JP7281301B2 - 温度センサ - Google Patents
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Description
保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む単層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O3で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
単層構造の上記混合焼結体は、単一組成の焼結体組成物の全体に、複数の上記酸化物半導体粒子及び上記絶縁体粒子が分散して構成されており、上記温度検知素子の検出温度域において、中間温度域における抵抗温度特性線の傾きが、低温域における抵抗温度特性線の傾きよりも大きい、温度センサにある。
また、本発明の他の一態様は、
保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む、複層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O3で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
複層構造の上記混合焼結体は、異なる組成の三層以上の焼結体組成物の層(30a~30c)が、一対の上記電極線の延出方向を積層方向として一体化されて構成されると共に、上記焼結体組成物の各層は、複数の上記酸化物半導体粒子のうちの少なくとも1つと上記絶縁体粒子とを含み、上記温度検知素子の検出温度域において、低温域から高温域へ向かうほど、抵抗温度特性線の傾きが大きくなる、温度センサにある。
また、本発明のさらに他の一態様は、
保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む、複層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O 3 で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
複層構造の上記混合焼結体は、異なる組成の二層又は三層以上の焼結体組成物の層(3a、3b、30a~30c)が一体化されて構成されると共に、上記焼結体組成物の各層は、複数の上記酸化物半導体粒子のうちの少なくとも1つと上記絶縁体粒子とを含み、上記温度検知素子の検出温度域において、中間温度域における抵抗温度特性線の傾きが、低温域における抵抗温度特性線の傾きよりも大きくなっており、
上記検出温度域の最低温度と最高温度の差が1000℃以上であり、上記検出温度域の全域において、上記抵抗温度特性線の傾きを示す抵抗温度係数(B値)が3000K以下であり、かつ、200℃以下の上記低温域における上記抵抗温度係数が2000K以下である、温度センサにある。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
温度センサに係る実施形態1について、図1~図6を参照して説明する。
図1に示すように、温度センサ1は、保護管としてのシース管2内に挿通配置された一対の信号線21、22と、温度検知素子としてのサーミスタ素子3を有する検知部10と、を備える。
検知部10は、シース管2の開口端部に配置され、金属カバー42内において、サーミスタ素子3に設けられる一対の電極線31、32が一対の信号線21、22と電気的に接続されており、サーミスタ素子3及び一対の電極線31、32を覆って充填材41が配置される構成となっている。
これにより、複数の酸化物半導体粒子A、B及び絶縁体粒子Cの組み合わせと調合モル比に応じて、低温から高温にわたる広範囲の温度域において所望の抵抗温度特性を有する単一素子からなる温度センサ1を実現できる。
複数の酸化物半導体粒子A、Bは、例えば、共通の複数の金属元素を含む酸化物半導体にて構成される。その場合に、絶縁体粒子Cは、例えば、酸化物半導体粒子A、Bと共通の金属元素を含む酸化物にて構成されることが望ましい。
本形態の温度センサ1は、車載用センサとして、自動車エンジン(例えば、ガソリンエンジン)の排ガス管内を流通する排ガスの温度測定に用いられる。測定された排ガス温度は、エンジン制御装置へ送信されて、エンジンの燃焼制御やエンジンに搭載される各種装置の温度制御に利用することができる。例えば、温度センサ1を、排ガス管に搭載されるGPFの下流側に設置して、GPFを通過する排ガス温度に基づいてGPFの温度監視等を行うことができる。
サーミスタ素子3としては、温度の上昇に対して電気抵抗値が減少する特性を有するNTC(すなわち、negative temperature coefficient)サーミスタを用いることができる。これ以外にも、所定温度を超えると温度の上昇に対して急激に電気抵抗値が増大するPTC(すなわち、positive temperature coefficient)サーミスタ、あるいは、所定温度を超えると急激に電気抵抗値が減少するCTR(すなわち、critical temperature resistor)サーミスタを用いることもできる。
なお、本形態では、2種類の酸化物半導体粒子A、Bを用いているが、3種類ないしそれ以上とすることもできる。
具体的には、M1は、Y、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Yb、Mg、Ca、Sr、Ba、Scから選択される1種以上の元素であり、M2は、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Zn、Al、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上の元素である。好適には、M1は、Yであり、M2は、Cr、Mn、Tiから選択される1種以上の元素とすることができる。
式1:B値=(lnR1-lnR2)/(1/T1-1/T2)
式1より、B値が大きいほど温度変化による抵抗値変化が大きくなる。言い換えれば、抵抗温度特性線の傾きが大きくなり、サーミスタ素子3の感度が高くなる。ただし、B値が大きくなると、検出可能な温度域が狭くなり、また、抵抗値変化が大きい温度域で検出誤差が発生しやすくなる。そのため、検出抵抗範囲や温度域に応じて最適なB値が存在する。
これら粒子A~Cのモル分率を、それぞれa、b、cとすると、混合焼結体30となる焼結体組成物は、下記組成式で表される(ただし、a+b+c=1)。
[aY(CrxMny)O3・bYCrO3・cY2O3]
なお、モル分率a~cは、以下の関係を満たす範囲で、任意に選択することができる。
0.05≦a+b<1.0、0<a+b≦0.95、a+b+c=1
a:b=1/3:2/3~2/3:1/3
また、酸化物半導体粒子AにおけるCrとMnのモル分率x、yは、特に限定されないが、例えば、以下の関係を満たす範囲で、任意に選択することができる。
0.3≦x≦0.5、0.5≦y≦0.7、x+y=1
次に、本形態の温度センサ1による効果を確認するために、以下のように、組成の異なる酸化物半導体からなる実施例1~5のサーミスタ素子3を作製し、それぞれの抵抗-温度特性を評価した。また、比較のために、組成の異なる酸化物半導体からなる比較例1~2のサーミスタ素子3を作製し、同様にして抵抗-温度特性を評価した。
実施例1~5のサーミスタ素子3は、酸化物半導体粒子AとしてのY(Cr0.5Mn0.5)O3と、酸化物半導体粒子BとしてのYCrO3と、絶縁体粒子CとしてのY2O3とから、混合焼結体30となる焼結体組成物[Y(Cr0.5Mn0.5)O3・YCrO3・Y2O3]を得るものである。
実施例1~5におけるサーミスタ素子3の製造工程を、図5を参照しながら説明する。この製造工程は、(調合1)として示す調合材料から、酸化物半導体粒子Aを得るための第1の調製工程と、(調合2)として示す調合材料から、酸化物半導体粒子Bを得るための第2の調製工程と、(調合3)として示す調合材料から、サーミスタ素子3を得るための第3の調製工程を含む。
また、焼成時に1500~1650℃の範囲で液相となるCaCO3を焼結助剤として用い、秤量物の全量(500g)に対して、8重量%のCaCO3を添加した。
ここで、Y(Cr0.5Mn0.5)O3とYCrO3とY2O3のモル分率を、各々a、b、c(ただし、a+b+c=1)とすれば、焼結体組成物[aY(Cr0.5Mn0.5)O3・bYCrO3・cY2O3]において、a=0.10、b=0.20、c=0.70となり、上記調合モル比の関係と一致する。
また、この混合・粉砕工程では、Y(Cr0.5Mn0.5)O3とYCrO3とY2O3の固形分に対して、バインダーとしてポリビニルアルコール(すなわち、PVA)を、酸化物半導体粒子A、BとなるY(Cr0.5Mn0.5)O3とYCrO3との混合粉体100g当たり1gとなるように添加し、同時に混合、粉砕した。
この成形工程では、電極線31、32として、外径×長さがφ0.3mm×10.5mmの純白金線(すなわち、材質:Pt100)を用い、外径φ1.74mmの金型内に電極線31、32をインサートとして配置し、その周囲にサーミスタ原料を充填して、圧力約1000kgf/cm2で成形することにより、電極線31、32が一体的に形成された、外径φ1.75mmのサーミスタ成形体を得た。
このサーミスタ素子3は、混合焼結体30:aY(Cr0.5Mn0.5)O3・bYCrO3・cY2O3からなり、以下のように、実施例1~5のサーミスタ素子3において、a=0.10~0.20、b=0.20~0.10、c=0.70となっている(ただし、a+b+c=1)。
実施例1:a=0.10、b=0.20、c=0.70
実施例2:a=0.125、b=0.175、c=0.70
実施例3:a=0.15、b=0.15、c=0.70
実施例4:a=0.175、b=0.125、c=0.70
実施例5:a=0.20、b=0.10、c=0.70
これら実施例1~5の温度センサ1について、-40℃、25℃、200℃、500℃、800℃及び1050℃における抵抗値を測定した結果を、表1に示した。
また、区間-40℃~25℃と、区間500℃~1050℃における抵抗温度係数(すなわち、B値)を算出して、表2に示した。
比較例1は、酸化物半導体粒子BとしてのYCrO3と、絶縁体粒子CとしてのY2O3とから得られる焼結体組成物[YCrO3・Y2O3]を、サーミスタ素子3としたものである。
また、比較例2は、酸化物半導体粒子AとしてのY(Cr0.5Mn0.5)O3と、絶縁体粒子CとしてのY2O3とから得られる焼結体組成物[Y(Cr0.5Mn0.5)O3・Y2O3]を、サーミスタ素子3としたものである。
比較例1~2では、実施例1における第1の調製工程、又は、第2の調製工程を実施しない以外は、実施例1と同様にして、サーミスタ原料を調製することができる。
これら比較例1~2の温度センサ1について、-40℃、25℃、200℃、500℃、800℃及び1050℃における抵抗値を測定した結果を、表1に併記した。
また、区間-40℃~25℃と、区間500℃~1050℃における抵抗温度係数(すなわち、B値)を算出して、表2に併記した。
これら実験例1の結果から、酸化物半導体粒子A、Bとして、Y(Cr0.5Mn0.5)O3とYCrO3を用い、そのモル分率を変更することにより、サーミスタ素子3のB値を調整できると共に、絶縁体粒子としてのY2O3を添加することにより、所望の抵抗値範囲に調整できることが確認された。
したがって、検出温度域の全域で、最適な抵抗温度特性を示す温度センサ1を実現し、高い応答性と精度を両立させた温度検知が可能になる。
温度センサに係る実施形態2について、図7~図9を参照して説明する。
本形態において、温度センサ1及び検知部10の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、温度検知素子となるサーミスタ素子3の構成が異なっている。すなわち、上記実施形態1では、サーミスタ素子3となる単一素子を、単一組成の混合焼結体30からなる単層構造の素子としたが、本形態では、異なる組成の複数の焼結体組成物の層が一体化されて単一素子を構成している。以下、相違点を中心に接続する。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
また、焼結体層3aが、酸化物半導体粒子Bをさらに含み、あるいは、焼結体層3bが、酸化物半導体粒子Aをさらに含んでいても、もちろんよい。
これら焼結体層3a、3bは、それぞれ酸化物半導体の物性に応じた固有のB値を有し酸化物半導体粒子Aを含む焼結体層3aは、酸化物半導体粒子Bを含む焼結体層3bよりも、B値が小さくなる。焼結体層3aは、焼結体層3a、3bが電気的に並列接合した抵抗体として機能する。
また、焼結体層3aが、焼結体組成物[a1Y(CrMn)O3・b1YCrO3・c1Y2O3]からなり(ただし、a1+b1+c1=1、0<a1,b1,c1<1)、あるいは、焼結体層3bが焼結体組成物[a2Y(CrMn)O3・b2YCrO3・c2Y2O3]からなる構成であってもよい(ただし、a2+b2+c2=1、0<a2,b2,c2<1)。
したがって、検出温度域の中間温度域、例えば、200℃前後ないしそれ以上の中高温域において、焼結体層3aと焼結体層3bの抵抗温度特性線が交わるように、これら焼結体層3a、3bの特性を調整して組み合わせることで、各温度域においてより抵抗値がより低くなる焼結体層3a、3bの特性を示す。すなわち、交点より低温域においては、酸化物半導体粒子Aを含有しB値がより小さい焼結体層3aの抵抗温度特性を示し、交点より高温域においては、酸化物半導体粒子Bを含有しB値がより大きい焼結体層3aの抵抗温度特性を示すことになる。
本形態においても、焼結体層3aを構成する酸化物半導体粒子Aと絶縁体粒子Cとの組み合わせ、又は、焼結体層3bを構成する酸化物半導体粒子Bと絶縁体粒子Cとの組み合わせや、それらのモル分率は、所望の抵抗温度特性が得られるように、任意に選択することができる。
次に、本形態の構成の温度センサ1による効果を確認するために、以下のように、焼結体層3a、3bを含む複層構造の混合焼結体30からなる実施例6のサーミスタ素子3を作製し、抵抗-温度特性を評価した。
実施例6のサーミスタ素子3は、酸化物半導体粒子A:Y(CrxMny)O3を含む焼結体層3aと、酸化物半導体粒子B:YCrO3を含む焼結体層3bとからなる二層構造の混合焼結体30を得るものである。焼結体層3a、3bは、いずれも絶縁体粒子CとしてのY2O3を含む。
また、比較のために、焼結体層3bと同じ組成の単層構造の混合焼結体30からなる比較例3のサーミスタ素子3と、焼結体層3aと同じ組成の単層構造の混合焼結体30からなる比較例4のサーミスタ素子3を作製し、同様にして抵抗-温度特性を評価した。
実施例6においても、サーミスタ素子3を製造する基本工程は、上記実施例1と同様であり、上記図4の第1の調製工程、第2の調製工程と同様にして、酸化物半導体粒子A、酸化物半導体粒子Bを得ることができる。
実施例6では、焼結体層3aと焼結体層3bとが、それぞれ以下の組成となるように、上記図4の第3の調製工程と同様にして、サーミスタ原料を調製した。
焼結体層3a[Y(Cr0.5Mn0.5)O3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)
Y(Cr0.5Mn0.5)O3:Y2O3=25:75
焼結体層3b[YCrO3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)
YCrO3:Y2O3=25:75
その際、焼成時に1500~1650℃の範囲で液相となるCaCO3を焼結助剤として用い、焼結体層3a、3bの秤量物の全量(500g)に対して、8重量%のCaCO3を添加した。
また、同様にして、比較例3、4の組成のサーミスタ素子3を作製し、これらサーミスタ素子3を組み込んだ温度センサ1を作製した。
比較例3:焼結体層3b[YCrO3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)
YCrO3:Y2O3=25:75
比較例4:焼結体層3a[Y(Cr0.5Mn0.5)O3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)
Y(Cr0.5Mn0.5)O3:Y2O3=25:75
これら実施例6、比較例3、4の温度センサ1について、-40℃~1050℃における抵抗値を測定し、抵抗-温度特性を図9に示した。
温度センサに係る実施形態3について、図10~図12を参照して説明する。
本形態において、温度センサ1及び検知部10の基本構成は、上記実施形態2と同様であり、温度検知素子となるサーミスタ素子3の構成が異なっている。すなわち、上記実施形態2では、サーミスタ素子3となる単一素子を、異なる組成の2つの焼結体層3a、3bが一体化された単一の混合焼結体30として構成したが、本形態のように、3つの焼結体層30a、30b、30cないしそれ以上が一体化された混合焼結体30とすることもできる。以下、相違点を中心に接続する。
[aY(CrxMny)O3・bYCrO3・cY2O3]
これらモル分率a~cは、以下の関係を満たす範囲で、任意に選択することができる。
0.05≦a+b<1.0、0<a+b≦0.95、a+b+c=1
また、焼結体層30cは、上記実施形態2における焼結体層3bと同様に、下記組成式で表される焼結体組成物からなる(ただし、b2+c2=1;0<b2、c2<1)。
[b2YCrO3・c2Y2O3]
したがって、例えば、焼結体層30a、30b、30cが、それぞれ、低温域、中高温域、高温域において、より低い抵抗値を示すように、かつ、B値が高温側ほど高く低温側ほど低くなるように、酸化物半導体を選択して組み合わせることで、各検出温度域において、最適な抵抗値とB値を有する抵抗温度特性を示す。
例えば、図11左図に示すように、混合焼結体30の積層方向(すなわち、図の上下方向)に、先端側から焼結体層30a、30c、30bの順に配置してもよいし、図11右図に示すように、焼結体層30c、30a、30bの順に配置してもよい。このような配置としても、単一素子としてのサーミスタ素子3は、いずれも同様の抵抗温度特性を示す。
次に、本形態の構成の温度センサ1による効果を確認するために、以下のように、焼結体層30a~30cを含む複層構造の混合焼結体30からなる実施例7のサーミスタ素子3を作製し、その抵抗-温度特性を評価した。
実施例7のサーミスタ素子3は、酸化物半導体粒子A:Y(CrxMny)O3と酸化物半導体粒子B:YCrO3と絶縁体粒子C:Y2O3とからなる焼結体層30a、30bと、酸化物半導体粒子B:YCrO3と、絶縁体粒子C:Y2O3とからなる焼結体層30cとを積層した、三層構造の混合焼結体30を得るものである。
実施例7においても、サーミスタ素子3を製造する基本工程は、上記実施例1と同様であり、上記図4の第1の調製工程、第2の調製工程と同様にして、酸化物半導体粒子A、酸化物半導体粒子Bを得ることができる。なお、酸化物半導体粒子Aは、焼結体層30a~30cのそれぞれについて、CrとMnのモル分率を変更した異なる組成の酸化物半導体粒子A1~A3を用意した。
実施例7では、焼結体層30a~30cが、それぞれ以下の組成となるように、上記図4の第3の調製工程と同様にして、サーミスタ原料を調製した。
実施例7のサーミスタ素子3において、焼結体層30a~30cは、それぞれ以下の組成とした。
焼結体層30a[Y(Cr0.7Mn0.3)O3・YCrO3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)Y(Cr0.7Mn0.3)O3:YCrO3:Y2O3=17.5:12.5:70
焼結体層30b[Y(Cr0.6Mn0.4)O3・YCrO3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)Y(Cr0.6Mn0.4)O3:YCrO3:Y2O3=20:14:66
焼結体層30c[Y(Cr0.5Mn0.5)O3・Y2O3]の調合モル比(モル分率)
Y(Cr0.5Mn0.5)O3:Y2O3=35:65
その際、焼成時に1500~1650℃の範囲で液相となるCaCO3を焼結助剤として用い、焼結体層30a~30cの秤量物の全量(500g)に対して、8重量%のCaCO3を添加した。
例えば、上記各実施形態では、温度センサ1を、ガソリンエンジンからの排ガスの温度検知や排ガス管に搭載されるGPF等の温度制御への適用例について説明したが、これに限るものではなく、ディーゼルエンジンその他の内燃機関、あるいは、内燃機関以外の各種装置に適用されてもよい。また、温度センサ1において、サーミスタ素子3を含む検出部10の構成や、検出部10に接続される一対の信号線21、22の保持構造等、各部の形状や構成も適宜変更することができる。
10 検出部
2 シース管(保護管)
21、22 一対の信号線
3 サーミスタ素子
30 混合焼結体
31、32 一対の電極線
41 充填材
42 金属カバー
Claims (7)
- 保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む、単層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O3で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
単層構造の上記混合焼結体は、単一組成の焼結体組成物の全体に、複数の上記酸化物半導体粒子及び上記絶縁体粒子が分散して構成されており、上記温度検知素子の検出温度域において、中間温度域における抵抗温度特性線の傾きが、低温域における抵抗温度特性線の傾きよりも大きい、温度センサ。 - 保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む、複層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O3で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
複層構造の上記混合焼結体は、異なる組成の三層以上の焼結体組成物の層(30a~30c)が、一対の上記電極線の延出方向を積層方向として一体化されて構成されると共に、上記焼結体組成物の各層は、複数の上記酸化物半導体粒子のうちの少なくとも1つと上記絶縁体粒子とを含み、上記温度検知素子の検出温度域において、低温域から高温域へ向かうほど、抵抗温度特性線の傾きが大きくなる、温度センサ。 - 保護管(2)内に挿通配置された一対の信号線(21、22)と、
金属カバー(42)内において、温度検知素子(3)に設けられる一対の電極線(31、32)が一対の上記信号線と電気的に接続され、上記温度検知素子及び一対の上記電極線を覆って充填材(41)が配置される検知部(10)と、を備える温度センサ(1)であって、
上記温度検知素子は、異なる抵抗温度特性を有する複数の酸化物半導体粒子(A、B)と絶縁体粒子(C)とを含む、複層構造の混合焼結体(30)が、一対の上記電極線の間に配置された単一素子であり、
複数の上記酸化物半導体粒子は、それぞれ(M1M2)O 3 で表され、M1がYであり、M2がCr、Mn及びTiから選択される1種以上の元素を含むペロブスカイト系材料からなり、
複層構造の上記混合焼結体は、異なる組成の二層又は三層以上の焼結体組成物の層(3a、3b、30a~30c)が一体化されて構成されると共に、上記焼結体組成物の各層は、複数の上記酸化物半導体粒子のうちの少なくとも1つと上記絶縁体粒子とを含み、上記温度検知素子の検出温度域において、中間温度域における抵抗温度特性線の傾きが、低温域における抵抗温度特性線の傾きよりも大きくなっており、
上記検出温度域の最低温度と最高温度の差が1000℃以上であり、上記検出温度域の全域において、上記抵抗温度特性線の傾きを示す抵抗温度係数(B値)が3000K以下であり、かつ、200℃以下の上記低温域における上記抵抗温度係数が2000K以下である、温度センサ。 - 上記検出温度域の最低温度と最高温度の差が1000℃以上であり、上記検出温度域の全域において、上記抵抗温度特性線の傾きを示す抵抗温度係数(B値)が3000K以下であり、かつ、200℃以下の上記低温域における上記抵抗温度係数が2000K以下である、請求項1又は2に記載の温度センサ。
- 複数の上記酸化物半導体粒子は、共通の複数の金属元素を含む酸化物半導体からなる、請求項1~4のいずれか1項に記載の温度センサ。
- 上記絶縁体粒子は、複数の上記酸化物半導体粒子と共通の金属元素を含む酸化物からなる、請求項1~5のいずれか1項に記載の温度センサ。
- 複数の上記酸化物半導体粒子は、少なくともY(CrxMny)O3(ただし、x+y=1)を含み、上記絶縁体粒子は、Y2O3を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の温度センサ。
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