるからである。
第二刃面の最小幅Wは、最大でも200μm以下にするようにして、第二刃面を食い込ませる際の抵抗が低減されるようにしている。
この実施形態では、第二刃面13の根元側に刃先でない傾斜面17を設けることにより、第二刃面13を小さくして研磨加工が簡単にできるようにしている。
11 ホイール本体
12 第一刃面
13 第二刃面
14 刃先
15 溝
16 第一刃面と第二刃面との境界
2b 第1の傾斜面
2c 第2の傾斜面
Φ1 第一稜線角
Φ2 第二稜線角
D 外径
L 第一刃面深さ
M 溝深さ
W 第二刃面の最小幅(第一刃面の最大幅)
Claims (7)
- 円形の外周縁に沿って第一稜線角Φ1をなす稜線が形成された断面V字状の第一刃面と、第一刃面の根元側に続く第二刃面とからなる二段の刃面を有し、
第二刃面は、第一刃面側に延長したときに形成される仮想的な第二稜線角Φ2が第一稜線角Φ1より小さい角となるように形成され、
第一刃面の稜線に沿って第二刃面に達する深さの溝が周期的に形成され、
第一刃面とともに第二刃面を被加工基板に食い込ませてスクライブラインを形成することを特徴とする脆性材料基板用のカッターホイール。 - 第一刃面の外径Dが1mm〜10mmで、かつ、第一稜線角Φ1が100°〜160°である請求項1に記載のカッターホイール。
- 第二稜線角Φ2が10°〜90°であり、かつ、第二刃面の最小幅Wが2μm〜200μmである請求項2に記載のカッターホイール。
- 前記溝の深さが2μm〜50μmである請求項3に記載の溝付きカッターホイール。
- 前記第二刃面の最小幅が2〜200μmである請求項1に記載の溝付きカッターホイール。
- 脆性材料基板の表面に請求項1記載のカッターホイールを圧接し、転動させることを特徴とする脆性材料基板のスクライブ方法。
- 前記カッターホイールをその第二刃面まで脆性材料基板に食い込むように圧接する請求項6記載のスクライブ方法。
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