JP5267122B2 - 光学フィルタ用粘着剤組成物、光学フィルタ、及び表示装置 - Google Patents

光学フィルタ用粘着剤組成物、光学フィルタ、及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、表示装置の前面に配置され、表示装置から放射される不要な光をカットしたり、色調を調整可能な粘着剤層を有する光学フィルタ、及び当該粘着剤層を形成するのに適した光学フィルタ用粘着剤組成物、並びに前記光学フィルタを用いた表示装置に関するものである。
近年、種々の電子機器の表示装置として、CRT(ブラウン管)、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイ)、有機・無機ELディスプレイ、FED(フィールドエミッションディスプレイ)等の表示装置が使用されている。
このような表示装置の前面には、不要な発光成分を除去して、表示色を鮮明にするために、光学フィルタが設置されている。例えば、プラズマディスプレイでは、放電によりキセノンとネオンの混合ガスが励起され真空紫外線を放射し、その真空紫外線励起による赤、青、緑のそれぞれの蛍光体の発光を利用して3原色発光を得ている。その際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻る際に590nm付近を中心とするネオンオレンジ光(以下、Ne光ともいう)を発光するため、プラズマディスプレイでは、赤色にオレンジ色が混ざり鮮やかな赤色が得られない欠点がある。また一方で、キセノン原子が励起された後、基底状態に戻る際には紫外線以外に800〜1100nm付近の近赤外線(以下、NIRともいう)が発生し、発生した近赤外線は周辺機器の誤作動を引き起こす。この為、プラズマディスプレイではネオンオレンジ光や近赤外線を吸収除去する機能を有するフィルタ、例えば、ネオンオレンジ光および近赤外線の波長の透過率を局所的に低下させているフィルタを、ディスプレイの前面に設置している。更に上記フィルタには可視光波長領域の透過率の調節により、画像の色バランスを補正したり色純度を改善する機能を付与することもある。更に、これら各種フィルタ機能を実現する為のフィルタ、中でもNIR吸収フィルタは、其の中に含まれる色素が日光等に由来する紫外線(以下、UVともいう)で劣化し易いと云う問題が有り、これを解決する為に、UV吸収機能も求められる。
また、電気電子機器の機能高度化及び利用増加に伴い、電磁気的なノイズ妨害(Electro Magnetic Interference;EMI)が増えており、PDPなど、上述の表示装置でも電磁波が発生する。そこで、通常、PDPなどでは、その前面に電磁波遮蔽機能を有する電磁波遮蔽シート(電磁波遮蔽フィルタ)を配置する。なお、PDPの前面から発生する電磁波に対する遮蔽性は、30MHz〜1GHzにおいて30dB以上の性能が必要である。尚、本願明細書においては、「電磁波」の語はMHz〜GHz程度の周波数帯域以下の電磁波の意味で使用し、赤外線、可視光線、及び紫外線とは区別して用いる。
この様な用途に用いる電磁波遮蔽シートでは電磁波遮蔽性能と共に光透過性も要求される。従って、電磁波遮蔽シートとしては、樹脂フィルムからなる透明基材フィルムに接着剤で貼り合わせた銅箔等の金属箔をエッチングして導電体メッシュ層としたもの等が知られている。
そこでディスプレイの前面に配置する前面フィルタとしては、電磁波遮蔽機能と共に、NIR吸収機能、Ne光吸収機能、色補正機能、UV吸収機能なども複合化して一体化した複合フィルタとしたものが使用されることが多い。
例えば、特許文献1や特許文献2では、透明基材フィルムの一方の面に導電体メッシュ層、更にディスプレイに貼り付ける為の粘着剤層を順次形成し、該透明基材フィルムの他方の面に、NIR吸収フィルタフィルムなどを、ラミネートした複合フィルタが提案されている。
また、特許文献3では、透明基材フィルムの一方の面に、接着剤層を介して金属箔をラミネートして、該金属箔をエッチング加工して導電体メッシュ層とし、ディスプレイに貼り付ける為の接着剤層中にNIR吸収色素を添加したり、或いは背面にNIR吸収色素を添加した樹脂層を形成した複合フィルタが提案されている。
一方、特許文献4には、(i) アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(A1)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とし重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の2個が互いに結合したトリブロック構造、又はアクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(A1)の2個と(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とし重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有するブロック共重合体であって、重量平均分子量が120,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満であるブロック共重合体(I);および、アクリル酸エステル単位を主体とする重合体ブロック(A2)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を主体とし重合体ブロック(A2)とは構造の異なる重合体ブロック(B2)の1個が結合している、分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満のジブロック共重合体(II);を含有するアクリル系ブロック共重合体組成物であって;(ii) ブロック共重合体(I):ジブロック共重合体(II)の含有割合が100:50〜100:500の重量比である;ことを特徴とするアクリル系ブロック共重合体組成物が記載されており、粘着剤組成物として有用であることが記載されている。しかしながら、特許文献4には、表示装置用途として用いることや、光学フィルタ機能を付与することや、光吸収剤として機能する色素の劣化や、耐衝撃性に関しては、一切記載されていない。
特開平13−210988号公報 特開平11−126024号公報 特許第3473310号公報 特開2005−307063号公報 特開2002−260539号公報
表示装置の大型化が進み、複合フィルタも軽量化、薄膜化が求められる中、表示装置の前面ガラス等に直接貼付又は層間接着が可能な接着性と、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能等の光学フィルタ機能とを兼ね備えるような層が単層で実現できれば、軽量化、薄膜化が可能となる上、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れると考えられる。そこで、特許文献3のように、色素を接着剤層中に添加する形態が提案された。
しかしながら、例えば特許文献3のように、複合フィルタをディスプレイの表面に貼り付ける為に、導電体メッシュ面に塗工する接着剤層(なお、所謂粘着剤も接着剤の一形態である)中にNIR吸収色素などの色素を添加する方式の場合、色素が反応して変色、或いは褪色し、吸収スペクトル特性の変化を生じること、即ち色素が劣化するという問題があった。この色素の劣化は、室温雰囲気下(気温10〜20℃前後、相対湿度30〜60%前後)でも長時間経過するに従って起きるが、特に高温雰囲気下(気温50℃以上)、或いは高温高湿度雰囲気下(気温50℃以上、且つ相対湿度70%以上)において促進され、顕著となる。特にジイモニウム系等の有機系色素が専ら用いられるNIR吸収色素について、この傾向が大であった。
この原因は、詳細は未解明の部分も有るが、かかる構成のフィルタに於いて、色素劣化の機構には大別して、以下の2種類があると推測される。
(1)〔色素と隣接する各層との相互作用(化学反応)〕具体的には、導電体メッシュ層やガラスと接触する接着剤層中に色素が含有する場合には、導電体メッシュ層の金属(特に、一般的に多用される銅、鉄等の遷移金属元素)、黒化層を構成する金属化合物(特に、一般的に多用される銅、亜鉛、コバルト、ニッケル等の遷移金属元素の化合物)、被着体である表示装置のガラス板中のナトリウムイオンが、色素と直接反応するか、又は触媒として間接的に色素と接着剤の反応を促進するかして、色素の吸収スペクトルを変化させる。
(2)〔色素と接着剤との相互作用〕具体的には、色素を添加する接着剤中の成分(特に、原子団や官能基)と色素との相互作用(化学反応、或は触媒作用)で色素の分子構造が変化し、それに伴うエネルギー順位の変化によって色素の吸収スペクトルを変化させる。
以上のように、粘着剤層として機能するような従来用いていたアクリル系粘着剤層に、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能を有するような光吸収剤(色素)を含有させると、光吸収剤(色素)が劣化して光学フィルタとしての分光特性が変化するという問題が生じており、実用化は困難であった。
また、粘着剤層が、導電体メッシュ層を有する電磁波遮蔽シートの導電体メッシュ層面と隣接して設けられる場合には、電磁波遮蔽シートの導電体メッシュ層面の変色が起こる場合もあった。例えば、銅メッシュ層面が酸化されると、電磁波遮蔽シートが青色を帯び、ディスプレイの色再現性に悪影響を及ぼす。
また、特許文献5には、ディスプレイの前面に反射防止膜を有する光学フィルタを粘着剤層を介して貼付したプラズマディスプレイパネルであって、衝撃試験による破壊エネルギーが0.5ジュール以上であるプラズマディスプレイパネルが提案されており、粘着剤層に耐衝撃性をもたせることや、色素のような光吸収剤を含有させることが記載されている。しかしながら特許文献5に記載されている粘着剤層によれば、金属イオンを架橋してアイオノマー樹脂としているので光吸収剤が経時で劣化するため、分光特性変化が起こり、やはり実用上問題があった。
このように、粘着剤層として機能するような従来用いていたアクリル系粘着剤層に、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色調調整機能を有するような光吸収剤(色素)を含有させると、光吸収剤(色素)が劣化して光学フィルタとしての分光特性が変化するという問題が生じており、実用化は困難であった。
本発明は以上のような問題点を考慮してなされたものであり、接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難い粘着剤層を有する光学フィルタ、及び、前記粘着剤層を実現することができる粘着剤組成物、並びに前記光学フィルタを備えた表示装置を提供することを目的とするものである。
また、上記課題を解決するために、本発明は、(I) アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の2個が互いに結合したトリブロック構造、又はアクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の2個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有し、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である多元ブロック共重合体、
(IV)ガラス転移温度が60℃以上の樹脂、及び
(III)所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上とを含有する、光学フィルタ用粘着剤組成物を提供する。
また、上記課題を解決するために、本発明は、表示装置の前面に配置されるための光学フィルタであって、前記本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物を用いて形成されている光学フィルタ機能を有する粘着剤層を含むことを特徴とする光学フィルタを提供する。
本発明によれば、上記特定のブロック共重合体(I)と上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)とを組み合わせた上で、所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上(III)とが用いられていることにより、表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難いという効果を得ることができる。前記特定のブロック共重合体(I)と所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上(III)との組み合わせにより、接着性と所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難いという効果を得ることができるが、本発明のように、上記特定のブロック共重合体(I)と上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)とを組み合わせることにより、高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化がより更に起こり難いという効果を得ることができる。
また、本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部含有されていることが、高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化がより更に起こり難いという効果を得る点から好ましい。
また、本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有することが、近赤外線を吸収除去し、近赤外線の波長の透過率を局所的に低下させる光学フィルタとすることができる点から好ましい。
また、本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤として、フタロシアニン系化合物及び/又はジイモニウム系化合物を含有させることができる。中でもジイモニウム系化合物は、近赤外域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高い点から、近赤外線吸収剤として好ましい化合物であるが、長時間の使用、特に高温高湿下で特に劣化しやすい化合物であり、従来粘着剤中に含有させることは非常に困難であった。本発明に係る上記特定のブロック共重合体(I)と上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)との組み合わせにおいては、高温高湿下でも劣化が抑制されるために、近赤外線吸収剤として好適に用いることができる。
本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部の範囲で混合した混合物からなる、膜厚25μmの塗膜のJIS K7105−1981に準拠したヘイズ値が5%以下であることが好ましい。前記多元ブロック共重合体(I)と、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)とが良好な相溶性を有するものを選択することにより、光学フィルタとしての透明性を確保できる。
本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の酸価が30以下であることが、光吸収剤の劣化を抑制する点から好ましい。
本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂よりなる群から選択される1種以上であることが、光学フィルタとしての透明性を確保する点から好ましい。
本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、前記多元ブロック共重合体(I)のブロック構造を形成している(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂であることが、光学フィルタとしての透明性を確保する点から好ましい。
本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、少なくとも570〜610nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有することが、少なくともディスプレイからのオレンジ色発光が抑制可能で、鮮やかな赤色を得ることができる点から好ましい。
また、本発明に係る粘着剤組成物、及び、光学フィルタの粘着剤層においては、少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有することが、可視光の波長領域における透過率を調節することによって、画像の色バランスを補正したり、色純度を改善する機能を付与することができる点から好ましい。
本発明に係る光学フィルタは、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層に、更に、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、紫外線吸収機能、表面保護機能のいずれか一種以上の機能を有する一層以上の機能層が積層されてなることが好ましい。
本発明に係る光学フィルタにおいては、800〜1100nmの波長範囲の透過率が30%以下であることが、ディスプレイ内部から放出され、他の機器に誤動作を与え得る近赤外線を遮断する効果の点から好ましい。
本発明に係る光学フィルタにおいては、570〜610nmの波長範囲における最大吸収波長の透過率が50%以下であることが、ディスプレイ内部から放出され、色調に影響を与えるネオン光を遮断する効果の点から好ましい。
本発明に係る光学フィルタにおいては、全光線透過率が30%以上であることが透明性が高く且つ外光存在下での画像コントラスト低下の少ない複合フィルタを得る点から好ましい。
本発明に係る粘着剤組成物は、ガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、且つ製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる粘着剤層を提供することができるといった効果を奏する。本発明に係る粘着剤組成物は、粘着剤層が導電体メッシュ層を有する電磁波遮蔽シートの導電体メッシュ面と隣接して設けられる場合であっても、電磁波遮蔽シートの導電体メッシュ面の変色をも抑制することができる。
更に、本発明に係る光学フィルタは、接着性と所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備える前記本発明に係る粘着剤組成物を用いて形成されている粘着剤層を含むことにより、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる上、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるものである。また、従来のプラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための光学フィルタと比べても、層構成を単純化でき、軽量化、薄膜化が可能で、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる。
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係る光学フィルタを備えることから、軽量化、薄膜化が可能で、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる。
本発明の光学フィルタの積層構造の一例を示す図である。 本発明の光学フィルタをプラズマディスプレイパネルの前面に直接貼付した場合の積層構造の一例を示す図である。 本発明の光学フィルタの積層構造の他の一例を示す図である。 本発明に用いられる電磁波遮蔽シートの一例の平面図である。 実施例1と比較例1における、ΔE*abの経時変化量を示すグラフである。
符号の説明
1 光学フィルタ機能を有する粘着剤層
2 電磁波遮蔽層
3 粘着剤層
4 反射防止層
5 ガラス板
10 光学フィルタ
11 透明基材
12 導電体メッシュ層
13 黒化処理
20 プラズマディスプレイパネル
121 メッシュ領域
122 接地用領域
本発明は、光学フィルタ用粘着剤組成物、及び前記粘着剤組成物を用いた粘着剤層を含む光学フィルタ、並びに、前記光学フィルタを用いた表示装置を含むものである。以下、それぞれについて詳述する。
I.光学フィルタ用粘着剤組成物
本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物は、(I) アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の2個が互いに結合したトリブロック構造、又はアクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の2個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有し、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である多元ブロック共重合体、
(II)樹脂、及び
(III)所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上とを含有する粘着剤組成物であって、
前記樹脂(II)は、当該粘着剤組成物からなる膜を気温80℃、相対湿度10%以下の雰囲気環境下で1000時間静置した前後の膜の色度差Δx及びΔyがいずれも0.015以下とするものであることを特徴とする。
ここでの色度差を求める試験用サンプルとしての粘着剤組成物からなる膜は、例えば以下のように調製することができる。粘着剤組成物を、離型処理ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えば、東洋紡績社製E7002)上に乾燥膜厚25μmとなるように塗工し、適宜乾燥後、上から離型処理PETをラミネートして、膜を形成する。そして、当該膜をガラス(例えば、旭硝子社製PD−200:厚み2.8mm)と貼り合わせた後、上からPETフィルム(例えば、東洋紡績社製A4100:厚み50μm)を積層し、試験用サンプルを調製する。
また、本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物は、(I) アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の2個が互いに結合したトリブロック構造、又はアクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の2個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有し、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である多元ブロック共重合体、
(IV)ガラス転移温度が60℃以上の樹脂、及び
(III)所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上、とを含有することを特徴とする。
本発明によれば、上記特定のブロック共重合体(I)と、上記特定の樹脂(II)又は上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)とを組み合わせた上で、所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上(III)とが用いられていることにより、ガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、且つ製造工程の簡略化及び低コスト化が図れるという効果を得ることができる。
前記特定のブロック共重合体(I)と所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上(III)とを組み合わせると、接着性と所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難いという効果を得ることができる。しかしながら更に、本発明のように、光吸収剤(III)を分散させるバインダー樹脂として上記特定のブロック共重合体(I)と、上記特定の樹脂(II)又は上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)とを組み合わせることにより、上記特定のブロック共重合体(I)のみを用いた時に比べて、高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が、より更に起こり難いという効果を得ることができる。
具体的には例えば、上記特定のブロック共重合体(I)と上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)と劣化しやすい光吸収剤としてジイモニウム系化合物とを組み合わせた粘着剤組成物[W]と、上記特定のブロック共重合体(I)とジイモニウム系化合物とを組み合わせ粘着剤組成物[Z]について、各粘着剤組成物からなる膜を、それぞれ気温80℃、相対湿度10%以下の雰囲気環境下で1000時間静置した前後の膜の色味変化量ΔE*abの値を、粘着剤組成物[W]と粘着剤組成物[Z]とで比較すると、本発明の粘着剤組成物[W]は粘着剤組成物[Z]と比べて30%以上減少させることが可能であり、同様に、各粘着剤組成物からなる膜を気温60℃、相対湿度90%の雰囲気環境下で1000時間静置した前後の膜の色度差Δx及びΔyの値を、粘着剤組成物[W]と粘着剤組成物[Z]とで比較すると、本発明の粘着剤組成物[W]は粘着剤組成物[Z]と比べて10%以上減少させることが可能である。
なおΔE*abは以下の式で求められる値である。
ΔE*ab= {(ΔL+(Δa+(Δb}1/2
ここで、ΔL、Δa、及びΔbは各々、上記特定の雰囲気環境と時間で静置した前後の粘着剤層表面のL、a、及びbの値の差である。また、L、a、及びbは1976年に国際照明委員会(略称CIE)により勧告され、JIS Z8729でも規定されたL表色系の値である。
表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼付又は層間接着が可能な接着性には、半永久的な使用に耐え得るように自重や弱い外力では剥がれやズレが生じず、且つ、貼りつけ後も自重を超える十分強い力で意図的に剥がせば、平滑な面からは比較的容易に剥がすことができる程度の接着性、所謂粘着性が要求される。特に、表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼り付けて使用される場合には、剥離後には表示装置やガラス基板の再利用が可能(以下、リワーク性ということがある。)なように、再剥離性が求められる。なお、表示装置の前面に配置されたガラス板とは、具体的には、表示装置本体の前面ガラス板や、表示装置とは別体のフィルタに用いられるガラス基板が挙げられる。
表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えるような粘着剤層は、光学フィルムを形成する際に、層構成を単純化でき、軽量化、薄膜化が可能で、層構成を製造工程の簡略化及び低コスト化が図れるという利点を有するが、ガラス板に直接貼付可能な接着性を有するような材料を選択した上で、所望の光学フィルタ機能を達成するような光吸収剤を含有させると、長時間の使用、特に高温高湿下で光吸収剤が劣化しやすいことから、光学フィルタ機能の安定性が高い粘着剤層を実用化することは困難であるという問題点があった。例えば、粘着剤層には、優れた粘着性乃至成膜性を与えるように、架橋剤のような反応性モノマーが含有される場合が多いが、このような反応性が高いモノマーが含有される場合には顕著に近赤外線吸収剤のような光吸収剤が劣化する。
この点、本発明によれば、粘着剤層に用いられる樹脂が上記特定のブロック共重合体に更に特定の樹脂を組み合わされていることにより、所望の光学フィルタ機能を達成するような光吸収剤を含有させても、長時間の使用、特に高温高湿下で光吸収剤が劣化し難く、分光特性変化が起こり難い光学フィルタ機能の安定性が高い粘着剤層を得ることができる。
本発明の粘着剤層に用いられる上記ブロック共重合体が、特定のトリブロック構造を分子中に有するブロック共重合体であって、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満であることにより、表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難い機能層を形成できるのは、未解明であるが、次のような理由によるものと考えられる。
すなわち、従来のガラス板に直接貼付可能な接着性を有するような材料において、光吸収剤の劣化が起こりやすいのは、金属イオンを架橋してアイオノマー樹脂としたり、反応性の高い架橋剤を含有させたり、反応性が高いモノマーやオリゴマー成分等を含有することに起因するものと考えられる。
それに対し、本発明に用いられる上記ブロック共重合体(I)は、特定のトリブロック構造を分子中に有するため、塗膜を形成すると擬似架橋構造をとってミクロ相分離構造を形成し易いと推定され、架橋剤を添加しなくても、接着性や成膜性が高い上、耐衝撃性をも付与し得る。そして、本発明に用いられる上記ブロック共重合体(I)は、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満と分子量分布が狭いことにより、上記接着性や成膜性が損なわれない上に、反応性が高いモノマーやオリゴマー成分等が含まれないため、光吸収剤を共存させても長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤が劣化し難いと推定される。このような特定のブロック共重合体(I)に、例えば更に比較的高いガラス転移温度の樹脂(IV)を混合して、耐熱性を上げたことにより、高温時の光吸収剤が動き難くなり、光吸収剤の凝集や分散状態の変化を抑制できて、光吸収剤の劣化がより更に抑えられると推定される。
このように、本発明においては特定の分子量を有し分子量分布が狭い特定のブロック共重合体を選択したため、架橋剤を含有させることなく、必要な接着性と成膜性を実現でき、且つ、上記特定の樹脂(II)又は比較的高いガラス転移温度の樹脂(IV)との相乗効果により光吸収剤の劣化を抑制することが可能になるため、表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼付可能な接着性と、所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備えながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難い機能層を形成することが可能になると考えられる。
<特定のトリブロック構造を有する多元ブロック共重合体(I)>
本発明の必須成分としての多元ブロック共重合体(I)は、以下の{(I−a)或いは(I−b)}の何れかの構造を分子中に有してなり、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である3元以上の多元ブロック共重合体である。
(I−a)アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)〔以下単に(A1)とも略称〕の1個と、
(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)〔以下単に(B1)とも略称〕の2個が、
互いに結合した、(A1)−(B1)−(B1)、或いは(B1)−(A1)−(B1)のトリブロック構造。
(I−b)アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の2個と、
(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が、
互いに結合した、(A1)−(A1)−(B1)、或いは(A1)−(B1)−(A1)のトリブロック構造。
ここで、(メタ)アクリル酸エステル単位とは、アクリル酸エステル単位及び/又はメタクリル酸エステル単位をいう。
又、多元ブロック共重合体(I)は、1種類のみを用いて良いが、所望の要求特性を、より確実に、或いはより大きな自由度で得る為に、2種類以上混合して用いることも出来る。
尚、該多元ブロック共重合体(I)は、重合体ブロック(A1)の1乃至2個及び重合体ブロック(B1)の1乃至2個のみから成るトリブロック共重合体;
(A1)−(B1)−(B1)、
(B1)−(A1)−(B1)、
(A1)−(A1)−(B1)、
或いは(A1)−(B1)−(A1)、
であってもよいし、或いは該トリブロック共重合体のいずれかに更に1個または2個以上の重合体ブロック(C1)、(C2)、(C3)、……[以下これらの重合体ブロックをまとめて「重合体ブロック(C)」と総称することがある]が結合したテトラブロック以上のブロック共重合体;
(A1)−(B1)−(B1)−(C)、
(B1)−(A1)−(B1)−(C)、
(A1)−(A1)−(B1)−(C)、
或いは(A1)−(B1)−(A1)−(C)、
などであってもよい。
そのうちでも、多元ブロック共重合体(I)は、製造の容易性、取扱性、製造上の容易さなどの点から、ブロック数7以下のブロック共重合体であることが好ましく、ブロック数3のトリブロック共重合体[重合体ブロック(C)が結合していない物]が更に好ましい。
前記(I−a)の式(B1)−(A1)−(B1)、及び(I−b)の式(A1)−(B1)−(A1)で表されるトリブロック共重合体では、両端に存在する2つの重合体ブロック(A1)と(A1)、或いは(B1)と(B1)は、中央の重合体ブロックと構造が異なりさえすれば、互いに同じであっても、或いは異なっていてもいずれでも良い。
前記(I−a)の式(A1)−(B1)−(B1)、及び(I−b)の式(A1)−(A1)−(B1)で表されるトリブロック共重合体では、隣接する2つの重合体ブロック(A1)と(A1)、或いは(B1)と(B1)同士は、いずれも互いに構造が異なっていると共に、もう1種の重合体ブロック{(A1)−(A1)については(B1)、又(B1)−(B1)については(A1)}と構造が異なっていることが必要である。
尚、ここで、それぞれの重合体ブロックの構造が違うとは、重合体ブロックを構成しているモノマー単位の種類が異なるか、モノマー単位組成が異なるか、その立体規則性が異なっていることの何れか1以上の条件が満たされれば良い。
又、上記のアクリル系ブロック共重合体のうち、粘着剤(組成物)の接着力、凝集力、タックなどの粘着特性、及び耐熱性が優れている点から、(I−a)の(B1)−(A1)−(B1)の式で表されるトリブロック共重合体がより好ましく用いられる。
多元ブロック共重合体中を構成する重合体ブロック(A1)は、アクリル酸エステルに由来する構造単位(アクリル酸エステル単位)を含んで成るアクリル酸エステル系重合体からなる重合体ブロックである。
ブロック共重合体中の重合体ブロック(A1)におけるアクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量としては、具体的な用途、要求性能及び光吸収剤等配合する他の成分に応じて、実験的に最適範囲を選定すれば良い。中でも、本発明の効果の点から、ブロック共重合体中の重合体ブロック(A1)は、アクリル酸エステルに由来する構造単位(アクリル酸エステル単位)を50重量%以上の割合で含有することが好ましい。
重合体ブロック(A1)を構成するアクリル酸エステル単位は、アルキル基に置換基を有していてもよいアクリル酸アルキルエステルおよび/または環状アルキル基に置換基を有していてもよいアクリル酸環状アルキルエステルに由来する構造単位であることが好ましい。前記アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸環状アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピルなどを挙げることができる。重合体ブロック(A1)は前記したアクリル酸アルキルエステルおよびアクリル酸環状アルキルエステルの1種または2種以上から形成されていることができる。
そのうちでも、重合体ブロック(A1)は、例えば、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸ステアリルなどのような炭素数が4以上のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸トリフルオロメチル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピルなどのアルキル基に置換基を有するアクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上に由来する構造単位を50重量%以上の割合で含有する重合体からなるブロックであることが、得られる粘着剤層の基材への密着性が良好になる点から好ましい。
特に、重合体ブロック(A1)は、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシルおよびアクリル酸ステアリルの1種または2種以上に由来する構造単位を50重量%以上の割合で含有する重合体からなるブロックであることが、各重合体ブロックの耐水性などの点から更に好ましく、アクリル酸n−ブチルまたはアクリル酸2−エチルヘキシルに由来する構造単位を50重量%以上の割合で含有する重合体からなる重合体ブロックであることが一層好ましい。
重合体ブロック(A1)は、重合体ブロック(A1)の重量に基づいて、アクリル酸エステル単位を50重量%以上の割合で有することが好ましいが、80重量%以上、更に90重量%以上、より更に100重量%の割合で有していることが望ましい。重合体ブロック(A1)中のアクリル酸エステル単位の割合が50重量%未満であると、得られる粘着剤層の接着力や耐衝撃性を損なう傾向となり、本発明の目的を達成することが困難な場合がある。
ブロック共重合体中の重合体ブロック(A1)が、50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で含有することが好ましい他のモノマー単位としては、例えば、メタクリル酸アルキルエステル[例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、その他の以下で説明する重合体ブロック(B1)を形成するメタクリル酸エステル類]、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのメタクリルアミド類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド類;メタクリル酸、アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を有するビニル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどの芳香族ビニル系モノマー;ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン系モノマー;エチレン、プロピレンなどのオレフィン;ε−カプロラクトン、バレロラクトンなどのラクトンなどのモノマーに由来する構造単位を挙げることができる。
一方、多元ブロック共重合体中を構成する重合体ブロック(B1)は、(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロックであって、且つ前記した重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体からなるブロックである。(メタ)アクリル酸エステル単位は、アルキル基に置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または環状アルキル基に置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルに由来する構造単位であることが好ましい。
重合体ブロック(B1)における(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量としても、具体的な用途、要求性能及び光吸収剤等配合する他の成分に応じて、実験的に最適範囲を選定すれば良い。中でも、本発明の効果の点から、重合体ブロック(B1)は、中でも、メタクリル酸エステル単位を50重量%以上の割合で含有することが好ましい。メタクリル酸エステル単位は、アルキル基に置換基を有していてもよいメタクリル酸アルキルエステルおよび/または環状アルキル基に置換基を有していてもよいメタクリル酸環状アルキルエステルに由来する構造単位であることが好ましい。前記メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸環状アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸2−メトキシペンチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)ペンチル、メタクリル酸パ−フルオロペンチル、メタクリル酸2−トリメトキシシリルペンチルなどを挙げることができる。
そのうちでも、重合体ブロック(B1)は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチルなどのアルキル基の炭素数が1〜4であるメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどの環構造を有するアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構造単位を50重量%以上含有する重合体からなるブロックであることが、得られる粘着剤層における光吸収剤の耐久性向上の点から好ましい。
特に、メタクリル酸メチルに由来する構造単位を50重量%以上含有する重合体からなるブロックであることが、透明性や光吸収剤の耐久性向上の点からより好ましい。
重合体ブロック(B1)は、重合体ブロック(B1)の重量に基づいて、メタクリル酸エステルに由来する構造単位[メタクリル酸エステル単位]を50重量%以上の割合で有することが好ましいが、80重量%以上、更に90重量%以上、より更に100重量%の割合で有していることが望ましい。重合体ブロック(B1)におけるメタクリル酸エステル単位の割合が50重量%未満であると、得られる粘着剤層の接着力や耐衝撃性を損なう傾向となり、本発明の目的を達成することが困難な場合がある。
ブロック共重合体(I)の重合体ブロック(B1)が50重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下の割合で有することが好ましい他のモノマー単位としては、例えば、上述のようなアクリル酸エステル類;上述のようなメタクリルアミド類;上述のようなアクリルアミド類;上述のようなカルボキシル基を有するビニル系モノマー;上述のような芳香族ビニル系モノマー;上述のような共役ジエン系モノマー;上述のようなオレフィン;上述のようなラクトンなどのモノマーに由来する構造単位を挙げることができる。
ブロック共重合体が、重合体ブロック(A1)の1個および重合体ブロック(B1)の2個と共に、または重合体ブロック(A1)の2個および重合体ブロック(B1)の1個と共に、1個または2個以上の重合体ブロック(C)を更に有するテトラブロック以上のブロック共重合体である場合は、重合体ブロック(C)の種類や内容はいずれでもよい。テトラブロック以上のブロック構造を形成する限りは、重合体ブロック(C)は重合体ブロック(A1)および/または重合体ブロック(B1)と同じであってもよいし、または異なっていてもよい。さらに、ブロック共重合体が2個以上の重合体ブロック(C)を有するペンタブロック以上のブロック共重合体である場合は、複数の重合体ブロック(C)は互いに同じであってもよいし、または異なっていてもよい。
重合体ブロック(C)は、例えば、上述のような、メタクリル酸エステル類;アクリル酸エステル類;メタクリルアミド類;アクリルアミド類;芳香族ビニル系モノマー類;共役ジエン系モノマー類;オレフィン類;ラクトン類などのモノマーの1種または2種以上に由来する構造単位を有する重合体ブロックであることができる。
そのうちでも、重合体ブロック(C)は、ブロック共重合体中への重合体ブロック(C)の導入のし易さ、熱安定性などの点から、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル系モノマーに由来する構造単位を50重量%以上含有する重合体ブロックであることが好ましく、耐熱性などの観点から、メタクリル酸エステルおよび/またはアクリル酸エステルに由来する構造単位を50重量%以上含有する重合体ブロックであることがより好ましい。
本発明では、多元ブロック共重合体として、接着力、成膜性をバランス良く備え、且つ光吸収剤の劣化を起こし難い点から、重量平均分子量(Mw)が50,000以上のものを用いることが必要であり、更に、重量平均分子量(Mw)は60,000以上であることが好ましい。また、流動性の点から、ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、500,000以下、更に300,000以下であることが好ましい。かかる点から、本発明では、ブロック共重合体として重量平均分子量(Mw)が50,000〜500,000のものが好ましく用いられ、60,000〜300,000のものがより好ましく用いられる。
上記多元ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)が上記規定未満であって、低い程、又分子量分布(Mw/Mn)が下記規定未満であって、広い程、同じ光吸収剤を使用した場合でも前記光吸収剤の耐久性は低下する事が判明した。有機系色素、特にジイモニウム系化合物であるNIR吸収剤等の場合にこの傾向が見られた。
本発明で用いる多元ブロック共重合体中の重合体ブロック(A1)の分子量は、特には限定されないが、得られる粘着剤層の接着力、耐衝撃性をバランス良く備える点から、重合体ブロック(A1)の重量平均分子量(Mw)は、10,000〜500,000であることが好ましく、20,000〜300,000であることがより好ましい。
また、本発明で用いる多元ブロック共重合体中の重合体ブロック(B1)の分子量も特に制限されないが、得られる粘着剤層の接着力、耐衝撃性をバランス良く備える点から、重合体ブロック(B1)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜50,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。
また、本発明で用いる多元ブロック共重合体が、重合体ブロック(A1)および重合体ブロック(B1)と共に重合体ブロック(C)を有するテトラブロック以上のブロック共重合体である場合は、重合体ブロック(C)の分子量は特に制限されないが、耐熱性や力学的特性を効果的に発現させるために、重合体ブロック(C)の重量平均分子量(Mw)は1,000〜50,000であることが好ましく、1,000〜30,000であることが更に好ましい。
本発明で用いる多元ブロック共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比(Mw/Mn)で示される分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満であることが必要であり、1.4以下であることが好ましく、1.3以下、更に1.2以下であることがより好ましい。
本発明で用いる多元ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満であって、分子量分布が狭いことにより、得られる粘着剤層の接着力、成膜性、耐衝撃性などがより向上する上、しかも反応性が高い低分子量モノマー成分等による光吸収剤を劣化させることを抑制できる。
なお、本明細書における重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)によりポリスチレン換算分子量で求めたものである。例えば装置として東ソー株式会社製GPC装置「HLC−8020」を用い、分離カラムとして、東ソー株式会社製「TSKgel GMHXL」、「G4000HXL」および「G5000HXL」を直列に連結し、溶離剤としてテトラヒドロフランを用い、溶離剤流量:1.0ml/分、カラム温度:40℃、検出方法:示差屈折率(RI)として測定することができる。
また、本発明で用いるブロック共重合体中の重合体ブロック(A1)のガラス転移温度は、−40℃〜50℃であることが好ましく、更に−30℃〜30℃であることが、接着性の点から好ましい。更に、本発明で用いるブロック共重合体中の重合体ブロック(B1)のガラス転移温度は、80℃〜140℃であることが好ましく、更に100℃〜120℃であることが、接着性の点から好ましい。このようなガラス転移温度をそれぞれ有する重合体ブロックを組み合わせることにより、重合体ブロック(A1)がよりソフトなセグメントとなり、重合体ブロック(B1)がよりハードなセグメントとなって、ミクロ相分離構造を形成しやすくなり、接着性と共に成膜性や耐衝撃性が向上しやすい。中でも、前記重合体ブロック(A1)の示差走査熱量計測定によるガラス転移温度が−40℃〜50℃で且つ、前記重合体ブロック(B1)の示差走査熱量計測定によるガラス転移温度が100℃〜120℃であり、(B1)−(A1)−(B1)のトリブロック構造を有する場合には、重合体ブロック(B1)により擬似架橋構造が形成されやすくなり、接着性と共に耐衝撃性が向上する。
本発明で用いる多元ブロック共重合体のガラス転移温度は、−100℃〜0℃であることが好ましく、更に−50℃〜−5℃であることが、粘着性の点から好ましい。
なおここで、本明細書におけるガラス転移温度は、示差走査熱量計(例えば、NETZSCH社製、商品名DSC204 Phoenix)を用い、JIS K7121に準拠して測定したものである。測定方法は、例えば、測定開始温度は−50℃、測定終了温度は200℃、昇温および冷却速度は2℃/分、そして窒素雰囲気下で実施することができる。また、ここでのガラス転移温度とは、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度、すなわち中間点ガラス転移温度のことを言う。
本発明で用いるブロック共重合体では、接着性及び耐衝撃性の点でより優れる粘着剤層が得られる点から、重合体ブロック(B1)の含有量[重合体ブロック(B1)を2個有する場合はその合計重量]が、ブロック共重合体の重量に基づいて、5〜30重量%である[重合体ブロック(A1)の含有量が95〜70重量%である]ことが好ましく、5〜22重量%であることがより好ましく、5〜20重量%であることが更に好ましい。
本発明で用いるブロック共重合体の製法は特に制限されず、重量平均分子量が50000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が上記した1.5未満であり、しかも上記した特性を備える多元ブロック共重合体を製造できれば、いずれの方法で製造したものであってもよい。そのうちでも、1.5未満の狭い分子量分布(Mw/Mn)を有する本発明で用いるブロック共重合体は、アニオン重合法または原子移動ラジカル重合法(ATRP)、特にアニオン重合法により円滑に製造することができる。
前記のアニオン重合法としては、分子量分布(Mw/Mn)の狭い重合体を製造でき、かつ目的のブロック共重合体を高い純度で製造できることから、例えば、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤としアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特公平7−25859号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤とし有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特開平11−335432号公報参照)、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてアニオン重合する方法(特開平6−93060号公報参照)などが挙げられる。
前記アニオン重合による場合は、より分子量分布の狭い重合体を製造でき、残存モノマーが少なく、しかも分子構造が高シンジオタクチックなものとなり、生成するブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)が高くなるなどの利点がある。かかる点から、本発明では、ブロック共重合体としてアニオン重合によって得られるブロック共重合体が好ましく用いられる。そのうちでも、極低温ではなくて比較的高い温度でアニオン重合を行うことができ、それによりブロック共重合体を製造する際の環境負荷(主に重合温度を制御するための冷凍機代)が少なくて済む点から、有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合して得られるブロック共重合体が好ましく用いられる。
本発明で用いるブロック共重合体をアニオン重合によって製造するに当っては、例えば、前記した特開平11−335432号公報などに記載されているような、有機リチウム化合物、および特定の有機アルミニウム化合物の存在下に、必要に応じてN,N,N',N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミンやその他の3級アミン;1,2−ジメトキシエタンや12−クラウン−4等のクラウンエーテルなどのエーテルを更に用いて、ブロック共重合体中の各重合体ブロックを形成するアクリル酸エステルモノマーまたは(メタ)アクリル酸エステルモノマーを逐次重合させる方法などを採用することができる(特許文献3参照)。
また、上記多元ブロック共重合体中に含まれる可能性がある、反応性のある物質の残留物や、残留モノマー、オリゴマー等の低分子量成分の含有量は、その性質により異なるため特に限定されないが、例えば100重量ppm以下、更に1重量ppm以下であることが好ましい。
<樹脂(II)>
樹脂(II)は、上記多元ブロック共重合体(I)に添加することにより、更に高温高湿下でも光吸収剤(III)の劣化を抑制する成分である。具体的には、前記樹脂(II)は、当該粘着剤組成物からなる膜を気温80℃、相対湿度10%以下の雰囲気環境下で1000時間静置した前後の膜の色度差Δx及びΔyがいずれも0.015以下を達成するものである。
樹脂(II)としては、上記のような数値を達成するものを適宜選択すれば良いが、上記多元ブロック共重合体(I)に添加することにより、粘着剤層とした時の耐熱性を向上させたり、粘着剤層とした時の光吸収剤(III)の層中の移動を抑制することができる成分を用いることが好ましい。
上記を達成できる樹脂(II)としては、粘着性を有しない成分から選択されることが好ましい。また、光吸収剤(III)の移動を促進することを抑制する点から、樹脂(II)は、可塑性をもたらさない成分であることが好ましく、重量平均分子量が3,000以上の成分であることが好ましい。中でも前記ブロック共重合体(I)との相溶性の点から、500,000以下であることが好ましく、更に好ましくは200,000以下、より好ましくは50,000以下である。
本発明に用いられる樹脂(II)は、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部の範囲で混合した混合物からなる、膜厚25μmの塗膜のJIS K7105−1981に準拠したヘイズ値が5%以下であることが好ましい。前記多元ブロック共重合体(I)と、前記樹脂(II)とが良好な相溶性を有するものを選択することにより、光学フィルタとしての透明性を確保できる。
本発明に用いられる樹脂(II)は、酸価が30以下、更に10以下であることが、光吸収剤の劣化を抑制する点から好ましい。
本発明に用いられる樹脂(II)は、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂よりなる群から選択される1種以上であることが、光学フィルタとしての透明性を確保する点から好ましい。
また、本発明に用いられる前記ブロック共重合体(I)と樹脂(II)の含有量は、透明性や接着性の点から適宜選択されれば良く、特に限定されないが、通常、粘着性と透明性のバランスの点から、本発明に用いられる樹脂(II)は、前記ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることが更に好ましい。
本発明に用いられる樹脂(II)としては、下記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が好適に用いられる。
<ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)>
本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、粘着性を有しない樹脂であって、上記多元ブロック共重合体(I)に添加することによってその可塑性を抑制する働きを有する成分である。本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、上記多元ブロック共重合体(I)と共に粘着剤層を形成したときに耐熱性を向上させ、後述の光吸収剤(III)の高温時の動きを抑制することにより凝集や分散状態の変化を抑制し、劣化を抑制すると推定される。
粘着剤は、接着性の点からガラス転移温度が低い成分が含まれ、全体として、通常ガラス転移温度が0℃未満となっている。上記多元ブロック共重合体(I)も接着性の点から、ガラス転移温度が−40℃〜50℃である重合体ブロック(A1)を主成分とすることが好ましい。このような低いガラス転移温度を有する粘着剤は、それ自体が分子を流動化させやすく、光吸収剤(III)の移動度を高くしているものと推定される。その結果、光吸収剤(III)が、高温時に移動しやすくなり、光吸収剤を劣化させる成分(例えば、バインダ樹脂中の重合モノマー残渣の極性官能基や、ガラス板と隣接する際にはガラスからのナトリウムイオンや、金属を含む電磁波遮蔽層と隣接する際には、金属イオンなどが推定される。)と遭遇する確率が高くなり、劣化されやすくなるものと推定される。
それに対し、本発明においては、粘着剤として機能する多元ブロック共重合体(I)に当該ガラス転移温度60℃以上の樹脂(IV)を添加することにより、高温高湿下においても粘着剤層中での光吸収剤の移動を抑制し、光吸収剤が凝集したり、分散状態を変化させたり、劣化成分と遭遇する確率を低減したりすることができ、高温、高湿下での光吸収剤の安定性が飛躍的に向上し、光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こりにくいという効果を得ることができると推定される。
本発明に用いられる樹脂(IV)は、光吸収剤の劣化抑制の点からガラス転移温度が60℃以上であり、好ましくは80℃以上である。また、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、粘着力の点からは、ガラス転移温度は200℃以下であることが好ましい。
本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)としては、表示装置に用いる光学フィルタ機能を有する層に用いられることから、可視光域の光を透過する樹脂が好適に用いられる。ここで、可視光域の光を透過するとは、可視光域380〜780nmにおける平均光透過率が50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上である場合である。なお、光透過率の測定は、紫外可視分光光度計(例えば、(株)島津製作所製 UV−3100PC)を用い、室温、大気中で測定した値を用いる。
また、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記多元ブロック共重合体(I)と相溶性が高いものであることが好ましい。
具体的には、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部の範囲で混合した混合物からなる、膜厚25μmの塗膜を形成し、JIS K7105−1981に準拠したヘイズ値を測定したときに、ヘイズ値が5%以下となるような樹脂(IV)を選択することが好ましい。当該ヘイズ値はより好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
また、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、光吸収剤を劣化させることを抑制する点から、酸価が30以下であることが好ましく、更に酸価が15以下であることが好ましく、より更に酸価が10以下であることが好ましい。ここでの酸価は試料1g中に含有する遊離脂肪酸や樹脂酸などを中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K0070−1992に準拠した方法にて測定することができる。
前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)としては、可視光域380〜780nmにおける平均光透過率が50%以上であって、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂よりなる群から選択される1種以上であることが、光学フィルタの透明性を確保する点から好ましい。これらの中でもアクリル酸誘導体由来の繰り返し単位を有するアクリル樹脂よりなる群から選択される1種以上であることが、前記多元ブロック共重合体(I)との相溶性及び透明性の点から好ましい。
前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記多元ブロック共重合体(I)のブロック構造を形成している(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂であることが、光学フィルタとしての透明性を確保する点から好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単位としては、上記前記多元ブロック共重合体(I)で挙げたのと同様の繰り返し単位を用いることができる。中でも、アルキル基に置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび/または環状アルキル基に置換基を有していてもよい(メタ)アクリル酸環状アルキルエステルに由来する構造単位が含まれることが好ましい。これらの具体例としては、上記前記多元ブロック共重合体(I)で挙げたのと同様の繰り返し単位が挙げられる。
中でも、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、メタクリル酸アルキルエステル単位を有する樹脂であることが、前記多元ブロック共重合体(I)との相溶性及びの点から好ましい。その中でも、特にメタクリル酸メチル単位を有する樹脂であることが好ましい。
なお、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)として、(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂を用いる場合に、上記前記多元ブロック共重合体(I)で挙げたのと同様のその他のモノマー単位を含んでいても良い。しかしながら、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が光吸収剤を劣化させることを抑制する点からは、カルボキシル基やアミド基を実質的に含まないことが好ましい。なおここで「実質的に含まない」とは、(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂に、例えば共重合などの手段によって意図的に組み込まれていないことを意味するものであり、(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂が、例えば重合反応中または得られた共重合体の貯蔵・輸送などの過程で、アクリル酸エステル単量体または(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂の一部が加水分解を起こすなどして微量含有する結果になっても、該カルボキシル基やアミド基の量が、上記光吸収剤の劣化が実用上無視し得る程度の場合は、本発明における「カルボキシル基やアミド基を実質的に含まない」状態と見做すものとする。
以上のような点から、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)としては、好適な具体例としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸イソボルニル、ポリメタクリル酸t−ブチル、ポリメタクリル酸シクロヘキシルや、これらを含有する共重合体などが挙げられる。
また、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)としては、使用する光吸収剤(III)の良溶媒に溶解性を有するものであることが好ましい。ここでの溶解性とは、具体的には、25℃において樹脂(IV)が5重量%以上の濃度で前記光吸収剤(III)の良溶媒に溶解することをいい、好ましくは25℃において樹脂(IV)が10重量%以上の濃度で前記溶媒に溶解することをいう。また、光吸収剤(III)の良溶媒とは、具体的には、25℃において光吸収剤(III)が0.01重量%以上の濃度で溶解する溶媒をいい、好ましくは25℃において光吸収剤(III)が0.05重量%以上の濃度で溶解する溶媒をいう。
選択される光吸収剤(III)によっては、前記ブロック共重合体(I)の良溶媒に溶け難い場合があり、この場合は光吸収剤(III)が前記ブロック共重合体(I)中で良好に分散されず、層中で光吸収剤(III)が動きやすく、凝集したり、又は分散状態が変化し、劣化し易くなると考えられる。それに対し、上記のようにガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が使用する光吸収剤(III)の良溶媒に良好な溶解性を示す場合には、選択される光吸収剤(III)とガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の混合溶液を予め調製することができる。この場合には、光吸収剤(III)が、ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)中で良好に分散され、且つガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の耐熱性が高いことにより、高温時にも光吸収剤(III)が動き難いため、凝集し難く、より劣化し難くなると考えられる。
また、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の重量平均分子量は、前記ブロック共重合体(I)との相溶性が良くなり、透明性が高くなる点から、500,000以下であることが好ましく、更に好ましくは200,000以下、より好ましくは50,000以下である。一方、光吸收剤の高温高湿下での分光特性の変化の低減の点から、重量平均分子量は、3,000以上であることが好ましく、更に5,000以上であることが好ましい。
また、本発明に用いられる前記ブロック共重合体(I)とガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の含有量は、透明性や接着性の点から適宜選択されれば良く、特に限定されないが、通常、粘着性と透明性のバランスの点から、本発明に用いられるガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部であることが好ましく、5〜25重量部であることが更に好ましい。
<光吸収剤(III)>
本発明において用いられる所定波長域の光吸収を有する光吸収剤は、表示装置から放射される不要な発光成分を除去したり、表示色を鮮明にすることを目的として使用されるものである。目的に応じて、所望の波長域に吸収帯域を有する光吸収剤が適宜用いられる。光吸収剤として機能する色素も好適に用いられる。具体的には、少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤(以下、特に「近赤外線吸収剤」と呼ぶ。)、少なくとも570〜610nmに吸収帯域を有するネオン光吸収することを目的とする光吸収剤(以下、特に「ネオン光吸収剤」と呼ぶ。)、少なくとも380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収帯域を有する色調調整を目的とする光吸収剤(色素)(以下、「色補正色素」と呼ぶ。)等が挙げられる。これらの光吸収剤は単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。その他に、光吸収剤としては、後述のように、必要に応じて、波長380nm以下に吸収帯域を有する光吸収剤(以下、特に「紫外線吸収剤」と呼ぶ。)を添加しても良い。
[近赤外線吸収剤]
近赤外線吸収剤としては、800〜1100nmの波長を吸収できるものであるならば、任意の化合物の中から選択することができる。中でも、800nm〜1100nmの波長領域を吸収し、且つ可視光領域、即ち、380nm〜780nmの波長領域では吸収が少なくて十分な光線透過率を有する近赤外線吸収剤が好ましい。
少なくとも800〜1100nmの波長領域内に吸収最大波長を有する近赤外線吸収剤としては、具体的には、ポリメチン系化合物、シアニン系化合物、フタロシアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、ジチオール系化合物、インモニウム系化合物、ジイモニウム系化合物、アミニウム系化合物、ピリリウム系化合物、セリリウム系化合物、スクワリリウム系化合物、銅錯体類、ニッケル錯体類、ジチオール系金属錯体類の有機系近赤外線吸収剤、酸化スズ、酸化インジウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ニッケル、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンモン、酸化鉛、酸化ビスマス、酸化ランタン、6塩化タングステン、複合タングステン酸化物微粒子等の無機系近赤外線吸収剤、を1種、又は2種以上を併用することができる。中でも、特に、本発明がその効果を十分に奏するのは、粘着剤中の特定の官能基により分光特性劣化を生じ易い、有機系近赤外線吸収剤の場合である。
ここで、「系化合物」とは、誘導体群をさし、例えばアントラキノン系化合物の場合、アントラキノン誘導体をいう。中でも、アントラキノン系化合物、ナフトキノン系化合物、フタロシアニン系化合物、ジイモニウム系化合物が好ましい。その中でも、可視域の透過率も高い点からは、フタロシアニン系化合物及び/又はジイモニウム系化合物が好ましい。
ジイモニウム系化合物は、近赤外領域、特に900〜1100nmの波長領域の吸収が大きく、吸収域が広く、可視域の透過率も高い点から好ましい。また、フタロシアニン系化合物は、吸収域が800〜1000nmであるため、 ジイモニウム系化合物と組み合わせた場合に更に近赤外領域の吸収域を拡大させることができ、且つ比較的耐久性が高い点から好ましい。フタロシアニン系化合物とジイモニウム系化合物を併用すると、上記利点を兼ね備えることが可能になり、特に好ましい。
元来、近赤外線吸収剤を添加した粘着剤層において劣化傾向が顕著であった有機系色素、特にジイモニウム系化合物も、本発明において上記特定のアクリル系共重合体(A)とイソシアネート化合物(B)と組み合わせて用いることにより、高温高湿下でも劣化が抑制されるために、好適に用いることが可能になる。
ジイモニウム系化合物としては、具体的には下記式(1)で表されるジイモニウム化合物が挙げられる。
Figure 0005267122
(式中、R1〜R8は、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、又はアルキニル基を表し、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R9〜R12は、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、それぞれ同じであっても、異なっていても良い。R1〜R12で置換基を結合できるものは置換基を有しても良い。X-は陰イオンを表す。)
前記式(1)中のR〜Rの具体例として、置換基を有していても良いアルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアリール基としてはフェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基などが挙げられる。また、置換基を有していてもよいアラルキル基としては、ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基などが挙げられる。これらの中でもiso−プロピル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基などの分岐鎖状アルキル基であることが、ジイモニウム系化合物の熱分解点を上昇させ、耐久性を向上させる点から好ましい。R〜Rの少なくとも一つが分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、R〜Rの全てが分岐鎖状アルキル基であることがより好ましい。
また、R〜R12としては、水素、フッ素、塩素、臭素、ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、メチル基、エチル基、プロピル基、トリフルオロメチル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
は、無機の1価陰イオンとして、例えば、フッ素イオン、塩素イオン、臭素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、過塩素酸イオン、過ヨウ素酸イオン、硝酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、モリブデン酸イオン、タングステン酸イオン、チタン酸イオン、バナジン酸イオン、リン酸イオン、ホウ酸イオン等が挙げられる。また、Xは有機酸の1価陰イオンとして、例えば、酢酸イオン、乳酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、プロピオン酸イオン、安息香酸イオン、シュウ酸イオン、コハク酸イオン、ステアリン酸イオン等の有機カルボン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、ナフタレンモノスルホン酸イオン、クロロベンゼンスルホン酸イオン、ニトロベンゼンスルホン酸イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン等の有機スルホン酸イオン、テトラフェニルホウ酸イオン、ブチルトリフェニルホウ酸イオン等の有機ホウ酸イオン等が挙げられ、更に、ビスクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスジクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリクロロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスフルオロスルホニルイミド酸イオン、ビスジフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオン、ビスペンタフルオロエタンスルホニルイミド酸イオン、等のスルホニルイミド酸イオンが挙げられる。中でも、スルホニルイミド酸イオンが、強い電子吸引性によってイオン性化合物であるジイモニウム化合物を安定化し、結果として耐久性を向上させる点から好ましい。この中でも特にビストリフルオロメタンスルホニルイミド酸イオンが好ましい。ただし、本発明では上記で挙げたものに限定されるものではない。
これらジイモニウム化合物の一部は市販品として入手可能であり、例えば日本化薬株式会社製、KayasorbIRG−022、IRG−068等を好適に用いることができる。
フタロシアニン系化合物としては、具体的には下記式(2)で表されるフタロシアニン系化合物が挙げられる。
Figure 0005267122
(式(2)中、A〜A16は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ヒドロキシスルホニル基、アミノスルホニル基、あるいは窒素原子、硫黄原子、酸素原子またはハロゲン原子を含んでも良い炭素数1〜20の置換基を表し、かつ、隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい。Mは、酸化バナジウムまたは銅を表す。)
本発明においては、フタロシアニン系化合物の中でも、下記の四種類のフタロシアニン系化合物(A)〜(D)のうちの少なくとも三種類を使用することが好ましい。
フタロシアニン系化合物(A):上記の式(2)で表されるフタロシアニン系化合物であって、A〜A16の内の少なくとも4つは硫黄原子を介する置換基であり、かつ、少なくとも3つは塩素原子を有する。Mは酸化バナジウムである。
フタロシアニン系化合物(B):上記の式(2)で表されるフタロシアニン系化合物であって、A〜A16の内の少なくとも4つは硫黄原子を介する置換基であり、かつ、実質的に塩素原子を有さない。Mは酸化バナジウムである。
フタロシアニン系化合物(C):上記の式(2)で表されるフタロシアニン系化合物であって、A〜A16の内の少なくとも4つは窒素原子を介する置換基であり、かつ、硫黄原子を介する置換基を実質的に含まない。Mは酸化バナジウムである。
フタロシアニン系化合物(D):上記の式(2)で表されるフタロシアニン系化合物であって、A〜A16の内の少なくとも4つは窒素原子を介する置換基であり、かつ硫黄原子を介する置換基を実質的に含まない。Mは銅である。
上記式(2)において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、沃素原子が挙げられる。この中では、特にフッ素原子および塩素原子が好ましい。
上記式(2)において、窒素原子、硫黄原子、酸素原子、ハロゲン原子を含んでもよい炭素数1〜20の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、等の直鎖、分岐または環状のアルキル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、ジエチルアミノメチル基、フェニルチオメチル基、ベンジル基、p−クロロベンジル基、p−メトキシベンジル基、等のヘテロ原子や芳香環を含むアルキル基、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基等のアリール基、
メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等のアルコキシ基、メトキシエトキシ基、フェノキシエトキシ基等のアルコキシアルコキシ基、ヒドロキシエトキシ基等のヒドロキシアルコキシ基、ベンジルオキシ基、p−クロロベンジルオキシ基、p−メトキシベンジルオキシ基等のアラルキルオキシ基、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基、p−t−ブチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、o−アミノフェノキシ基、p−ジエチルアミノフェノキシ基等のアリールオキシ基、
アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n−プロピルカルボニルオキシ基、iso−プロピルカルボニルオキシ基、n−ブチルカルボニルオキシ基、iso−ブチルカルボニルオキシ基、sec−ブチルカルボニルオキシ基、t−ブチルカルボニルオキシ基、n−ペンチルカルボニルオキシ基、n−ヘキシルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n−ヘプチルカルボニルオキシ基、3−ヘプチルカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等のアルキルカルボニルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−クロロベンゾイルオキシ基、p−メトキシベンゾイルオキシ基、p−エトキシベンゾイルオキシ基、p−t−ブチルベンゾイルオキシ基、p−トリフロルオメチルベンゾイルオキシ基、m−トリフルオロメチルベンゾイルオキシ基、o−アミノベンゾイルオキシ基、p−ジエチルアミノベンゾイルオキシ基等のアリールカルボニルオキシ基、
メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、n−ペンチルチオ基、n−ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、n−ヘプチルチオ基、n−オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基等のアルキルチオ基、ベンジルチオ基、p−クロロベンジルチオ基、p−メトキシベンジルチオ基等のアラルキルチオ基、フェニルチオ基、p−メトキシフェニルチオ基、p−t−ブチルフェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、o−アミノフェニルチオ基、o−(n−オクチルアミノ)フェニルチオ基、o−(ベンジルアミノ)フェニルチオ基、o−(メチルアミノ)フェニルチオ基、p−ジエチルアミノフェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基、
メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、n−ヘプチルアミノ基、n−オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−n−ペンチルアミノ基、ジ−n−ヘキシルアミノ基、ジ−n−ヘプチルアミノ基、ジ−n−オクチルアミノ基等のアルキルアミノ基、フェニルアミノ基、p−メチルフェニルアミノ基、p−t−ブチルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジ−p−メチルフェニルアミノ基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノ基等のアリールアミノ基、アセチルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、iso−プロピルカルボニルアミノ基、n−ブチルカルボニルアミノ基、iso−ブチルカルボニルアミノ基、sec−ブチルカルボニルアミノ基、t−ブチルカルボニルアミノ基、n−ペンチルカルボニルアミノ基、n−ヘキシルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n−ヘプチルカルボニルアミノ基、3−ヘプチルカルボニルアミノ基、n−オクチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、p−クロロベンゾイルアミノ基、p−メトキシベンゾイルアミノ基、p−メトキシベンゾイルアミノ基、p−t−ブチルベンゾイルアミノ基、p−クロロベンゾイルアミノ基、p−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ基、m−トリフルオロメチルベンゾイルアミノ基等のアリールカルボニルアミノ基、
ヒドロキシカルボニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロピルオキシカルボニル基、iso−プロピルオキシカルボニル基、n−ブチルオキシカルボニル基、iso−ブチルオキシカルボニル基、sec−ブチルオキシカルボニル基、t−ブチルオキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基、メトキシエトキシカルボニル基、フェノキシエトキシカルボニル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基等のアルコキシアルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p−メトキシフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基、o−アミノフェノキシカルボニル基、p−ジエチルアミノフェノキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基、
アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、エチルアミノカルボニル基、n−プロピルアミノカルボニル基、n−ブチルアミノカルボニル基、sec−ブチルアミノカルボニル基、n−ペンチルアミノカルボニル基、n−ヘキシルアミノカルボニル基、n−ヘプチルアミノカルボニル基、n−オクチルアミノカルボニル基、2−エチルヘキシルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、ジエチルアミノカルボニル基、ジ−n−プロピルアミノカルボニル基、ジ−n−ブチルアミノカルボニル基、ジ−sec−ブチルアミノカルボニル基、ジ−n−ペンチルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘキシルアミノカルボニル基、ジ−n−ヘプチルアミノカルボニル基、ジ−n−オクチルアミノカルボニル基等のアルキルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルアミノカルボニル基、p−t−ブチルフェニルアミノカルボニル基、ジフェニルアミノカルボニル基、ジ−p−メチルフェニルアミノカルボニル基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノカルボニル基等のアリールアミノカルボニル基、
メチルアミノスルホニル基、エチルアミノスルホニル基、n−プロピルアミノスルホニル基、n−ブチルアミノスルホニル基、sec−ブチルアミノスルホニル基、n−ペンチルアミノスルホニル基、n−ヘキシルアミノスルホニル基、n−ヘプチルアミノスルホニル基、n−オクチルアミノスルホニル基、2−エチルヘキシルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基、ジ−n−プロピルアミノスルホニル基、ジ−n−ブチルアミノスルホニル基、ジ−sec−ブチルアミノスルホニル基、ジ−n−ペンチルアミノスルホニル基、ジ−n−ヘキシルアミノスルホニル基、ジ−n−ヘプチルアミノスルホニル基、ジ−n−オクチルアミノスルホニル基等のアルキルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、p−メチルフェニルアミノスルホニル基、p−t−ブチルフェニルアミノスルホニル基、ジフェニルアミノスルホニル基、ジ−p−メチルフェニルアミノスルホニル基、ジ−p−t−ブチルフェニルアミノスルホニル基等のアリールアミノスルホニル基等が挙げられる。
隣り合う2個の置換基が連結基を介して繋がっていてもよい置換基としては、下記式等で表されるようなヘテロ原子を介して5員環あるいは6員環を形成する置換基が挙げられる。
Figure 0005267122
フタロシアニン系化合物(A)および(B)における「硫黄原子を介する置換基」、あるいはフタロシアニン系化合物(C)および(D)における「窒素原子を介する置換基」としては、アミノ基、アミノスルホニル基、上記のアルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基等が挙げられる。フタロシアニンの吸収波長は通常600〜750nm程度であるが、硫黄原子あるいは窒素原子を介する置換基が導入されることにより、吸収が長波長化され、800nm以上に吸収を有するようになる。そのためには、A〜A16の内の少なくとも4つは硫黄原子を介する置換基および/または窒素原子を介する置換基であり、より好ましくは8つ以上が硫黄原子を介する置換基および/または窒素原子を介する置換基である。
上記四種類のフタロシアニン系化合物(A)〜(D)の三種類以上の組み合わせ、ならびに各フタロシアニン系化合物の混合比率等は、光学フィルタの具体的用途、目的等に応じて、光学的特性(例えば、吸収波長領域や光透過率等)により適宜定める。上記四種類のフタロシアニン系化合物(A)〜(D)の三種類以上は、各化合物の吸収波長領域が異なったものを組み合わせることにより、全体として、800nm〜1100nmの波長領域の全てを吸収できるように選択する。例えば、吸収帯域が800nm〜850nmのフタロシアニン系化合物、吸収帯域が850nm〜920nmのフタロシアニン系化合物、及び吸収帯域が920nm〜1000nmのフタロシアニン系化合物の3種類を組合わせることにより、波長域800nm〜1000nmの全域を連続して吸収することが可能なる。なお、同種類のフタロシアニン系化合物として分類された化合物を二種以上併用しても良い。
近赤外線吸収剤は、1種、又は2種以上混合して使用することができる。近赤外線吸収剤の種類や添加量は、近赤外線吸収剤の吸収波長や吸収係数や、色調及び要求される透過率などによって適宜選択すればよい。例えば、近赤外線吸収剤の添加量は、粘着剤組成物の固形分からなる粘着剤層中に0.001〜15重量%程度添加することができる。
ネオン光吸収剤としては、570〜610nmの波長を吸収できるものであるならば、任意の化合物の中から選択することができる。570〜610nmの波長領域(Ne光領域)を吸収し、且つ該波長領域を除いた可視光領域380nm〜780nmの波長領域中ではなるべく吸収が少なくて十分な光線透過率を有するネオン光吸収剤が好ましい。
ネオン光吸収剤としては、少なくとも570〜610nmの波長領域内に光線透過率の吸収帯域を有する色素として従来から利用されてきた色素、例えば、シアニン系、オキソノール系、メチン系、サブフタロシアニン系若しくはテトラアザポルフィリン等のポルフィリン系等を挙げることができる。中でも特に、テトラアザポルフィリンが環境条件下での耐久性、ネオン光領域の吸収性とその他波長の可視光線の透明性との両立性等の点で好ましい。
ネオン光吸収剤は、1種、又は2種以上混合して使用することができる。ネオン光吸収剤の種類や添加量は、ネオン光吸収剤の吸収波長や吸収係数や、色調及び要求される透過率などによって適宜選択すればよい。例えば、ネオン光吸収剤の添加量は、粘着剤層中に0.001〜15重量%程度添加することができる。
[色補正色素]
色補正色素は、表示画像を好みの色調(天然色、或いは天然色から多少偏移した色)に補正する為の色素である。このような色補正色素としては、有機系色素、無機系色素などを1種単独使用、又は2種以上併用することができる。
色補正色素として用いることのできる公知の色素としては、特開2000−275432号公報、特開2001−188121号公報、特開2001−350013号公報、特開2002−131530号公報等に記載の色素が好適に使用できる。更にこのほかにも、黄色光、赤色光、青色光等の可視光を吸収するアントラキノン系、ナフタレン系、アゾ系、フタロシアニン系、ピロメテン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、シアニン系等の色素を使用することができる。
色補正色素の種類や添加量は、色補正色素の吸収波長や吸収係数や、色調及び要求される透過率などによって適宜選択すればよい。例えば、色補正色素の添加量は、粘着剤層中に0.001〜15重量%程度添加することができる。
本発明における粘着剤組成物中には、表示装置から放射される不要な発光成分を除去して、表示色を鮮明にすることを目的として使用される光吸収剤の他に、当該光吸収剤が外光の紫外線により劣化することを防止するための紫外線吸収剤を含有しても良い。紫外線吸収剤としては、波長380nm以下の紫外線領域に吸収スペクトルを持つ化合物、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;フェニルサリシレート等のサリシレート系;ヘキサデシル−2,5−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系等の有機系紫外線吸収剤や、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化鉄、硫酸バリウム等の無機系紫外線吸収剤が挙げられる。
<その他の成分>
本発明に係る粘着剤組成物には、上記本発明の効果が損なわれない限り、更に、粘着付与剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、シランカップリング剤等を1種以上含有させても良い。また、本発明に係る粘着剤組成物には、上記本発明の効果が損なわれない限り、イソシアネート化合物等の架橋剤を含有させることも排除するものではない。但し、粘着付与剤や可塑剤は、粘着剤層の粘着性や可塑性を向上させることが目的であるため、光吸収剤(III)の動きを促進する方向に働くため、分光特性変化を抑制する点からは、含有しない方が好ましい。
粘着付与剤としては、例えば、例えば、ロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン、不均化ロジンエステルなどのロジン誘導体;テルペンフェノール樹脂などを主体とするテルペン系樹脂;(水添)石油樹脂、クマロン−インデン系樹脂、水素化芳香族コポリマー、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂などを挙げることができる。可塑剤としては、例えばオリゴアクリレート系等が挙げられる。また、酸化防止剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物は、導電体メッシュ層と直接接触する箇所に用いられる場合、導電体メッシュ層が酸化され色変化するのを防ぐのに好適である。
また、本発明に係る粘着剤組成物には、前記各成分を溶解乃至分散させるための溶剤が含まれていても良い。溶剤としては、本発明の必須成分の前記ブロック共重合体(I)、前記樹脂(II)又は前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)、及び光吸収剤(III)を均一に溶解又は分散可能なものであれば特に限定されず、1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。具体的には例えば、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等が挙げられるが、これら以外のものであっても良い。
本発明に係る粘着剤組成物は、例えば、各必須成分、各所望成分、及び必要に応じて溶剤を任意の順序で混合し、必要に応じて適切に分散処理することにより得られる。
また、必須成分の前記ブロック共重合体(I)、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)、及び光吸収剤(III)の全てが良好に溶解する溶剤がない場合には、例えば、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)及び光吸収剤(III)をそれぞれ、又は同時に、共通の良溶媒に溶解して溶液を調製し、別途、必須成分の前記ブロック共重合体(I)を当該共重合体(I)の良溶媒に溶解させた溶液を調製し、上記各溶液を混合することにより組成物を調製しても良い。或いは、前記ブロック共重合体(I)、前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)、及び光吸収剤(III)の各成分の良溶媒にそれぞれ溶解して、各溶液を調製し、各溶液を混合することにより組成物を調製しても良い。均一な組成物を調製するためには、上記各成分をそれぞれ溶解させた各溶液に用いられた溶媒は、溶媒自体が均一に混合する溶剤を選択することが好ましく、なるべく共通の溶剤を用いたり、共通の溶剤が含まれる混合溶剤を用いることが好ましい。
II.光学フィルタ
本発明に係る光学フィルタは、表示装置の前面に配置されるための光学フィルタであって、上記本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物を用いて形成されている、光学フィルタ機能を有する粘着剤層を含むことを特徴とする。
本発明の光学フィルタは、前記本発明に係る粘着剤組成物を用いて形成されている接着性と所望の光学フィルタ機能とを単層で兼ね備える粘着剤層を含む。これにより、本発明の光学フィルタは、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる上、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れるものである。また、本発明の光学フィルタは、従来のプラズマディスプレイパネルの表示面に直接貼付されるための光学フィルタと比べても、層構成を単純化でき、軽量化、薄膜化が可能で、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる。
本発明の光学フィルタは、光学フィルタ機能を有する粘着剤層のみからなるものであっても良いし、当該粘着剤層と透明基材からなるものであっても良い。
本発明の光学フィルタは、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層に、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、光吸収機能、表面保護機能のいずれか一種以上の機能を有する一層以上の機能層が積層されてなるような、複合フィルタの形態であることが好ましい。
本発明の光学フィルタが複合フィルタである場合には、良好な接着性を有しながら、長時間の使用、特に高温高湿下でも光吸収剤の劣化に起因する分光特性変化が起こり難く、分光特性の安定性に優れる光学フィルタ機能と、更に積層された機能層の機能を有する。本発明の光学フィルタが複合フィルタである場合には、機能層同士や機能層と表示装置の前面ガラス板又はフィルタのガラス基板とを貼り合わせるのに必ず使用される粘着剤層が光学フィルタ機能を兼ねているので、従来の複合フィルタと比べると、層構成を単純化でき、軽量化、薄膜化が可能で、製造工程の簡略化及び低コスト化が図れる。
本発明に係る光学フィルタにおいて、光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、表示装置の前面に配置されれば、表示装置の前面に配置されたガラス板に直接貼り付けて使用されても、機能層間や当該機能層と基材との間に配置されてそれらの層を接着するために使用されても良い。ここで、表示装置の前面に配置されたガラス板とは、表示装置本体の前面ガラス板であっても良いし、表示装置とは別体のガラス基板であっても良い。
本発明に係る光学フィルタは、自身はガラス基板を含まず、表示装置本体の前面ガラス板に直接貼付されるための光学フィルタであっても良いし、ガラス基板を含み、表示装置とは別体で表示装置の前面に配置される光学フィルタであっても良い。
本発明の光学フィルタが複合フィルタである場合(以後、「本発明の複合フィルタ」という場合がある)において、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層に積層される上記一種以上の機能層は、1層又は2層以上でも良い。1層の機能層中に、上記二種類以上の機能が含まれていても良い。また、機能層の中に、或いは別途、透明基材が含まれていても良い。
本発明の複合フィルタは、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層の少なくとも片面に上記一層以上の機能層が積層されていればよく、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層の両面に上記一層以上の機能層が積層されていても良い。また、本発明に係る光学フィルタ中には、上記本発明に係る粘着剤層が2層以上含まれていても良い。
本発明の複合フィルタの好適な一形態としては、少なくとも最表面に上記本発明に係る粘着剤層を形成してなるものであって、表示装置の前面ガラス板に直接貼付されるための粘着剤層が上記本発明に係る粘着剤層である複合フィルタが挙げられる。本発明に係る複合フィルタの好適な他の一形態としては、ガラス基板を含み、表示装置とは別体で表示装置の前面に配置される複合フィルタであって、当該ガラス基板に直接貼付されるための粘着剤層が上記本発明に係る粘着剤層である複合フィルタが挙げられる。更に、電磁波遮蔽層と反射防止層等の2層以上の機能層同士を接着する層として上記本発明に係る粘着剤層が含まれていても良いし、2層以上の機能層同士を接着する層としてのみ上記本発明に係る粘着剤層が含まれていても良い。
図1は、本発明の実施態様の光学フィルタ10の積層構造の一例の断面を模式的に示したものである。図1の光学フィルタ10の層構成としては、ガラス基板5の一面側に、粘着剤層3、電磁波遮蔽層2、上記本発明に係る粘着剤組成物を用いて形成されている光学フィルタ機能を有する粘着剤層1、反射防止層4がこの順に積層されている。(以下、このような積層構造を「ガラス基板5/粘着剤層3/電磁波遮蔽層2/光学フィルタ機能を有する粘着剤層1/反射防止層4」と表すことがある。)光学フィルタ10は、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層1が、2つの機能層の基材同士、すなわち反射防止層4の透明基材11と電磁波遮蔽層2の透明基材11を接着した構成を有している。また、電磁波遮蔽層2の導電体メッシュ層側の面が粘着剤層3によって、ガラス基板5に接着されている構成を有している。上記において、粘着剤層3は、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層1としても良い。
また、図2は、本発明の実施態様の光学フィルタ10をプラズマディスプレイパネル20の前面に貼付した場合の積層構造の他の一例の断面を模式的に示したものである。図2の光学フィルタ10の層構成としては、光学フィルタ機能を有する粘着剤層1の一面側に、電磁波遮蔽層2、粘着剤層3、反射防止層4がこの順に積層されている。(粘着剤層1/電磁波遮蔽層2/粘着剤層3/反射防止層4)ここで、粘着剤層3は、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層1としても良い。
このように光学フィルタ10中で前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層1が複数存在する場合においては、それぞれの粘着剤層1の厚みは異なっていても良い。
また、図3は、本発明の実施態様の光学フィルタ10の積層構造の他の一例の断面を模式的に示したものである。図3の光学フィルタ10の層構成としては、ガラス基板5の一面側に、上記光学フィルタ機能を有する粘着剤層1、電磁波遮蔽層2、反射防止層4がこの順に積層されている(ガラス基板5/光学フィルタ機能を有する粘着剤層1/電磁波遮蔽層2/反射防止層4)。透明基材フィルム11の一方の面に、金属を用いた導電体メッシュ層12及び13、並びに、光学フィルタ機能を有する粘着剤層1がこの順に形成され、該透明基材フィルム11の他方の面に反射防止層4が形成され、粘着剤層1によってガラス基板5に接着された複合フィルタであって、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤1層中に光吸収剤として、少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤、少なくとも570〜610nmに吸収帯域を有する光吸収剤、及び少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収帯域を有する光吸収剤が添加され、電磁波遮蔽機能、近赤外線吸収機能、ネオン光吸収機能、色補正機能、及び、反射防止機能の各機能を少なくとも有している複合フィルタ(以下、当該構成の複合フィルタを「シンプルフィルタ」と呼称する場合がある。)が挙げられる。
本発明に係る光学フィルタがとる複合フィルタの層構成は、特に限定されないが、具体例としては、粘着剤層/電磁波遮蔽層、粘着剤層/反射防止層、粘着剤層/防眩層、粘着剤層/紫外線吸収層、粘着剤層/表面保護層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/反射防止層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/防眩層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/表面保護層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層/反射防止層、粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層/防眩層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層、ガラス基板/粘着剤層/反射防止層、ガラス基板/粘着剤層/防眩層、ガラス基板/粘着剤層/紫外線吸収層、ガラス基板/粘着剤層/表面保護層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/反射防止層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/防眩層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/表面保護層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層/反射防止層、ガラス基板/粘着剤層/電磁波遮蔽層/紫外線吸収層/防眩層等が挙げられる(上記例示において「粘着剤層」は、本発明の光学フィルタの必須成分である「光学フィルタ機能を有する粘着剤層」である)。また、上記において2つの機能層の間には、更に、粘着剤層及び/又は透明基材が含有されていても良い。2つの機能層の間に用いられる粘着剤層としては、上記光学フィルタ機能を有する粘着剤層を用いても良い。また、本発明に係る光学フィルタにおいて、上記本発明に係る光学フィルタ機能を有する粘着剤層の他に、光学フィルタ機能を付与するような、近赤外線吸収層、ネオン光吸収層、色補正層を更に別途設けることを妨げるものではない。
以下、光学フィルタ機能を有する粘着剤層、本発明において用いられる1種以上用いられる機能層、更に含まれていても良い、前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層とは異なる粘着剤層、及び透明基材を順に説明する。
<光学フィルタ機能を有する粘着剤層>
本発明の光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、上記本発明に係る粘着剤組成物を用いて形成されているものであって、少なくとも上記特定のブロック共重合体(I)と、上記樹脂(II)又は上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)と、所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上(III)とを含有するものであり、必要に応じて他の化合物を含有しても良い。
本発明の光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、合目的な任意の方法によって形成することができる。光吸収剤及びブロック共重合体等の劣化防止を図るために光吸収剤及びブロック共重合体等の劣化原因となる有害成分を使用せず、あるいは使用量が少なくて、かつ過度の温度や圧力を必要としない方法によって形成することが好ましい。そのような方法の一つとして、上記本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物を用いて、当該組成物を必要に応じて更に溶剤に溶解させて、離型フィルム上や後述するような機能層上に塗布、あるいは押し出して、必要に応じて乾燥して形成する方法が挙げられる。
上記光吸収剤、上記ブロック共重合体(I)、及び上記樹脂(II)又は上記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が均一に溶解又は分散された粘着剤組成物を支持体上に塗布する方法としては、例えば、浸漬、吹き付け、刷毛塗り、マイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、キスリバースコーティング、3本ロールリバースコーティング、スリットリバースダイコーティング、ダイコーティング、もしくはコンマコーティング等の各種コーティングの方式を用いることができる。
本発明の粘着剤層の厚さとしては、目的に応じて適宜選択され、特に限定されないが、通常乾燥時の厚さを10〜5,000μmとなるようにする範囲で選択される。2層以上の機能層を接着させたり、表示装置の前面ガラス板に直接貼り付ける粘着剤層とする場合には、乾燥時の厚さを10〜500μmとなるようにすることが好ましい。表示装置の前面ガラス板に直接貼り付け、特に、粘着剤層の厚さを200μm以上とすることにより、表示装置の耐衝撃性を強化する耐衝撃層としても有効に機能することが可能である。
本発明における光学フィルタが、光学フィルタ機能を有する粘着剤層のみからなる場合は、粘着剤層として使用される際には単層であるが、流通時には、シリコーン樹脂又はフッ素系樹脂が塗布されたPET等の離型フィルム等が層の両面又は片面に貼り付けられていても良い。
また、本発明における光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、上記800nm〜1100nmの波長領域での近赤外線の吸収量が、透過率でいえば30%以下、更に好ましくは10%以下となるように、NIR吸収剤の種類、NIR吸収剤の粘着剤層中での含有量、及び粘着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。中でも、825nmにおける透過率が20%以下、850nmにおける透過率が20%以下、880nmにおける透過率が5%以下、で且つ、980nmにおける透過率が5%以下であることが好ましい。
また、粘着剤層は、上記Ne光領域の中心波長を590nmとすれば、該590nmにおける光線の透過率が50%以下になるように、Ne光吸収剤、Ne光吸収剤の粘着剤層中での含有量、及び粘着剤層の厚み等を設定するのが好ましい。
本発明の光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、半永久的な使用に耐え得るように剥がれやずれが生じず、且つ、貼り付け後も平滑な面からは比較的容易に剥がすことができる程度の接着性を有することが好ましく、乾燥膜厚が25μmの塗膜のガラス密着性が、0.5〜30N/25mmであることが好ましい。ここで上記ガラス密着性は、JIS Z0237−2000の試験に準拠して、ナトリウムソーダガラスに貼り合わせ、速度200mm/minで、90度で剥離させて測定することができる。ガラス密着性は、さらに好ましくは、1〜20N/25mm、より好ましくは5〜15N/25mmである。
本発明における光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、優れた耐久性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても粘着力の変化が起こり難い。具体的には、以下のように耐熱性試験を行った場合に、高温雰囲気下(例えば、気温80℃、相対湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、気温60℃、相対湿度90%RH)に500時間放置する前後のガラス密着性の値の差が、10N/25mm以下であることが望ましい。また、500時間放置した後のガラス密着性が、1N/25mm以上、更に5N/25mm以上であることが好ましい。
本発明の粘着剤層は、表示装置の画像表示面に貼り付けされることから透明性が高いことが好ましく、ヘイズが3%以下であることが好ましい。ここでヘイズは、JIS K7105−1981に準拠した方法により測定された値を意味する。具体的には、1.2mm厚のガラス板に粘着剤層を貼り合せて、ガラス板と逆面にPETフィルム、例えば東洋紡製コスモシャインA−4100の易接着面を粘着樹脂層と重なるように貼り合せて作製した試料を用いて、ヘイズ値を測定できる。
図1のようなガラス及び電磁波遮蔽層の導電体メッシュ層側のいずれとも接触しない箇所において、光学フィルタ機能を有する粘着剤層1を用いる場合には、粘着剤層1に含まれる近赤外線吸収剤としては、中でも可視域の透過率と近赤外線吸収性がともに高い点から、フタロシアニン系化合物及び/又はジイモニウム系化合物が好適に用いられる。
図3のようなガラス板、及び、電磁波遮蔽層の導電体メッシュ層側のいずれとも接触する箇所や、ガラス板又は電磁波遮蔽層の導電体メッシュ層のいずれかと接触する箇所において、光学フィルタ機能を有する粘着剤層1を用いる場合には、粘着剤層1に含まれる近赤外線吸収剤としては、中でも、比較的、ガラスのナトリムイオン及び導電体メッシュの金属イオンで分光特性が変化し難い、前記四種類のフタロシアニン系化合物(A)〜(D)のうちの三種類以上を組み合わせて使用するか、セシウムタングステン系化合物等の無機系近赤外線吸収剤が好適に用いられる。
本発明における光学フィルタ機能を有する粘着剤層は、優れた光学フィルタ機能の耐久性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても光吸収剤の劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、以下のように耐熱性試験を行った場合に、高温雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyがいずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下、より更に好ましくは0.015以下であることが望ましい。更に、以下のように耐湿熱性試験を行った場合に、高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyがいずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下、より更に好ましくは0.015以下であることが望ましい。
本発明の粘着剤層は、前記特定のブロック共重合体(I)と共に前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が用いられていることにより、前記特定のブロック共重合体(I)のみが用いられている場合よりも、更に高温下での光吸収剤の劣化が起こり難い。
まず、本発明の粘着剤層をガラス(旭硝子社製PD−200:厚み2.8mm)に貼り合わせた後、粘着剤層の上にPETフィルム(東洋紡績社製A4100:厚み50μm)を積層して耐久性試験用サンプルを調製する。当該耐久性試験用サンプルの耐久性試験前の色度(x、y)を測定する。色度は、例えば分光光度計(島津製作所社製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定することができる。
次に、得られた耐久性試験用サンプルを高温雰囲気下(例えば、気温80℃、相対湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、気温60℃、相対湿度90%RH)に1000時間放置した後、上記と同様に耐久性試験後の色度を測定する。上記高温雰囲気下、或いは高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求める。
<電磁波遮蔽層>
電磁波遮蔽層は、プラズマディスプレイ等から発生した電磁波を遮蔽する機能を有するものである。
電磁波遮蔽層としては、従来公知の各種形態が適用可能であり、後述の導電体メッシュ層の他、銀、ITO(酸化錫インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化錫)等の透明な連続体(メッシュ開口部非形成の)薄膜を仕様することも可能である。但し、透明性と電磁波遮蔽性の両立の観点からは、金属等の導電体メッシュ層が好ましく、以下においても電磁波遮蔽層としては導電体メッシュ層の形態を中心に説明する。
本発明において好適に用いられる電磁波遮蔽層としては、図1に示すように透明基材11、導電体メッシュ層12がこの順に積層された積層構造を有するものである。
(導電体メッシュ層)
導電体メッシュ層12は、導電性を有することで電磁波遮蔽機能を担える層であり、またそれ自体は不透明性だがメッシュ状の形状で多数の開口部が存在するメッシュにより、電磁波遮蔽性能と光透過性を両立させている層である。
また、導電体メッシュ層は、通常金属層を主とし、通常は更にこれに加えて、導電性を有する黒化層や防錆層を含み、或いは特に導電体メッシュ層を後述する電解メッキにより形成する場合には、更に導電処理層を構成層として含むものである。
なお、導電体メッシュ層の側面も含めた表裏面の一部又は全面上に、導電性を有しない層が更に形成されていてもよい。当該導電性を有しない層の例としては、導電性を有しない防錆層や黒化層等である。ただし、防錆層や黒化層等であっても、導電性を有する場合には、本発明において導電体メッシュ層に含まれる。これらの導電性の層は導電体メッシュ層の構成層となる。
[メッシュの形状]
メッシュの形状は、任意で特に限定されないが、開口部の形状は正方形が代表的である。開口部の形状は、例えば、正三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、台形等の四角形、六角形、等の多角形、或いは、円形、楕円形などである。メッシュはこれらの形状からなる複数の開口部を有し、開口部間は開口部を区画するライン部となり、ライン部は通常幅均一でライン状のものであり、また、通常は開口部及び開口部間は、全面で各々同一形状同一サイズである。
具体的サイズを例示すれば、開口率及びメッシュの非視認性の点で、開口部間のライン部の幅(ライン幅)は50μm以下、より好ましくは15μm以下である。但し、電磁波遮蔽機能の確保、破断防止の点で、下限は5μm以上とするのが良い。
なお、メッシュ領域のバイアス角度(メッシュのライン部と複合フィルタの外周辺とのなす角度)は、適用するディスプレイの画素ピッチや発光特性を考慮して、モアレが出難い角度に適宜設定すれば良い。
また、開口部の間口幅[ラインピッチ−ライン幅]は、100μm以上、より好ましくは150μm以上とする。但し、電磁波遮蔽機能の確保の観点から最大3000μm以下が好ましい。また、ライン幅及び間口幅は、光透過性の観点、及び透明保護層形成時に開口部内に気泡が残留し難い観点から、開口率が60%以上となるようにするのが好ましく、また開口率は、電磁波遮蔽機能の確保の観点から97%以下となるようにするのが好ましい。なお、開口率=[(間口幅)2 /(ラインピッチ)2]×100%である。
[接地用領域とメッシュ領域]
また、導電体メッシュ層12は、図2の平面図で概念的に例示する導電体メッシュ層12のように、その平面方向に於いて、メッシュ領域121以外に接地用領域122を備えた層とするのが、接地をとり易い点でより好ましい。該接地用領域は画像表示を阻害し無い為に、画像表示領域周縁部の一部又は全周に形成する。該メッシュ領域とは複合フィルタを適用するディスプレイの画像表示領域を全て覆うことが出来る領域である。該接地用領域とは接地をとる為の領域である。該画像表示領域とは、ディスプレイが実質的に画像を表示している領域(実質的画像表示領域)を少なくとも意味するが、ディスプレイを観察者から見た場合にディスプレイの外枠体による枠の内側全体の領域も便宜上含めた意味としても良い。その理由は、当該枠の内側で且つ実質的画像表示領域の外側に黒い領域(縁取り)が存在する場合、そこは本来画像表示領域外だが、目に触れる以上は外観が実質的画像表示領域と異なるのは違和感が生じるからである。
なお、接地用領域は基本的にはメッシュは不要だが、接地用領域の反り防止等の目的から、開口部から成るメッシュが存在しても良い。
導電体メッシュ層の厚みは、メッシュ領域と接地用領域とは必ずしも同じ厚みでなくても良いが、通常はメッシュ領域も接地用領域も同じ厚さとなる。そして、導電体メッシュ層の厚みは電磁波遮蔽機能の観点から少なくともメッシュ領域にて1〜20μmであるが、さらに、より薄膜である点で、(斜めから観察する場合の)画像の視認性が良い点、表面保護層形成時の開口部とライン部との段差による開口部への気泡混入が少ない点、工程が短く歩留りが良い点、などの観点から、より好ましくは1〜5μm、更により好ましくは1〜3μmとするのが、望ましい。
また、導電体メッシュ層のメッシュ領域のライン部の高さは、開口部とライン部との段差の観点から、ライン部が導電体メッシュ層のみから構成される場合は、ライン部の高さは導電体メッシュ層の厚さに等いが、例えば、非導電性黒化層及び非導電性防錆層も形成されている場合は、ライン部の高さは導電体メッシュ層、非導電性黒化層、及び非導電性防錆層の厚みの合計値として捉える。
[導電体メッシュ層の形成方法]
本発明において、メッシュ領域や接地用領域を有する導電体メッシュ層の材料や形成方法は特に限定はなく、従来公知の電磁波遮蔽シートにおけるものを適宜採用できる。
このような、メッシュ領域を有する導電体メッシュ層の形成方法は、特に制限されず、例えば、次の(1)〜(4)の方法が挙げられる。
(1)透明基材フィルムへ導電インキをパターン状に印刷し、形成された導電インキ層の上へ金属メッキする方法(例えば、特開2000−13088号公報)。
(2)透明基材フィルムへ、導電インキ又は化学メッキ触媒含有感光性塗布液を全面に塗布し、形成された塗布層をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とした後に、該メッシュの上へ金属メッキする方法(例えば、住友大阪セメント株式会社新材料事業部新規材料研究所新材料研究グループ、”光解像性化学メッキ触媒”、[online]、掲載年月日記載なし、住友大阪セメント株式会社、[平成15年1月7日検索]、インターネット〈URL:http://www.socnb.com/product/hproduct/display.html〉)。
(3)透明基材フィルムと金属箔とを接着剤を介して積層した後に、金属箔をフォトリソグラフィー法でメッシュ状とする方法(例えば、特開平11−145678号公報)。
(4)透明基材フィルムの一方の面へ、金属薄膜をスパッタ等により形成して導電処理層を形成し、その上に電解メッキにより金属メッキ層として金属層を形成した透明基材フィルムを準備し、該金属メッキした透明基材フィルムの金属メッキ層及び導電処理層を、フォトリソグラフィー法でメッシュ状とする方法(例えば、特許第3502979号公報、特開2004−241761号公報)。
これら方法の中でも、厚さが5μm以下の薄膜である点で、(斜めから観察する場合の)画像の視認性が良い点、表面保護層形成時の気泡混入が少ない点、工程が短く歩留りが良い点、低コストが可能である点などの点から、(4)の方法が特に好ましい。そこで、ここでは、該(4)の方法によって、導電体メッシュ層を透明基材フィルム上に形成する方法について、詳述する。
この方法では、透明基材フィルムの一方の面に、メッシュが未だ非形成で導電体メッシュ層となる前の状態として導電体層を形成し、該導電体層を加工してメッシュを形成し導電体メッシュ層とすることができる。
[導電処理層]
導電処理層は、用いる透明基材フィルムが樹脂フィルムであり電気絶縁性である為に、金属メッキ層を電解メッキで形成できるように、該フィルムの表面を導電処理してメッキに必要な導電性を確保する為の層である。該導電処理の方法としては、導電性材料の薄膜を形成する公知の方法によれば良い。該導電性材料としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、クロムなどの金属、或いはこれらの金属の合金(例えば、ニッケル−クロム合金)から成る。或いはまた、酸化スズ、ITO、ATOなどの透明な金属酸化物でもよい。導電処理層は、これらの材料を公知の真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法などの薄膜形成方法で形成することができる。導電処理層は、単層でも多層(例えば、ニッケル−クロム合金層と銅層との積層)でもよい。導電処理層の厚さは、メッキ時に必要な導電性が得られればよいので、0.001〜1μm程度の極薄い厚みが、導電体メッシュ層全体として薄膜化ができる点で好ましい。
[金属メッキ層]
金属メッキ層は上記導電処理層の表面に電解メッキ法によって形成する。該金属メッキ層の材料としては、電磁波遮蔽機能に必要な導電性が得られる材料であれば良く、例えば金、銀、白金、銅、錫、鉄、ニッケル、クロム、アルミニウムなど金属、或いはこれら金属の合金が挙げられる。これらのなかでも、メッキが容易である点、及び導電性の観点から、好ましい材料を例示すれば、銅又は銅合金が挙げられる。また、金属メッキ層は、単層でも多層でも良い。
また、金属メッキ層の厚さは、詳述しているこの(4)の方法においては導電体メッシュ層の少なくともメッシュ領域において、厚さが5μm以下の薄膜を目指す背景から、前記導電処理層と該金属メッキ層との両層の総厚が5μm以下などと、薄膜の導電体メッシュ層が可能となる様な厚みとするのが良い。
[黒化層]
黒化層は、必要に応じて、金属メッキ層の少なくとも片面に設ける。黒化層は外光吸収、画像の視認性向上、コントラスト向上などを目的に設ける。黒化層は金属メッキ層の面を粗面化したり、全可視光領域に亘って光吸収性を付与(黒化)したり、或いはこれら両者を併用したりする方法のいずれかによって設けることができる。
黒化層を設ける具体的方法としては、金属酸化物、金属硫化物の形成や種々の方法を採用できる。黒化層を設ける面が鉄からなる場合は、厚さ1〜2μm程度の酸化膜(黒化膜)が好ましい。また、黒化層を設ける面が銅の場合は、銅‐コバルト合金の粒子層、硫化ニッケル層、酸化銅層等が好ましい。
黒化層を設ける面は、少なくとも観察側であるが、他方の粘着剤層側(つまりディスプレイ側)にも設ければ、ディスプレイからの迷光を吸収でき画像の視認性がさらに向上できる。
また、電解メッキで導電体メッシュ層を形成しなお且つ該層の透明基材フィルム側に黒化層を設ける際に、例えば次の(A法)や(B法)を採用できる。
(A法)透明基材フィルム上に設ける導電処理層を黒色の層として形成しこれを黒化層と兼用させて黒化層兼導電処理層として、この上に金属メッキ層を形成する方法。
(B法)透明基材フィルム上に導電処理層をITO等で透明な透明導電処理層として形成しこの透明導電処理層上に導電性黒化層を形成して、都合、透明導電処理層及び導電性黒化層からなる導電処理層の導電性黒化層上に、金属メッキ層を形成する方法。
黒化層の好ましい黒濃度は0.6以上である。なお、黒濃度の測定方法は、COLOR CONTROL SYSTEMのGRETAG SPM100−11(株式会社きもと製、商品名)を用いて、観察視野角10度、観察光源D50、照明タイプとして濃度標準ANSITに設定し、白色キャリブレイション後に、試験片を測定する。また、黒化層の光線反射率としては5%以下が好ましい。光線反射率は、JIS−K7105に準拠して、ヘイズメーターHM150(株式会社村上色彩科学研究所製、商品名)を用いて測定する。
また、黒濃度は上記反射率の測定に替えて、色差計により反射のY値で表わしてもよく、この際には好ましい黒濃度はY値として10以下である。
[防錆層]
また、防錆層を金属メッキ層、或いは黒化層の表面を覆うように設けるのが好ましい。
導電体メッシュ層(そのうち金属メッキ層、或いはさらに黒化層)の表面は、少なくともメッシュ領域は粘着剤層又は機能層で最終的には覆われるが、粘着剤層又は機能層を形成する前の製造工程では露出している。そこで、防錆の防止、黒化層の脱落や変形を防止するために、防錆層を設ける。また、上記の目的において少なくとも、黒化層上には設けるのが好ましい。
防錆層としては、例えば、ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物、又はクロメート処理層が適用できる。ニッケル、亜鉛、及び/又は銅の酸化物の形成法としては、公知のメッキ法でよい。また、防錆層の厚さはその目的実現及び過剰性能を避けてなるべく薄膜とする点で、0.001〜1μm程度、好ましくは0.001〜0.1μmである。
[メッシュの形成]
次に、上述のように設けられた透明基材フィルム上の導電体層(なお、透明基材フィルムと導電体層とが積層された物を以下「積層体」とも呼ぶことにする)を、フォトリソグラフィー法でメッシュを形成して導電体メッシュ層とする工程を説明する。
先ず最初は、透明基材フィルム上に積層された導電体層面にレジスト層を設け、これをメッシュ状にパターン化し、レジスト層で覆われていない部分の導電体層をエッチングして除去後、レジスト層を除去して、メッシュ領域が形成された導電体メッシュ層とする。この方法は、既存設備を使用でき、且つ工程の多くを連続的に行え、品質、生産効率、歩留り、コストなどに優れた生産が可能である。
このフォトリソグラフィー法によるメッシュ形成工程は、連続帯状の状態で連続して巻き取られたロール状の積層体を加工して行く(巻取り加工、ロールツーロール加工という)のが好ましい。積層体の搬送は連続的又は間欠的に行い、緩みなく伸張した状態で、マスキング、エッチング、レジスト剥離の各工程を行うことができる。
まず、マスキングは、例えば、導電体層上へ感光性レジストを塗布し、乾燥後、所定のメッシュパターンを有するフォトマスクにて密着露光し、水現像し、硬膜処理などを施し、ベーキングする。なお、感光性レジストのネガ型、ポジ型の何れも使用できる。ネガ型の場合は、パターン版のメッシュパターンはライン部が透明なポジ(陽画)とする。一方、ポジ型の場合は、パターン版のメッシュパターンは開口部が透明なネガ(陰画)とする。又、露光パターンとしては、所望のメッシュ形状を有するパターンで、少なくともメッシュ領域のパターンを有する。更に必要に応じて、メッシュ領域の外周に接地用領域のパターンも有する。
レジストの形成は、巻取り加工では、連続帯状の積層体を連続又は間欠送りで搬送させながら、メッシュ領域を形成する導電体層面へ、カゼイン、PVA、ゼラチンなどのレジストを、ディッピング(浸漬)、カーテンコート、掛け流しなどの方法で塗布する。また、レジストの形成は塗布以外に、ドライフィルムレジストを利用してもよく、この場合、作業性が向上する。ベーキングはカゼインレジストの場合は200〜300℃でするが、積層体の反り防止の点で、なるべく低い温度が良い。
エッチングは、そのエッチング液として、エッチングを連続して行う場合には循環使用が容易にできる塩化第二鉄、塩化第二銅の溶液を用いるのが良い。また、エッチングの工程は、連続帯状の鋼材、特に厚さ20〜80μmの薄板をエッチングするカラーTVのブラウン管用のシャドウマスクを製造する設備と、基本的に同様の工程である。また、エッチング後は、水洗、アルカリ液によるレジスト剥離、洗浄後、乾燥すればよい。
本発明に用いられる上述したような導電体メッシュ層は、表面抵抗が10−6Ω/□〜5Ω/□の範囲内、中でも10−4Ω/□〜3Ω/□の範囲内であることが好ましい。一般的に、電磁波遮蔽性は、表面抵抗により測定することができ、この表面抵抗が低いほど、電磁波遮蔽性が良好なものということができる。ここで、上記表面抵抗の値は、表面抵抗測定装置ロレスターGP、(株)ダイヤインスツルメンツ製にてJIS K7194「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験法」に記載される方法にて測定された値である。
(透明基材)
透明基材は電磁波遮蔽層を構成する一部の層であり、必要に応じて接着剤層を介して導電体メッシュ層を積層するための基材となる層である。
透明基材11は、機械的強度が弱い導電体メッシュ層を補強するための層であり、さらに上記シンプルフィルタの態様においては、紫外線吸収機能も付加され該機能を有する層でもある。従って、透明基材フィルムとしては、機械的強度、光透過性と共に、上記シンプルフィルタの態様の場合には紫外線吸収機能を有すれば、その他、耐熱性等の性能を適宜勘案したものを用途に応じて選択すればよい。このような、透明基材としては、透明基材フィルムとしての樹脂フィルム(乃至は樹脂シート)が用いられる。
樹脂フィルムの材料として用いる透明樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、テレフタル酸−イソフタル酸−エチレングリコール共重合体、テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、シクロオレフィン重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、トリアセチルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
なお、これらの樹脂は、単独、又は複数種類の混合樹脂(ポリマーアロイを含む)として用いられ、透明基材の層構成は、単層、又は2層以上の積層体として用いられる。また、樹脂フィルムの場合、1軸延伸や2軸延伸した延伸フィルムが機械的強度の点でより好ましい。
透明基材の厚さは、基本的には用途に応じ選定すればよく、特に制限はないが、通常は12〜1000μm、好ましくは50〜500μm、より好ましくは50〜200μmである。このような厚み範囲ならば、機械的強度が十分で、反り、弛み、破断などを防ぎ、連続帯状で供給して加工する事も容易である。
なお、本発明では、透明基材とは、樹脂フィルム(樹脂シートも含む)以外に樹脂板と呼ばれるものも含めて呼ぶことにする。但し、NIR吸収、Ne光吸収、色補正を各フィルタフィルム毎に積層することによる総厚増加を回避して複合フィルタの薄型化を図る観点から、透明基材は薄いものが好ましい。
この様な点で、透明基材の形態としては樹脂板よりは樹脂フィルムが好ましい。該樹脂フィルムのなかでも特に、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂フィルムが、透明性、耐熱性、コスト等の点で好ましく、より好ましくは2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが最適である。なお、透明基材の透明性は高いほどよいが、好ましくは可視光線透過率で80%以上となる光透過性のフィルムがよい。
また、上記シンプルフィルタの態様においては、透明基材フィルムは、紫外線吸収機能を必須機能として有する。この為に、該透明基材フィルムは、該透明基材フィルムの樹脂中に紫外線吸収剤をフィルム中に練り込んだり、該透明基材フィルムの構成層の一部として紫外線吸収剤を含む表面コート層を表面に設けたり、或いはこれら両方を併用した、構成とする。なお、表面コート層を設ける表面は表裏面のいずれか片側、両側のいずれでもよい。
また、上記シンプルフィルタの態様においては、透明基材フィルムの一方の面に表面保護層を設ける関係上、該表面保護層形成面側に、紫外線吸収剤を含む前記表面コート層を形成する場合には、該表面コート層と表面保護層とを兼用してこれを表面保護層とする形態としても良い。
紫外線吸収剤としては、例えば、上述のようなベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン等の有機系化合物、微粒子状の酸化亜鉛、酸化セリウム等からなる無機系化合物からなる公知の化合物を用いることができる。
また、紫外線吸収剤を含む表面コート層(紫外線吸収層)は、このような紫外線吸収剤を樹脂バインダに添加した組成物を公知の方法で塗布形成すれば良い。樹脂バインダーの樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂や、エポキシ、アクリレート、メタアクリレート等の単量体、プレポリマー等から成る熱硬化型樹脂或いは電離放射線硬化型樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂等の硬化性樹脂などが挙げられる。
また、透明基材の樹脂中には、更に必要に応じて適宜、公知の添加剤、例えば、充填剤、可塑剤、帯電防止剤などを本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で加えることができる。
また、透明基材は、その表面に適宜、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理、プライマー処理などの公知の易接着処理を行ってもよい。
(接着剤層)
接着剤層は図1の電磁波遮蔽層において図示していないが、形成方法によっては透明基材と導電体メッシュ層とを接着するのに用いられても良い層である。接着剤層は、導電体メッシュ層及び透明基材とを接着することが可能な層であれば、その種類等は特に限定されるものではないが、本発明においては、上記導電体メッシュ層を構成する金属箔及び透明基材を接着剤層を介して貼り合わせた後、金属箔をエッチングによりメッシュ状とすることから、接着剤層も耐エッチング性を有することが好ましい。具体的には、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンエステル樹脂等が挙げられる。また、本発明に用いられる接着剤層は、紫外線硬化型であってもよく、また熱硬化型であってもよい。特に、透明基材との密着性などの観点からポリウレタン樹脂、アクリル樹脂もしくはポリエステル樹脂が好ましい。
接着剤層を介してドライラミネーション法等により透明基材及び導電体メッシュ層を形成するための金属箔とを接着することができる。また、この接着剤層の膜厚が0.5μm〜50μmの範囲内、中でも1μm〜20μmであることが好ましい。これにより、透明基材及び導電体メッシュ層とを強固に接着することができ、また、導電体メッシュ層を形成するエッチングの際に透明基材が塩化鉄等のエッチング液の影響を受けること等を防ぐことができるからである。
<反射防止層>
画像表示装置表面での外来光の鏡面反射による背景の映り込み、画像の白化、及び画像コントラスト低下を低減する為の手段として、本発明の複合フィルタの最上層には、所謂防眩層及び/又は所謂反射防止層を形成することが好ましい。前者の防眩層としては、磨りガラスのように光を散乱もしくは拡散させて外来光による背景像をボカス手法である。
また、後者の反射防止層としては、屈折率の高い材料と低い材料を交互に積層し、最表面が低屈折率層となる様に多層化(マルチコート)し、各層界面での反射光を干渉によって相殺することで、表面の反射が抑え、良好な反射防止効果を得る手法であり、所謂狭義の反射防止層である。
この反射防止層は、通常、MgF2、SiO2に代表される低屈折率材料と、TiO2、ZrO2等の高屈折率材料とを交互に蒸着等により成膜する気相法等によって形成される。
反射防止効果を向上させるためには、低屈折率層の屈折率は、1.45以下であることが好ましい。これらの特徴を有する材料としては、例えばLiF(屈折率n=1.4)、MgF2(屈折率n=1.4)、3NaF・AlF3 (屈折率n=1.4)、AlF3(屈折率n=1.4)、Na3AlF6(屈折率n=1.33)、SiO2(屈折率n=1.45)等の無機材料を微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた無機系低反射材料、フッ素系・シリコーン系の有機化合物、熱可塑性樹脂、熱硬化型樹脂、放射線硬化型樹脂等の有機低反射材料を挙げることができる。
さらに、5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルとフッ素系の皮膜形成剤を混合した材料を使用することもできる。該5〜30nmのシリカ超微粒子を水もしくは有機溶剤に分散したゾルは、ケイ酸アルカリ塩中のアルカリ金属イオンをイオン交換等で脱アルカリする方法や、ケイ酸アルカリ塩を鉱酸で中和する方法等で知られた活性ケイ酸を縮合して得られる公知のシリカゾル、アルコキシシランを有機溶媒中で塩基性触媒の存在下に加水分解と縮合することにより得られる公知のシリカゾル、さらには上記の水性シリカゾル中の水を蒸留法等により有機溶剤に置換することにより得られる有機溶剤系のシリカゾル(オルガノシリカゾル)が用いられる。これらのシリカゾルは水系及び有機溶剤系のどちらでも使用することができる。有機溶剤系シリカゾルの製造に際し、完全に水を有機溶剤に置換する必要はない。前記シリカゾルはSiO2として0.5〜50重量%濃度の固形分を含有する。シリカゾル中のシリカ超微粒子の構造は球状、針状、板状等様々なものが使用可能である。また、皮膜形成剤としては、アルコキシシラン、金属アルコキシドや金属塩の加水分解物や、ポリシロキサンをフッ素変性したものなどを用いることができる。
低屈折率層は、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティングや印刷等によるウェットコーティング法や、真空蒸着、スパッタリング、プラズマCVD、イオンプレーティング等による気相法で、高屈折率層上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)等により硬化させることによって得ることができる。
高屈折率層の形成は、屈折率を高くするために高屈折率のバインダ樹脂を使用するか、高い屈折率を有する超微粒子をバインダ樹脂に添加することによって行なうか、あるいはこれらを併用することによって行なう。高屈折率層の屈折率は1.55〜2.70の範囲にあることが好ましい。
高屈折率層に用いる樹脂については、透明なものであれば任意の樹脂が使用可能であり、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂、放射線(紫外線を含む)硬化型樹脂などを用いることができる。熱硬化型樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等を用いることができ、これらの樹脂に、必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を加えることができる。
高い屈折率を有する超微粒子としては、例えば、紫外線遮蔽の効果をも得ることができる、ZnO(屈折率n=1.9)、TiO2(屈折率n=2.3〜2.7)、CeO2(屈折率n=1.95)の微粒子、また、帯電防止効果が付与されて埃の付着を防止することもできる、アンチモンがドープされたSnO2 (屈折率n=1.95)又はITO(屈折率n=1.95)の微粒子が挙げられる。その他の微粒子としては、Al23(屈折率n=1.63)、La23(屈折率n=1.95)、ZrO2(屈折率n=2.05)、Y23(屈折率n=1.87)等を挙げることができる。これらの微粒子は単独又は混合して使用され、有機溶剤又は水に分散したコロイド状になったものが分散性の点において良好であり、その粒径としては、1〜100nm、塗膜の透明性から好ましくは、5〜20nmであることが望ましい。
高屈折率層を設けるには、上記で述べた材料を例えば溶剤に希釈し、スピンコーティング、ロールコーティング、印刷等の方法で基体上に設けて乾燥後、熱や放射線(紫外線の場合は上述の光重合開始剤を使用する)等により硬化させればよい。
また、反射防止層に紫外線遮蔽機能をもたらす点から、反射防止層中に紫外線吸収剤を含有させても良い。
<防眩層>
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、外来光を散乱もしくは拡散させるために、光の入射面を粗面化することが基本である。この粗面化処理には、サンドブラスト法やエンボス法等により基体表面を直接、微細凹凸を形成して粗面化する方法、基体表面に放射線、熱の何れかもしくは組み合わせにより硬化する樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーや、樹脂粒子などの有機フィラーを含有させた塗膜により粗面化層を設ける方法、及び基体表面に海島構造による多孔質膜を形成する方法を挙げることができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、上記ハードコート層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適には使用される。
<紫外線吸収層>
本発明において、紫外線吸収層は、上記本発明に係る粘着剤層に含有される光吸収剤の劣化を防止するために、上記粘着剤層とは独立した層として粘着剤層よりも観察側に配置される層であることが好ましい。上記他の機能層に紫外線吸収剤を含有させた、他の機能層と紫外線吸収層を兼ねる層であっても良いし、或いは独立した層であっても良い。上記機能層に用いる紫外線吸収剤としては、上記本発明に係る粘着剤層において記載したものと同様の紫外線吸収剤を用いることができる。独立した層とする場合に用いられるバインダ樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が用いられる。又バインダ樹脂の乾燥、硬化方式としては、溶液(又はエマルジョン)からの溶媒(又は分散媒)の乾燥による乾燥固化方式、熱、紫外線、電子線などのエネルギーによる重合、架橋反応を利用した硬化方式、或いは樹脂中の水酸基、エポキシ基等の官能基と硬化剤中のイソシアネート基などとの架橋、重合等の反応を利用した硬化方式などが適用できる。
また、市販の紫外線カットフィルタ、例えば、富士写真フィルム社製の「シャープカットフィルターSC−38」(商品名)、「同SC−39」、「同SC−40」、三菱レーヨン社製の「アクリプレン」(商品名)等を用いることもできる。
<表面保護層>
表面保護層5は、複合フィルタの表面を保護する機能を有する層である。表面保護層は透明な樹脂層として形成することができ、樹脂層は擦り傷、表面汚染に対する耐性の点で好ましくは硬化性樹脂が硬化してなる樹脂硬化層として形成する。また、このような樹脂硬化層はいわゆるハードコート層〔HC(Hard Coat)層とも略称〕として形成できる。また、表面保護層は単層の他、多層として形成してもよい。
ハードコート層としても適用可能な表面保護層を形成する場合、用いる硬化性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂、その他公知の硬化性樹脂などを要求性能などに応じて適宜採用すればよい。電離放射線硬化性樹脂としては、アクリレート系、オキセタン系、シリコーン系などが挙げられる。例えば、アクリレート系の電離放射線硬化性樹脂は、単官能(メタ)アクリレートモノマー、2官能(メタ)アクリレートモノマーモノマー、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーなどの(メタ)アクリル酸エステルモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルオリゴマー乃至は(メタ)アクリル酸エステルプレポリマーなどからなる。さらに3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを例示すれば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
このような電離放射線硬化性樹脂などの硬化樹脂からなる樹脂組成物を、透明基材フィルムの面に適用して樹脂を硬化させて、表面保護層を形成する。なお、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放射線としては、紫外線、電子線などが代表的である。硬化樹脂からなる樹脂組成物を透明基材フィルムの面に適用するには、公知の塗工法、印刷法(転写印刷でもよい)を適宜採用する。
なお、表面保護層の厚さは、複合フィルタを保護できる厚さにすれば良い。
また、表面保護層は、耐汚染性向上の点で、シリコーン系化合物、フッ素系化合物などを添加するのもよい。
また表面保護層は、専ら防汚染層として、複合フィルタを使用する際に、その表面に不用意な接触や環境からの汚染が原因でごみや汚染物質が付着するのを防止し、あるいは付着しても除去しやすくするために形成される層であっても良い。例えば、フッ素系コート樹脂、シリコン系コート剤、シリコン・フッ素系コート剤等が使用され、中でもシリコン・フッ素系コート剤が好ましく適用される。これらの防汚染層としての厚さは好ましくは100nm以下で、より好ましくは10nm以下であり、更に好ましくは5nm以下である。これらの防汚染層の厚さが100nmを超えると防汚染性の初期値は優れているが、耐久性において劣るものとなる。防汚染性とその耐久性のバランスから5nm以下が最も好ましい。
また、表面保護層は表面保護機能に加えて、更に外来光の鏡面反射防止機能を有していても良い。
具体的には、表面保護層を防眩層或いは反射防止層とする形態である。例えば、防眩層とする場合は、表面保護層(複数層有る場合は、其の最上層)中に光拡散性粒子を添加した形態、表面保護層の表面が粗面賦形された形態を挙げることができる。上記光拡散性粒子としては、無機粒子や有機粒子が挙げられ、無機粒子としては例えばシリカ、有機粒子としては例えば樹脂粒子が挙げられる。
なお、表面を賦形で粗面とするには、表面保護層を形成する為の樹脂組成物を、透明基材フィルム面上に適用した後或いは適用時に、樹脂を硬化させる場合は完全硬化前で賦形可能な流動性を有するうちに、賦形シートや賦形版で表面を賦形すれば良い。
又、反射防止層とする場合は、表面保護層(複数層有る場合は、其の最上層)を前記の反射防止層のところで述べた様な手法により、其の直下の層よりも低屈折率化すれば良い。
<粘着剤層、透明基材>
本発明に係る複合フィルタにおいては、上記本発明に係る粘着剤層の他にも、他の構成物からなる粘着剤層を有していても良い。粘着剤層に用いる粘着剤としては、公知の粘着剤の中から、粘着性(接着力)、透明性、塗工適性などを有し、またそれ自体好ましくは無着色のものを適宜選択する。このような粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリエステル系粘着剤などから選定することができるが、粘着性、透明性の点でアクリル系粘着剤が好ましい。また、例えば、市販の両面接着テープ(例、CS−9611:商品名、日東電工(株)製)を使用することもできる。
また、必要に応じて上記各機能層の支持体として用いられる透明基材としては、上記電磁波遮蔽層において説明したような透明基材と同様の物を用いることができる。
以上、各層を例示して説明したが、本発明の複合フィルタは、代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際に生じる近赤外線領域、即ち、800〜1100nmの波長域における光線透過率が30%以下、更に20%以下、特に10%以下であることが好ましい。
また、本発明の複合フィルタは、代表的な用途であるプラズマディスプレイパネルの前面に適用される場合には、プラズマディスプレイパネルがキセノンガス放電を利用して発光する際、ネオン原子が励起された後、基底状態に戻るときに発光するネオン光、即ち、570〜610nmの波長域における光線透過率が50%以下、更に40%以下であることが好ましい。
本発明の複合フィルタは、全光線透過率が30%以上であることが、透明性が高く且つ外光存在下での画像コントラスト低下の少ない複合フィルタを得る点から好ましい。ここで、全光線透過率とは、JIS K7361−1に準拠して測定した値をいう。
本発明の複合フィルタは、優れた光学フィルタ機能の耐久性を有し、高温高湿下での長時間の使用によっても光吸収剤の劣化に帰属される分光特性の変化が起こり難い。具体的には、高温雰囲気下(例えば、気温80℃、相対湿度10%以下)、或いは、高温高湿雰囲気下(例えば、気温60℃、相対湿度90%RH)に1000時間放置した前後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyが、いずれも、0.03以下、更に好ましくは0.02以下であることが望ましい。
{複合フィルタの製造方法}
複合フィルタの製造方法としては、特に限定されるものではないが、好ましくは、透明基材フィルムとして連続帯状のものを用意し、これを連続帯状で連続的又は間欠的に走行させて、連続的又は間欠的に必要な層を形成していくのが好ましい。つまり、いわゆるロールツーロール加工で製造するのが、生産性などの点で好ましい。その場合、最後の層積層までを一台の機械で全て連続的に行うのがより好ましい。
また、各層の形成順も特に制限はなく仕様により適宜順で行えばよい。例えば、上記シンプルフィルタの構成を例に挙げて説明する。
透明基材フィルムを先ず用意し、この透明基材フィルムに対して、
(A):1.表面保護層の形成、2.導電体層の形成とその後の導電体メッシュ層の形成、3.粘着剤層の形成。
(B):1.導電体層の形成とその後の導電体メッシュ層の形成、2.表面保護層の形成、3.粘着剤層の形成。
(C):1.導電体層の形成、2.表面保護層の形成、3.導電体層から導電体メッシュ層の形成、4.粘着剤層の形成。
などである。
ロールツーロール加工で複合フィルタを製造する場合、例えば導電体メッシュ層の接地用領域を露出させる目的で、粘着剤層を部分的に形成するには、連続帯状の積層体(透明基材フィルムに導電体メッシュ層を積層済みの積層フィルム)に対して、その幅方向(走行方向に対して直角方向)の両端或いは片端のみを露出させ、長手方向(走行方向)は連続層として粘着剤層を形成する様な部分的形成の形態(形態A)であれば、粘着剤層の形成は、例えば塗布幅をその分狭くし長手方向には連続して塗布すれば良い。
また、粘着剤層を部分的に形成する際に、連続帯状の積層体に対してその幅方向の全幅に亘るように部分的に露出させる様な形態(形態B:わかりやすく言えば、形態Aとは縦横関係が90度異なるような形態)では、長手方向では当該部分が幅方向に露出するように粘着剤層が形成されてない様に間欠塗工すれば良い。つまり、全面形成するのではなく、パターン状に形成する。間欠塗工ではいわゆる塗工法の他、転写を含めた印刷法でも良く、これらは公知の方法から適宜採用することができる。
また、最も一般的な形態でもあるが、導電体メッシュ層が中央部のメッシュ領域とその四辺周囲の額縁状の接地用領域とを有し、この接地用領域の露出を額縁状にする様な場合には(形態C)、上記形態Aで狭幅にしてなお且つ間欠塗工すればよい。
なお、粘着剤層を部分的に形成する場合、接地用領域の一部、通常はメッシュ領域側となる内側の一部にも形成する。その理由は、多少の形成位置ズレがあっても機械的に弱いメッシュ領域を確実に保護できるようにするためである。
そして、このようにして連続帯状で製造した、適用するディスプレイ1単位に対応した1単位の複合フィルタが長手方向に複数連なったものを、該複合フィルタの1単位毎に裁断して枚葉化する。
III.表示装置
本発明に係る表示装置は、前記本発明に係る光学フィルタを備えた、表示装置である。
前記本発明に係る光学フィルタは、表示装置に組み込まれて用いられるのに適しており組み込まれ方は時に限定されない。表示装置としては、特に限定されず適用可能であるが、特に多種類の光学フィルタ機能を必要とするプラズマディスプレイに、好適に用いることができる。
以下プラズマディスプレイを例にとって説明する。
本発明のプラズマディスプレイは、ガラス基板、ガス、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体等の一般的なプラズマディスプレイパネルの構成要素に本発明に係る光学フィルタを含み、さらに筐体を組み合わせたものである。ガラス基板は、前面ガラス基板と背面ガラス基板の二枚が用いられ、二枚のガラス基板には、電極と誘電体層が形成され、さらに背面ガラス基板には蛍光体層が形成される。二枚のガラス基板の間にはヘリウム、ネオン、キセノンなどからなるガスが封入されている。プラズマディスプレイにおけるその他の構成や製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明に係るプラズマディスプレイの一例は、図2に示されるように、プラズマディスプレイパネル20本体の前面ガラスに、前面ガラス面と同様の形状、大きさを有する前記本発明に係る光学フィルタ10を、粘着剤層1を介して接合して構成される。本発明に係るプラズマディスプレイの他の一例は、プラズマディスプレイパネル本体の前面ガラスの前面に、図1や図3に示されるようなガラス基板を有する本発明に係る光学フィルタを接合することなく、配置することにより構成される。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例を示して具体的に説明する。
[実施例1]
重量平均分子量が80,000で且つ分子量分布(Mw/Mn)1.17の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造を有するトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50重量部に対して、溶剤としてトルエン25重量部、メチルエチルケトン25重量部を混合して樹脂溶液(s-I)を調製した。
また、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル(PMMA)を50重量部に対して、溶剤としてメチルエチルケトン50重量部を混合して樹脂溶液(s-II)を調製した。
更に、エクスカラーIR12(フタロシアニン系化合物)を0.2重量部、IR14(フタロシアニン系化合物)(以上2種類共に商品名、株式会社日本触媒製)を0.1重量部、KayasorbIRG−068(ジイモニウム系化合物)(商品名、日本化薬株式会社製)を0.4重量部をメチルエチルケトン10重量部を混合して光吸収剤溶液(s-III)を調製した。
上記樹脂溶液(s-II)と上記光吸収剤溶液(s-III)を、PMMAの固形分と光吸収剤の合計の固形分が重量比で7:2となるように、混合して光吸収剤添加樹脂溶液(s-II+III)を調製した。
次に、上記樹脂溶液(s-I)と上記光吸収剤添加樹脂溶液(s-II+III)を、トリブロック共重合体の固形分とPMMAの固形分が重量比で9:1となるように混合して、十分分散させて本発明に係る光学フィルタ用粘着剤組成物を調製した。
上記粘着剤組成物を、厚み100μmの離型処理PET(東洋紡績社製E7002)上に、乾燥膜厚25μmとなるようにアプリケーターにて塗工し、80℃で3分乾燥後、上から厚み100μmの離型処理PETをラミネートして、光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例1の粘着剤層を以下の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。
その結果、高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下、及び高温高湿(気温60℃、相対湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後の色度(x、y)の値の差Δx及びΔyは、高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下では0.01以下、高温高湿(気温60℃、相対湿度90%RH)では0.015以下となった。
また、高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下で放置した場合の、色味変化量を示すΔE*abの経時変化を示すグラフを図5に示す。なおΔE*abは以下の式で求められる値である。
ΔE*ab= {(ΔL+(Δa+(Δb}1/2
なおここで、ΔL、Δa、及びΔbは各々、上記特定の雰囲気環境と時間で静置した前後の粘着剤層表面のL、a、及びbの値の差である。また、L、a、及びbは1976年に国際照明委員会(略称CIE)により勧告され、JIS Z8729でも規定されたL表色系の値である。
更に、ガラス密着性は、高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下、及び高温高湿(気温60℃、相対湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した前後のいずれも、被着体面に糊残りが生じず、8〜12N/25mmの範囲の値を示した。
また、ヘイズは、2.5%であった。
<評価>
得られた粘着剤層をガラス板32(表示装置用前面ガラス板として旭硝子社製の高歪点ガラス板(PD−200:商品名、厚み2.8mm)を用いた。)と貼り合わせた後、上からPETフィルム(東洋紡績社製A4100:厚み50μm)を積層して、試験サンプルとした。
(1)耐久性
まず、上記耐久性試験前の試験サンプルの色度(x、y)を測定した。なお、色度は、分光光度計(島津製作所社製、品番:「UV−3100PC」)を用いて測定した。
〔高温耐久性試験〕
得られた試験サンプルを高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様に色度(x、y)を測定した。
上記高温雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求めた。
〔高温高湿耐久性試験〕
得られた試験サンプルを高温高湿(気温60℃、相対湿度90%RH)雰囲気下に1000時間放置した後、上記と同様に色度(x、y)を測定した。
上記高温高湿雰囲気下に放置する前後の色度(x、y)の測定値から、色度(x、y)の値の差Δx及びΔyを求めた。
(2)ガラス密着性
ガラス密着性は、JIS Z0237−2000の試験に準拠して、ガラス板に貼り合わせられたPETフィルム及び粘着剤層を、速度200mm/minで、ガラス板とPETフィルムとのなす角度が90度で剥離させて測定した。
(3)ヘイズ
JIS K7105−1981に準拠して、1.2mm厚のガラス板に粘着剤層を貼り合せて、ガラス板と逆面にPETフィルム(東洋紡製コスモシャインA−4100)の易接着面を粘着剤層と重なるように貼り合せて作製した試料を用いて、ヘイズ値を測定した。
[実施例2]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量70,000でガラス転移温度が112℃のポリメタクリル酸イソボルニルを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例2の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量100,000でガラス転移温度が112℃のポリメタクリル酸イソボルニルを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例3の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量10,000でガラス転移温度が107℃のポリメタクリル酸t−ブチルを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例4の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量65,000でガラス転移温度が104℃のポリメタクリル酸シクロヘキシルを用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例5の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造のトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=60,000、分子量分布Mw/Mn=1.40になるように重合したものを含んで成る)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例6の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造のトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=110,000、分子量分布Mw/Mn=1.40になるように重合したものを含んで成る)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例7の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例8]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量30,000でガラス転移温度が75℃のメタクリル酸メチル単位含有アクリル共重合体(三菱レイヨン(株)製、BR113、酸価3.5)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
実施例8の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[比較例1]
重量平均分子量が80,000で且つ分子量分布(Mw/Mn)1.17の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造を有するトリブロックトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50重量部に対して、溶剤としてトルエン25重量部、メチルエチルケトン25重量部を混合して作製した樹脂溶液に、近赤外線吸収剤として、エクスカラーIR12(フタロシアニン系化合物)を0.2重量部、IR14(フタロシアニン系化合物)(以上2種類共に商品名、株式会社日本触媒製)を0.1重量部、KayasorbIRG−068(ジイモニウム系化合物)(商品名、日本化薬株式会社製)を0.4重量部、各々添加し十分分散させて光学フィルタ用粘着剤組成物を調製した。そして、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例1の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
また、高温(気温80℃、相対湿度10%以下)雰囲気下で放置した場合の、色味変化量を示すΔE*abの経時変化を示すグラフを図5に示す。
[比較例2]
実施例1において、重量平均分子量15,000でガラス転移温度が102℃のポリメタクリル酸メチル代わりに、重量平均分子量60,000でガラス転移温度が−20℃未満の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)構造を有するジブロックアクリル共重合体(株式会社クラレ製、LA1114)を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例2の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。比較例2の粘着剤層は、被着体に粘着剤が残る”糊残り”が発生し、リワーク性がないことが明らかになった。
[比較例3]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造のトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=316,400、分子量分布Mw/Mn=2.26)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例3の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[比較例4]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造を有するトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=47,000、分子量分布Mw/Mn=1.65になる様に重合したものを含んで成る)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例4の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[比較例5]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造を有するトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=60,000、分子量分布Mw/Mn=1.65になる様に重合したものを含んで成る)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例5の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[比較例6]
実施例1におけるトリブロック共重合体(株式会社クラレ製、LA2140e)50質量部を用いる代わりに、トリブロック共重合体(実施例1と同様の(ポリメタクリル酸メチル)−(ポリアクリル酸n−ブチル)−(ポリメタクリル酸メチル)構造を有するトリブロック共重合体であって、重量平均分子量Mw=40,000、分子量分布Mw/Mn=1.17になる様に重合したものを含んで成る)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして粘着剤組成物を調製し、実施例1と同様にして光学フィルタ機能を有する粘着剤層を得た。
比較例6の粘着剤層を実施例1と同様の評価方法で耐久性、ガラス密着性、ヘイズについて評価した。結果を表1に示す。
[実施例9]
(1)連続帯状の電磁波遮蔽シートの形成:
導電性メッシュ層とする金属箔として、一方の面に銅−コバルト合金粒子から成る黒化層が電解メッキ形成された厚さ10μmの連続帯状の電解銅箔を用意した。前記銅箔の両面に対して、亜鉛めっき後、ディッピング法にて公知のクロメート処理を行い、表裏両面に防錆層を形成した。
また、透明樹脂基材シート11として厚さ100μmで一方の面上にポリエステル樹脂系プライマー層を形成した、連続帯状の無着色透明な2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
次いで、この銅箔をその黒化層面側で上記透明樹脂基材プライマー層上に、主剤が平均分子量3万のポリエステルポリウレタンポリオール12重量部から、又硬化剤がキシレンジイソシアネート系プレポリマー1重量部とから成る透明な2液硬化型ウレタン樹脂系接着剤でドライラミネートした後、50℃、3日間養生して、銅箔(防錆層)と透明樹脂基材間に厚さ7μmの透明接着剤層を有する連続帯状の電磁波遮蔽シートを得た。
次いで、上記連続帯状の電磁波遮蔽シートに対して、その導電体層及び黒化層をフォトリソグラフィー法を利用したエッチングにより、開口部及びライン部とから成るメッシュ状領域、及びメッシュ状領域の4周を囲繞する外縁部に額縁状のメッシュ非形成の接地用領域を有する導電性メッシュ層を形成した。
エッチングは、具体的には、カラーTVシャドウマスク用の製造ラインを利用して、連続帯状の上記積層シートに対してマスキングからエッチングまでを一貫して行った。すなわち、上記積層シートの導電体層面全面に感光性のエッチングレジストを塗布後、所望のメッシュパターンを密着露光し、現像、硬膜処理、ベーキングして、メッシュのライン部に相当する領域上にはレジスト層が残留し、開口部に相当する領域上にはレジスト層が無い様なパターンにレジスト層を加工した後、塩化第二鉄水溶液で、導電体層及び黒化層を、エッチング除去してメッシュ状の開口部を形成し、次いで、水洗、レジスト剥離、洗浄、乾燥を順次行った。
このようにして、連続帯状の電磁波遮蔽シートを得た。
(2)表面保護層の形成:
表面保護層を、上記連続帯状の電磁波遮蔽シートの表側とする面(積層体の透明基材フィルム側の面)に対してその全面に形成した。具体的には、先ず、電離放射線硬化型樹脂として紫外線硬化型樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを100質量部(日本化薬(株))と、光硬化開始剤として商品名イルガキュア184を4.0質量部(チバガイギ(株)製)と、溶剤としてメチルイソブチルケトンを52質量部とを、十分混合して、表面保護層形成用の塗布液を調整した。次に、上記連続帯状の積層体の透明基材フィルム面上に、該塗布液を、膜厚7μmとなるようにダイコーターを用いて間欠的に塗工した後、50℃のオーブンで加熱乾燥させ、N2雰囲気下でUV照射装置(フィージョンUVシステムジャパン(株)製)のHバルブを光源に用いて硬化し(積算光量200mJ)て、ハードコート層となる単層の表面保護層を形成した。
(3)粘着剤層の形成:
次に、上記表面保護層形成済みで連続帯状の積層体の裏面(導電体メッシュ層側の面)に対して、各種色素を添加した粘着剤層を形成した。粘着剤層を形成する為の粘着剤としては、実施例1で得られた光学フィルタ用粘着剤組成物を用いた。
そして、積層体の裏面となる導電体メッシュ層側の面に対して、ダイコーターにより、厚み25μmになるように塗布し、風速5m/secのドライエアーが当たるオーブンにて100℃で1分間乾燥して粘着剤層を形成して、連続帯状の状態で複合フィルタを得た。尚、粘着剤層の面には、更に再剥離可能な離型フィルムを貼り合わせて保護した。
また、粘着剤層の形成は、間欠塗工法によって、導電体メッシュ層の接地用領域は被覆せずメッシュ領域は被覆するように部分的に形成した。
得られた光学フィルタを気温80℃、相対湿度10%以下の雰囲気下および気温60℃、相対湿度90%RHの雰囲気下に各々1000hr放置したのち、色度(x、y)の値を測定したところ、初期値との差(Δx、Δy)は気温80℃、相対湿度10%以下の雰囲気下、および気温60℃、相対湿度90%RHの雰囲気下の両条件においてΔx及びΔyは、それぞれ0.015未満に収まった。
Figure 0005267122

Claims (16)

  1. (I) アクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の1個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の2個が互いに結合したトリブロック構造、又はアクリル酸エステル単位を含んで成る重合体ブロック(A1)の2個と(メタ)アクリル酸エステル単位を含んで成り重合体ブロック(A1)とは構造の異なる重合体ブロック(B1)の1個が互いに結合したトリブロック構造を、分子中に少なくとも有し、重量平均分子量が50,000以上で且つ分子量分布(Mw/Mn)が1.5未満である多元ブロック共重合体、
    (IV)ガラス転移温度が60℃以上の樹脂、及び
    (III)所定波長域の光吸収を有する光吸収剤の1種以上、とを含有する光学フィルタ用粘着剤組成物。
  2. 前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部含有されている、請求項1に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  3. 少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有する請求項1又は2に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  4. 前記少なくとも800〜1100nmに吸収帯域を有する光吸収剤が、フタロシアニン系化合物及び/又はジイモニウム系化合物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  5. 前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)は、前記多元ブロック共重合体(I)100重量部に対して、3〜50重量部の範囲で混合した混合物からなる膜厚25μmの塗膜のJIS K7105−1981に準拠したヘイズ値が5%以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  6. 前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)の酸価が30以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  7. 前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、アクリル系樹脂、エステル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリビニル系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂よりなる群から選択される1種以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  8. 前記ガラス転移温度が60℃以上の樹脂(IV)が、前記多元ブロック共重合体(I)のブロック構造を形成している(メタ)アクリル酸エステル単位を有する樹脂である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  9. 少なくとも570〜610nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  10. 少なくとも波長380〜570nm若しくは610〜780nmに吸収帯域を有する光吸収剤を含有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物。
  11. 表示装置の前面に配置されるための光学フィルタであって、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光学フィルタ用粘着剤組成物を用いて形成されている、光学フィルタ機能を有する粘着剤層を含むことを特徴とする、光学フィルタ。
  12. 前記光学フィルタ機能を有する粘着剤層に、電磁波遮蔽機能、反射防止機能、防眩機能、光吸収機能、表面保護機能のいずれか一種以上の機能を有する一層以上の機能層が積層されてなることを特徴とする、請求項11に記載の光学フィルタ。
  13. 800〜1100nmの波長範囲の透過率が30%以下であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の光学フィルタ。
  14. 560〜630nmの波長範囲における最大吸収波長の透過率が30%以下であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  15. 全光線透過率が30%以上であることを特徴とする、請求項11〜14のいずれか一項に記載の光学フィルタ。
  16. 請求項11〜15のいずれか一項に記載の光学フィルタを備えた、表示装置。
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