JP2011016389A - 減衰力可変ダンパの制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】判定補正部54において、周波数判定部62がメモリ61に記憶されている過去0.5秒間の分量の目標電流値データを読み出し、該データのFFT処理を行い、電流補正部63が周波数判定部62から入力されるFFT処理データを予め設定されている閾値Sと比較してばね下共振周波数付近の出力となるか否かを判定する。電流補正部63は、閾値Sを超えていた場合、予め備えている目標電流Itgtの複数の候補から、ばね下共振周波数を避けるために設定される出力不可能範囲を避け、出力可能範囲に入る目標電流Itgtを選択して出力インタフェース55を介して各ダンパ4のMLVコイルへ目標電流Itgtを出力する。
【選択図】図3
Description
そこで、ダンパがばね下共振を起こしているか否かを判定し、この判定でばね下共振を起こしている場合、減衰力可変ダンパの目標電流を所定の遅延時間をもって遅らせる遅延処理を行った後、目標電流に応じた駆動電流を各ダンパに出力する減衰力可変ダンパの制御装置が特許文献1に開示されている。
図11は、ダンパにばね下共振周波数付近の減衰力を加えない場合のシミュレーションを行った結果を示す図である。電流がゼロアンペアに対して発生減衰力が定常状態としてほぼ横ばいであり、そのときのばね下速度が緩やかに記録されている。
従って、ダンパが目標減衰力を出力するため、駆動電流等の出力値が経過的にばね下共振周波数付近で出力されると、ばね下が共振して暴れることにより車輪の接地性が悪化し、乗り心地に悪影響を与えるという問題があった。
請求項1に記載の発明によれば、減衰力可変ダンパが引き起こすバネ下共振周波数前後の出力を避けるように目標電流を出力することができるので、減衰力可変ダンパの減衰力制御によりばね下共振が発生するのを抑制し、車輪の接地性を確保して乗り心地を向上させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、減衰力可変ダンパが引き起こすばね下共振周波数前後の出力になるか否かを容易に判定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、減衰力可変ダンパが引き起こすバネ下共振周波数前後の出力となる目標電流の範囲を予測することができ、該目標電流の範囲を避けた値を出力するように補正し、該減衰力可変ダンパの減衰力制御によるばね下共振が発生するのを抑制することができる。
図1は、実施形態に係る減衰力可変ダンパの制御装置を適用した4輪車両の概略構成図であり、図2は、減衰力可変ダンパの縦断面図である。
まず、図1を参照して、本実施形態に係る減衰力可変ダンパの制御装置を適用した4輪車両の概略構成を説明する。
説明に当たり、4個の車輪やそれらに対して配置された装置や部材(タイヤやサスペンション装置等)や、後記する図2、図3、図4における4個の車輪それぞれに対して設けられた機能構成部や、目標電流等の信号については、それぞれの装置、部材、機能構成部を示す数字の符号や、目標電流等の信号を示す英文字符号の後に、左前輪を示す符号fl、右前輪を示す符号fr、左後輪を示す符号rl、右後輪を示す符号rrをそのまま付すか、添え字として付して、例えば、車輪3fl,3fr,3rl,3rrと記載するとともに、総称する場合には、それらの符号を外して、例えば、車輪3と記載する。
車両100には、車体1に搭載された各ダンパ4の減衰力を統括制御するECU(Electronic Control Unit)7や、EPS(Electric Power Steering:電動パワーステアリング)8が設置されている。
ECU7は、マイクロコンピュータやROM、RAM、周辺回路、入出力インタフェース、各種ドライバ等から構成されており、通信回線を介して各車輪3のダンパ4や各センサ9〜14と接続されている。
図2に示すように、本実施形態のダンパ4は、モノチューブ式(ド・カルボン式)であり、MRFが充填された円筒状のシリンダチューブ21と、このシリンダチューブ21に対して軸方向に相対動するピストンロッド22と、ピストンロッド22の先端に装着されてシリンダチューブ21内を上部油室24と下部油室25とに区画するピストン26と、シリンダチューブ21の下部に高圧ガス室27を画成するフリーピストン28と、ピストンロッド22等への塵埃の付着を防ぐカバー29と、フルバウンド時における緩衝を行うバンプストップ30とを主要構成要素としている。
図2に示すように、ピストン26には、上部油室24と下部油室25とを連通する環状連通路39と、環状連通路39の内側に配設されたMLVコイル40とが設けられている。ECU7からMLVコイル40に電流が供給されると、環状連通路39を流通するMRFに磁界が印加されて強磁性微粒子が鎖状のクラスタを形成し、環状連通路39内を通過するMRFの見かけ上の粘度が上昇する。
図3は、ECU7に内装されるダンパ制御装置50の概略構成を示す図である。ダンパ制御装置50は、前記した各センサ9〜14等が接続される入力インタフェース51と、センサ9〜12,14等から入力した検出信号に基づき各ダンパ4の目標減衰力Dtgtを設定する減衰力設定部52と、設定された目標減衰力Dtgtとストローク速度Ssとに応じて各ダンパ4(MLVコイル40)への目標電流Itgtを生成する目標電流生成部53と、生成された目標電流Itgtの0.5秒間の分量のデータから周波数を判定して補正する判定補正部54と、判定補正部54からの目標電流Itgtを各ダンパ4に出力する出力インタフェース55とを備えている。
なお、本実施形態の減衰力設定部52には、スカイフック制御に供されるスカイフック制御部57と、ロール制御に供されるロール制御部58と、ピッチ制御に供されるピッチ制御部59とが収容されている。
図4は、判定補正部54の概略構成を示す図である。
判定補正部54は、目標電流生成部53から入力される目標電流Itgtの過去0.5秒間のデータを記憶するメモリ61と、メモリ61に記憶された0.5秒間の分量のデータを高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform)処理(以下、FFT処理と記す)を行って周波数を判定する周波数判定部62と、周波数判定部62の判定結果に応じて目標電流Itgtを補正する電流補正部63とを各車輪3ごとに備えている。
次に、このような構成において目標減衰力の設定処理について図5のフローチャートを参照して説明する。
車両100が走行を開始すると、ダンパ制御装置50では、減衰力設定部52が、所定の処理インターバル(例えば、2ms)をもって目標減衰力設定処理を実行する。
減衰力設定部52は、目標減衰力設定処理を開始した際、横Gセンサ10、前後Gセンサ11、および上下Gセンサ14から得られた車体1の各加速度や、車速センサ9から入力された車速、操舵角センサ(図示せず)から入力された操舵速度等に基づいて車両100の運動状態を判定する(S1)。
続いて減衰力設定部52は、各ダンパ4のストローク速度Ssが正の値であるか否かを判定する(S5)。
また、ステップS5の判定が正の値でなかった場合(ダンパ4が縮み側に作動している場合、S5:No)、減衰力設定部52は、3つの制御目標値Dsh,Dr,Dpのうち値が最も小さいものを目標減衰力Dtgtに設定し(S8)、目標電流生成部53に目標減衰力Dtgtを出力する(S7)。
図6は、目標減衰力とストローク速度とに対応する電流値の関係(目標電流マップ)を示す図である。縦軸は減衰力(N)を示し、中央から上方向がダンパの伸び側であり、中央から下方向がダンパの縮み側である。横軸はストローク速度(m/s)を示し、中央から右方向がダンパの伸び側であり、中央から左方向にダンパの縮み側である。すなわち、ステップS5の判定で正の値であれば、ダンパ4が伸び側に作動している場合であるので図6の右上1/4面に示す電流値を参照して目標減衰力とストローク速度とに対応して目標電流として生成される。また、ステップS5の判定で正の値でなければ、ダンパ4が縮み側に作動している場合であるので図6の左下1/4面に示す電流値を参照して目標減衰力とストローク速度とに対応して目標電流として生成される。
目標電流生成部53は、図6に示す目標電流マップを参照して、減衰力設定部52から入力される目標減衰力Dtgtと、ストロークセンサ13から入力されるストローク速度Ssとに対応する目標電流Itgtを生成して判定補正部54へ出力する(図3参照)。
次に、判定補正部54の判定補正動作について図7のフローチャートを参照して説明する。
判定補正部54は、メモリ61に目標電流生成部53から入力される目標電流Itgtの0.5秒間の分量のデータ(目標電流値)を記憶する(S11)。
図8は、メモリ61に記憶された過去0.5秒間の目標電流値データの例を示すものである。縦軸は電流値を示し、横軸は時間を示している。
図9は、FFT処理を行ったあとのFFT処理データの例を示すものである。縦軸はゲインであり、横軸は周波数(応答)を示している。
図9では、12Hz付近で閾値Sを超えている状態を示している。
電流補正部63は、前記第1の信号を受け取った際、目標値電流生成部53から入力される目標電流Itgtを補正(選択)する。具体的に電流補正部63は、ばね下共振周波数を避けるために予め備えている目標電流Itgtの複数の候補から目標電流Itgtを選択し(S14)、該選択した目標電流Itgtを出力インタフェース55を介して各ダンパ4のMLVコイル40へ出力する(S15)。
電流補正部63は、前記第2の信号を受け取った際、目標値電流生成部53から入力される目標電流Itgtを出力インタフェース55を介して各ダンパ4のMLVコイル40へ出力する(S16)。
なお、前記実施形態では、車体側のセンサで制御を行っていたが、各ダンパのばね下に路面センサ(ストロークセンサ等)を設け、この路面センサからの出力に基づいてダンパのばね下共振を避ける制御を行うようにしても良い。
また、減衰力可変ダンパの減衰力調整のために入力される電力値を用いてダンパのばね下共振を避ける制御を行うようにしても良い。
なお、前記実施形態では、過去0.5秒間の目標電流値データを用いたが、過去0.5秒間に限らず、要は周波数の判定を行うことができれば良い。
3 車輪
4 減衰力可変ダンパ
7 ECU
13 ストロークセンサ
50 ダンパ制御装置
52 減衰力設定部(減衰力設定手段)
53 目標電流生成部(目標電流生成手段)
54 判定補正部
61 メモリ
62 周波数判定部(周波数判定手段)
63 電流補正部(電流補正手段)
100 車両
Claims (3)
- 車体と車輪との間に配置されたダンパの減衰力を可変制御する減衰力可変ダンパの制御装置であって、
前記車体の運動状態、あるいは路面の状態に応じて目標減衰力を設定する減衰力設定手段と、
前記減衰力設定手段の設定結果と前記減衰力可変ダンパのストローク速度とに基づいて、前記減衰力可変ダンパに出力する目標電流を生成する目標電流生成手段と、
前記目標電流生成手段により生成された目標電流を用いて、前記減衰力可変ダンパが引き起こすばね下共振周波数前後の出力となるか否かを判定する周波数判定手段と、
前記周波数判定手段による判定に応じて、前記目標電流生成手段により生成される目標電流を補正する電流補正手段と、
を備えることを特徴とする減衰力可変ダンパの制御装置。 - 前記周波数判定手段は、所定時間内の目標電流の出力値に基づいて周波数成分を取得し、該周波数成分のうち前記バネ下共振周波数前後の値が所定の閾値を超えた際、前記減衰力可変ダンパが引き起こすばね下共振周波数前後の出力となると判定することを特徴とする請求項1に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
- 前記電流補正手段は、前記周波数判定手段がばね下共振周波数前後の出力となると判定した際、前記目標電流生成手段により生成される目標電流を前記ばね下共振周波数を避ける範囲に補正することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減衰力可変ダンパの制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2009160623A JP2011016389A (ja) | 2009-07-07 | 2009-07-07 | 減衰力可変ダンパの制御装置 |
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WO2013065561A1 (ja) * | 2011-11-02 | 2013-05-10 | Ntn株式会社 | インホイールモータ車両用サスペンションシステム |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006273222A (ja) * | 2005-03-30 | 2006-10-12 | Honda Motor Co Ltd | 可変減衰力ダンパーの制御装置 |
JP2008238923A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Honda Motor Co Ltd | 減衰力可変ダンパの制御装置 |
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2009
- 2009-07-07 JP JP2009160623A patent/JP2011016389A/ja active Pending
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