JP5272299B2 - 半導体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、半導体基板の裏面研削工程によって薄くされた半導体装置およびその製造方法に関する。
ダイオードや絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(以下、IGBTとする)などの電力用半導体装置の製造方法として、以下の方法が公知である。まず、シリコンなどのウェハーを厚いままで用いて半導体素子を製造する。その後、研削およびエッチングによりウェハーを最終厚さに薄くしてから、イオン注入と活性化熱処理を行う(例えば、特許文献1参照。)。近年、このような製造方法が主流になりつつある。
しかし、この製造方法では、研削後の活性化熱処理においては、既にウェハーの、研削された面と反対側の面に電極が形成されているため、この電極材料の融点以下の低温、例えば電極材料がアルミニウムであれば450℃以下の温度で熱処理を行わなければならない。そのため、不純物が十分に活性化されにくい。
そこで、本出願人は、上述した製造方法において、熱処理に代えて、イオン注入面にYAG第2高調波(YAG2ω)のような高エネルギーのレーザ光を照射することによって、イオン注入された不純物を活性化する方法を提案している(例えば、特許文献2、特許文献3参照。)。この方法によれば、レーザ照射面から適当な深さまでの領域にのみエネルギーを与えることができるので、既に形成されている電極に悪影響を及ぼすことなく、不純物を活性化させることができる。
例えば、1200V耐圧クラスのダイオードは、次のようにして作製される。まず、厚さが500μm程度で、比抵抗が60Ωcm程度であるN型FZ(フローティング・ゾーン)シリコン・ウェハーのおもて面にP型アノード層やアノード電極となるアルミニウム電極を形成する。次いで、ウェハーの裏面からグラインドを行い、ウェハーの厚さを140μmにする。次いで、弗硝酸によるウェットエッチングを行って研削面を化学研磨する。次いで、その研磨面に対してリンをイオン注入する。
そして、そのイオン注入面にYAG2ωレーザ光を、エネルギー密度を4J/cm2とし、遅延時間を300nsecにしてダブルパルス法にて照射し、リンを電気的に活性化させることによって、N+カソード層を形成する。ここで、ダブルパルス法とは、レーザ光の照射エリアごとに、複数のレーザ照射装置から所定の遅延時間だけ照射タイミングをずらして複数のパルスレーザを連続的に照射する方法である。ダブルパルス法については、上記特許文献2に詳述されている。
また、ドリフト層の不純物濃度が、その中央付近からアノード層およびカソード層に向かって緩やかに減少するようなプロファイルを有するダイオードや、ドリフト層の中央付近からエミッタ層およびコレクタ層に向かって不純物濃度が緩やかに減少するようなプロファイルを有するIGBTが公知である(例えば、特許文献3、特許文献4参照。)。このような不純物濃度プロファイルを有するダイオードやIGBTは、高速かつ低損失であるという特性と、ソフトリカバリー特性の両方を備えている。
さらに、低濃度のN型半導体基板の一方の端部にP型アノード層を形成するとともに、他方の端部に比較的高濃度のN型カソード層を形成し、アノード層とカソード層との間にi層を形成し、カソード層とi層との間に、カソード層と比較して低濃度のN型不純物層を設けた半導体素子が公知である(例えば、特許文献5参照。)。また、N型内部区域と、この内部区域に続き内部区域内より高いドーピング濃度を持つN型カソード区域と、内部区域に続き内部区域内より高いドーピング濃度を持つP型アノード区域とを備え、内部区域内に内部区域内よりも高いドーピング濃度を持つN型フローティング領域を有するパワーダイオードが公知である(例えば、特許文献6参照。)。
特表2002−520885号公報 特開2005−223301号公報 特開2005−64429号公報 特開2003−318412号公報 特開2000−223720号公報 特開平11−26779号公報
しかしながら、半導体基板の一方の面を研削し、その研削面にダイオードのカソード層やIGBTのコレクタ層を形成する方法で作製されたダイオードやIGBTでは、個々のチップに切断する前のウェハー状態における電気特性の測定において不良品となる確率が高い、すなわち製品歩留まりが低いという問題点がある。例えば、ウェハー状態においてダイオードの逆バイアス電圧1200Vにおける素子の漏れ電流(以下、逆漏れ電流とする)を測定したところ、1μA/cm2以下という判定基準に対して、10μA/cm2以上の素子が多発し、製品歩留まりは60%以下であった。
従来、このような逆漏れ電流が生じるという問題点は指摘されていない。従って、当然のことながら、上記特許文献1〜6では、逆漏れ電流が発生することが全く想定されていない。そのため、上記特許文献1〜6には、逆漏れ電流に関する記載や、その対策に関する記載はない。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するため、半導体基板を研削して薄くし、その研削面にイオン注入と熱的な注入元素の活性化を行うことにより作製される、逆漏れ電流の少ない半導体装置を提供することを目的とする。また、逆漏れ電流の少ない半導体装置を、半導体基板を研削して薄くし、その研削面にイオン注入と熱的な注入元素の活性化を行うことにより作製する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明者は、鋭意研究を行った結果、以下のような知見を得た。半導体基板の研削面(イオン注入面)に傷があったり、研削などによるパーティクルが残っていると、研削面に対してN型不純物であるリンなどが正常にイオン注入されないため、高濃度のカソード層が一様に形成されないことがある。
つまり、パーティクルがあると、そのパーティクルによってリンが遮蔽されてしまい、基板内にリンが十分に注入されないため、高濃度のカソード層が形成されない。また、イオン注入後にその注入面にイオンの飛程以上の傷が入ると、その傷の部分にN+高濃度層が形成されずに基板の露出部分ができてしまう。このような欠陥を有する素子に高い逆バイアス電圧が印加されると、空乏層がN-ドリフト層に広がり、その欠陥箇所で電極に達してしまうため、逆漏れ電流が増加する。本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
の発明にかかる半導体装置は、FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第1導電型の第3半導体層と、前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、を備え、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で、前記第1電極と前記第2電極との間に印加された逆バイアス電圧が素子の耐圧値になるときの臨界積分濃度となることを特徴とする。
た、この発明にかかる半導体装置は、FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第1導電型の第3半導体層と、前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、を備え、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、電荷素量をqとし、前記第1半導体層の誘電率をεsとし、前記第1半導体層の臨界電界強度をECとしたときに、臨界積分濃度nCはnC=εs・EC/qを満たし、前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で前記臨界積分濃度nCとなることを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第4半導体層の濃度が1×1014atoms/cc以上で、かつ1×1015atoms/cc以下であることを特徴とする。
の発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが0.1μm以上であることを特徴とする。
上述した発明によれば、逆バイアス電圧として最大電圧となる耐圧が印加されると、空乏層は、第1半導体層中に広がり、第4半導体層に到達するが、第4半導体層の途中で止まるので、第3半導体層に到達しない。従って、漏れ電流を抑制できる。
の発明にかかる半導体装置の製造方法は、FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面に拡散により形成された第1導電型の第3半導体層と、第1導電型の第4半導体層と、を備え、前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、を備え、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚い半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の前記第1半導体層となり、かつ前記第1半導体層中の第1導電型を示す元素の濃度が、同第1半導体層を構成する半導体材料の固溶限界未満の固溶度である第1導電型半導体基板を用い、前記第1半導体層のおもて面の表面層に第2導電型の前記第2半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の裏面の表面層を研削して前記第1半導体層を露出させた状態で前記半導体基板を所望の厚さにする工程と、前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の前記第4半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層に接する前記第1電極を形成する工程と、前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の前記第3半導体層を前記第4半導体層よりも浅く形成する工程と、前記第3半導体層に接する前記第2電極を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第2半導体層を形成した後、前記半導体基板にプロトンを照射して前記第1半導体層中にプロトンを導入する工程をさらに含むことを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体基板を研削する前に、前記プロトンを導入する工程を行うことを特徴とする。
の発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3半導体層を形成する工程では、研削により露出した面に第1導電型不純物をイオン注入し、そのイオン注入面にレーザ光を照射することによって、注入された不純物を電気的に活性化させることを特徴とする。
この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体基板を研削する工程では、研削後にウェットエッチングを行って、研削により露出した面を3μm以上20μm以下の厚さで除去することによってストレスを除去することを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記ウェットエッチングのエッチングレートが0.25〜0.45μm/secであることを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置は、FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第2導電型の第3半導体層と、前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、前記第1半導体層の一方の主面側に主たる電流を制御する金属−酸化膜−前記FZ半導体基板からなるMOSゲート構造と、を備え、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、電荷素量をqとし、前記第1半導体層の誘電率をεSとし、前記第1半導体層の臨界電界強度をECとしたときに、臨界積分濃度nCはnC=εs・EC/qを満たし、前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で前記臨界積分濃度nCとなる半導体装置を製造するにあたって、第1導電型の第1半導体層となり、かつ前記第1半導体層中の第1導電型を示す元素の濃度が、同第1半導体層を構成する半導体材料の固溶限界未満の固溶度である第1導電型半導体基板を用い、前記第1半導体層のおもて面の表面層に第2導電型の第2半導体層を形成する工程と、前記第1半導体層の裏面の表面層を研削して前記第1半導体層を露出させた状態で前記半導体基板を所望の厚さにする工程と、前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の第4半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層に接する第1電極を形成する工程と、前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第2導電型の第3半導体層を前記第4半導体層よりも浅く形成する工程と、前記第3半導体層に接する第2電極を形成する工程と、を含み、前記第2半導体層を形成した後、前記半導体基板を研削する前に、前記半導体基板にプロトンを照射して前記第1半導体層中にプロトンを導入する工程をさらに含むことを特徴とする。
た、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第3半導体層を形成する工程では、研削により露出した面に第2導電型不純物をイオン注入し、そのイオン注入面にレーザ光を照射することによって、注入された不純物を電気的に活性化させることを特徴とする。また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記半導体基板を研削する工程では、研削後にウェットエッチングを行って、研削により露出した面を3μm以上20μm以下の厚さで除去することによってストレスを除去することを特徴とする。上述した発明によれば、第1半導体層と第3半導体層の間に第4半導体層が形成される。従って、逆バイアス電圧として最大電圧となる耐圧が印加されたときの漏れ電流が少ない半導体装置が得られる。
本発明にかかる半導体装置によれば、半導体基板を研削して薄くし、その研削面にイオン注入と熱的な注入元素の活性化を行うことにより作製される半導体装置の逆漏れ電流を少なくすることができるという効果を奏する。また、本発明にかかる半導体装置の製造方法によれば、逆漏れ電流の少ない半導体装置を、半導体基板を研削して薄くし、その研削面にイオン注入と熱的な注入元素の活性化を行うことにより作製することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置およびその製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、NまたはPを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、Nに付す+および−は、それぞれ相対的に不純物濃度が高いまたは低いことを意味する。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる半導体装置の構成を示す断面図である。図1に示すように、実施の形態1の半導体装置は、例えば、第1半導体層であるN-ドリフト層1、第2半導体層であるPアノード層2、第3半導体層であるN+カソード層3、第4半導体層であるNカソードバッファ層4、第1電極であるアノード電極5、および第2電極であるカソード電極6を備えたダイオード100である。
Pアノード層2は、N-ドリフト層1の一方の主面側でN-ドリフト層1に接して設けられている。N+カソード層3は、N-ドリフト層1の他方の主面側に設けられている。Nカソードバッファ層4は、N-ドリフト層1とN+カソード層3との間に設けられており、N-ドリフト層1とN+カソード層3の両方に接している。
すなわち、N+カソード層3、Nカソードバッファ層4、N-ドリフト層1およびPアノード層2がこの順に積層された構造となっている。Pアノード層2およびN+カソード層3は、ともにN-ドリフト層1よりも不純物濃度が高い。Nカソードバッファ層4の不純物濃度は、N-ドリフト層1よりも高く、かつN+カソード層3よりも低い。
また、N-ドリフト層1およびNカソードバッファ層4中のN型を示す元素の濃度は、N-ドリフト層1およびNカソードバッファ層4の半導体材料、例えばシリコンの固溶限界未満の固溶度である。例えば、カソードバッファ層4の濃度は、1×1014atoms/cc以上で、かつ1×1015atoms/cc以下であるのが適当である。
Nカソードバッファ層4の、N-ドリフト層1の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さは、N+カソード層3の同方向における厚さよりも厚い。例えば、Nカソードバッファ層4の厚さは、0.1μm以上であるのが適当である。望ましくは、Nカソードバッファ層4の厚さが10μm以上であるとよい。
アノード電極5は、Pアノード層2の表面に接して設けられており、Pアノード層2に電気的に接続する。アノード電極5とN-ドリフト層1とは、絶縁膜7により絶縁されている。カソード電極6は、N+カソード層3の表面に接して設けられており、N+カソード層3に電気的に接続する。
次に、実施の形態1にかかるダイオードの製造方法について説明する。図2は、実施の形態1にかかるダイオード100の製造プロセスを示す要部断面図である。ここでは、一例として、1200Vクラスの耐圧で、150A定格電流となるように、チップサイズを10mm×10mmに設定して作成する場合について説明する。なお、チップサイズは、耐圧と定格電流の設定に応じて種々変更可能である。
まず、図2において符号200で示すように、出発ウェハーとして、含有するリンの濃度が5×1014atoms/ccであり、比抵抗が9.1Ωcmである例えば5インチ径のN型FZもしくはCZウェハー201を用意する。このN型FZもしくはCZウェハー201は、ダイオード100のNカソードバッファ層4となる。以下、FZウェハーに限定して記述するが、CZウェハーでもかまわない。
次いで、符号210で示すように、N型FZウェハー201のおもて側に、リンの濃度が8.0×1013atoms/ccであり、比抵抗が57ΩcmであるN型エピタキシャル層202を成長させる。このN型エピタキシャル層202は、ダイオード100のN-
ドリフト層1となる。このエピタキシャルウェハーを半導体基板として用いる。符号220は、この半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号230で示すように、標準的なダイオードのプロセス工程を行って、N-ドリフト層1(N型エピタキシャル層202)の表面に、不純物濃度が5×1016atoms/ccで、深さが3μmであるPアノード層2と、図示しないガードリングエッジ構造を形成する。さらに、Pアノード層2の表面に絶縁膜7を設け、その絶縁膜7にコンタクトホールを開口し、Pアノード層2にオーミック接触するアノード電極5を例えばAlSi1%で形成する。
その後、半導体基板に電子線を、加速電圧を4.8MeVとし、線量を180kGyとして照射し、357℃で1時間の熱処理を行う。次いで、N型FZウェハー201の露出面、すなわちN型エピタキシャル層202が積層されていない側の面に対して研削を行い、全体の厚さを160μmに減厚する。その後、弗硝酸を用いてその研削面をウェットエッチングし、最終的な厚さを140μmにする。このウェットエッチングによって、研削によるストレスが除去される。
この段階におけるN-ドリフト層1およびNカソードバッファ層4の厚さは、それぞれ120μmおよび20μmである。この研削および研磨の工程では、研磨後にNカソードバッファ層4が所望の厚さで残るようにする必要がある。ここでは、研削面を20μmの厚さ分だけ除去するとしたが、除去する厚さは3〜20μm程度であるのが適当である。
次いで、研磨後に露出しているNカソードバッファ層4の表面層にリンを、加速電圧を45keVにして1×1015atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。その後、そのイオン注入面にYAG第2高調波レーザ光をダブルパルス法にて照射する。その際、レーザ光の照射エリアごとに、レーザ光のエネルギー密度を合計で例えば4J/cm2とし、ダブルパルスの遅延時間を例えば300nsecとする。
このレーザ照射によって、Nカソードバッファ層4の表面層に注入されたリンが活性化し、N+カソード層3ができる。最後に、N+カソード層3の表面にTi、NiおよびAuの順で金属を成膜し、N+カソード層3にオーミック接触するカソード電極6を形成し、ダイオード100が完成する。符号240は、完成したダイオード100の不純物濃度のプロファイルを示す。
次に、実施の形態1にかかるダイオードの各部の寸法およびドーピング濃度について説明する。図3は、上述した製造プロセスにより作製されたダイオードの寸法およびドーピング濃度の一例を示す説明図である。図3には、ダイオードの要部断面図300、ネットドーピング濃度の分布図310、およびネットドーピング積分濃度の分布図320が示されている。ネットドーピング積分濃度とは、Pアノード層2とN-ドリフト層1とのPN接合からN+カソード層3に向かって、N-ドリフト層1およびNカソードバッファ層4のネットドーピング濃度を積分したものである。分布図310,320の横軸は、ダイオードの要部断面図300に対応している。
図3に示すように、Pアノード層2とN-ドリフト層1とのPN接合を基準にして、N-ドリフト層1とNカソードバッファ層4との界面までの距離をX1とし、N+カソード層3とカソード電極6との界面までの距離をXkとすると、例えばX1およびXkはそれぞれは120μmおよび140μmである。また、N-ドリフト層1とN+カソード層3との間の距離をX4とすると、例えばX4は19.5μmである。
アノード・カソード間に逆バイアス電圧が印加され、その逆バイアス電圧が素子の耐圧値になるときの臨界積分濃度をncとすると、ncは、ポアソンの式から次式で表される。ただし、εsは半導体の誘電率であり、qは電荷素量であり、Ecは半導体の絶縁破壊電界強度である。
c=εs・Ec/q
ネットドーピング積分濃度の分布図320に示すように、Nカソードバッファ層4においてネットドーピング積分濃度がncになるように、Nカソードバッファ層4の厚さと濃度(分布)を調整する。Ecの値は、シリコンでは約3×105V/cmであり、SiCでは約3×106V/cmであり、ダイヤモンドでは約5×106V/cmであり、GaNでは約3×106V/cmである。
シリコン半導体を用いてダイオード100を形成する場合には、ncの値は、約1.3×1012atoms/cm2である。従って、Nカソードバッファ層4の途中で、ネットドーピング積分濃度が約1.3×1012atoms/cm2になるように、Nカソードバッファ層4の厚さと濃度(分布)を調整する。
ここで、半導体基板を100μm程度の厚さに薄く研削し、その研削面にN+カソード層3とカソード電極6を形成する製造プロセスの場合、不純物や欠陥などが素子の特性に影響を及ぼさないようにすることが重要である。そのためには、逆バイアス電圧として最大電圧となる耐圧が素子に印加されたときに、空乏化が十分でない領域、すなわち中性領域がN+カソード層3よりもN-ドリフト層1側に残るようにして、空乏層がN+カソード層3に到達しないようにすればよい。
上述したような製造プロセスによって形成されるN+カソード層3の厚さは、N+カソード層3の表面から1μm以下であり、基板全体の厚さの1/100に満たないほどに薄くなる。このような薄い層を不純物のイオン注入とその活性化処理によって形成するプロセスの場合、例えばイオン注入時にイオン注入面に付着したパーティクルによって不純物の注入が妨げられたり、電極形成時やウェハー搬送時にイオン注入面に傷などがつくことによって、N+カソード層3の形成が完全ではない部分が生じやすくなる。
+カソード層3にこのような不完全な部分があると、N+カソード層3の濃度が低くなる。従って、Nカソードバッファ層4のない素子の場合、素子に耐圧程度の高い逆バイアス電圧が印加されると、N+カソード層3で空乏層の広がりを止めることができず、空乏層がカソード電極6に達してしまう。そのため、逆漏れ電流が増加し、デバイスの製造歩留まりが低下することになる。
それに対して、実施の形態1の場合、Nカソードバッファ層4があり、上述したようにN-ドリフト層1からNカソードバッファ層4に至る不純物濃度の積分値がNカソードバッファ層4の途中で臨界積分濃度ncに達する。従って、耐圧時に、不純物濃度の積分値が臨界積分濃度ncに達する位置までは、空乏化するが、そこからN+カソード層3までの間の領域(図3のネットドーピング濃度の分布図310に太矢印で示す領域)は、空乏化しないで、中性領域となる。つまり、Nカソードバッファ層4によって、空乏層の拡張をN+カソード層3からある程度の距離だけアノード側で止めることができるので、空乏層がN+カソード層3に達するのを防ぐことができる。
次に、実施の形態1にかかるダイオードの厚さについて説明する。図4は、実施の形態1にかかるダイオードのデバイス最終厚さに対する良品率の関係を示す特性図である。図4において、Xcは、ダイオード100のPN接合面から、不純物濃度の積分値が臨界積分濃度ncに達する位置までの距離であり、例えば図3に示す例では127μmである。デバイス厚さがXc〜1.4XcではNカソードバッファ層4があるが、0.8Xcおよび0.9XcではNカソードバッファ層4はない。
また、図4では、アノード電極5とカソード電極6の間に1200Vの逆バイアスを印加し、逆漏れ電流の電流密度が1μA/cm2以下であれば良品であるとし、1μA/cm2を超えたものを不良品としている。図4より、デバイス厚さがXc以上の場合には、良品率がほぼ99%と十分に高いが、それに比べて、デバイス厚さがXcに満たない場合には、良品率が46〜68%と著しく低いことがわかる。
この結果は、Nカソードバッファ層4があることによって、上述したイオン注入時のドーパントの遮蔽やイオン注入面の傷などの影響を受けないことを示している。デバイス厚さがXc以上、すなわちNカソードバッファ層4があれば、その厚さが例えば1μm程度でも、90%以上の良品率が得られるが、望ましくは10μm以上の厚さのNカソードバッファ層4を形成するとよい。
上記特許文献4に開示されているような従来例では、Nカソードバッファ層4は形成されていない。Nカソードバッファ層4が形成されていなくても、デバイスがある程度厚ければ、N+カソード層3に達する前に空乏層の拡張を止めることができる。しかし、この場合には、損失特性が問題となる。
そこで、次に、実施の形態1にかかるダイオード(以下、実施例とする)と、3つの従来構成のダイオード(以下、従来例1、従来例2および従来例3とする)を比較した結果について説明する。実施例は、図3に示す寸法および濃度のダイオード100であり、図2の製造プロセスによって実施例のダイオードを作製した。従来例1と従来例2は、上記特許文献4に開示されているような従来構成のダイオードである。従来例3は、基板としてFZウェハーに高濃度のリンを拡散させたウェハーを用いた従来構成のダイオードである。
従来例1のダイオードの寸法およびドーピング濃度を図5に示す。図5において、符号500、501、502および503はそれぞれ従来例1のダイオード、N-ドリフト層、Pアノード層およびN+カソード層である。従来例1では、出発ウェハーとして、濃度が8×1013atoms/ccである、実施例よりも低濃度のN型FZウェハーを用いた。そして、このFZウェハーを半導体基板とし、実施例と同様に、半導体基板のおもて面の形成プロセスを行い、電子線照射および熱処理を行った。その後、同半導体基板の裏面を研削して基板厚さを160μmとし、弗硝酸のウェットエッチングを行って、最終的な厚さが140μmのダイオード500を作製した。
従来例2のダイオードの寸法およびドーピング濃度を図6に示す。図6において、符号600、601、602および603はそれぞれ従来例2のダイオード、N-ドリフト層、Pアノード層およびN+カソード層である。従来例2では、出発ウェハーとして、濃度が2×1018atoms/cc以上の固溶限界までアンチモンを含むN型CZ(チョクラルスキー)ウェハーを用いた。
そして、このCZウェハーのおもて面に、リン濃度が1.5×1014atoms/ccである第1のエピタキシャル層を70μmの厚さに成長させ、さらにリン濃度が8×1013atoms/ccである第2のエピタキシャル層を70μmの厚さに成長させて、エピタキシャル層の合計の厚さを140μmとした。このエピタキシャルウェハーを半導体基板として用い、半導体基板のおもて面の構造については、実施例および従来例1と同じ方法、同じ条件により作製した。
ただし、半導体基板のおもて面にアノード電極となるAlSi1.0%を成膜する前に、基板裏面を研削して全体の厚さを350μmにした。その後、研削面に砒素を1.0×1015atoms/cm2のドーズ量でイオン注入し、1000℃で30分の熱処理を行った。これは、N+カソード層603と図示しないカソード電極のコンタクト抵抗を低くするためである。最後に、N+カソード層603の表面にTi、NiおよびAuの順で金属を成膜し、カソード電極を形成した。
従来、従来例2のように固溶限界の濃度のアンチモンや砒素を含むN型CZウェハーを基板として用いる理由は、以下の通りである。従来例2のダイオード600では、N+カソード層603としてN型CZウェハーの部分が200μm以上の厚さで残る。電流導通時には、多数キャリアである電子がN+カソード層603をその厚さ方向に流れるため、この部分の抵抗成分により電圧降下が生じる。
アンチモンの濃度が2×1018atoms/cc以上であるときの抵抗値は約0.05mΩであるので、定格電流150Aでは10mV以上の電圧降下が生じることになる。この電圧降下をできるだけ小さくするためには、N+カソード層603の抵抗分、すなわちCZウェハーの抵抗を低減する必要がある。そのために従来の素子では、固溶限界の濃度のアンチモンなどを含むウェハーが用いられている。
ここで、固溶限界の濃度についてであるが、理論的には、この濃度は一義的に決まる。しかし、実際の製造では、製造時の温度等の工程ばらつきを反映して、一定の濃度にはならず、ある程度の幅を持つ。例えば、アンチモンを含むCZシリコン・ウェハーの場合、実際の基板中のアンチモン濃度(室温)は、5×1017〜2×1018atoms/cc程度の幅を持つ。これは、アンチモンの偏析係数が0.023と1よりも非常に低く、CZウェハー中のアンチモン濃度分布が不均一分布になりやすいことによる。よって、固溶限界濃度(固溶度)とは、広義には、およそ50%程度の幅をもち、約5×1017atoms/cc以上の濃度を示すことと本件では定義する。従って、本発明の場合、第4半導体層のN型元素の濃度は、まずは、この広義の固溶限界濃度より低いことが望ましく、アンチモンの場合、少なくとも5×1017atoms/ccよりも低いことが望ましい。
従来例3のダイオードの寸法およびドーピング濃度を図7に示す。図7において、符号700、701、702および703はそれぞれ従来例3のダイオード、N-ドリフト層、Pアノード層およびN+カソード層である。従来例3では、半導体基板としてリンの濃度が5×1013atoms/ccであり、厚さが250μmであるN型FZウェハーを用いた。そして、この半導体基板の裏面から高濃度のリンを1300℃で100時間の拡散条件で深く拡散させた。このときの基板裏面側のリンの表面濃度は約1×1020atoms/ccであり、拡散深さは170μmであった。
次いで、実施例および従来例1と同様にして半導体基板のおもて面の構造を作製した。最後に、N+カソード層703の表面にTi、NiおよびAuの順で金属を成膜し、図示しないカソード電極を形成した。その際、従来例3では、基板裏面の研削などを行わず、半導体基板の厚さが250μmのまま、カソード電極の形成を行った。
従来例1は、製造プロセスの最終段階でウェハーの厚さが100μm程度と薄くなり、ハンドリングが困難であるため、一般的には従来例2または従来例3の構造が用いられていた。しかし、近年、薄いウェハーのハンドリング技術や加工技術の向上に伴い、スイッチング損失では有利な従来例1が多く用いられるようになった。
図8は、上述した実施例および従来例1〜3の順電圧−逆回復損失のトレードオフ特性を示す特性図である。図8から明らかなように、最も損失特性が優れているのは実施例である。従来例1と従来例2の損失は、従来例3の損失よりも低いが、実施例の損失よりも5〜10%ほど高い。これは、実施例には、N-ドリフト層1の平均濃度よりも高濃度のNカソードバッファ層4が設けられているからである。
図9は、上述した実施例および従来例1〜3の導通時のキャリア分布を示すシミュレーション結果を示す図である。図9において、太い実線、破線、一点鎖線および点線はそれぞれ実施例の導通時のキャリア分布、従来例1の導通時のキャリア分布、従来例2の導通時のキャリア分布、および従来例3の導通時のキャリア分布を示す。また、図9において、細い実線、破線、一点鎖線および点線はそれぞれ実施例の図3の濃度分布、従来例1の図5の濃度分布、従来例2の図6の濃度分布、および従来例3の図7の濃度分布に相当する。
図9に示すように、従来例1のダイオード500では、導通時の余剰キャリアは、ほとんど基板厚さの140μm分だけ変調している。それに対して、実施例のダイオード100では、Nカソードバッファ層4(図9上段のダイオード100では図示省略されている)の20μmの厚さ分が高濃度であるので、濃度変調領域は、実質的にN-ドリフト層1の厚さ120μmの部分のみとなる。このように、N-ドリフト層1の実効的な厚さが低減されることにより、実施例の損失の方が従来例1の損失よりも10%ほど小さくなる。
従来例2のダイオード600では、N+カソード層603が高濃度(約2×1018atoms/cc)であるので、導通時やスイッチングの損失特性を決めるのは、低濃度エピタキシャル層、すなわちN-ドリフト層601の厚さ120μmの部分である。しかし、N-ドリフト層601とN+カソード層603の境界から図示しないカソード電極側へ数十μm程度、余剰キャリアが残っている領域があるため、従来例2の損失は、実施例の損失よりも5%ほど大きい。
従来例3のダイオード700では、逆回復損失が実施例よりも44%ほど大きい。これは、図9に示すように、高濃度拡散層、すなわちN+カソード層703の濃度分布が実施例、従来例1および従来例2の各濃度分布よりも緩やかに変化していることにより、余剰キャリアの変調領域が実施例、従来例1および従来例2よりも20%ほど長いからである。
図10および図11は、それぞれ実施例および従来例3の微小電流逆回復波形を示す波形図である。なお、いずれにおいても、遮断電流を定格電流の1/10となる20Aとした。図10に示すように、実施例のダイオード100では、DCバス電圧が900V(定格電圧1200Vの約75%)で発振せずにソフトリカバリー特性となっている。
それに対して、図11に示すように、従来例3のダイオード700では、急峻なサージ電圧とともに発振している。このようなスナッピーな波形となるのは、従来例3では、アノード側の厚さ80μmの部分が高抵抗となり、逆回復時の空間電荷領域の拡張幅が実施例よりも20%ほど大きくなるため、キャリアが掃き出されて枯渇するからである。なお、従来例1と従来例2の微小電流逆回復波形は実施例の波形と同じである。
次に、Nカソードバッファ層4の濃度を注意深く調整する必要があるので、Nカソードバッファ層4の濃度について説明する。図12は、実施例のダイオード100におけるNカソードバッファ層4の平均濃度に対する耐圧の関係を示す特性図であり、図13は、その模式図である。図13では、Nカソードバッファ層4の幅X4の部分の平均濃度N4mを、Nd(約8×1013atoms/cc)から20Nd(約1.6×1015atoms/cc)まで変えている。
ここで、Ndは、N-ドリフト層1の濃度をPN接合から距離X1まで積分した値を、X1にて平均した値である。実施例のダイオード100では、Ndは、N-ドリフト層1の濃度と同じ8×1013atoms/ccである。Nカソードバッファ層4の平均濃度N4mがドリフト層と同じNdである場合は、従来例1に相当し、その耐圧は図12に示すようにB
Vk(=1430V)である。
Nカソードバッファ層4の平均濃度N4mを高くしていくと、N4mが20Nd以上になると耐圧が減少し、BV0まで下がる。このBV0は、Nカソードバッファ層4の濃度が十分高いときの耐圧値であり、1250Vである。Nカソードバッファ層4の濃度が十分高い場合は、従来例2に相当する。つまり、Nカソードバッファ層4の濃度が20Nd以上になると、従来例2と同程度まで耐圧が低下する。従って、Nカソードバッファ層4の濃度は、望ましくはNd以上で20Nd以下であるのがよい。
次に、基板裏面の研削によって基板を薄くする工程について詳細に説明する。まず、シリコン基板の裏面を砥粒スラリーを用いて機械的に削り(バックグラインド)、全体の厚さを160μm程度にする。次いで、化学エッチング(ウェットエッチング)、化学的機械的ポリッシング(CMP)またはドライポリッシュのいずれかを行うか、あるいはそれらを適宜組み合わせて行い、基板裏面の研削面を3〜20μmの厚さで除去することによって、基板裏面の研削によってできた研削歪などのストレス層を除去する。上記実施例のダイオード100では、ストレス除去のために研削面を20μmの厚さで除去し、最終的に全体の厚さを140μmにしている。
ストレス除去の際に化学エッチングを行う場合には、回転台にシリコン基板を吸着保持させ、シリコン基板を回転させながら、エッチングレートを制御した弗酸、硝酸系のエッチング液をかけてエッチングを行う。その際、エッチング液を循環させて利用する。
化学エッチングによるストレス除去時のエッチングレートに対する逆耐圧良品率の関係を調べたので、その結果について説明する。図14は、エッチングレートに対する逆耐圧良品率の関係を示す特性図である。図14に示すように、エッチングレートを0.25〜0.45μm/secにしてエッチング処理を行うと、エッチングされた面の状態が良好になり、逆耐圧良品率(定格電圧以上)が90%以上になる。それに対して、エッチングレートが0.25μm/sec以下である場合には、エッチングされた面に鋭い凹凸が生じるため、逆耐圧良品率が低下する。
一方、エッチングレートが0.45μm/sec以上である場合には、エッチングされた面にムラが発生し、その面の平面性(平坦度)が均一でなくなり、良品率が低下する。従って、エッチング液の初期においては、エッチングレートを0.45μm/sec程度とし、エッチングレートが0.25μm/secとなった時点でエッチング液を交換するようにするのが好ましい。
また、化学エッチングによるストレス除去時のエッチング量に対する逆耐圧良品率の関係を調べたので、その結果について説明する。図15は、エッチング量に対する逆耐圧良品率の関係を示す特性図である。図15に示すように、エッチング量を3μm以上にすると逆耐圧良品率が90%以上になる。それに対して、エッチング量が3μm未満である場合には、基板裏面の研削により生じたストレス層を充分に除去することができないため、良品率が低下する。従って、研削により生じたストレス層を除去する際には、基板裏面の研削面を3〜20μmの厚さで除去するとよい。
実施の形態1によれば、ダイオード100に逆バイアスが印加されると、空乏層は、N-ドリフト層1に広がり、Nカソードバッファ層4に到達するが、Nカソードバッファ層4の途中で止まるので、N+カソード層3には到達しない。従って、ダイオード100に逆漏れ電流が流れるのを抑制できる。また、半導体基板を研削して薄くし、その研削面にイオン注入と熱的な注入元素の活性化を行うことにより、逆漏れ電流の少ないダイオード100を作製することができる。
実施の形態2.
実施の形態2は、図1に示すダイオード100を実施の形態1とは異なる手順で作製するものである。実施の形態2のダイオードの構成は、図1に示す実施の形態1のダイオード100の構成と同じである。以下の説明においては、実施の形態1と重複する説明を省略する。
図16は、実施の形態2のダイオードのドーピング濃度の一例を示す説明図である。図16に示すように、実施の形態2では、Nカソードバッファ層4の濃度の分布は、実施の形態1のように一様ではなく、例えばカソード側からアノード側へ向かって徐々に低くなる。このような濃度分布を有するNカソードバッファ層4は、後述するように、例えばカソード側からセレン(Se)を拡散させることによって形成される。なお、図16において、矢印でSeと指し示しているのは、その部分(Nカソードバッファ層4)のドーパントがセレンであることを表している。同様に、矢印でPと指し示した部分(N+カソード層3)のドーパントはリンである。
図17および図18は、実施の形態2にかかる製造プロセスを示す要部断面図である。まず、図17において符号1700で示すように、出発ウェハーとして、含有するリンの濃度が8×1013atoms/ccである例えば5インチ径のN型FZウェハー1701を用意する。次いで、符号1710で示すように、N型FZウェハー1701のおもて側にN型エピタキシャル層1702を成長させる。このN型エピタキシャル層1702は、ダイオード100のN-ドリフト層1となる。このエピタキシャルウェハーを半導体基板として用いる。符号1720は、この半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号1730で示すように、標準的なダイオードのプロセス工程を行って、N型エピタキシャル層1702の表面にPアノード層2と図示しないガードリングエッジ構造を形成する。さらに、Pアノード層2の表面に絶縁膜7を設け、その絶縁膜7にコンタクトホールを開口する。符号1740は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
その後、半導体基板に電子線を照射して熱処理を行う。次いで、図18において符号1800で示すように、N型FZウェハー1701の、N型エピタキシャル層1702が積層されていない側の面、すなわち基板裏面に対して研削を行い、全体の厚さを150μmにする。その後、その研削面を弗硝酸でウェットエッチングし、最終的な厚さを130μmにする。実施の形態2では、このウェットエッチングによりN-ドリフト層1が露出することになる。符号1810は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号1820で示すように、基板裏面にセレンを1×1012atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。符号1820で示す断面図において、符号1801の丸印は、注入されたセレンを表す。符号1830は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号1840で示すように、600℃で1時間の熱処理を行う。それによって、注入されたセレン1801が基板裏面からアノード側へ10μm程度の深さまで拡散する。従って、この段階におけるN-ドリフト層1およびNカソードバッファ層4の厚さは、それぞれ120μmおよび10μmである。符号1850は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号1860で示すように、Pアノード層2の表面にAlSi1%のアノード電極5を形成する。その後、基板裏面にリンを、加速電圧を45keVとし、1×1015atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。そして、そのイオン注入面にYAG第2高調波レーザを4J/cm2のエネルギー密度で照射し、注入されたリンを活性化させてN+カソード層3を形成する。
最後に、N+カソード層3の表面にTi、NiおよびAuの順で金属を成膜してカソード電極6を形成し、ダイオード100が完成する。符号1870は、完成したダイオード100の不純物濃度のプロファイルを示す。
実施の形態2によれば、Nカソードバッファ層4にドーパントをイオン注入法により導入するので、Nカソードバッファ層4の濃度を精度よく制御することができる。なお、Nカソードバッファ層4のドーパントがセレンであれば、1000℃での拡散係数が3×10-11cm2/secと高く、10μmほど拡散するので望ましいが、セレンの代わりにリンをドーパントとして用いてもよい。
その場合には、加速電圧を720keVとし、1×1012atoms/cm2のドーズ量でリンをイオン注入すればよい。そうすれば、リンの飛程が0.8μmであり、濃度分布の深さが約1.0μmとなり、分布のピーク濃度が約3×1016atoms/ccとなる。このときのNカソードバッファ層4の不純物濃度の積分値は1.5×1012atoms/cm2となるので、逆バイアス時の空乏層を十分にNカソードバッファ層4で止めることができる。
実施の形態3.
実施の形態3は、図1に示すダイオード100を実施の形態1とは異なる手順で作製するものである。実施の形態3のダイオードの構成は、図1に示す実施の形態1のダイオード100の構成と同じである。以下の説明においては、実施の形態1と重複する説明を省略する。
図19は、実施の形態3のダイオードのドーピング濃度の一例を示す説明図である。図19に示すように、実施の形態3では、実施の形態2と同様に、Nカソードバッファ層4の濃度の分布が例えばカソード側からアノード側へ向かって徐々に低くなっている。また、N-ドリフト層1に、その中央からアノード側およびカソード側へ行くに連れて不純物濃度が低くなるようなブロードバッファ層が形成されている。このようなブロードバッファ層およびその効果については、上記特許文献4に開示されている通りである。
なお、図19において、矢印でSeと指し示しているのは、その部分(Nカソードバッファ層4)のドーパントがセレンであることを表している。同様に、矢印でPと指し示した部分(N+カソード層3)のドーパントはリンである。また、矢印でHと指し示した部分(ブロードバッファ層)のドーパントは軽イオン、例えばプロトンである。
図20〜図22は、実施の形態3にかかる製造プロセスを示す要部断面図である。まず、図20において符号2000で示すように、出発ウェハーとして、含有するリンの濃度が5×1013atoms/ccである例えば5インチ径のN型FZウェハー2001を用意する。次いで、符号2010で示すように、標準的なダイオードのプロセス工程を行って、N型FZウェハー2001のおもて面の表面にPアノード層2と図示しないガードリングエッジ構造を形成する。さらに、Pアノード層2の表面に絶縁膜7を設け、その絶縁膜7にコンタクトホールを開口する。符号2020は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、図21において符号2100で示すように、Pアノード層2の側からプロトンを2×1011atoms/cm2のドーズ量で照射する。符号2100で示す断面図において、符号2002の×印は、N型FZウェハー2001に導入されたプロトンを表す。また、符号2110は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号2120で示すように、N型FZウェハー2001の、Pアノード層2が形成されていない側の面、すなわち基板裏面に対して研削を行い、全体の厚さを150μmにする。その後、その研削面を弗硝酸でウェットエッチングし、最終的な厚さを130μmにする。符号2130は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号2140で示すように、基板裏面にセレン1801を1×1012atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。符号2150は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、図22において符号2200で示すように、600℃で1時間の熱処理を行う。それによって、注入されたセレン1801が基板裏面からアノード側へ10μm程度の深さまで拡散する。また、N型FZウェハー2001に導入されたプロトンがドナー化し、ブロードバッファ層が形成される。従って、この段階において、N-ドリフト層1となるブロードバッファ層の厚さは120μmであり、Nカソードバッファ層4の厚さは10μmである。符号2210は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号2220で示すように、Pアノード層2の表面にAlSi1%のアノード電極5を形成する。その後、基板裏面にリンを、加速電圧を45keVとし、1×1015atoms/cm2のドーズ量でイオン注入する。符号2220で示す断面図において、符号2003の丸印は、注入されたリンを表す。符号2230は、この状態における半導体基板の不純物濃度のプロファイルを示す。
次いで、符号2240で示すように、イオン注入面にYAG第2高調波レーザを4J/cm2のエネルギー密度で照射し、注入されたリン2003を活性化させてN+カソード層3を形成する。最後に、N+カソード層3の表面にTi、NiおよびAuの順で金属を成膜してカソード電極6を形成し、ダイオード100が完成する。符号2250は、完成したダイオード100の不純物濃度のプロファイルを示す。
実施の形態3によれば、Nカソードバッファ層4にドーパントをイオン注入法により導入するので、Nカソードバッファ層4の濃度を精度よく制御することができる。また、エピタキシャル成長を行わずに、ブロードバッファ層を形成することができる。なお、実施の形態2と同様に、Nカソードバッファ層4のドーパントとしてリンを用いてもよい。
上述した実施の形態1〜3では、本発明をダイオードに適用した例について説明したが、本発明は、IGBTにも適用することができる。例えば実施の形態3をFS−IGBT(フィールドストップ型IGBT)に適用した場合、低損失であるだけでなく、発振を抑えたターンオフを実現できる。
これは、ターンオフ時に、素子のおもて面側のPN接合から空間電荷領域が裏面側に向かって拡張するが、ブロードバッファ構造を適用することによって、ダイオードの逆回復と同様に、N-ドリフト層の中間で一旦電界強度を減少させ、空間電荷領域の広がりを抑制することができるからである。その結果、裏面側にキャリアが残存し、キャリが枯渇しないので、ターンオフサージ電圧の急峻な増加を抑えることができる。
通常のNPT−IGBT(ノンパンチスルー型IGBT)やFS−IGBTの製造プロセスには、FZバルクウェハーをその厚さが100μm程度になるまで研削し、その研削面に対してイオン注入を行い、熱処理などを行う工程がある。従って、このような製造プロセスに実施の形態3の製造プロセスを適用することによって、容易にブロードバッファ構造のIGBTを作製することができる。従って、IGBTモジュールを用いたPWMインバータなどの電力変換装置において、過電圧破壊やEMIノイズの発生を抑えることができる。
図23および図24は、上述した実施の形態1〜3のダイオードやFS−IGBTの適用例を示す図である。図23に示すAC−AC用インバータ−コンバーター2300は、効率良く誘導電動機やサーボモータなどを制御することが可能で、産業や電鉄などで広く用いられる。図24に示す力率改善回路(PFC回路)2400は、AC−AC変換の入力電流を正弦波状に制御して波形改善をはかる回路であり、スイッチング電源用に用いられる。
以上説明したように、各実施の形態によれば、逆回復時間および損失が従来よりも大幅に低減し、かつソフトリカバリー特性が向上したダイオードを高い製品歩留まりで作製することができる。また、電気的損失および放射電磁ノイズの低い、環境問題を考慮したIGBTモジュールやIPMを実現できる。
以上において本発明は、上述した実施の形態に限らず、種々変更可能である。例えば、実施の形態中に記載した寸法や濃度などは一例であり、本発明はそれらの値に限定されるものではない。また、各実施の形態では第1導電型をN型とし、第2導電型をP型としたが、本発明は第1導電型をP型とし、第2導電型をN型としても同様に成り立つ。
以上のように、本発明にかかる半導体装置およびその製造方法は、電力用半導体装置に有用であり、特に、高速かつ低損失であるとともに、ソフトリカバリー特性を備えたダイオードまたはIGBTに適している。
実施の形態1にかかる半導体装置の断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の製造プロセスの要部断面図である。 実施の形態1にかかる半導体装置のドーピング濃度の説明図である。 実施の形態1にかかる半導体装置の良品率−デバイス最終厚さの特性図である。 従来例1の寸法およびドーピング濃度の説明図である。 従来例2の寸法およびドーピング濃度の説明図である。 従来例3の寸法およびドーピング濃度の説明図である。 実施例および従来例1〜3の順電圧に対する逆回復損失のトレードオフ特性図である。 実施例および従来例1〜3のキャリア分布のシミュレーション結果を示す図である。 実施例の微小電流逆回復波形図である。 従来例3の微小電流逆回復波形図である。 実施例のカソードバッファ層の平均濃度に対する耐圧の特性図である。 実施例のカソードバッファ層の平均濃度に対する耐圧の特性の模式図である。 ストレス除去時のエッチングレートに対する逆耐圧良品率の特性図である。 ストレス除去時のエッチング量に対する逆耐圧良品率の特性図である。 実施の形態2にかかる半導体装置のドーピング濃度の説明図である。 実施の形態2にかかる半導体装置の製造プロセスの要部断面図である。 図17に続く製造プロセスの要部断面図である。 実施の形態3にかかる半導体装置のドーピング濃度の説明図である。 実施の形態3にかかる半導体装置の製造プロセスの要部断面図である。 図20に続く製造プロセスの要部断面図である。 図21に続く製造プロセスの要部断面図である。 AC−AC用インバータ−コンバーターの回路図である。 力率改善回路の回路図である。
符号の説明
1 第1半導体層
2 第2半導体層
3 第3半導体層
4 第4半導体層
5 第1電極
6 第2電極

Claims (13)

  1. FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、
    前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第1導電型の第3半導体層と、
    前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、
    前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、
    前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、
    前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、
    前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、
    を備え、
    前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、
    前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で、前記第1電極と前記第2電極との間に印加された逆バイアス電圧が素子の耐圧値になるときの臨界積分濃度となることを特徴とする半導体装置。
  2. FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、
    前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第1導電型の第3半導体層と、
    前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、
    前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、
    前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、
    前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、
    前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、
    を備え、
    前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、
    電荷素量をqとし、前記第1半導体層の誘電率をε s とし、前記第1半導体層の臨界電界強度をE C としたときに、臨界積分濃度n C はn C =ε s ・E C /qを満たし、
    前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で前記臨界積分濃度n C となることを特徴とする半導体装置。
  3. 前記第4半導体層の濃度が1×10 14 atoms/cc以上で、かつ1×10 15 atoms/cc以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置。
  4. 前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置。
  5. FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面に拡散により形成された第1導電型の第3半導体層と、第1導電型の第4半導体層と、を備え、前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、を備え、前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚い半導体装置を製造するにあたって、
    第1導電型の前記第1半導体層となり、かつ前記第1半導体層中の第1導電型を示す元素の濃度が、同第1半導体層を構成する半導体材料の固溶限界未満の固溶度である第1導電型半導体基板を用い、前記第1半導体層のおもて面の表面層に第2導電型の前記第2半導体層を形成する工程と、
    前記第1半導体層の裏面の表面層を研削して前記第1半導体層を露出させた状態で前記半導体基板を所望の厚さにする工程と、
    前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の前記第4半導体層を形成する工程と、
    前記第2半導体層に接する前記第1電極を形成する工程と、
    前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の前記第3半導体層を前記第4半導体層よりも浅く形成する工程と、
    前記第3半導体層に接する前記第2電極を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 前記第2半導体層を形成した後、前記半導体基板にプロトンを照射して前記第1半導体層中にプロトンを導入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体基板を研削する前に、前記プロトンを導入する工程を行うことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記第3半導体層を形成する工程では、研削により露出した面に第1導電型不純物をイオン注入し、そのイオン注入面にレーザ光を照射することによって、注入された不純物を電気的に活性化させることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記半導体基板を研削する工程では、研削後にウェットエッチングを行って、研削により露出した面を3μm以上20μm以下の厚さで除去することによってストレスを除去することを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記ウェットエッチングのエッチングレートが0.25〜0.45μm/secであることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
  11. FZ半導体基板からなる第1導電型の第1半導体層と、
    前記第1半導体層よりも高濃度で、かつ前記第1半導体層の一方の主面側で当該第1半導体層に接して設けられた第2導電型の第2半導体層と、
    前記第1半導体層の他方の主面側を研削により減厚した面にイオン注入および活性化により形成された第2導電型の第3半導体層と、
    前記減厚した面にイオン注入および熱処理により形成された第1導電型の第4半導体層と、を備え、
    前記第3半導体層は、前記第1半導体層よりも高濃度であり、
    前記第4半導体層は、前記第1半導体層と前記第3半導体層の間に位置し、かつ前記第1半導体層よりも高濃度で前記第3半導体層よりも低濃度であり、
    前記第2半導体層に電気的に接続する第1電極と、
    前記第3半導体層に電気的に接続する第2電極と、
    前記第1半導体層の一方の主面側に主たる電流を制御する金属−酸化膜−前記FZ半導体基板からなるMOSゲート構造と、
    を備え、
    前記第4半導体層の、前記第1半導体層の一方の主面から他方の主面に向かう方向における厚さが、前記第3半導体層の同方向における厚さよりも厚く、
    電荷素量をqとし、前記第1半導体層の誘電率をε S とし、前記第1半導体層の臨界電界強度をE C としたときに、臨界積分濃度n C はn C =ε s ・E C /qを満たし、
    前記第2半導体層と前記第1半導体層とのpn接合から前記第3半導体層に向かってネットドーピング濃度を積分した値が、前記第4半導体層の中で前記臨界積分濃度n C となる半導体装置を製造するにあたって、
    第1導電型の第1半導体層となり、かつ前記第1半導体層中の第1導電型を示す元素の濃度が、同第1半導体層を構成する半導体材料の固溶限界未満の固溶度である第1導電型半導体基板を用い、前記第1半導体層のおもて面の表面層に第2導電型の第2半導体層を形成する工程と、
    前記第1半導体層の裏面の表面層を研削して前記第1半導体層を露出させた状態で前記半導体基板を所望の厚さにする工程と、
    前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第1導電型の第4半導体層を形成する工程と、
    前記第2半導体層に接する第1電極を形成する工程と、
    前記第1半導体層の研削により露出した面の表面層に第2導電型の第3半導体層を前記第4半導体層よりも浅く形成する工程と、
    前記第3半導体層に接する第2電極を形成する工程と、
    を含み、
    前記第2半導体層を形成した後、前記半導体基板を研削する前に、前記半導体基板にプロトンを照射して前記第1半導体層中にプロトンを導入する工程をさらに含む半導体装置の製造方法。
  12. 前記第3半導体層を形成する工程では、研削により露出した面に第2導電型不純物をイオン注入し、そのイオン注入面にレーザ光を照射することによって、注入された不純物を電気的に活性化させることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
  13. 前記半導体基板を研削する工程では、研削後にウェットエッチングを行って、研削により露出した面を3μm以上20μm以下の厚さで除去することによってストレスを除去することを特徴とする請求項11または12に記載の半導体装置の製造方法。
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