JP2012114016A - 光電気化学電池及びそれを用いたエネルギーシステム - Google Patents

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憲一 徳弘
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Abstract

【課題】より高い量子効率で電力を発生させることができる光電気化学電池を提供する。
【解決手段】光電気化学電池1は、導電体21及びn型半導体層22を含む半導体電極20と、対極30と、電解質を含む電解液40と、容器10とを備える。n型半導体層22の表面近傍領域の伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位は、それぞれn型半導体層22の導電体21との接合面近傍領域の伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位以上である。n型半導体層22の接合面近傍領域のフェルミ準位は、n型半導体層22の表面近傍領域のフェルミ準位よりも大きい。導電体21のフェルミ準位は、n型半導体層22の接合面近傍領域のフェルミ準位よりも大きい。電解質の酸化還元電位は、n型半導体層22の表面近傍領域の価電子帯のバンドエッジ準位以上且つn型半導体層22の表面近傍領域のフェルミ準位以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、光の照射により電力を発生する光電気化学電池及びそれを用いたエネルギーシステムに関する。
従来、半導体電極に光を照射することにより、起電力を発生させることができる光電気化学電池が知られている。このような光電気化学電池は、例えば、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質を半導体電極と対極との間に挟持させることにより構成される(特許文献1及び特許文献2参照)。
特許文献1には、イオン伝導性を有する高分子固体電解質を半導体電極と対極との間に挟持する湿式太陽電池が開示されている。また、特許文献1の実施例には、チタン電極上にCdSO4、SeO2及びTeO2の硫酸水溶液から電析させることにより、Cd(Se,Te)光電極を製造することが記載されている。
また、特許文献2には、バンドギャップの異なる半導体薄膜層を積層させて形成した多層構造の半導体電極が開示されている。具体的には、特許文献2の半導体電極は、導電性透明基板上に紫外光領域に吸収特性を有する半導体薄膜層(例えば酸化インジウム層)を設け、さらにその上に可視光領域に吸収特性を有する半導体薄膜層(例えば硫化インジウム層)を設けて形成されている。
また、特許文献3には、基板上に作製した光触媒薄膜に、Nb、V及びCr等の金属イオンのうち少なくとも一種のイオンを注入し、バンドギャップもしくはバンドエッジの勾配を厚さ方向に変化させて傾斜膜化した、光触媒薄膜が開示されている。
特開平8−88030号公報 特開2002−141116号公報 特開2002−143688号公報
しかしながら、特許文献1に記載の半導体電極を用いた湿式太陽電池では、光電変換効率を更に向上させることは難しかった。これは、半導体層内で光励起により生じたホールと電子が、電力として取り出される前に、再結合することにより消滅するためである。
また、特許文献2には、バンドギャップの異なる2つの半導体薄膜を積層させて形成した半導体電極が開示されているが、2つの薄膜の接合面におけるエネルギー状態については何も記載されていない。バンドギャップの異なる2つの半導体薄膜間の接合がショットキー接合となる場合には、接合面において伝導帯及び価電子帯にショットキー障壁が発生する。このとき、光励起により生成した電子及びホールのうち、電子は伝導帯の接合面におけるショットキー障壁により堰き止められ、価電子帯の接合面におけるショットキー障壁がホール溜まりとして機能するので、ホールは価電子帯の接合面付近に溜まってしまう。そのため、紫外光領域に吸収特性を有する半導体薄膜層と可視光領域に吸収特性を有する半導体薄膜層とをそれぞれ単独で用いる場合よりも、電子及びホールが再結合し易くなるおそれがある。
また、特許文献3には、金属イオンドープにより傾斜膜化した光触媒薄膜が開示されている。このような光触媒薄膜を半導体電極として用いることも考えられるが、上記の傾斜膜化は、利用可能な光の波長域を可視光領域にまで広げる目的で実施されており、光触媒の傾斜膜内におけるエネルギー状態については何も記載されていない。したがって、電荷分離等の最適化がなされているわけではない。
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離することができ、より高い量子効率で電力を発生させることができる半導体電極を含む光電気化学電池及びこのような光電気化学電池を利用したエネルギーシステムを提供することを目的とする。
本発明は、
導電体及び前記導電体上に配置されたn型半導体層を含む半導体電極と、
前記導電体と電気的に接続された対極と、
前記n型半導体層及び前記対極の表面に接して設けられた、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質と、
前記半導体電極、前記対極及び前記電解質を収容する容器と、
を備え、
真空準位を基準として、
(I)前記n型半導体層の表面近傍領域における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記n型半導体層の前記導電体との接合面近傍領域における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位以上の大きさを有し、
(II)前記n型半導体層の前記接合面近傍領域のフェルミ準位が、前記n型半導体層の前記表面近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、
(III)前記導電体のフェルミ準位が、前記n型半導体層の前記接合面近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
(IV)前記電解質の酸化還元電位が、前記n型半導体層の前記表面近傍領域における価電子帯のバンドエッジ準位以上且つ前記n型半導体層の前記表面近傍領域のフェルミ準位以下であり、
前記半導体電極の前記n型半導体層に光が照射されることによって電力を発生させる、光電気化学電池を提供する。
また、本発明は、
上記本発明の光電気化学電池と、
前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を貯蔵する蓄電池と、
前記蓄電池と電気的に接続され、前記蓄電池に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステムと、
を備えた、第1のエネルギーシステムを提供する。
さらに、本発明は、
上記本発明の光電気化学電池と、
前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を用いて水を電気分解して水素を発生させる水素生成器と、
前記水素生成器と第1の配管によって接続されており、前記水素生成器で生成された水素を貯蔵する水素貯蔵器と、
前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、
を備えた、第2のエネルギーシステムも提供する。
本発明の光電気化学電池は、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離できるので、従来よりも高い量子効率で電力を発生させることができる。また、本発明の第1及び第2のエネルギーシステムは、本発明の光電気化学電池を備えているので、太陽光を高効率で利用して得られた電力及び熱を、ユーザーの必要に応じて提供できる。
本発明の実施の形態1の光電気化学電池の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態1の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体及びn型半導体層の接合前のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体及びn型半導体層の接合後のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。 本発明の実施の形態2の光電気化学電池の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態2の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。 本発明の実施の形態2の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。 本発明の実施の形態3のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態4のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一部材に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の光電気化学電池の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態の光電気化学電池の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体及びn型半導体層の接合前のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。図3は、本実施の形態の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体及びn型半導体層の接合後のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。図2及び図3において、縦軸は、真空準位を基準とするエネルギー準位(単位:eV)を示す。
図1に示すように、本実施の形態の光電気化学電池1は、半導体電極20と、半導体電極20と対をなす電極である対極30と、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質を含む電解液40と、半導体電極20、対極30及び電解液40を収容する、開口部を有する容器10とを備えている。
半導体電極20は、導電体21と、導電体21上に配置されたn型半導体層22とを備えている。n型半導体層22は、2以上の元素で構成されており、n型半導体層22における少なくとも1の元素の濃度が、n型半導体層22の厚さ方向に沿って増加又は減少している。以下、n型半導体層22のこのような状態を、組成が傾斜しているということがある。容器10内において、n型半導体層22及び対極30は、その表面が電解液40と接触するように配置されている。容器10のうち、容器10内に配置された半導体電極20のn型半導体層22と対向する部分(以下、光入射部11と略称する)は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
半導体電極20における導電体21と、対極30とは、導線50により電気的に接続されている。なお、ここでの対極とは、半導体電極から電解液を介さずに電子を受け取る電極のことを意味する。したがって、本実施の形態における対極30は、半導体電極20を構成している導電体21と電気的に接続されていればよく、半導体電極20との位置関係等は特に限定されない。また、導線50には、導電体21と対極30との間において後述のように発生する電力を消費又は貯蔵する負荷60が設けられている。
次に、半導体電極20における導電体21及びn型半導体層22のエネルギー準位について説明する。なお、本実施の形態におけるn型半導体層22は、組成が傾斜している1つの膜によって構成されているが、説明の便宜上、組成が段階的に異なる複数(N個(Nは3以上の自然数))のn型半導体薄膜が互いに接合されてn型半導体層22を構成していると想定して、図2及び図3を参照しながらエネルギー準位について説明する。図2は、導電体21とn型半導体層22とが接合されていない状態(説明の便宜上想定したN個のn型半導体薄膜も互いに接合されていない状態)を示している。図3は、導電体21とn型半導体層22とが接合されている状態を示している。なお、図2及び図3中、n型半導体層22において、導電体21との接合面の近傍領域(以下、n型半導体層22の接合面近傍領域と記載することがある)を1番目のn型半導体薄膜として22−1と示し、表面近傍領域をN番目のn型半導体薄膜として22−Nと示し、中間領域を接合面近傍領域22−1からK番目(Kは、2≦K≦N−1を満たす任意の自然数)のn型半導体薄膜として22−Kと示す。
図2に示すように、真空準位を基準として、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECN及び価電子帯のバンドエッジ準位EVNが、それぞれ、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きい(ECN>EC1且つEVN>EV1)。また、n型半導体層22は組成が傾斜しているので、表面近傍領域22−Nと接合面近傍領域22−1の中間領域22−Kにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECK及び価電子帯のバンドエッジ準位EVKは、表面近傍領域22−Nと接合面近傍領域22−1の各バンドエッジ準位の中間に位置する(ECN>ECK>EC1且つEVN>EVK>EV1)。また、真空準位を基準として、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1のフェルミ準位EF1は、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFNよりも大きい(EFN<EF1)。また、n型半導体層22は組成が傾斜しているので、中間領域22−Kのフェルミ準位EFKは、表面近傍領域22−Nと接合面近傍領域22−1のフェルミ準位の中間に位置する(EFN<EFK<EF1)。さらに、真空準位を基準として、導電体21のフェルミ準位EFcは、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1のフェルミ準位EF1よりも大きい(EF1<EFc)。
次に、導電体21、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1、中間領域22−K及び表面近傍領域22−Nを互いに接合すると、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1、中間領域22−K及び表面近傍領域22−Nの接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、図3に示すようなバンドエッジの曲がりが生じる。このとき、上記に説明したとおり、接合前においては、真空準位を基準としてECN>ECK>EC1、EVN>EVK>EV1且つEFN<EFK<EF1の関係が満たされていることから、n型半導体層22内にはショットキー障壁は生じず、n型半導体層22内はオーミック接触となる。
本実施の形態では、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFNが電解液40の電解質の酸化還元電位Eredoxよりも高いため、上記のような半導体電極20を電解液40と接触させると、キャリアが移動することにより、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nと電解液40との界面において、表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECN及び価電子帯のバンドエッジ準位EVNが持ち上げられる。これにより、n型半導体層22の表面付近に空間電荷層が生じる。
比較の形態として、真空準位を基準として、表面近傍領域における伝導帯のバンドエッジ準位が接合面近傍領域における伝導帯のバンドエッジ準位よりも小さいn型半導体層を想定する。この場合、表面近傍領域における伝導帯のバンドエッジの曲がりと、表面近傍領域−接合面近傍領域間の伝導帯のバンドエッジ準位の差とにより、n型半導体層内部における伝導帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。この井戸型ポテンシャルにより、n型半導体層の内部に電子が溜まってしまい、光励起により生成した電子とホールが再結合する確率が高くなってしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学電池1では、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECNが接合面近傍領域22−1における伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも大きくなるように設定されている。したがって、n型半導体層22内部における伝導帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。さらに、本実施の形態では、n型半導体層22は厚さ方向に組成が傾斜しているので、伝導帯もフラットではなく厚さ方向に傾斜することになる。そのため、電子はn型半導体層22の内部に溜まることなく導電体21側へ移動し、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、別の比較の形態として、真空準位を基準として、表面近傍領域における価電子帯のバンドエッジ準位が接合面近傍領域における価電子帯のバンドエッジ準位よりも小さいn型半導体層を想定する。この場合、表面近傍領域における価電子帯のバンドエッジの曲がりと、表面近傍領域−接合面近傍領域間の価電子帯のバンドエッジ準位の差とにより、n型半導体層内部における価電子帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。光励起によりn型半導体層内部において生成したホールは、この井戸型ポテンシャルにより、電解液との界面方向(表面近傍領域側)とn型半導体層の導電体との接合面方向(接合面近傍領域側)とに分かれて移動してしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学電池1においては、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける価電子帯のバンドエッジ準位EVNが接合面近傍領域22−1における価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きくなるように設定されている。したがって、n型半導体層22内部における価電子帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。さらに、本実施の形態では、n型半導体層22は厚さ方向に組成が傾斜しているので、価電子帯もフラットではなく厚さ方向に傾斜することになる。そのため、ホールはn型半導体層22内部に溜まることなく電解液40との界面方向に移動するので、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、本実施の形態の光電気化学電池1においては、n型半導体層22内部の伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位が上記のように設定されていることに加えて、真空準位を基準として、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1のフェルミ準位EF1が表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFNよりも大きくなるように設定されている。この構成により、n型半導体層22内部では、バンドの曲がりが生じ、且つ、ショットキー障壁が生じない。その結果、n型半導体層22内部で光励起により生成した電子とホールのうち、電子は伝導帯をn型半導体層22の導電体21との接合面方向に移動し、ホールは価電子帯を電解液40との界面方向に移動する。すなわち、電子及びホールがショットキー障壁により妨げられることなく、効率的に電荷分離される。これにより、光励起によりn型半導体層22内部で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなるので、より高い量子効率で光起電力を発生させることができる。
また、本実施の形態の光電気化学電池1においては、真空準位を基準として、導電体21のフェルミ準位EFcが、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1のフェルミ準位EF1よりも大きくなるように設定されている。この構成により、導電体21とn型半導体層22との接合面においてもショットキー障壁が生じない。そのため、n型半導体層22から導電体21への電子の移動が、ショットキー障壁により妨げられることがない。これにより、光励起によりn型半導体層22内部で生成した電子とホールとが再結合する確率がさらに低くなり、さらに高い量子効率で光起電力を発生させることができる。
なお、本実施の形態の光電気化学電池1においては、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECN及び価電子帯のバンドエッジ準位EVNが、それぞれ、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きくなるように設定されている。しかしながら、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECN(又は価電子帯のバンドエッジ準位EVN)が、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1における伝導帯のバンドエッジ準位EC1(又は価電子帯のバンドエッジ準位EV1)とほぼ同じである場合でも、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1のフェルミ準位EF1が表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFNよりも大きくなるように設定されているので、導電体21、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1、中間領域22−K及び表面近傍領域22−Nを互いに接合すると、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1、中間領域22−K及び表面近傍領域22−Nの接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、図3に示すようなバンドエッジの曲がりが生じる。したがって、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nにおける伝導帯のバンドエッジ準位ECN及び価電子帯のバンドエッジ準位EVNが、それぞれ、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1以上の大きさを有するように設定することにより、本実施の形態の光電気化学電池1と同様の効果が得られる。
ここで、n型半導体層22のフェルミ準位及び伝導帯下端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、フラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度を用いて求めることができる。半導体のフラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度は、測定対象である半導体を電極として用いて測定されたMott−Schottkyプロットから求められる。
また、pH値0、温度25℃の電解液40と接触した状態におけるn型半導体層22のフェルミ準位は、測定対象である半導体を電極として用い、pH値0、温度25℃の電解液と半導体電極とが接触した状態において、Mott−Schottkyプロットを測定することにより求めることができる。
n型半導体層22の価電子帯上端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、バンドギャップと、上記の方法により求めたn型半導体層22の伝導帯下端のポテンシャルとを用いて求めることができる。ここで、n型半導体層22のバンドギャップは、測定対象である半導体の光吸収スペクトル測定において観察される光吸収端から求められる。
導電体21のフェルミ準位は、例えば、光電子分光法により測定することができる。
次に、本実施の形態の光電気化学電池1に設けられた各構成部材の材料について、それぞれ説明する。
本実施の形態において、n型半導体層22には、酸化物、硫化物、酸硫化物、セレン化物、テルル化物、窒化物、酸窒化物及びリン化物等の中から選択される少なくとも1つを用いることができる。これらの中でも、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、亜鉛、カドミウム、ガリウム及びインジウム等の中から選択される少なくとも1つの元素を構成元素として含む化合物が好適に用いられる。n型半導体層22は、2以上の元素で構成されており、n型半導体層22における少なくとも1の元素の濃度が、n型半導体層22の厚さ方向に沿って増加又は減少している。例えばn型半導体層22が1種の化合物によって形成されている場合では、当該化合物を構成している少なくとも1の元素の濃度が、n型半導体層22の厚さ方向に沿って増加又は減少している。なお、n型半導体層22を構成する元素には、n型半導体層22の表面又は導電体21との接合面で濃度が0となる元素が含まれていてもよい。
特に、酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群から選択される少なくとも1つを用いることが好ましい。これは、酸化物、窒化物及び酸窒化物を用いることにより、半導体電極20が電解液40と接している状態において、半導体電極20のn型半導体層22に光が照射されても、n型半導体層22が電解液40中に溶解することがなく、光電気化学電池1を安定に動作させることができるからである。また、n型半導体層22の構成元素としては、チタン、ジルコニウム、ニオブ、タンタル及び亜鉛から選択される少なくとも1つの元素が特に好ましい。また、上記の化合物にアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属等が添加されたものであってもよい。
本実施の形態において、半導体電極20の導電体21は、n型半導体層22との接合がオーミック接触となる。したがって、導電体21としては、例えば、Ti、Ni、Ta、Nb、Al及びAg等の金属、又は、ITO(Indium Tin Oxide)及びFTO(Fluorine doped Tin Oxide)等の導電性材料を用いることができる。
導電体21の表面のうち、n型半導体層22に被覆されない領域は、例えば樹脂等の絶縁体によって被覆されることが好ましい。このような構成によれば、導電体21が電解液40内に溶解するのを防ぐことができる。
対極30には、過電圧の小さい材料を用いることが好ましい。そこで、対極30として、例えばPt、Au、Ag又はFe等を用いることが好ましい。
電解液40に含まれる電解質は、充放電過程で電荷輸送に関与する必要がある。すなわち、電解質は、酸化還元対を有する。本実施の形態においては、電解質の酸化還元電位Eredoxが、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nの価電子帯のバンドエッジ準位EVN以上であり、且つn型半導体層22の表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFN以下である。具体的には、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液等が優れる。さらに耐久性を高めるには非水系溶液が好ましい。なお、電解質の酸化還元電位Eredoxは、例えば、酸化還元電位計により測定することができる。
負荷60は特に限定されないが、例えば、電力を消費する負荷の例としてはテレビ及び照明等の電気機器並びに冷蔵庫及びヒートポンプ等の冷熱機器が、電力を貯蔵する負荷の例としてはリチウムイオン電池及びニッケル水素電池等の蓄電池が挙げられる。
次に、本実施の形態の光電気化学電池1の動作について説明する。
光電気化学電池1における容器10の光入射部11から、容器10内に配置された半導体電極20のn型半導体層22に太陽光が照射されると、n型半導体層22の光が照射された部分(本実施の形態では、n型半導体層22の表面近傍領域22−N)において、伝導帯に電子が、価電子帯にホールが生じる。このとき生じたホールは、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nに移動し、電解液40中の電解質の還元型成分から電子を受けとる。ここで電解質が例えば、ヨウ素ヨウ化カリウムの場合、n型半導体層22の表面において、下記反応式(1)に示す反応が起こる。
一方、電子は、n型半導体層22の接合面近傍領域22−1から、導電体21とn型半導体層22との接合による伝導帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体21まで移動する。導電体21に移動した電子は、導線50を介して、導電体21と電気的に接続された対極30側に移動し、電解液40中の電解質の酸化型成分に電子を与える。ここで電解質が例えば、ヨウ素ヨウ化カリウムの場合、対極30の表面において、下記反応式(2)に示す反応が起こる。
2h++3I- → I3 - (1)
2e-+I3 - → 3I- (2)
反応式(1)及び反応式(2)による電子の循環によって負荷60の前後に電位差が生じ、最大でn型半導体層22の表面近傍領域22−Nのフェルミ準位EFNと電解液40に含まれる電解質の酸化還元電位Eredoxとの差が開放端電圧ΔEとして得られる。
このとき、n型半導体層22内でショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなくn型半導体層22の接合面近傍領域22−1に移動することができる。したがって、光励起によりn型半導体層22内で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなり、光の照射による上記反応の量子効率を向上させることができるため、効率的に電力を発生させることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の光電気化学電池の構成について、図4〜図6を用いて説明する。
図4は、本実施の形態の光電気化学電池の構成を示す概略図である。図5は、本実施の形態の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合前のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。図6は、本実施の形態の光電気化学電池において、半導体電極を構成する導電体、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層の接合後のエネルギー準位、対極のエネルギー準位並びに電解質の酸化還元電位を示す模式図である。図5及び図6において、縦軸は、真空準位を基準とするエネルギー準位(単位:eV)を示す。
図4に示すように、本実施の形態の光電気化学電池101では、半導体電極120の構成が実施の形態1の半導体電極20とは異なるものの、それ以外は実施の形態1の光電気化学電池1と同じである。したがって、本実施の形態では、半導体電極120についてのみ説明する。
半導体電極120は、実施の形態1の場合と同様に、その表面が電解液40と接触するように配置されている。半導体電極120は、導電体21、導電体21上に配置された第1のn型半導体層124及び第1のn型半導体層124上に配置された第2のn型半導体層126を備えている。すなわち、本実施の形態では、半導体電極120を構成するn型半導体層122が、第1のn型半導体層124及び第2のn型半導体層126によって形成されている。第2のn型半導体層126は、容器10の光入射部11と対向している。
半導体電極120における導電体21は、導線50により対極30と電気的に接続されている。また、導線50には負荷60が設けられている。
次に、半導体電極120における導電体21、第1のn型半導体層124及び第2のn型半導体層126のエネルギー準位について、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5は、導電体21と第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126とが接合されていない状態を示している。図6は、導電体21と第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126とが接合されている状態を示している。
図5に示すように、真空準位を基準として、第2のn型半導体層126における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層124における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きい(EC2>EC1且つEV2>EV1)。また、真空準位を基準として、第1のn型半導体層124のフェルミ準位EF1は、第2のn型半導体層126のフェルミ準位EF2よりも大きい(EF2<EF1)。さらに、真空準位を基準として、導電体21のフェルミ準位EFcは、第1のn型半導体層124のフェルミ準位EF1よりも大きい(EF1<EFc)。
次に、導電体21、第1のn型半導体層124、第2のn型半導体層126を互いに接合させると、第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126の接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、図6に示すようなバンドエッジの曲がりが生じる。このとき、上記に説明したとおり、接合前においては、真空準位を基準としてEC2>EC1、EV2>EV1且つEF2<EF1の関係が満たされており、第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126との接合面にはショットキー障壁は生じず、n型半導体層122内はオーミック接触となる。さらにEF1<EFcの関係も満たされているので、導電体21と第1のn型半導体層124との接合はオーミック接触となる。
上記のような半導体電極120を電解液40と接触させると、第2のn型半導体層126と電解液40との界面において、第2のn型半導体層126の表面付近における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が持ち上げられる。これにより、第2のn型半導体層126の表面付近に空間電荷層が生じる。
比較の形態として、真空準位を基準として、第2のn型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位が第1のn型半導体層における伝導帯のバンドエッジ準位よりも小さい形態を想定する。この場合、第2のn型半導体層の表面付近における伝導帯のバンドエッジの曲がりと、第2のn型半導体層−第1のn型半導体層間の伝導帯のバンドエッジ準位の差とにより、n型半導体層内部における伝導帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。この井戸型ポテンシャルにより、n型半導体層の内部に電子が溜まってしまい、光励起により生成した電子とホールが再結合する確率が高くなってしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学電池101では、第2のn型半導体層126における伝導帯のバンドエッジ準位EC2が第1のn型半導体層124における伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも大きくなるように設定されている。したがって、n型半導体層122内部における伝導帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そして、伝導帯もフラットではなく厚さ方向に傾斜することになる。そのため、電子はn型半導体層122の内部に溜まることなく導電体21側へ移動し、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、別の比較の形態として、真空準位を基準として、第2のn型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位が第1のn型半導体層における価電子帯のバンドエッジ準位よりも小さい形態を想定する。この場合、第2のn型半導体層の表面付近における価電子帯のバンドエッジの曲がりと、第2のn型半導体層−第1のn型半導体層の価電子帯のバンドエッジ準位の差とにより、n型半導体層内部における価電子帯のバンドエッジ準位に井戸型ポテンシャルが生じることになる。光励起によりn型半導体層内部において生成したホールは、この井戸型ポテンシャルにより、電解液との界面方向(表面近傍領域側)とn型半導体層の導電体との接合面方向(接合面近傍領域側)とに分かれて移動してしまう。
これに対し、本実施の形態の光電気化学電池101においては、第2のn型半導体層126における価電子帯のバンドエッジ準位EV2が第1のn型半導体層124における価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きくなるように設定されている。したがって、n型半導体層122内部における価電子帯のバンドエッジ準位に、上記のような井戸型ポテンシャルが生じない。そして、価電子帯もフラットではなく厚さ方向に傾斜することになる。そのため、ホールはn型半導体層122内部に溜まることなく電解液40との界面方向に移動するので、電荷分離の効率が格段に向上する。
また、本実施の形態の光電気化学電池101においては、第1のn型半導体層124及び第2のn型半導体層126の伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位が上記のように設定されていることに加えて、真空準位を基準として、第1のn型半導体層124のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層126のフェルミ準位EF2よりも大きくなるように設定されている。この構成により、第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126との界面においてバンドの曲がりが生じ、且つ、ショットキー障壁が生じない。その結果、第2のn型半導体層126内部で光励起により生成した電子とホールのうち、電子は第1のn型半導体層124の伝導帯に移動し、ホールは価電子帯を電解液との界面方向に移動するので、電子及びホールがショットキー障壁により妨げられることなく効率的に電荷分離される。これにより、光励起により第2のn型半導体層126内部で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなるので、より高い量子効率で光起電力を発生させることができる。
また、本実施の形態の光電気化学電池101においては、真空準位を基準として、導電体21のフェルミ準位EFcが、第1のn型半導体層124のフェルミ準位EF1よりも大きくなるように設定されている。この構成により、導電体21と第1のn型半導体層124との接合面においてもショットキー障壁が生じない。そのため、第1のn型半導体層124から導電体21への電子の移動が、ショットキー障壁により妨げられることがない。これにより、光励起により第2のn型半導体層126内部で生成した電子とホールとが再結合する確率がさらに低くなり、さらに高い量子効率で光起電力を発生させることができる。
なお、本実施の形態の光電気化学電池101においては、第2のn型半導体層126における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層124における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1よりも大きくなるように設定されている。しかしながら、第2のn型半導体層126における伝導帯のバンドエッジ準位EC2(又は価電子帯のバンドエッジ準位EV2)が、第1のn型半導体層124における伝導帯のバンドエッジ準位EC1(又は価電子帯のバンドエッジ準位EV1)とほぼ同じである場合でも、第1のn型半導体層124のフェルミ準位EF1が第2のn型半導体層126のフェルミ準位EF2よりも大きくなるように設定されているので、導電体21、第1のn型半導体層124、第2のn型半導体層126を互いに接合すると、第1のn型半導体層124と第2のn型半導体層126の接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、図6に示すようなバンドエッジの曲がりが生じる。したがって、第2のn型半導体層126における伝導帯のバンドエッジ準位EC2及び価電子帯のバンドエッジ準位EV2が、それぞれ、第1のn型半導体層124における伝導帯のバンドエッジ準位EC1及び価電子帯のバンドエッジ準位EV1以上の大きさを有するように設定することにより、本実施の形態の光電気化学電池101と同様の効果が得られる。
また、本実施の形態においては、電解液40に含まれる電解質の酸化還元電位Eredoxが、第2のn型半導体層126の価電子帯のバンドエッジ準位以上であり、且つ第2のn型半導体層126のフェルミ準位以下になるように設定されている。
次に、本実施の形態の光電気化学電池101の動作について説明する。
光電気化学電池101における容器10の光入射部11から、容器10内に配置された半導体電極120のn型半導体層122に太陽光が照射されると、n型半導体層122の光が照射された部分(本実施の形態では、第2のn型半導体層126)において、伝導帯に電子が、価電子帯にホールが生じる。このとき生じたホールは、第2のn型半導体層126の表面に移動し、電解液40中の電解質の還元型成分から電子を受けとる。ここで電解質が例えば、ヨウ素ヨウ化カリウムの場合、第2のn型半導体層126の表面において、下記反応式(3)に示す反応が起こる。
一方、電子は、第1のn型半導体層124から、導電体21と第1のn型半導体層124との接合による伝導帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体21まで移動する。導電体21に移動した電子は、導線50を介して、導電体21と電気的に接続された対極30側に移動し、電解液40中の電解質の酸化型成分に電子を与える。ここで電解質が例えば、ヨウ素ヨウ化カリウムの場合、対極30の表面において、下記反応式(4)に示す反応が起こる。
2h++3I- → I3 - (3)
2e-+I3 - → 3I- (4)
反応式(3)及び反応式(4)による電子の循環によって負荷60の前後に電位差が生じ、最大で第2のn型半導体層126のフェルミ準位EF2と電解液40に含まれる電解質の酸化還元電位Eredoxとの差が開放端電圧ΔEとして得られる。
このとき、n型半導体層122内でショットキー障壁が生じないので、電子は妨げられることなく第1のn型半導体層124に移動することができる。したがって、光励起により第2のn型半導体層126内で生成した電子とホールとが再結合する確率が低くなり、光の照射による上記反応の量子効率を向上させることができるため、効率的に電力を発生させることができる。
(実施の形態3)
次に、本実施の形態のエネルギーシステム200の動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、本実施の形態のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
図7に示すように、本実施の形態のエネルギーシステム200は、光電気化学電池1と、光電気化学電池1と電気的に接続され、光電気化学電池1で発生した電力を貯蔵する蓄電池210と、蓄電池210と電気的に接続され、蓄電池210に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステム220と、を備えている。
光電気化学電池1は、実施の形態1で説明した光電気化学電池であり、その具体的構成は図1に示すとおりである。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態では、実施の形態1の光電気化学電池1を用いているが、これに代えて実施の形態2の光電気化学電池101を用いてもよい。
蓄電池210は、配線251,252によって光電気化学電池1と電気的に接続されており、光電気化学電池1で発生した電力を貯蔵する機能を有する。
ヒートポンプシステム220は、ヒートポンプ制御部230と給湯貯湯部240とを備えている。給湯貯湯部240は、貯湯タンク241及びヒートポンプ242を備えている。貯湯タンク241から配管243によってヒートポンプ242内に導入された水は、ヒートポンプ242で加熱されて、配管244によって再び貯湯タンク241内に戻される。ヒートポンプ制御部230は、配線271,272により蓄電池210と接続されており、蓄電池210から供給される電力を利用する。ヒートポンプ制御部230は、給湯貯湯部240と、貯湯タンク241に市水を導入するライン280上に設けられた遮断弁281とを制御する。ヒートポンプ制御部230は、給湯貯湯部240と配線273,274によって接続されており、給湯貯湯部240に電力を供給することができる。
次に、本実施の形態のエネルギーシステム200の動作について説明する。
光電気化学電池1に太陽光が照射されることにより、電力が発生する。光電気化学電池1の動作は、実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
光電気化学電池1で発生した電力は、配線251,252を介して蓄電池210内に供給される。蓄電池210に蓄えられた電力は、配線261,262によって、家庭及び企業等に供給されるとともに、その一部は配線271,272によってヒートポンプシステム220のヒートポンプ制御部230に供給される。
ヒートポンプシステム220において給湯するときには、給湯貯湯部240からヒートポンプ制御部230へ、貯湯情報の信号275が送られる(図中の277は、貯湯情報(水温及び貯湯水量)のモニターを示している。)。この信号275により、ヒートポンプ制御部230が遮断弁281に遮断弁開閉の信号276を送り、遮断弁281を開ける。これにより貯湯タンク241内へ市水が導入されると共に、ヒートポンプ制御部230から給湯貯湯部240に電力の供給が行われてヒートポンプ242が作動する。貯湯タンク241内の水が配管243によってヒートポンプ242内に導入され、導入された水は、ヒートポンプ242で加熱され、配管244によって再び貯湯タンク241内に戻されて、ライン282を介して温水として供給される。
本実施の形態のエネルギーシステム200は、光電気化学電池1を備えているので、太陽光を高効率で利用して、効率良く電力供給及び給湯できる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4のエネルギーシステムの構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、本実施の形態のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
本実施の形態のエネルギーシステム300は、光電気化学電池1と、光電気化学電池1から供給される電力を用いて水を分解して水素を発生させる水電解器(水素生成器)310と、水電解器310で発生した水素を貯蔵するための水素貯蔵器320と、水素貯蔵器320において貯蔵された水素を電力と熱とに変換する燃料電池330と、燃料電池330で発生した電力を貯蔵する蓄電池340と、を備えている。なお、蓄電池340は、必ずしも設ける必要はない。
光電気化学電池1は、実施の形態1で説明した光電気化学電池であり、その具体的構成は図1に示すとおりである。そのため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、本実施の形態では、実施の形態1の光電気化学電池1を用いているが、これに代えて実施の形態2の光電気化学電池101を用いてもよい。
水電解器310は、配線351,352によって光電気化学電池1と電気的に接続されており、光電気化学電池1で発生した電力を用いて水を分解して水素を発生させる。
水素貯蔵器320は、水電解器310と配管(第1の配管)353によって接続されており、配管353を介して水電解器310から供給された水素を貯蔵する。水素貯蔵器320としては、例えば、水電解器310において生成された水素を圧縮するコンプレッサーと、コンプレッサーにより圧縮された水素を貯蔵する高圧水素ボンベと、から構成できる。
燃料電池330は、発電部331と、発電部331を制御するための燃料電池制御部332とを備えている。燃料電池330は、配管(第2の配管)354によって、水素貯蔵器320と接続されている。配管354には、遮断弁355が設けられている。燃料電池330としては、例えば、高分子固体電解質型燃料電池を用いることができる。
蓄電池340の正極及び負極は、燃料電池330における発電部331の正極及び負極と、配線356,357によって、それぞれ電気的に接続されている。蓄電池340には、蓄電池340の残存容量を計測するための容量計測部358が設けられている。蓄電池340としては、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
次に、本実施の形態のエネルギーシステム300の動作について説明する。
光電気化学電池1に太陽光が照射されることにより、電力が発生する。光電気化学電池1の動作は、実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
光電気化学電池1で発生した電力は、配線351,352を介して水電解器310に供給される。水電解器310は、その電力を利用して水を電気分解し、水素を発生させる。水素は、配管353を介して水素貯蔵器320に供給され、貯蔵される。
燃料電池330において発電するときには、燃料電池制御部332からの信号により遮断弁355が開かれ、水素貯蔵器320内に貯蔵された水素が、配管354によって燃料電池330の発電部331に供給される。
燃料電池330の発電部331において発電された電気は、配線356,357を介して蓄電池340内に蓄えられる。蓄電池340内に蓄えられた電気は、配線359,360によって、家庭及び企業等に供給される。
本実施の形態における光電気化学電池1によれば、光の照射による電力発生の量子効率を向上させることができる。したがって、このような光電気化学電池1を備えている本実施の形態のエネルギーシステム300によれば、効率良く電力を供給できる。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1として、図1に示した光電気化学電池1と同様の構成を有する光電気化学電池を作製した。以下、実施例1の光電気化学電池について、図1を参照しながら説明する。
導電体21として、1cm角のタンタル板(厚さ0.1mm)を用いた。この導電体21に対して、500℃での加熱酸化を実施することにより、導電体21上に、厚さ2μmの酸化タンタル膜を形成した。その後、850℃のアンモニア気流中で1時間窒化処理を行った。すなわち、窒素の濃度が表面から導電体21に向かう厚さ方向に沿って減少し、酸素の濃度が表面から導電体21に向かう厚さ方向に沿って増加する(すなわち、組成が傾斜している)n型半導体層22とした。このようにして半導体電極20を作製した。作製された半導体電極20における導電体21と白金板からなる対極30とを、導線50により電気的に接続した。導線50には、100Ωの負荷60及び電流計(図示せず)を設けた。
電解液40には、0.5mol/LのLiIと0.05mol/LのI2を含むポリエチレングリコール(日油(株)PEG#200)液を用いた。
半導体電極20、対極30及び電解液40を上部に開口部を有する角型のガラス容器(容器10)内に収容した。なお、半導体電極20は、n型半導体層22の表面近傍領域22−Nが、ガラス容器の光入射部11と対向するように配置した。
このように作製された実施例1の光電気化学電池1について、疑似太陽光照射実験を行った。疑似太陽光照射実験は、擬似太陽光としてセリック社製ソーラーシミュレータを用い、光電気化学電池1の半導体電極20におけるn型半導体層22表面に対して、光入射部11を介して強度1kW/m2の光を照射することにより実施した。電流計により半導体電極20−対極30間に流れる光電流を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
窒化処理を4時間行ったことを除いて、実施例1と同様の方法で半導体電極20を作製した。すなわち、比較例1では、タンタル板の導電体21上に、一層の窒化タンタル膜により構成されるn型半導体層22を形成した。この比較例1の光電気化学電池についても、実施例1と同様の方法で、疑似太陽光照射実験を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
窒化処理を行わないことを除いて、実施例1と同様の方法で半導体電極を作製した。すなわち、比較例2では、タンタル板の導電体21上に、一層の酸化タンタル膜により構成されるn型半導体層22を形成した。この比較例2の光電気化学電池についても、実施例1と同様の方法で、疑似太陽光照射実験を行った。結果を表1に示す。
実施例1、比較例1及び比較例2の各光電気化学電池におけるn型半導体層の接合面近傍領域及び表面近傍領域のフェルミ準位、伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位、導電体のフェルミ準位、対極のフェルミ準位とを、以下の表1に併せて示す。なお、ここに示すフェルミ準位、伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位は、pH値0、温度25℃の電解液と接触した状態において真空準位を基準とする値である。これらの値は、単体(導電体、組成が傾斜していないn型半導体層、対極)については、文献から引用したものである。組成傾斜体については、表面近傍領域の組成の単体と、導電体との接合面近傍領域の組成の単体とを、それぞれ文献から引用したものである。
Figure 2012114016
この結果から、実施例1の光電気化学電池の半導体電極においては、光励起によりn型半導体層内で生成した電子とホールがn型半導体層内で生成した電位勾配により効率的に電荷分離されることにより、生成した電子とホールが再結合する確率が低くなり、その結果、比較例1、2の場合に比べて、光電流の発生効率が高くなることを確認できた。
(実施例2)
実施例2として、図4に示した光電気化学電池101と同様の構成を有する光電気化学電池を作製した。以下、実施例2の光電気化学電池について、図4を参照しながら説明する。
ガラス基板上の1cm角の領域に、スパッタ法でITO膜(厚さ150nm、シート抵抗10Ω/□)からなる導電体21を作製した。次に、導電体21上に、スパッタ法により膜厚150nmの酸化チタン膜(ルチル多結晶体)を成膜することによって、第1のn型半導体層124を作製した。次に、第1のn型半導体層124上に、タンタルをターゲットとして、窒素と酸素との反応性スパッタリング法により膜厚300nmの酸窒化タンタル膜を成膜することによって、第2のn型半導体層126を作製した。このようにして作製された半導体電極120における導電体21と白金板からなる対極30とを、導線50により電気的に接続した。導線50には、100Ωの負荷60及び電流計(図示せず)を設けた。
電解液40には、0.5mol/LのLiIと0.05mol/LのI2を含むポリエチレングリコール(日油(株)PEG#200)液を用いた。
半導体電極120、対極30及び電解液40を上部に開口部を有する角型のガラス容器(容器10)内に収容した。なお、半導体電極120は、第2のn型半導体層126が、ガラス容器の光入射部11と対向するように配置した。
このように作製された実施例2の光電気化学電池101について、実施例1と同様の方法で、疑似太陽光照射実験を行った。結果は表2に示すとおりである。
(比較例3)
第1のn型半導体層124として、スパッタ法により膜厚150nmの酸化チタン膜(ルチル多結晶体)を成膜しなかったことを除いて、実施例2と同様の方法で半導体電極を作製した。この比較例3の光電気化学電池についても、実施例2と同様の方法で、疑似太陽光照射実験を行った。結果を表2に示す。
また、実施例1と同様の方法で得た、実施例2及び比較例3の各光電気化学電池における、第1のn型半導体層及び第2のn型半導体層のフェルミ準位、伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位(ただし、比較例3のn型半導体層については、成膜された一層についての各準位)と、導電体のフェルミ準位と、対極のフェルミ準位とを、以下の表2に併せて示す。
Figure 2012114016
この結果から、実施例2の光電気化学電池の半導体電極においては、光励起により第2のn型半導体層内で生成した電子とホールが効率的に電荷分離されることにより、生成した電子とホールが再結合する確率が低くなり、その結果、比較例3の場合に比べて、光電流の発生効率が高くなるということを確認することができた。
本発明の光電気化学電池によると、光の照射により高い量子効率で電力を発生させることができるので、家庭及び企業用の発電システム等として有用である。また、本発明のエネルギーシステムは、このような高効率な光電気化学電池を利用しているので、家庭や企業へ電力や熱を供給するエネルギーシステムとして有用である。
1,101 光電気化学電池
10 容器
11 光入射部
20,120 半導体電極
21 導電体
22,122 n型半導体層
124 第1のn型半導体層
126 第2のn型半導体層
30 対極
40 電解液
50 導線
60 負荷
200 エネルギーシステム
210 蓄電池
220 ヒートポンプシステム
230 ヒートポンプ制御部
240 給湯貯湯部
241 貯湯タンク
242 ヒートポンプ
300 エネルギーシステム
310 水電解器(水素生成器)
320 水素貯蔵器
330 燃料電池
331 発電部
332 燃料電池制御部
340 蓄電池
353 配管(第1の配管)
354 配管(第2の配管)

Claims (7)

  1. 導電体及び前記導電体上に配置されたn型半導体層を含む半導体電極と、
    前記導電体と電気的に接続された対極と、
    前記n型半導体層及び前記対極の表面に接して設けられた、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質と、
    前記半導体電極、前記対極及び前記電解質を収容する容器と、
    を備え、
    真空準位を基準として、
    (I)前記n型半導体層の表面近傍領域における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記n型半導体層の前記導電体との接合面近傍領域における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位以上の大きさを有し、
    (II)前記n型半導体層の前記接合面近傍領域のフェルミ準位が、前記n型半導体層の前記表面近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、
    (III)前記導電体のフェルミ準位が、前記n型半導体層の前記接合面近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
    (IV)前記電解質の酸化還元電位が、前記n型半導体層の前記表面近傍領域における価電子帯のバンドエッジ準位以上且つ前記n型半導体層の前記表面近傍領域のフェルミ準位以下であり、
    前記半導体電極の前記n型半導体層に光が照射されることによって電力を発生させる、光電気化学電池。
  2. 前記n型半導体層は、2以上の元素で構成されており、前記n型半導体層における少なくとも1の元素の濃度が、前記n型半導体層の厚さ方向に沿って増加又は減少している、請求項1に記載の光電気化学電池。
  3. 前記n型半導体層が、酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項1又は2に記載の光電気化学電池。
  4. 前記n型半導体層が、前記導電体上に配置された第1のn型半導体層と、前記第1のn型半導体層上に配置された第2のn型半導体層とによって形成されており、
    真空準位を基準として、
    (i)前記第2のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位が、それぞれ、前記第1のn型半導体層における伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位以上の大きさを有し、
    (ii)前記第1のn型半導体層のフェルミ準位が、前記第2のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、
    (iii)前記導電体のフェルミ準位が、前記第1のn型半導体層のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
    (iv)前記電解質の酸化還元電位が、前記第2のn型半導体層の価電子帯のバンドエッジ準位以上且つ前記第2のn型半導体層のフェルミ準位以下である、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の光電気化学電池。
  5. 前記第2のn型半導体層が、酸化物、窒化物及び酸窒化物からなる群から選択される1つからなる、請求項4に記載の光電気化学電池。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の光電気化学電池と、
    前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を貯蔵する蓄電池と、
    前記蓄電池と電気的に接続され、前記蓄電池に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステムと、
    を備えたエネルギーシステム。
  7. 請求項1〜5の何れか1項に記載の光電気化学電池と、
    前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を用いて水を電気分解して水素を発生させる水素生成器と、
    前記水素生成器と第1の配管によって接続されており、前記水素生成器で生成した水素を貯蔵する水素貯蔵器と、
    前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、
    を備えたエネルギーシステム。
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