JP4063951B2 - スクライブ用カッタ及びその製造方法並びにスクライブ装置 - Google Patents

スクライブ用カッタ及びその製造方法並びにスクライブ装置 Download PDF

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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B33/00Severing cooled glass
    • C03B33/10Glass-cutting tools, e.g. scoring tools
    • C03B33/105Details of cutting or scoring means, e.g. tips

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、板ガラス等の硬質材料のワークの面に刻線を形成するためのスクライブ用カッタおよびスクライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願人は、カッタに高周波振動を付与しながら移動させることにより、ワークに刻線を形成する技術を開発している。このカッタは、先細のベースと、その先端に取り付けられたダイヤモンドの粒子とを備えている。このダイヤモンド粒子は、四角錐または三角錐形状をなしており、その頂点をワークの面に当てるようにして、刻線を形成する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のように角錐形状のダイヤモンド粒子は高精度の加工によって得るため、カッタの製造コストを押し上げる要因になっていた。
また、単結晶のダイヤモンド粒子は衝撃に対する強度を高めるために結晶方位を特定の方向にする必要があり、この点でも製造コストが高かった。
さらに、ダイヤモンド粒子が割れた時には、カッタを交換する必要があり、使用寿命が短かった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、スクライブ用カッタにおいて、互いに連結される金属製の第1,第2のベースを備え、これらベースは、互いに当接する接合面と、この接合面と交差するとともにワーク面に当たる押圧面とをそれぞれ有し、上記第1,第2のベースにおける押圧面と接合面の交差角度が90°未満であり、上記第1ベースの接合面には硬質皮膜が蒸着されていて、第1,第2のベースによって挟まれ、上記第1,第2のベースの押圧面では金属面が露出していることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載のスクライブ用カッタにおいて、上記硬質皮膜が上記第1ベースにのみ蒸着されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のスクライブ用カッタにおいて、上記硬質皮膜の厚さが3〜10μmであることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載のスクライブ用カッタにおいて、上記硬質皮膜が、上記第1,第2のベースの押圧面から微少量突出していることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4に記載のスクライブ用カッタにおいて、上記硬質皮膜の上記押圧面からの突出量が3〜5μmであることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載のスクライブ用カッタにおいて、上記押圧面と接合面の交差角度が60°〜85°であることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のスクライブ用カッタにおいて、上記硬質皮膜がダイヤモンド薄膜からなることを特徴とする。
【0005】
請求項の発明は、請求項に記載のスクライブ用カッタを製造する方法において、第1ベースの接合面に硬質皮膜を蒸着し、その後で、第1ベースをこれと同形状の硬質皮膜を蒸着していない第2ベースに接合することを特徴とする。
請求項9の発明は、請求項8に記載のスクライブ用カッタの製造方法において、上記第1ベースを多数接するように並べ、これら多数の第1ベースの上記接合面を面一にして露出させ、この状態で、硬質皮膜の蒸着を行うことを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項8に記載のスクライブ用カッタの製造方法上記第1、第2ベースを接合した後に、これら第1、第2ベースの押圧面をエッチングすることにより硬質皮膜の先端から後退させることを特徴とする。
請求項11の発明は、スクライブ装置において、請求項1〜7のいずれかに記載のカッタと、このカッタをワーク面に押し付けた状態でワーク面と交差する第1方向に振動を付与する押圧,振動付与手段と、上記カッタを、ワーク面に沿うとともに上記硬質皮膜と平行をなす第2方向に、ワークに対して相対的に移動させる移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の第1の実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。
図1(A),(B)に示すように、スクライブ装置は、移動台1(支持台)と、この移動台1を水平方向(第2方向)に移動させる移動機構2と、この移動台1にスライド支持機構3を介して垂直方向(第1方向)に移動可能に取り付けられたボデイ10と、このボデイ10に微小量の垂直方向往復動を可能にして支持されたホルダ20と、このホルダ20の下端に固定されたカッタ30と、ホルダ20に垂直方向の振動を付与するピエゾアクチュエータ40(振動アクチュエータ,振動付与手段)と、を備えている。
【0007】
以下、各構成要素について詳述する。上記移動機構2は、移動台1を、図1(A)において紙面と直交する方向に水平に移動するようになっている。
上記スライド支持機構3は、ガイド4とスライダ5とを備えている。ガイド4は、取付板6を介して移動台1に固定されている。ガイド4は、垂直方向に延びるガイド溝4aを有している。このガイド4に縦長のスライダ5がガイド溝4aに入り込むようにして垂直方向にスライド可能に支持されている。なお、このスライダ5は、ガイド4に設けられたストッパ(図示しない)により下限位置を決定されている。
【0008】
上記スライダ5には、上下一対の水平をなす板バネ7a,7bを介して上記ボデイ10が取り付けられている。詳述すると、スライダ5には、上下にブラケット8a,8bが1つずつ固定されており、これらブラケット8a,8bに、上記板バネ7a,7bの中央がそれぞれ固定されている。他方、上記ボデイ10には、上下に一対ずつL字形のブラケット9a,9bが固定されている。上側の一対のブラケット9aは、ブラケット8aから離れてこのブラケット8aの両側に配置されており、上記板バネ7aの両端に固定されている。同様に、下側の一対のブラケット9bも、ブラケット8bから離れてこのブラケット8bの両側に配置されており、上記板バネ7bの両端に固定されている。
【0009】
上記ボデイ10は、中空をなす上部と、平板部をなす下部とを有しており、両者の境の段差11が、上記ピエゾアクチュエータ40のための受部として提供される。ボデイ10の下部には、ガイド12が固定されている。
【0010】
上記ホルダ20は、垂直方向に延びるように細長く構成されており、幅の狭い平板形状をなして垂直に延びる主ロッド21と、この主ロッド21の上端に回動可能に連結されて垂直に上方に延びる補助ロッド22(ホルダ20の基端部)と、主ロッド21の下端に固定されたアタッチメント23(ホルダ20の先端部)とを備えている。主ロッド21は、ボデイ10のガイド12によって案内されて垂直方向に微少量のスライドが可能になっている。
【0011】
上記主ロッド21の長手方向の中間部には受部材24(受部)が固定されている。上記ピエゾアクチュエータ40は、垂直方向に細長い形状をなし、その上端はボデイ10の段差11に固定され、その下端はホルダ20の受部材24で受けられている。換言すれば、ピエゾアクチュエータ40は、垂直方向に対峙した上記段差11と受部材24との間に挟まれるようにして配置されている。ピエゾアクチュエータ40は、高周波交流電圧を受けて垂直方向へ周期的に伸縮するものであり、その周期的伸縮によってホルダ20を垂直方向に振動させるようになっている。なお、ピエゾアクチュエータ40の下端には、凸球面をなす当接部材45が固定されており、この当接部材45は、受部材24に形成されて球面をなす受座面24aに面接触している。
【0012】
上記補助ロッド22は、ボデイ10の上壁を貫通して上方に突出している。ボデイ10の上壁には、ゴムや樹脂等の弾性材料からなるボール25(球形状の弾性部材)と、その上下の球面受座26,27が配置されており、これらは、上記補助ロッド22に貫通された状態で支持されている。
上記補助ロッド22の上端部には、雄ネジ22aが形成されており、この雄ネジ22aに螺合されたナット28を締め付けることにより、受座26,27がナット28の下面,ボデイ10の上壁にそれぞれ当たった状態で、上記ボール25を挟み付けて若干量弾性変形させる。このボール25の復元力が、ホルダ20をボデイ10に対して上方へ付勢する力となり、ひいてはホルダ20の受部材24を介して常時ピエゾアクチュエータ40に付与される弾性力となる。
【0013】
上述したように、ホルダ20は、ボール25の弾性により上方に付勢され、この付勢力をもって受部材24がピエゾアクチュエータ40に当たっているので、ボデイ10に対して安定して支持されている。ただし、ホルダ20は、このボール25の弾性変形可能な範囲で垂直方向に移動可能である。上述した「微少量の往復動可能」は、このことを意味している。
【0014】
上記カッタ30の上部は、補助アタッチメント29に挿入固定されており、この補助アタッチメント29は、上記ホルダ20のアタッチメント23に着脱可能に固定されている。
【0015】
次に、本発明の特徴部であるカッタ30について詳述する。図2,図3に示すように、このカッタ30は、同一形状をなす第1,第2のベース31A,31Bを備えている。これらベース31A,31Bは同一形状をなし、偏平な直方体をなす基部32(装着状態での上部)と、先細形状、すなわち截頭四角錐形状をなす先部33(装着状態での下部)とを有している。ベース31A,31Bの基部32には穴34が形成されており、この穴34を通るボルトとナット(いずれも図示せず)により、ベース31A,31Bが連結されている。
【0016】
ベース31A,31Bは、基部32から先部33にわたって連続する平坦な接合面35を有している。この接合面35が互いに当接した状態(対峙した状態)で、ベース31A,31Bが連結されている。なお、これらベース31A,31Bの接合面35は、単に接するだけでなく、接着剤等を用いて接着するのが好ましい。ベース31A,31Bの先端(装着状態での下端)には、接合面35と交差する押圧面36が形成されている。図4に示すように、この押圧面36と接合面35の交差角度Θは、90°未満であり、より好ましくは60〜85°である。交差角度Θは、ベース31A,31Bで互いに等しい。したがって、ベース31A,31Bの押圧面36同士の交差角は、120〜170°となる。
【0017】
図5に最もよく示されているように、上記第1ベース31Aの接合面35の全域には、ダイヤモンド薄膜37(硬質皮膜)が、例えばプラズマCVD法(気相合成法)により、蒸着されている。ダイヤモンド薄膜37は、ダイヤモンドの多結晶体、すなわちダイヤモンド微粒子の集積によって構成されている。
上記ダイヤモンド薄膜37は、ベース31A,31Bの接合面35に挟まれることになる。ダイヤモンド薄膜37の厚さWは、例えば3〜10μmである。
ダイヤモンド薄膜37は、ベース31A,31Bの押圧面36から下方に微少量突出している。この突出量Tは例えば3〜5μmである。
【0018】
上記ダイヤモンド薄膜37を押圧面36から突出させるための工程の一例について説明する。図6に示すように、ベース31A,31Bを連結させた状態において、最初は、ダイヤモンド薄膜37の先端37aは、ベース31A,31Bの押圧面36と接合面35との交差線と一致している。この状態で、ベース31A,31Bの先端を短時間だけエッチング液に浸して微少量溶かし、これにより押圧面36を図6において実線で示す位置から破線で示す位置まで後退させる。この際、ダイヤモンド薄膜37の先端37aは溶けずに残り、その結果として押圧面36から突出することになる。
上記の工程を採用するためには、ベース31A,31Bは、金属で構成するのが好ましい。例えばベース31A,31Bを銅で構成する場合には、エッチング液は硫酸溶液となる。
【0019】
上記構成をなすスクライブ装置の作用を説明する。図4に示すように、水平をなす設置台60に板ガラス100(ワーク)を位置決めして水平にセットし、カッタ30の下端を板ガラス100の上面に載せる。この状態で、カッタ30には板ガラス100の上面に対する押圧力が常に付与されている。すなわち、上記ボデイ10は、スライド支持機構3を介して移動台1にスライド可能に支持されており、このボデイ10,ホルダ20,スライダ5の自重がカッタ30の板ガラス100への押圧力となる。このスライド支持機構3とボデイ10とホルダ20とで押圧手段を構成し、振動アクチュエータ40と協働して、後述するようにカッタ30を板ガラス100に押し付けながら振動を付与するための押圧,振動付与手段を構成している。
【0020】
上記のように、ボデイ10等の自重でカッタ30を板ガラス100の面に押し付けた状態で、スクライブを実行する。詳述すると、移動台1を移動させてカッタ30を上記ダイヤモンド薄膜37と平行に板ガラス100の面に沿って水平に移動させる。すなわち、図1(A),図4において紙面と直交する方向に移動させる。これと同時に、ピエゾアクチュエータ40に高周波電圧を印加させて、ピエゾアクチュエータ40を周期的に伸縮させる。すると、この周期的伸縮に伴うホルダ20の振動がカッタ30を介して板ガラス100に伝達される。換言すれば、図7に示すように、カッタ30を介して板ガラス100に付与される押圧力Pは、上記ボデイ10等の自重に起因する静圧P1を下限値とし、ピエゾアクチュエータ40の振動に起因して周期的に変動する。したがって押圧力Pは、周期的に非常に大きな力となり、カッタ30の尖った下端を介して板ガラス100に衝撃を付与することになり、図4に示すように垂直クラックを有する刻線105を形成することができる。しかし、静圧P1が小さいので、水平クラックの発生をほとんど皆無にすることができる。
【0021】
なお、押圧力Pの周期、換言すればピエゾアクチュエータ40に印加する高周波電圧の周波数は、3〜30KHz程度に設定し、ピエゾアクチュエータ40の伸縮量、つまり振幅は数μm〜20μm程度に設定する。また、カッタ30の送り速度は、上の周波数を採用する場合、100〜250mm/sec程度に設定するのがよい。
【0022】
上記刻線105の形成工程において、カッタ30はボデイ10等の自重に伴う押圧力をもって常に板ガラス100の面に接した状態であり、この面から瞬間的に離れることがないので、刻線105の近傍の欠損をなくし、きれいな刻線105を形成することができる。
【0023】
特に、本実施形態のカッタ30を用いることにより、一層良好なスクライブ機能を発揮することができる。詳述すると、ダイヤモンド薄膜37の突出端37aが板ガラス100の面に入り込んで僅かな傷105aを作り、この傷105aを起点として垂直クラック105bを形成する。
このように、垂直クラック105bの起点となる傷105aは、従来のダイヤモンド粒を用いる場合に比べて、非常に僅かなものであるので、刻線105の形成に際して屑を最小限にすることができる。それにも拘わらず、この傷105aの両側に位置する一対の押圧面36がガラス板100を押し付けた状態で振動するので、深い垂直クラック105bを形成することができる。
【0024】
上記押圧面36は、ダイヤモンド薄膜37の突出端37aによって形成された傷105aを広げる役割を担うので、接合面35との交差角度Θは前述したように90°未満とするのが好ましい。傷105aの両側の部位が互いに離れるように、押圧力を付与するためである。なお、この交差角度Θは、前述したように60°〜85°とするのが好ましい。ワークが柔らかい場合には交差角度Θを狭くし、硬い場合には広くする。なお、交差角度Θが60°より小さいと、押圧面36が傷を形成する役割を担ってしまい、屑が出易くなる。また交差角度Θが85°より大きいと、傷105aを起点として垂直クラック105bを形成する機能が低下する。
【0025】
ダイヤモンド薄膜37の蒸着による形成は、従来カッタにおけるダイヤモンド粒の加工と装着に比べて容易であり、カッタ30の製造コストを低減させることができる。
カッタ30の板ガラス100に対する相対的移動方向は、ダイヤモンド薄膜37と平行をなしているので、ダイヤモンド薄膜37の幅方向が刻線105の方向と一致することになる。そのため、ダイヤモンド薄膜37が幅を有していても、刻線105の形成の支障にならない。
【0026】
上記のようにして刻線105が形成された板ガラス100は、エア圧を付与することにより、刻線105に沿って破断することができる。この際、刻線105が深い垂直クラック105bを有しているので、破断を容易にすることができる。
【0027】
なお、この発明のスクライブ装置は上記の実施形態に限定されるものでなく、適宜設計変更可能である。例えば、図1において想像線で示すエアシリンダ59(押圧手段)を備えていてもよい。このエアシリンダ59は、例えば移動台1に直接または取付板6を介して間接的に固定されており、そのロッド先端がスライダ5に連結または当接されている。このエアシリンダ59の駆動により、スライダ5ひいてはボデイ10をワーク面に向けて付勢する。このエアシリンダ59を用いれば、図1に示すボデイ10,ホルダ20を水平に倒し、ワーク面を垂直にした状態でスクライブを行うこともできる。
【0028】
また、上記実施形態において、ボデイ10を支持する支持台1を水平移動させずに所定位置に固定し、移動機構2を設置台60に連結して、この設置台60に設置された板ガラス100を移動させることにより、カッタ30を板ガラス100に対して相対的に移動させてもよい。
【0029】
図8,図9は、他の形態をなすカッタ70を示す。カッタ70はほぼ直方体形状で互いに同一形状をなす第1,第2のベース71A,71Bを備えている。これらベース71A,71Bは、図8に想像線で示すような完全な直方体形状ではなく、一端面が傾斜して押圧面76となっており、細長い平坦な面の一つが接合面75となっている。
【0030】
上記ベース71Aには、図10,図11に示すようにしてダイヤモンド薄膜77を蒸着する。詳述すると、多数のベース71Aを、接合面75を上にして設置台78に並べる。この際、第1ベース71Aの側面同士を接するようにし、接合面75を面一にし、押圧面76を面一にして露出する。
【0031】
上記の状態で蒸着を行えば、接合面75と、押圧面76と、押圧面の反対側の端面だけに蒸着がなされ、両側面と、接合面75の反対側の面(下側の面)に蒸着がされないので、効率良く蒸着を行うことができる。なお、押圧面76の反対側の端面を位置決め部材79(図10において想像線で示す)に当てて露出を避けることにより、蒸着効率をより一層向上させてもよい。
【0032】
上記蒸着工程の後で、押圧面76に蒸着されたダイヤモンド薄膜77をダイヤモンド研削装置で削り落とし、その後で押圧面76をエッチングしてダイヤモンド薄膜77を押圧面から微少量突出させる。
【0033】
図12はさらに他の形態をなすカッタ90を示している。このカッタ90は、円盤形状をなしてホルダ80に回転可能に支持されている。ホルダ80を介してカッタ90に振動を付与する手段は図示を省略する。カッタ90は、互いに連結された第1,第2のベース91A,91Bを有している。これらベース91A,91Bは同一形状をなし、互いに当接する円形の接合面95と、この接合面95と交差する環状の押圧面96とを有している。押圧面96は、接合面95に対して60〜85°で交差している。第1のベース91Aの接合面95にはダイヤモンド薄膜97が形成されており、このダイヤモンド薄膜97の周縁は、ベース91A,91Bの押圧面96から微少量突出している。
【0034】
上述した全ての実施形態では、ダイヤモンド薄膜を押圧面に対して微少量突出させたが、ダイヤモンド薄膜の先端を押圧面と接合面の交差線と一致させてもよい。この場合でも、上述した実施形態に比べて性能が劣るものの、高硬度のダイヤモンド薄膜からワークに振動エネルギーを付与することができる。また、スクライブを継続して実行することにより、ベースを構成する金属が微少量溶けて自然にダイヤモンド薄膜が微少量だけ押圧面から突出することもある。
また、第1,第2のベースの押圧面が、ダイヤモンド薄膜の近傍において、面一をなしていてもよい。
ベースを構成する金属としては、超硬合金であってもよい。
硬質皮膜は、上述した実施形態のようにダイヤモンド薄膜が最も好ましいと考えられるが、他の蒸着皮膜も用いることができる。
ワークとしては、板ガラスに限らず、セラミック製の板,シリコンウエハー等であってもよい。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、スクライブ用カッタを安価に製造することができるとともに、使用寿命を長くすることができる。また、硬質皮膜がワーク面に僅かな傷を作り、第1,第2のベースの押圧面でワークを押すことによりこの傷を起点とする刻線を形成するので、屑の発生量を最小限にすることができるにも拘わらず、深い刻線を形成することができる。また、押圧面と接合面のなす交差角度を90°未満としたので、刻線をより一層深くすることができる。
請求項の発明によれば、硬質皮膜を押圧面から微少量突出させることにより、上記ワーク面への傷形成を確実に行うことができる。
請求項の発明によれば、押圧面と接合面のなす交差角度を60°〜85°としたので、刻線をより一層深くすることができるとともに、屑の発生を確実に抑制することができる。
請求項の発明によれば、硬質皮膜としてダイヤモンド薄膜を用いたので、ワークに確実に傷を形成し、ひいては刻線の形成を確実に行うことができる。
請求項の発明によれば、第1ベースを接するように多数並べて面一をなす接合面に硬質皮膜を蒸着することにより、硬質皮膜を効率良く形成することができる。
請求項11の発明によれば、カッタをワーク面に押し付けながら振動を付与することにより、上記特徴を有するカッタの機能を最大限に生かすことができる。また、このカッタのワークに対する相対的移動方向を硬質皮膜と平行にしたので、硬質皮膜の幅が刻線形成の支障にならない。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の一実施形態をなすスクライブ装置の縦断面図であり、(B)は(A)図においてI方向から見た要部正面図である。
【図2】同スクライブ装置に用いられるカッタの分解斜視図である。
【図3】同カッタの斜視図である。
【図4】同カッタと、このカッタによって刻線を形成された板ガラスとを示す拡大断面図である。
【図5】図4におけるV部をさらに拡大して示す断面図である。
【図6】カッタの製造方法を示す拡大断面図である。
【図7】カッタの板ガラスに対する押圧力を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態をなすカッタの第1ベースの斜視図である。
【図9】同カッタの側面図である。
【図10】同第1ベースへのダイヤモンド薄膜蒸着の方法を示す側面図である。
【図11】同蒸着方法を示す斜視図である。
【図12】本発明に係わるカッタのさらに他の実施形態を示し、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
2 移動機構
30,70,90 カッタ
31A,71A,91A 第1ベース
31B,71B,91B 第2ベース
35,75,95 接合面
36,76,96 押圧面
37,77,97 ダイヤモンド薄膜(硬質皮膜)
40 ピエゾアクチュエータ(振動付与手段)

Claims (11)

  1. 互いに連結される金属製の第1,第2のベースを備え、これらベースは、互いに当接する接合面と、この接合面と交差するとともにワーク面に当たる押圧面とをそれぞれ有し、
    上記第1,第2のベースにおける押圧面と接合面の交差角度が90°未満であり、
    上記第1ベースの接合面には硬質皮膜が蒸着されていて、第1,第2のベースによって挟まれ、
    上記第1,第2のベースの押圧面では金属面が露出していることを特徴とするスクライブ用カッタ。
  2. 上記硬質皮膜が上記第1ベースにのみ蒸着されていることを特徴とする請求項1に記載のスクライブ用カッタ。
  3. 上記硬質皮膜の厚さが3〜10μmであることを特徴とする請求項1または2に記載のスクライブ用カッタ。
  4. 上記硬質皮膜が、上記第1,第2のベースの押圧面から微少量突出していることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスクライブ用カッタ。
  5. 上記硬質皮膜の上記押圧面からの突出量が3〜5μmであることを特徴とする請求項4に記載のスクライブ用カッタ。
  6. 上記押圧面と接合面の交差角度が60°〜85°であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスクライブ用カッタ。
  7. 上記硬質皮膜がダイヤモンド薄膜からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスクライブ用カッタ。
  8. 請求項に記載のスクライブ用カッタを製造する方法において、第1ベースの接合面に硬質皮膜を蒸着し、その後で、第1ベースをこれと同形状の硬質皮膜を蒸着していない第2ベースに接合することを特徴とするスクライブ用カッタの製造方法。
  9. 上記第1ベースを多数接するように並べ、これら多数の第1ベースの上記接合面を面一にして露出させ、この状態で、硬質皮膜の蒸着を行うことを特徴とする請求項8に記載のスクライブ用カッタの製造方法。
  10. 上記第1、第2ベースを接合した後に、これら第1、第2ベースの押圧面をエッチングすることにより硬質皮膜の先端から後退させることを特徴とする請求項8に記載のスクライブ用カッタの製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載のカッタと、
    このカッタをワーク面に押し付けた状態でワーク面と交差する第1方向に振動を付与する押圧,振動付与手段と、
    上記カッタを、ワーク面に沿うとともに上記硬質皮膜と平行をなす第2方向に、ワークに対して相対的に移動させる移動機構と、
    を備えたことを特徴とするスクライブ装置。
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