JP5256082B2 - 光結合構造および光送受信モジュール - Google Patents
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従来、この種の光モジュールにおいて、光半導体素子の受発光部と光伝送路の端部とを光学的に結合させるために、図9に示すように、光半導体素子101の上に設置された集光レンズ102と、光路変換用ミラー103とを組み合わせることで、光伝送路104(特にそのコア105)と光半導体素子101とを光学的に接続(光結合)させる構造が一般に用いられている。
例えば、特許文献1には、光実装基板の表面のガイド溝と、このガイド溝に実装される光ファイバの光軸上に位置するテーパ面とを備え、テーパ面にミラーが形成された光デバイスが提案されている。
また、特許文献2には、光導波路の端部に対向する位置に斜めに形成された反射面を有するV溝が形成され、光導波路の端部と反射面の間には光導波路のコアとほぼ同じ屈折率を有する屈折率整合剤が充填され、反射面で反射した出射光を受光する受光素子を備えた光導波路と受光素子の結合構造が提案されている。
また、特許文献4には、半導体レーザ素子、モニタフォトダイオード、及び光ファイバが透明樹脂に封入され、半導体レーザ素子の後方出力光が透明樹脂と空気との界面において反射してモニタフォトダイオードに入射するようにした半導体レーザ装置が提案されている。
前記密着面が、上向きの傾斜面であることが好ましい。
前記光結合部の周囲が気体で覆われていることが好ましい。
前記光結合部の周囲が光結合部を構成する樹脂より屈折率が低いクラッド樹脂層で覆われていることが好ましい。
前記光半導体素子の給電用配線が前記クラッド樹脂層によって覆われていることが好ましい。
光半導体素子の受発光部が基板の実装面とは反対側に向けて実装することができるので、ダイボンディングやワイヤボンディングによる実装が可能になる。これにより、伝送特性に重要な配線を最短の線路長でつなぐことができ、ノイズが乗りにくく、良好な伝送特性が得られる。また、ボンディングの外観検査が容易であり、接続不良を発見するのが容易になる。
図1に、第1形態例に係る光結合構造を備えた光モジュールの一例を示す。
図1に示す光モジュール5は、基板4の上面である実装面4aに実装された光半導体素子1と、基板4の実装面4aに沿い、かつ基板4の実装面4aから離間して配置された光伝送路2と、光伝送路2と光半導体素子1との間を光学的に結合する光結合部3とを備えている。
発光素子としては、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード(LD)、面発光レーザ(VCSEL)等が挙げられる。
受光素子としては、フォトダイオード(PD)等が挙げられる。
受発光部1aは、光半導体素子1の上面1cに設けられている。本発明における上下方向は、光半導体素子1が基板4に実装される実装面4aを基準とし、基板4から遠ざかる方向を上方(図1の上方)、基板4に近づく方向を下方(図1の下方)とする。また、前記の定義による上下方向に垂直な方向(図1の左右方向)を水平方向とする。本発明における上下方向および水平方向は、図2および図3に示すように透明樹脂31が未硬化で流動性を有する場合を除き、重力の方向に依存しない。
基板4には、例えは、ガラスエポキシ基板、セラミック基板など、一般的な各種絶縁基板を使用することができる。ワイヤ配線7としては、例えば、金(Au)ワイヤ、アルミ(Al)ワイヤ、銅(Cu)ワイヤなどが挙げられる。
光伝送路2は、光結合部3に対する光の出入射の方向が一定となるように、少なくとも端部2a付近では、光軸2bが直線状であることが好ましい。
ここでいう透明樹脂とは、光半導体素子1と光伝送路2との間を伝送する光を透過させることが可能なものを指している。従って、必ずしも可視光下で無色透明な色調のものに限定されるものではない。また、光が伝送する樹脂内の光路長が短いため、ある程度透明性があれば良い。
透明樹脂としては、例えば、UV硬化性樹脂や熱硬化性樹脂などを用いることができる。
透明樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ビニル系樹脂、シアノアクリレート系樹脂等が挙げられる。
なお、上端2dの高さ2eは、基板4の実装面4aを基準とした高さ(実装面4aに垂直な方向の距離)である。
また、光半導体素子1が発光素子の場合には、光半導体素子1から光結合部3に入射した光は、光結合部3を構成する透明樹脂と外部の気体との界面3aとの屈折率差により反射されて光伝送路2に入射する。
本発明において、角度φは20°以上であり、20〜50°であることが好ましい。このような範囲とすることで、光の結合損失を抑制する一層高い効果が得られる。
このため、光結合部3が上下方向に存在する範囲としては、光伝送路2の端面2aの上端2dの高さ2eより下側の範囲内に収まっていることが好ましい。
また、光結合部3が水平方向に存在する範囲としては、全体が光半導体素子1上(上面1cより上方)に収まることが好ましい。
すなわち、光結合部3を構成する透明樹脂は、光伝送路2の光軸2bと光半導体素子1の光軸1bとが交差する交点Pの位置には存在せず、光結合部3の外面3a(光結合部3と外部の気体との界面)が、光半導体素子1の受発光部1aおよび光伝送路2の端部2aの側に凹んだ形状となっている。
(1)受発光部1aに対向する位置Aが受発光部1a側に凹んだ形状の凹面部11、
(2)光伝送路2の端部2aに対向する位置Bが光伝送路2の端部2a側に凹んだ形状の凹面部12、
(3)受発光部1aに対向する位置Aと光伝送路2の端部2aに対向する位置Bとの間が凹んだ形状の凹面部13、
を有することを必要とする。
光の伝送に関与しない部分、例えば、図1における光伝送路2の上側にかかっている部分3bや、光伝送路2の下側と光半導体素子1の上面1cとの間に挟まれた部分3cが凸形状になっているのは差し支えない。
また、(2)の光伝送路2側の凹面部12は、例えば、光伝送路2の光軸2bが樹脂の外面3aと交差する位置Bの近傍において、樹脂の外面3aが樹脂側に凹となる凹面を形成していれば良い。
また、(3)の中間部の凹面部13は、例えば、光半導体素子1の光軸1bが樹脂の外面3aと交差する位置Aと、光伝送路2の光軸2bが樹脂の外面3aと交差する位置Bとの間を結ぶ線分ABがA−B間で樹脂の外側(外部の気体側)を通り、樹脂の外面3aが凹となる凹面を形成していれば良い。
ここでいう単一の透明樹脂とは、成分(組成)が均一(単一)、特定の波長の光に対する透過率が均一、物理的に2層以上ではない(界面がない)など、いずれの意味も包含するものである。
図2に示すように、予め実装面4aに回路配線6が形成され、光半導体素子1が実装された基板4を用意し、光半導体素子1の受発光部1aに対して、精密ディスペンサ等の樹脂ディップ装置29を用いて、未硬化の透明樹脂31を塗布する。
透明樹脂31は、光半導体素子1の上面1cに収まる範囲内で塗布することが望ましい。
そして、透明樹脂31に差し込んだ光伝送路2を光半導体素子1から遠ざけるように移動する。このとき、光伝送路2は、光半導体素子1からゆっくりと斜め上方向(矢印Rの方向)に引き上げる。
なお、ここでは、未硬化の透明樹脂31を塗布してから、光伝送路2の端部2aを透明樹脂31に向けて差し込んでいるが、この順序は逆でも良く、すなわち、光伝送路2の端部2aを光半導体素子1上の所定箇所に配置してから、光半導体素子1の受発光部1aと、光伝送路2の端部2aを覆うように、未硬化の透明樹脂31を塗布しても良い。
また、透明樹脂31の光路変換部位の形状は、(1)〜(3)の中でも、特に(3)に大きく依存する。そして(3)は、硬化前の透明樹脂31の粘度に大きく依存する。そこで、本発明においては、光の結合損失を一層抑制できるように、光路変換部位を目的の形状とするために、透明樹脂31の硬化前の粘度は、1〜30Pa・sであることが好ましく、1.5〜26Pa・sであることがより好ましい。
本形態例の光モジュールの製造方法は、透明樹脂を基板に付着させる必要がないので、光結合部3の形成に際して、基板4の加工工程(V溝や段差など)を追加する必要がないので、シリコン基板のように面異方性エッチングが利用可能な基板に限らず、ガラスエポキシ基板等のように加工性の低い基板であっても、低コストに基板作製が可能である。
図4に示す光モジュール9は、基板4の実装面4aに実装された光半導体素子1と、基板4の実装面4aに沿い、かつ基板4の実装面4aから離間して配置された光伝送路2と、光伝送路2と光半導体素子1との間を光学的に結合する光結合部3と、光結合部3の周囲を覆うクラッド樹脂層8を備えている。
クラッド樹脂層8は、光結合部3を構成する透明樹脂よりも屈折率の低い樹脂で形成されているので、光結合部3の中を伝送する光がクラッド樹脂層8の方に入射し散乱してしまうことを抑制することができる。さらに、クラッド樹脂層8の周囲を、光結合部3よりも高い屈折率を有する樹脂(図示せず)で封止することも可能になる。
クラッド樹脂層8は、図2および図3に示すようにして光結合部3を形成した後に、第2の樹脂を塗布して硬化することにより形成することができる。
本形態例の光モジュール9におけるクラッド樹脂層8は、光結合部3のクラッド樹脂として機能する。また、光結合部3は、光半導体素子1が受光素子の場合には、光伝送路2から光結合部3に入射した光は、光結合部3とクラッド樹脂層8との界面3aとの屈折率差により反射されて光半導体素子1に入射する。また、光半導体素子1が発光素子の場合には、光半導体素子1から光結合部3に入射した光は、光結合部3とクラッド樹脂層8との界面3aとの屈折率差により反射されて光伝送路2に入射する。
また、ワイヤ配線7はクラッド樹脂層8に覆われ、保護されているので、外部の応力によって破損しやすいワイヤ配線7(給電用配線)の断線を防止することができる。
また、光伝送路2の端部2a、光結合部3、および光半導体素子1がクラッド樹脂層8により覆われているので、外部の応力から保護することができる。光半導体素子1と光伝送路2との光結合構造全体の機械的強度を高くすることができる。
このように、クラッド樹脂層8がワイヤ配線7の保護層、あるいは光結合構造の保護層として機能するように設けられた場合、簡便に保護層を形成することができる。
第1の光半導体素子51a、第1の光伝送路52aおよび第1の光結合部53aが第1の光結合構造を構成し、第2の光半導体素子51b、第2の光伝送路52bおよび第2の光結合部53bが第2の光結合構造を構成している。
具体的には、光結合部53a,53bは、伝送される光に対して透明な樹脂からなり、第1の樹脂は、光半導体素子51a,51bの受発光部の少なくとも一部および光伝送路52a,52bの端部の少なくとも一部にそれぞれ密着し、光結合部53a,53bを構成する透明樹脂は、光伝送路52a,52bの光軸と光半導体素子51a,51bの光軸とが交差する交点の位置には存在せず、光結合部53a,53bの界面が、前記の交点の位置とは反対側に凹んだ形状となっている。
共通する被覆材58で一体化された複数の光伝送路52a,52bは、光ファイバテープ心線や基板型光導波路などを用いることができる。被覆材58は、光伝送路52a,52bを伝送される光に対して不透明であっても良い。
クラッド樹脂層59は、光結合部53a,53bを構成する透明樹脂よりも屈折率の低い樹脂で形成されているので、光結合部53a,53bの中を伝送する光がクラッド樹脂層59の方に入射し散乱してしまうことを抑制することができる。さらに、クラッド樹脂層59の周囲を、光結合部53a,53bよりも高い屈折率を有する樹脂(図示せず)で封止することも可能になる。
また、ワイヤ配線57a,57bはクラッド樹脂層59に覆われ、保護されているので、外部の応力によって破損しやすいワイヤ配線57a,57b(給電用配線)の断線を防止することができる。
また、光伝送路52a,52bの端部、光結合部53a,53b、および光半導体素子51a,51bがクラッド樹脂層59により覆われているので、外部の応力から保護することができる。光結合構造全体の機械的強度を高くすることができる。
また、光半導体素子51a,51bが両方とも発光素子である光送信モジュールを構成したり、光半導体素子51a,51bが両方とも受光素子である光受信モジュールを構成したりすることも可能である。
クラッド樹脂層59は、複数ある光結合部53a,53bのうち、一部の光結合部の周囲のみを覆うようにすることも可能である。
図1〜3に示すように、光伝送路2としてクラッド径が125μm、コア径が50μmの石英系マルチモード光ファイバを用意し、光半導体素子1にはPD(受光部の開口径は100μm)を、透明樹脂31にはUV硬化性樹脂(粘度が1.5Pa・sであるアクリル系樹脂:「樹脂α」)を、基板4にはガラスエポキシ基板を、ワイヤ配線7には金ワイヤを用い、PDの受光部上に透明樹脂31を2nl(ナノリットル)塗布した後、この透明樹脂に光ファイバの先端を約100μm差し込んで、斜め30°上方に40μm引き上げた後、UVを照射して透明樹脂31を硬化させることにより、図1に示す光結合構造5を作製した。この時、光伝送路2としては、角度φが−13°(試験例1)、0°(試験例2)、10°(試験例3)、20°(試験例4)、30°(試験例5)、40°(試験例6)、50°(試験例7)、60°(試験例8)である8種類のものをそれぞれ用いた。また、光結合部3を構成する硬化後の樹脂の屈折率は、伝送する光の波長に対して1.58であった。
この光結合構造5について、光ファイバから光を出射して、光の結合損失を測定し、角度φとの関係を調べた。結果を図7に示す。なお、図7中、角度φがマイナスであるものは、傾斜面が下向きであることを示す。
図7に示すように、角度φが特に20〜50°の場合に、光の結合損失がより抑制されることが確認された。
樹脂αの代わりに、UV硬化性樹脂(粘度が21Pa・sであるアクリル系樹脂:「樹脂β」)を用いたこと以外は、試験例1〜8と同様に光結合構造5を作製した。角度φも、−13°(試験例9)、0°(試験例10)、10°(試験例11)、20°(試験例12)、30°(試験例13)、40°(試験例14)、50°(試験例15)、60°(試験例16)である8種類のものをそれぞれ用いた。
そして、試験例1〜8と同様に、角度φと光路変換に伴う光の結合損失との関係を調べた。結果を試験例1〜8と共に図7に示す。
図7に示すように、試験例1〜8と同様の傾向が確認された。
樹脂αの代わりに、UV硬化性樹脂(粘度が50Pa・sであるアクリル系樹脂:「樹脂γ」)を用いたこと以外は、試験例1〜8と同様に光結合構造5を作製した。角度φは、10°(試験例17)、20°(試験例18)、30°(試験例19)、40°(試験例20)である4種類のものをそれぞれ用いた。
そして、試験例1〜8と同様に、角度φと光路変換に伴う光の結合損失との関係を調べた。結果を試験例1〜8と共に図7に示す。
Claims (7)
- 上面に受光部または発光部を有し、かつ下面の側で基板に実装された光半導体素子と、
前記光半導体素子の光軸に対して所定の角度で交差する光軸を有し、かつ前記基板の実装面から離間して配置された光伝送路と、
前記光半導体素子と前記光伝送路との間を光学的に結合する光結合部とを備え、
前記光結合部は、伝送される光に対して透明な樹脂からなり、前記樹脂は、前記光半導体素子の受光部または発光部の少なくとも一部および前記光伝送路の端部の少なくとも一部にそれぞれ密着し、前記樹脂は、前記光半導体素子の上面より上方に位置する範囲内に収まっており、
前記光伝送路の端部のうち、前記樹脂との密着面は傾斜面であり、前記光伝送路の光軸および前記光半導体素子の光軸の両方に略平行な前記光伝送路の断面において、前記密着面は、前記光伝送路の光軸と直交する方向に対して20°以上の角度をなし、
前記光結合部を構成する前記樹脂の外面が、前記光半導体素子の受光部または発光部および前記光伝送路の端部の側に凹んだ形状となっていることを特徴とする光結合構造。 - 前記光結合部を構成する前記樹脂は、前記光伝送路の端面の上端の高さより下側の範囲内に収まっていることを特徴とする請求項1に記載の光結合構造。
- 前記密着面が、上向きの傾斜面であることを特徴とする請求項1または2に記載の光結合構造。
- 前記光結合部の周囲が気体で覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光結合構造。
- 前記光結合部の周囲が光結合部を構成する樹脂より屈折率が低いクラッド樹脂層で覆われていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の光結合構造。
- 前記光半導体素子の給電用配線が前記クラッド樹脂層によって覆われていることを特徴とする請求項5に記載の光結合構造。
- 同一の基板の実装面に実装された受光素子および発光素子と、前記基板の前記実装面から離間して配置された第1の光伝送路および第2の光伝送路と、前記受光素子と第1の光伝送路との間を光学的に結合する第1の光結合部と、前記発光素子と第2の光伝送路との間を光学的に結合する第2の光結合部とを備え、前記受光素子、第1の光伝送路および第1の光結合部が第1の光結合構造を構成するとともに、前記発光素子、第2の光伝送路および第2の光結合部が第2の光結合構造を構成した光送受信モジュールであって、
第1の光結合構造および第2の光結合構造の一方または両方が、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光結合構造を構成していることを特徴とする光送受信モジュール。
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