JP5260109B2 - 銅合金部材及び熱交換器 - Google Patents

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Description

本発明は、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの抑制機能を有する銅合金部材及びそれを組み込んだ熱交換器に関し、特に、遊離炭酸を多く含む地下水等が使用される場合に冷水部で生じ易いI型孔食及び残留塩素を0.5mg/L以上含む水道水等で50℃以上の温水部に生じ易いII型孔食を生じにくくする銅合金部材及び熱交換器に関する。
近時、超臨界状態の二酸化炭素冷媒又はフロン系冷媒により水が加熱される熱交換器が実用化され、給湯及び床暖房等の用途に多用されるようになってきた。このような熱交換器を構成する部材として、冷媒の圧力が極めて高くなるために、必要な強度及び熱効率を維持するために、必要な熱伝導性を兼ね備えていることから、銅又は銅合金部材が使用されている。
このような熱交換器は設置スペースが限定されることが多く、限られた体積でできるだけ高温の水が得られるように、例えば貯湯式給湯器ヒートポンプシステムでは、加熱される水の流速は一般に1L/分と小さく設計されている。水の流速が小さいことから、熱交換器の水と接触する部分に炭酸カルシウム又はこれを主体とするスケールが付着しやすい。炭酸カルシウムの水への溶解度は水温が高いほど低下するため、水温が高くなる部分において炭酸カルシウムが特に析出しやすい。このため、水温が高温になる部分ほどスケール付着が発生しやすくなる。また、一旦スケールが付着した部分では、付着したスケールの温度が高いことと、水の流速が小さいこと等から、スケールの更に一層の付着が進み、スケールが厚く成長してしまう。このように形成されたスケールにより、熱交換効率の低下、水通路の断面積減少による流通水量の低下、ポンプ圧の上昇及びポンプの消費電力増大等の問題が発生し、その改善が求められている。
水を冷却媒体又は加熱媒体として循環して使用する熱交換器においては、カルシウム系スケールの防止のため、マレイン酸、アクリル酸、又はイタコン酸等を重合したカルボキシル基を有する重合体等のスケール防止剤が循環水に添加されている。
一方、飲用又は風呂用の給湯水を加熱する熱交換器等においては、その性質上、スケール防止剤を添加することができない。スケール防止剤の添加以外の熱交換器におけるスケール付着防止方法として、熱交換器内面へフロロシリコン又はフッ素樹脂を被覆したり(特許文献1)、二重管式熱交換器において、外管の曲げ半径をこの外管の内径の3倍以上とすることによりスケールによる管の閉塞までの期間を延長させたり(特許文献2)、冷却水が通流する管内にねじり板を回転自在に設け、このねじり板により形成される乱流によりスケールの付着を防止したり(特許文献3)、水系流体として冷却水を循環させる循環路を形成する配管に、前記配管の少なくとも一部に磁場を形成する磁気処理部を設けると共に、前記冷却水に磁性体を添加したり(特許文献4)、内部に冷媒用流路が形成された内管と、内管の外側に設けられ、内管との間に水用流路が形成された外管とを有し、渦巻状に曲成された2重管式熱交換器において、水用流路を水が内側に向かって渦巻状に流通するように形成された内巻き2重管を有する熱交換ユニットと、水用流路を水が外側に向かって渦巻状に流通するように形成された外巻き2重管を有する熱交換ユニットとが交互に積層されており、水の出口側の熱交換ユニットには外巻き2重管が設けられた構造としたり(特許文献5)、銅又は銅合金製基材からなる部分と、前記部分の少なくとも使用時に水と接しうる面に親水性被膜を形成したり(特許文献6)、流路出側近傍の高温部位における流路断面積を大きくしてスケールがいくらか溜まっても給湯機能を損なわないようにしたり(特許文献7)、磁気処理によりスケールの付着を防止する等、種々の方法が提案されている。
また、特許文献8には、内部に第1流体用流路を形成する内管と、この内管の外側に設けられ、内管との間に第2流体用流路を形成する外管とを有し、第1流体用流路と第2流体用流路との境界面に漏洩検知溝が設けられた2重管式の熱交換器において、内管を流れる第1流体が冷媒で、外管を流れる第2流体が水である熱交換器であって、冷媒用流路の断面積に対する水用流路の断面積の割合が3.5乃至24.5となるように形成されている熱交換器が提案されて(請求項3)おり、実用化されている。更に、特許文献8に記載の熱交換器においては、冷媒用流路の断面積に対する水用流路の断面積の割合を特定することによって、熱交換性能を維持しつつ、スケールによって外管が閉塞するまでの耐用年数を延ばすことができることが開示されている。
他方、全国の水道水でまちまちである水質溶解成分の構成によっては、水温15℃程度以下の低温部で遊離炭酸15mg/L以上であるときに水流部分の内表面に残留した潤滑油に由来する残留炭素量が5mg/m以上あると生じ易くなるI型孔食、及び、水温50℃以上の温水で残留塩素が0.5mg/L以上である場合に生じ易くなるII型孔食が、りん脱酸銅部材及び銅合金部材の種類によって稀に発生し、温水又は冷媒を漏洩させて問題となることがある。
このような問題に対しては、銅合金部材にZr,P,Sn,又はAg等の元素を添加することにより、耐孔食性を向上させた銅合金部材が提案されており、一部実用化されている(特許文献9及び10)。
特開昭61−149794号公報 特開2005−69620号公報 実開平2−109190号公報 特開2005−238023号公報 特開2005−147569号公報 特開2002−98496号公報 特開2002−147569号公報 特開2005−69620号公報 特許第3374398号公報 特開平6−184669号公報
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、それなりの厚さを有する皮膜が形成されるので、熱伝導率の低下を招きかねない。特許文献2に記載の発明は、スケール付着を積極的に防止するものでなく、スケールが付着することを前提として熱交換器の使用可能期間の延長を図るものである。実際には、特許文献2に記載の従来技術においては、水温が高くなる部分に炭酸カルシウムを主体とするスケールの付着が避けられず、それによる熱交換性能の低下及び流通水量の低下等を防止することは難しい。また、特許文献3に記載の発明は管内に回転可能なねじり板を設置するものであるが、二重管式冷媒管、管に曲がり部がある場合、管の内径が小さい場合には適用できず、実際的ではない。特許文献4に記載の従来技術は水中に亜鉛等の金属イオンが溶出し汚染されるため、水が人体に接触するような使用目的には適さない。特許文献5に記載の発明は熱交換器出側で銅管の直線部を長くすることにより、水中に浮遊するスケールの沈積を抑制することができるが、銅管壁へのスケール析出については抑制できず、効果が不十分である。特許文献6に記載の発明は水温が比較的低温では、親水性皮膜による局所的な高温部をなくす効果が表れやすいが、高温の水では全体的にスケール生成温度になるため、効果が不十分である。特許文献7及び8に記載の発明は水温が高温になる部位での熱交換率を犠牲にしてしまい、流路断面積を広げない場合と同等の熱交換率を確保するためには更に流路長さを取らなければならなくなり、機器のコンパクト化や設計の自由度を阻害していた。
また、磁気処理による方法は熱交換器の一部に強力な磁石を設置し、管内の水に磁力を作用させることにより、スケール付着を防止しようとするものであるが、強磁場を発生させる磁石そのものが高価である、熱交換器筐体の限られたスペースに磁石を組み込むことが難しい等の問題点がある。
特許文献9及び10に記載の従来技術は、水質及び使用環境によって形態が異なるI型孔食及びII型孔食のうち、II型孔食に対応したものであるが、近年の自然環境保護意識の高まりから地下水を使用する家庭が増えており、I型孔食が発生する虞がある環境での使用機会も増加している。これらの銅合金材は、りん脱酸銅部材と同様の方法で製造されるものであり、その表面に残留する残留炭素が影響するI型孔食を防止できるには至っておらず、依然として問題を残していた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、炭酸カルシウムを主成分とするスケールが付着しにくく、水が間接的に又は直接加熱される熱交換器においても、水が接触する部分にスケールが付着せず、使用の過程で熱交換性能が低下せず、水質によって稀に発生する孔食が発生しないスケール付着抑制機能を有した銅合金部材及びそれを組み込んだ熱交換器を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、特に、遊離炭酸を多く含む地下水等が使用される場合に冷水部で生じ易いI型孔食及び残留塩素を0.5mg/L以上含む水道水等で50℃以上の温水部に生じ易いII型孔食が生じにくい銅合金部材及びそれを組み込んだ熱交換器を提供することにある。
更に、本発明の他の目的は、冷媒が流れる冷媒管と、水が流れる水流路とを有し、冷媒管内の冷媒により水流路の水を加熱する熱交換器において、水温が高温になる部位での熱交換率を低下させることなく、スケール付着抑制機能を有した熱交換器を提供することにある。
本発明に係る銅合金部材は、Zrを、母相中に固溶体、単体及び/又は化合物として、0.005乃至0.2質量%(化合物の場合はZr換算値)含有し、更に、Snを0.05乃至3.0質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる組成を有し、Zr及びSnについてSIMS分析結果から得られた深さ方向分布チャートの深さ500nmまでのところに認められる最大値Ixmax及び最小値Ixminの比Ixmax/Ixmin(但し、xはZr及びSnを示す)がいずれも3以上であることにより、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着を抑制したことを特徴とする。
銅合金中にZrを含有することにより、銅合金材の表面へのスケールの付着を抑制することができる。このZrは固溶体、単体又は化合物として銅合金母相中に存在するものであるが、Zrの化合物には、CuZr等のCu−Zr化合物、ZrP、ZrP等のP−Zr化合物、ZrO等のZr酸化物、ZrCu等のZr−Cu−O複合酸化物等がある。しかし、Zrの化合物はこれらの種類に限らず、析出物の形で母相に存在するものであれば、いずれの形態でもスケール付着防止に寄与することができる。また、析出物でなく、母相中に固溶している状態と、Zr単体で存在している場合でも、スケール付着防止に寄与する。しかし、Zr化合物は析出物の状態で表面近傍に濃化しているほうがより効果的である。
更に、Pを0.001乃至0.2質量%含有し、PについてSIMS分析結果から得られた深さ方向分布チャートの深さ500nmまでのところに認められる最大値IPmax及び最小値IPminの比IPmax/IPminが3以上であることにより、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着を抑制したことが好ましい。
更に、Znを0.05乃至5.0質量%含有することが好ましい。
この銅合金部材は、表面に付着した残留炭素量が10.0mg/m以下であることが好ましい。
更にまた、本発明においては、表面に銅の酸化皮膜が形成されており、CuOに換算した銅の酸化皮膜厚さが、0.1乃至100nmであることが好ましい。
本発明に係る熱交換器は、水が流通する水流路と、冷媒が流通する冷媒管とを有し、前記冷媒管内の冷媒により前記水流路の水を加熱する熱交換器において、水と接触する前記水流路及び/又は前記冷媒管の少なくとも一部が前述の銅合金部材で構成されていることを特徴とする。
本発明に係る他の熱交換器は、前記水流路の流路断面積をA、前記冷媒管の流路断面積をBとするとき、前記水流路断面積の前記冷媒管流路断面積に対する比A/Bが1.0乃至12.3であることを特徴とする。
更に、前記水流路断面積の前記冷媒管流路断面積に対する比A/Bが1.0乃至3.5であることが好ましい。
この本発明の熱交換器において、前記水流路は、例えば、水流管である。そして、前記冷媒管が、前記水流管の内部に配置されていることが好ましい。また、前記水流管が、内面溝付管であることが好ましい。
また、前記冷媒管が、その外面を前記水が流れる大径管と、前記大径管内に配置され内部を前記冷媒が通流する小径管とを有するように構成することが好ましい。そして、前記大径管と前記小径管との間に、前記水又は冷媒の漏洩を検知する検知部が設けられていることが好ましい。そして、前記小径管の内面に管軸方向に平行又はねじれ角を有する複数の溝が形成されていることが好ましい。また、前記冷媒管における大径管外表面の少なくとも一部にフィンが形成されていることが好ましい。
本発明によれば、カルシウム硬度が高く高温の水に接触したり、又は自らが高温になる銅合金部材において、炭酸カルシウムを主成分としたスケールの付着を抑制することができる。また、これを水流部又は冷媒管外面に用いた熱交換器とすることで、水温が80℃以上になる部位でより多く発生し、水流部又は冷媒管外面に炭酸カルシウムスケールが付着することによる熱交換効率の低下、熱交換性能の低下、流通水量の低下、ポンプ圧の上昇及びポンプの消費電力増大等の問題が発生することを防止することができ、省エネルギーに貢献する熱交換器を提供することができる。また、前記銅合金部材は、そのまま使用することで表面に炭酸カルシウムスケールの付着を抑制する機能を有しているので、熱交換器に組み込むための特殊な処理は不要であり、実用性が優れている。
また、遊離炭酸を多く含む地下水等が使用される場合に、冷水部で生じ易いI型孔食及び残留塩素を0.5mg/L以上含む水道水等で50℃以上の温水部に生じ易いII型孔食を生じにくくすることができる。このため、本発明の銅合金部材は、汎用性が極めて高い。
更に、本発明の熱交換器によれば、冷媒が流れる冷媒管と、水が流れる水流路とを有し、冷媒管内の冷媒により水流路の水を加熱する熱交換器において、水温が高温になる部位での熱交換率を低下させることなく、スケール付着抑制機能を有した熱交換器が得られる。更に、水流路の流路断面積と冷媒が流れる冷媒管の流路断面積との関係を特定することで、この熱交換器が組み込まれる機器のコンパクト化に有利であると共に、設計の自由度を高めることが可能である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
炭酸カルシウムスケールはCa(HCO→CO+HO+CaCOの反応によって生成するが、この反応は水温が高いほど速やかに進行する。スケールが銅管に付着する機構としては、生成したCaCO微粒子が銅管壁に付着し、それが核となって、スケールが成長すると考えられる。従って、CaCO微粒子が銅管壁に付着することを防止すれば、スケール付着を抑制することができることになる。CaCOの表面は負に帯電していることが知られている。これに対し、銅の表面に存在するCuOは正に帯電しており、互いに引力が作用して、結果的に銅部材表面にCaCOスケールが付着し、堆積する。
これに対し、本願発明者は、Zrを銅母材中に含有させたときに生成するあらゆる析出物がCaCOスケールと同じ負に帯電し、これを含有した銅合金には、CaCO微粒子が付着せず、スケールが堆積しないことを見出した。
また、水温が50乃至90℃の高温領域において、残留塩素を例えば1ppm以上含んだ水質で生じ易いII型孔食に対して有効な添加元素であるSnを添加し、これを適量の酸素を含んだ不活性ガス又は還元ガス雰囲気中で熱処理することにより、添加元素の酸化物を適正に表面に濃化させ、耐スケール性と耐孔食性を同時に持たせることができることを見出した。
一方、市場で汎用的に使用されることが多いりん脱酸銅部材の場合、水温15℃以下の低温状態で遊離炭酸を15mg/L以上含んだ水に接触したときに、その表面に付着している残留炭素量が5.0mg/mを超えていると、I型孔食が発生し易いといわれている。本発明の銅合金部材表面においては、その表面に残留炭素量が10.0mg/m以上付着していると、銅のI型孔食を発生させる可能性が高くなることがわかった。前記銅合金部材は、その適切な添加元素の深さ方向分布を有することにより、II型孔食に対し、優れた耐孔食性を有するが、前記I型孔食に対しては不十分であり、表面残留炭素量を10.0mg/m以下にすることが好ましい。
表面に残留した加工用潤滑油分が主に焼鈍工程又は熱処理工程で焼きついて残留炭素を生成するが、残留炭素量が規定量以下であるような表面を有する銅合金部材を製造する方法としては、必ずしもこれに限ったものではない。即ち、所定の酸素を混合した不活性ガス又は還元性ガス雰囲気中で焼鈍若しくはこれに類する熱処理を施す方法、水素雰囲気中で焼鈍若しくはこれに類する熱処理を施す方法、有機溶剤若しくは脱脂洗浄剤等で油分を洗浄した後に通常の焼鈍工程を実施する方法、又は、誘導加熱焼鈍若しくは通電加熱焼鈍のように比較的短時間で部材温度が焼鈍温度に到達する方法等、種々の方法が適用可能である。
前記スケール付着防止機能を更に効果的に得るためには、添加元素をより多く含有させればよいが、これに伴う素材の強度上昇により、特に管材では押出し工程における力量不足と、抽伸工程における抽伸破断など、設備の付加増大による不具合が頻発するようになる。なるべく少ない添加元素量で効果的な機能を得るには、焼鈍又は熱処理工程時の雰囲気中に10乃至200ppmの酸素を混合して処理するとより良い。微量酸素の存在下で高温に曝すことにより、銅母材の過剰な酸化を抑えつつ、母材表面近傍に酸素が侵入し、添加元素が酸化され、内部酸化が起こる。これにより、母材表面層に金属状態の添加元素が欠乏するため、材料内部から添加元素が拡散し、この添加元素の拡散が継続して添加元素が表面に濃化してくる。この濃化した添加元素がスケール付着防止機能を有するので、添加量のわりに大きな効果を得ることができる。
以下、本発明の銅合金部材の組成限定理由について詳細に説明する。
「Zr:母相中に固溶体、単体及び/又は化合物として、0.005乃至0.2質量%(化合物の場合はZr換算値)含有」
Zr含有量が0.005質量%を下回ると、スケール付着防止効果が得られない。また、Zr含有量が0.2質量%を超えると、機械的性質の変化に伴い曲げ加工時にしわが出るようになる。また、銅合金部材の表面に存在するZr酸化物の量が多くなり、ろう材の濡れ広がり性が低下する。
「Snを0.05乃至3.0質量%含有」
Snは部材に耐II型孔食性を付与する。Sn含有量が0.05質量%を下回ると、耐II型孔食性が不十分となる。Snが3.0質量%を超えると、機械的性質の変化に伴い、曲げ加工時にしわが出るようになる。また、銅合金部材の表面に存在するSn酸化物の量が多くなり、ろう材の濡れ広がり性が低下する。
「Pを0.001乃至0.2質量%含有」
本発明において、Pは通常、溶解工程及び鋳造工程で脱酸剤として添加するが、脱酸の必要が無ければ、添加されていなくても所望の特性は損なわない。しかし、添加されたPは表面で負に帯電していると考えられ、スケールの生成及び付着を抑制する効果がある。このため、Pは0.2質量%以下であれば含有しても良い。Pが0.001質量%未満の場合は、その効果は期待できない。また、Pが0.2質量%を超えると、鋳造工程において欠陥を生じるようになり、その後の工程を経ても品質を維持できなくなる。また部材の耐食性にも影響し始める。
「Znを0.05乃至5.0質量%」
Znは、各種元素を含有することにより加工性が低下する虞がある本発明の銅合金部材に対し、優れた加工性を付与する。特に、板材及び管を所定の寸法に切断する際の工具寿命を延長する効果があると共に、板及び管の表面に転造又は圧延等で溝加工する際の工具寿命を延長する等の効果が期待できる。Zn含有量が0.05質量%を下回ると、その効果は不十分となる。Zn含有量が5.0質量%を超えると、その効果は飽和し、部材の強度が必要以上に上昇するので、曲げ加工等の塑性加工に不具合が生じる。また、Zn含有量が5.0質量%を超えると、水環境での使用中に耐食性が低下し始め、脱亜鉛腐食及び応力腐食割れ等への影響が出始める。なお、Zn含有量が多くなるほど、銅合金管が加工硬化しやすくなるので、特に銅合金管を加工する場合、りん脱酸銅に比べて焼鈍回数が増加し、加工コストの上昇を招く。従って、加工性を重視する場合にはZnの含有量を3.0質量%以下とすることが望ましい。
「銅合金部材表面に付着した残留炭素量が10.0mg/m以下」
本発明の銅合金部材がI型孔食条件の水流中で使用される場合においては、その表面に付着した残留炭素量が10.0mg/mを超えると、I型孔食が生じやすくなる。銅合金部材表面の残留炭素の付着量が少ないほど、I型孔食が生じる可能性は低くなり、5.0mg/mより少なければより好ましく、更に2.0mg/mより少なければ更に好ましい。
「CuOに換算した銅の酸化皮膜の厚さが、0.1乃至100nm」
本発明の銅合金部材において、銅の酸化皮膜が厚くなりすぎると、表面に存在する添加元素の化合物等を覆い隠してしまう。しかし、銅の酸化物そのものはスケール防止効果を有しない。このため、CuOに換算した銅の酸化皮膜の厚さが、0.1乃至100nmにすることが好ましい。銅酸化皮膜の厚さが0.1nmを下回ると、そもそも銅のもつ耐食性を維持する保護皮膜としての効果が失われる。銅酸化皮膜の厚さが100nmを超えると、スケール防止効果が発現しなくなる。従って、銅の酸化皮膜は表面により薄く存在しているほうがよいので、0.1乃至50nmであれば好ましく、更に0.1乃至20nmであればより好ましい。
以下に、本発明の銅合金管を制作して得られるSIMS分析の測定例を示す。
0.26質量%Sn,0.03質量%Zr及び0.028質量%Pを含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる、外径15.88mm×肉厚0.71mm×長さ1000mmの銅合金管硬質材(引抜加工まま材)を、ローラハース炉により一酸化炭素2体積%及び水素4体積%と窒素93.999体積%に混合された還元性ガスに40ppmの酸素を混合した雰囲気中で、焼鈍温度630℃×加熱時間20分×冷却時間10分の焼鈍工程を経た供試材を製作した。炉内露点は10℃とした。
Sn,Zr,Pはいずれも正イオン検出条件で検出される元素なので、正イオン検出条件のみで分析を実施した。図14は、当該銅合金管内表面の添加元素について、下記条件でのSIMS分析により深さ500nmまでの深さプロファイル測定を実施した結果である。
含有元素が表面に有効に濃化していることを示す指標として、次のことを定義した。それぞれの含有元素についてSIMS分析結果から得られた深さ方向分布チャートの深さ500nmまでのところに認められる最大値IXmax(X:各含有元素記号)及び、同最小値IXminにおいて、それらの比IXmax/IXminが3以上であることが好ましい。図14の測定例において、Zr,Sn,PにおけるIXmax/IXminの比は、それぞれ、Zr:7.5,Sn:9280,P:1370であった。
このようにして製作される銅合金部材又は熱交換器は、Zr及びその化合物の効果により、優れたスケール付着防止効果を有すると共に、水又は温水に接触する用途においても耐食性を有し、特にI型/II型孔食に対する耐食性が優れている。また、添加元素を含有することによって、従来のりん脱酸銅が有する優れた加工特性及びろう付け性を、維持している。このような銅合金部材は、COガスを冷媒に使用した貯湯式給湯器ヒートポンプシステムのガスクーラー用熱交換器に使用すると、その効果が大きい。従来、スケールが付着する虞があるため、内面溝付伝熱管を使用を避けてきたが、本発明によれは、熱交換効率を重視した設計の自由度を、特別な後処理無く得ることができる。
なお、Al,Si,Pb,S,Li,Se,As,Ca及びInは総計で0.03質量%以下までなら含有させても、本発明の銅合金部材のスケール付着防止機能及び耐I型/II型孔食性を劣化させることは無く、また優れたろう付け性及び曲げ加工性を損なうことが無い。よって、この範囲であれば、これらの元素の添加は許容される。
添加元素の母材中の表面近傍における深さ方向分布は、SIMS分析により行うことができる。以下、SIMS分析の詳細な手順を示す。深さ方向分析には他に、オージェ電子分光分析法があるが、添加量が1原子%を下回ると、分解能の低さから、対象の元素がノイズに隠れて検出できなくなる。本発明の特徴である各添加元素及びリンの深さ方向分布測定には、より元素の検出感度が優れたSIMS分析を使用することが好ましい。
このSIMS分析(二次イオン質量分析法)による深さ方向の元素分布測定方法について説明する。SIMS分析は母材中にppmオーダーで存在する金属を検出することが可能である。SIMS分析は定量性に劣るため、下記の分析条件を固定して同時に測定する銅の二次イオン(Cu及びCu2−)強度の深さ約2000nm前後における平均値が夫々5×10及び1×10となる係数を各元素の二次イオン強度にかけて処理することにより、各元素における固有の深さプロファイルを作成する。
本願特許請求の範囲に規定する添加元素の深さ方向の濃度分布の分析方法は、下記の詳細条件による。先ず、一次イオン注入によるスパッタリングにより深さ方向分析を約2000nmまで行う。本発明の実施形態においては、深さ約2000nmまで測定を行えば、これより深い部位では二次イオン強度の変動はほぼ認められないため、深さ2000nmまでの各種元素の二次イオン強度を求めてその最小値を最小強度Iminとする。
上述の如くして各元素について表面から深さ500nmまでに現れる二次イオン強度を測定し、その極大値ピーク値をImaxとし、ImaxとIminとの比Imax/Iminが3以上であれば、添加元素の含有量に対して同等以上のスケール付着防止効果又は、耐孔食効果を発現するので好ましい。
測定深さは、分析終了後、スパッタリングにより生じるスパッタクレータの深さを表面粗さ計(Sloan社製Dektak3030)で測定し、段差標準試料(9090ű5%)により校正する。
試料の表面凹凸が大きい場合は、表面の平滑な母材サンプルを使用して同様の測定を行い、スパッタクレータ深さ測定値とスパッタ時間からスパッタ速度を求める。このスパッタ速度は、ATOMIKA社製4500型二次イオン質量分析装置により測定することができる。
正イオン(Cu,Sn,Zr,P)検出条件は以下のとおりである。
一次イオン条件:O ,加速電圧3keV,電流50nA,入射角度45度
照射領域:約250×350μm
分析領域:約78×110μm
二次イオン極性:正
帯電補正:無し。
その結果、スパッタ速度は約9.2nm/分と求まる。
一般的に、電気的陽性元素(Li,B,Mg,Ti,Cr,Mn,Fe,Ni,Mo,In,Ta等)を分析する場合には、酸素イオンを照射して正の二次イオンを検出し、電気的陰性元素(H,C,O,F,Si,S,Cl,As,Te,Au等)を分析する場合には、Csイオンを照射して二次イオンを検出すると、感度良く測定できる。
このような部材を、例えば、COを冷媒に用いたヒートポンプ式給湯器用水熱交換器に使用することができる。COを冷媒に使用したヒートポンプ式給湯器(エコキュート(登録商標))用水熱交換器は、電気料金が安価な夜間電力を利用して夜間に80乃至90℃の高温の水を炊き上げ、貯湯タンクに貯めるため、従来のガス給湯器及び瞬間湯沸かし器よりも水温は格段に高い。前記CO冷媒ヒートポンプ式給湯器用水熱交換器は、水質によってはカルシウム等の硬度成分と炭酸成分との反応により高い水温で生成される炭酸カルシウムスケールが管壁に付着する。これが継続され、水流部の流路が閉塞したり、圧力損失が上昇する場合などがある。前記部材を使用することで、炭酸カルシウムスケールによる詰まり及び圧力損失が上昇するという問題点に対して、炭酸カルシウムスケールの付着を抑制するので、前記詰まり及び圧力損失の上昇を抑えることができる。
熱交換器の形態は、例えば、熱交換部分の水流路を構成する部材が管で(水流管)その外面に冷媒管を1本以上巻きつけて前記水流管の内面と外面とで熱交換する熱交換器(図1)、前記水流管の内部に冷媒管が存在し、水を前記冷媒管で直接加熱する熱交換器(図2)、その内部に複雑な経路を有した箱型筐体の水流部と、前記箱型筐体に巻きつけるなどして接触させた冷媒管とで、水流部の内面と外面で熱交換する熱交換器(図3)、前記箱型筐体内部に有する複雑な経路に沿って冷媒管を1本以上はわせ、水を直接加熱する熱交換器等、冷媒が流れる流路と水が流れる流路とが熱交換する熱交換器であれば本発明を適用可能である。
また、水流部を構成する部材が管である場合、その水流管内面に多数の溝を形成した内面溝付管とすることができる。内面溝付管にすることで、水流部を流通する水と水流管の外面との熱交換効率を向上させることができる(図4)。その溝形状は特に限られたものではなく、所望の特性に応じて管の断面形状におけるフィン高さ、溝数、底肉厚、山頂角、捩れ角、捩れ溝、ストレート溝、交叉溝、及び刻み溝等、任意の形態とすることができる。
水流管を内面溝付管にすることは、CO冷媒ヒートポンプ式給湯器の普及が始まる当初から考えられていたが、スケールが付着し易い形態となってしまうことと、スケール付着による熱交換性能の低下が著しくなること等からこれまで実用化できなかった。しかし、本発明により、素材表面へのスケールの付着を抑制することが可能になったことにより、設計の自由度が増し、熱交換器の性能向上の大胆な発想の転換が可能になった。水流管を内面溝付管とすることは、本発明により初めて可能となる。
図2の場合、冷媒として超臨界のCO等を使用する場合、冷媒管内にCOを流通させ、水流管内(冷媒管の外側の領域)に水を流通させることが通常行われるが、これに拘らず、水流管内の水と冷媒管内の冷媒を逆にしても良い。また、伝熱量を大きくするには、冷媒管の数を2本以上とすること、水流管内を流れる水と小径管内を流れる冷媒の流れの向きを逆向き(対向流)にすることが望ましい。また、冷媒管を、大径管と、前記大径管の内部に配置される小径管とからなる二重管とし、更に前記大径管と前記小径管との間に、大径管外部を流通する水又は小径管内部を流通する冷媒の漏洩を検知する構造を設けることもできる(図5(a)、(b)、(c))。更に、小径管の内面に管軸方向に平行又はねじれ角を有する複数の溝を形成しても良い(図5(d))。
即ち、図5(a)、(b)に示すように、この伝熱管1は、大径管2の内部に4本の小径管3を配置したものであり、各小径管3は、図5(c)に示すように、外管4の内面に断面三角形の凹凸を形成し、その内側に内管5を嵌合したものである。このため、外管4と内管5との間に空間部6が形成されている。このため、外管、又は内管に腐食等による穴が発生した場合、外管の外側、外側流路7又は内管内を流れる流体が空間部6に漏れてくる。この漏れが、空間部6を通って管軸方向に流れ、熱交換器の外側に出たところで流体の漏洩を検知することができる。図5(d)は内管5の内面に、溝を形成したものである。
水流管の内側に直線状/螺旋状等の溝を設けることができる。また、冷媒管の内側に直線状/螺旋状等の溝を設けるか(図5(e)乃至(g))、小径管の外側に直線状又は螺旋状のフィンを設けるか(図6)、水流管及び/又は冷媒管をコルゲート管にする等の方法により、管内の面積を増加させ、また管内の流体の流れを乱すことにより熱伝達を促進させても良い。腐食等により冷媒管内が破れた場合は、管内の流体が水流管内の流体と混じり合うことから、これを避けるには冷媒管を検知構造を有する二重構造とすることが望ましい。また、このような熱交換器は、スペース節約のため、螺旋状又は渦巻状等に巻回してもよい。
図7は、バッフルスペーサー、図8は、インナー材、図9は、インナー材、図10は、バッフルリング、図11は、バッフルリング及びスペーサー、図12は、コルゲート加工したものを示す。
図1の構成に類似した熱交換器としては、また、例えば、水流管の外側に設けた溝に冷媒管が嵌合されているもの(図13)、水流管の外側に冷媒管がろう付けされているもの等がある。冷媒として超臨界のCO等を使用する場合、冷媒管内にCOを流通させ、水流管内に水を流通させることが通常行われるが、これに拘らず水流管内と冷媒管内の冷媒を逆にしても良い。また、伝熱量を大きくするには、冷媒管の数を2本以上とすること、水流管内を流れる媒体と冷媒管内を流れる媒体の流れの向きを逆向き(対向流)にすることが望ましい。また、冷媒管の内側及び/又は水流管の内側に直線状又は螺旋状等の溝を設ける等の方法により管内の面積を増加させ、また管内の流体の流れを乱すことにより熱伝達を促進させても良い。また、水流管の外側に螺旋状に配置して水流管と冷媒管の接触長さを長くし、伝熱面積を増大させても良い。また、このような熱交換器はスペース節約のため、螺旋状、渦巻状等に巻回してもよい。
また、このような熱交換器において、水流路の流路断面積Aの冷媒管の流路断面積Bに対する比A/Bを1.0乃至12.3とすることで、水温が高温になる部位での熱交換率を低下させることなく、スケール付着抑制機能を有した熱交換器が得られる。更に、水流路の流路断面積が冷媒の流路断面積に対して特定されるため、この熱交換器が組み込まれる機器のコンパクト化に有利であると共に、設計の自由度を高めることが可能である。A/Bが1.0未満であると、水流管の流路断面積Aが小さいため、水流管内を流れる水の平均流速が増加して圧力損失が増加する。更に、水流管内面又は冷媒管外面に炭酸カルシウムを主成分とするスケールが付着すると、水流管内を流れる水の平均流速が一層増加して圧力損失が増加する。A/Bが12.3を超えると、単位長さあたりの熱流量が減少するため、伝熱性能が低下する。従って、水流路の流路断面積Aの冷媒管の流路断面積Bに対する比A/Bは1.0乃至12.3である。また、更に高い熱交換性能を得るためには、水流路の流路断面積Aの冷媒管の流路断面積Bに対する比A/Bは1.0乃至3.5であることが好ましい。
本発明の銅合金管は、特にCOを冷媒に使用してより高温の水を得ようとするヒートポンプ式給湯器用水熱交換器に使用することにより、その効果を発揮できるが、本発明の銅合金管における用途はこれに限ったものではなく、ガスバーナー加熱方式のガス給湯器又は風呂釜、及び追炊き用熱交換器の他、ボイラー用配管、及び温水器等、比較的水温が高い給湯用配管等にも適用可能である。
本発明の銅合金部材は、その製造方法において、板材の場合は、溶解、鋳造、熱間圧延、冷間圧延、レベリング、焼鈍及び巻取り(コイル材)の工程により製造され、又は最終的に定尺切断される。管材の場合は、溶解、鋳造、熱間押出し、冷間圧延、冷間引抜き及び整直切断(直管材)されるか、又は巻取り(長尺コイル材)され、その後、焼鈍を経て梱包される。その間、所望の元素分布を得るためには、適切な焼鈍処理を行う。
焼鈍工程の間、内面又は外面の所望の特性を持たせたい側の表面に接触させる雰囲気を、5乃至200ppmの酸素を含む不活性ガス又は還元性ガスとし、焼鈍温度を550乃至700℃とし、加熱時間を10乃至200分で調整することにより、所望の特性を有する表面の添加元素分布が得られる。炉内露天点は5乃至15℃で調整することが望ましい。
以下、本発明の実施例の特性について、本発明の範囲から外れる比較例と対比して本発明の効果について説明する。以下、実施例比較例の銅合金部材は、管材であるが、板材でも、その特性は基本的には同一である。
SIMS分析からの読み取りによるIXmax及びIXmin(X:各元素)の比、IXmax/IXminが、3以上の場合を○,3未満の場合を×として、各表のSIMS分析結果からの読み取り値の欄に記載した。
(残留炭素付着量測定方法)
銅部材への残留炭素付着量測定方法は以下の方法によった。本実施例における評価では銅合金管の状態で内表面について評価するので、銅合金管内表面に付着した残留炭素量を測定した。へキサンにて管内面の油分を抽出し、その後アセトンで管の内外面を洗浄し、乾燥させた。次に、管内面に塩酸と硝酸(1+1)の混酸を添加し、付着している炭素を抽出した。石英製ろ紙を用い、抽出した混酸を吸引ろ過し、炭素をろ紙上に捕集した。そして、80℃に設定してある乾燥機にろ紙を入れ、乾燥させた。乾燥後、デシケーター中で冷却した。炭素の定量は、燃焼赤外線吸収法により炭素・硫黄同時分析装置:堀場製作所製EMIA−610型(燃焼温度:1200℃、時間:100秒)により行った。
(銅の酸化皮膜測定方法)
酸化皮膜の測定は、電気化学的方法(カソード還元法)により行うことができる。本実施例においては、銅合金管の内表面について曝露面積を1cm(1cm×1cm)にしてその他の表面をシリコンシール材でマスキングして行った。電解液には0.1mol/Lの塩化カリウム水溶液を用いた。実際の酸化物はCuO、CuO、添加元素の酸化物等があるが、それらが全てCuOであったとみなしたときの膜厚を酸化膜厚さとする。そこで、酸化膜の厚さT(Å)、分子量M(CuO:133.2(g))、電流密度i(mA/cm)、生成物1分子の還元に対する電子数n(CuO:2)、生成物の密度ρ(CuO:6.04(g/cm))、ファラデー数F(96500(C/mol))とすると、下記数式1が成り立つ。
Figure 0005260109
(スケール付着評価方法)
スケール付着量の評価方法は以下のとおりである。NaHCO(0.018mol/L)とCaCl・2HO(0.009mol/L)の混合水溶液を20℃で調製し、Ca(HCOを含むスケール生成溶液とした。評価用部材の標準寸法として、板の場合幅60mm×長さ50mm×板厚0.5mmに調整したものを、管の場合外径9.52mm×長さ50mm×肉厚0.5mmのものをそれぞれ作製した。これにより、板材であっても、管材であっても、スケール生成溶液に接触する評価用部材の表面積を約6.0×10mmに統一することができる。前記スケール生成溶液100mlに前記作製した評価用部材を浸漬し、90℃まで昇温した。この操作を各サンプルにつき、その都度、新しいスケール生成液を用いて5回繰り返した。その後、液から取り出し、水洗乾燥後、秤量し、スケール付着前後の重量から、スケール付着量を算出した。評価用部材と同様に作製したりん脱酸銅管についても評価し、前記りん脱酸銅管のスケール付着量を基準として各材を比較評価した。
前記りん脱酸銅の半分以下のスケール付着量であった場合を「○」と判定した。請求項1の構成の銅合金部材においては、スケール付着試験の結果が「○」となる。
また、スケール付着試験におけるスケール付着量が前記りん脱酸銅の5/12以下であった場合を「◎」、更に1/3以下であった場合を「◎○」とした。
(I型孔食評価方法)
I型孔食評価方法は、りん脱酸銅管においてI型孔食の頻繁に発生する地区の地下水の水流を利用したフィールドテストを12ヶ月間行った。使用した水質成分の分析結果を下記表1に示す。評価材は外径12.7mm×肉厚0.71mm×長さ1mの銅合金管を使用した。1日に30分間だけ評価材に通水させ、それ以外は管内に水を滞留させたまま停止させるよう電磁バルブで制御した。管内流速は0.2m/秒となるよう流量計で調整した。
併行してりん脱酸銅管を用いて評価し、12ヶ月経過後の調査の結果、最大孔食深さがりん脱酸銅管の半分以上であれば「×」、半分未満であれば「○」、1/3以下であれば「◎」、1/4以下であれば「◎○」とした。最大孔食深さ評価は、12ヵ月経過後の銅合金管又はりん脱酸銅管を抜き取って管軸方向に半割し、内表面を酸洗浄した後に内表面を目視又は実体顕微鏡を使用して観察して確認される最も腐食の深そうなものを選んで断面観察し、腐食孔の底部と管外表面の残肉厚を、管の元肉厚(0.71mm)から差し引いた値とした。
Figure 0005260109
(II型孔食評価方法)
前述の評価部材を用いて、II型孔食再現条件に調整された評価水を管内に通水することでII型孔食の発生状況を確認することによった。図15の流水試験装置を用い、下記表2に示す試験水をメインタンク内で60℃に加温し、1日に30分間だけ評価材に通水させ、それ以外は管内に水を滞留させたまま停止させた。管内流速は0.2m/秒となるように、流量計で調整した。pHと残留塩素を常時測定し、定量ポンプにより次亜塩素酸ナトリウムで残留塩素添加及び希硫酸でpHを調整した。循環して使用する試験水は1ヶ月に1回更液を実施し、12ヶ月まで試験を継続して供試材の腐食状況を調べた。併行してりん脱酸銅管を用いて評価した。12ヶ月経過後の調査の結果、最大孔食深さがりん脱酸銅管の半分以上であれば「×」、半分未満であれば「△」、1/3以下であれば「○」とした。最大孔食深さ評価は、12ヵ月経過後の銅合金管又はりん脱酸銅管を抜き取って管軸方向に半割し、内表面を酸洗浄した後に内表面を目視又は実体顕微鏡を使用して観察して確認される最も腐食の深そうなものを選んで断面観察し、腐食孔の底部と管外表面の残肉厚を、管の元肉厚(0.71mm)から差し引いた値とした。
Figure 0005260109
(ろう材の濡れ拡がり性評価)
前記耐I型/II型孔食性評価と同じ供試材を長さ300mmに調整して用いた。管材を半割にし、直径1.6mm、長さ10mmのりん銅ろう(BCuP−2)を乗せ、窒素気流中で850℃に10分間保持して、ろうの広がり長さを測定した。広がり長さが80mmを超えていれば良好、80mm未満であれば不良と判定した。
(曲げ加工評価)
曲げ加工性の評価は、図16に示す装置を使用してヘアピン曲げ加工することによった。同じ寸法のりん脱酸銅管でマンドレル21の外径及びマンドレルの前後位置を調整して固定し、クランプ22の強度を調整することにより、ヘアピン曲げ内側に曲げしわの発生しないことを確認した後、評価対象の銅合金管について曲げ加工を実施した。
マンドレルの前後位置を変更せずクランプによる挟み付け強度を変えても曲げしわが無くなくならなければ不良、クランプの調整により曲げしわの発生が無く、曲げられた場合は良好と判定した。
曲げ加工性評価には、内面溝付管転造加工評価において作製される外径が7mmの内面溝付管を供試材として用い、ヘアピン曲げの曲げピッチ23を21.0mmとした。
(内面溝付管転造加工評価)
外径10.0mm×肉厚0.37mmの内面平滑素管を誘導加熱炉で焼鈍した後、超硬工具鋼製溝付プラグを用い、プラグ/ダイス縮径、その後の転造加工と、その後のプラグ無し/ダイス縮径により、外径7mm,溝底肉厚0.25mm,溝数65,フィン高さ0.23mm,ねじれ角35°,山頂角22°,溝底R0.04mmの内面溝付管を製作した。
連続転造加工中に溝プラグの欠損が生じると、管材料が破断することで発覚する。1コイルを転造するのに約4300mの長さを連続して転造加工し、最大5コイルまで同じ溝付プラグで連続して転造加工した。1コイルだけ転造加工できた(2コイル目で破断又はプラグ欠損発見)場合を「△」、3コイルまで転造加工できた場合を「○」、5コイルまで転造できた場合を「◎」とした。
(脱亜鉛腐食評価試験)(JBMA T303,日本伸銅協会技術標準−黄銅棒の脱亜鉛試験方法)
試験水溶液には炭酸水素ナトリウム0.40g及び塩化ナトリウム29.22gを水に溶かし、1000mlとしたものを用いた。N:O:CO=[70±1.5]:[20±1.0]:[10±0.5]に混合したガスで飽和させた水溶液に白金電極と電極用試料をセットし、電流密度1.0mA/cmにて24時間定電流電解した。また、試験中、混合ガスは飽和状態を維持するため連続注入した。水溶液は恒温槽にて60±2℃に維持した。24時間の定電流電解後、試料を断面観察し、最大侵食深さ(=脱亜鉛深さ+溶解腐食深さ)を測定した。比較として測定したりん脱酸銅は、溶解腐食のみの作用で最大侵食深さ10μmであった。供試材において、最大侵食深さ15μm以上となったものを脱亜鉛腐食の影響ありとして「×」と判定した。
(第1実施例)
この第1実施例は、Zr,Sn,Pを単独で又は複合添加する場合であり、その組成と特性試験結果を下記表3に示す。
Figure 0005260109
Figure 0005260109
以下の方法により、本発明の実施例及び本発明の範囲から外れる比較例について、スケール付着試験、ろう材の濡れ広がり性試験、曲げ加工試験、及びI型/II型孔食試験を実施し、その特性を上記表3に示した。
Zr及びSnは純金属のペレット、Pの添加は15質量%Pの銅合金ペレットを、夫々鋳造工程において添加し、熱間押出し及び冷間圧延を経て各種試験用に冷間抽伸工程を繰り返し、所定の寸法になったものを焼鈍し、所定の長さに切断して供試材を作製した。
残留炭素の付着量は、最終寸法まで冷間抽伸工程を経た銅合金管の内面をアセトン及びヘキサンで洗浄してから焼鈍したものを標準とし、これより残留炭素量を増やす場合は内面に抽伸油と同じ組成の油を塗布してから焼鈍して調整した。
酸化皮膜の厚さは、標準の焼鈍条件(620℃×10分,酸素含有量50ppm)における酸素含有量を変化させることで調整した。表3に示すNo.2及び3は本発明の請求項1を満たす実施例である。表中の下線が引いてある項目は、本発明請求項1の範囲外の数値であることを示す。No.44は、りん脱酸銅管(JIS H3300 C1220−T)焼鈍材であり、スケール付着評価試験、I型/II型孔食試験における比較材として基準値を決めるのに用いられた。
なお、No.12、24はPが多くて鋳塊が割れ、製管できなかった。No.17.25、29、37は大気に触れた時点で下限値を下回る酸化皮膜厚さは困難であった。No.44はPのみでは効果がないことを示す。
実施例No.2及び3はいずれも、Zrの含有量が本発明の範囲内であり、優れた耐スケール付着性を示し、且つろう材の濡れ広がり性評価及び管の曲げ加工性を満足した。比較例No.1は、Zrの含有量が請求の範囲を下回っており、所望するスケール付着防止特性が得られなかった。比較例No.4はZrの含有量が多く、スケールの付着量は少ないが、表面に形成されるZrの酸化物が多くなるため、ろう材の濡れ広がり性が不十分になり、更に添加量が多いことから曲げ加工時のしわ及び座屈を抑えられなかった。
実施例No.6及び7はいずれも、Zr及びSnの含有量が本発明の範囲内であり、優れた耐スケール付着性、且つろう材の濡れ広がり性及び曲げ加工性に加え、優れた耐II型孔食性を示した。比較例No.5はSnの含有量が請求の範囲を下回っており、II型孔食に対する耐食性を維持できなかった。比較例No.8はSnの含有量が本発明の範囲を超え、表面に形成されるSnの酸化物が多くなるため、ろう材の濡れ広がり性が不十分になり、更に添加量が多いことから、曲げ加工時のしわ及び座屈を抑えられなかった。
実施例No.10及び11はいずれも、Zr,Sn及びPの含有量が本発明の範囲内であり、本発明の請求項1を満足する銅合金部材の優れた耐スケール付着性を更に優れたものにし、且つろう材の濡れ広がり性、曲げ加工性、及び耐II型孔食性が優れた特性を示した。比較例No.12はPの含有量が本発明の範囲を超えており、鋳造工程の段階で鋳塊に割れが生じて、その後の製管工程にまで至らなかった。
実施例No.13乃至15はいずれも、Zr、Sn、Pの含有量、及び銅管内表面に付着した残留炭素量が本発明の範囲内であり、優れた耐スケール付着性、ろう材の濡れ広がり性、曲げ加工性、及び耐II型孔食性に加え、優れた耐I型孔食性を示した。実施例No.13は残留炭素量が最も少なく孔食の最大深さは0.06mmと最も優れたI型孔食抑制効果を示した。実施例No.14及び15の順に残留炭素量が請求の範囲内で多く、順に最大孔食深さは0.08mm,0.13mmとなった。比較例No.16は残留炭素量が本発明の範囲を上回り、孔食の最大深さは0.18となった。
実施例No.18及び19はいずれも、Zr、Sn、Pの含有量、銅管内表面に付着した残留炭素量及びCuOに換算した酸化皮膜厚さが本発明の範囲内であり、優れた耐スケール付着性を損なうことなく、ろう材の濡れ広がり性、曲げ加工性及び耐II型孔食性が優れていた。比較例No.17は、大気に触れた時点で、酸化皮膜厚さが本発明の上限値を下回るのは困難となり、そのような比較例を製作することができなかった。比較例No.20は酸化皮膜の厚さが本発明の範囲を超え、表面に形成されたスケール抑制効果成分が銅の酸化皮膜で覆われてしまい、優れたスケール抑制効果を示さなかった。
その他の実施例及び比較例は、上記各実施例及び比較例の組み合わせである。
(第2の実施例)
この第2実施例は、請求項に示すように、Znを含有するものである。下記表4は第2実施例の銅合金管の組成を示す。以下の方法により、請求項に示す要件を満たすものと満たさないものとで、溝付管転造加工性評価試験及び脱亜鉛腐食評価試験を実施した。Znの純金属ペレットを鋳造工程において添加し、熱間押出し及び冷間圧延を経て、各種試験用に冷間抽伸工程を繰り返し、所定の寸法になったものを焼鈍し、所定の長さに切断して作製した。
Figure 0005260109
上記表4に示す実施例No.45乃至48は本発明の請求項の範囲を満たす実施例である。表4中の下線が引いてある項目は、本発明の請求項の範囲外の数値であることを示す。比較例No.50は、りん脱酸銅管(JIS H3300 C1220−T)の焼鈍材であり、スケール付着評価試験、I型/II型孔食試験における比較材として基準値を決めるのに用いられた。
Znを添加していない比較例No.43及びZnの含有量が請求の範囲に満たない比較例No.44は、他の元素の影響で溝転造加工時の溝付プラグの摩擦が大きくなり、1コイル目を終えて2コイル目の途中で管が破断した。また、溝プラグに欠損が生じていた。
Znを微量添加した実施例No.45及び46は、その効果で3コイル目まで連続して転造でき、4コイル目途中で管が破断した。更に実施例No.47乃至49では更にZnを添加し、5コイル目を終えて破断を生じなかった。しかし、比較例No.49は、Znの含有量が多かったため、脱亜鉛腐食評価において脱亜鉛腐食の兆候が認められ、本発明用途においては実用的でないと判断された。
(第3の実施例)
次に、本発明の熱交換器の耐久性の効果を実証する実施例を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
(1)二重管式熱交換器の形態
水流管:外径12.7mm、肉厚0.8mm、長さ8m
冷媒管:検知構造2重管、2本水管内に挿入
外管:外径5.5mm、底肉厚0.5mm、山高さ0.25mm、山数50
内管:外径4.0mm、肉厚0.5mm
構造:ドラム巻きタイプ
図17はこの二重管式熱交換器の概略図を示す。
(2)実施例と比較例
実施例:水流管及び冷媒管の外管に表3の実施例13の組成の銅合金管を使用した。
比較例:全てりん脱酸銅(H3300 C1220−T)
(3)試験条件
水流量:1.0リットル/分
冷媒流量:1.3kg/分
水入り側温度:20℃
水出側温度 :85℃
(4)試験の評価方法
実施例及び比較材の熱交換器について、試験期間前後で熱交換器の圧力損失を測定した。試験後の圧力損失が試験期間前の圧力損失と比較して倍になったものを不良品、ならなかったものを良品とした。
(5−1)試験条件と結果(スケール付着性評価)
試験水中のCaCO濃度:800CaCOmg/リットル
試験時間:350時間
Figure 0005260109
実施例51及び52はスケールの付着が進まず、圧力損失が大きく上昇しなかった。スケールの溜まり易いと考えられる内面溝付管においても、圧力損失の上昇は深刻なほどではなかった。これに対し、比較例53及び54は、スケール付着防止効果がなく、350時間の試験期間を経て圧力損失は倍以上に上昇した。水流管が内面溝付管である比較例54は圧力損失が大きく上昇した。
(5−2)試験条件と結果(耐I型孔食性評価)
稼動条件:第1実施例と同じフィールドテストによる
試験水:表1の地下水(第1実施例)
試験時間:12ヶ月
評価方法:断面観察による最大腐食深さ
Figure 0005260109
実施例51及び52は内表面の残留炭素量が少ないのでI型孔食の進行が少なかった。これに対し、比較例53及び54は、そもそも耐孔食性をもたないりん脱酸銅で、且つその残留炭素付着量が臨界値5mg/mを超えているので、孔食の進行が大きかった。
(5−3)試験条件と結果(耐II型孔食性評価)
稼動条件:第1実施例と同じ流水試験による
試験水:表2の試験水(第1実施例)
試験時間:12ヶ月
評価方法:断面観察による最大腐食深さ
Figure 0005260109
実施例51及び52は合金の組成が耐II型孔食性を有しており、II型孔食の進行が少なかった。比較例53及び54は、耐孔食性を有しておらず、孔食の進行が大きかった。
(第4の実施例)
次に、本発明の水流管及び冷媒管の構成からなる熱交換器において、熱交換性能及び耐久性の効果を実証する実施例を本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
(1)二重管式熱交換器の形態
水流管:外径12.7mm、肉厚0.8mm、長さ8m、流路断面積A
冷媒管:検知構造2重管、1本水管内に挿入
外管:底肉厚0.5mm、山高さ0.25mm、山数50
内管:肉厚0.5mm、流路断面積B
構造:ドラム巻きタイプ
図18はこの二重管式熱交換器の概略図を示す。
(2)実施例及び比較例
水流管及び冷媒管の外管:表3の実施例13の組成の銅合金管
冷媒管の内管:JIS H3300 C1220 りん脱酸銅管
(3)試験条件
水流量:1.0リットル/分
水入り側温度:20℃
(4−1)試験の評価方法(熱交換性能評価)
実施例及び比較例の試験期間前の熱交換器について、熱交換性能を測定した。実施例及び比較例の二重管式熱交換器の、水流管内に水を流し、冷媒管の内部に水流管の水の流れと逆方向に超臨界状態のCOを流して、出水(湯)側の水の温度を測定した。そして、流路断面積の変化が、熱交換器の熱交換性能に及ぼす影響を測定した。図19はこの熱交換性能試験の試験装置を示す。出湯側の水の温度が80℃以上であった場合を◎、70℃以上80℃未満であった場合を○、70℃未満であった場合を×とした。
(5−1)試験条件と結果
入り側冷媒圧力:9MPa
冷媒流量:1.0kg/分
Figure 0005260109
上記表8に示す実施例No.56乃至62は本発明の請求項の範囲を満たす実施例である。比較例55及び実施例56乃至62は、出湯温度が70℃以上であり、比較例63に比して優れた熱交換性を示した。
上記表8に示す実施例No.56乃至60は本発明の請求項の範囲を満たす実施例である。比較例55、実施例56乃至60は、出湯温度が80℃以上であり、比較例61乃至63に比して優れた熱交換性を示した。
(4−2)試験の評価方法(スケール付着性評価)
実施例及び比較例の熱交換器について、試験時間前後の圧力損失を測定した。350時間の試験時間経過後の圧力損失が試験時間前の圧力損失と比較して1.5倍を超えたものを不良品、ならなかったものを良品とした。更に、700時間の試験時間経過後の圧力損失が試験時間前の圧力損失と比較して2.0倍を超えたものを不良品、ならなかったものを良品とした。
(5−2)試験条件と結果
冷媒流量:1.3kg/分
水出側温度:85℃
試験水中のCaCO濃度:800CaCOmg/リットル
試験時間:350時間、700時間
Figure 0005260109
上記表9に示す実施例No.56乃至62は本発明の請求項の範囲を満たす実施例である。実施例56乃至62及び比較例63はスケールの付着が進まず、圧力損失が大きく上昇しなかった。スケールの溜まり易いと考えられる内面溝付管においても、圧力損失の上昇は深刻なほどではなかった。これに対し、比較例55は、スケール付着防止効果がなく、350時間の試験時間を経て圧力損失は1.5倍を超え、700時間の試験時間を経て圧力損失は2.0倍以上に上昇した。

(a)、(b)は熱交換部分の水流路を構成する部材が管で(水流管)その外面に冷媒管を1本以上巻きつけて前記水流管の内面と外面とで熱交換する熱交換器を示す図である。 (a)乃至(c)は水流管の内部に冷媒管が存在し、水を前記冷媒管で直接加熱する熱交換器を示す図である。 内部に複雑な経路を有した箱型筐体の水流部と、前記箱型筐体に巻きつけるなどして接触させた冷媒管とで、水流部の内面と外面で熱交換する熱交換器を示す図である。 水流管内面に多数の溝を形成した内面溝付管を示す図である。 (a)乃至(g)は冷媒管を、大径管と、前記大径管の内部に配置される小径管とからなる二重管とし、更に前記大径管と前記小径管との間に、大径管外部を流通する水又は小径管内部を流通する冷媒の漏洩を検知する構造を設けた熱交換器を示す図である。 小径管の外側に直線状又は螺旋状のフィンを設けたものを示す図である。 (a)乃至(e)はバッフルスペーサーを示す図である。 インナー材を示す図である。 (a)乃至(c)はインナー材を示す図である。 バッフルリングを示す図である。 バッフルリング及びスペーサーを示す図である。 コルゲート加工したものを示す図である。 水流管の外側に設けた溝に冷媒管が嵌合されている熱交換器を示す図である。 銅合金管内表面の添加元素について、SIMS分析により深さ500nmまでの深さプロファイルを測定した結果を示すグラフ図である。 流水試験装置を示す図である。 (a)乃至(c)はヘアピン曲げ加工評価装置を示す図である。 二重管式熱交換器の概略図である。 二重管式熱交換器の概略図である。 熱交換性能試験の試験装置である。
符号の説明
1:伝熱管、2:大径管、3:小径管、4:外管、5:内管、6:空間部、7:外側流路、8:内面溝付管、9:箱型筐体、10:熱交換器、10a:二重管式熱交換器、11:冷媒管、110:検知溝付二重管式冷媒管、110a:漏洩検知溝、12:水流管、13:バッフルスペーサー、14:インナー材、15:バッフルリング、16:スペーサー、17:コルゲート管、18:溝、21:マンドレル、22:クランプ、23:曲げピッチ、24:圧縮機、25:蒸発器、26:膨張弁、81:溝、82:フィン、83:捩れ溝、84:ストレート溝、85:交叉溝

Claims (15)

  1. Zrを、母相中に固溶体、単体及び/又は化合物として、0.005乃至0.2質量%(化合物の場合はZr換算値)含有し、更に、Snを0.05乃至3.0質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる組成を有し、Zr及びSnについてSIMS分析結果から得られた深さ方向分布チャートの深さ500nmまでのところに認められる最大値Ixmax及び最小値Ixminの比Ixmax/Ixmin(但し、xはZr及びSnを示す)がいずれも3以上であることにより、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着を抑制したことを特徴とする銅合金部材。
  2. 更に、Pを0.001乃至0.2質量%含有し、PについてSIMS分析結果から得られた深さ方向分布チャートの深さ500nmまでのところに認められる最大値IPmax及び最小値IPminの比IPmax/IPminが3以上であることにより、炭酸カルシウムを主成分とするスケールの付着を抑制したことを特徴とする請求項1に記載の銅合金部材。
  3. 更に、Znを0.05乃至5.0質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の銅合金部材。
  4. 表面に付着した残留炭素量が10.0mg/m以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の銅合金部材。
  5. 表面に銅の酸化皮膜が形成されており、CuOに換算した銅の酸化皮膜の厚さが、0.1乃至100nmであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の銅合金部材。
  6. 水が流通する水流路と、冷媒が流通する冷媒管とを有し、前記冷媒管内の冷媒により前記水流路の水を加熱する熱交換器において、水と接触する前記水流路及び/又は前記冷媒管の少なくとも一部が請求項1乃至5のいずれか1項に記載の銅合金部材で構成されていることを特徴とする熱交換器。
  7. 前記水流路の流路断面積をA、前記冷媒管の流路断面積をBとするとき、前記水流路断面積の前記冷媒管流路断面積に対する比A/Bが1.0乃至12.3であることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  8. 前記水流路の流路断面積をA、前記冷媒管の流路断面積をBとするとき、前記水流路断面積の前記冷媒管流路断面積に対する比A/Bが1.0乃至3.5であることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  9. 前記水流路が、水流管であることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  10. 前記冷媒管が、前記水流管の内部に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
  11. 前記水流管が、内面溝付管であることを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  12. 前記冷媒管が、その外面を前記水が流れる大径管と、前記大径管内に配置され内部を前記冷媒が通流する小径管とを有することを特徴とする請求項6乃至11のいずれか1項に記載の熱交換器。
  13. 前記大径管と前記小径管との間に、前記水又は冷媒の漏洩を検知する検知部が設けられていることを特徴とする請求項12に記載の熱交換器。
  14. 前記小径管の内面に管軸方向に平行又はねじれ角を有する複数の溝が形成されていることを特徴とする請求項12又は13に記載の熱交換器。
  15. 前記冷媒管における大径管外表面の少なくとも一部にフィンが形成されていることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の熱交換器。
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