JP5266639B2 - 導光板 - Google Patents

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本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る導光板に関し、詳しくは、機械的強度、転写性、光線透過率、熱安定性、成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る薄肉の導光板に関する。
パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等にて使用される液晶表示装置には、その薄型化、軽量化、省電力、高精細化の要求に対応するために、面状光源装置が組み込まれている。そして、この面状光源装置には、入光する光を液晶表示側に均一・効率的に導く役割を果たす目的で、一面が一様な傾斜面を有する楔型断面の導光板や平板形状の導光板が備えられている。
従来、導光板はポリメチルメタクリレート(PMMA)等の樹脂材料から成形されてきたが、最近では、より鮮明な画像を映し出す表示装置が求められ、光源近傍で発生する熱によって機器装置内が高温化する傾向にあるため、より耐熱性の高い芳香族ポリカーボネート樹脂材料に置き換えられつつある。
また、テレビやパソコンを初めとした表示装置の薄肉・大型化により、導光板およびその周辺部品も薄肉・大型化する傾向が一段と強くなっている。例えば、携帯電話などで使用されている液晶表示装置の厚みは、現在3mm程度であり、これに組み込まれている導光板の厚みは最も薄いもので0.7mm程度である。しかしながら、液晶表示装置の厚みを一層薄くするといった最近の傾向の中で、導光板の厚みは0.7mmを下回る厚みが要求されている。
薄肉で大型の導光板を得るためには、従来の成形温度より高い温度での成形が必要となるため、流動性や転写性に優れているだけではなく、変色やモールドデポジットがなく、しかも、溶融熱安定性や離型性に優れた樹脂材料が求められている。
流動性と機械的強度に優れた樹脂材料として、tert−オクチルフェノキシ基を末端基として有する芳香族ポリカーボネート樹脂が知られている(特許文献1)。また、長鎖アルキルフェノキシ基を末端基として有する芳香族ポリカーボネート樹脂(特許文献2)、脂肪族セグメントを有するコポリエステルカーボネート及び芳香族ポリカーボネートから成るポリカーボネート樹脂組成物(特許文献3)が提案されている。
しかしながら、上記の提案における導光板の厚みは3mm程度であり、提案された技術に基づき厚みが0.7mmを下回る導光板の射出成形法による製造を試みた結果、所望の厚みの導光板を製造するに十分な流動性を確保できず、キャビティ内を溶融熱可塑性樹脂で完全に充填することが出来なかった。さらには、いずれの提案においても、溶融熱安定性や離型性に劣り、実用的価値の低い導光板しか得られなかった。
特開2001−208917号公報 特開2001−208918号公報 特開2001−215336号公報
本発明は上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物であって、特に薄肉・大型成形の導光板の製造に適した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成る、機械的強度、転写性、光線透過率、熱安定性、成形性に優れた導光板を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、特定の分子量と分子量分布を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を使用することにより、上記の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させた。
発明の要旨は、粘度平均分子量が13,000〜15,000で且つゲルパーミエションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnが1.5〜2.7である芳香族ポリカーボネート樹脂に安定剤および離型剤を配合して成る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る導光板であって、しかも、長手方向の長さが40〜90mmであり、導光板の最低8割を占める領域の厚さが0.44mm以下であり、導光板の厚さの下限が0.10mmであることを特徴とする導光板に存する。
本発明で使用する樹脂組成物は、従来の導光板用樹脂組成物に比べて流動性に優れているため、導光板の最低8割を占める領域の厚さが0.7mm以下、特に0.44mm以下である薄肉導光板の成形が可能である。さらに、本発明で使用する樹脂組成物は、所望の成形品厚みにおいても、導光板に要求される特性(例えば、機械的強度、転写性、光線透過率、熱安定性)を保持できるため、薄肉・大型液晶表示装置用導光板向け材料としての使用が可能である。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明で使用する芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族ヒドロキシ化合物またはこれと少量のポリヒドロキシ化合物をホスゲン又は炭酸ジエステルと反応させることによって得られる、分岐していてもよい熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体または共重合体である。
芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、公知の方法、例えばホスゲン法(界面重合法)、溶融法(エステル交換法)等が挙げられる。更に、溶融法によれば、末端基のOH基量が調節された芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることが出来る。
原料として使用される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1−トリクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサクロロプロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシ−3,3'−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;ハイドロキノン、レゾルシン、4,4'−ジヒドロキシジフェニル等が挙げられる。これらの中では、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性の点からビスフェノールAが好ましい。さらに、難燃性を高める目的で、上記の芳香族ジヒドロキシ化合物にスルホン酸テトラアルキルホスホニウムが1個以上結合した化合物も使用することが出来る。これらの芳香族ジヒドロキシ化合物は、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得るには、界面重合法においては、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−2、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプテン−3、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン等のポリヒドロキシ化合物、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール(別名:イサチンビスフェノール)、5−クロルイサチン、5,7−ジクロルイサチン、5−ブロムイサチン等を前記の芳香族ジヒドロキシ化合物の一部として使用すればよく、その使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対し、通常0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜2モル%である。一方、溶融法においては、前記の分岐化剤の添加は任意であり、反応温度や触媒量を調節することにより、分岐した芳香族ポリカーボネート樹脂を得ることが出来る。
界面重合法による反応は、芳香族ジヒドロキシ化合物、ならびに、必要に応じて分子量調整剤(末端停止剤)及び芳香族ジヒドロキシ化合物の酸化防止のための酸化防止剤を使用し、次のように行われる。すなわち、反応に不活性な有機溶媒およびアルカリ水溶液の存在下、通常pHを9以上に保ち、ホスゲンを反応させた後、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などの重合触媒を添加し、界面重合を行ってポリカーボネートを得る。なお、反応温度は例えば0〜40℃で、反応時間は例えば数分(例えば10分)ないし数時間(例えば6時間)である。
ここで、反応に不活性な有機溶媒としては、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の塩素化炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素などが挙げられる。また、アルカリ水溶液に使用されるアルカリ化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が挙げられる。
分子量調節剤としては、一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、その具体例としては、m−メチルフェノール、p−メチルフェノール、m−プロピルフェノール、p−プロピルフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−長鎖アルキル置換フェノール等が挙げられる。分子量調節剤の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対し、通常50〜0.5モル、好ましくは30〜1モルである。
溶融エステル交換法は、例えば、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物とのエステル交換反応として行われる。
炭酸ジエステルとしては、以下の一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005266639
ここで、一般式(1)中、A’は、置換されていてもよい、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状または環状の1価の炭化水素基である。2つのA’は、同一でも相互に異なっていてもよい。なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基などが例示される。
炭酸ジエステルの具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。これらの中では、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、2種以上を混合して使用することが出来る。
また、上記の炭酸ジエステルは、その一部をジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換してもよく、その割合は、通常50モル%以下、好ましくは30モル%以下である。代表的なジカルボン酸またはジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。このようなジカルボン酸またはジカルボン酸エステルで置換した場合には、ポリエステルカーボネートが得られる。
また、エステル交換法で製造するポリカーボネートでは、炭酸ジエステル(上記の置換したジカルボン酸またはジカルボン酸エステルを含む。以下同じ。)は、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して過剰に使用される。即ち、芳香族ジヒドロキシ化合物に対する炭酸ジエステルの割合(モル比)は、通常1.01〜1.30、好ましくは1.05〜1.20、更に好ましくは1.10〜1.20である。モル比が過度に小さい場合は、得られる芳香族ポリカーボネートの末端OH基が多くなり、樹脂の熱安定性が悪化する傾向となる。また、モル比が過度に大きい場合は、エステル交換の反応速度が低下し、所望の分子量を有する芳香族ポリカーボネートの生産が困難となる傾向となる他、樹脂中の炭酸ジエステルの残存量が多くなり、成形加工時や成形品としたときの臭気の原因となることがある。従って、芳末端ヒドロキシル基量は100ppm以上であることが好ましい。このような末端ヒドロキシル基量とすることにより、分子量の低下を抑制でき、色調もより良好となる。
一般的に、炭酸ジエステルと芳香族ジヒドロキシ化合物との混合比率を調節したり、反応時の減圧度を調整したりすることにより、所望の分子量および末端ヒドロキシル基量を有するポリカーボネートが得られる。より積極的な方法として、反応時に、別途、末端停止剤を添加する周知の調節方法もある。この際の末端停止剤としては、一価フェノール類、一価カルボン酸類、炭酸ジエステル類が挙げられる。末端ヒドロキシル基量は、製品ポリカーボネートの熱安定性、加水分解安定性、色調などに大きな影響を及ぼす。末端ヒドロキシル基量は、用途にもよるが、実用的な物性を持たせるためには、通常1,000ppm以下、好ましくは700ppm以下である。
通常、エステル交換法によりポリカーボネートを製造する際には、エステル交換触媒が使用される。エステル交換触媒は、特に制限されないが、アルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物が好ましい。また、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物などの塩基性化合物を併用することも可能である。これらのエステル交換触媒の中では、実用的観点からアルカリ金属化合物が好ましい。これらのエステル交換触媒は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。エステル交換触媒の使用量は、芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対し、通常1×10−9〜1×10−1モル、好ましくは1×10−7〜1×10−3モル、更に好ましくは1×10−7〜1×10−6モルの範囲である。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、炭酸水素化合物などの無機アルカリ金属化合物;アルカリ金属のアルコール類(又はフェノール類)、有機カルボン酸類との塩などの有機アルカリ金属化合物が挙げられる。ここで、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムが挙げられる。これらのアルカリ金属化合物の中では、セシウム化合物が好ましく、特に、炭酸セシウム、炭酸水素セシウム又は水酸化セシウムが好ましい。
芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとのエステル交換反応は次のように行うことが出来る。
先ず、原料調製工程として、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、バッチ式、半回分式または連続式の撹拌槽型の装置を使用し、原料の混合溶融液を調製する。溶融混合の温度は、例えば、芳香族ジヒドロキシ化合物としてビスフェノールAを使用し、炭酸ジエステルとしてジフェニルカーボネートを使用する場合は、通常120℃〜180℃、好ましくは125℃〜160℃の範囲である。
次いで、重縮合工程として、芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステル化合物とのエステル交換反応を行う。エステル交換反応は、通常2段階以上、好ましくは3段〜7段の多段方式で連続的に行われる。各槽の具体的な反応条件としては、温度:150〜320℃、圧力:常圧ないし減圧(0.01Torr:1.3Pa)、平均滞留時間:5〜150分である。
そして、多段方式の各反応器においては、重縮合反応の進行と共に副生するフェノールをより効果的に系外に除去するため、上記の反応条件内において、段階的により高温、より高真空に設定し、最終的には2Torr(266.6Pa)以下の減圧とする。これにより、芳香族ヒドロキシ化合物などの副生成物を除去しながら溶融重縮合反応を行うことが出来る。なお、得られる芳香族ポリカーボネートの色相などの品質低下を防止するため、上記の範囲内で出来るだけ低温かつ短滞留時間の設定が好ましい。
溶融重縮合は、バッチ式または連続的に行うことが出来るが、本発明の樹脂組成物の安定性などを考慮すると、連続式が好ましい。エステル交換法ポリカーボネート中の触媒の失活剤としては、当該触媒を中和する化合物、例えば、イオウ含有酸性化合物またはそれより形成される誘導体を使用することが出来る。触媒を中和する化合物の使用量は、当該触媒が含有するアルカリ金属に対し、通常0.5〜10当量、好ましくは1〜5当量の範囲である。更に加えて、触媒を中和する化合物のポリカーボネートに対する使用割合は、通常1〜100ppm、好ましくは1〜20ppmの範囲である。
また、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、難燃性を付与する目的で、シロキサン構造を有するポリマー又はオリゴマーを共重合させてもよい。これら芳香族ポリカーボネート樹脂は、二種以上を混合して使用してもよい。
本発明に使用する特定の分子量(粘度平均分子量13,000〜15,000)を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、分子量調節剤の使用量を選択することにより製造することが出来る。すなわち、上記の分子量より大きい分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂を得る場合に使用される量より多くの分子量調節剤を使用する。
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、温度25℃で測定された溶液粘度より換算した粘度平均分子量として、13,000〜15,000である。粘度平均分子量が13,000未満の場合は機械的強度が低下し、15,000を超える場合は、溶融粘度が高くなり、薄肉・大型導光板の成形が困難になる。
本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、1.5〜2.7、好ましくは1.8〜2.6である。上記の比(分子量分布)が1.5未満の場合は、流動性および転写性が不十分であり、2.7を超える場合は、成形時にモールドデボジットが発生する。なお、GPC測定は、カラムとして、昭和電工製「ShodexK-805L」2本を使用し、溶媒としてクロロホルムを使用して行うことが出来る。
また、本発明で使用される芳香族ポリカーボネート樹脂においては、分子量が1000未満の低分子量芳香族ポリカーボネート重合体(低分子量体)の含有量が2重量%以下であることが好ましい。斯かる条件を満足することにより、金型付着物や外観悪化(焼け)を抑制することが出来る。なお、低分子量芳香族ポリカーボネートの分子量は、GPCにより測定した、ポリカーボネート換算の重量平均分子量を意味し、その測定は上記と同様に行うことが出来る。
上記のような特定の分子量分布と低分子量体含有率を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、例えば、次のようにして製造することが出来る。すなわち、界面重合法による製造法では、分子量調節剤を特定の範囲の量で使用したり、分子量調節剤の添加時期を変更したり、反応条件(反応時間、反応温度など)を制御する方法により製造できる。具体的には、分子量調節剤の使用割合(芳香族ジヒドロキシ化合物100モルに対する割合)を7.0〜8.5モルの範囲としたり、ホスゲン化の後に分子量調節剤を添加したり、分子量調節剤をホスゲン化の前後に分割して添加したり、反応時間を2時間以内にしたり、反応温度を30℃以下にしたりする。なお、上記の方法の他、低分子量体の含有率を低下させる方法としては、アセトン等を使用したポリカーボネートの非溶剤沈殿法や非溶剤抽出法も適用可能である。
また、溶融エステル交換法においては、炭酸ジエステル/芳香族ジヒドロキシ化合物とのモル比バランスを調節し、且つ触媒量を低く抑えることにより、溶融重合中に形成される分岐種を極力減らすことが出来、その結果、特定の分子量分布と低分子量体含有率を有する芳香族ポリカーボネート樹脂が得られる。具体的には、芳香族ジヒドロキシ化合物に対して炭酸ジエステルの使用割合(モル比)を1.10〜1.20の範囲とし、且つエステル交換触媒の使用量を芳香族ジヒドロキシ化合物1モルに対して1×10−7〜1×10−6モルの範囲とする方法が挙げられる。
本発明においては、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の光線透過率および色相向上のため、安定剤が使用される。安定剤としては、亜リン酸エステル、リン酸エステル等のリン系、ヒンダードフェノール系などの酸化防止剤が挙げられるが、亜リン酸エステル系安定剤が好ましい。
本発明において、好ましい安定剤は以下の一般式(I)で表される亜リン酸エステルである。
Figure 0005266639
(式(I)中、Rは、アリール基またはアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(I)中、Rがアリール基である場合、Rは以下の一般式(a)及び(b)で表される基ならびに式(c)で表されるアリール基が好ましい。
Figure 0005266639
(式(a)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
Figure 0005266639
(式(b)中、Rは炭素数1〜10のアルキル基を表す。)
Figure 0005266639
が一般式(a)で表されるアリール基である亜リン酸エステルとしては、例えば、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ、これは旭電化工業(株)より「アデカスタブPEP−24G」の商品名で市販されている。Rが一般式(b)で表される亜リン酸エステルとしては、例えば、Rがtert−ブチル基である、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ、これは旭電化工業(株)より「アデカスタブPEP−36」の商品名で市販されている。Rが式(c)で表されるアリール基である亜リン酸エステルとしては、例えば、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられ、これはドーバーケミカル(株)より「ドーバホスS−9228」の商品名で市販されている。
一般式(I)中、Rのアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。斯かる亜リン酸エステルの具体例としては、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジノニルペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。これらの中では、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトが好ましい。
また、本発明において、他の好ましい安定剤は以下の一般式(I I)で表される亜リン酸エステルである。この亜リン酸エステルは、特にエステル交換法で製造された芳香族ポリカーボネート樹脂に対して好ましい安定剤である。
Figure 0005266639
(式(I I)中、R〜Rは、水素原子、アリール基または炭素数1〜20のアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記の一般式(I I)中の、R〜Rにおけるアリール基またはアルキル基としては、フェニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられ、特に、R、Rがtert−ブチル基であり、R、R、Rが水素原子である、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましく、これは、旭電化工業(株)より「アデカスタブ2112」の商品名で市販されている。
リン酸エステル系安定剤としては、例えば、以下の一般式(2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005266639
(一般式(2)中、Rはアルキル基またはアリール基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。nは0〜2の整数を表す。)
一般式(2)中、Rは、好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基または炭素数6〜30のアリール基であり、より好ましくは、炭素数2〜25のアルキル基、フェニル基、ノニルフェニル基、ステアリルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル基、2,4−ジ−tert−ブチル−メチルフェニル基またはトリル基である。
ヒンダードフェノール系安定剤としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、チオジエチレンビス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−ネオペンチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が挙げられる。これらの中では、ペンタエリスリト−ルテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)又はオクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートが好ましい。これら2つのフェノール系酸化防止剤は,チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社より「イルガノックス1010」及び「イルガノックス1076」の名称で市販されている。
安定剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.001〜2.0重量部、好ましくは0.003〜1.0重量部である。安定剤の配合率が0.001重量部未満の場合は、色相や光線透過率の改善効果が小さい傾向があり、逆に2.0重量部を超える場合は、モールドデボジットが発生し、コスト的にも不利になる傾向がある。上記安定剤は、二種類以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明においては、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の成形時の離型性改良の目的で離型剤が配合される。離型剤としては、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも一種の化合物が好ましい。
脂肪族カルボン酸としては、飽和または不飽和の、脂肪族モノカルボン酸、ジカルボン酸またはトリカルボン酸が挙げられる。ここで、脂肪族カルボン酸は、脂環式カルボン酸も包含する。脂肪族カルボン酸としては、炭素数6〜36のモノ又はジカルボン酸が好ましく、炭素数6〜36の脂肪族飽和モノカルボン酸が更に好ましい。このような脂肪族カルボン酸の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、テトラトリアコンタン酸、モンタン酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸などが挙げられる。
脂肪族カルボン酸エステルを構成する脂肪族カルボン酸成分としては、上記の脂肪族カルボン酸と同じものが使用できる。一方、脂肪族カルボン酸エステルと反応してエステルを形成するアルコール成分としては、飽和または不飽和の、1価アルコール又は多価アルコールが挙げられる。これらのアルコールは、フッ素原子、アリール基などの置換基を有していてもよい。これらのアルコールの中では、炭素数30以下の1価または多価の飽和アルコールが好ましく、炭素数30以下の脂肪族飽和1価アルコール又は多価アルコールが更に好ましい。ここで、脂肪族アルコールは、脂環式アルコールも包含する。
上記のアルコールの具体例としては、オクタノール、デカノール、ドデカノール、テトラデカノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2−ジヒドロキシペルフルオロプロパノール、ネオペンチレングリコール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。
上記のような脂肪族カルボン酸エステルは、不純物として脂肪族カルボン酸および/またはアルコールを含有していてもよく、複数の化合物の混合物であってもよい。
脂肪族カルボン酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリスチルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸オクチルドデシル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等が挙げられる。
数平均分子量200〜15000の脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス又は炭素数3〜12のα−オレフィンオリゴマーが挙げられる。ここで、脂肪族炭化水素としては、脂環式炭化水素も含まれる。また、これらの脂肪族炭化水素は部分酸化されていてもよい。
ポリシロキサン系シリコーンオイルの25℃における動粘度は、通常1〜200cSt、好ましくは5〜100cSt、更に好ましくは10〜50cStである。また、ポリシロキサン系シリコーンオイルとしては、少なくとも側鎖にフェニル基を有するもの、分岐シロキサン構造を有するものが好ましく、単一の化合物であっても、混合物であってもよい。混合物の場合、少なくとも側鎖にフェニル基を有するポリオルガノシロキサンと、少なくとも分岐シロキサン構造を有するポリオルガノシロキサンとを併用したものも好ましい。斯かるポリシロキサン系シリコーンオイルは、慣用の有機反応によって容易に得ることが出来る。
ポリシロキサン系シリコーンオイルの添加効果としては、成形時の離型改良効果に加え、導光板の透明性、輝度、色相をより向上させる効果が挙げられる。これらの効果は、動粘度が200cSt以下のポリシロキサン系シリコーンオイルにおいて顕著である。
本発明において、離型剤としては、前記の脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸エステル、脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルから選ばれた少なくとも一種が好ましい。離型性、透明性、輝度、色相の観点から、ポリシロキサン系シリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。2重量部を超える場合は、耐加水分解性の低下、射出成形時の金型汚染などの問題がある。
本発明においては、本発明の目的を損なわない範囲で、安定剤および離型剤以外の樹脂添加剤、例えば、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、染顔料、難燃剤、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、相溶化剤、抗菌剤、充填剤などを配合してもよい。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、サリチル酸フェニル系、ヒンダードアミン系などが挙げられる
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例としては、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
サリチル酸フェニル系紫外線吸収剤の具体例としては、フェニルサリチレート、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
ヒンダードアミン系紫外線吸収剤の具体例としては、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等が挙げられる。
本発明で使用する紫外線吸収剤には、上記の化合物類以外に、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物が含まれる。本発明においては、酸化防止剤または着色剤などと併用することによって相乗効果を発揮する添加剤、または、クエンチャーと呼ばれる、光エネルギー変換剤的に作用する光安定剤などを併用することも出来る。
紫外線吸収剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1.5重量部、更に好ましくは0.1〜1.0重量部である。紫外線吸収剤が0.01重量部未満の場合はその添加効果が不十分であり、2重量部を超える場合は、成形品の黄味が強くなって調色性が劣ったり、成形品表面にブリードアウトする傾向が強くなる。
蛍光増白剤としては、波長400nm未満の紫外線を吸収し、そのエネルギーを波長400nm以上の可視部の光線、特に青紫色の光線に変えて放射する作用を有する化合物であれば特に限定されないが、クマリン系化合物およびベンゾオキサゾ−ル系化合物が好ましい。
クマリン系化合物としては、3−フェニル−7−アミノクマリン,3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−クロロ)−クマリン、3−フェニル−7−(イミノ−1’3’5’−トリアジン−2’−ジエチルアミノ−4’−メトキシ)−クマリン、3−フェニル−7−(2H−ナフト(1,2−d)−トリアゾール−2−イル)クマリン、4−メチル−7−ヒドロキシ−クマリン等が挙げられる。
ベンゾオキサゾール系化合物としては、例えば、2,5−チオフェンジイル(5−tert−ブチル−1,3−ベンゾオキサゾール)、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン,4−(ベンゾオキサゾール−2−イル)−4’−(5−メチルベンゾオキサゾール−2−イル)スチルベン、4,4’−ビス(ベンゾオキサゾール−2−イル)フラン等が挙げられる。
また、蛍光増白剤としては、商品名「ハッコールPSR」(ハコール産業社製)や商品名「UVITEX OB、UVITEX OB−ONE」(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)等の市販品を使用することも出来る。
蛍光増白剤の配合率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常0.001〜0.2重量部、好ましくは0.003〜0.15重量部、更に好ましくは0.005〜0.10重量部である。蛍光増白剤の量が0.001重量部未満の場合は、成形品の黄色味を消して明るさを増加させるという機能や紫外線を吸収し可視部の青紫色に放射する機能が十分に発揮されない傾向があり、0.2重量部を超える場合は、配合量に見合った添加効果が認められない場合が多い。
染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられる。染顔料の配合比率は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常1重量部以下、好ましくは0.3重量部以下、更に好ましくは0.1重量部以下である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、例えば、ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンスルフィド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などのスチレン系樹脂;ポリメタクリレート樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。上記の他樹脂の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、通常40重量部以下、好ましくは30重量部以下である。
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法としては、特に制限されず、最終成形品を成形する直前迄の任意の段階で、各成分を一括または分割して配合し、溶融混練する方法が挙げられる。配合方法は、当業者に周知の種々の方法を採用することが出来、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を使用する方法、フィーダーにより定量的に押出機ホッパーに供給して混合する方法などが挙げられる。混練方法としては、一軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等を使用する方法が挙げられる。また、ポリカーボネート樹脂以外の成分は、予備混合せずに、溶融混練時、押出機などの途中から供給してもよい。
本発明の導光板は、上記の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して得られる。成形方法としては、例えば、射出成形法、圧縮成形法、射出圧縮成形法などが挙げられるが、好ましくは射出成形法である。
本発明の導光板の形状としては、楔型形状、平板型形状などがあるが、いずれの場合も、少なくとも一つ以上の傾斜面または平面上に、凹凸パターン(例えば、プリズム形状や円柱状のパターン)が形成されているのが好ましいる。斯かる凹凸パターンは、射出成形の際、金型の一部の表面に形成された凹凸部を転写することによって付与される。凹凸部は金型の一部である入れ子に形成するのが簡便で好ましい。
射出成形法に基づき薄肉導光板を製造する場合、一般の鋼材金型を使用する方法、低熱伝導性材料(セラミックスやポリイミド等の樹脂または樹脂組成物)を金型の一部に使用した断熱金型を使用する方法、金型表面付近を選択的に急加熱急冷却する方法などが使用される。本発明においては、ジルコニアセラミックスを使用した断熱金型が好ましく採用される。当該断熱金型を使用した方法は、キャビティ内の溶融熱可塑性樹脂の急冷による固化層の形成を回避することが出来るため、キャビティ内の厚みが非常に薄い場合でも、一般の鋼材金型に比べ、更には、上記の記載の他の方法に比べ、キャビティ内を熱可塑性樹脂で充填することが容易であり、この結果、微細な凹凸パターンの転写性に優れた導光板の製造により適している。
また、本発明の導光板を射出成形法で製造する場合、樹脂温度280〜390℃の条件下において、キャビティ内に溶融樹脂を射出する時の樹脂射出速度は300〜2000mm/secの範囲が好ましい。この樹脂射出速度は、一般的な射出成形法に比べ、2〜13倍の速度である。このように、従来の技術に比べて高速の樹脂射出速度で溶融樹脂をキャビティ内に射出することにより、厚さの非常に薄いキャビティ内に確実かつ完全に溶融樹脂を充填させることが出来る。上記の樹脂温度は好ましくは280〜360℃であり、上記の射出速度は好ましくは800〜1800mm/secである。
なお、本発明においては、樹脂温度320〜390℃という高温の成形条件下であっても、成形時の樹脂熱分解による、導光板の黄変やヤケ、更には、強度や輝度の低下といった問題が起こらず、所望の薄肉な導光板を成形することが可能である。更には、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、従来の導光板用樹脂組成物に比べて流動性が非常に優れているため、厚みが0.45mm以上のより大型の導光板の製造にも適している。
本発明においては、前記の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を使用し、更に必要に応じて、特殊な金型や成形条件を組み合わせることにより、従来にはない、非常に薄い厚み、具体的には、導光板の最低8割を占める領域の厚みが0.44mm以下である導光板を成形することが出来る。本発明の導光板の厚みの下限は、成形性、製品外観、強度、輝度などの観点から、0.10mmである。
本発明の導光板は、液晶表示装置に使用される場合は、光源がエッジ式または直下式に配置された面光源体に組み込まれる。光源としては、蛍光ランプの他、冷陰極管、LED、レーザーダイオード、有機EL等の自己発光体を使用できる。例えば、エッジ式の面光源体の場合の光源の配置位置は次の通りである。すなわち、楔型の導光板の場合は厚肉端部に光源が配置され、平板型の導光板は端部に光源が配置される。そして、このような導光板は、携帯電話、携帯端末、カメラ、時計、ノートパソコン、ディスプレイ、照明、信号、自動車のランプ、家電・光学機器の表示部品などに使用される。
また、液晶表示装置にエッジ式面光源体を使用する場合は、バックライト方式またはフロントライト方式の何れであってもよい。一例として、図1にバックライト方式の面光源体の概念図、図2にフロントライト方式の面光源体の概念図を示す。
図1に示すバックライト方式の場合は、導光板(1)の第1面(11)に対向して反射部材(4)が配置される。また、導光板(1)の第2面(12)に対向して液晶表示素子(パネル)(3)が配置される。光源(2)から射出された光は、導光板(1)の端部から入射し、第1面(11)に設けられた凹凸部に衝突して散乱され、第1面(11)から射出し、反射部材(4)にて反射され、第1面(11)に再び入射する。入射した光は第2面(12)から射出され、液晶表示素子(3)を照射する。液晶表示素子(3)と第2面(12)との間には、例えば、拡散シート(5)やプリズムシート(図示せず)を配置してもよい。尚、導光板に凹凸部を設けない場合は、複数のプリズムシートを使用して光に指向性を付与する。
図2に示すフロントライト方式の場合は、光源(2)から射出された光は、導光板(1)の端部から導光板に入射し、第1面(11)に設けられた凹凸部に衝突して散乱され、第2面(12)から射出し、位相差フィルム(又は偏光フィルム)(6)、次いで液晶表示素子(3)を通過する。そして、液晶表示素子(3)から射出された光は、液晶表示素子(3)の外側に配置された反射部材(4)によって反射され、液晶表示素子(3)を再び通過し、位相差フィルム(又は偏光フィルム)(6)、更には、導光板(1)を通過し、第1面(11)から射出される。この光が、液晶表示素子(3)に表示された画像などとして認識される。通常、第2面(12)の表面には、反射防止層(図示せず)が形成される。
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。以下の諸例で使用した原料および評価方法は次の通りである。
(a)芳香族ポリカーボネート樹脂:
後述の製造例で得られた芳香族ポリカーボネート樹脂を使用した。
(b)安定剤−1:
旭電化工業社製「商品名:アデカスタブPEP−36」、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト
(c)安定剤−2:
旭電化工業社製「商品名:アデカスタブ2112」、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
(d)離型剤−1:
東レダウコーニングシリコーン社製「商品名:SH556」、ポリメチルフェニルシロキサン(分岐タイプ)(動粘度20cSt)
(e)離型剤−2:
理研ビタミン社製「商品名:リケマールS−100A」、グリセリンモノステアレート
(1)粘度平均分子量:
ウベローデ粘度計を使用し、塩化メチレン中20℃の極限粘度[η]を測定し、以下の式より求めた。
Figure 0005266639
(2)分子量分布(Mw/Mn):
先ず、標準ポリマーとしてポリスチレン(PS)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、平均分子量の測定を行った。測定条件は以下の表1に示す通りである。
Figure 0005266639
次いで、GPC測定後、ユニバーサルキャリブレーション法により溶出時間とポリカーボネート(PC)の分子量との関係を求めて検量線とした。PCの溶出曲線(クロマトグラム)を検量線の場合と同一の条件で測定し、溶出時間(分子量)とその溶出時間のピーク面積(分子数)とから各平均分子量を求めた。
数平均分子量および重量平均分子量は、分子量Miの分子数をNiとすると、以下のように表される。
Figure 0005266639
換算式としては以下の計算式を使用した。計算式中、MPCはPCの分子量、MPSはPSの分子量を示す。計算式は、以下の極限粘度[η]と分子量Mの関係を表したMark−Houwinkの式から求めたものである。ただし、K、αの値は、PSの場合、K:1.11×10−4,α:0.725、PCの場合、K:3.89×10−4,α:0.700の値を使用した。
Figure 0005266639
そして、ポリカーボネートの溶出曲線(クロマトグラム)を検量線の場合と同一の条件で測定し、溶出時間(分子量)とその溶出時間のピーク面積(分子数に比例)とから各平均分子量を求めた。
(3)低分子量体(分子量1000未満)含有率の測定法:
測定は前記のGPC法で行った。試料PC全体のピーク面積に対するPC換算分子量1,000未満の低分子量成分のピーク面積の割合を低分子量体(分子量1000未満)含有率とした。
(4)成形性:
金型固定側面に、プリズムが付与された短辺42mm/長辺58mmの鋼材から成る入れ子、及び、短辺57mm/長辺84mmの断熱部材から成る入れ子を使用し、厚み0.3mmの平板状の導光板を成形した。プリズムの形状は、ピッチ200μm、深さ8μmの金型によって付与した。金型入れ子の材質として、鋼材はSTAVAX、断熱部材はジルコニアセラミック上に100μm厚のNi−P層が形成されたものを使用した。射出成形機はソディックプラステック社製の「TR100EH」を使用し、金型温度120℃、シリンダー温度360℃の条件で成形した。
上記の所定の成形条件で成形を行った際の、充填性、金型付着物、得られた導光板の外観および強度については、以下の表2に示す基準にて評価した。
Figure 0005266639
(注1)1,000ショット後の金型表面の目視観察
(注2)連続成形時における製品およびスプルー、ランナーのクラックの有無
(5)平均厚み:
得られた導光板の平均厚みはマイクロメータを使用し、幅3水準、長さ3水準の合計9箇所の測定値を平均して求めた。
(6)平均輝度および輝度均整度:
暗室内において、導光板を凹凸パターン形成面が下面側となるように配置し、一短辺の端面側にLEDを4つ等間隔に配置してエッジ式の面光源体を構成し、凹凸パターン非形成面側の上方30cmの位置に輝度計(トプコン社製「トプコンBM−7」)を設置し、輝度を測定した。平均輝度は、幅3水準、長さ3水準の合計9箇所の測定値を平均して求めた。また、輝度均整度は、(輝度最小値/輝度最大値)×100(%)の式により算出した。尚、輝度の測定には、図3に示すような形状の導光板を使用し、光源は0.5mm厚み側に設置した。
製造例1(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
8%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液34リットルに、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(BPA)8.00Kg(35mol)とハイドロサルファイト50gを加えて溶解した。これにジクロロメタン11リットルを加え、アジター(島崎製作所製)を使用して反転速度180回/分で撹拌しながら、溶液温度を20℃に保ちつつ、ホスゲン4.0Kgを30分かけて吹き込んだ。
ホスゲンの吹き込み終了後、8%(w/w)の水酸化ナトリウム水溶液6リットル、ジクロロメタン14リットル及びp−tert−ブチルフェノール404g(2.7mol)を加え、反転速度を210回/分で激しく攪拌して乳化させた後、重合触媒として10mlのトリエチルアミンを加え約1時間重合させた。
重合液を水相と有機相に分離し、有機相をリン酸で中和し、洗液のpHが中性になるまで純水で水洗を繰り返した。この精製された芳香族ポリカーボネート樹脂溶液から有機溶媒を蒸発留去することにより芳香族ポリカーボネート樹脂粉末を得た。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):14,000、Mw/Mn:2.4、低分子量体(分子量1000未満)含有率:1.8%であった(以下PC−1と称す)。
製造例2(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
以下のような条件にした竪型攪拌反応器4基および横型攪拌反応器1基を有する連続製造装置を使用し、溶融法にて芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。
(第1竪型攪拌反応器):140℃、常圧
(第2竪型攪拌反応器):220℃、13.3kPa
(第3竪型攪拌反応器):240℃、2kPa
(第4竪型攪拌反応器):255℃、93Pa
(第5横型攪拌反応器):255℃、93Pa
先ず、原料調製工程にて、窒素ガス雰囲気下、ビスフェノールA(BPA)とジフェニルカーボネート(DPC)とを、一定のモル比(DPC/BPA=1.15)で混合し、140℃に加熱して、原料混合溶融液を得た。
続いて、原料混合溶融液を、140℃に加熱した原料導入管を介して、第1竪型撹拌反応器内に連続供給し、平均滞留時間が60分になるように、槽底部のポリマー排出ラインに設けたバルブの開度を制御しつつ、液面レベルを一定に保った。また、原料混合溶融液の供給開始と同時に、第1竪型撹拌反応器内に触媒導入管から触媒として炭酸セシウム水溶液を、ビスフェノールA1モルに対し、0.35μモルの割合で連続供給した。
第1竪型撹拌反応器の槽底から排出された重合反応液は、引き続き、第2竪型攪拌反応器、第3竪型攪拌反応器、第4竪型攪拌反応器、第5横型攪拌反応器に、逐次、連続供給された。
重合反応の間、各反応器の平均滞留時間が60分になるように液面レベルを制御し、また、重合反応と同時に副生するフェノールの留去を行った。芳香族ポリカーボネート樹脂の製造レートは50kg/Hrである。こうして得られた芳香族ポリカーボネート樹脂は、粘度平均分子量:14,000、Mw/Mn:2.3、低分子量体(分子量1000未満)含有率:1.8%であった(以下PC−2と称す)。
製造例3(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
製造例1において、ジクロロメタン11リットルを添加する際に併せてp−tert−ブチルフェノール404g(2.7mol)を加え、ホスゲンの吹き込み終了後にp−tert−ブチルフェノールを添加しなかった以外は、製造例1と同様に操作して芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):14,000、Mw/Mn:2.9、低分子量体(分子量1000未満)含有率:2.6%であった(以下PC−3と称す)。
製造例4(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
製造例1において、p−tert−ブチルフェノールの添加量を449g(3.0mol)に変更した以外は、製造例1と同様に操作して芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):12,000、Mw/Mn:2.4、低分子量体(分子量1000未満)含有率:1.9%であった(以下PC−4と称す)。
製造例5(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
製造例1において、p−tert−ブチルフェノールの添加量を329g(2.2mol)に変更した以外は、製造例1と同様に操作して芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):16,500、Mw/Mn:2.2、低分子量体(分子量1000未満)含有率:1.4%であった(以下PC−5と称す)。
製造例6(芳香族ポリカーボネート樹脂の製造):
製造例1において、ジクロロメタン11リットルを添加する際に併せてp−tert−ブチルフェノール202g(1.35mol)を加え、ホスゲンの吹き込み終了後のp−tert−ブチルフェノールの添加量を202g(1.35mol)に変更した以外は、製造例1と同様に操作して芳香族ポリカーボネート樹脂を製造した。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):14,000、Mw/Mn:2.6、低分子量体(分子量1000未満)含有率:2.2%であった(以下PC−6と称す)。
製造例7:
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品の芳香族ポリカーボネート樹脂「ユーピロンH−4000」88重量部と同社製品の芳香族ポリカーボネートオリゴマー「AL−071」12重量部を十分に混合し芳香族ポリカーボネート樹脂粉末を得た。粘度測定およびGPC分析の結果、粘度平均分子量(Mv):14,000、Mw/Mn:3.1、低分子量体(分子量1000未満)含有率:3.0%であった(以下PC−7と称す)。
実施例1〜5及び比較例1〜5:
表3及び4に示す割合で各原料をブレンドした後、スクリュー径40mmのベント付単軸押出機(田辺プラスチックス機械社製「VS−40」)により、シリンダー温度240℃で溶融混練し、ストランドカットによりペレットを作成した。更に、得られたペレットを120℃で5〜7時間、熱風循環式乾燥機により乾燥した後、前記の成形条件と表3及び4の射出速度条件で評価用導光板成形品を作製した。成形品評価結果を表3及び4に示す。
Figure 0005266639
Figure 0005266639
表3及び4より次のことが分かる。
(1)芳香族ポリカーボネート樹脂の製造法:
芳香族ポリカーボネート樹脂は、ホスゲン法、溶融法のどちらの製造方法で得られたものを使用しても、本発明の導光板に適した材料である(実施例1〜5)。
(2)芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量分布:
芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が本発明の条件を満たしていても、分子量分布が2.7を超えると、キャビティ内に樹脂が充填されるものの、金型付着物が多く、得られた成形品の外観が悪く、輝度も低い(比較例1及び2)。
(3)芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量:
芳香族ポリカーボネート樹脂の分子量分布が本発明の条件を満たしていても、粘度平均分子量が13,000未満では製品強度が低く割れが発生し(比較例3)、粘度平均分子量が15,000を超えると溶融粘度が高くなり、断熱金型を使用してもキャビティ内に樹脂を完全に充填できない(比較例4)。粘度平均分子量が本発明の範囲外の芳香族ポリカーボネート樹脂に芳香族ポリカーボネートオリゴマーを添加して、芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が本発明の範囲内とした芳香族ポリカーボネート樹脂を使用した場合は、分子量分布が本発明の範囲を外れ、低分子量重合体の量も本発明の好ましい範囲を外れ、その結果、金型付着物が多く、外観が悪い(比較例5)。
(4)低分子量芳香族ポリカーボネート重合体(分子量1000未満)の含有量:
実施例1〜4と実施例5を比較すると、低分子量体が2重量%を超える量含有していると、金型付着物が若干増え、外観(焼け)も低下する。
以上のように、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物は、強度、転写性、光線透過率、熱安定性、成形性に優れているため、従来にない厚みの薄型導光板とそれを使用した面光源体の提供が可能となる。そのため本発明の工業的価値は顕著である。
バックライト方式の面光源体の概念図 フロントライト方式の面光源体の概念図 実施例に使用した輝度測定用導光板の概念図
符号の説明
1 導光板
2 光源
3 液晶表示素子
4 反射部材
5 拡散シート
6 位相差フィルム(又は偏光フィルム)

Claims (8)

  1. 粘度平均分子量が13,000〜15,000で且つゲルパーミエションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比Mw/Mnが1.5〜2.7である芳香族ポリカーボネート樹脂に安定剤および離型剤を配合して成る芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を成形して成る導光板であって、しかも、長手方向の長さが40〜90mmであり、導光板の最低8割を占める領域の厚さが0.44mm以下であり、導光板の厚さの下限が0.10mmであることを特徴とする導光板。
  2. 芳香族ポリカーボネート樹脂中の、分子量が1000未満である低分子量芳香族ポリカーボネート重合体の割合が2重量%以下である請求項1に記載の導光板。
  3. 芳香族ポリカーボネート樹脂が、界面法で製造されてなる芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1又は2に記載の導光板。
  4. 安定剤が以下の一般式(I)で表される亜リン酸エステルである請求項1〜3の何れかに記載の導光板。
    Figure 0005266639
    (式(I)中、Rは、アリール基またはアルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  5. 芳香族ポリカーボネート樹脂が、エステル交換法で製造されてなる芳香族ポリカーボネート樹脂であって、安定剤が以下の一般式(II)で表される亜リン酸エステルである、請求項1又は2に記載の導光板。
    Figure 0005266639
    (式(II)中、R〜Rは、水素原子、アリール基または炭素数1〜20アルキル基であり、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  6. 成形が射出成形法によって行われる請求項1〜5の何れかに記載の導光板。
  7. 射出成形がジルコニアセラミックス製の入れ子を金型内部に設置した断熱金型を使用して行われる請求項に記載の導光板。
  8. 射出成形が、シリンダー温度280℃以上、樹脂射出速度300mm/sec以上の条件下に行われる請求項6又は7に記載の導光板。
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