JP5260480B2 - 減衰力可変ダンパの制御装置 - Google Patents
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Description
また、第4の発明は、第3の発明に係る減衰力可変ダンパの制御装置において、前記減衰モード切換手段は、ノーマルポジション、スポーツポジションおよびコンフォートポジションの3段階に切り換えるものであり、前記制御量設定手段は、前記第1判定範囲を設定する際に、前記スポーツポジションの場合には前記第1判定範囲を縮小し、前記コンフォートポジションの場合には前記第1判定範囲を拡大し、前記第2判定範囲を設定する際に、前記スポーツポジションの場合には前記第2判定範囲を拡大し、前記コンフォートポジションの場合には前記第2判定範囲を縮小することを特徴とする。
図1は実施形態に係る4輪自動車の概略構成図であり、図2は実施形態に係るダンパの縦断面図であり、図3は実施形態に係る減衰力制御部の概略構成を示すブロック図である。
<自動車の概略構成>
先ず、図1を参照して、実施形態に係る自動車の概略構成について説明する。説明にあたり、4本の車輪やそれらに対して配置された部材、すなわち、タイヤやサスペンション等については、それぞれ数字の符号に前後左右を示す添字を付して、例えば、車輪3fl(左前)、車輪3fr(右前)、車輪3rl(左後)、車輪3rr(右後)と記すとともに、総称する場合には、例えば、車輪3と記す。
図2に示すように、本実施形態のダンパ4は、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダチューブ21と、このシリンダチューブ21に対して軸方向に摺動するピストンロッド22と、ピストンロッド22の先端に装着されてシリンダチューブ21内を上部油室24と下部油室25とに区画するピストン26と、シリンダチューブ21の下部に高圧ガス室27を画成するフリーピストン28と、ピストンロッド22等への塵埃の付着を防ぐカバー29と、フルバウンド時における緩衝を行うバンプストップ30とを主要構成要素としている。
ダンパECU7には、図3にその概略構成を示す減衰力制御部50が内装されている。減衰力制御部50は、上述した各センサ10〜13やモードスイッチ14等が接続する入力インタフェース51と、各センサ10,11,13およびモードスイッチ14等からの入力信号に基づき各ダンパ4の目標減衰力を設定する目標減衰力設定部52と、ストロークセンサ12の検出結果に基づいて目標減衰力設定部52から入力した3つの目標減衰力のうち1つを選択する目標減衰力選択部53と、目標減衰力選択部53で選択された目標減衰力と各センサ10〜13およびモードスイッチ14からの入力信号に応じて各ダンパ4(MLVコイル40)への駆動電流を生成する駆動電流生成部54と、駆動電流生成部54が生成した駆動電流を各ダンパ4に出力する出力インタフェース55とから構成されている。なお、目標減衰力設定部52には、スカイフック制御に供されるスカイフック制御部(スカイフック制御目標値設定部)56や、ロール制御に供されるロール制御部(ロール制御目標値設定部段)57、ピッチ制御に供されるピッチ制御部(ピッチ制御目標値設定部)58等が収容されている。
自動車が走行を開始すると、減衰力制御部50は、所定の処理インターバル(例えば、10ms)をもって、図4のフローチャートにその手順を示す減衰力制御を実行する。減衰力制御を開始すると、減衰力制御部50は、図4のステップS1で、横Gセンサ10、前後Gセンサ11および上下Gセンサ13から得られた車体1の加速度や、車速センサ(図示せず)から入力した車体速度、操舵角センサ(図示せず)から入力した操舵速度等に基づき自動車Vの運動状態を推定する。次に、減衰力制御部50は、推定した自動車Vの運動状態に基づき、ステップS2で各ダンパ4のスカイフック制御目標値Dshを算出し、ステップS3で各ダンパ4のロール制御目標値Drを算出し、ステップS4で各ダンパ4のピッチ制御目標値Dpを算出する。
減衰力制御部50は、図4のステップS5で、図6のフローチャートにその手順を示す第1閾値設定処理を実行する。第1閾値設定処理を開始すると、減衰力制御部50は、先ず図6のステップS21で悪路判定を行う。悪路判定は、自動車Vが小さな凹凸のある路面(悪路)を走行しているか否か(すなわち、ばね下共振周波数(例えば、15Hz)以上の振動周波数をもってダンパ4が振動しているか否か)を判定するものである。
減衰力制御部50は、図4のステップS6で、図8のフローチャートにその手順を示す第2閾値設定処理を実行する。第2閾値設定処理を開始すると、減衰力制御部50は、先ず図8のステップS31で前述した悪路判定を行い、この判定がNoであった場合(すなわち、良路走行中であった場合)、ステップS32でロール制御あるいはピッチ制御が行われるか否かを判定する。そして、減衰力制御部50は、ステップS32の判定がNoであった場合(スカイフック制御が行われる場合)にはステップS33で第2判定閾値Ssth2を最小値に設定し、ステップS32の判定がYesであった場合(ロール制御あるいはピッチ制御が行われる場合)にはステップS34で第2判定閾値Ssth2を最大値に設定する。
減衰力制御部50は、図4のステップS13で、図9のフローチャートにその手順を示す目標電流設定処理を実行する。目標電流設定処理を開始すると、図9のステップS51で3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpの絶対値|Dsh|,|Dr|,|Dp|をそれぞれ算出した後、ステップS52で、図10に実線で示すように、ストローク速度が伸び側にある場合に選択される制御目標値(以下、伸び側目標値と記す:本実施形態ではスカイフック制御目標値Dsh)と、ストローク速度が縮み側にある場合に選択される制御目標値(以下、縮み側目標値と記す:本実施形態ではピッチ制御目標値Dp)とからその絶対値が大きい制御目標値(図10の場合には、スカイフック制御目標値Dsh)を目標減衰力Dtgtとして採用する。
次に、減衰力制御部50は、ステップS53で前述した悪路判定を行い、この判定がNoであった場合(すなわち、良路走行中であった場合)、ステップS54でロール制御あるいはピッチ制御であるか否か(ロール制御目標値Drあるいはピッチ制御目標値Dpが目標減衰力Dtgtとして採用されたか否か)を判定する。
ステップS54の判定がNoであった場合(すなわち、スカイフック制御を行いながら良路を走行している場合)、減衰力制御部50は、ステップS55で図11に示す第1目標電流マップから目標電流Itgtを検索する。同図から判るように、スカイフック制御を行いながら良路を走行している場合には、ストローク速度Ssの絶対値が第1判定閾値Ssth1(標準値)より小さければ(ストローク速度Ssが−Ssth1〜Ssth1の判定範囲にあれば)、目標電流Itgtは目標減衰力Dtgtのみによって(すなわち、ストローク速度Ssに依存することなく)決定される。また、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっていれば、目標電流Itgtは出力されない。これにより、各センサ10〜13の検出信号にノイズが混入すること等によって目標減衰力Dtgtが短い周期で変化した際においても、比較的広い判定範囲で目標電流Itgtの変化が抑制されて乗り心地の向上が実現される。また、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっている場合、比較的狭い判定範囲を除いて目標電流Itgtが出力されないため、スカイフック制御が阻害され難くなる。
ステップS54の判定がYesであった場合(すなわち、ロール制御あるいはピッチ制御を行いながら良路を走行している場合)、減衰力制御部50は、ステップS56で図12に示す第2目標電流マップから目標電流Itgtを検索する。同図から判るように、ロール制御やピッチ制御を行いながら良路を走行している場合には、ストローク速度Ssの絶対値が第1判定閾値Ssth1(最小値)より小さければ(ストローク速度Ssが−Ssth1〜Ssth1の判定範囲にあれば)、目標電流Itgtは目標減衰力Dtgtのみによって(すなわち、ストローク速度Ssに依存することなく)決定される。そして、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっていても、ストローク速度Ssの絶対値が第2判定閾値Ssth2(最大値)より小さい場合(ストローク速度Ssが−Ssth2〜Ssth2の判定範囲にある場合)には、ストローク速度Ssの方向にかかわらず目標電流Itgtが設定される。これにより、ストローク速度Ssが比較的小さい場合においても、目標電流Itgtがいたずらに小さくならなくなり、ロール制御やピッチ制御が円滑に行われる。
一方、ステップS53の判定がYesであった場合(すなわち、悪路走行中であった場合)、減衰力制御部50は、ステップS57でロール制御あるいはピッチ制御であるか否か(ロール制御目標値Drあるいはピッチ制御目標値Dpが目標減衰力Dtgtとして採用されたか否か)を判定する。
ステップS57の判定がNoであった場合(すなわち、スカイフック制御を行いながら悪路を走行している場合)、減衰力制御部50は、ステップS58で図13に示す第3目標電流マップから目標電流Itgtを検索する。同図から判るように、スカイフック制御を行いながら悪路を走行している場合には、ストローク速度Ssの絶対値が第1判定閾値Ssth1(最大値)より小さければ(ストローク速度Ssが−Ssth1〜Ssth1の判定範囲にあれば)、目標電流Itgtは目標減衰力Dtgtのみによって(すなわち、ストローク速度Ssに依存することなく)決定される。そして、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっていても、ストローク速度Ssの絶対値が第2判定閾値Ssth2(最小値)より小さい場合(ストローク速度Ssが−Ssth2〜Ssth2の判定範囲にある場合)には、ストローク速度Ssの方向にかかわらず目標電流Itgtが設定される。これにより、各センサ10〜13の検出信号にノイズが混入すること等によって目標減衰力Dtgtが短い周期で変化した際においても、広い判定範囲で目標電流Itgtの変化が抑制されて乗り心地の向上が実現される。また、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっている場合、比較的狭い判定範囲を除いて目標電流Itgtが出力されないため、スカイフック制御が阻害され難くなる。
ステップS57の判定がYesであった場合(すなわち、ロール制御あるいはピッチ制御を行いながら悪路を走行している場合)、減衰力制御部50は、ステップS59で図14に示す第4目標電流マップから目標電流Itgtを検索する。同図から判るように、ロール制御やピッチ制御を行いながら悪路を走行している場合には、ストローク速度Ssの絶対値が第1判定閾値Ssth1(最大値)より小さければ(ストローク速度Ssが−Ssth1〜Ssth1の判定範囲にあれば)、目標電流Itgtは目標減衰力Dtgtのみによって(すなわち、ストローク速度Ssに依存することなく)決定される。そして、ストローク速度Ssの方向と目標減衰力Dtgtの方向とが異なっていても、ストローク速度Ssの絶対値が第2判定閾値Ssth2(最大値)より小さい場合(ストローク速度Ssが−Ssth2〜Ssth2の判定範囲にある場合)には、ストローク速度Ssの方向にかかわらず目標電流Itgtが設定される。これにより、ストローク速度Ssが比較的大きい場合においても、目標電流Itgtがいたずらに小さくならなくなり、ロール制御やピッチ制御が円滑に行われる。
7 ダンパECU
50 減衰力制御部
52 目標減衰力設定部
53 目標減衰力選択部
54 駆動電流生成部
56 スカイフック制御部(目標減衰力設定手段)
57 ロール制御部(目標減衰力設定手段)
58 ピッチ制御部(目標減衰力設定手段)
V 自動車
Claims (4)
- 車体の懸架に供される減衰力可変ダンパの減衰力を制御する制御装置であって、
前記減衰力可変ダンパのストローク速度を取得するストローク速度取得手段と、車体の横加速度と前後加速度との少なくとも一方を検出する加速度検出手段と、前記車体の運動状態または路面状態に基づいて目標減衰力を設定する目標減衰力設定手段と、前記減衰力可変式ダンパの制御量を設定する制御量設定手段とを備え、
前記制御量設定手段は、前記車体の運動状態または路面状態に基づいて前記ストローク速度に対して0を含む第1判定範囲および第2判定範囲を設定する判定範囲設定手段と、前記ストローク速度の変化に基づいて走行路面が良路であるか悪路であるかを判定する路面状態判定手段と、車体の横加速度あるいは前後加速度に基づいて車体の姿勢変化が急激であるか否かを判定する姿勢変化判定手段とを有し、
前記判定範囲設定手段は、
前記走行路面が良路であると判定され、前記姿勢変化が急激であると判定された場合、前記第1判定範囲を所定の縮小判定範囲に設定し、
前記走行路面が悪路であると判定された場合、前記第1判定範囲を所定の拡大判定範囲に設定し、
前記走行路面が良路であると判定され、前記姿勢変化が急激でないと判定された場合、前記第1判定範囲を前記縮小判定範囲と前記拡大判定範囲との間に設定するとともに、
前記第2判定範囲を前記第1判定範囲より狭く設定し、
前記制御量設定手段は、
前記ストローク速度の方向と前記目標減衰力の方向とが同一となる場合において、前記ストローク速度が前記第1判定範囲外にある場合には、前記目標減衰力と前記ストローク速度とに基づいて前記制御量を設定し、前記ストローク速度が前記第1判定範囲内にある場合には、前記目標減衰力のみに基づいて前記制御量を設定し、
前記ストローク速度の方向と前記目標減衰力の方向とが異なる場合において、前記ストローク速度が前記第2判定範囲外にある場合には、制御量を出力せず、前記ストローク速度が前記第2判定範囲内にある場合には、前記目標減衰力のみに基づいて前記制御量を設定することを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。 - 前記制御量設定手段は、前記ストローク速度が前記第2判定範囲内にある場合、前記目標減衰力の方向と前記減衰力可変ダンパのストローク方向とが同一とみなすことにより、当該減衰力可変ダンパの伸び側と縮み側とに対して同一の制御量を設定することを特徴とする、請求項1に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
- 運転者によって切換操作される減衰モード切換手段を更に備え、
前記制御量設定手段は、前記減衰モード切換手段の切換状態に応じ、前記第1判定範囲と前記第2判定範囲の少なくとも一方を拡大あるいは縮小することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。 - 前記減衰モード切換手段は、ノーマルポジション、スポーツポジションおよびコンフォートポジションの3段階に切り換えるものであり、
前記制御量設定手段は、前記第1判定範囲を設定する際に、前記スポーツポジションの場合には前記第1判定範囲を縮小し、前記コンフォートポジションの場合には前記第1判定範囲を拡大し、前記第2判定範囲を設定する際に、前記スポーツポジションの場合には前記第2判定範囲を拡大し、前記コンフォートポジションの場合には前記第2判定範囲を縮小することを特徴とする、請求項3に記載された減衰力可変ダンパの制御装置。
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