JP5197974B2 - 繊維の残香性付与剤 - Google Patents

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Description

本発明は、繊維の残香性付与剤、残香性繊維及びその製造方法、並びに香料含有繊維及び繊維の賦香方法に関する。
従来、繊維に香料を付与する方法については種々検討されている。例えば、特許文献1には、香料を吸着した無機系多孔質粉体及びシリコーン系化合物を含有する処理液を繊維構造物に付与した後、乾燥・熱処理する耐久性香気処理方法が開示されている。特許文献2には、無機アルコキシド、エポキシ基を有するシランカップリング剤及び香料からゾルーゲル法により調製したゾル中に中空糸繊維素材を減圧下に保持することにより、香料をカプセル化及び/又は包接化した多孔性ポリマーが中空糸繊維素材の中空部分に充填された徐放性繊維素材が開示されている。また、特許文献3には香料をマイクロカプセル化してバインダーと混ぜ、それを繊維に接着させる方法が開示されている。更には、香料を繊維ポリマー中にいれて混合紡糸する方法、香料を接着剤や樹脂バインダーと共に付与する方法等が開示されている。
一方、香料は、あらゆるハウスホールド製品、パーソナルケア商品に賦香されており、香りによって、使用した満足感や効果感を助長し、快適な生活を送る上で重要な部分を担っている。特に近年、衣料用洗剤や柔軟仕上げ剤においては、豊かな香りを長時間持続する製品を望むユーザーが増えている。特許文献4、5には、洗剤、柔軟剤組成物に配合される香料組成物について、沸点が250℃以上、logPが3以上といった香料を選択することにより残香性を向上することができたと記載されている。
また近年、香りに対する関心の高まりによって、購入時にすでに繊維に香りがついている商品が多く発売されており、例として、香りつきパンティーストッキングやタオルなどが市販されているが、香りの持続性は不十分である。
特開平1−246478号公報 特開平6−158552号公報 特開平5−51870号公報 特表平10−507789号公報 特表平10−507793号公報
特許文献1の方法では、繊維に付着した香料の徐放性、持続性及び洗濯耐久性等の特性が充分ではなく、また、流通過程で移香してしまうといった欠点がある。特許文献2の方法では、乾燥又は低温熱処理だけでは樹脂バインダーの接着性が悪く洗濯耐久性が劣る。また、乾燥後に高温にて加熱固着を行うと、接着性は向上するが、高温による香料の変質や香料の気化によるマイクロカプセルの破壊が起こったり、樹脂が浸透したりするためには風合いが硬くなるという欠点がある。更には、香料を内包したマイクロカプセルは、そのままの状態では香りを放つことはできず、物理的な力によりカプセルが破壊された時にのみ香りを放つ。従って、一度カプセルが破壊されると、一度に香料が放出されるため徐放性に欠ける。特許文献3の方法では、加工工程で高温状態に置かれた際、香料が変質してしまう欠点がある。また、上記の何れの方法に於いても、香料と徐放担体を共に処理する方法であるため、通常の洗濯のような一般性に欠けるなどの問題がある。
一方、特許文献4、5の方法では、沸点が250℃以上、logP値が3以上の特定香料を配合した洗剤や柔軟剤組成物を洗濯時に用いても、乾燥した衣類への残香は充分とはいえない。その上、これらの物性を有する香料を調合香料中に多く処方することによって、フレッシュ感や清潔感に乏しくなってしまい、その結果、嗜好性と残香性の両立は困難になってしまう。また、従来、洗剤や柔軟仕上げ剤に含まれる香料の大部分は排水として流れてしまい、大変非効率であり、経済性にも欠けるという問題があった。
本発明の課題は、繊維に香料を吸着させることができ、更に吸着した香料の徐放性、持続性及び洗濯耐久性に優れる繊維の残香性付与剤、並びに残香性繊維、香料含有繊維及び繊維の賦香方法を提供することにある。なお、ここで洗濯耐久性とは、繊維を繰り返し洗濯した場合においても、香料の匂い強度の低下が著しくないことを意味する。
本発明は、オルガノシリコネート及び水を含有する繊維の残香性付与剤、並びにシラノール基を含有するポリオルガノシロキサン架橋体を含む残香性繊維及びその製造方法を提供する。
また、本発明は上記残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を接触させて得られる、香料含有繊維、並びに上記残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を含有した水溶液を接触させる、繊維の賦香方法を提供する。
本発明により、香料の徐放性、持続性及び洗濯耐久性に優れた残香性付与剤及び残香性繊維を提供することができる。特に、水溶性の高い香料の残香性に優れる残香性付与剤及び残香性繊維を提供することができ、例えば洗濯において水と共に洗い流されてしまう香料の吸着性に優れ、かつ、これを徐々に放出することができる残香性繊維、並びに香料含有繊維及び繊維の賦香方法を提供することができる。
[繊維の残香性付与剤]
本発明の繊維の残香性付与剤は、オルガノシリコネート及び水を含有する。
本発明において、オルガノシリコネートとは、珪素原子上に少なくとも1個の炭化水素基と少なくとも1個のシリコネート基[−SiO-+(式中、M+は1価の陽イオンを形成しうる基を示す)]を有する有機珪酸塩化合物を指す。
オルガノシリコネートは、部分縮合生成物(二量体、三量体、四量体、等)であってもよいが、共重合のし易さ、及び洗濯耐久性の観点から四量体以下が好ましく、二量体以下が更に好ましく、単量体が最も好ましい。
オルガノシリコネートとしては、下記一般式(1)で表されるオルガノシリコネートが好ましい。
1 p-Si(O-+)q(OH)4-p-q (1)
〔式中、R1は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はフェニル基を示し、M+は1価の陽イオンを形成しうる基を示し、pは1又は2の整数を示し、qは0.1〜(4−p)の範囲の数を示す。〕
1としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基等のアルキル基やフェニル基が好ましく挙げられる。繊維の残香性を向上させるには炭素数は広い範囲のものを用いることができるが、メチル基、フェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
+としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の1価陽イオン、及びアンモニウム基、ホスホニウム基等が挙げられ、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の1価陽イオン、及びアンモニウム基が好ましく、ナトリウムの1価陽イオン及びアンモニウム基がより好ましい。
ケイ素原子数に対するM+の個数、すなわちqは、オルガノシリコネートの水溶性の観点より、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、全ての水酸基がO-+となり、4−p−qの値が0であっても差し支えない。
また、オルガノシリコネートは単一のものを用いてもよいが、下記一般式(2)で表されるモノアルキルシリコネート(以下モノアルキルシリコネート(2)という)と、一般式(3)で表されるジアルキルシリコネート(以下ジアルキルシリコネート(3)という)の両方を含むものが好ましい。
1Si(O-+)n(OH)3-n (2)
1 2Si(O-+)m(OH)2-m (3)
〔式中、R1及びM+は前記と同じ意味を示し、複数個のR1及びM+はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0.1〜3の数、mは0.1〜2の数である。〕
一般式(2)及び(3)において同一のR1及びM+を有するオルガノシリコネートを用いてもよいが、異なるR1及びM+を有するオルガノシリコネートを用いても差し支えない。
好ましいR1及びM+は一般式(1)におけるものと同様である。より具体的には、モノアルキルシリコネート(2)としては、リチウムメチルシリコネート、ナトリウムメチルシリコネート、カリウムメチルシリコネート、ナトリウムエチルシリコネート、ナトリウムプロピルシリコネートが好ましく例示され、ナトリウムメチルシリコネートが特に好ましい。ジアルキルシリコネート(3)としてはナトリウムジメチルシリコネート、ナトリウムジエチルシリコネート、ナトリウムメチルエチルシリコネートが好ましく例示され、ナトリウムジメチルシリコネートがより好ましい。
繊維の残香性を向上させるには、モノアルキルシリコネート(2)とジアルキルシリコネート(3)の混合比は、モノアルキルシリコネート(2)/ジアルキルシリコネート(3)の重量比で、この範囲が95/5〜0/100の範囲であることがより好ましく、70/30〜0/100であることがさらに好ましく、30/70〜0/100であることが特に好ましい。
洗濯耐久性を向上させるには、この範囲が95/5〜0/100の範囲であることがより好ましく、70/30〜0/100であることがさらに好ましく、50/50〜5/95であることが特に好ましい。
n及びmは0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。繊維に吸水性や吸湿性をより良好にするためには、nは0.5〜1.5が好ましく、0.5〜1.2がより好ましく、mは0.5〜2.0が好ましく、0.5〜1.5がより好ましい。
残香性付与剤中のオルガノシリコネートの含有量は、0.01重量%以上が好ましく、0.05重量%以上がより好ましく、0.2重量%以上がさらに好ましい。また、15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
本発明の残香性付与剤は、オルガノシリコネートの単繊維内部への浸透を良好にするために、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。
この中で、非イオン界面活性剤が好ましく、親疎水性バランス(HLB)値9〜15、特に11〜14の非イオン界面活性剤がより好ましい。なお、ここでのHLB値は、グリフィンの方法による計算値を示す。
好ましい非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド系界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが特に好ましい。
本発明の残香性付与剤中の界面活性剤の含有量は、混合時の乳化、加水分解の促進の点から、0.1〜20重量%が好ましく、0.5〜15重量%がより好ましく、1〜10重量%が更に好ましい。
[繊維]
本発明に於いて適用可能な繊維は、有機繊維が好適である。有機繊維としては、綿、麻、パルプ、楮、三椏、ケナフ、コットンリンター等の植物系水膨潤性繊維、及びこれらに若干の化学修飾を施したアセテートやレーヨン等の水膨潤性の再生繊維もしくは半合成繊維;並びに、羊、らくだ、リャマ、アルパカ等の獣毛を原料にしたウール繊維や絹などの動物系水膨潤性繊維が挙げられる。
これらの繊維は、単一の単繊維のまま本発明の残香性付与剤を適用してもよいし、織物、布、糸や衣料品、紐、ロープ、紙、パルプ、不織布等の1次又は2次加工品の形態で本発明の残香性付与剤を適用してもよい。
本発明で用いる好ましい繊維として、木綿、麻、パルプ、アセテート、レーヨン、ウール繊維やその1次又は2次加工品が挙げられ、特に好ましい繊維として、木綿、パルプ、アセテート、レーヨンやその1次又は2次加工品が挙げられる。
[残香性繊維及びその製造方法]
本発明の残香性繊維は、シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン架橋体を含む。シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン架橋体は、少なくとも1つのシラノール基(−Si−OH)を有し、架橋構造を有するポリオルガノシロキサンであり、上記のオルガノシリコネートの重合体が挙げられる。
本発明における残香性繊維は、本発明に係わる残香性付与剤を繊維に接触させ、含有するオルガノシリコネートを重合させることにより製造することができる。
以下、本発明の残香性繊維の製造方法を詳細に説明する。
本発明に係わる残香性付与剤を繊維に接触させる具体的な方法としては、残香性付与剤を繊維に塗布する方法、残香性付与剤を繊維に噴霧する方法、残香性付与剤に繊維を浸漬させる方法等が例示される。処理される繊維は、濡れていてもよく、乾いていてもよい。また、残香性付与剤は界面活性剤を含有していることが好ましい。
累積効果を期待する場合には、残香性付与剤として低濃度のオルガノシリコネート水溶液を用いてもよい。また、1回の処理で大きな効果を期待する場合には、残香性付与剤として高濃度のオルガノシリコネート水溶液を使用することが有効である。
繊維重量に対するオルガノシリコネートの重量は、0.5重量%以上になるようにすることが効果の発現上好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、50重量%以下が好ましく、25重量%以下がより好ましい。
本発明の残香性付与剤を繊維に接触させる際の時間は数秒間でよいが、1分以上が好ましく、30分以上がより好ましく、1時間以上がさらに好ましい。また、24時間以内、更には12時間以内の接触が好適である。30分以上の浸漬により繊維の残香性の向上が顕著に認められる。
本発明の残香性付与剤を繊維に接触させる温度は特に制限はない。
本発明の残香性付与剤を繊維に接触させた後のオルガノシリコネートの重合は、本発明の残香性付与剤を接触させた繊維を乾燥させることで行うことができる。具体的には室内干し、屋外干し、温風乾燥やプレス加熱が例示される。乾燥温度は特に限定されないが、0〜150℃の範囲で好ましく行うことができる。80℃以下、特に50℃以下で乾燥させることで処理後の残香性を高くできる。また、40℃以下、より好ましくは30℃以下で乾燥させることにより、D領域(logPが1以上3未満の香料素材領域)及びC領域(logPが3以上で、20℃の蒸気圧が3Pa以上の香料素材領域)の香料素材の残香性を高くすることができる。
また、繊維を乾燥させずに酸で中和し、オルガノシリコネート水溶液のpHを12以下にすることでも重合を行うことができる。pHは11.5以下が好ましく、11以下がより好ましく、9以下がさらに好ましい。pHの下限はないが、1以上が好ましく、5以上がより好ましい。中和に用いる酸には特に限定はなく、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸や、シュウ酸、クエン酸、酢酸等の有機酸が好ましく用いられる。
オルガノシリコネートの重合後に、繊維を洗浄することが、過剰の重合物が除去され、より生来の繊維の風合いを保つことができ、好ましい。洗浄は水を用いることができ、その際、水には界面活性剤が含有されていてもよい。
[香料含有繊維及び繊維の賦香方法]
本発明の香料含有繊維は、上記のような方法で得られた本発明の残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を接触させて得られる。また、本発明の繊維の賦香方法は、上記のような方法で得られた本発明の残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を接触させる方法であり、特に、1種又は2種以上の香料を含有した水溶液を接触させる方法が好ましい。
残香性繊維に香料を接触させる方法としては、繊維と香料とが接触できればどんな方法でも構わない。例えば、香料の存在状態として、香料単独、香料を水もしくは溶剤中に存在(必ずしも溶解、分散していなくてもよい)、香料と界面活性剤を混合した溶液やジェル等が挙げられる。界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。カチオン界面活性剤としては、その一部が水酸基、エステル基、アミド基もしくはエーテル基で置換されていてもよい炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有する第4級アンモニウム塩が挙げられる。
残香性繊維と香料の接触方法の一般的な例として、香料を配合した衣料用洗剤や仕上げ剤(柔軟剤、糊剤など)、漂白剤を通常の洗濯によって繊維と接触させる方法と、香料を配合した液体スプレー、エアゾールスプレー、香水等を直接繊維に吹きかけて繊維と接触させる方法などがある。液体スプレーとしては、液体スプレー型消臭剤(花王(株)製 リセッシュやアレルクリン)や、液体スプレー型のり剤(花王(株)製 アイロンスムーザー、キーピング)などが挙げられる。
上記に示す処理は、家庭で行うだけではなく産業用として利用することもできる。繊維や糸を、直接本発明に係わる残香性付与剤で処理した後、香料を接触させ、そのような結果、香料が付着した繊維や糸を使って1次加工した布を作ることもできる。1次加工した布そのものや、さらに2次加工してできる衣類やカーテン、カーペット、ストッキング等にも直接本発明に係わる残香性付与剤を処理した後、香料を接触させることもできる。
本発明に用いられる香料としては、「香料と調香の基礎知識」(中島基貴 編著、産業図書、1995年発行)や「合成香料−化学と商品の基礎知識−」(印藤元一 著、化学工業日報社、1996年発行)などに記載の香料化合物から選ばれる1種又は2種以上を含む香料組成物が挙げられ、香料1種(単体)でも、香料2種以上を含む香料組成物でもよい。
香料素材が有するパラメーターである、蒸気圧やlogPは、残香性付与剤処理による残香性付与効果(脱水布、乾燥布)と相関性があり、この2つのパラメーターによって、香料素材を図1に示すように分類することができる。特に残香しやすい素材の領域をA領域とし、その中で、残香強度の分布を見ると、A領域をさらに3つに分類できる。B領域に属する素材が最も残香しやすく、続いてC領域、D領域となる。
ここでlogPとは、有機化合物の水と1−オクタノールに対する親和性を示す係数であり、1−オクタノール/水の分配係数Pは、1−オクタノールと水の2液相の溶媒に、微量の化合物が溶質として溶け込んだときの分配平衡で、それぞれの溶液中における化合物の平衡濃度の比であり、底10に対するそれらの対数logPの形で示すのが一般的である。多くの化合物のlogP値が報告され、Daylight Chemical Information Systems, Inc.(Daylight CIS)などから入手しうるデータベースには多くの値が記載されているので参照できる。
実際のlogP値がない場合には、Daylight CISから入手できるプログラム“CLOGP”で計算すると最も便利である。このプログラムは、実測のlog P値がある場合にはそれとともにHansch Leoのフラグメントアプローチにより算出される“計算logP(ClogP)”の値を出力する。フラグメントアプローチは、化合物の化学構造に基づいており、原子の数及び化学結合のタイプを考慮している(cf.A.Leo Comprehensive medicinal Chemistry, Vol.4 C.Hansch,P.G.Sammens,J.B Taylor and C.A. Ramsden, Eds., P.295, Pergamon Press, 1990)。
A領域とは、logPが1以上である香料素材領域であり、B領域、C領域、D領域からなる。A領域以外の香料素材は、logPが1未満で親水性が高く、洗濯処理をした際に、水に溶解してしまい、衣類に付着しにくい傾向にある。
B領域とは、logPが3以上かつ、20℃の蒸気圧が3Pa未満の香料素材領域であり、比較的疎水的で、蒸気圧の低い香料素材である。この領域に属する香料素材は、最も本発明の残香性付与剤処理による残香性向上効果が高く、衣類が濡れている状態時(脱水布)のみではなく、乾燥したときまで香りを残すことができる香料素材である。また、その残香は驚くべきことに、最低2週間以上も持続することを確認している。B領域の中には、アンブロキサンやダマセノンなどの高価な香料素材が存在し、本発明の残香性付与剤と併用することによって大幅なコスト削減効果が期待され、よりコストパフォーマンスの高い配合系を実現することができる。B領域に属する香料素材として、11−オキサ−16−ヘキサデカリド、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエンニトリル、p−t−ペンチルシクロヘキサノン、α−アミルシンナミックアルデハイド、α−イオノン、β−イオノン、γ−メチルイオノン、α−ダマスコン、β−ダマスコン、δ−ダマスコン、α−ヘキシルシンナミックアルデハイド、β−ナフチルメチルエーテル、γ−ウンデカラクトン、γ−デカラクトン、δ−デカラクトン、アセチルイソオイゲノール、アリルイオノン、アンブロキサン、安息香酸イソアミル、安息香酸シス−3−ヘキセニル、安息香酸フェニルエチル、安息香酸ヘキシル、イソ・イー・スーパー、イソカンフィルシクロヘキサノール、エチルリナロール、エチレンドデカジオエート、エチレンブラッシレート、エトキシメチルシクロドデシルエーテル、カシュメラン、ガラクソリド、カラナール、カリオフィレン、桂皮酸シンナミル、桂皮酸フェニルエチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸リナリル、酢酸イソボルニル、酢酸グアイル、酢酸シトロネリル、酢酸セドリル、酢酸デシル、酢酸デセニル、酢酸テルピニル、酢酸ネリル、酢酸ノピル、酢酸ベチベリル、サリチル酸アミル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸シス−3−ヘキセニル、サリチル酸フェニルエチル、サリチル酸ヘキシル、サリチル酸ベンジル、サンダロア、シクラメンアルデハイド、シクロヘキサデカノリド、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シクロペンタデカノン、シクロペンタデカリド、シトロネロール、ジヒドロジャスモン、ジフェニルオキサイド、ジフェニルメタン、セドリルメチルエーテル、ダマセノン、チモール、チンベロール、デュビカール、テンタローム、ヌートカトン、バクダノール、パチュリアルコール、ファルネソール、フェニルエチルイソアミルエーテル、フェニル酢酸 p−クレジル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸フェニルエチル、フェニル酢酸ベンジル、フローラルオゾン、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸リナリル、プロペニルグアエトール、ヘキサン酸cis−3−ヘキセニル、ベチベロール、ヘプチルシクロペンタノン、ベンジルイソオイゲノール、マイラックアルデハイド、ムスクケトン、ムスコン、メチルノニルアセトアルデヒド、リラールシッフベース(メチルアンスラニレートとのシッフベース)、リリアールシッフベース(メチルアンスラニレートとのシッフベース)、ヘキサメチルヘキサヒドロシクロペンタベンゾピランなどが挙げられる。
C領域とは、logPが3以上で、20℃の蒸気圧が3Pa以上の香料素材領域であり、比較的疎水的で、蒸気圧の高い香料素材が存在する。この領域に属する香料素材は、主に脱水布時での残香性付与剤処理による残香性向上効果が高い。C領域の中には、シトラス系調合香料を創作する際に欠かせないリモネンや、ナチュラルなハーブ感を付与するのに有用なピネンなどが存在する。これらの香料素材は、洗濯処理後の脱水布の時点で、かなり弱くなってしまう。特に洗剤系では、注水すすぎの工程等の影響によって、これらの蒸気圧の高い香料素材は揮発してしまい残りにくく、よって香調変化がおこってしまう。しかし、本発明の残香性付与剤と併用することにより、脱水布の時点で、これらの香料素材を衣類に多く残存させることができ、よってフレッシュ感、ナチュラル感を楽しめ、通常の処理とは顕著な違いが確認できる。C領域に属する香料素材として、α−ピネン、β−ピネン、エストラゴール、オクチンカルボン酸メチル、ゲラニルニトリル、酢酸 o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸ゲラニル、酢酸ノピル、酢酸リナリル、シトラール、シトロネリルニトリル、デカナール、テトラヒドロゲラニオール、テトラヒドロリナロール、テルピネン、テルピノーレン、ネロリドール、ヘプタン酸アリル、リモネンなどが挙げられる。
D領域とは、logPが1以上3未満の素材であり、比較的親水的な香料素材領域である。この領域に属する香料素材は、通常の洗濯処理ではあまり衣類に残らないが、本発明の残香性付与剤と併用することにより残るようになる。D領域に属する香料素材として、2,6−ジメチルヘプタノール、3−メチル−3−フェニルグリシド酸エチル、l−カルボン、l−メントン、N−メチルアントラニル酸メチル、o−メトキシシンナミックアルデヒド、α,α−ジメチルフェニルエチルアルコール、γ−ノナラクトン、δ−ノナラクトン、アセチルオイゲノール、アニスアルコール、アニスアルデヒド、アニス酸メチル、アリルアミルグリコレート、安息香酸メチル、イソメントン、インドール、エチルバニリン、バニリン、オイゲノール、桂皮酸メチル、ゲラニオール、酢酸スチラリル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸シンナミル、酢酸フェニルエチル、酢酸ベンジル、サフラナール、サリチル酸エチル、サリチル酸メチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、テトラヒドロ−p−メチルキノリン、テルピネロール、ネロール、ヒドラトロトロピックアルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、フェニルエチルアルコール、フェニルグリシド酸メチル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸ベンジル、ヘリオトロピン、ヘリオナール、ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ボルネオール、マロン酸ジエチル、メチルb−ナフチルケトン、メチルアトラレート、メチルイソオイゲノール、ラズベリーケトン、リナロール、リラール、ルボフィクス、ローズオキサイド、クマリン、エチルベンゾエートなどが挙げられる。
本発明の残香性付与剤で処理した衣類とともに、衣料用洗剤や柔軟仕上げ剤を用いると、それらに含まれる香料素材もしくは香料組成物(調合香料)を効率よく衣類に残すことができる。
以下の例中、特に示さない限り、%は重量%である。また、用いた原料は、以下の方法で入手あるいは調製した。
・ナトリウムメチルシリコネート
大崎工業(株)製(NS−1、105℃で3時間乾燥した場合の不揮発成分33%)を用いた。Na/Si比は1.0である。以下、単にメチルシリコネートと呼ぶ。
・ナトリウムジメチルシリコネート
1000mL三口フラスコに27.5%水酸化ナトリウム水溶液327gを加えた後、そこへジメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製 LS−1370、以下同じ)222gを加え、窒素ガスをフローしながら約24時間攪拌し、無色透明の水溶液を得た。得られた水溶液を凍結乾燥し、白色固体のナトリウムジメチルシリコネート226gを得た。Na/Si比は1.5である。以下、ジメチルシリコネートと呼ぶ。
実施例1
(1)木綿タオルの前処理
木綿タオル(武井タオル(株)製 T.W220、白色)を市販の衣料用洗剤(花王(株)液体アタック)を用いて全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で10回繰り返し洗濯した(洗剤37g、水道水57L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)。最後の処理回の脱水が終了した後、屋内にて吊り干しで自然乾燥することにより前処理を行った。この前処理済のタオル1枚の重量は、約70gである(以下、評価に供した各タオルの重量は表中に示した)。
(2)残香性付与剤の調製
メチルシリコネート17.4gと水165.5gを混合し、均一な水溶液になるまで5分間攪拌して残香性付与剤182.9gを調製した。得られた残香性付与剤の組成を表1に示す。
(3)残香性繊維の製造
残香性付与剤182.9gに、前処理した木綿タオル(69.7g)を60分間浸漬し、その後、80℃で乾燥した。木綿タオルに対するオルガノシリコネート量は25%であった。乾燥した木綿タオルを衣料用洗剤(液体アタック、花王(株)製)を用いて洗濯し(洗濯条件;洗剤30g、水道水45L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)、屋内にて自然乾燥して残香性タオルを得た。残香性付与後の木綿タオルの重量増加率は12.3%であった。
(4)残香性の評価
以下の方法で市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
<市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性評価>
残香性付与剤で処理したタオル1枚を市販の衣料用洗剤(花王(株)液体アタック)を用いて全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で洗濯した(洗剤37g、水道水57L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)。その後、屋内にて吊り干しで自然乾燥を行い、評価処理タオルを得た。脱水直後から72時間後までのタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで経時的に評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:かなり強く匂う
4:強く匂う
3:あきらかに匂う
2:かすかに匂う
1:ごくわずかに匂う
0:匂わない。
<洗濯耐久性評価>
残香性付与剤で処理したタオル1枚を市販の衣料用洗剤(花王(株)液体アタック)を用いて全自動洗濯機(日立全自動洗濯機KW-5026 静御前)で20回繰り返し洗濯した(洗剤37g、水道水57L使用、洗濯5分−注水すすぎ1回−脱水3分)。その後、屋内にて吊り干しで24時間自然乾燥を行い、洗濯耐久性評価タオルを得た。そのタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:洗濯耐久性評価タオルの匂い強度が洗濯を1回したタオルの匂い強度に比べ同等以上
3:洗濯耐久性評価タオルの匂い強度が洗濯を1回したタオルの匂い強度に比べ若干劣る
0:洗濯耐久性評価タオルの匂い強度が洗濯を1回したタオルの匂い強度に比べ明らかに劣る。
実施例2〜5
実施例1と同様にして、但しメチルシリコネート及びジメチルシリコネートの比率を表1記載のように変更し、残香性付与剤を調製した。これらの残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、得られた残香性タオルについて同様に市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例6
実施例4と同様にして、但し、さらにノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル(花王(株)製、エマルゲン108、エチレンオキシド平均付加モル数6モル、HLB12.1)を用いて、残香性付与剤を調製した。この残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、得られた残香性タオルについて同様に市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例7及び8
実施例4と同様にして、但し、オルガノシリコネートの含有量を変えて、残香性付与剤を調製した。この残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、得られた残香性タオルについて同様に市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
実施例9
実施例4と同様の残香性付与剤を用い、繊維の乾燥温度を20℃とする以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、得られた残香性タオルについて同様に市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1と同様の方法で前処理した木綿タオルについて、残香性付与剤による残香性付与を行わないこと以外は実施例1と同様にして市販の衣料用洗剤で処理した後の残香性及びその洗濯耐久性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005197974
*1:%owfは、繊維重量当たりの液中シリコネート重量の百分率を意味する(以下の表においても同じ)。
表1から明らかなように、本発明の残香性付与剤で処理したタオルは、残香性付与を行わないタオルに比べ、脱水直後の時点から残香性が高かった。また、乾燥8時間以降は、その効果が顕著であり、優れた残香性能を示した。更に、洗濯耐久性に関して、本発明の残香性付与剤で処理したタオルは、残香性付与を行わないタオルに比べ、洗濯耐久性が顕著であった。
実施例10〜34
(1)残香性付与剤の製造及び残香性木綿タオルの調製
メチルシリコネート、ジメチルシリコネート及び水から、実施例1と同様に表4及び表5記載の組成の残香性付与剤を調製した。この残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、残香性木綿タオルを得た。
(2)残香性の評価
以下の方法で、柔軟剤組成物で処理した後の脱水布及び乾燥布について残香性を評価した。結果を表4及び表5に示す。
<柔軟剤組成物の調製>
300mLビーカーに、柔軟剤組成物の出来上がり重量が200gになるのに必要な量の90%相当量のイオン交換水を入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。1つの羽根の長さが2cm、幅0.8cmの撹拌羽根で撹拌しながら(200r/min)、非イオン性界面活性剤(炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均8モル付加させたもの)を添加し、次に加熱溶解させた陽イオン性界面活性剤(N−(3−アルカノイルアミノプロピル)−N−(2−アルカノイルヒドロキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロライド(但し、アルカノイル基は、硬化牛脂由来脂肪酸とする))を添加した。次に塩化カルシウムを入れ、5分間撹拌後、10%塩酸水溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.5に調整した。次に出来上がり重量にするのに必要な量の60℃のイオン交換水を添加した。その後、表2に示す香料成分を添加し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、撹拌しながら(80r/min)、30℃まで冷却し、表2に示す配合処方の柔軟剤組成物(a)〜(e)を調製した。
Figure 0005197974
Figure 0005197974
<柔軟剤組成物で処理し脱水した後の濡れたタオルに残った香りの評価>
残香性付与剤処理タオル1枚と未処理タオル3枚(浴比調節のため使用)、もしくは未処理タオル4枚(うち、3枚は浴比調節のため使用)をそれぞれ香料未配合の液体洗剤(炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均13モル付加させた非イオン界面活性剤40%及びプロピレングリコール5%を含有し、pH9.0に調整したもの)で洗浄した(ナショナル製電気洗濯乾燥機NA−FD8005S、洗剤15g、水道水22L使用、水温20℃、9分間)。その後、洗浄液を排水し、3分間脱水後、22Lの水道水を注入して10分間注水すずぎを行い、排水後、3分間再度脱水を行った。再度22Lの水道水を注入し、表2に示す柔軟剤組成物(a)〜(e)を5g添加し、6分間ためすすぎ後、3分間脱水し、評価処理布を得た。その脱水直後の濡れたタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:かなり強く匂う
4:強く匂う
3:あきらかに匂う
2:かすかに匂う
1:ごくわずかに匂う
0:匂わない。
<柔軟剤組成物で処理し脱水後、干して乾燥したタオルに残った香りの評価>
上記の脱水した後の濡れたタオルの評価方法において、柔軟剤組成物(a)〜(e)で処理したタオルを、屋内で7時間自然乾燥させ、評価処理布を得た。その乾燥したタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:かなり強く匂う
4:強く匂う
3:あきらかに匂う
2:かすかに匂う
1:ごくわずかに匂う
0:匂わない。
比較例2〜6
実施例1と同様の方法で前処理した木綿タオルについて、実施例10〜14と同様の方法で、柔軟剤組成物(a)〜(e)で処理した後の脱水布及び乾燥布について残香性を評価した。結果を表5に示す。
Figure 0005197974
Figure 0005197974
実施例35〜59
(1)残香性付与剤の製造及び残香性木綿タオルの調製
メチルシリコネート、ジメチルシリコネート及び水から、実施例1と同様に表7及び表8記載の組成の残香性付与剤を調製した。この残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、残香性木綿タオルを得た。
(2)残香性の評価
以下の方法で、液体洗剤組成物で処理した後の脱水布及び乾燥布について残香性を評価した。結果を表7及び表8に示す。
<液体洗剤組成物の調製>
非イオン性界面活性剤として、炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均13モル付加させたものを使用し、表6に示す配合処方の液体洗剤組成物(a)〜(e)を調製した。なお液体洗剤組成物は、1/10規定の塩酸又は1/10規定の水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0に調整した。
Figure 0005197974
<液体洗剤組成物で処理し脱水した後の濡れたタオルに残った香りの評価>
残香性付与剤処理タオル1枚と未処理タオル3枚(浴比調節のため使用)、もしくは未処理タオル4枚(うち、3枚は浴比調節のため使用)をそれぞれ表6に示す組成の液体洗剤組成物(a)〜(e)で洗浄した(ナショナル製電気洗濯乾燥機NA−FD8005S、洗剤15g、水道水22L使用、水温20℃、9分間)。その後、洗浄液を排水し、3分間脱水後、22Lの水道水を注入して10分間注水すすぎを行い、排水後、3分間再度脱水をおこない処理布を得た。その脱水直後の濡れたタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:かなり強く匂う
4:強く匂う
3:あきらかに匂う
2:かすかに匂う
1:ごくわずかに匂う
0:匂わない。
<液体洗剤組成物で処理し脱水後、干して乾燥したタオルに残った香りの評価>
上記の評価方法において液体洗剤組成物(a)〜(e)で処理したタオルを、屋内で7時間自然乾燥させ、評価処理布を得た。その乾燥したタオルの香りの強さを10人の専門パネラーで評価した。以下に示す評価基準で評価を行い、10人の評価点を平均した。
5:かなり強く匂う
4:強く匂う
3:あきらかに匂う
2:かすかに匂う
1:ごくわずかに匂う
0:匂わない。
比較例7〜11
実施例1と同様の方法で前処理した木綿タオルについて、実施例35〜39と同様の方法で、液体洗剤組成物(a)〜(e)で処理した後の脱水布及び乾燥布について残香性を評価した。結果を表8に示す。
Figure 0005197974
Figure 0005197974
表4及び表5、表7及び表8から、実施例10〜34及び実施例35〜59の残香性付与剤で処理したタオルは、未処理タオルに比べて、すべての香料(香料素材3種、香料組成物2種)において高い残香性を示した。
フェニルエチルアルコールやリモネンを含有する柔軟剤組成物及び液体洗剤組成物で処理したタオルにおいては、脱水後タオルに高い残香性効果が見られた。特に、リモネンを含有する組成物で処理したタオルにおいては顕著な差が見られた。また、比較的logPが高く、蒸気圧の低いリリアールを含有する柔軟剤組成物及び液体洗剤組成物で処理したタオルにおいては、脱水布、乾燥布ともに、高い残香性向上効果が見られた。
香料組成物1,2を含有する柔軟剤組成物及び液体洗剤組成物で処理したタオルにおいては、いずれも、脱水布、乾燥布ともに残香性向上効果が見られた。また、B領域(logPが3以上かつ、20℃の蒸気圧が3Pa未満の香料素材領域)に属する香料素材をより多く含む香料組成物1を含有する柔軟剤組成物及び液体洗剤組成物で処理したタオルの方が、脱水布、乾燥布ともに、高い残香性向上効果が見られた。
実施例60〜73
(1)残香性付与剤の製造及び残香性木綿タオルの調製
メチルシリコネート、ジメチルシリコネート及び水から、実施例1と同様に表10記載の組成の残香性付与剤を調製した。この残香性付与剤を用いる以外は、実施例1と同様にして木綿タオルの残香性付与を行い、残香性木綿タオルを得た。
(2)残香性繊維への香料の吸着性評価
以下の方法で、柔軟剤組成物で処理した後のタオルについて残香性繊維への香料の吸着性を評価した。結果を表10に示す。
<柔軟剤組成物の調製>
ビーカーに、柔軟剤組成物の出来上がり重量が3500gになるのに必要な量の90%相当量のイオン交換水を入れ、ウォーターバスで60℃に昇温した。撹拌しながら、非イオン性界面活性剤(炭素数12の直鎖第1級アルコールにエチレンオキサイドを平均8モル付加させたもの)を添加し、次に加熱溶解させた陽イオン性界面活性剤(N−(3−アルカノイルアミノプロピル)−N−(2−アルカノイルヒドロキシエチル)−N−メチルアンモニウムクロライド(但し、アルカノイル基は、硬化牛脂由来脂肪酸とする))を添加した。次に塩化カルシウムを入れ、5分間撹拌後、10%塩酸水溶液と10%水酸化ナトリウム水溶液でpH2.5に調整した。次に出来上がり重量にするのに必要な量の60℃のイオン交換水を添加した。その後、表9に示す香料成分を添加し、5℃の水を入れたウォーターバスにビーカーを移し、撹拌しながら(80r/min)、30℃まで冷却し、表9示す組成の柔軟剤組成物(f)〜(l)を調製した。
Figure 0005197974
<水中における、残香性繊維への香料の吸着性評価>
上記の柔軟剤組成物(f)〜(l)に残香性付与剤で処理したタオル2枚をミニ洗濯機(MiniMiniwasher、National製)に入れ、5分間攪拌した。その後、高速液体クロマトグラフィー(HITACHI L-6000, Column; Lichrospher 100, RP-18(e), 5m, 250mm×4、Column Temperature; 40℃, Eluent: アセトニトリル/水=7/3, Flow rate; 1.0mL/min, Detecter; UV(280nm))を用い、その柔軟剤処理液に含まれる香料から繊維への吸着率(%)を算出した。
比較例12〜18
実施例1と同様の方法で前処理した木綿タオルについて、実施例60〜66と同様の方法で、柔軟剤組成物(f)〜(l)で処理した後のタオルについて香料の吸着性を評価した。結果を表10に示す。
Figure 0005197974
表10から、実施例60〜73の残香性付与剤で処理したタオルは、未処理タオルに比べて、水中におけるすべての香料(香料素材7種)に対して、高い吸着性を示した。
特に、D領域の香料素材であるクマリン、オイゲノール、エチルベンゾエートを含有する柔軟剤組成物(f)〜(h)では、これら香料が未処理タオルには殆ど吸着しないのに対し、本発明の残香性付与剤で処理したタオルでは高い吸着率を示した。これは、本発明の残香性付与剤により処理された繊維が従来の洗濯において、水と共に洗い流されしまうlogP値が低い香料の吸着性に優れていることを示している。更に、室温(20℃)にて本発明の残香性付与剤を処理したタオルは、80℃で処理したタオルよりも顕著に優れた香料の吸着性を示した。
logP値と蒸気圧による香料素材の分類領域を示す図である。

Claims (6)

  1. オルガノシリコネート及び水を含有する残香性付与剤を、木綿、麻、パルプ、アセテート、レーヨン及びそれらの1次又は2次加工品から選ばれる繊維に接触させ、含有するオルガノシリコネートを重合させる、シラノール基を含有するポリオルガノシロキサン架橋体を含む残香性繊維の製造方法であって、
    残香性付与剤が液体であり、該残香性付与剤中のオルガノシリコネートの含有量が、0.01重量%以上、15重量%以下である、
    残香性繊維の製造方法。
  2. オルガノシリコネートが、一般式(2)で表されるモノアルキルシリコネートと、一般式(3)で表されるジアルキルシリコネートとから選ばれる化合物である、請求項1記載の残香性繊維の製造方法。
    1Si(O-+)n(OH)3-n (2)
    1 2Si(O-+)m(OH)2-m (3)
    〔式中、R1は、炭素数1〜6の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基又はフェニル基を示し、M+は1価の陽イオンを形成しうる基を示し、複数個のR1及びM+はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。nは0.1〜3の数、mは0.1〜2の数である。〕
  3. モノアルキルシリコネート(2)/ジアルキルシリコネート(3)の重量比が95/5〜0/100である、請求項2記載の残香性繊維の製造方法。
  4. 請求項1〜3の何れか1項記載の残香性繊維の製造方法で得られた残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を接触させる、繊維の賦香方法。
  5. 請求項1〜3の何れか1項記載の残香性繊維の製造方法で得られた残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を含有した水溶液を接触させる、繊維の賦香方法。
  6. 請求項1〜3の何れか1項記載の製造方法で残香性繊維を製造すること、及び、該製造方法で得られた残香性繊維に、1種又は2種以上の香料を接触させること、を行う、香料含有繊維の製造方法。
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