JP2012114017A - 光電気化学電池及びそれを用いたエネルギーシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】より高い量子効率で電力を発生させることができる光電気化学電池を提供する。
【解決手段】光電気化学電池100は、導電体121、酸化チタン層(ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123)、及び、酸化チタン層の表面に吸着した発色団によって形成された発色団層124、を含む酸化チタン電極120と、対極130と、電解質を含む電解液140と、容器110とを備える。酸化チタン層では、発色団層近傍領域ではアナターゼ型酸化チタンの存在比率がルチル型酸化チタンの存在比率よりも高く、且つ、導電体近傍領域ではルチル型酸化チタンの存在比率がアナターゼ型酸化チタンの存在比率よりも高く、且つ、真空準位を基準として、導電体近傍領域のフェルミ準位は発色団層近傍領域のフェルミ準位よりも大きい。導電体121のフェルミ準位は、真空準位を基準として、酸化チタン層の導電体近傍領域のフェルミ準位よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光の照射により電力を発生する光電気化学電池及びそれを用いたエネルギーシステムに関する。
従来、表面に発色団を吸着させた酸化チタン層に光を照射して起電力を得る光電気化学電池が提案されている。例えば、特許文献1には、酸化チタン層及び当該酸化チタン層の表面に吸着させた発色団によって形成された発色団層を有する酸化チタン電極と、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質と、前記酸化チタン電極の発色団層との間に前記電解質を挟持している対極と、を備えた光電気化学電池が開示されている。この光電気化学電池に光が照射されると、酸化チタン電極と対極との間に起電力が発生する。その原理は次のとおりである。まず、光電気化学電池の発色団層に光が照射されると、発色団層を構成する発色団のLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)に電子が光励起し、発色団のHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)にホールが生成する。そして、光励起した電子は酸化チタン層へと移動し、さらに、酸化チタン層に隣接している導電体へと移動する。
しかし、上記のような光電気化学電池では、高い起電力を得るために、酸化チタン層の電荷分離能が重要となる。酸化チタン層の電荷分離能が低い場合、発色団のHOMOに生成したホールもHOMOから移動して、発色団内で電子とホールとが再結合する確率が高くなるという問題が生じる。
高い電荷分離能を実現できる酸化チタン層を備えた親水性部材が、特許文献2に開示されている。この親水性部材は、基材と、前記基材の表面に形成された被膜からなり、前記被膜が、酸化チタン粒子を含む酸化チタン層と、前記酸化チタン層の上に配置された、酸化チタン以外の第2の光触媒材料からなる島状部とを有する。具体的には、第2の光触媒材料として、伝導帯の下端及び価電子帯の上端のポテンシャルが酸化チタンよりも対標準水素電極電位を基準として正側(真空準位を基準にして負側)にある材料を用いることが記載されている。
特許第2664194号公報 特開2002−234105号公報
特許文献2には、光励起により生成した電子及びホールのうち、電子は第2の光触媒材料の伝導帯に移動し、ホールは酸化チタンの価電子帯に移動することより、電子−ホール対が分離するので、再結合する確率が低くなると記載されている。しかしながら、特許文献2には、酸化チタンと第2の光触媒材料との接合面におけるエネルギー状態がどのように設定されるかについては何も記載されていない。酸化チタンと第2の光触媒材料との接合面がショットキー接合となる場合、接合面において伝導帯及び価電子帯にショットキー障壁が発生する。このとき、光励起により生成した電子及びホールのうち、電子は伝導帯の接合面におけるショットキー障壁により堰き止められ、価電子帯の接合面におけるショットキー障壁がホール溜まりとして機能するので、ホールは価電子帯の接合面付近に溜まってしまう。そのため、酸化チタンと第2の光触媒材料とをそれぞれ単独で用いる場合よりも、電子及びホールが再結合する可能性が高くなってしまうという問題があった。
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離することができる酸化チタン層を実現し、その酸化チタン層に発色団を吸着させることにより、より高い量子効率で電力を発生させることができる光電気化学電池を提供することを課題とする。さらに、本発明は、このような光電気化学電池を利用したエネルギーシステムを提供することも課題とする。
本発明は、
導電体と、前記導電体上に配置された酸化チタン層と、前記酸化チタン層の表面に吸着した発色団によって形成された発色団層と、を含む第1電極と、
前記導電体と電気的に接続された第2電極と、
前記第1電極の前記発色団層側の表面及び前記第2電極の表面と接して設けられた、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質と、
前記第1電極、前記第2電極及び前記電解質を収容する容器と、
を備え、
前記酸化チタン層が、前記発色団層に近い発色団層近傍領域と前記導電体に近い導電体近傍領域とで異なる結晶構造を有しており、
前記酸化チタン層において、前記発色団層近傍領域ではアナターゼ型酸化チタンの存在比率がルチル型酸化チタンの存在比率よりも高く、且つ、前記導電体近傍領域ではルチル型酸化チタンの存在比率がアナターゼ型酸化チタンの存在比率よりも高く、
真空準位を基準として、
(I)前記酸化チタン層の前記導電体近傍領域のフェルミ準位が、前記酸化チタン層の前記発色団層近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
(II)前記導電体のフェルミ準位が、前記酸化チタン層の前記導電体近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、
前記第1電極の前記発色団層に光が照射されることによって電気を発生させる、
光電気化学電池を提供する。
また、本発明は、
上記本発明の光電気化学電池と、
前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を貯蔵する蓄電池と、
前記蓄電池と電気的に接続され、前記蓄電池に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステムと、
を備えた、第1のエネルギーシステムを提供する。
さらに、本発明は、
上記本発明の記載の光電気化学電池と、
前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を用いて水を電気分解して水素を発生させる水素生成器と、
前記水素生成器と第1の配管によって接続されており、前記水素生成器で生成された水素を貯蔵する水素貯蔵器と、
前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、
を備えた、第2のエネルギーシステムも提供する。
本発明の光電気化学電池は、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離できるので、従来よりも高い量子効率で電力を発生させることができる。また、本発明の第1及び第2のエネルギーシステムは、本発明の光電気化学電池を備えているので、太陽光を高効率で利用して得られた電力及び熱を、ユーザーの必要に応じて提供できる。
本発明の実施の形態1の光電気化学電池の構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態1の光電気化学電池において、酸化チタン電極を構成する導電体、ルチル型酸化チタン層、アナターゼ型酸化チタン層及び発色団層の接合前のエネルギー準位を示す模式図である。 本発明の実施の形態1の光電気化学電池において、酸化チタン電極を構成する導電体、ルチル型酸化チタン層、アナターゼ型酸化チタン層及び発色団層の接合後のエネルギー準位を示す模式図である。 本発明の実施の形態2のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。 本発明の実施の形態3のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。 本発明の実施例1の光電気化学電池の構成を示す概略図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は一例であり、本発明は以下の実施の形態に限定されない。また、以下の実施の形態では、同一部材に同一の符号を付して、重複する説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1の光電気化学電池の構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1は、本実施の形態の光電気化学電池の構成を示す概略図である。図2は、本実施の形態の光電気化学電池において、酸化チタン電極(第1電極)を構成する導電体、ルチル型酸化チタン層、アナターゼ型酸化チタン層及び発色団層の接合前のエネルギー準位を示す模式図である。図3は、本実施の形態の光電気化学電池において、酸化チタン電極を構成する導電体、ルチル型酸化チタン層、アナターゼ型酸化チタン層及び発色団層の接合後のエネルギー準位を示す模式図である。図2及び3において、縦軸は、真空準位を基準とするエネルギー準位(単位:eV)を示す。
図1に示すように、本実施の形態の光電気化学電池100は、酸化チタン電極120と、酸化チタン電極120と対をなす対極(第2電極)130と、電解質を含む電解液140と、酸化チタン電極120、対極130及び電解液140を収容する容器110と、を備えている。
容器110内において、酸化チタン電極120及び対極130は、その表面が電解液140と接触するように配置されている。酸化チタン電極120は、導電体121と、導電体121上に配置されたルチル型酸化チタン層122と、ルチル型酸化チタン層122上に配置されたアナターゼ型酸化チタン層123と、アナターゼ型酸化チタン層123の表面に吸着した発色団によって形成された発色団層124とを備えている。すなわち、本実施の形態では、酸化チタン電極120を構成する酸化チタン層が、ルチル型酸化チタン層122とアナターゼ型酸化チタン層123とからなる2層構造を有する。容器110のうち、容器110内に配置された酸化チタン電極120の発色団層124側の面と対向する部分(以下、光入射部110aと略称する)は、太陽光等の光を透過させる材料で構成されている。
酸化チタン電極120における導電体121と、対極130とは、導線150により電気的に接続されている。なお、ここでの対極とは、電解液を介さずに酸化チタン電極から電子を受け取る電極のことを意味する。したがって、本実施の形態における対極130は、酸化チタン電極120を構成している導電体121と電気的に接続されていればよく、酸化チタン電極120との位置関係等は特に限定されない。また、導線150には、導電体121と対極130との間において後述のように発生する電力を消費又は貯蔵する負荷160が設けられている。
次に、酸化チタン電極120における導電体121、ルチル型酸化チタン層122、アナターゼ型酸化チタン層123及び発色団層124のエネルギー準位について、図2及び3を参照しながら説明する。
図2に示すように、アナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2は、ルチル型酸化チタン層122の伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも大きい。また、アナターゼ型酸化チタン層123の価電子帯のバンドエッジ準位EV2と、ルチル型酸化チタン層122の価電子帯のバンドエッジ準位EV1とは、ほぼ等しい。さらに、酸化チタン電極120では、ルチル型酸化チタン層122のフェルミ準位EF1がアナターゼ型酸化チタン層123のフェルミ準位EF2よりも大きくなり、且つ、導電体121のフェルミ準位EFcがルチル型酸化チタン層122のフェルミ準位EF1よりも大きくなるように、それぞれ設計されている。
ここで、ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123を全体として酸化チタン層とみた場合、アナターゼ型酸化チタン層123は酸化チタン層の発色団層近傍領域、ルチル型酸化チタン層122は酸化チタン層の導電体近傍領域となる。したがって、本実施の形態では、酸化チタン層において、発色団層近傍領域ではアナターゼ型酸化チタンの存在比率がルチル型酸化チタンの存在比率よりも高く、且つ、導電体近傍領域ではルチル型酸化チタンの存在比率がアナターゼ型酸化チタンの存在比率よりも高いといえる。さらに、酸化チタン層の導電体近傍領域のフェルミ準位が、酸化チタン層の発色団層近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、導電体121のフェルミ準位が、酸化チタン層の導電体近傍領域のフェルミ準位よりも大きいといえる。
次に、導電体121、ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123を互いに接合させると、図3に示すように、ルチル型酸化チタン層122とアナターゼ型酸化チタン層123との接合面において、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、バンドエッジの曲がりが生じる。このとき、アナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2がルチル型酸化チタン層122における伝導帯のバンドエッジ準位EC1よりも大きく、アナターゼ型酸化チタン層123の価電子帯のバンドエッジ準位EV2とルチル型酸化チタン層122における価電子帯のバンドエッジ準位EV1とがほぼ同じであり、且つ、ルチル型酸化チタン層122のフェルミ準位EF1がアナターゼ型酸化チタン層123のフェルミ準位EF2よりも大きいことから、ルチル型酸化チタン層122とアナターゼ型酸化チタン層123との接合面には、ショットキー障壁は生じない。
また、導電体121とルチル型酸化チタン層122との接合面においても、互いのフェルミ準位が一致するようにキャリアが移動することにより、接合面付近におけるバンドエッジに曲がりが生じる。このとき、導電体121のフェルミ準位EFcがルチル型酸化チタン層122のフェルミ準位EF1よりも大きいことから、導電体121とルチル型酸化チタン層122との接合はオーミック接触となる。
導電体121、ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123の接合面が上記のとおりであるため、吸着した発色団層124の光励起により生じ、アナターゼ型酸化チタン層123内注入された電子は、ショットキー障壁により妨げられることなくルチル型酸化チタン層122の伝導帯に効率的に移動する。ルチル型酸化チタン層122まで移動した電子は、さらに、ショットキー障壁に妨げられることなく導電体121へと効率的に移動する。このように、発色団層124の光励起によりアナターゼ型酸化チタン層123内に注入された電子は、効率良く導電体121まで移動できるので、ホールと再結合する確率が低くなる。このように、本実施の形態の光電気化学電池100は、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離できるので、従来よりも高い量子効率で電力を発生させることが可能となる。
酸化チタン電極120では、図2に示すように、真空準位を基準として、発色団層124を構成する発色団のLUMO準位ELUMOが、アナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなるように設定されていることが好ましい。また、酸化チタン電極120では、真空準位を基準として、前記発色団のフェルミ準位EFdが、アナターゼ型酸化チタン層123のフェルミ準位EF2よりも小さくなるように設定されていることが好ましい。これらの構成によれば、図3に示すように、発色団層124とアナターゼ型酸化チタン層123との界面においてもショットキー障壁が生じない。そのため、光励起により発色団層124またはアナターゼ型酸化チタン層123内で電子とホールとが再結合する確率がさらに低くなり、さらに高い量子効率で電力を発生させることが可能となる。
次に、本実施の形態の光電気化学電池100に設けられた各構成部材の材料について、それぞれ説明する。
ルチル型酸化チタン層122はルチル型酸化チタンによって形成されており、アナターゼ型酸化チタン層123はアナターゼ型酸化チタンによって形成されている。ルチル型酸化チタン層122のフェルミ準位EF1は、アナターゼ型酸化チタン層123のフェルミ準位EF2よりも大きくなるように設定される必要があるため、作製時にこれらの層のフェルミ準位をコントロールする必要がある。ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンのフェルミ準位は、結晶化度を変化させることによってコントロールできる。結晶化度のコントロールは、例えば、成膜条件(例えば成膜温度)を変化させることによって実現できる。また、光電気化学電池100において用いられるルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンには、例えばフェルミ準位をコントロールする目的で、結晶構造が変化しない限り、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、銅、銀、亜鉛、カドミウム、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、錫、アンチモン等が金属イオンとして添加されていてもよい。ここでいう、「結晶構造が変化しない限り」とは、ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンのバンド構造の関係(伝導帯及び価電子帯のバンドエッジ準位の大小関係)が変化しない程度ということである。このような観点から、添加される金属イオンの量は、例えば0.25atm%以下とでき、好ましくは0.1atm%以下である。
ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123は、例えばスパッタリングによって作製することができる。また、アナターゼ型酸化チタン層123は、例えば、アナターゼ型酸化チタンの微結晶粒子、ナノチューブ又はナノロッドをルチル型酸化チタン層122上に固着させる方法を用いて作製してもよい。このような方法で作製されたアナターゼ型酸化チタン層では、表面積が増加するので、吸着される発色団の量が増加したり、電解質と電荷をやりとりする面積が増加したりする。したがって、より高い量子効率での電力発生が可能となる。
酸化チタン電極120の導電体121は、ルチル型酸化チタン層122との接合がオーミック接触となる。したがって、導電体121には、例えば、Ti、Ni、Ta、Al、Cu及びAg等の金属、又は、ITO(Indium Tin Oxide)及びFTO(Fluorine doped Tin Oxide)等の導電性材料を用いることができる。
導電体121の表面うち、ルチル型酸化チタン層122に被覆されない領域は、例えば樹脂及びガラス等の絶縁体によって被覆されることが好ましい。このような構成によれば、導電体121が電解液140に溶解することを抑制できる。
発色団層124を構成する発色団には、例えば、アナターゼ型酸化チタンに吸着し且つ電子供与可能な色素を用いることができる。LUMO準位ELUMOがアナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯のバンドエッジ準位EC2よりも大きくなるように設定しやすい材料が好ましく、例えば、cis-di(thiocyanato)-N,N-bis(2,2’-bipyridyl-4,4’-dicarboxylic acid)-ruthenium(II)(通称、N719色素)のような、ルテニウム錯体からなる色素等が好適に用いられる。
対極130には、過電圧の小さい材料を用いることが好ましい。そこで、対極130として、例えばPt、Au、Ag、Fe及びNi等の金属触媒を用いることが好ましい。このような金属触媒を用いることにより対極130の活性を高めることができるので、量子効率をさらに向上させることができる。
ここで、ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123のフェルミ準位及び伝導帯下端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、フラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度を用いて求めることができる。半導体のフラットバンドポテンシャル及びキャリア濃度は、測定対象を電極として用いて測定されたMott−Schottkyプロットから求められる。
ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123の価電子帯上端のポテンシャル(バンドエッジ準位)は、バンドギャップと、上記の方法により求めたルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯下端のポテンシャルとを用いて求めることができる。ここで、ルチル型酸化チタン層122及びアナターゼ型酸化チタン層123のバンドギャップは、測定対象である半導体の光吸収スペクトル測定において観察される光吸収端から求められる。
導電体121のフェルミ準位と、発色団層124を構成している発色団のHOMO準位及びLUMO準位とは、例えば、光電子分光法により測定できる。また、発色団のフェルミ準位は、発色団のHOMO準位及びLUMO準位のほぼ中間に位置する。
電解液140に含まれる電解質は、充放電過程で電荷輸送に関与する必要がある。したがって、電解質は、酸化還元対を有し、且つその酸化還元電位Eredoxが発色団のフェルミ準位EFdよりも低く、且つ発色団のHOMO準位EHOMOよりも大きいことが望ましい。このような電解質を用いることにより、発色団で光励起して生成した電子がアナターゼ型酸化チタン層123へ移動するとともに、発色団で光励起して生成したホールに電解質の還元型成分より電子が与えられるので、発生する電力の量子効率を向上させることができる。具体的には、ヨウ素ヨウ化カリウム溶液などが好適に用いられる。さらに耐久性を高めるには、非水系溶液が好ましい。
負荷160は特に限定されないが、例えば、電力を消費する負荷の例としてはテレビ及び照明等の電気機器並びに冷蔵庫及びヒートポンプ等の冷熱機器が、電力を貯蔵する負荷の例としてはリチウムイオン電池及びニッケル水素電池等の蓄電池が挙げられる。
次に、光電気化学電池100の動作について説明する。
酸化チタン電極120の発色団層124に太陽光等の光が照射されると、発色団が光励起してHOMOからLUMOに電子励起が起こる。この電子励起により、LUMOには励起電子が、HOMOにはホールが生成する。発色団内のLUMOの励起電子は、アナターゼ型酸化チタン層123の伝導帯へと移動する。このとき、電子を失った発色団は、電解液140中の電解質の還元型成分から電子を受け取り、還元される。一方、電子は、アナターゼ型酸化チタン層123とルチル型酸化チタン層122との界面、並びにルチル型酸化チタン層122と導電体121との界面における伝導帯のバンドエッジの曲がりに沿って、導電体121まで移動する。導電体121に移動した電子は、導線150を介して、酸化チタン電極120と電気的に接続された対極130側に移動する。対極130に移動した電子は、電解液140中の電解質の酸化型成分に電子を与える。このような電子の循環により両極で電位差が生じ、最大で発色団層124を構成する発色団のフェルミ準位EFdと電解液140に含まれる電解質の酸化還元電位Eredoxとの差が開放端電圧ΔEとして得られる。
なお、本実施の形態では、酸化チタン電極120を構成する酸化チタン層が、ルチル型酸化チタン層122とアナターゼ型酸化チタン層123との2層構造を有しているが、酸化チタン層はこの構造に限定されない。例えば、酸化チタン層を一つの層で形成してもよく、その場合は、酸化チタン層がアナターゼ型酸化チタン及びルチル型酸化チタンを含んでおり、発色団層近傍領域ではアナターゼ型酸化チタンの存在比率がルチル型酸化チタンの存在比率よりも高く(アナターゼリッチ)、且つ、導電体近傍領域ではルチル型酸化チタンの存在比率がアナターゼ型酸化チタンの存在比率よりも高く(ルチルリッチ)なるようにすればよい。このような構成であっても、本実施の形態の光電気化学電池100と同じ効果を得ることができる。この場合、酸化チタン層において、アナターゼ型酸化チタンの存在比率が導電体側の面から発色団層側の面に向かって増加し、且つ、ルチル型酸化チタンの存在比率が発色団層側の面から導電体側の面に向かって増加するように、酸化チタン層を形成するとよい。このような酸化チタン層によれば、酸化チタン層の伝導帯及び価電子帯が酸化チタン層の厚さ方向に傾斜した構成が得られるので、酸化チタン層の電荷分離能をより高めることができる。このような構成を有する酸化チタン層は、例えば成膜温度を調整する等の方法によって作製できる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2のエネルギーシステムの構成について、図4を参照しながら説明する。図4は、本実施の形態のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
本実施の形態のエネルギーシステム200は、光電気化学電池100と、光電気化学電池100と電気的に接続され、光電気化学電池100で発生した電力を貯蔵する蓄電池210と、蓄電池210と電気的に接続され、蓄電池210に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステム220と、を備えている。
光電気化学電池100は、実施の形態1で説明した光電気化学電池と同じ構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
蓄電池210は、配線251,252によって光電気化学電池100と電気的に接続されており、光電気化学電池100で発生した電力を貯蔵する機能を有する。
ヒートポンプシステム220は、ヒートポンプ制御部230と給湯貯湯部240とを備えている。給湯貯湯部240は、貯湯タンク241及びヒートポンプ242を備えている。貯湯タンク241から配管243によってヒートポンプ242内に導入された水は、ヒートポンプ242で加熱されて、配管244によって再び貯湯タンク241内に戻される。ヒートポンプ制御部230は、配線271,272により蓄電池210と接続されており、蓄電池210から供給される電力を利用する。ヒートポンプ制御部230は、給湯貯湯部240と、貯湯タンク241に市水を導入するライン280上に設けられた遮断弁281とを制御する。ヒートポンプ制御部230は、給湯貯湯部240と配線273,274によって接続されており、給湯貯湯部240に電力を供給することができる。
次に、本実施の形態のエネルギーシステム200の動作について説明する。
光電気化学電池100に太陽光が照射されることにより、電力が発生する。光電気化学電池100の動作は、実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
光電気化学電池100で発生した電力は、配線251,252を介して蓄電池210内に供給される。蓄電池210に蓄えられた電力は、配線261,262によって、家庭及び企業等に供給されるとともに、その一部は配線271,272によってヒートポンプシステム220のヒートポンプ制御部230に供給される。
ヒートポンプシステム220において給湯するときには、給湯貯湯部240からヒートポンプ制御部230へ、貯湯情報の信号275が送られる(図中の277は、貯湯情報(水温及び貯湯水量)のモニターを示している。)。この信号275により、ヒートポンプ制御部230が遮断弁281に遮断弁開閉の信号276を送り、遮断弁281を開ける。これにより貯湯タンク241内へ市水が導入されると共に、ヒートポンプ制御部230から給湯貯湯部240に電力の供給が行われてヒートポンプ242が作動する。貯湯タンク241内の水が配管243によってヒートポンプ242内に導入され、導入された水は、ヒートポンプ242で加熱され、配管244によって再び貯湯タンク241内に戻されて、ライン282を介して温水として供給される。
本実施の形態のエネルギーシステム200は、光電気化学電池100を備えているので、太陽光を高効率で利用して、効率良く電力供給及び給湯できる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3のエネルギーシステムの構成について、図5を参照しながら説明する。図5は、本実施の形態のエネルギーシステムの構成を示す概略図である。
本実施の形態のエネルギーシステム300は、光電気化学電池100と、光電気化学電池100から供給される電力を用いて水を分解して水素を発生させる水電解器(水素生成器)310と、水電解器310で発生した水素を貯蔵するための水素貯蔵器320と、水素貯蔵器320において貯蔵された水素を電力と熱とに変換する燃料電池330と、燃料電池330で発生した電力を貯蔵する蓄電池340と、を備えている。なお、蓄電池340は、必ずしも設ける必要はない。
光電気化学電池100は、実施の形態1で説明した光電気化学電池と同じ構成を有するため、ここでは詳細な説明を省略する。
水電解器310は、配線351,352によって光電気化学電池100と電気的に接続されており、光電気化学電池100で発生した電力を用いて水を分解して水素を発生させる。
水素貯蔵器320は、水電解器310と配管(第1の配管)353によって接続されており、配管353を介して水電解器310から供給された水素を貯蔵する。水素貯蔵器320としては、例えば、水電解器310において生成された水素を圧縮するコンプレッサーと、コンプレッサーにより圧縮された水素を貯蔵する高圧水素ボンベと、から構成できる。
燃料電池330は、発電部331と、発電部331を制御するための燃料電池制御部332とを備えている。燃料電池330は、配管(第2の配管)354によって、水素貯蔵器320と接続されている。配管354には、遮断弁355が設けられている。燃料電池330としては、例えば、高分子固体電解質型燃料電池を用いることができる。
蓄電池340の正極及び負極は、燃料電池330における発電部331の正極及び負極と、配線356,357によって、それぞれ電気的に接続されている。蓄電池340には、蓄電池340の残存容量を計測するための容量計測部358が設けられている。蓄電池340としては、例えば、リチウムイオン電池を用いることができる。
次に、本実施の形態のエネルギーシステム300の動作について説明する。
光電気化学電池100に太陽光が照射されることにより、電力が発生する。光電気化学電池100の動作は、実施の形態1で説明したとおりであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
光電気化学電池100で発生した電力は、配線351,352を介して水電解器310に供給される。水電解器310は、その電力を利用して水を電気分解し、水素を発生させる。水素は、配管353を介して水素貯蔵器320に供給され、貯蔵される。
燃料電池330において発電するときには、燃料電池制御部332からの信号により遮断弁355が開かれ、水素貯蔵器320内に貯蔵された水素が、配管354によって燃料電池330の発電部331に供給される。
燃料電池330の発電部331において発電された電気は、配線356,357を介して蓄電池340内に蓄えられる。蓄電池340内に蓄えられた電気は、配線359,360によって、家庭及び企業等に供給される。
本実施の形態における光電気化学電池100によれば、光の照射による電力発生の量子効率を向上させることができる。したがって、このような光電気化学電池100を備えている本実施の形態のエネルギーシステム300によれば、効率良く電力を供給できる。
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1として、図6に示す光電気化学電池400と同様の構成を有する電池を作製した。なお、光電池化学電池400は、導電体121のルチル型酸化チタン層122が設けられている面とは反対側の面にガラス基板125がさらに設けられている点を除き、実施の形態1で説明した光電気化学電池100と同じ構成を有する。以下、本実施例の光電気化学電池について、図6を参照しながら説明する。
ガラス基板125上の1cm角の領域に、まずスパッタリング法でITO膜(厚さ150nm、シート抵抗10Ω/□)からなる導電体121を作製した。さらにその上に、成膜温度600℃で、金属チタンターゲットによる反応性スパッタリング法でルチル型酸化チタン膜(厚さ150nm、多結晶体)を成膜することによって、ルチル型酸化チタン層122を作製した。さらにその上に、成膜温度300℃で、金属チタンターゲットによる反応性スパッタリング法でアナターゼ型酸化チタン膜(150nm、多結晶体)を成膜することによって、アナターゼ型酸化チタン層123を作製した。さらにその上に、発色団としての色素(cis-di(thiocyanato)-N,N-bis(2,2’-bipyridyl-4,4’-dicarboxylic acid)-ruthenium(II)、通称N719色素)のエタノール溶液を用いて、当該色素をアナターゼ型酸化チタン層123の表面に吸着させて、発色団層124を作製した。このように作製された酸化チタン電極170を、白金板からなる対極130と、導線150によって電気的に接続した。導線150には、100Ωの負荷160及び電流計(図示せず)を設けた。電解液140には、0.5mol/LのLiIと0.05mol/LのI2とを含むポリエチレングリコール(日油(株)製、PEG#200)を用いた。酸化チタン電極170、対極130及び電解液140を容器110内に収容した。酸化チタン電極170の発色団層124が配置されている側の面が光入射部110aと対向するように、酸化チタン電極170を配置した。このようにして、実施例1の光電気化学電池を作製した。
(比較例1)
ルチル型酸化チタン層121を設けなかった点以外は、実施例1の光電気化学電池と同様の手順によって比較例1の光電気化学電池を作製した。
(比較例2)
アナターゼ型酸化チタン層122を設けなかった点以外は、実施例1の光電気化学電池と同様の手順によって比較例2の光電気化学電池を作製した。
なお、実施例1及び比較例1,2で用いたITO、ルチル型酸化チタン層及びアナターゼ型酸化チタン層のエネルギー準位(伝導帯、価電子帯、フェルミ準位)と、色素のHOMO準位及びLUMO準位は、表1に示すとおりである。なお、伝導帯のバンドエッジ準位及び価電子帯のバンドエッジ準位は、文献から引用した。フェルミ準位は、半導体の光電気化学測定(フラットバンドポテンシャル)により求められた値である。また、色素(cis-di(thiocyanato)-N,N-bis(2,2’-bipyridyl-4,4’-dicarboxylic acid)-ruthenium(II)、通称N719色素)のエネルギー準位(HOMO準位、LUMO準位、フェルミ準位(HOMO準位とLUMO準位との中間))は、文献から引用した。
(光電流の測定)
実施例1及び比較例1,2の光電気化学電池について、電気化学特性を調べるために、電気的接続されている酸化チタン電極と対極との間に設置された電流計を用いて、酸化チタン電極に擬似太陽光を照射して光電流を測定した。ここでは、擬似太陽光としてセリック社製ソーラーシミュレータを用いた。光電気化学電池の酸化チタン電極の表面に対して、容器の光入射部を介して強度1kW/m2の光を照射して、電流計により酸化チタン電極と対極との間に流れる光電流を測定した。測定結果は、表1に示されている。
Figure 2012114017
実施例1の光電気化学電池において、最も大きい光電流が観測された。これは、実施例1の光電気化学電池では、酸化チタン電極が、導電体、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン層及び発色団層によって形成されていることによると考えられる。すなわち、発色団層の光励起により生じ、アナターゼ型酸化チタン層内注入された電子は、ショットキー障壁により妨げられることなくルチル型酸化チタン層の伝導帯に効率的に移動し、さらに、ショットキー障壁に妨げられることなく導電体へと効率的に移動できる。このように、発色団層の光励起によりアナターゼ型酸化チタン層内に注入された電子は、効率良く導電体まで移動できるので、ホールと再結合する確率が低くなる。したがって、実施例1の光電気化学電池は、光励起により生成する電子及びホールを効率的に電荷分離でき、従来よりも高い量子効率で電力を発生させることができた。
これに対し、酸化チタン電極における酸化チタン層がアナターゼ型酸化チタンのみで形成された比較例1、ルチル型酸化チタンのみで形成された比較例2では、酸化チタン層における電荷分離能が実施例1の場合よりも大きく劣るため、高い量子効率で電力を発生させることができなかった。
なお、実施例1では、アナターゼ型酸化チタン層をスパッタリング膜によって形成したが、この代わりに、例えばアナターゼ型酸化チタンの微結晶粒子、ナノチューブ又はナノロッドを固着させることによってアナターゼ型酸化チタン層を形成した場合でも、同様の効果が得られた。さらに、このような構成の場合、アナターゼ型酸化チタン層の表面積が増加することにより、色素の吸着量が増えたり、電解質と電荷をやりとりする面積が増えたりする。したがって、このような構成の場合、実施例1の場合よりもさらに光電流を増加させることができることを確認している。
本発明の光電気化学電池によると、光の照射により高い量子効率で電力を発生させることができるので、家庭及び企業用の発電システム等として有用である。また、本発明のエネルギーシステムは、このような高効率な光電気化学電池を利用しているので、家庭や企業へ電力や熱を供給するエネルギーシステムとして有用である。
100 光電気化学電池
110 容器
110a 光入射部
120,170 酸化チタン電極(第1電極)
121 導電体
122 ルチル型酸化チタン層
123 アナターゼ型酸化チタン層
124 発色団層
125 ガラス板
130 対極(第2電極)
140 電解液
150 導線
160 負荷
200 エネルギーシステム
210 蓄電池
220 ヒートポンプシステム
230 ヒートポンプ制御部
240 給湯貯湯部
241 貯湯タンク
242 ヒートポンプ
300 エネルギーシステム
310 水電解器(水素生成器)
320 水素貯蔵器
330 燃料電池
331 発電部
332 燃料電池制御部
340 蓄電池
353 配管(第1の配管)
354 配管(第2の配管)

Claims (9)

  1. 導電体と、前記導電体上に配置された酸化チタン層と、前記酸化チタン層の表面に吸着した発色団によって形成された発色団層と、を含む第1電極と、
    前記導電体と電気的に接続された第2電極と、
    前記第1電極の前記発色団層側の表面及び前記第2電極の表面と接して設けられた、充放電過程で電荷輸送に関与する電解質と、
    前記第1電極、前記第2電極及び前記電解質を収容する容器と、
    を備え、
    前記酸化チタン層が、前記発色団層に近い発色団層近傍領域と前記導電体に近い導電体近傍領域とで異なる結晶構造を有しており、
    前記酸化チタン層において、前記発色団層近傍領域ではアナターゼ型酸化チタンの存在比率がルチル型酸化チタンの存在比率よりも高く、且つ、前記導電体近傍領域ではルチル型酸化チタンの存在比率がアナターゼ型酸化チタンの存在比率よりも高く、
    真空準位を基準として、
    (I)前記酸化チタン層の前記導電体近傍領域のフェルミ準位が、前記酸化チタン層の前記発色団層近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
    (II)前記導電体のフェルミ準位が、前記酸化チタン層の前記導電体近傍領域のフェルミ準位よりも大きく、
    前記第1電極の前記発色団層に光が照射されることによって電気を発生させる、
    光電気化学電池。
  2. 前記酸化チタン層において、アナターゼ型酸化チタンの存在比率は、前記導電体側の面から前記発色団層側の面に向かって増加しており、且つ、
    前記酸化チタン層において、ルチル型酸化チタンの存在比率は、前記発色団層側の面から前記導電体側の面に向かって増加している、
    請求項1に記載の光電気化学電池。
  3. 真空準位を基準として、前記発色団のLUMO準位が、前記酸化チタン層の前記発色団層近傍領域の伝導帯のバンドエッジ準位よりも大きい、
    請求項1又は2に記載の光電気化学電池。
  4. 真空準位を基準として、前記発色団のフェルミ準位が、前記酸化チタン層の前記発色団層近傍領域のフェルミ準位よりも小さい、
    請求項1〜3の何れか1項に記載の光電気化学電池。
  5. 前記酸化チタン層が、前記導電体上に配置されたルチル型酸化チタン層と、前記ルチル型酸化チタン層上に配置されたアナターゼ型酸化チタン層とによって形成されており、真空準位を基準として、
    (i)前記ルチル型酸化チタン層のフェルミ準位が、前記アナターゼ型酸化チタン層のフェルミ準位よりも大きく、且つ、
    (ii)前記導電体のフェルミ準位が、前記ルチル型酸化チタン層のフェルミ準位よりも大きい、
    請求項1に記載の光電気化学電池。
  6. 真空準位を基準として、前記発色団のLUMO準位が、前記アナターゼ型酸化チタン層の伝導帯のバンドエッジ準位よりも大きい、
    請求項5に記載の光電気化学電池。
  7. 真空準位を基準として、前記発色団のフェルミ準位が、前記アナターゼ型酸化チタン層のフェルミ準位よりも小さい、
    請求項5又は6に記載の光電気化学電池。
  8. 請求項1〜7の何れか1項に記載の光電気化学電池と、
    前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を貯蔵する蓄電池と、
    前記蓄電池と電気的に接続され、前記蓄電池に貯蔵された電力を熱に変換するヒートポンプシステムと、
    を備えたエネルギーシステム。
  9. 請求項1〜7の何れか1項に記載の光電気化学電池と、
    前記光電気化学電池と電気的に接続され、前記光電気化学電池で発生した電力を用いて水を電気分解して水素を発生させる水素生成器と、
    前記水素生成器と第1の配管によって接続されており、前記水素生成器で生成した水素を貯蔵する水素貯蔵器と、
    前記水素貯蔵器と第2の配管によって接続されており、前記水素貯蔵器に貯蔵された水素を電力に変換する燃料電池と、
    を備えたエネルギーシステム。
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