JP5266547B2 - 繊維製品処理用物品 - Google Patents
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Description
これら乾燥機を用いて乾燥する際、衣類等に柔軟性や帯電防止機能等を付与するために一般に柔軟剤シートが使用されている。例えば特許文献1には、エステル基を含むジ長鎖カチオンとモノ長鎖カチオンとを特定比で含み、更に特定量のソルビタン脂肪酸エステルと脂肪酸とを特定比で含む柔軟剤組成物を不織布、スポンジ等の基体に担持させた繊維製品処理用物品が開示されている。特許文献2には、分子内に炭素数11〜22の炭化水素基を2〜3個と-COO-基及び/又は-CONH-基を有するアミン化合物又はその無機酸若しくは炭素数6以下の有機酸の中和物を、紙又は不織布からなるシート状成型物に担持せしめてなる衣料処理用製品が開示されている。特許文献3には、水溶性ポリマー中に埋封される蝋物質と芳香性の乳化性混合物から作られる粒子を包含する繊維コンディショニング用芳香性マイクロカプセルが開示されている。
(B)(b−1)芯物質が香料組成物であり、(b−2)壁物質が水不溶性高分子物質であるマイクロカプセルとを、
(C)ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む不織布に担持させたことを特徴とする繊維製品処理用物品を提供する。
本発明の(A)成分は、一般的に繊維製品の柔軟処理に使用されている化合物であり、アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数8〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有する3級アミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれる1種以上である。
該脂肪酸アミドアルキル3級アミンの具体例としては、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩などが挙げられる。中でも、それ自体の臭気が低く良好なことから、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミドが好ましく、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドがより好ましい。パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミドとステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミドとの混合物が最も好ましい。
なお、上記の「脂肪酸アミドアルキル3級アミン又はその塩」は、例えば、脂肪酸あるいは脂肪酸低級アルキルエステル、動・植物性油脂等の脂肪酸誘導体と、ジアルキルアミノアルキルアミンとを縮合反応させ、その後、未反応のジアルキルアミノアルキルアミンを、減圧または窒素ブローにて留去することにより得られる。
ここで、脂肪酸又は脂肪酸誘導体としては、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸、牛脂脂肪酸、パーム核油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸等、またはこれらのメチルエステル、エチルエステル、グリセライド等が具体的に挙げられる。中でも、繊維製品への吸着性能に優れることから、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸が好ましい。これら脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
[(b−1):芯物質]
本発明において使用可能な芯物質としては、水不溶性高分子化合物を壁とするマイクロカプセルに封入できる香料組成物であれば特に制限無く目的に応じて適宜選択することができる。例えば、繊維製品用仕上げ剤や柔軟剤に一般的に使用される香料成分や、人体に対する生理活性機能を持つ香料成分、蚊などの虫に対する忌避効果のある香料成分などが挙げられる。
前記香料成分の具体例としては、例えば、アルデヒド類、フェノール類、アルコール類、エーテル類、エステル類、ハイドロカーボン類、ケトン類、ラクトン類、ムスク類、テルペン骨格を有する香料、天然香料、動物性香料などが挙げられる。
前記アルデヒド類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウンデシレンアルデヒド、ラウリルアルデヒド、アルデヒドC−12MNA、ミラックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、シクラメンアルデヒド、エチルバニリン、ヘリオトロピン、アニスアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、オクタナール、リグストラール、リリアール、リラール、トリプラール、バニリン、ヘリオナールなどが挙げられる。
前記フェノール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オイゲノール、イソオイゲノールなどが挙げられる。
前記アルコール類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、バクダノール、ジハイドロミルセノール、ジハイドロリナロール、リナロール、ネロール、サンダロール、サンタレックス、ターピネオール、テトラハイドロリナロール、フェニルエチルアルコールなどが挙げられる。
前記エーテル類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、セドランバー、グリサルバ、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノールなどが挙げられる。
前記ハイドロカーボン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミルセンなどが挙げられる。
前記ケトン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、α−イオノン、β−イオノン、メチル−β−ナフチルケトン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、シス−ジャスモン、メチルイオノン、アリルイオノン、カシュメラン、ジハイドロジャスモン、イソイースーパー、ベルトフィックス、イソロンジフォラノン、コアボン、ローズフェノン、ラズベリーケトン、ダイナスコンなどが挙げられる。
前記ムスク類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シクロペンタデカノライド、エチレンブラシレート、ガラキソライド、ムスクケトン、トナリッド、ニトロムスク類などが挙げられる。
前記テルペン骨格を有する香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲラニオール(ゼラニオール)、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、ミント、シトロネラール、ミルセン、ピネン、リモネン、テレピネロール、カルボン、ヨノン、カンファー(樟脳)、ボルネオールなどが挙げられる。
前記天然香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オレンジ油、レモン油、ライム油、プチグレン油、ユズ油、ネロリ油、ベルガモット油、ラベンダー油、ラバンジン油、アビエス油、アニス油、ベイ油、ボアドローズ油、イランイラン油、シトロネラ油、ゼラニウム油、ペパーミント油、ハッカ油、スペアミント油、ユーカリ油、レモングラス油、パチュリ油、ジャスミン油、ローズ油、シダー油、ベチバー油、ガルバナム油、オークモス油、パイン油、樟脳油、白檀油、芳樟油、テレピン油、クローブ油、クローブリーフ油、カシア油、ナツメッグ油、カナンガ油、タイム油などの精油が挙げられる。
前記動物性香料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、じゃ香、霊猫香、海狸香、竜涎香などが挙げられる。
具体的な香料組成物としては、以下のものが例示できる。
これら溶剤は、香料組成物中に好ましくは0〜20質量%、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%配合される。
(b-1)成分は、マイクロカプセル全量に対して、40〜95%が好ましく、50〜90%がより好ましい。配合量が多すぎるとマイクロカプセルの形成が困難となる場合があり、逆に少なすぎると適度な香り強度が得られない。
本発明に用いられる(b−2)壁物質は、水不溶性の高分子物質であり、前記芯物質を安定にマイクロカプセル化することができる。本発明において、「水不溶性」とは、25℃の水100gへの溶解度が1g未満である場合をいう。本発明で用いる高分子物質は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより、乾燥後の香りの強さを向上させることが可能となる。
水不溶性の高分子物質の具体例としては、ウレタン系、メラミン系、ポリビニル系、ポリアクリル酸系、ポリメタクリル酸系等の合成高分子物質等の油性膜形成物質などを挙げることができる。これらの1種を単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。それらの内から、本発明の目的に合致した最適な壁物質は、製造性、適度なカプセル壁の強度、コスト等を考慮して選択される。
ウレタン系高分子は、多官能性イソシアネート化合物とポリオールもしくはポリアミン化合物との縮合反応により得られる。多官能性イソシアネート化合物としては、ポリフェニルイソシアネート、トルエンジイソシアネート、等があげられる。ポリオール化合物としては、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。ポリアミン化合物としては、ヘキサメチレンジアミン、等があげられる。ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミン、トルエンジイソシアネートとジエチレングリコールの組合せが好適に用いることができる。
メラミン系高分子は、メラミンとホルムアルデヒドから誘導されるメチロールメラミンからなるプレポリマーを加熱硬化して得られる。
ポリアクリル酸系高分子を構成するモノマーとしては、アクリル酸、もしくはその低級アルキル(C1-4)エステル等があげられる。
ポリビニル系高分子を構成するモノマーとしては、エチレン、無水マレイン酸、スチレン、ジビニルベンゼン等があげられる。
ポリメタクリル酸系高分子を構成するモノマーとしては、メタアクリル酸、もしくはその低級アルキル(C1-4)エステル等があげられる。
本発明で用いられる壁物質としては、ポリウレタン系高分子物質及びメラミン樹脂が好ましく、ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミンとから誘導されるポリウレタン系高分子物質及びメラミン樹脂がより好ましい。
壁物質としてウレタン系高分子を使用する場合、界面重合法が好ましい。具体的には、一方の容器に適宜濃度の乳化剤水溶液を調製しておき、別の容器に(b−1)香料組成物とポリイソシアネート化合物を投入する。次いで、前記2種類の溶液を高速撹拌機に充填した後、高速撹拌してO/Wエマルジョンを調製し、次いで適宜濃度のポリアミン水溶液を入れて、常温で所定時間撹拌、反応させてカプセル壁を硬化し、マイクロカプセルを調製することができる。
壁物質としてメラミン系高分子を使用する場合、in−situ重合法が好ましい。壁物質を芯物質の外側から形成させる方法が好適である。例えば、撹拌機を備えた容器にて必要に応じて乳化剤を溶解した適宜濃度の水溶液に、(b−1)香料組成物を分散濃度が10〜40質量%になるように60〜80℃で分散させた後、撹拌によって芯物質が所定の粒径となるようにコントロールする。これとは別に、例えばメラミンとホルムアルデヒドとを質量比が3/1〜6/1となるように混合した後、60〜80℃で5〜20分間縮重合させて水溶性のプレポリマーを調製し、このプレポリマーを上記芯物質の分散液に投入する。次いで、クエン酸、硫酸、塩酸等の酸によりpHを2〜5に調製した後、60〜80℃で3〜6時間重合させることによってマイクロカプセルを調製することができる。
本発明で用いる(B)成分のマイクロカプセルの担持量は、(C)不織布の面積を基準として、好ましくは、0.003〜3g/m2、より好ましくは0.003〜2.5g/m2、更に好ましくは、0.015〜1.25g/m2である。0.003g/m2より少ないと香気の強さ持続性が乏しくなり、1.25g/m2より多くなると経済的に好ましくない。
(A)成分及び(B)成分を担持させる支持体(C)としては、材料自身の内部に上記成分を保持しうる空間を有する不織布が用いられる。
本発明で用いる不織布を構成する繊維としては、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、これらの混合物、内側がポリエチレン又はポリプロピレンの一方であって、外側が他方である複合ポリオレフィン繊維があげられる。ポリエチレン繊維とポリプロピレン繊維との混合物である場合、又はポリエチレンとポリプロピレンとの複合繊維である場合、両者の比は、ポリエチレン:ポリプロピレン=30:70〜70:30(質量比)であるのが好ましく、40:60〜60:40であるのがより好ましい。
本発明で用いる不織布は、ポリエチレン繊維及び/又はポリプロピレン繊維に加え、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリプロピレン繊維などの疎水性繊維を含んでいても良い。本発明の不織布が他の疎水性繊維を含んでいる場合、繊維間の接着強度を保持する必要上、ポリエチレン繊維及び/又はポリプロピレン繊維の量を、不織布を構成する繊維の全量に対して30質量%以上とするのが好ましい。複合ポリオレフィン繊維を用いる場合、繊維間の接着強度を保持する必要上、その量を50質量%以上とするのが適当である。
本発明で用いる不織布を構成する繊維としては、内側がポリプロピレンであり、外側がポリエチレンである複合ポリオレフィン繊維が好ましい。このような繊維としてはチッソ(株)のES繊維などとして容易に入手可能である。
上記繊維の太さは特に制限されないが、乾燥時の不織布の毛羽付着抑制の観点から、1〜10デニールのものを用いるのが好適である。
本発明で用いる不織布は、定法に従い、上記繊維を、合成樹脂を用いたり、機械的に絡み合わせて接合することにより製造することができる。なお、高融点成分であるポリプロピレンを芯とし、その外側に低融点成分であるポリエチレンをコーテイングした構造の繊維から製造される不織布は、繊維間の接着が構成繊維の熱融着によってなされる、いわゆるノーバインダー不織布といわれている。
本発明で用いる不織布に含まれる繊維の配列は網状、あぜ織状、あぜ織状でかつ繊維の配向がランダム状であるもの等、種々の配合があっても良い。
本発明の繊維製品処理用物品は、更に(D)酸化防止剤を含んでいても良い。本発明において用いることのできる酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤を使用できる。具体的には、ジブチルヒドロキシトルエン(例えばシェルケミカルズジャパンから購入できるアイノール);メトキシフェノール(例えば川口化学工業(株)から購入できるMQ−F);トリエチレングリコール−ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](例えばチバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックスシリーズ;ビスフェノール系化合物、例えば2,2-メチレンビス(4-エチル-6-tert.-ブチルフェノール(例えば川口化学工業(株)から購入できるアンテージシリーズ);アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピル、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、クエン酸、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物;没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル;クエン酸イソプロピル、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。ビスフェノール系化合物からなる群から選ばれる酸化防止剤が好ましい。p-メトキシフェノール、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、及び2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)からなる群から選ばれる酸化防止剤がより好ましい。
(D)酸化防止剤の担持量は、(C)不織布の面積を基準として、好ましくは0.03〜3g/m2、より好ましくは0.15g/m2を超え、1.5g/m2以下の範囲である。この範囲にあると乾燥機で乾燥中の皮脂臭の発生を抑制し、香料の香り強度を高めることが可能である。担持量が少ないと皮脂臭の発生を抑制できず、酸化防止剤の担持量がこの範囲より少ないと効果が実感できず、この範囲より多くなると、繊維製品が黄変する恐れがある。
<材料>
実施例及び比較例の繊維製品処理用物品を製造するのに用いた成分を以下に示す。
*1:4級アンモニウム塩組成物の調製
−アルカノールアミンエステルの合成−
パーム油由来のステアリン酸メチル45質量%とオレイン酸メチル35質量%とパルミチン酸メチル20質量%とを含む脂肪酸低級アルキルエステルの混合物(ライオン株式会社、パステルM180、パステルM181、パステルM16の混合物)785g(2.68モル)、トリエタノールアミン250g(1.68モル)、酸化マグネシウム0.52g、及び、14%水酸化ナトリウム水溶液3.71g(エステル交換触媒;モル比(ナトリウム化合物/マグネシウム化合物)=1.01/1、前記脂肪酸低級アルキルエステル及びトリエタノールアミンの総質量に対する触媒使用量:0.10質量%)を、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計、及び、窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに仕込んだ。窒素置換を行った後、窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
得られたアルカノールアミンエステル(分子量582)300g(0.515モル)を、温度計、滴下ロート及び冷却器を備えた1Lの4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、60℃に加熱し、ジメチル硫酸63.7g(0.505モル)を1時間かけて滴下した。反応熱による急激な温度上昇が無いように少しずつ温度を調節し、ジメチル硫酸滴下終了時点で、ジメチル硫酸滴下終了時点で、90℃に到達させた。そのまま90℃に保ち1.5時間攪拌した。反応終了後、約69gのエタノールを滴下しながら冷却し、エタノール溶液を調製し、カチオン性界面活性剤を得た。すべての操作は窒素微量流通下で行った。
該4級アンモニウム塩300gに対して53gの未変性エタノール(日本エタノール(株))を加え、固形分が85質量%のエタノール溶液とした。
(B−1)
300mL容ビーカーに、イオン交換水200gと、乳化剤としてポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(商品名「ポリティPS−1900」、ライオン製)5gとを入れ、該ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩を溶解させた。
100mL容ビーカーに、表2に示す香料組成物(b−1)55gと、壁物質を構成する材料としてポリフェニルイソシアネート(商品名「PAPI−135」、Dow Chemical製)8gとを入れ、両者を混合した。
500mL容ビーカーに、前記の二種類の溶液を入れ、ホモミキサーを用い、3000rpmの速度で5分間攪拌し、O/Wエマルジョンを生成させた。そこへ、壁物質を構成する材料として40wt%のヘキサメチレンジアミン水溶液75gを入れ、常温において400rpmで2時間攪拌して界面重合反応させ、ウレタン系高分子の壁を有するアニオン性マイクロカプセル(B−1)の水性分散液を得た。
このようにして調製したマイクロカプセルの平均粒子径を、島津レーザ回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)で測定した結果、約5μmであった。得られたアニオン性マイクロカプセル(B−1)中の香料組成物(b−1)の含有率は約59%であった。
乳化剤として、エチレン−無水マレイン酸共重合体(商品名「A-C573A」、「A-C573P」、いずれもハネウェル社製)のナトリウム塩、及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩(商品名「ポリティPS−1900」、ライオン製)をそれぞれ5%含有する水溶液300gに、表2に示す香料組成物(b−1)を150gを加え、ホモミキサーを用い、2,500rpmの速度で5分間攪拌してO/Wエマルジョンを調製した。
別途、メラミン30gと、35%のホルムアルデヒド水溶液100gと、水350gとを含む溶液を調製し、これに少量の水酸化ナトリウムを加えてpHを約9に調節した。これを80℃で30分間攪拌し、メチロールメラミン水溶液を得た。
得られたメチロールメラミン水溶液を前記O/Wエマルジョンに添加して70℃で約2時間攪拌してin−situ重合反応させ、メラミン系高分子のカプセル壁を有するアニオン性マイクロカプセル(B−2)の水性分散液を得た。
(B−1)と同様にしてマイクロカプセルの平均粒子径を測定した結果、それぞれ約4μmであった。得られたアニオン性マイクロカプセル(B−2)中の香料組成物(b−1)の含有率は約67%であった。
乳化剤として、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム塩の代わりにポリビニルアルコール(商品名「ゴーセノールGL05」、日本合成化学製)を5g用い、香料組成物として、表2に示す香料組成物(b−1)を用い(B−1)と同様にして、非イオン性マイクロカプセル(B−3)の水性分散液 約340gを得た。
(B-1)と同様にしてマイクロカプセルの平均粒子径を測定した結果、それぞれ約5μmであった。得られた非イオン性マイクロカプセル(B−3)中の香料組成物(b−1)の含有率は約59%であった。
*1:合成方法
イソトリデシルアルコール(商品名「ルテンゾールTO3」、BASF社製)115gと、触媒として40%KOH 1.25gとを耐圧製反応容器に仕込み、常法により容器内を窒素置換した。触媒中を100℃、2.4〜2.7kpaで30分脱水してから温度を140℃まで昇温した。撹拌しながら0.25MPa以下でエチレンオキシド867.8gを付加反応させ、付加反応終了後、圧力が平衡になるまで熟成した。次に、温度60℃以下まで冷却し、精製水249gを添加後、80%酢酸を0.37gとエチレンジアミン4酢酸 2ナトリウム(色調安定化のためのキレート剤)0.01gを添加し、30分間分散させた。
*2:担持量は有り姿での量を記載。値は、(C)不織布の面積を基準とする。
上に示した(A)成分と、(D)成分と、共通成分とを一緒に加熱溶融し、これら成分を混合した。これら成分の量は表5に示した。
23×28cmに裁断した(C)不織布をこの溶液に浸漬した後、絞りローラーを用いて絞り、不織布に含まれる前記混合物の量が2gになるようにした。その後、上で調製した(B)成分の分散液を水に溶解させて10%水溶液とし、前記不織布に所定量均一に所定量付着するように均一に、2mlのポリスポイトで滴下し、乾燥して繊維製品用処理物品を得た。表5中の数字は、(C)不織布の面積を基準とする質量g/m2を表す。
なお、(C)不織布としては、繊維太さが3dと6dの2種のポリエチレンとポリプロピレンの複合繊維、商品名「ES繊維」、チッソ(株)製)を、50/50(重量比)で十分に混合した不織布シート(坪量20(g/m2))を用いた。
上で得られた繊維製品用処理物品の香りの強さを以下のようにして評価した。
<評価布の前処理>
市販の綿タオル(綿100%、(株)東進製)15枚を、市販衣料用洗剤(商品名「トップ」、ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)により、家庭用二槽式洗濯機を用い、洗濯15分(洗剤は標準量使用、浴比30倍、45℃水道水)→脱水5分の行程を2サイクル繰り返した後、流水すすぎ15分→脱水5分の行程を5回繰り返し、自然乾燥したものを試験布とした。この処理を繰り返し行い、処理に用いるタオルを作成した。
<処理方法>
上で前処理したタオル20枚を用い、市販衣料用洗剤(商品名「トップ」、ライオン製)20gを用い、洗濯した。洗濯は家庭用全自動洗濯機(MAN−V8TP、三菱電機(株)製)を用い、標準コース、水量28Lで行った。その後、綿メリヤス(綿100%、谷頭商店より購入)30×30cmに10%オレイン酸のエタノール水溶液(エタノール/水溶液=50/50)を2%o.w.f.塗布した布を3枚と、実施例及び比較例の繊維製品用処理物品とを投入し、家庭用乾燥機(松下電器 NH−D45A)を使用し、50〜80℃で1時間乾燥した。
■香り強さ
乾燥終了直後に乾燥機の扉を開けた瞬間の香りの強さを、6段階臭気強度表示法に基づき20代〜40代のパネル20名が評価した。
0:無臭
1:やっと検知できる程度の香り
2:何の香りか分かる程度の香り
3:楽に感知できる香り
4:強い香り
5:強烈な香り
平均点が、3.0点以上を合格とした。
上で繊維製品処理用物品で処理した20枚のタオルの柔軟性を、未処理又は液体柔軟剤で処理した基準布の柔軟性と比較することにより専門パネラーが評価した。パネラーは全部で5名であり、各自20枚のタオルを評価した。
基準布は、市販の綿タオル(綿100%、(株)東進製)3枚を、市販衣料用洗剤(商品名「トップ」、ライオン(株)製)により、家庭用二槽式洗濯機(松下電器 NA−35)を用い、洗濯8分(洗剤は綿タオル1.5kgに対して20gの割合で使用、浴比30倍、45℃水道水)→脱水3分→すすぎ3分→脱水1分→柔軟処理3分→脱水1分した後、乾燥機(松下電器 NH−D45A、標準コース)を用い、50〜80℃で1時間乾燥したものを用いた。
柔軟処理は、脱水後、2回目のすすぎ用の水を溜めた洗濯槽に、市販柔軟剤(商品名「香りとデオドラントのソフラン フローラルアロマの香り」、ライオン製)を添加し、3分間撹拌することにより行った。柔軟剤は、綿タオル1.5kgに対して10mLを標準使用量とし、その0.5倍量及び1.5倍量を添加した。
評価基準
0点:柔軟剤なし
1点:0.5倍量
2点:標準使用量
3点:1.5倍量
平均値が、2点以上を合格とした。
乾燥終了直後に乾燥機の扉を開けた瞬間の皮脂臭の強さを、6段階臭気強度表示法に基づき20代〜40代のパネル20名が評価した。
0:無臭
1:やっと検知できる程度の臭い
2:何の臭いか分かる程度の臭い
3:楽に感知できる臭い
4:強い臭い
5:強烈な臭い
平均点が、3.0点以下を合格とした。
<処理方法>
上で前処理したタオル20枚を用い、市販衣料用洗剤(商品名「トップ」、ライオン製)20gを用い、洗濯した。洗濯は家庭用全自動洗濯機(MAN−V8TP、三菱電機(株)製)を用い、標準コース、水量28Lで行った。その後、綿メリヤス(綿100%、谷頭商店より購入)30×30cmに10%オレイン酸のエタノール水溶液(エタノール/水溶液=50/50)を2%o.w.f.塗布した布を3枚と、実施例及び比較例の繊維製品用処理物品とを投入し、家庭用乾燥機(松下電器 NH−D45A)を使用し、50〜80℃で1時間乾燥した。この工程(洗浄〜乾燥)を繰り返し10回行い、20枚のタオルの着色を、未処理布との色差(Δb値;黄変度)を比較することにより評価した。タオル20枚のΔb値の平均値を求め、1.3以下を合格とした。
Claims (4)
- (A)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数8〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれる1種以上を加熱して液状とし、
得られた液状の(A)成分に、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む不織布を浸し、
次いで、前記不織布に、(B)(b−1)芯物質が香料組成物であり、(b−2)壁物質が水不溶性高分子物質であって、ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミンとから誘導されるウレタン系高分子物質であるか又はメラミン樹脂であるマイクロカプセルを適用することにより製造される、繊維製品処理用物品。 - 不織布の面積を基準として(A)成分を3〜18g/m 2 、(B)成分を0.015〜1.25g/m 2 の量で担持させたことを特徴とする請求項1記載の繊維製品処理用物品。
- さらに、(D)酸化防止剤を含む請求項1又は2記載の繊維製品処理用物品。
- (I)(A)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていても良い炭素数8〜24の炭化水素基を分子内に1個以上含有するアミン化合物、その中和物及びその4級化物からなる群から選ばれる1種以上を加熱して液状とする工程、
(II)工程(I)で得られた液状の(A)成分に、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンを含む不織布を浸す工程、
(III)工程(II)で得られた不織布に、(B)(b−1)芯物質が香料組成物であり、(b−2)壁物質が水不溶性高分子物質であって、ポリフェニルイソシアネートとヘキサメチレンジアミンとから誘導されるウレタン系高分子物質であるか又はメラミン樹脂であるマイクロカプセルを適用する工程、
を含む、繊維製品処理用物品の製造方法。
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