JP5267860B2 - サーミスタ素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車関係等の温度計測に用いられるサーミスタ素子及びその製造方法に関する。
一般に、自動車エンジン周りの触媒温度や排気系温度等を計測する温度センサとして、サーミスタ温度センサが採用されている。このサーミスタ温度センサに用いられるサーミスタ素子は、例えば、上記自動車関連技術、情報機器、通信機器、医療用機器、住宅設備機器等の温度センサとして利用され、大きな負の温度係数を有する酸化物半導体の焼結体の素子を用いている。
近年、室温から高温まで測定可能なサーミスタ素子の要求が増えている。特に、自動車エンジン周りの触媒温度等を測定するには、900℃付近の高温まで測定可能なサーミスタ素子が求められている。このような高温まで測定可能なサーミスタ素子材料としては、例えば非特許文献1や特許文献1に記載されているように、Y(Cr,Mn)O系ペロブスカイト酸化物が知られている。
しかしながら、室温付近から900℃付近まで測定可能である反面、高温域での抵抗の変化が小さいため、測定精度が悪くなるといった問題があった。そこで、高温域での感度を向上させる目的で、例えば特許文献2には、2種以上の異なる抵抗値とB定数とを有する材料を積層させたサーミスタ構造が提案されている。この技術では、2種以上の材料を組み合わせることで広い温度範囲で所望の特性を得ることが可能になる。
倉野、「NOx触媒制御用触媒温センサの開発」、デンソーテクニカルレビュー、Vol.5、No.2、2000 特許第3362651号公報 特開平5−34208号公報
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、サーミスタ材料の異種材料を積層した構造を採用した場合、異種材料接合による熱膨張係数の違いや界面の密着性不足から熱衝撃時に接合した層が剥離してしまう等の不都合があった。
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、異種材料を積層させた構造としても熱衝撃に対して剥離を抑制することができるサーミスタ素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のサーミスタ素子は、2種以上の材料からなる混合焼結体で構成された第1のサーミスタ層と、該第1のサーミスタ層に積層され2種以上の材料からなると共に前記第1のサーミスタ層と異なる抵抗値及びB定数を有する混合焼結体で構成された第2のサーミスタ層と、前記第1のサーミスタ層及び前記第2のサーミスタ層の両方に一端部が接続された一対のリード線と、を備え、前記第1のサーミスタ層及び前記第2のサーミスタ層が、互いに共通する1種以上の材料を有していることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子では、積層された第1のサーミスタ層及び第2のサーミスタ層が、互いに共通する1種以上の材料を有しているので、相互に熱膨張係数が近くなると共に、共通する材料がバインダー的な役割を担って接合強度を向上させることができる。なお、上記共通する材料の割合を増やすことにより、より熱膨張係数を近づけることができると共に接合強度を高めることができる。
また、本発明のサーミスタ素子は、前記第1のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(CrMn1−x)O+zYで示される複合酸化物であり、前記第2のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(CrMn1−y)O+zY(ただし、x≠y)で示される複合酸化物であることを特徴とする。すなわち、このサーミスタ素子では、第1のサーミスタ層及び第2のサーミスタ層が、互いにY(Cr,Mn)O系ペロブスカイト酸化物のサーミスタ材料であると共に共通する材料としてYを採用するので、900℃付近の高温まで測定可能であり、さらに熱膨張係数が近くなると共に高い接合強度を得ることができる。さらに、絶縁性材料であるYの量により、バインダー的効果だけでなく、抵抗値の調整も行うことができる。
本発明のサーミスタ素子の製造方法は、2種以上の材料からなる混合仮焼粉をスラリー状にしてから第1グリーンシートに成形する第1グリーンシート形成工程と、焼結されると前記第1グリーンシートの焼結体と異なる抵抗値及びB定数を有する2種以上の材料からなる混合仮焼粉をスラリー状にしてから第2グリーンシートに成形する第2グリーンシート形成工程と、前記第1グリーンシートと前記第2グリーンシートとを互いに積層して積層シートとする積層シート形成工程と、一対のリード線を前記第1グリーンシート及び前記第2グリーンシートの両方に一端部を接続させた状態で前記積層シートを焼成して第1のサーミスタ層と第2のサーミスタ層とが積層されたサーミスタ素子を作製する焼成工程と、を有し、前記第1グリーンシート及び前記第2グリーンシートが、互いに共通する1種以上の材料を含んでいることを特徴とする。
すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、互いに共通する1種以上の材料を含む第1グリーンシートと第2グリーンシートとを積層して積層シートとし、焼結を行ってサーミスタ素子を作製するので、異なる材料のサーミスタ層を容易に積層することができると共に各層厚を高精度に制御することができ、高い生産性を得ることができる。
また、本発明のサーミスタ素子の製造方法は、前記積層シートを複数のチップ状の成型体に切断した状態で前記焼成工程を行い、前記成型体の両側面には、溝部を形成しておき、リード線を前記溝部に嵌め込んだ状態で接続させることを特徴とする。すなわち、このサーミスタ素子の製造方法では、成型体の両側面に溝部を形成しておくので、リード線が溝部に嵌め込まれた状態で接続されて、溝部と該溝部に嵌め込まれたリード線とが複数箇所で接触することで接触面積が増大し、高い接合強度によってヒートサイクルによる素子の破壊を防ぐことができる。なお、溝部へのリード線の接続は、焼成前でも焼成後でも構わない。
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法によれば、積層された第1のサーミスタ層及び第2のサーミスタ層が、互いに共通する1種以上の材料を有しているので、相互に熱膨張係数が近くなると共に接合強度を向上させることができ、繰り返しの使用による熱衝撃等に対しても剥離し難く、高い信頼性を有することができる。
このように本発明のサーミスタ素子は、広い温度範囲で好適な抵抗値で高い信頼性を有するので、特に自動車エンジン周りの触媒温度や排気系温度を検出する高温測定用センサとして好適である。
以下、本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法の第1実施形態を、図1から図4を参照しながら説明する。
本実施形態のサーミスタ素子1は、図1及び図2に示すように、2種以上の材料からなる混合焼結体で構成された第1のサーミスタ層2Aと、該第1のサーミスタ層2Aに積層され2種以上の材料からなると共に第1のサーミスタ層2Aと異なる抵抗値及びB定数を有する混合焼結体で構成された第2のサーミスタ層2Bと、第1のサーミスタ層2A及び第2のサーミスタ層2Bの両方に一端部が接続された一対のリード線3と、を備えている。なお、第1のサーミスタ層2Aと第2のサーミスタ層2Bとで、素子本体2を構成している。
上記第1のサーミスタ層2A及び上記第2のサーミスタ層2Bは、サーミスタ材料である金属酸化物焼結体と絶縁体材料との混合焼結体で構成されている。また、上記第1のサーミスタ層2A及び上記第2のサーミスタ層2Bは、互いに共通する1種以上の材料を有している。
すなわち、第1のサーミスタ層2Aは、金属酸化物焼結体の第1サーミスタ材料4と絶縁体材料の共通材料5とで構成され、第2のサーミスタ層2Bは、金属酸化物焼結体の第2サーミスタ材料6と絶縁体材料の共通材料5とで構成されている。
例えば、本実施形態では、第1のサーミスタ層2Aが、一般式:(1−z)Y(CrMn1−x)O+zYで示される複合酸化物であり、第2のサーミスタ層2Bが、一般式:(1−z)Y(CrMn1−y)O+zY(ただし、x≠y)で示される複合酸化物とされている。すなわち、第1のサーミスタ層2Aは、第1サーミスタ材料4としてY(CrMn1−x)Oを有し、第2のサーミスタ層2Bは、第2サーミスタ材料6としてY(CrMn1−y)Oを有している。また、第1のサーミスタ層2Aと第2のサーミスタ層2Bとの共通材料5として、Yが採用されている。
なお、第1のサーミスタ層2Aは、例えばY(Cr0.5Mn0.5)Oを30mol%と、Yを70mol%と、を混合焼結した層であり、第2のサーミスタ層2Bは、例えばYCrOを30mol%と、Yを70mol%と、を混合焼結した層である。この第1のサーミスタ層2Aは、25℃における抵抗値が200kΩ、B定数が2000Kであり、第2のサーミスタ層2Bは、25℃における抵抗値が1GΩ、B定数が7000Kである。なお、上記共通材料5であるYの割合を増やすことにより、より熱膨張係数を近づけることができると共に接合強度を高めることができる。
このサーミスタ素子1の製造方法及びこれを用いたサーミスタ温度センサの製造方法及び構造について、図1から図4を参照して以下に説明する。
まず、第1のサーミスタ層2Aの原料として、Y、Cr及びMnOの各粉末をmol比で25:12.5:25の比率で秤量後にボールミルに入れ、Zrボールと純水とを適量入れて約24時間混合を行う。混合したものを取り出して乾燥させた後、1300℃、5時間にて焼成し、上記一般式においてx=0.5とされたY(Cr0.5Mn0.5)Oの仮焼粉を得る。次に、Zrボールと純水とを用いてボールミルで上記仮焼粉を粉砕した後、乾燥させる。
さらに、この仮焼粉にYを、Y(Cr0.5Mn0.5)OとYとがmol比で30:70となるように加え、ボールミルで混合し、乾燥して混合仮焼粉とする。次に、この混合仮焼粉に、PVB、溶剤、分散剤、可塑剤を加えてボールミルで混合し、スラリーを作製する。このスラリーを、ドクターブレード法により500μm厚の第1グリーンシートに成形する(第1グリーンシート形成工程)。
一方、第2のサーミスタ層2Bの原料として、Y及びCrの各粉末をmol比で50:50の比率で秤量後にボールミルに入れ、Zrボールと純水とを適量入れて約24時間混合を行う。混合したものを取り出して乾燥させた後、1300℃、5時間にて焼成し、上記一般式においてy=1.0とされたYCrOの仮焼粉を得る。次に、Zrボールと純水とを用いてボールミルで上記仮焼粉を粉砕した後、乾燥させる。
さらに、この仮焼粉にYを、YCrOとYとがmol比で30:70となるように加え、ボールミルで混合し、乾燥して混合仮焼粉とする。次に、この混合仮焼粉に、PVB、溶剤、分散剤、可塑剤を加えてボールミルで混合し、スラリーを作製する。このスラリーを、ドクターブレード法により500μm厚の第2グリーンシートに成形する(第2グリーンシート形成工程)。
次に、第1グリーンシートと第2グリーンシートとを熱圧着プレスにて積層し、密着させた後(積層シート形成工程)、φ2.0mmの金型で打ち抜き、直径2.0mm、厚さ1.0mmの円盤状の焼成前の素子本体2を作製する。その後、精密ドリルで直径0.3mmの穴を第1グリーンシートと第2グリーンシートとに貫通状態で2箇所空けて、これらの穴に直径0.3mmのPt(白金)線の一端を2本挿入し、リード線3とする。
この状態の成形品を、脱バインダー処理の後、1600℃、5時間の焼成を行うことにより、第1のサーミスタ層2Aと第2のサーミスタ層2Bとが積層された素子本体2と、該素子本体2に一端が接続された2本のリード線3と、を備えたサーミスタ素子1が得られる(焼成工程)。
次に、図3に示すように、サーミスタ素子1の素子本体2の周囲を包み込むように絶縁セラミックス製のチューブ7を嵌め込む。さらに、アルミナ製の2孔式絶縁管8の各孔8aに2本のリード線3をそれぞれ挿通し、リード線3を根本まで2孔式絶縁管8で保護する。その後、この状態のサーミスタ素子1を先端部が閉塞された円筒状ステンレス製のケース9に入れ、密閉性を確保することにより、サーミスタ温度センサ10が得られる。
このサーミスタ素子1及びこれを備えたサーミスタ温度センサ10では、室温から900℃付近の高温において抵抗値が200kΩから100Ω程度まで変化し、幅広い温度範囲で測定することが可能である。また、特性の異なる2種類のサーミスタ材料である第1のサーミスタ層2A及び第2のサーミスタ層2Bを一対のリード線3により並列に接続しているため、図4に示すように、高温域での抵抗値変化が大きくなっており、より高感度で測定することができる。
このように本実施形態では、積層された第1のサーミスタ層2A及び第2のサーミスタ層2Bが、互いに共通する1種以上の材料を有しているので、相互に熱膨張係数が近くなると共に、共通する材料がバインダー的な役割を担って接合強度を向上させることができる。
また、第1のサーミスタ層2A及び第2のサーミスタ層2Bが、互いにY(Cr,Mn)O系ペロブスカイト酸化物のサーミスタ材料であると共に共通する材料としてYを採用するので、900℃付近の高温まで測定可能であり、さらに熱膨張係数が近くなると共により高い接合強度を得ることができる。さらに、絶縁性材料であるYの量により、バインダー的効果だけでなく、抵抗値の調整も行うことができる。
さらに、上記サーミスタ素子1の製造方法では、互いに共通する1種以上の材料を含む第1グリーンシートと第2グリーンシートとを積層して積層シートとし、焼結を行ってサーミスタ素子1を作製するので、異なる材料の第1のサーミスタ層2A及び第2のサーミスタ層2Bを容易に積層することができると共に各層厚を高精度に制御することができ、高い生産性を得ることができる。
次に、本発明に係るサーミスタ素子及びその製造方法の第2実施形態について、図5から図8を参照して以下に説明する。なお、以下の実施形態の説明において、上記実施形態において説明した同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
第2実施形態と第1実施形態との異なる点は、第1実施形態では、一対のリード線3を一対の貫通孔に挿入して一緒に焼成することで接続しているのに対し、第2実施形態のサーミスタ素子及びその製造方法では、図5から図7に示すように、積層された成型体22の両側面に溝部22aがそれぞれ形成され、焼成後に溝部22aにリード線25が嵌め込まれて接続されている点である。
すなわち、第2実施形態では、図5に示すように、第1実施形態と同様に、まず第1グリーンシート及び第2グリーンシートのセラミックスグリーンシート21をそれぞれ形成する(グリーンシート形成工程)。次に、第1グリーンシートのセラミックスグリーンシート21と第2グリーンシートのセラミックスグリーンシート21とを複数積層して積層シート23とする(積層工程)。
次に、図5に示すように、積層シート23の成型体22の溝部22aとなる部分を、所定径のピン等により、円状に打ち抜き、円の中心を通るように格子状に切り取ることで、隣接する成型体22の側面にそれぞれ溝部22aを形成する。図6の(a)(b)に示すように、積層シート3から複数の両側面に溝部22aがそれぞれ形成された成型体22が形成される(成型体切り抜き工程、成型体形成工程)。
この溝部22aは、リード線25の外周面に対応して断面円弧状に形成される。本実施形態では、ほぼ断面半円状の溝部22aを形成している。なお、半円の大きさは、焼成時にセラミックスが収縮することを考慮し、設定されている。また、円の打ち抜く位置、切断位置を調整することで、抵抗値の調節が可能である。(シートの厚みの調整でも抵抗値調整は可能である。)
また、成型体22を切り取るのではなく、所定形状の金型によって打ち抜いて成型体22を抜き取っても構わない。
このようにして、例えば、厚さ1mm、1.2mm角のチップ状成型体の両側面に半円溝を設けた成型体22が得られる。セラミックスを焼成後、電極ペースト26を塗布した状態で直径0.3mmの半円溝になるように、焼成前成型体の半円溝の大きさを調整することで、直径0.3mmΦのリード線25を取り付けることができる。
さらに、図7に示すように、この成型体22を焼成して金属酸化物焼結体24とし(焼成工程)、一対のリード線25を金属酸化物焼結体24の両側面に接続させる(電極線接続工程)。この際、リード線25を溝部22aに嵌め込んだ状態で接続する。
上記リード線25の接続は、溝部22aにPtペースト等の1000℃以上の耐熱性のある電極ペースト26を塗布した状態でリード線25を溝部22aに嵌め込み、この状態で電極ペースト26を焼き付けることで溝部22aにリード線25を接合する。なお、より電極線接合を強くするために、電極ペースト26をリード線25を覆うようにして接合してもよい。また、溶接等によりリード線25を接続しても構わない。
このリード線25は、Pt線を採用しても構わないが、安価で耐熱性の高い他の電極線を採用することが好ましい。例えば、リード線25として、1000℃以上の耐熱性のある金属線(耐熱合金線)が使用され、特にJIS規定のSUS310Sの線材が好ましい。また、リード線25の表面が、Ptで覆われていることがより好ましい。すなわち、SUS310Sの表面にPtのメッキが施されたリード線25が採用される。また、外側がPtで覆われたPt−SUSクラッド線を採用しても構わない。また、インコネル(Inconel:登録商標)線やNi系合金線、Pd系合金線等等を採用しても構わない。
なお、リード線25として、SUS310S線のようにステンレス鋼においてCrNi比を大きくすることで、1000℃以上の耐熱性を保障することが可能になる。なお、他のSUS線の場合、例えば、SUS316L線、SUS304線では脆く、その他遷移金属線、例えばMo,W線も1000℃では酸化して脆くなる。
これにより、図7に示すように、金属酸化物焼結体24と2本のリード線25とを有するサーミスタ素子27が得られる。
このように第2実施形態のサーミスタ素子の製造方法では、リード線25が、金属酸化物焼結体24の両側面に形成された溝部22aに嵌め込まれた状態で接続されるので、溝部22aと該溝部22aに嵌め込まれたリード線25とが複数箇所で接触することで接触面積が増大し、高い接合強度によってヒートサイクルによる素子の破壊を防ぐことができる。
特に、溝部22aをリード線25の外周面に対応した断面円弧状に形成するので、断面円形状のリード線25と断面円弧状の溝部22aとが面接触することで、より接触面積が増大して、さらに高い接合強度を得ることができる。
また、上記製法では、上述したシート法で作製することで、グリーンシート21の積層数で成型体22の厚さを調整可能であり、抵抗値ばらつきを抑制することができる。
また、焼成工程後に、リード線25の接続を行うので、焼成時における1400℃以上の耐熱性が無くても構わず、Pt線以外のリード線25を使用することができる。
なお、上記第2実施形態の製法では、効率的な方法としてグリーンシート21を複数積層した後にチップ状に切り抜いて複数の成型体22を作製する工程を採用しているが、成型体形成工程として、グリーンシート21から複数のシート状の成型シート体を所定形状で切り取る又は抜き取り(成型シート体形成工程)、さらに成型シート体を複数積層してチップ状の成型体22とする(積層工程)工程を、採用しても構わない。この場合、成型シート体の両側面に溝部を形成しておき、各成型シート体の溝部が連続するように積層することで、一方向に延在する溝部を成型体22の両側面に得ることができる。
なお、上記第2実施形態のように断面円弧状の溝部が好ましいが、図8に示すように、断面矩形状の溝部32aを採用した成型体32としても構わない。この場合、少なくとも3箇所でリード線25と溝部32aとが線接触して接合される。なお、より好ましいのは、リード線25と断面矩形状の溝部32aのセラミックスとの間の空隙を電極ペーストで埋めて、電極接触面積を増やすとなお良い。
また、上記第2実施形態では、焼成後に金属酸化物焼結体の溝部に電極線を嵌め込んで接続したが、焼成前の成型体の溝部に電極線を嵌め込んだ状態で、一緒に焼成して接続させても構わない。この場合、1400℃以上の焼成温度に耐えられるPt線(Pt系合金線も含む)を電極線に使用し、電極ペーストとしてPtペースト(Pt系合金ペーストも含む)を使用することが好ましい。
次に、本発明に係るサーミスタ素子を実際に作製した実施例により評価した結果を、具体的に説明する。
上記第1実施形態に従って作製したサーミスタ素子1の実施例について、実際にヒートサイクル試験(HCT)を行って割れの有無を調べた結果を表1に示す。なお、比較として、Mn−Ni−Cu系のサーミスタ材料からなるサーミスタ層とZrO−Y系のサーミスタ材料からなるサーミスタ層とを接合した素子本体を有する比較例1と、Mn−Co系のサーミスタ材料からなるサーミスタ層とZrO−Y系のサーミスタ材料からなるサーミスタ層とを接合した素子本体を有する比較例2と、共通材料無しでY(Cr0.5Mn0.5)のサーミスタ材料からなるサーミスタ層とYCrOのサーミスタ材料からなるサーミスタ層とを接合した素子本体を有する比較例3と、を同様に作製して、同様にヒートサイクル試験を行って割れの有無を調べた結果も表1に併せて示す。
Figure 0005267860
なお、上記ヒートサイクル試験は、本実施例及び各比較例をそれぞれ20ヶ用意し、室温6分と900℃6分とを交互に1000サイクル行った。
この試験結果からわかるように、比較例1〜3はいずれも割れが全数又は一部発生しているのに対し、本実施例は、一つも割れが発生していない。
なお、本発明の技術範囲は上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
上記第1実施形態のように、脱バインダー処理及び焼成前に、積層シートから所定形状でサーミスタ素子1の素子本体2となる部分をそれぞれ打ち抜くことが好ましいが、焼成後に、サーミスタ素子1の素子本体2となる部分をそれぞれ個別に切断して作製しても構わない。
本発明に係る第1実施形態のサーミスタ素子及びその製造方法において、サーミスタ素子を示す簡易的な断面図である。 第1実施形態において、サーミスタ素子の素子本体を示す模式的な断面図ある。 第1実施形態において、サーミスタ温度センサを示す断面図である。 第1実施形態において、第1のサーミスタ層、第2のサーミスタ層及びこれらを接合した素子本体での温度に対する抵抗値を示すグラフである。 本発明に係るサーミスタ素子の製造方法及びサーミスタ素子の第2実施形態において、切断状態のセラミックスグリーンシートを示す平面図である。 第2実施形態において、成型体を示す平面図及び側面図である。 第2実施形態において、サーミスタ素子を示す模式的な正面図及び側面図である。 第2実施形態において、成型体の他の例を示す正面図である。
符号の説明
1,7…サーミスタ素子、2…素子本体、2A…第1のサーミスタ層、2B…第2のサーミスタ層、3,25…リード線、4…第1サーミスタ材料、5…共通材料、6…第2サーミスタ材料、9…ケース、10…サーミスタ温度センサ、21…セラミックスグリーンシート、22,32…成型体、22a,32a…溝部、23…積層シート

Claims (3)

  1. 2種以上の材料からなる混合焼結体で構成された第1のサーミスタ層と、
    該第1のサーミスタ層に積層され2種以上の材料からなると共に前記第1のサーミスタ層と異なる抵抗値及びB定数を有する混合焼結体で構成された第2のサーミスタ層と、
    前記第1のサーミスタ層及び前記第2のサーミスタ層の両方に一端部が接続された一対のリード線と、を備え、
    前記第1のサーミスタ層及び前記第2のサーミスタ層が、互いに共通する1種以上の材料を有し
    前記第1のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(Cr Mn 1−x )O +zY で示される複合酸化物であり、
    前記第2のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(Cr Mn 1−y )O +zY (ただし、x≠y)で示される複合酸化物であることを特徴とするサーミスタ素子。
  2. 2種以上の材料からなる混合仮焼粉をスラリー状にしてから第1グリーンシートに成形する第1グリーンシート形成工程と、
    焼結されると前記第1グリーンシートの焼結体と異なる抵抗値及びB定数を有する2種以上の材料からなる混合仮焼粉をスラリー状にしてから第2グリーンシートに成形する第2グリーンシート形成工程と、
    前記第1グリーンシートと前記第2グリーンシートとを互いに積層して積層シートとする積層シート形成工程と、
    一対のリード線を前記第1グリーンシート及び前記第2グリーンシートの両方に一端部を接続させた状態で前記積層シートを焼成して第1のサーミスタ層と第2のサーミスタ層とが積層されたサーミスタ素子を作製する焼成工程と、を有し、
    前記第1グリーンシート及び前記第2グリーンシートが、互いに共通する1種以上の材料を含んでおり、
    前記混合仮焼粉が、Y 、Cr 及びMnO の各粉末にY を加えたものであり、
    前記第1のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(Cr Mn 1−x )O +zY で示される複合酸化物であり、
    前記第2のサーミスタ層が、一般式:(1−z)Y(Cr Mn 1−y )O +zY (ただし、x≠y)で示される複合酸化物であることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
  3. 請求項に記載のサーミスタ素子の製造方法において、
    前記積層シートを複数のチップ状の成型体に切断した状態で前記焼成工程を行い、
    前記成型体の両側面には、溝部を形成しておき、
    リード線を前記溝部に嵌め込んだ状態で接続させることを特徴とするサーミスタ素子の製造方法。
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