JP5274663B2 - 光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステム - Google Patents

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Description

本発明は、光の照射により水を分解する光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステムに関する。
従来、光触媒として機能する半導体材料に光を照射することにより水を分解して水素と酸素を採取したり(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)、前記半導体材料を用いて基材の表面を被覆することにより前記基材の表面を親水化したりすることが知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献1には、電解液中にn型半導体電極と対極とを配置し、n型半導体電極の表面に光を照射することにより両電極の表面から水素及び酸素を採取する技術が開示されている。具体的には、n型半導体電極として、TiO2電極、ZnO電極、CdS電極等を用いることが記載されている。
特許文献2には、電解液中に、III族窒化物半導体によって形成された半導体電極と、対極とを配置し、半導体電極表面に光を照射することによって両電極の表面から水素及び酸素を発生させるガス発生装置が開示されている。
また、特許文献3には、基材と、前記基材の表面に形成された被膜からなる親水性部材であって、前記被膜が、酸化チタン粒子を含む酸化チタン層と、前記酸化チタン層の上に配置された、酸化チタン以外の第2の光触媒材料からなる島状部とを有することが開示されている。具体的には、第2の光触媒材料として、伝導帯の下端及び価電子帯の上端のポテンシャルが酸化チタンよりも対標準水素電極電位を基準として正側(真空準位を基準にして負側)にある材料を用いることが記載されている。
また、自然光下での高効率な光触媒性能が得られる光触媒薄膜として、基盤上に作製した光触媒薄膜にNb、V及びCr等の金属イオンのうち少なくとも一種のイオンを注入し、バンドギャップもしくは電位勾配を厚さ方向に変化させて傾斜膜とする、光触媒薄膜も提案されている(特許文献4参照)。
また、第1の化合物半導体層と、前記第1の化合物半導体層とは異なるバンドギャップを有する第2の化合物半導体層とが導電性基材上に順次配置された多層薄膜状光触媒を、硫化水素を含有する溶液中に浸漬し、この多層薄膜状光触媒に光を照射して水素を製造する技術も提案されている(特許文献5参照)。
特開昭51−123779号公報 特開2003−24764号公報 特開2002−234105号公報 特開2002−143688号公報 特開2003−154272号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の技術では、光の照射による水の分解反応の量子効率が低いという問題があった。これは、光励起により生じたホールと電子が、水の電解反応に用いられる前に再結合して消滅する確率が高いためである。
例えば、特許文献2には、III族窒化物のn型半導体の背面にp型半導体、その背面にn型半導体を有する電極、もしくは、p型半導体の背面にn型半導体、その背面にp型半導体を有する電極が記載され、pn接合による起電力により電荷が分離する効果が記載されている。しかしながら、このような構成では、電極最表面の半導体内でキャリア溜りができ、大きな電荷分離効果を期待できない。
特許文献3には、光励起により生成した電子及びホールのうち、電子は第2の光触媒材料の伝導帯に移動し、ホールは酸化チタンの価電子帯に移動することより、電子−ホール対が分離するので、再結合する確率が低くなると記載されている。しかしながら、特許文献3には、酸化チタンと第2の光触媒材料との接合面におけるエネルギー状態がどのように設定されるかについては何も記載されていない。酸化チタンと第2の光触媒材料との接合面がショットキー接合となる場合、接合面において伝導帯及び価電子帯にショットキー障壁が発生する。このとき、光励起により生成した電子及びホールのうち、電子は伝導帯の接合面におけるショットキー障壁により堰き止められ、価電子帯の接合面におけるショットキー障壁がホール溜まりとして機能するので、ホールは価電子帯の接合面付近に溜まってしまう。そのため、酸化チタンと第2の光触媒材料とをそれぞれ単独で用いる場合よりも、電子及びホールの再結合する可能性が高くなってしまうという問題があった。
特許文献4は、金属イオンドープにより光触媒薄膜を傾斜膜化している。しかしながら、この構成は、光触媒薄膜を傾斜膜化することで可視光領域まで光の利用効率を向上させる目的でなされた技術である。そのため、傾斜膜内での光触媒のエネルギー状態がどのように設定されるかについては何も記載されておらず、電荷分離等の最適化がなされていない。
特許文献5に記載されている多層薄膜状光触媒は、バンドギャップの異なる2つの半導体CdSとZnSとが接合し、さらにこの半導体ZnSと導電性基材Ptとが接合した構造を有している。特許文献5には、このようにバンドギャップが異なる材料が接合されていることにより、バンドギャップの勾配に沿って電子が半導体ZnS、さらには導電性基材Ptに移動して、導電性基材上で水素イオンと結合しやすく、水素を発生させやすいと記述されている(特許文献5の[0026]〜[0027]段落)。しかしながら、それぞれの材料のフェルミ準位(真空基準値)も考慮して、それらの接合部分に注目すると、CdS(−5.0eV)とZnS(−5.4eV)との接合部も、ZnS(−5.4eV)とPt(−5.7eV)との接合部も、電子の移動方向(CdSからZnS、さらにZnSからPtへの移動方向)に対してフェルミ準位が低くなるので、ショットキー障壁が生じる。したがって、この構成では、バンドギャップの勾配に沿って電子が移動するものの、スムーズに移動することは困難である。
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離することができ、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることが可能な光電気化学セル及びそれを用いたエネルギーシステムを提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、
基板と、前記基板上に配置された第1のn型半導体層と、前記第1のn型半導体層上に、互いに離間して配置された第2のn型半導体層及び導電体と、を含む半導体電極と、
前記導電体と電気的に接続された対極と、
前記第2のn型半導体層及び前記対極の表面と接触する電解液と、
前記半導体電極、前記対極及び前記電解液を収容する容器と、
を備え、
前記半導体電極において、真空準位を基準として、
(I)前記第2のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記第1のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位よりも大きく、
(II)前記第1のn型半導体層のフェルミ準位が、前記第2のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、かつ、
(III)前記導電体のフェルミ準位が、前記第1のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、
前記第2のn型半導体層に光が照射されることによって水素を発生する、第1の光電気化学セルを提供する。
また、前記目的を達成するために、本発明は、
基板と、前記基板上に配置された第1のp型半導体層と、前記第1のp型半導体層上に、互いに離間して配置された第2のp型半導体層及び導電体と、を含む半導体電極と、
前記導電体と電気的に接続された対極と、
前記第2のp型半導体層及び前記対極の表面と接触する電解液と、
前記半導体電極、前記対極及び前記電解液を収容する容器と、
を備え、
前記半導体電極において、真空準位を基準として、
(I)前記第2のp型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記第1のp型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位よりも小さく、
(II)前記第1のp型半導体層のフェルミ準位が、前記第2のp型半導体層のフェルミ準位よりも小さく、かつ、
(III)前記導電体のフェルミ準位が、前記第1のp型半導体層のフェルミ準位よりも小さく、
前記第2のp型半導体層に光が照射されることによって水素を発生する、第2の光電気化学セルを提供する。
本発明のエネルギーシステムは、前記本発明の第1又は第2の光電気化学セルと、前記第1又は第2の光電気化学セルと第1の配管によって接続されており、前記第1又は第2の光電気化学セル内で生成した水素を貯蔵する水素貯蔵器と、前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、を備えている。
本発明の第1及び第2の光電気化学セルによれば、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離できるので、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができる。本発明のエネルギーシステムは、このような光電気化学セルを備えているので、効率良く電力を供給できる。
本発明の実施の形態1の光電気化学セルの構成を示す概略図 本発明の実施の形態1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 本発明の実施の形態1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−3の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−3の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−4の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−4の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−5の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−5の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−6の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−6の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態1−7の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態1−7の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 本発明の実施の形態2の光電気化学セルの構成を示す概略図 本発明の実施の形態2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 本発明の実施の形態2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−1の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−2の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−3の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−3の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−4の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−4の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−5の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−5の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−6の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−6の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 比較形態2−7の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図 比較形態2−7の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図 本発明の実施の形態3の光電気化学セルの構成を示す概略図 本発明の実施の形態4の光電気化学セルの構成を示す概略図 本発明の実施の形態5のエネルギーシステムの構成を示す概略図
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一部材に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の光電気化学セルの構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態の光電気化学セルの構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図3は、本実施の形態の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。図2及び3において、縦軸は、真空準位を基準とするエネルギー準位(単位:eV)を示す。
図1に示すように、本実施の形態の光電気化学セル100は、半導体電極120と、半導体電極120と対をなす電極である対極130と、水を含む電解液140と、半導体電極120、対極130及び電解液140を収容する、開口部を有する容器110と、を備えている。
容器110内において、半導体電極120及び対極130は、その表面が電解液140と接触するように配置されている。半導体電極120は、基板121と、基板121上に配置された第1のn型半導体層122と、第1のn型半導体層122上に、互いに離間して配置された第2のn型半導体層123及び導電体124と、を備えている。容器110のうち、容器110内に配置された半導体電極120の第2のn型半導体層123と対向する部分(以下、光入射部110aと略称する)は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
半導体電極120における導電体124と、対極130とは、導線150により電気的に接続されている。なお、ここでの対極とは、半導体電極との間で電解液を介さずに電子の授受を行う電極のことを意味する。したがって、本実施の形態における対極130は、半導体電極120を構成している導電体124と電気的に接続されていればよく、半導体電極120との位置関係等の構成は特に限定されない。なお、本実施の形態では半導体電極120にn型半導体が用いられているので、対極130は半導体電極120から電解液140を介さずに電子を受け取る電極となる。
次に、本実施の形態に係る光電気化学セル100の動作について説明する。
光電気化学セル100における容器110の光入射部110aから、容器110内に配置された半導体電極120の第2のn型半導体層123に太陽光が照射されると、第2のn型半導体層123において伝導帯に電子が、価電子帯にホールが生じる。このとき生じたホールは、第2のn型半導体層123の表面側に移動する。これにより、第2のn型半導体層123の表面で、下記反応式(1)により水が分解されて酸素が発生する。一方、電子は、第2のn型半導体層123と第1のn型半導体層122との界面、並びに第1のn型半導体層122と導電体124との界面における伝導帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体124まで移動する。導電体124に移動した電子は、導線150を介して、半導体電極120と電気的に接続された対極130側に移動する。これにより、対極130の表面で、下記反応式(2)により水素が発生する。
4h++2H2O → O2↑+4H+ (1)
4e-+4H+ → 2H2↑ (2)
詳細は後述するが、第1のn型半導体層122と第2のn型半導体層123との接合面にはショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなく第2のn型半導体層123から第1のn型半導体層122に移動できる。さらに、第1のn型半導体層122と導電体124との接合面にもショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなく第1のn型半導体層122から導電体124まで移動できる。したがって、光励起により第2のn型半導体層123内で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなる。これにより、本実施の形態の光電気化学セル100によれば、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができる。
次に、半導体電極120における導電体124、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123のバンド構造について、詳しく説明する。なお、ここで説明するバンド構造のエネルギー準位は、真空準位を基準としたものである。以下、本明細書において説明する半導体及び導電体のバンド構造のエネルギー準位も、同様に、真空準位を基準としたものである。
図2に示すように、第2のn型半導体層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層122の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きい。
また、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層123のフェルミ準位EF2よりも大きく、導電体124のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1よりも大きい。
次に、導電体124、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123を互いに接合させると、図3に示すように、第1のn型半導体層122と第2のn型半導体層123との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層122における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、かつ、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層123のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、第1のn型半導体層122と第2のn型半導体層123との接合面には、ショットキー障壁は生じない。
また、導電体124と第1のn型半導体層122との接合面においても、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体124のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体124と第1のn型半導体層122との接合はオーミック接触となる。
上記のような半導体電極120を電解液140と接触させると、第2のn型半導体層123と電解液140との界面において、第2のn型半導体層123の表面付近における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が持ち上げられる。これにより、第2のn型半導体層123の表面付近に空間電荷層が生じる。
比較の形態として、第2のn型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位が第1のn型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位よりも小さい形態を想定する。この場合、第2のn型半導体層の表面付近における伝導帯のバンドエッジの曲がりと、第1のn型半導体層−第2のn型半導体層間の伝導帯のバンドエッジ準位の差とにより、第2のn型半導体層内部における伝導帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。この井戸型ポテンシャルにより、第2のn型半導体層の内部に電子が溜まってしまい、光励起により生成した電子とホールが再結合する確率が高くなってしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学セル100では、第2のn型半導体層123における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が第1のn型半導体層122における伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも大きくなるように設定されているので、第2のn型半導体層123内部における伝導帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そのため、電子は第2のn型半導体層123の内部に溜まることなく第1のn型半導体層122側へ移動し、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、別の比較の形態として、第2のn型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位が、第1のn型半導体層122における価電子帯のバンドエッジ準位よりも小さい形態を想定する。この場合、第2のn型半導体層の表面付近における価電子帯のバンドエッジの曲がりと、第1のn型半導体層−第2のn型半導体層間の価電子帯のバンドエッジ準位の差とにより、第2のn型半導体層内部における価電子帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。光励起により第2のn型半導体層内部において生成したホールは、この井戸型ポテンシャルにより、電解液との界面方向と第1のn型半導体層との界面方向とに分かれて移動してしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学セル100においては、第2のn型半導体層123における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が第1のn型半導体層122における価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きくなるように設定されているので、第2のn型半導体層123内部における価電子帯のバンドエッジ準位EV2に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そのため、ホールは第2のn型半導体層123内部に溜まることなく電解液140との界面方向に移動するので、電荷分離の効率が格段に向上する。
さらに、本実施の形態の光電気化学セル100においては、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層123のフェルミ準位EF2よりも大きくなるように設定されている。この構成により、第1のn型半導体層122と第2のn型半導体層123との界面においてバンドの曲がりが生じ、かつ、ショットキー障壁が生じない。その結果、第2のn型半導体層123内部で光励起により生成した電子とホールのうち、電子は第1のn型半導体層122の伝導帯に移動し、ホールは価電子帯を電解液140との界面方向に移動するので、電子及びホールがショットキー障壁により妨げられることなく効率的に電荷分離される。これにより、光励起により第2のn型半導体層123内部で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなるので、光の照射による水素生成反応の量子効率が向上する。
また、本実施の形態の光電気化学セル100においては、導電体124のフェルミ準位が、第1のn型半導体層122のフェルミ準位よりも大きくなるように設定されている。この構成により、導電体124と第1のn型半導体層122との接合面においてもショットキー障壁が生じない。そのため、第1のn型半導体層122から導電体124への電子の移動がショットキー障壁により妨げられることがない。これにより、光励起により第2のn型半導体層123内部で生成した電子とホールとが再結合する確率がさらに低くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率がさらに向上する。
電解液140のpH値が0で、温度が25℃の場合、本実施の形態では、この電解液140と接触した状態の半導体電極120において、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1が−4.44eV以上であり、かつ、第2のn型半導体層123における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が−5.67eV以下である。半導体電極120がこのようなエネルギー準位を満たすことによって、第1のn型半導体層122と接触している導電体124のフェルミ準位EFcが水素の酸化還元電位である−4.44eV以上となる。これにより、導電体124と電気的に接続されている対極130の表面において効率良く水素イオンが還元されるので、水素を効率良く発生させることができる。
また、第2のn型半導体層123における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、水の酸化還元電位である−5.67eV以下となる。これにより、第2のn型半導体層123の表面において効率良く水が酸化されるので、酸素を効率良く発生させることができる。
以上のように、pH値が0で温度が25℃の電解液140と接触した状態の半導体電極120において、第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1を−4.44eV以上とし、かつ、第2のn型半導体層123における価電子帯のバンドエッジ準位EV2を−5.67eV以下とすることによって、効率良く水を分解できる。
なお、本実施の形態では上記のようなエネルギー準位を満たす半導体電極120が示されているが、例えば第1のn型半導体層122のフェルミ準位EF1が−4.44eV未満であってもよく、第2のn型半導体層123における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が−5.67eVを超えていてもよい。このような場合でも、水素及び酸素を発生させることが可能である。
ここで、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123のフェルミ準位及び伝導帯下端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、フラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度を用いて求めることができる。半導体のフラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度は、測定対象である半導体を電極として用いて測定されたMott−Schottkyプロットから求められる。
また、pH値0、温度25℃の電解液140と接触した状態における第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123のフェルミ準位は、測定対象である半導体を電極として用い、pH値0、温度25℃の電解液と半導体電極とが接触した状態において、Mott−Schottkyプロットを測定することにより求めることができる。
第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123の価電子帯上端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、バンドギャップと、上記の方法により求めた第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123の伝導帯下端のポテンシャルとを用いて求めることができる。ここで、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123のバンドギャップは、測定対象である半導体の光吸収スペクトル測定において観察される光吸収端から求められる。
導電体124のフェルミ準位は、例えば、光電子分光法により測定できる。
次に、本実施の形態の光電気化学セル100に設けられた各構成部材の材料について、それぞれ説明する。
第1のn型半導体層122は、例えばn型窒化ガリウム(n−GaN)からなることが好ましい。n−GaNは、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態においてフェルミ準位−4.44eV以上を実現でき、水の分解反応について特に高い量子効率が得られる。さらに、n−GaNはシート抵抗が低いため、この上に配置された導電体124を介して電子を効率良く取り出すことができる。さらに、n−GaNによれば、第1のn型半導体層122の高い耐久性も実現できる。
第1のn型半導体層122がn型窒化ガリウム(n−GaN)から形成されている場合、第2のn型半導体層123には、ガリウムと、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素とをIII属元素として含む、n型のIII属窒化物半導体を用いることが好ましい。すなわち、第2のn型半導体層123は、n型の、窒化ガリウム・インジウム混晶(n−GaInN)、窒化ガリウム・アルミニウム混晶(n−GaAlN)又は窒化ガリウム・インジウム・アルミニウム混晶(n−GaInAlN)であることが好ましい。これらn型のIII属窒化物半導体は、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態において、価電子帯のバンドエッジ準位−5.67eV以下を実現でき、水の分解反応について特に高い量子効率が得られる。
第1のn型半導体層122をn−GaNによって形成し、第2のn型半導体層123を上記n型のIII族窒化物半導体によって形成する場合、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123は、エピタキシャル成長によって得られた結晶膜であることが望ましい。
本発明の光電気化学セルにおける半導体電極の構成によれば、GaNの結晶膜のようにエピタキシャル成長によって成膜しなければならない半導体材料であっても、基板121を適宜選択することによって容易に使用できるので、材料選択の幅が広がる。
また、第1のn型半導体層122は、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含むn型の酸化物半導体から形成されていてもよい。このような酸化物は、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態においてフェルミ準位−4.44eV以上を実現できるので、水の分解反応について特に高い量子効率が得られる。さらに、このような酸化物はシート抵抗が低いため、この上に配置された導電体124を介して電子を効率良く取り出すことができる。さらに、このような酸化物によれば、第1のn型半導体層122の高い耐久性も実現できる。また、この酸化物は、アモルファスであっても上記性能を十分発揮することが可能であり、例えば、室温で、スパッタリングや印刷などの安価な方法で成膜することも可能である。
第1のn型半導体層122が、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含むn型の酸化物半導体から形成されている場合、第2のn型半導体層123には、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含む酸化物の酸素の一部が窒素に置換された組成を有するn型半導体を用いることが好ましい。このような組成を有するn型半導体は、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態において、価電子帯のバンドエッジ準位−5.67eV以下を実現できるので、水の分解反応について特に高い量子効率が得られる。また、このような組成を有するn型半導体は、アモルファスでも上記性能を十分発揮することが可能であり、例えば、室温で、スパッタリングや印刷など安価な方法で成膜することも可能である。
上記性能を発揮できる、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含むn型の酸化物半導体は、例えば、
In2xGa2(1-x)3(ZnO)y
(x及びyは、0.2<x<1、0.5≦yをそれぞれ満たす)
と表すことができる。
上記式において、特にxが0.5である酸化物が好ましい。この酸化物に含まれる酸素の一部を窒素に置換することにより、例えばガリウム及びインジウムを含む窒化物(GazIn1-zN(zは、0<z<1を満たす))では実現できない、高In含有の窒化物を実現できる。さらに、この酸化物は、そのバンドギャップに相当する波長が900nm付近となり、900nm付近までの波長の光を吸収できる。水の光分解に用いられる半導体のバンドギャップは1.23eV以上であり、これに相当する波長は1000nm以下となる。したがって、この酸化物は、水の光分解にとって、太陽光の利用効率を高める観点から最適であるといえる。さらに、InGaO3(ZnO)y、及び、InGaO3(ZnO)yにおいて酸素の一部が窒素に置換された窒化物は、非常に安定である。なお、これら以外でも、ZnOが固溶していれば比較的安定な化合物となり、特に、上記式においてx>0.2を満たす場合は、GazIn1-zNでは実現できない、ZnOの固溶による効果を発揮できる光半導体となる。
上記式において、yは1≦y≦6を満たすことが好ましい。このような酸化物を用いることにより、単一相の光半導体が得やすくなるので、優れた光半導体性能を実現できる。特に、上記式においてyが2又は6の場合は、酸素格子の一部を完全に窒素に置換できるので、例えばInGaZn222又はInGaZn626という単一相の光半導体を得ることができる。
また、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123に、上記以外の半導体材料を用いることも可能である。例えば、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛又はカドミウム等を構成元素として含む酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、窒化物、酸窒化物及びリン化物等が挙げられる。
例えば、第1のn型半導体層122として、チタン、ジルコニウム、ニオブ又は亜鉛を構成元素として含む酸化物を用いてもよい。第1のn型半導体層122は、これら酸化物の単体であってもよいし、これら酸化物を含む複合化合物であってもよい。また、これらの酸化物にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属等が添加されたものであってもよい。
第2のn型半導体層123のキャリア濃度は、第1のn型半導体層122のキャリア濃度よりも低いことが好ましい。第2のn型半導体層123は、酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群から選択される1つであってもよい。このようにすると、半導体電極120が電解液140と接している状態において、第2のn型半導体層123に光が照射されても、第2のn型半導体層123が電解液140中に溶解することがないので、光電気化学セルを安定に動作させることができる。
例えば、第1のn型半導体層122として酸化チタンを用いる場合、第2のn型半導体層123として、例えば、窒化タンタル、酸窒化タンタル又は硫化カドミウムを用いることができ、その中でも窒化タンタル又は酸窒化タンタルを用いることが好ましい。このようにすると、半導体電極120が電解液140と接している状態において、第2のn型半導体層123に光が照射されても、第2のn型半導体層123が電解液中に溶解することがないので、光電気化学セルを安定に動作させることができる。
第2のn型半導体層123は、当該第2のn型半導体層123の厚さ方向に沿って、その組成が傾斜していてもよい。なお、ここで、組成が傾斜しているとは、第2のn型半導体層123を構成している少なくとも1つの元素の濃度が、第2のn型半導体層123の厚さ方向に沿って増加又は減少している状態のことをいう。第2のn型半導体層123を組成傾斜させることにより、第2のn型半導体層123中の電子及びホールの移動がよりスムーズに行われて、電子とホールとの再結合がさらに生じにくくなるという効果が得られる。ただし、第2のn型半導体層123の組成を傾斜させる場合であっても、第1のn型半導体層122との伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位の関係、さらにフェルミ準位の関係は、本発明の光電気化学セルにおいて規定した関係を満たすことが必要である。
本実施の形態において、半導体電極120の導電体124は、第1のn型半導体層122との接合がオーミック接触となる。したがって、導電体124としては、例えば、Ti、Ni、Ta、Nb、Al及びAg等の金属、又は、ITO(Indium Tin Oxide)及びFTO(Fluorine doped Tin Oxide)等の導電性材料を用いることができる。
導電体124の表面のうち、第1のn型半導体層122に被覆されない領域は、例えば樹脂等の絶縁体によって被覆されることが好ましい。このような構成によれば、導電体124が電解液140内に溶解するのを防ぐことができる。
第1のn型半導体層122から導電体124への電子の移動に影響を及ぼさないように、基板121には、サファイア基板やガラス基板等の絶縁基板を用いるとよい。第1のn型半導体層122をn−GaNによって形成し、第2のn型半導体層123を上記n型のIII族窒化物半導体によって形成し、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123をエピタキシャル成長によって得られる結晶膜とする場合は、基板121にサファイア基板を用いる。
対極130には、過電圧の小さい材料を用いることが好ましい。本実施の形態では、半導体電極120にn型半導体を用いているので、対極130において水素が発生する。そこで、対極130として、例えばPt、Au、Ag又はFe等を用いることが好ましい。
電解液140は、水を含む電解液であればよい。水を含む電解液は、酸性であってもよいし、アルカリ性であってもよい。半導体電極120と対極130との間に固体電解質を配置する場合は、半導体電極120の第2のn型半導体層123の表面と対極130の表面とに接触する電解液140を、電解用水としての純水に置き換えることも可能である。
以下に、第1のn型半導体層、第2のn型半導体層及び導電体のエネルギー準位の関係が半導体電極120とは異なる、比較形態1−1〜1−7の光電気化学セルを示して、その作用効果の違いを説明する。なお、以下に示す比較形態1−1〜1−7では、第1のn型半導体層、第2のn型半導体層及び導電体のエネルギー準位の関係が本実施の形態の光電気化学セル100とは異なるが、それ以外の構成は光電気化学セル100と同じであるため、説明を省略する。
<比較形態1−1>
比較形態1−1に係る光電気化学セルについて、図4及び5を用いて説明する。図4は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図5は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層162と、第1のn型半導体層162上に配置された第2のn型半導体層163及び導電体164とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図4に示すように、第1のn型半導体層162のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層163のフェルミ準位EF2よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120とは異なる。
次に、導電体164、第1のn型半導体層162及び第2のn型半導体層163を互いに接合させると、図5に示すように、第1のn型半導体層162と第2のn型半導体層163との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。第2のn型半導体層163の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2は、それぞれ、第1のn型半導体層162の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きいが、第1のn型半導体層162のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層163のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、実施の形態1の半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層162と第2のn型半導体層163との接合面にショットキー障壁が生じる。
第1のn型半導体層162と導電体164との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体164のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層162のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、実施の形態1における半導体電極120と同様に、導電体164と第1のn型半導体層162との接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層162と第2のn型半導体層163との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第2のn型半導体層163から第1のn型半導体層162への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態においては、光励起により第2のn型半導体層163内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1に係る光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−2>
比較形態1−2に係る光電気化学セルについて、図6及び7を用いて説明する。図6は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図7は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層262と、第1のn型半導体層262上に配置された第2のn型半導体層263及び導電体264とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図6に示すように、第1のn型半導体層262のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層263のフェルミ準位EF2よりも小さく、かつ、導電体264のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層262のフェルミ準位EF1よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
導電体264、第1のn型半導体層262及び第2のn型半導体層263を互いに接合させると、図7に示すように、第1のn型半導体層262と第2のn型半導体層263との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層263の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2は、それぞれ、第1のn型半導体層262の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きいが、第1のn型半導体層262のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層263のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層262と第2のn型半導体層263との接合面にショットキー障壁が生じる。
第1のn型半導体層262と導電体264との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のn型半導体層262の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体264のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層262のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、導電体264と第1のn型半導体層262との接合面にショットキー障壁が生じる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層262と第2のn型半導体層263との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第2のn型半導体層263から第1のn型半導体層262への電子の移動が妨げられてしまう。さらに、本比較形態の半導体電極の場合、導電体264と第1のn型半導体層262との接合面にもショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のn型半導体層262から導電体264への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態に係る光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体層内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−3>
比較形態1−3に係る光電気化学セルについて、図8及び9を用いて説明する。図8は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図9は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層362と、第1のn型半導体層362上に配置された第2のn型半導体層363及び導電体364とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図8に示すように、第2のn型半導体層363の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層362の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
次に、導電体364、第1のn型半導体層362及び第2のn型半導体層363を互いに接合させると、図9に示すように、第1のn型半導体層362と第2のn型半導体層363との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層363の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層362の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、第1のn型半導体層362のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層363のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、伝導帯のバンドエッジは、第2のn型半導体層363側から第1のn型半導体層362との接合面に向かって小さくなるが、接合面から第1のn型半導体層362側に向かって大きくなってしまう。
第1のn型半導体層362と導電体364との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のn型半導体層362の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体364のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層362のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、実施の形態1における半導体電極120と同様に、導電体364と第1のn型半導体層362との接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、伝導帯のバンドエッジが、第1のn型半導体層362と第2のn型半導体層363との接合面から第1のn型半導体層362側に向かって大きくなるので、第2のn型半導体層363から第1のn型半導体層362への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−4>
比較形態1−4に係る光電気化学セルについて、図10及び11を用いて説明する。図10は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図11は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層462と、第1のn型半導体層462上に配置された第2のn型半導体層463及び導電体464とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図10に示すように、第2のn型半導体層463の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層462の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、かつ、導電体464のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層462のフェルミ準位EF1よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
次に、導電体464、第1のn型半導体層462及び第2のn型半導体層463を互いに接合させると、図11に示すように、第1のn型半導体層462と第2のn型半導体層463との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層463の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層462の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、第1のn型半導体層462のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層463のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、伝導帯のバンドエッジは、第2のn型半導体層463側から第1のn型半導体層462との接合面に向かって小さくなるが、接合面から第1のn型半導体層462側に向かって大きくなってしまう。
第1のn型半導体層462と導電体464との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のn型半導体層462の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体464のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層462のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、導電体464と第1のn型半導体層462との接合はショットキー接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、伝導帯のバンドエッジが、第1のn型半導体層462と第2のn型半導体層463との接合面から第1のn型半導体層462に向かって大きくなるので、第2のn型半導体層463から第1のn型半導体層462への電子の移動が妨げられてしまう。さらに、導電体464と第1のn型半導体層462との接合面にはショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のn型半導体層462から導電体464への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体層内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−5>
比較形態1−5に係る光電気化学セルについて、図12及び13を用いて説明する。図12は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図13は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層562と、第1のn型半導体層562上に配置された第2のn型半導体層563及び導電体564とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図12に示すように、第2のn型半導体層563の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層562の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、かつ、第1のn型半導体層562のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層563のフェルミ準位EF2よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
次に、導電体564、第1のn型半導体層562、及び第2のn型半導体層563を互いに接合させると、図13に示すように、第1のn型半導体層562と第2のn型半導体層563との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層563の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層562の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、第1のn型半導体層562のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層563のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、実施の形態1における半導体電極120と同様に、伝導帯のバンドエッジにおいて、第1のn型半導体層562と第2のn型半導体層563との接合面にショットキー障壁が生じない。しかし、図13に示すように、第1のn型半導体層562の伝導帯のバンドエッジ準位EC1が、第2のn型半導体層563の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなる。
第1のn型半導体層562と導電体564との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のn型半導体層562の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体564のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層562のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、実施の形態1における半導体電極120と同様に、導電体564と第1のn型半導体層562との接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層562の伝導帯のバンドエッジ準位EC1が、第2のn型半導体層563の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなるので、第2のn型半導体層563から第1のn型半導体層562への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体層内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−6>
比較形態1−6に係る光電気化学セルについて、図14及び15を用いて説明する。図14は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図15は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層662と、第1のn型半導体層662上に配置された第2のn型半導体層663及び導電体664とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図14に示すように、第2のn型半導体層663の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層662の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、第1のn型半導体層662のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層663のフェルミ準位EF2よりも小さく、かつ、導電体664のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層662のフェルミ準位EF1よりも小さいという点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
次に、導電体664、第1のn型半導体層662及び第2のn型半導体層663を互いに接合させると、図15に示すように、第1のn型半導体層662と第2のn型半導体層663との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層663の伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、第1のn型半導体層662の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さく、第1のn型半導体層662のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層663のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、実施の形態1における半導体電極120と同様に、伝導帯のバンドエッジにおいて、第1のn型半導体層662と第2のn型半導体層663との接合面にショットキー障壁が生じない。しかし、図15に示すように、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層662の伝導帯のバンドエッジ準位EC1が、第2のn型半導体層663の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなる。
第1のn型半導体層662と導電体664との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動する。これにより、第1のn型半導体層662の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体664のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層662のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、導電体664と第1のn型半導体層662との接合面にショットキー障壁が生じる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、第1のn型半導体層662の伝導帯のバンドエッジ準位EC1が、第2のn型半導体層663の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなるので、第2のn型半導体層663から第1のn型半導体層662への電子の移動が妨げられてしまう。また、実施の形態1における半導体電極120と異なり、導電体664と第1のn型半導体層662との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のn型半導体層662から導電体664への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体層663内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態1−7>
比較形態1−7に係る光電気化学セルについて、図16及び17を用いて説明する。図16は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図17は、本比較形態における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のn型半導体層762と、第1のn型半導体層762上に配置された第2のn型半導体層763及び導電体764とによって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図16に示すように、導電体764のフェルミ準位EFcが第1のn型半導体層762のフェルミ準位EF1よりも小さい点が、実施の形態1における半導体電極120と異なる。
導電体764、第1のn型半導体層762及び第2のn型半導体層763を互いに接合させると、図17に示すように、第1のn型半導体層762と第2のn型半導体層763との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のn型半導体層763の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層762における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、かつ、第1のn型半導体層762のフェルミ準位EF1が、第2のn型半導体層763のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、第1のn型半導体層762と第2のn型半導体層763との接合面にショットキー障壁が生じない。
第1のn型半導体層762と導電体764との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のn型半導体層762の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体764のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層762のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、導電体764と第1のn型半導体層762との接合面にショットキー障壁が生じる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態1における半導体電極120と異なり、導電体764と第1のn型半導体層762との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のn型半導体層762から導電体764への電子の移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のn型半導体層762内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態1の光電気化学セル100よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の光電気化学セルの構成について、図18〜図20を用いて説明する。図18は、本実施の形態の光電気化学セルの構成を示す概略図である。図19は、本実施の形態の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図20は、本実施の形態の光電気化学セルにおいて、半導体電極を構成する導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
図18に示すように、本実施の形態の光電気化学セル200では、半導体電極220の構成が実施の形態1の半導体電極120とは異なるものの、それ以外は実施の形態1の光電気化学セル100と同じである。したがって、本実施の形態では、半導体電極220についてのみ説明し、実施の形態1の光電気化学セル100と同じ構成については同じ符号を用いて、説明を省略する。
半導体電極220は、実施の形態1の場合と同様に、その表面が電解液140と接触するように配置されている。半導体電極220は、基板221と、基板221上に配置された第1のp型半導体層222と、第1のp型半導体層222上に、互いに離間して配置された第2のp型半導体層223及び導電体224と、を備えている。第2のp型半導体層223は、容器110の光入射部110aと対向している。
半導体電極220における導電体224は、導線150により対極130と電気的に接続されている。
次に、本実施の形態の光電気化学セル200の動作について説明する。
光電気化学セル200における容器110の光入射部110aから、容器110内に配置された半導体電極220の第2のp型半導体層223に太陽光が照射されると、第2のp型半導体層223において伝導帯に電子が、価電子帯にホールが生じる。このとき生じたホールは、第2のp型半導体層223と第1のp型半導体層222との界面、並びに第1のp型半導体層222と導電体224との界面における価電子帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体224まで移動する。導電体224に移動したホールは、導線150を介して、半導体電極220と電気的に接続された対極130側に移動する。これにより、対極130の表面で、上記反応式(1)により水が分解されて酸素が発生する。一方、電子は、第2のp型半導体層223の表面側(電解液140との界面側)に移動する。これにより、第2のp型半導体層223の表面において、上記反応式(2)により水素が発生する。
詳細は後述するが、第1のp型半導体層222と第2のp型半導体層223との接合面にはショットキー障壁が生じないので、ホールは妨げられることなく第2のp型半導体層223から第1のp型半導体層222に移動できる。また、導電体224と第1のp型半導体層222との接合面にもショットキー障壁が生じないので、ホールは妨げられることなく第1のp型半導体層222から導電体224まで移動できる。したがって、光励起により第2のp型半導体層223内で生成した電子とホールが再結合する確率が低くなる。これにより、本実施の形態の光電気化学セル200によれば、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができる。
次に、半導体電極220における導電体224、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223のバンド構造について、詳しく説明する。
図19に示すように、第2のp型半導体層223の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のp型半導体層222の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さい。
また、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1は、第2のp型半導体層223のフェルミ準位EF2よりも小さく、導電体224のフェルミ準位EFcは、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1よりも小さい。
次に、導電体224、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223を互いに接合させると、図20に示すように、第1のp型半導体層222と第2のp型半導体層223との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。第2のp型半導体層223の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のp型半導体層222の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さく、かつ、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層223のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、第1のp型半導体層222と第2のp型半導体層223との接合面にショットキー障壁が生じない。
また、第1のp型半導体層222と導電体224との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層222の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。導電体224のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、導電体224と第1のp型半導体層222との接合はオーミック接触となる。
上記のような半導体電極220を電解液140と接触させると、第2のp型半導体層223と電解液140との界面において、第2のp型半導体層223の表面付近における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が持ち下げられる。これにより、第2のp型半導体層223の表面付近に空間電荷層が生じる。
比較の形態として、第2のp型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位が第1のp型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位よりも大きい形態を想定する。この場合、第2のp型半導体層の表面付近における伝導帯のバンドエッジの曲がりと、第1のp型半導体層−第2のp型半導体層間の伝導帯のバンドエッジ準位の差とにより、第2のp型半導体層内部における伝導帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。光励起により第2のp型半導体層内部において生成した電子は、この井戸型ポテンシャルにより、電解液との界面方向と第1のp型半導体層との界面方向とに分かれて移動してしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学セル200では、第2のp型半導体層223における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が第1のp型半導体層222における伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも小さくなるように設定されているので、第2のp型半導体層223内部における伝導帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そのため、第2のp型半導体層223内部の電子は電解液140との界面方向に移動するので、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、別の比較の形態として、第2のp型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位が第1のp型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位よりも大きい形態を想定する。この場合、第2のp型半導体層の表面付近における価電子帯のバンドエッジの曲がりと、第1のp型半導体層−第2のp型半導体層間の価電子帯のバンドエッジ準位の差とにより、第2のp型半導体層内部における価電子帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。この井戸型ポテンシャルにより、光励起により第2のp型半導体層内部において生成したホールは、第2のp型半導体層内部に溜まってしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学セル200においては、第2のp型半導体層223における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が第1のp型半導体層222おける価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さくなるように設定されているので、第2のp型半導体層223内部における価電子帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そのため、ホールは第2のp型半導体層223内部に溜まることなく第1のp型半導体層222との界面方向に移動するので、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、本実施の形態の光電気化学セル200においては、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223の伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位が上記のように設定されていることに加えて、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層223のフェルミ準位EF2よりも小さくなるように設定されている。この構成により、第1のp型半導体層222と第2のp型半導体層223との界面においてバンドの曲がりが生じ、かつ、ショットキー障壁が生じない。その結果、第2のp型半導体層223内部で光励起により生成した電子とホールのうち、電子は伝導帯を電解液140との界面方向に移動し、ホールは第1のp型半導体層222の価電子帯に移動する。すなわち、電子及びホールがショットキー障壁により妨げられることなく、効率的に電荷分離される。これにより、光励起により第2のp型半導体層223内部で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなるので、光の照射による水素生成反応の量子効率が向上する。
また、本実施の形態の光電気化学セル200においては、導電体224のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1よりも小さくなるように設定されている。この構成により、導電体224と第1のp型半導体層222との接合面においてもショットキー障壁が生じない。そのため、第1のp型半導体層222から導電体224へのホールの移動がショットキー障壁により妨げられることがないので、光励起により第2のp型半導体層223内部で生成した電子とホールとが再結合する確率がさらに低くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率がさらに向上する。
また、電解液140のpH値が0で、温度が25℃の場合、本実施の形態では、この電解液140と接触した状態の半導体電極220において、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1が−5.67eV以下であり、かつ、第2のp型半導体層223における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が−4.44eV以上である。半導体電極220がこのようなエネルギー準位を満たすことによって、第1のp型半導体層222と接触している導電体224のフェルミ準位EFcが、水の酸化還元電位である−5.67eV以下となる。したがって、導電体224と電気的に接続されている対極130の表面において効率良く水が酸化されるので、酸素を効率良く発生させることができる。
また、第2のp型半導体層223における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が、水素の酸化還元電位である−4.44eV以上となる。したがって、第2のp型半導体層223の表面において効率良く水素イオンが還元されるので、水素を効率良く発生させることができる。
以上のように、pH値が0で温度が25℃の電解液140と接触した状態の半導体電極220において、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1を−5.67eV以下とし、かつ、第2のp型半導体層223における伝導帯のバンドエッジ準位EC2を−4.44eV以上とすることによって、効率良く水を分解できる。
なお、本実施の形態では上記のようなエネルギー準位を満たす半導体電極220が示されているが、例えば第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF1が−5.67eVを超えていてもよく、第2のp型半導体層223における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が−4.44eV未満であってもよい。このような場合でも、水素及び酸素を発生させることが可能である。
ここで、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223のフェルミ準位及び価電子帯上端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、フラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度を用いて求めることができる。半導体のフラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度は、測定対象である半導体を電極として用いて測定されたMott−Schottkyプロットから求められる。
また、pH値0、温度25℃の電解液140と接触した状態における第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223のフェルミ準位は、測定対象である半導体を電極として用い、pH値0、温度25℃の電解液と半導体電極とが接触した状態において、Mott−Schottkyプロットを測定することにより求めることができる。
第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223の伝導帯下端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、バンドギャップと、上記の方法により求めた第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223の価電子帯上端のポテンシャル(バンドエッジ準位)とを用いて求めることができる。ここで、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223のバンドギャップは、測定対象である半導体の光吸収スペクトル測定において観察される光吸収端から求められる。
導電体224のフェルミ準位は、実施の形態1と同様の方法で測定できる。
次に、本実施の形態における第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223の材料について、それぞれ説明する。
第1のp型半導体層222は、p型窒化ガリウム(p−GaN)からなることが好ましい。p−GaNは、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態において、フェルミ準位−5.67eV以下を実現でき、水の分解反応について特に高い量子効率が得られる。さらに、p−GaNはシート抵抗が低いため、この上に配置された導電体224を介して電子が効率良く注入される。さらに、p−GaNによれば、第1のp型半導体層222の高い耐久性も実現できる。
第2のp型半導体層223は、ガリウムと、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素とをIII属元素として含む、p型のIII属窒化物半導体からなることが好ましい。すなわち、第2のp型半導体層223は、p型の、窒化ガリウム・インジウム混晶(n−GaInN)、窒化ガリウム・アルミニウム混晶(n−GaAlN)又は窒化ガリウム・インジウム・アルミニウム混晶(n−GaInAlN)であることが好ましい。これらp型のIII属窒化物半導体は、pH値が0で、温度が25℃の電解液に接触した状態において、伝導帯のバンドエッジ準位−4.44eV以上を実現でき、水の分解反応についての特に高い量子効率が得られる。
第1のp型半導体層222をp−GaNによって形成し、第2のp型半導体層223を上記p型のIII族窒化物半導体によって形成する場合、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223は、エピタキシャル成長によって得られた結晶膜であることが望ましい。
第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223に、上記以外の半導体材料を用いることも可能である。例えば、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223に、銅、銀、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、錫又はアンチモン等を構成元素として含む酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物、窒化物、酸窒化物及びリン化物等を用いることができる。
これらの中で、第1のp型半導体層222としては、銅の酸化物を用いることが好ましい。このようにすると、pH値0、温度25℃の電解液と接触した状態において、第1のp型半導体層222のフェルミ準位EF2を−5.67eV以下に設定できる。第1のp型半導体層222は、銅の酸化物の単体であっても、銅の酸化物を含む複合化合物であってもよい。また、以上の化合物に、銅以外の金属イオンが添加されたものであってもよい。
第2のp型半導体層223のキャリア濃度は、第1のp型半導体層222のキャリア濃度よりも低いことが好ましい。第2のp型半導体層223は、酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群から選択される1つであることが好ましい。このようにすると、半導体電極220が電解液140と接している状態において、半導体電極220の第2のp型半導体層223に光が照射されても、第2のp型半導体層223が電解液140中に溶解することがない。したがって、光電気化学セルを安定に動作させることができる。
第1のp型半導体層222として酸化銅を用いる場合、第2のp型半導体層223として、例えば、硫化銅インジウムを用いることができる。
第2のp型半導体層223は、当該第2のp型半導体層223の厚さ方向に沿って、その組成が傾斜していてもよい。なお、ここで、組成が傾斜しているとは、第2のp型半導体層223を構成している少なくとも1つの元素の濃度が、第2のp型半導体層223の厚さ方向に沿って増加又は減少している状態のことをいう。第2のp型半導体層223を組成傾斜させることにより、第2のp型半導体層223中の電子及びホールの移動がよりスムーズに行われて、電子とホールとの再結合がさらに生じにくくなるという効果が得られる。ただし、第2のp型半導体層223の組成を傾斜させる場合であっても、第1のp型半導体層との伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位の関係、さらにフェルミ準位の関係は、本発明の光電気化学セルにおいて規定した関係を満たすことが必要である。
導電体224には、例えば、Ti、Ni、Ta、Nb、Al及びAg等の金属、又は、ITO及びFTO等の導電性材料を用いることができる。これらの中から、第1のp型半導体層222との接合がオーミック接触となるものを適宜選択すればよい。
導電体224の表面うち、第1のp型半導体層222に被覆されない領域は、例えば樹脂等の絶縁体によって被覆されることが好ましい。このような構成によれば、導電体224が電解液140内に溶解するのを防ぐことができる。
第1のp型半導体層222から導電体224へのホールの移動に影響を及ぼさないように、基板221には、サファイア基板やガラス基板等の絶縁基板を用いるとよい。第1のp型半導体層222をp−GaNによって形成し、第2のp型半導体層223を上記p型のIII族窒化物半導体によって形成し、第1のp型半導体層222及び第2のp型半導体層223をエピタキシャル成長によって得られる結晶膜とする場合は、基板221にサファイア基板を用いる。
以下に、第1のp型半導体層、第2のp型半導体層及び導電体のエネルギー準位の関係が半導体電極220とは異なる、比較形態2−1〜2−7の光電気化学セルを示して、その作用効果の違いを説明する。なお、以下に示す比較形態2−1〜2−7では、第1のp型半導体層、第2のp型半導体層及び導電体のエネルギー準位の関係が本実施の形態の光電気化学セル200とは異なるが、それ以外の構成は光電気化学セル200と同じであるため、説明を省略する。
<比較形態2−1>
比較形態2−1に係る光電気化学セルについて、図21及び22を用いて説明する。図21は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図22は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のp型半導体層172と、第1のp型半導体層172上に配置された第2のp型半導体層173及び導電体174と、によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図21に示すように、第1のp型半導体層172のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層173のフェルミ準位EF2よりも大きいという点が、実施の形態2における半導体電極220とは異なる。
次に、導電体174、第1のp型半導体層172及び第2のp型半導体層173を互いに接合させると、図22に示すように、第1のp型半導体層172と第2のp型半導体層173との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のp型半導体層173の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のp型半導体層172の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さいが、第1のp型半導体層172のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層173のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層172と第2のp型半導体層173との接合面にショットキー障壁が生じる。
第1のp型半導体層172と導電体174との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層172の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体174のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層172のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、実施の形態2における半導体電極220と同様に、導電体174と第1のp型半導体層172との接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層172と第2のp型半導体層173との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第2のp型半導体層173から第1のp型半導体層172へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態に係る光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層173内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−2>
比較形態2−2に係る光電気化学セルについて、図23及び24を用いて説明する。図23は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図24は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、導電体274、第1のp型半導体層272及び第2のp型半導体層273によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図23に示すように、第1のp型半導体層272のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層273のフェルミ準位EF2よりも大きく、かつ、導電体274のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層272のフェルミ準位EF1よりも大きいという点で、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体274、第1のp型半導体層272及び第2のp型半導体層273を互いに接合させると、図24に示すように、第1のp型半導体層272と第2のp型半導体層273との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のp型半導体層273の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のp型半導体層272の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さいが、第1のp型半導体層272のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層273のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層272と第2のp型半導体層273との接合面にショットキー障壁が生じる。
第1のp型半導体層272と導電体274との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層272の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体274のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層272のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体274と第1のp型半導体層272との接合はショットキー接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層272と第2のp型半導体層273との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第2のp型半導体層273から第1のp型半導体層272へのホールの移動が妨げられてしまう。さらに、本比較形態の場合、導電体274と第1のp型半導体層272との接合面にもショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のp型半導体層272から導電体274へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層273内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−3>
比較形態2−3に係る光電気化学セルについて、図25及び26を用いて説明する。図25は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図26は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のp型半導体層372と、第1のp型半導体層372上に配置された第2のp型半導体層373及び導電体374と、によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図25に示すように、第2のp型半導体層373の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層372の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きいという点で、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体374、第1のp型半導体層372及び第2のp型半導体層373を互いに接合させると、図26に示すように、第1のp型半導体層372と第2のp型半導体層373との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のp型半導体層373の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層372の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、第1のp型半導体層372のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層373のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、価電子帯のバンドエッジは、第2のp型半導体層373側から第1のp型半導体層372との接合面に向かって大きくなるが、接合面から第1のp型半導体層372側に向かって小さくなってしまう。
第1のp型半導体層372と導電体374との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層372の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。導電体374のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層372のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、実施の形態2における半導体電極220と同様に、導電体374と第1のp型半導体層372との接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、価電子帯のバンドエッジが、第1のp型半導体層372と第2のp型半導体層373の接合面から第1のp型半導体層372側に向かって小さくなるので、第2のp型半導体層373から第1のp型半導体層372へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層373内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−4>
比較形態2−4に係る光電気化学セルについて、図27及び28を用いて説明する。図27は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図28は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のp型半導体層472と、第1のp型半導体層472上に配置された第2のp型半導体層473及び導電体474と、によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図27に示すように、第2のp型半導体層473の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層472の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、かつ、導電体474のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層472のフェルミ準位EF1よりも大きいという点で、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体474、第1のp型半導体層472及び第2のp型半導体層473を互いに接合させると、図28に示すように、第1のp型半導体層472と第2のp型半導体層473の接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。第2のp型半導体層473の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層472の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、第1のp型半導体層472のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層473のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、価電子帯のバンドエッジは、第2のp型半導体層473側から第1のp型半導体層472との接合面に向かって大きくなるが、接合面から第1のp型半導体層472側に向かって小さくなってしまう。
第1のp型半導体層472と導電体474との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層472の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体474のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層472のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体474と第1のp型半導体層472との接合はショットキー接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、価電子帯のバンドエッジが、第1のp型半導体層472と第2のp型半導体層473の接合面から第1のp型半導体層472側に向かって小さくなるので、第2のp型半導体層473から第1のp型半導体層472へのホールの移動が妨げられてしまう。さらに、本比較形態の場合、導電体474と第1のp型半導体層472との接合面にはショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のp型半導体層472から導電体474へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル400よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−5>
比較形態2−5に係る光電気化学セルについて、図29及び30を用いて説明する。図29は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図30は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、導電体574、第1のp型半導体層572及び第2のp型半導体層573によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図29に示すように、第2のp型半導体層573の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層572の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、かつ、第1のp型半導体層572のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層573のフェルミ準位EF2よりも大きいという点で、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体574、第1のp型半導体層572及び第2のp型半導体層573を互いに接合させると、図30に示すように、第1のp型半導体層572と第2のp型半導体層573との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のp型半導体層573の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層572の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、第1のp型半導体層572のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層573のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、実施の形態2における半導体電極220と同様に、価電子帯のバンドエッジにおいて、第1のp型半導体層572と第2のp型半導体層573との接合面にショットキー障壁が生じない。しかし、図30に示すように、第1のp型半導体層572の価電子帯のバンドエッジ準位EV1が、第2のp型半導体層573の価電子帯のバンドエッジ準位EV2よりも小さくなる。
第1のp型半導体層572と導電体574との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層572の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体574のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層572のフェルミ準位EF1よりも小さいことから、実施の形態2における半導体電極220と同様に、導電体574と第1のp型半導体層572の接合はオーミック接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層572の価電子帯のバンドエッジ準位EV1が、第2のp型半導体層573の価電子帯のバンドエッジ準位EV2よりも小さくなるので、第2のp型半導体層573から第1のp型半導体層572へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態に係る光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層573内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2に係る光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−6>
比較形態2−6に係る光電気化学セルについて、図31及び32を用いて説明する。図31は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図32は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、基板と、基板上に配置された第1のp型半導体層672と、第1のp型半導体層672上に配置された第2のp型半導体層673及び導電体674と、によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図31に示すように、第2のp型半導体層673の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層672の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、第1のp型半導体層672のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層673のフェルミ準位EF2よりも大きく、かつ、導電体674のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層672のフェルミ準位EF1よりも大きいという点で、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体674、第1のp型半導体層672及び第2のp型半導体層673を互いに接合させると、図32に示すように、第1のp型半導体層672と第2のp型半導体層673との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、第2のp型半導体層673の価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、第1のp型半導体層672の価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、第1のp型半導体層672のフェルミ準位EF1が、第2のp型半導体層673のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、実施の形態2における半導体電極220と同様に、価電子帯のバンドエッジにおいて、第1のp型半導体層672と第2のp型半導体層673との接合面にショットキー障壁が生じない。しかし、図32に示すように、第1のp型半導体層672の価電子帯のバンドエッジ準位EV1が、第2のp型半導体層673の価電子帯のバンドエッジ準位EV2よりも小さくなる。
また、第1のp型半導体層672と導電体674との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動する。これにより、第1のp型半導体層672の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。導電体674のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層672のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体674と第1のp型半導体層672との接合はショットキー接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、第1のp型半導体層672の価電子帯のバンドエッジ準位EV1が、第2のp型半導体層673の価電子帯のバンドエッジ準位EV2よりも小さくなるので、第2のp型半導体層673から第1のp型半導体層672へのホールの移動が妨げられてしまう。さらに、本比較形態の場合、導電体674と第1のp型半導体層672との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のp型半導体層672から導電体674へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態に係る光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層673内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2に係る光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
<比較形態2−7>
比較形態2−7に係る光電気化学セルについて、図33及び34を用いて説明する。図33は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合前のバンド構造を示す模式図である。図34は、本比較形態における導電体、第1のp型半導体層及び第2のp型半導体層の接合後のバンド構造を示す模式図である。
本比較形態の半導体電極は、導電体774、第1のp型半導体層772及び第2のp型半導体層773によって構成されている。本比較形態の半導体電極は、図33に示すように、導電体274のフェルミ準位EFcが第1のp型半導体層772のフェルミ準位EF1よりも大きい点が、実施の形態2における半導体電極220と異なる。
次に、導電体774、第1のp型半導体層772及び第2のp型半導体層773を互いに接合させると、図34に示すように、第1のp型半導体層772と第2のp型半導体層773との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。第2のp型半導体層773の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のp型半導体層772の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも小さく、かつ、第1のp型半導体層772のフェルミ準位EF1が第2のp型半導体層773のフェルミ準位EF2よりも小さいことから、第1のp型半導体層772と第2のp型半導体層773の接合面にショットキー障壁が生じない。
第1のp型半導体層772と導電体774との接合面では、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、第1のp型半導体層772の接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。導電体774のフェルミ準位EFcが、第1のp型半導体層772のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体774と第1のp型半導体層772の接合はショットキー接触となる。
本比較形態の半導体電極の場合、実施の形態2における半導体電極220と異なり、導電体774と第1のp型半導体層772との接合面にショットキー障壁が生じる。このショットキー障壁により、第1のp型半導体層772から導電体774へのホールの移動が妨げられてしまう。したがって、本比較形態の光電気化学セルにおいては、光励起により第2のp型半導体層773内で生成した電子とホールが再結合する確率が実施の形態2の光電気化学セル200よりも高くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率が低下してしまう。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3の光電気化学セルの構成について、図35を用いて説明する。図35は、本実施の形態の光電気化学セルの構成を示す概略図である。
本実施の形態の光電気化学セル300において、半導体電極320は、基板321と、基板321上に配置された第1のn型半導体層322と、第1のn型半導体層322上に配置された第2のn型半導体層323及び導電体324と、によって構成されている。一方、対極330は、導電体324上(導電体324における第1のn型半導体層322が配置されている面と反対側の面上)に配置されている。なお、基板321、第1のn型半導体層322、第2のn型半導体層323及び導電体324の構成は、それぞれ、実施の形態1における基板121、第1のn型半導体層122、第2のn型半導体層123及び導電体124と同じである。
本実施の形態のように、対極330を導電体324上に配置する構成によれば、半導体電極320と対極330とを電気的に接続するための導線が不要となる。これにより、導線に起因する抵抗損がなくなるので、光の照射による水素生成反応の量子効率をさらに向上させることができる。また、このような構成によれば、簡易な工程により半導体電極320と対極330とを電気的に接続できる。なお、本実施の形態では、実施の形態1で示した光電気化学セルに対して対極を導電体上に配置する上記構成を適用したが、このような構成は、実施の形態2に示した光電気化学セルにも適用可能である。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4の光電気化学セルの構成について、図36を用いて説明する。図36は、本実施の形態の光電気化学セルの構成を示す概略図である。
図36に示すように、本実施の形態の光電気化学セル400は、筐体(容器)410と、半導体電極420と、対極430と、セパレータ460とを備えている。筐体410の内部は、セパレータ460によって第1室470及び第2室480の2室に分離されている。第1室470及び第2室480には、水を含む電解液440がそれぞれ収容されている。
第1室470内には、電解液440と接触する位置に半導体電極420が配置されている。半導体電極420は、基板421と、基板421上に配置された第1のn型半導体層422と、第1のn型半導体層422上に配置された第2のn型半導体層423及び導電体424とを備えている。また、第1室470は、第1室470内で発生した酸素を排気するための第1の排気口471と、第1室470内に水を供給するための給水口472とを備えている。筐体410のうち、第1室470内に配置された半導体電極420の第2のn型半導体層423と対向する部分(以下、光入射部410aと略称する)は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
一方、第2室480内には、電解液440と接触する位置に対極430が配置されている。また、第2室480は、第2室480内で発生した水素を排気するための第2の排気口481を備えている。
半導体電極420における導電体424と対極430とは、導線450により電気的に接続されている。
本実施の形態における半導体電極420の基板421、第1のn型半導体層422、第2のn型半導体層423及び導電体424は、実施の形態1における半導体電極120の基板121、第1のn型半導体層122、第2のn型半導体層123及び導電体124と、それぞれ同じ構成を有する。したがって、半導体電極420は、実施の形態1の半導体電極120と同様の作用効果を奏する。また、対極430及び電解液440は、それぞれ、実施の形態1における対極130及び電解液140と同じである。
セパレータ460は、電解液440を透過させ、第1室470及び第2室480内で発生した各ガスを遮断する機能を有する材料で形成されている。セパレータ460の材料としては、例えば高分子固体電解質等の固体電解質が挙げられる。高分子固体電解質としては、例えばナフィオン(登録商標)等のイオン交換膜が挙げられる。このようなセパレータを用いて容器の内部空間を2つの領域に分けて、一方の領域で電解液と半導体電極の表面(第2のn型半導体層の表面)とを接触させ、他方の領域で電解液と対極の表面とを接触させるような構成とすることにより、容器の内部で発生した酸素と水素とを容易に分離できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態1における半導体電極120と同じ構成を有する半導体電極420を用いた光電気化学セル400を説明したが、半導体電極420の代わりに、実施の形態2における半導体電極220を用いることも可能である。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5のエネルギーシステムの構成について、図37を参照しながら説明する。図37は、本実施の形態のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
図37に示すように、本実施の形態のエネルギーシステム500は、光電気化学セル400と、水素貯蔵器510と、燃料電池520と、蓄電池530とを備えている。
光電気化学セル400は、実施の形態4で説明した光電気化学セルであり、その具体的構成は図36に示すとおりである。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。
水素貯蔵器510は、第1の配管541によって、光電気化学セル400の第2室480(図36参照)と接続されている。水素貯蔵器510としては、例えば、光電気化学セル400において生成された水素を圧縮するコンプレッサーと、コンプレッサーにより圧縮された水素を貯蔵する高圧水素ボンベと、から構成できる。
燃料電池520は、発電部521と、発電部521を制御するための燃料電池制御部522とを備えている。燃料電池520は、第2の配管542によって、水素貯蔵器510と接続されている。第2の配管542には、遮断弁543が設けられている。燃料電池520としては、例えば、高分子固体電解質型燃料電池を用いることができる。
蓄電池530の正極及び負極は、燃料電池520における発電部521の正極及び負極と、第1の配線544及び第2の配線545によって、それぞれ電気的に接続されている。蓄電池530には、蓄電池530の残存容量を計測するための容量計測部546が設けられている。蓄電池530としては、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
次に、本実施の形態のエネルギーシステム500の動作について、図36及び図37を参照しながら説明する。
光電気化学セル400の光入射部410aを通して、第1室470内に配置された半導体電極420の第2のn型半導体層423の表面に太陽光が照射されると、第2のn型半導体層423内に電子とホールとが生じる。このとき生じたホールは、第2のn型半導体層423の表面側に移動する。これにより、第2のn型半導体層423の表面において、上記反応式(1)により水が分解されて、酸素が発生する。
一方、電子は、第2のn型半導体層423と第1のn型半導体層422との界面、並びに第1のn型半導体層422と導電体424との界面における伝導帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体424まで移動する。導電体424に移動した電子は、導線450を介して導電体424と電気的に接続された対極430側に移動する。これにより、対極430の表面において、上記反応式(2)により水素が発生する。
このとき、実施の形態1における半導体電極120と同様に、第2のn型半導体層423と第1のn型半導体層422との接合面でショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなく第2のn型半導体層423から第1のn型半導体層422まで移動できる。さらに、第1のn型半導体層422と導電体424との接合面にもショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなく導電体424まで移動できる。したがって、光励起により第1のn型半導体層423内で生成した電子とホールが再結合する確率が低くなり、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができる。
第1室470内で発生した酸素は、第1の排気口471から光電気化学セル400外に排気される。一方、第2室480内で発生した水素は、第2の排気口481及び第1の配管541を介して水素貯蔵器510内に供給される。
燃料電池520において発電するときには、燃料電池制御部522からの信号により遮断弁543が開かれ、水素貯蔵器510内に貯蔵された水素が、第2の配管542によって燃料電池520の発電部521に供給される。
燃料電池520の発電部521において発電された電気は、第1の配線544及び第2の配線545を介して蓄電池530内に蓄えられる。蓄電池530内に蓄えられた電気は、第3の配線547及び第4の配線548によって、家庭、企業等に供給される。
本実施の形態における光電気化学セル400によれば、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができる。したがって、このような光電気化学セル400を備えている本実施の形態のエネルギーシステム500によれば、効率良く電力を供給できる。
なお、本実施の形態では、実施の形態4で説明した光電気化学セル400を用いたエネルギーシステムの例を示したが、実施の形態1〜3で説明した光電気化学セル100,200,300を用いても同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1として、図1に示した光電気化学セル100と同様の構成を有する光電気化学セルを作製した。以下、実施例1の光電気化学セルについて、図1を参照しながら説明する。
実施例1の光電気化学セル100は、上部に開口部を有する角型のガラス容器(容器110)、半導体電極120及び対極130を備えていた。ガラス容器110内には、電解液140として、1mol/LのNaOH水溶液が収容されていた。
半導体電極120は、以下の手順により作製した。
まず、2インチ角のサファイア基板を準備した。このサファイア基板上に、トリメチルガリウムを反応ガスとして、MOCVD(metalorganic chemical vapor deposition)法によって真性GaN(i−GaN)結晶膜を厚さ30nmで形成した。このi−GaN結晶膜付きのサファイア基板を基板121として用い、その上に、トリメチルガリウムとドープのシランガスとを反応ガスとして、MOCVD法によってn−GaN結晶膜(第1のn型半導体層122)を厚さ2000nmで形成した。さらにその上に、トリエチルガリウムと、トリメチルインジウムと、ドープのシランガスとを反応ガスとして、MOCVD法によってn−GaInN結晶膜(第2のn型半導体層123)を厚さ100nmで形成した。
サファイア基板上にi−GaN結晶膜、n−GaN結晶膜及びn−GaInN結晶膜が設けられた積層体を2cm×1cm角に切断し、このうち0.9cm×1cmの部分のn−GaInN結晶膜(厚さ100nm)をエッチングで除去した。n−GaInN結晶膜を除去した部分に、Al膜(厚さ100nm)を蒸着して、導電体124とした。なお、第2のn型半導体層123としてのn−GaInN結晶膜と導電体124としてのAl膜とが接触しないように、0.1cmの隙間を設けた。このようにして、実施例1の半導体電極120を作製した。
上記のように作製された半導体電極120を、第2のn型半導体層123の表面がガラス容器110の光入射部110aと対向するように、ガラス容器110内に配置した。
対極130としては、白金板を用いた。半導体電極120の導電体124と対極130とを、導線150により電気的に接続した。
このように作製された実施例1の光電気化学セル100について、疑似太陽光照射実験を行った。疑似太陽光照射実験では、擬似太陽光としてセリック社製ソーラーシミュレータを用い、光電気化学セル100の半導体電極120における第2のn型半導体層123表面に対して、光入射部110aを介して強度1kW/m2の光を照射した。対極130の表面において発生したガスを30分間捕集し、ガスクロマトグラフィにより、捕集したガスの成分分析及び生成量の測定を行った。さらに、電流計により半導体電極120−対極130間に流れる光電流を測定した。対極130におけるガスの生成量を用いて、みかけの量子効率を求めた。
実施例1の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は1.9×10-7L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は1.5mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。みかけの量子効率を以下の計算式を用いて算出したところ、約63%であった。
みかけの量子効率={(観測された光電流密度[mA/cm2])/(第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップで吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度[mA/cm2])}×100
なお、実施例1では、観測された光電流密度は1.5mA/cm2であり、第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップ(Ga0.9In0.1Nのバンドギャップ(2.9eV))で吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は2.4mA/cm2であった。
(実施例2)
実施例2として、図1に示した光電気化学セル100と同様の構成を有する光電気化学セルを作製した。実施例2では、半導体電極120の材料のみが実施例1と異なる光電気化学セルを作製した。実施例2の半導体電極120は、以下のように作製された。
まず、基板121として、2cm×1cm角のガラス基板を準備した。このガラス基板上に、第1のn型半導体層122として、スパッタ法により膜厚500nmの酸化チタン膜(アナタース多結晶体)を形成した。第1のn型半導体層122上に、第2のn型半導体層123として、酢酸カドミウム及びチオ尿素を用いた化学析出法により、膜厚1μmの硫化カドミウム膜を形成した。このうち0.9cm×1cmの部分の硫化カドミウム膜(厚さ1μm)をエッチングで除去した。硫化カドミウム膜を除去した部分に、Ti膜(厚さ150nm)を蒸着して、導電体124とした。なお、第2のn型半導体層123としての硫化カドミウム膜と導電体124としてのTi膜とが接触しないように、0.1cmの隙間を設けた。このようにして、実施例2の半導体電極120を作製した。
このように作製された実施例2の光電気化学セル100について、ガラス容器110内に、電解液140として、0.01mol/LのNa2Sを含む0.01mol/LのNa2SO3水溶液が収容されていること以外、実施例1と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。実施例2の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は2.9×10-7L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は2.3mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本実施例では、観測された光電流密度は2.3mA/cm2であり、第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップ(CdSのバンドギャップ(2.5eV))で吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は6.5mA/cm2であった。これにより、実施例2のみかけの量子効率は約35%と算出された。
なお、実施例2の光電気化学セルにおいては、電解液として、Na2Sを含むNa2SO3水溶液を用いていることから、光を照射したときに、半導体電極においては、上記反応式(1)による酸素発生反応ではなく、下記反応式(3)に示す反応が進行していると考えられる。なお、対極においては、前述の反応式(2)に示した反応が進行していると考えられる。
2h++S2-→S (3)
(実施例3)
実施例3として、図1に示した光電気化学セル100と同様の構成を有する光電気化学セルを作製した。実施例3では、半導体電極120の材料のみが実施例1と異なる光電気化学セルを作製した。実施例3の半導体電極120は、以下のように作製された。
まず、基板121として、2cm×1cm角のガラス基板を準備した。このガラス基板上に、第1のn型半導体層122として、InGaZn25をターゲットとし、チャンバーの酸素分圧を0.1Pa、基板温度を室温として、スパッタ法により膜厚150nmのInGaZn25膜を、第1のn型半導体層122として形成した。第1のn型半導体層122上の0.9cm×1cmの部分をマスクした後、第1のn型半導体層122のマスクされていない部分上に、第2のn型半導体層123として、InGaZn25ターゲットとし、チャンバーの窒素圧を0.1Pa、基板温度を室温として、反応性スパッタ法により膜厚500nmの、酸素の一部が窒素に置換されたInGaZn25膜を形成した。さらにマスクを取り除き、第1のn型半導体層122上のマスクされていた部分に、Ag膜(厚さ150nm)を蒸着して、導電体124とした。なお、第2のn型半導体層123と導電体124とが接触しないように、0.1cmの隙間を設けた。このようにして、実施例3の半導体電極120を作製した。
このように作製された実施例3の光電気化学セル100について、ガラス容器110内に、電解液140として、0.01mol/LのNa2CO3水溶液が収容されていること以外、実施例1と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。実施例3の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は2.5×10-7L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は2.0mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本実施例では、観測された光電流密度は2.0mA/cm2であった。また、第2のn型半導体層123に用いた、酸素の一部が窒素に置換されたInGaZn25膜のバンドギャップは、UV−Vis吸収スペクトルからおよそ1.8eVで、そのバンドギャップより吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は19.7mA/cm2であった。これにより、実施例3のみかけの量子効率は約10%と算出された。
(実施例4)
実施例4として、図35に示した光電気化学セル300と同様の構成を有する光電気化学セルを作製した。以下、実施例4の光電気化学セルについて、図35を参照しながら説明する。
実施例4の光電気化学セル300は、上部に開口部を有する角型のガラス容器(容器110)、半導体電極320及び対極330を備えていた。ガラス容器110内には、電解液140として、1mol/LのNaOH水溶液が収容されていた。
半導体電極320は、以下の手順により作製した。
まず、2インチ角のサファイア基板を準備した。このサファイア基板上に、トリメチルガリウムを反応ガスとして、MOCVD法によって真性GaN(i−GaN)結晶膜を厚さ30nmで形成した。このi−GaN結晶膜付きのサファイア基板を基板321として用い、その上に、トリメチルガリウムとドープのシランガスとを反応ガスとして、MOCVD法によってn−GaN結晶膜(第1のn型半導体層322)を厚さ2000nmで形成した。さらにその上に、トリエチルガリウムと、トリメチルインジウムと、ドープのシランガスとを反応ガスとして、MOCVD法によってn−GaInN結晶膜(第2のn型半導体層323)を厚さ100nmで形成した。
サファイア基板上にi−GaN結晶膜、n−GaN結晶膜及びn−GaInN結晶膜が設けられた積層体を2cm×1cm角に切断し、このうち0.9cm×1cmの部分のn−GaInN結晶膜(厚さ100nm)をエッチングで除去した。n−GaInN結晶膜を除去した部分に、Al膜(厚さ100nm)を蒸着して、導電体324とした。なお、第2のn型半導体層323としてのn−GaInN結晶膜と導電体324としてのAl膜とが接触しないように、0.1cmの隙間を設けた。このようにして、実施例4の半導体電極320を作製した。
半導体電極320の導電体324上に、対極330として、スパッタ法により厚さ10nmのPt膜を形成した。
上記のように作製された半導体電極320及び対極330を、第2のn型半導体層323の表面がガラス容器110の光入射部110aと対向するように、ガラス容器110内に配置した。
このように作製された実施例4の光電気化学セル300について、実施例1と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。実施例4の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は2.1×10-7L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は1.7mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本実施例では、観測された光電流密度は1.7mA/cm2であり、第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップ(Ga0.9In0.1Nのバンドギャップ(2.9eV))で吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は2.4mA/cm2であった。これにより、実施例4のみかけの量子効率は約71%と算出された。
(比較例1)
比較例1として、第1のn型半導体層のみが実施例1と異なる光電気化学セルを作製した。比較例1の第1のn型半導体層は、ドープのシランガスの量を実施例1の場合よりも減らして形成された。
このように作製された比較例1の光電気化学セルについて、実施例1と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。比較例1の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は6.7×10-8L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は0.52mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本比較例では、観測された光電流密度は0.52mA/cm2であり、第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップ(Ga0.9In0.1Nのバンドギャップ(2.9eV))で吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は2.4mA/cm2であった。これにより、比較例1のみかけの量子効率は約22%と算出された。
(比較例2)
比較例2として、第1のn型半導体層が設けられていない半導体電極を用いた光電気化学セルを作製した。実施例1と同様の方法で準備した基板(i−GaN結晶膜付きサファイア基板)上に、第2のn型半導体層であるn−GaInN結晶膜(厚さ100nm)を、実施例1と同様の方法で形成した。得られた積層体を2cm×1cmに切断し、このうち0.9cm×1cmの領域の前記n−GaInN結晶膜上に、導電体としてAl膜(厚さ100nm)を蒸着して、比較例2の半導体電極とした。半導体電極以外の構成は、実施例1と同様とした。
このように作製された比較例2の光電気化学セルについて、実施例1と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。比較例2の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は7.8×10-8L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は0.6mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本比較例では、観測された光電流密度は0.6mA/cm2であり、第2のn型半導体層に用いた半導体材料のバンドギャップ(Ga0.9In0.1Nのバンドギャップ(2.9eV))で吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は2.4mA/cm2であった。これにより、比較例2のみかけの量子効率は約25%と算出された。
(比較例3)
比較例3として、第1のn型半導体層が設けられていない半導体電極を用いた光電気化学セルを作製した。実施例3で用いたガラス基板と同じガラス基板を準備し、その上に、実施例3において第2のn型半導体層として用いた、酸素の一部が窒素に置換されたInGaZn25膜(厚さ500nm)を、実施例3と同様の方法で形成した。得られた積層体を2cm×1cmに切断し、このうち0.9cm×1cmの領域の前記InGaZn25膜上に、導電体としてAg膜(厚さ100nm)を蒸着して、比較例3の半導体電極とした。半導体電極以外の構成は、実施例3と同様とした。
このように作製された比較例3の光電気化学セルについて、実施例3と同様の方法で疑似太陽光照射実験を行った。比較例3の光電気化学セルにおいて捕集したガスを分析した結果、対極上において水素が発生していることを確認した。水素の生成速度は1.0×10-7L/sであった。また、半導体電極−対極間に流れる光電流は0.8mA/cm2であったことから、量論的に水が電気分解されたことを確認した。また、実施例1で示した上記計算式を用いて、みかけの量子効率を求めた。なお、本比較例では、観測された光電流密度は0.8mA/cm2であり、第2のn型半導体層として用いられた、酸素の一部が窒素に置換されたInGaZn25膜のバンドギャップはUV−Vis吸収スペクトルからおよそ1.8eVで、そのバンドギャップにより吸収され得る太陽光で発生し得る光電流密度は19.7mA/cm2であった。これにより、比較例3のみかけの量子効率は約4%と算出された。
実施例1〜4及び比較例1〜3の各光電気化学セルにおける半導体電極を構成する、導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の材料、フェルミ準位EF(単位:eV)、伝導帯のバンドエッジ準位EC(単位:eV)及び価電子帯のバンドエッジ準位EV(単位:eV)を、表1に示す。なお、フェルミ準位、伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位は、pHが0、温度25℃の電解質と接触した状態において、真空準位を基準とする値である。フェルミ準位は、フラットバンドポテンシャルの測定から求めた。伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位は、文献から引用した。また、実施例1〜4及び比較例1〜3の光電気化学セルの量子効率も、表1に併せて示す。
Figure 0005274663
表1からわかるように、実施例1〜4に係る各光電気化学セルにおける半導体電極は、第2のn型半導体の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きく、フェルミ準位の大小関係が、第2のn型半導体層<第1のn型半導体層<導電体、の関係を満たしている。さらに、実施例1〜4の各半導体電極では、pH値0、温度25℃の電解液と接触した状態において、第1のn型半導体層のフェルミ準位が−4.44eV以上であり、かつ、第2のn型半導体層の価電子帯のバンドエッジ準位が−5.67eV以下であった。
以上のように、実施例1〜4における導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層は、実施の形態1における導電体124、第1のn型半導体層122及び第2のn型半導体層123と同様のバンド構造(図2及び図3参照)を有していた。
比較例1に係る光電気化学セルにおける半導体電極は、第2のn型半導体層の伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層の伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きいものの、フェルミ準位の大小関係が、第2のn型半導体層>第1のn型半導体層<導電体、となっていた。また、半導体電極がpH値0、温度25℃の電解液と接触した状態において、第2のn型半導体層の価電子帯のバンドエッジ準位は−5.67eV以下であったものの、第1のn型半導体層のフェルミ準位は−4.44eV未満であった。
以上のように、比較例1の導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層は、実施の形態1の比較形態1−1における導電体164、第1のn型半導体層162及び第2のn型半導体層163と同様のバンド構造(図4及び図5参照)を有していた。
第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の材料系は同じであるが、エネルギー準位の関係(ここではフェルミ準位の大小関係)が異なる実施例1及び比較例1の量子効率を比較すると、本発明におけるバンド構造を満たす実施例1の光電気化学セルは、比較例1よりも高い量子効率が得られた。さらに、第2のn型半導体層の材料は同じであるが、第1のn型半導体層の有無の点で構成が異なる実施例1と比較例2とを比較すると、第1のn型半導体層が設けられている実施例1の量子効率は、第1のn型半導体層が設けられていない比較例2の量子効率よりも、約2倍高かった。
本発明の光電気化学セルの構造を満たす実施例2の場合も、実施例1と同様に良好な量子効率が得られた。しかしながら、第1のn型半導体層にn−GaNを用い、第2のn型半導体層にn型のIII属窒化物半導体を用いた実施例1の方が、より高い量子効率を得ることができた。
第2のn型半導体層の材料は同じであるが、第1のn型半導体層の有無の点で構成が異なる実施例3と比較例3とを比較すると、第1のn型半導体層が設けられている実施例3の量子効率は、第1のn型半導体層が設けられていない比較例3の量子効率よりも、2倍以上高かった。
また、半導体電極の構成は同じであるが、対極の位置関係が互いに異なる実施例1と実施例4の結果を比較したところ、実施例1のみかけの量子効率が63%であるのに対し、実施例4のみかけの量子効率は71%であった。この結果から、実施例4の光電気化学セルでは、導線に起因する抵抗損がなくなるので、実施例1の光電気化学セルに比べて、みかけの量子効率がさらに向上することを確認できた。
なお、実施例1〜4では半導体電極にn型半導体層を用いた例を示したが、n型半導体層に代えてp型半導体層を用いても、同様の結果を得ることができる。例えば、実施例1において、第1のn型半導体層に代えて、第1のp型半導体層としてMOCVD法によりp−GaN膜を形成し、さらに第1のp型半導体層上に第2のp型半導体層としてMOCVD法によりp−GaInN膜を形成して、半導体電極を作製してもよい。この場合も実施例1の場合と同様に、みかけの量子効率が向上すると推測される。
本発明の光電気化学セル及びエネルギーシステムによると、光の照射による水素生成反応の量子効率を向上させることができるので、家庭用の発電システム等として有用である。

Claims (14)

  1. 基板と、前記基板上に配置された第1のn型半導体層と、前記第1のn型半導体層上に、互いに離間して配置された第2のn型半導体層及び導電体と、を含む半導体電極と、
    前記導電体と電気的に接続された対極と、
    前記第2のn型半導体層及び前記対極の表面と接触する電解液と、
    前記半導体電極、前記対極及び前記電解液を収容する容器と、
    を備え、
    前記半導体電極において、真空準位を基準として、
    (I)前記第2のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記第1のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位よりも大きく、
    (II)前記第1のn型半導体層のフェルミ準位が、前記第2のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、かつ、
    (III)前記導電体のフェルミ準位が、前記第1のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、
    前記第2のn型半導体層に光が照射されることによって水素を発生する、
    光電気化学セル。
  2. 前記電解液のpH値が0で、温度が25℃の場合、真空準位を基準として、
    前記第1のn型半導体層のフェルミ準位が−4.44eV以上であり、かつ、前記第2のn型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位が−5.67eV以下である、請求項1に記載の光電気化学セル。
  3. 前記第1のn型半導体層が、n型窒化ガリウムからなる、請求項1に記載の光電気化学セル。
  4. 前記第2のn型半導体層が、ガリウムと、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素とをIII属元素として含む、n型のIII属窒化物半導体からなる、請求項1に記載の光電気化学セル。
  5. 前記基板がサファイア基板であり、
    前記第1のn型半導体層及び前記第2のn型半導体層が、エピタキシャル成長によって得られた結晶膜である、請求項1に記載の光電気化学セル。
  6. 前記第1のn型半導体層が、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含むn型の酸化物半導体からなる、請求項1に記載の光電気化学セル。
  7. 前記第2のn型半導体層が、ガリウム、インジウム及び亜鉛を含む酸化物の酸素の一部が窒素に置換された組成を有するn型半導体からなる、請求項1に記載の光電気化学セル。
  8. 基板と、前記基板上に配置された第1のp型半導体層と、前記第1のp型半導体層上に、互いに離間して配置された第2のp型半導体層及び導電体と、を含む半導体電極と、
    前記導電体と電気的に接続された対極と、
    前記第2のp型半導体層及び前記対極の表面と接触する電解液と、
    前記半導体電極、前記対極及び前記電解液を収容する容器と、
    を備え、
    前記半導体電極において、真空準位を基準として、
    (I)前記第2のp型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記第1のp型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位よりも小さく、
    (II)前記第1のp型半導体層のフェルミ準位が、前記第2のp型半導体層のフェルミ準位よりも小さく、かつ、
    (III)前記導電体のフェルミ準位が、前記第1のp型半導体層のフェルミ準位よりも小さく、
    前記第2のp型半導体層に光が照射されることによって水素を発生する、
    光電気化学セル。
  9. 前記電解液のpH値が0で、温度が25℃の場合、真空準位を基準として、
    前記第1のp型半導体層のフェルミ準位が−5.67eV以下であり、かつ、前記第2のp型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位が−4.44eV以上である、請求項8に記載の光電気化学セル。
  10. 前記第1のp型半導体層が、p型窒化ガリウムからなる、請求項8に記載の光電気化学セル。
  11. 前記第2のp型半導体層が、ガリウムと、インジウム及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の元素とをIII属元素として含む、p型のIII属窒化物半導体からなる、請求項8に記載の光電気化学セル。
  12. 前記基板がサファイア基板であり、
    前記第1のp型半導体層及び前記第2のp型半導体層が、エピタキシャル成長によって得られた結晶膜である、請求項8に記載の光電気化学セル。
  13. 前記対極が、前記導電体上に配置されている、請求項1又は8に記載の光電気化学セル。
  14. 請求項1又は8に記載の光電気化学セルと、
    前記光電気化学セルと第1の配管によって接続されており、前記光電気化学セル内で生成した水素を貯蔵する水素貯蔵器と、
    前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、
    備えたエネルギーシステム。
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