しかしながら、特許文献1に記載された従来の光伝送素子パッケージにおいては、外部の光ファイバと光伝送素子とを高効率で光結合させるためには高精度の光実装が必要なため、外部の光ファイバの一部をモールド部材に直接に挿入して一体化しており、外部の光ファイバの脱着ができない。このため、この光伝送素子パッケージのプリント基板への実装には、リフロー炉を量産で用いることは困難であり、ロボット半田付けや手半田付け等による少量生産しかできない。さらには、機器内光伝送におけるボード間光伝送のように機器組み付け作業としてコネクタが必須の装置には用いることができない。
なお、光ファイバを挿入するかわりに光コネクタをモールド部材に直接に挿入して一体化することにより、光伝送素子パッケージと外部の光ファイバとを脱着ができるようになるが、実際には、光コネクタ自体が部品コストとして高価であり低コスト化できないばかりか、光コネクタという大きい部材に対する高精度の光実装が必要となり、組み付けコストが増大する。
本発明は、光伝送素子の製造を容易にするとともに、経済性に優れる実装を実現することを目的とする。
請求項1記載の発明の光伝送素子モジュールは、光の出射または入射を司る光伝送素子と、この光伝送素子を実装する実装基板と、この実装基板に実装された前記光伝送素子に対向する位置に設けられ、前記光伝送素子からの出射光または前記光伝送素子への入射光を通過させる貫通孔と、この貫通孔上に設けられた光学結像素子と、を有し、前記光伝送素子は、光出射部または光入射部と、前記実装基板の電気配線とバンプ接合する電極とを当該光伝送素子の同一面上に配設している。
したがって、光伝送素子の製造を容易にするとともに、バンプ接合はセルフ整合効果があることから、光伝送素子と実装基板とを1回のフリップチップ等のバンプ接合をするのみで高精度に位置決めがなされるので、高精度の実装が不要となり、光学部品の組み付け工程を低減することが可能になり、経済性に優れる実装を実現することが可能になる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記実装基板が、高分子含有材料からなる。
したがって、耐熱性に優れる高分子含有材料により実装基板を形成しているので、バンプ接合時の熱による変形による位置ずれを低減することが可能になる。また、形状の量産的な自由度が高いことから、高周波の光伝送に必要な高周波の電磁波回路に適したように電気配線を実現することが容易であり、損失、波形歪、クロストーク、ノイズ等を大きく低減させることが可能となる。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記実装基板が、シリコン基板からなる。
したがって、耐熱性に優れる高分子含有材料により実装基板を形成しているので、バンプ接合時の熱による変形による位置ずれを低減することが可能になる。また、機械的強度に優れ寸法安定性も高いので、光実装を非常に簡単とすることができ、さらにはシリコンの熱伝特性により高温時の信頼性を向上することができ、結果として消費電力が大きくなる高周波特性を向上することができるようになる。
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記実装基板に設けられている前記貫通孔は、前記実装基板の前記光伝送素子側よりも前記光学結像素子側が大きい形状である。
したがって、実装基板の強度を確保して実装の信頼性を向上させると同時に、光伝送素子の実装に必要な電極部分の実装基板上の面積を確保することでフリップチップ等のバンプ接合を可能としながらも、光利用効率の低減を減少することができる。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記実装基板に設けられている前記貫通孔は、テーパ形状である。
したがって、実装基板の強度を確保したまま光伝送素子からの発散角や収束角をもつ光束に対する干渉を小さくしながらも孔部分の体積を低減しており、かつ離型時の離型の方向とテーパの方向が斜めに交差する方向であるので離型性が向上する。また、実装基板がシリコン基板からなる場合には、シリコン基板をアルカリ液で現像することにより異方性エッチングを行うことで容易に作製することができ、経済性が高い。
請求項6記載の発明は、請求項1ないし5のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記貫通孔の壁面に、光反射部材を備える。
したがって、光吸収を有する実装基板による損失が大きく低減されることにより、光が貫通孔内を低損失で透過することが可能になる。
請求項7記載の発明は、請求項6記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光反射部材は、金属薄膜により形成されている。
したがって、光反射構造を簡単に作製することが可能になることにより、より経済性に優れた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項8記載の発明は、請求項6記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光反射部材が備えられた前記貫通孔の内部に、誘電体充填材料を充填した。
したがって、実効的な反射回数を低減させた光反射構造により、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項9記載の発明は、請求項6記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光反射部材は低屈折率材料からなるクラッド薄膜により形成されており、前記クラッド薄膜の内側に当該クラッド薄膜と比較して高屈折率材料からなるコア部を形成した。
したがって、反射率を向上させた光反射構造により、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項10記載の発明は、請求項9記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記クラッド薄膜と前記コア部との少なくとも一方を電着形成材料により形成した。
したがって、反射率を向上させた光反射構造を簡単に作製できることにより、より光利用効率を向上させるとともに、経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項11記載の発明は、請求項9記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記コア部を誘電体充填材料により形成した。
したがって、反射率を向上させた光反射構造をより簡単に作製できることにより、より光利用効率を向上させるとともに、より経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項12記載の発明は、請求項9ないし11のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記クラッド薄膜と前記貫通孔の壁面との間に、金属薄膜を形成した。
したがって、より反射率を向上させた光反射構造を簡単に作成できることにより、より光利用効率を向上させるととともに、経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することが可能になる。
請求項13記載の発明は、請求項1ないし12のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子は、前記実装基板と一体化されている。
したがって、光学結像素子を実装基板と一体化して形成することにより、光伝送素子と実装基板とを1回のバンプ接合をするのみで、光学結像素子と光伝送素子との光実装を不要にすることが可能になる。これにより、実装工程を簡略化することができる。
請求項14記載の発明は、請求項13記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子の光軸に垂直な平面構造を有しており、当該光学結像素子と一体化されている被覆層を有する。
したがって、高湿による結露が発生しにくくなるとともに、コンタミがあった場合にも固着しにくくなる。また、表面をスワブ洗浄することも容易となり、光学結像素子の湿度、コンタミに対する光利用効率の信頼性を向上させることができる。
請求項15記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子が、前記実装基板に型を押圧して成形した成形体である。
したがって、実装基板および光学結像素子を量産することも容易であり、作製工程として経済性に非常に優れる。
請求項16記載の発明は、請求項1ないし14のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子が、パターニングされた高分子形状に対応して作製されたものである。
したがって、少量多品種の場合の経済性を向上させることができる。
請求項17記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子の実効焦点距離が、前記光伝送素子の光出射部と前記光学結像素子の光学距離と略等しい。
したがって、等倍結像とすることができるので、部品点数を減少させてより経済性を高めることができる。
請求項18記載の発明は、請求項1ないし3のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光学結像素子の実効焦点距離が、前記光伝送素子の光出射部と前記光学結像素子の光学距離の略1/2である。
したがって、光伝送素子の出射光となる発散光または収束光を平行光束にするので、実装のアライメントトレランスをより減少させることができる。
請求項19記載の発明は、請求項1ないし18のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、光配線ボードの電気配線と接合する電気配線を、前記光学結像素子に配設する。
したがって、光結合効率を向上させることができる。
請求項20記載の発明は、請求項1ないし19のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記実装基板における前記光学結像素子側とは反対側には、電気配線を有する配線基板が配設されており、前記配線基板の電気配線は前記実装基板の電気配線にバンプ接合されている。
したがって、配線基板と反対側に光伝送素子の光を簡単に結合することができ、光伝送素子からの光が配線基板へ入出射しないので、ボード間光伝送の光コネクタを簡単に着脱することができる。
請求項21記載の発明は、請求項1ないし19のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光伝送素子における前記貫通孔側とは反対側には、前記実装基板と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さな密着部材が配設されており、前記密着部材は前記光伝送素子に密着されている。
したがって、密着部材により、光伝送素子への応力を緩和することができると同時に、光伝送素子からの放熱性能を向上させることができるので、信頼性を向上させることができる。
請求項22記載の発明は、請求項1ないし20のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光伝送素子における前記貫通孔側とは反対側には、前記実装基板と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さな密着部材が配設されており、前記密着部材は前記光伝送素子と前記配線基板とに密着されている。
したがって、密着部材により熱を配線基板に伝熱することにより、光伝送素子からの放熱性能をより一層向上することができるので、信頼性をより向上させることができる。
請求項23記載の発明は、請求項1ないし20のいずれか一記載の光伝送素子モジュールにおいて、前記光伝送素子における前記貫通孔側とは反対側には、前記実装基板と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さな密着部材が配設されており、前記密着部材は前記光伝送素子に密着されていて、前記配線基板の電気配線が前記密着部材にバンプ接合されている。
したがって、密着部材により熱を配線基板に高効率で伝熱することにより、光伝送素子からの放熱性能をより一層向上させることができるので、信頼性をより一層向上させることができる。
請求項1記載の発明の光伝送素子モジュールによれば、光伝送素子の製造を容易にすることができるとともに、バンプ接合はセルフ整合効果があることから、光伝送素子と実装基板とを1回のフリップチップ等のバンプ接合をするのみで高精度に位置決めがなされるので、高精度の実装が不要となり、光学部品の組み付け工程を低減することができ、経済性に優れる実装を実現することができる。
請求項2記載の発明によれば、耐熱性に優れる高分子含有材料により実装基板を形成しているので、バンプ接合時の熱による変形による位置ずれを低減することができる。また、形状の量産的な自由度が高いことから、高周波の光伝送に必要な高周波の電磁波回路に適したように電気配線を実現することが容易であり、損失、波形歪、クロストーク、ノイズ等を大きく低減させることができる。
請求項3記載の発明によれば、耐熱性に優れる高分子含有材料により実装基板を形成しているので、バンプ接合時の熱による変形による位置ずれを低減することができる。また、機械的強度に優れ寸法安定性も高いので、光実装を非常に簡単とすることができ、さらにはシリコンの熱伝特性により高温時の信頼性を向上することができ、結果として消費電力が大きくなる高周波特性を向上することができるようになる。
請求項4記載の発明によれば、実装基板の強度を確保して実装の信頼性を向上させると同時に、光伝送素子の実装に必要な電極部分の実装基板上の面積を確保することでフリップチップ等のバンプ接合を可能としながらも、光利用効率の低減を減少することができる。
請求項5記載の発明によれば、実装基板の強度を確保したまま光伝送素子からの発散角や収束角をもつ光束に対する干渉を小さくしながらも孔部分の体積を低減しており、かつ離型時の離型の方向とテーパの方向が斜めに交差する方向であるので離型性が向上する。また、実装基板がシリコン基板からなる場合には、シリコン基板をアルカリ液で現像することにより異方性エッチングを行うことで容易に作製することができ、経済性が高い。
請求項6記載の発明によれば、貫通孔の壁面に光反射部材を備えることにより、光吸収を有する実装基板による損失を大きく低減することができるので、光が貫通孔内を低損失で透過することができる。
請求項7記載の発明によれば、光反射部材は金属薄膜により形成されていることにより、光反射構造を簡単に作製することができるので、より経済性に優れた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項8記載の発明によれば、光反射部材が備えられた貫通孔の内部に、誘電体充填材料を充填したことにより、実効的な反射回数を低減させた光反射構造にすることができるので、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項9記載の発明によれば、光反射部材は低屈折率材料からなるクラッド薄膜により形成されており、前記クラッド薄膜の内側に当該クラッド薄膜と比較して高屈折率材料からなるコア部を形成したことにより、反射率を向上させた光反射構造にすることができるので、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項10記載の発明によれば、クラッド薄膜と前記コア部との少なくとも一方を電着形成材料により形成したことにより、反射率を向上させた光反射構造を簡単に作製できるので、より光利用効率を向上させることができるとともに、経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項11記載の発明によれば、コア部を誘電体充填材料により形成したことにより、反射率を向上させた光反射構造をより簡単に作製することができるので、より光利用効率を向上させることができるとともに、より経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項12記載の発明によれば、クラッド薄膜と前記貫通孔の壁面との間に、金属薄膜を形成したことにより、より反射率を向上させた光反射構造を簡単に作成することができるので、より光利用効率を向上させることができるととともに、経済性にも優れた光伝送素子モジュールを実現することができる。
請求項13記載の発明によれば、光学結像素子を実装基板と一体化して形成することにより、光伝送素子と実装基板とを1回のバンプ接合をするのみで、光学結像素子と光伝送素子との光実装を不要にすることができることにより、実装工程を簡略化することができる。
請求項14記載の発明によれば、高湿による結露が発生しにくくなるとともに、コンタミがあった場合にも固着しにくくなる。また、表面をスワブ洗浄することも容易となり、光学結像素子の湿度、コンタミに対する光利用効率の信頼性を向上させることができる。
請求項15記載の発明によれば、実装基板および光学結像素子を量産することも容易であり、作製工程として経済性に非常に優れる。
請求項9記載の発明によれば、少量多品種の場合の経済性を向上させることができる。
請求項16記載の発明によれば、等倍結像とすることができるので、部品点数を減少させてより経済性を高めることができる。
請求項17記載の発明によれば、光伝送素子の出射光となる発散光または収束光を平行光束にするので、実装のアライメントトレランスをより減少させることができる。
請求項18記載の発明によれば、光結合効率を向上させることができる。
請求項20記載の発明によれば、配線基板と反対側に光伝送素子の光を簡単に結合することができ、光伝送素子からの光が配線基板へ入出射しないので、ボード間光伝送の光コネクタを簡単に着脱することができる。
請求項21記載の発明によれば、密着部材により、光伝送素子への応力を緩和することができると同時に、光伝送素子からの放熱性能を向上させることができるので、信頼性を向上させることができる。
請求項22記載の発明によれば、光伝送素子からの放熱性能をより一層向上することができるので、信頼性をより向上させることができる。
請求項23記載の発明によれば、光伝送素子からの放熱性能をより一層向上させることができるので、信頼性をより一層向上させることができる。
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1は、本発明の第一の実施の形態の光伝送素子モジュール100を示すものであって、1は光伝送素子である面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface-Emitting Laser)、2はVCSEL1の光出射部、3は実装基板となる不透明な成形体、4は成形体3に設けた電気配線、5はVCSEL1の電極パッド、6は小径バンプによる接合部分、7は光学結像素子であり透過型マイクロレンズであるマイクロ光学素子、8は成形体3に設けた貫通孔からなる孔部である。なお、9は配線基板であるPCB(Printed Circuit Board)、10はPCB9上に設けた電気配線、11は大径バンプである。
PCB9内のドライバIC(図示せず)から伝達される電圧または電流による情報信号は、PCB9に設けた電気配線10及び大径バンプ11を経由して、成形体3に設けた電気配線4に伝達される。さらに、この情報信号は、小径バンプ6によりVCSEL1の電極パッド5に伝達される。これにより、VCSEL1のレーザ発振による光出射部2からレーザ光が、図1中の上方に出射される。このようにして出射されたレーザ光は、不透明な成形体3に設けた貫通孔となる孔部8を透過し、この孔部8の上部にあるマイクロ光学素子7により集光され、光伝送素子モジュール100外にあるファイバ、または光コネクタに光結合する。
成形体3には、半導体封止材料として用いられているエポキシ材料、ポリイミド材料や、エンプラとして用いられているポリカーボネート材料、ポリフェニレンスルフィド材料、液晶ポリマー材料等の高分子含有材料を用いることができる。また、これらのフィラーとの複合材料を用いることもできる。このように不透明材料からなる高分子含有材料を用いた成形体3は、その形状の量産的な自由度が高いことから、高周波の光伝送に必要な高周波の電磁波回路に適したように電気配線を実現することが容易であり、損失、波形歪、クロストーク、ノイズ等を大きく低減させることが可能となる。
マイクロ光学素子7は、不透明な成形体3の貫通孔となる孔部8に、成形体3と一体化して形成されている。このようにマイクロ光学素子7を成形体3と一体化して形成することにより、VCSEL1と成形体3とを1回のバンプ実装をするのみで、光学結像素子であるマイクロ光学素子7と光伝送素子であるVCSEL1との光実装を不要にすることができる。これにより、実装工程を簡略化することができる。また、耐熱性に優れる不透明成形材料と一体化しているので、バンプ実装時の熱による変形による位置ずれを低減することができ、後工程としてバンプ実装を行うことができる。マイクロ光学素子7の材料としては、通常の光学材料以外にも、使用する波長が赤外の場合には、ポリイミドのような赤外で透明な材料を用いることもできる。また、マイクロ光学素子7の形状は、フレネルレンズ、屈折率分布レンズ、HOE、ミラーレンズ等であっても良い。
ここで、成形体3とマイクロ光学素子7との一体成形手法について図2を参照しつつ説明する。図2において、21及び22は不透明材料からなる高分子を用いた実装基板となる成形体3を作製するための型、23は射出成形またはトランスファ成形時の不透明液体の液体注入口、24は成形体3と一体化したマイクロ光学素子7を成形するための上の型、25は透明液体の液体注入口である。
図2(a)は2つの型21,22を用いたモールド成形により貫通孔となる孔部8を有する不透明材料からなる成形体3を成形した状態であり、図2(b)は上の型22を離型させた状態であり、図2(c)は(a)で用いた下の型21をそのまま用いながら、上の型として別の型24を用いて2つの型を用いたモールド成形により透明材料からなるマイクロ光学素子7を成形した状態であり、図2(d)は上下の2つの型21,24を離型させて、マイクロ光学素子7を一体化させて連続成形させた不透明材料からなる成形体3を成形した状態である。
このように図2(c)において、2つめの上の型24は、型同士の精度で高精度に位置決めすことができるので、実装基板となる不透明な成形体3と透明な材料からなる光学結像素子であるマイクロ光学素子7とを高精度に実装工程なしに位置決めすることができるようになる。これにより、実装基板となる不透明の成形体3とVCSEL1とを位置決めするだけで、VCSEL1とマイクロ光学素子7を位置決めすることができる。実際には、このような成形体3には、フォトリソやレーザによりパターニングした電気配線4が設けられ、この電気配線4とVCSEL1の電極パッド5とを小径バンプ6によるバンプ接合により接合する必要があり、バンプ接合はセルフ整合効果があり、マルチモードレベルの位置合わせであれば通常の電気実装をするのみで簡単に位置決めをすることができる。また、一つの型から複数の成形体3を成形することもできるので、成形体3およびマイクロ光学素子7を量産することも容易であり、作製工程として経済性に非常に優れる。なお、成形は、熱可塑性樹脂等による射出成形に限定されるわけではなく、光硬化樹脂、熱硬化樹脂を用いても良い。
このように、実装基板に不透明高分子材料からなる成形体3を用い、この成形体3に貫通孔となる孔部8を設けてその孔部8によりレーザ光を出射し、かつ、その孔部8付近に設けたマイクロ光学素子7を成形体3と一体化しているので、耐熱性を向上できるとともに、高精度に位置決めがなされているので、VCSEL1についてはバンプ実装を行うのみで良く、光実装工程を簡略化することができる。
ところで、VCSEL1のようなGaAs基板からなる光伝送素子のチップ大きさは、1発光素子あたり200μmから300μmと小さく、また電極パッド5の大きさは50μm〜100μm程度である。そこで、フリップチップのバンプ接合のためには同様の電極を対向させる必要があるため、VCSEL1と対向している成形体3の貫通孔となる孔部8は、VCSEL1の光出射部2程度の大きさの開口にしか形成することができない。この大きさは、VCSEL1の設計にもよるが、一般的には30μmから100μm程度である。このとき、VCSEL1の最大発散角は25度から30度であり、成形体3の孔部8の厚さを強度確保のために500μm〜1mmとするならば、孔部8のような柱状の30μmから100μm程度の開口では、孔部8がVCSEL1からのレーザ光束に干渉することにより光利用効率が大きく低減する恐れがある。
そこで、図3(a)に示すように、マイクロ光学素子7側の孔部8の開口部がVCSEL1側の孔部8の開口部に比べて大きくなるように孔部8を成形しても良い。このようにマイクロ光学素子7側の孔部8の開口部がVCSEL1側の孔部8の開口部に比べて大きくなるように孔部8を成形することにより、成形体3の強度を確保して実装の信頼性を向上させると同時に、VCSEL1の実装に必要な電極部分の成形体3上の面積を確保することでフリップチップ等のバンプ接合を可能としながらも、光利用効率の低減を減少することができる。
また、図3(b)に示すように、マイクロ光学素子7側の孔部8の開口部がVCSEL1側の孔部8の開口部に比べて大きくなるように、孔部8を連続的なテーパ形状に成形しても良い。このようにマイクロ光学素子7側の孔部8の開口部がVCSEL1側の孔部8の開口部に比べて大きくなるように、孔部8を連続的なテーパ形状に成形することにより、成形体3の強度を確保したままVCSEL1からの発散角や収束角をもつ光束に対する干渉を小さくしながらも孔部分の体積を低減しており、かつ離型時の離型の方向とテーパの方向が斜めに交差する方向であるので離型性が向上する。すなわち、成形体3の強度を増加して信頼性を向上すると同時に、より成形の離型性を向上して成形体3の応力を低減し、かつ、精度を高めた光伝送素子モジュール100を実現することができる。
このような光伝送素子モジュール100によれば、光伝送素子であるVCSEL1は、光出射部2(または光入射)と、成形体3の電気配線4とバンプ接合する電極5とをVCSEL1の同一面上に配設していることにより、VCSEL1の製造を容易にすることができるとともに、バンプ接合はセルフ整合効果があることから、VCSEL1と成形体3とを1回のフリップチップ等のバンプ接合をするのみで高精度に位置決めがなされるので、高精度の実装が不要となり、光学部品の組み付け工程を低減することができ、経済性に優れる実装を実現することができる。
なお、本実施の形態においては、光伝送素子として面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface-Emitting Laser)を適用したが、これに限定されるわけではなく、PD等の受光素子からなる光伝送素子モジュールの場合にも非常に効果的である。また、発光素子と受光素子を組み合わせることにより、非常に経済性に優れかつ信頼性の高い光伝送用トランシーバを実現することができるようになる。
また、本実施の形態においては、成形体3にVCSEL1に加えてドライバICやTIA(トランスインピーダンスアンプ)を実装してパッケージすることにより簡単に低コストに作製可能なMCMパッケージを提供することができるようになる。さらには、このMCMパッケージは、LDパッケージの露出面を用いて着脱可能な光コネクタの部品として用いることもできる。
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態を図4に基づいて説明する。なお、前述した第一の実施の形態と同一部分は同一符号で示し説明も省略する(以降の実施の形態についても同様)。本実施の形態は、前述した第一の実施の形態とは、光伝送素子モジュールの構成が異なるものである。
図4は、本発明の第二の実施の形態の光伝送素子モジュール200を示すものであって、31は成形体3に設けられたテーパ形状を有する孔部8に設けられた低屈折率透明材料からなる光学結像素子であるマイクロ光学素子、32は型に平面ガラスを用いてUV硬化により作製した高屈折率材料からなる被覆層、33は透明樹脂からなるアンダーフィル材である。
マイクロ光学素子31を構成する低屈折率透明材料としては、汎用光学材料のエポキシ樹脂およびアクリル樹脂以外にも、フッ素を含有したエポキシおよびアクリル材料またはサイトップ(旭硝子社)やPFA(デュポン社)等のフッ素樹脂を用いることができる。被覆層32を構成する高屈折率透明材料としては、汎用光学材料のポリカーボネート樹脂、ポリオエレフィン樹脂(例えば日本ゼオン社ゼオネックス)以外にもポリイミド系樹脂やベンゼン環や複素環を含有した高屈折率樹脂を用いることができる。
図4に示すように、被覆層32は、マイクロ光学素子31の光軸に垂直な平面構造を有しており、当該マイクロ光学素子31と一体化されている。これにより、高湿による結露が発生しにくくなるとともに、コンタミ(contamination:異物混入)があった場合にも固着しにくくなる。また、表面をスワブ洗浄することも容易となり、マイクロ光学素子31の湿度、コンタミに対する光利用効率の信頼性を向上させた光伝送素子モジュール200を実現することができる。
なお、低屈折率透明材料と高屈折率透明材料は、その配置を交換しても良い。また、フッ素を含有する低屈折率透明材料を用いた場合には、リフロー時の耐熱性を考慮して被覆層32の内側に用いることが好ましい。
また、マイクロ光学素子31の形状は、フレネルレンズ、屈折率分布レンズ、HOE、ミラーレンズ等であっても良い。
さらに、平面な部分を有する被覆層32には、さらに追加の被覆層を設けた多層構造または複合構造とすることも効果的である。この追加の被覆層としては、ARコート、ハードコート、親水コート、撥水コート、耐熱コートおよびこれらの複合コート等を用いることができる。
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態を図5ないし図9に基づいて説明する。前述した本発明の第一の実施の形態及び第二の実施の形態においては、実装基板に不透明高分子材料からなる成形体3を用いていたが、本実施の形態においては、実装基板にシリコン基板を用いるようにしたものである。
図5は、本発明の第三の実施の形態の光伝送素子モジュール300を示すものであって、1は光伝送素子である面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface-Emitting Laser)、2はVCSEL1の光出射部、51は実装基板となるシリコン基板、4はシリコン基板51に設けた電気配線、5はVCSEL1の電極パッド、6は小径バンプによる接合部分、7は透過型マイクロレンズであるマイクロ光学素子、52はシリコン基板51に設けた貫通孔からなる孔部である。なお、9はPCB、10はPCB9上に設けた電気配線、11は大径バンプである。
シリコン基板51に設けた貫通孔からなる孔部52は、高速ミルによる機械加工、ドライエッチング、レーザ加工等で実現することができる。
PCB9内のドライバIC(図示せず)から伝達される電圧または電流による情報信号は、PCB9に設けた電気配線10及び大径バンプ11を経由して、シリコン基板51に設けた電気配線4に伝達される。さらに、この情報信号は、小径バンプ6によりVCSEL1の電極パッド5に伝達される。これにより、VCSEL1のレーザ発振による光出射部2からレーザ光が、図1中の上方に出射される。このようにして出射されたレーザ光は、シリコン基板51に設けた貫通孔となる孔部52を透過し、この孔部52の上部にあるマイクロ光学素子7により平行光束に変換され、光伝送素子モジュール300外にあるファイバ、または光コネクタに光結合する。
マイクロ光学素子7は、シリコン基板51の貫通孔となる孔部25に、シリコン基板51と一体化して形成されている。このようにマイクロ光学素子7をシリコン基板51と一体化して形成することにより、VCSEL1とシリコン基板51とを1回のバンプ実装をするのみで、光学結像素子であるマイクロ光学素子7と光伝送素子であるVCSEL1との光実装を不要にすることができる。これにより、実装工程を簡略化することができる。また、耐熱性に優れるシリコン基板51と一体化しているので、バンプ実装時の熱による変形による位置ずれを低減することができ、後工程としてバンプ実装を行うことができる。マイクロ光学素子7の材料としては、通常の光学材料以外にも、使用する波長が赤外の場合には、ポリイミドのような赤外で透明な材料を用いることもできる。
なお、マイクロ光学素子7は、シリコン基板51上にウエハ単位で一括で作製できる方式によるものが効果的である。また、マイクロ光学素子7の形状は、フレネルレンズ、屈折率分布レンズ、HOE、ミラーレンズ等であっても良い。
ここで、シリコン基板51とマイクロ光学素子7との一体成形手法について図6を参照しつつ説明する。図6において、51は貫通孔となる複数の孔部52を有するシリコン基板、61,62は成形によりマイクロ光学素子7を作製するための成形用の型、63は成形用の液体注入口、64は複数のマイクロ光学素子7を含む透明樹脂からなる成形体である。下側の型61は、シリコン基板51と密着する平面部を有しており、上の型62は、マイクロ光学素子7のマイクロレンズ形状を複数個有している。
図6(a)に示す複数の孔部52を有するシリコン基板51を、図6(b)に示すように、上下の型61,62に挟んで、下の型61に対して上の型62を押し付ける。その後、注入口63より熱硬化性樹脂を注入し、加熱して硬化させる。この後、型61,62を離型することにより、複数のマイクロ光学素子7を含む透明樹脂からなる成形体64をシリコン基板51上に成形する。このとき、下の型61に対して上の型62を押し付ける場合に、上の型62の自重を用いてもよいし、自重が大きいときには加圧が弱くなるように制御することも効果的である。また、型としては、金属の型以外に、ガラスや透明高分子の型を用いた場合はヴィジュアルアライン等も容易となり、成形時にその精度をリアルタイムで確認したり、さらに高精度に位置あわせをしたりすることができるようになる。エラストマー高分子の型を用いた場合には、剥離性能が向上し、剥離時の形状劣化を低減することができるようになる。
このように複数のマイクロ光学素子7を含む透明樹脂からなる成形体64をシリコン基板51上に成形することにより、ウエア単位で複数のマイクロ光学素子7を貫通孔となる複数の孔部52を有するシリコン基板51と高精度の位置決めすると同時に形状成形することができる。これにより、シリコン基板51とVCSEL1とを位置決めするだけで、VCSEL1とマイクロ光学素子7を位置決めすることができる。実際には、このようなシリコン基板51には、フォトリソやレーザによりパターニングした電気配線4が設けられ、この電気配線4とVCSEL1の電極パッド5とを小径バンプ6によるバンプ接合により接合する必要があり、バンプ実装はセルフ整合効果があり、マルチモードレベルの位置合わせであれば通常の電気実装をするのみで簡単に位置決めをすることができる。また、一つの型から複数のマイクロ光学素子7を成形することもできるので、シリコン基板51およびマイクロ光学素子7を量産することも容易であり、作製工程として経済性に非常に優れる。
次に、シリコン基板51とマイクロ光学素子7との別の一体成形手法について図7を参照しつつ説明する。図7において、51は貫通孔となる複数の孔部52を有するシリコン基板、65はマイクロ光学素子7を作製するためのシリコン基板51を保持する下基板、66はシリコン基板51の複数の孔部52に充填された透明樹脂層、67はインク出射装置、68は出射された光硬化樹脂からなるインク、69は出射されたインクにより作製されたマイクロレンズである。
図7(a)に示す複数の孔部52を有するシリコン基板51を、図7(b)に示すように、平面を有する下基板65の上に密着させ、この上から熱硬化樹脂を滴下した後、スピンコートにより均一な厚さの透明樹脂層66を得る。ただし、この透明樹脂層66は、孔部52の厚さは不均一であり、上面が平面性を有している。これは、液の粘度とスピンコートの回転数を制御することにより比較的容易である。この後、図7(c)に示すように、インク出射装置67より、光硬化性樹脂をインク68として連続出射し、かつ出射場所を変化させる。図7(d)に示すように、インク出射装置67より出射されたインク68は、透明樹脂層66上で表面張力により球面を有する形状となり、これを熱硬化または光硬化させることによりマイクロレンズ69を作製することができる。
なお、図7においては、透明樹脂層66に親水および撥水処理をあらかじめ施しておくことにより、表面張力を変化させて球面形状を制御することができる。この親水または撥水処理自体をパターニングしておくことにより、より高精度の形状を制御することも可能である。
また、図7に示すように、成形の型を用いずにパターニングされた高分子形状に対応してマイクロレンズ69を用いてマイクロ光学素子7を作製することにより、少量多品種の場合の経済性をさらに向上させた光伝送素子モジュールを実現することができる。
パターニングされた高分子形状に対応したマイクロレンズ69は、インクジェットにより形成される場合に限定されるものではなく、フォトリソや印刷によりパターニングした高分子材料をリフローにより球面形状を有する形状とした後に、熱硬化または光硬化により硬化して作製するようにしても良い。また、感光性材料を階調露光可能なマスクを用いたフォトリソにより非球面形状を有する形状とした後に、熱硬化または光硬化により硬化してマイクロレンズ69を作製しても良い。
このようなマイクロ光学素子7と一体成形されたシリコン基板51に設けた電気配線4と、VCSEL1の電極パッド5とをバンプ接合等によりフリップチップすることができるようになる。このため、シリコンの耐熱性、低膨張係数、高熱伝特性により高熱に対する信頼性を確保できると同時に、シリコン基板51に設けた電気配線4と、VCSEL1の電極パッド5をバンプ接合によるセルフアラインを行うことができるようになり、高精度の実装が不要となる。さらには、バンプによりGHz帯域での電気伝送の高周波特性を向上することができエラーレートを低減することもできるようになる。
このようにシリコン基板51にバンプによるフリップ実装をしながら、かつ高精度の位置決めを同時に行うことができるようになるので、高周波特性にすぐれると同時に、シリコン自体が機械的強度に優れ寸法安定性も高いので、光実装を非常に簡単とすることができ、さらにはシリコンの熱伝特性により高温時の信頼性を向上することができ、結果として消費電力が大きくなる高周波特性を向上することができるようになる。
ところで、VCSEL1のようなGaAs基板からなる光伝送素子のチップ大きさは、1発光素子あたり200μmから300μmと小さく、また電極パッド5の大きさは50μm〜100μm程度である。そこで、フリップチップのバンプ接合のためには同様の電極を対向させる必要があるため、VCSEL1と対向しているシリコン基板51の貫通孔となる孔部52は、VCSEL1の光出射部2程度の大きさの開口にしか形成することができない。この大きさは、VCSEL1の設計にもよるが、一般的には30μmから100μm程度である。このとき、VCSEL1の最大発散角は25度から30度であり、シリコン基板51の孔部52の厚さを強度確保のために500μmとするならば、孔部52のような柱状の30μmから100μm程度の開口では、孔部52がVCSEL1からのレーザ光束に干渉することにより光利用効率が大きく低減する恐れがある。なお、シリコン基板51を50μm程度に薄くすることもできるが、このときはシリコン基板51自体の強度が低下してしまうので、実装時にかかる応力や使用時の応力を低減する必要がある。
そこで、図8に示すように、マイクロ光学素子側の孔部52の開口部がVCSEL1側の孔部52の開口部に比べて大きくなるように、孔部52を連続的なテーパ形状に成形しても良い。このようにマイクロ光学素子側の孔部52の開口部がVCSEL1側の孔部52の開口部に比べて大きくなるように、孔部52を連続的なテーパ形状に成形することにより、シリコン基板51の十分な厚さにより強度を確保して実装の信頼性を向上させると同時に、VCSEL1の実装に必要な電極部分のシリコン基板51上の面積を確保することでフリップチップ等のバンプ接合を可能としながらも、光利用効率の低減を減少することができる。
図8に示すようなシリコン基板51の孔部52のテーパ形状は、シリコン基板51をアルカリ液で現像することにより異方性エッチングを行うことで容易に作製することができ、経済性が高い。
また、図9に示すように、シリコン基板51の下部にもテーパ形状を設けることにより、シリコン基板51が厚い場合において、VCSEL1の光出射部2とシリコン基板51上部との出射面との距離を近づけることができる。これにより、シリコン基板51の孔部52のテーパ形状の深さを任意に制御することができるようになる。また、シリコン基板51の下部のテーパ形状深さを、フリップ実装するVCSEL1の厚さおよびバンプ径の合計値よりも大きくすることにより、シリコン基板51内にVCSEL1を内包することができようになり、ハンドリングや保管の容易な上面発光型の薄型フリップチップ実装用モジュールを実現することができる。なお、シリコン基板51の下部のテーパ形状深さが、フリップ実装するVCSEL1の厚さおよびバンプ径の合計値より小さくても、PCB9と接合するためのバンプ径400μmから500μmを確保できれば、PCB9に対するフリップチップ実装が可能である。
[第四の実施の形態]
本発明の第四の実施の形態を図10に基づいて説明する。本実施の形態は、前述した第三の実施の形態とは、光伝送素子モジュールの構成が異なるものである。
図10は、本発明の第四の実施の形態の光伝送素子モジュール400を示すものであって、71はシリコン基板51に設けられたテーパ形状を有する孔部52に設けられた低屈折率透明材料からなる光学結像素子であるマイクロ光学素子、72は型に平面ガラスを用いてUV硬化により作製した高屈折率材料からなる被覆層、73は透明樹脂からなるアンダーフィル材、74はSiO2膜である。
マイクロ光学素子71を構成する低屈折率透明材料としては、汎用光学材料のエポキシ樹脂およびアクリル樹脂以外にも、フッ素を含有したエポキシおよびアクリル材料またはサイトップ(旭硝子社)やPFA(デュポン社)等のフッ素樹脂を用いることができる。被覆層72を構成する高屈折率透明材料としては、汎用光学材料のポリカーボネート樹脂、ポリオエレフィン樹脂(例えば日本ゼオン社ゼオネックス)以外にもポリイミド系樹脂やベンゼン環や複素環を含有した高屈折率樹脂を用いることができる。
図10に示すように、被覆層72は、マイクロ光学素子71の光軸に垂直な平面構造を有しており、当該マイクロ光学素子71と一体化されている。これにより、高湿による結露が発生しにくくなるとともに、コンタミ(contamination:異物混入)があった場合にも固着しにくくなる。また、表面をスワブ洗浄することも容易となり、マイクロ光学素子31の湿度、コンタミに対する光利用効率の信頼性を向上させた光伝送素子モジュール400を実現することができる。
また、シリコン基板51の孔部52を、透明誘電体からなる薄膜で被覆する被覆層を設けることにより、アンダーフィル材73の孔部52への進入を防止したり、レンズ材料のVCSEL1側への進入を防止することができて効果的である。これは、アンダーフィル材73とともに、熱酸化シリコン膜または酸化シリコン層を有するシリコン基板と接合させて設けた酸化シリコン(SiO2)膜74を用いて、シリコン基板51の孔部52を被覆する構造とすることにより、簡単に実現できる。また、酸化シリコン以外であっても、他の酸化物でも良く、また高分子材料でも良い。さらに、あらかじめ高分子透明材料により薄膜をスピンコート等により被覆していても良い。
なお、低屈折率透明材料と高屈折率透明材料は、その配置を交換しても良い。また、フッ素を含有する低屈折率透明材料を用いた場合には、リフロー時の耐熱性を考慮して被覆層72の内側に用いることが好ましい。
また、マイクロ光学素子71の形状は、フレネルレンズ、屈折率分布レンズ、HOE、ミラーレンズ等であっても良い。
さらに、平面な部分を有する被覆層72には、さらに追加の被覆層を設けた多層構造または複合構造とすることも効果的である。この追加の被覆層としては、ARコート、ハードコート、親水コート、撥水コート、耐熱コートおよびこれらの複合コート等を用いることができる。
[第五の実施の形態]
本発明の第五の実施の形態を図11ないし図14に基づいて説明する。
前述した本発明の第一の実施の形態及び第二の実施の形態においては、実装基板に不透明高分子材料からなる成形体を用いた光伝送素子モジュールをPCB上に配置して光伝送用トランシーバを実現したが、本実施の形態においては、光伝送素子モジュールを光配線を備えた光配線ボード上に配置して同一ボード内での光伝送を実現するものである。
図11は、本発明の第五の実施の形態の光配線システムを示すものであって、第一の実施の形態の光伝送素子モジュール100を、光配線ボード500上に配置している。なお、本実施の形態の光伝送素子モジュール100は、第一の実施の形態の光伝送素子モジュール100とは、封止材101によりVCSEL1全体を成形体3内に封止している点で異なっている。
次に、光配線ボード500について説明する。図11に示すように、光配線ボード500は、光導波路であるコア層501、コア層501の端面に設けられた45度の角度を有する90度偏向子502、上部クラッド層503、下部クラッド層兼基板平坦化層504、上部被覆層505、上部クラッド層503および上部被覆層505を除去した孔部506、多層電気配線507a,507b、ガラスエポキシ材料からなる基板508、電気配線509により構成されている。
また、102は光伝送素子モジュール100に設けた電気配線である。このような電気配線102は、大径バンプ510によって光配線ボード500の電気配線509に接合される。なお、大径バンプ510による光伝送素子モジュール100の電気配線102と光配線ボード500の電気配線509との接合部分は、光伝送素子モジュール100と光配線ボード500との間に充填された透明樹脂からなるアンダーフィル材511により覆われている。
図11において、VCSEL1の光出射部2と光配線ボード500内の90度偏向子502との位置精度は、VCSEL1の光出射部2とVCSEL1の電極パッド5との位置精度〔1〕、VCSEL1の電極パッド5と成形体3に設けた電気配線4との位置精度〔2〕、成形体3に設けた電気配線4と光伝送素子モジュール100の電気配線102との位置精度〔3〕、光伝送素子モジュール100の電気配線102と光配線ボード500の電気配線509との位置精度〔4〕、光配線ボード500の電気配線509と光配線ボード500内の90度偏向子502との位置精度〔5〕の5つの加算によって決定される。
このとき、図11においては、〔1〕は同一の面に電極とVCSEL1を近接して設けているので非常に位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔2〕は光伝送素子モジュール100内であるので小さいバンプを利用できるのでこれも位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔3〕は同じ成形体3上のほぼ上下面になるようビーム径程度しか水平にずれずにかつ厚さも薄くでき、非常に近接した位置に関してお互いの電極を設けているので変形の位置ズレ量が小さく、さらに初期の位置精度も立体フォトリソやレーザ描画により高精度に実現できる。また、〔4〕はバンプの大きさに関して制約がないのでバンプ径を小さくできるので位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔5〕は電気配線509及び90度偏向子502の垂直方向の距離に大きな制約がないので近接させることができる変形量を少なくすると同時に、それぞれをフォトリソによりパターニングすることができるので位置精度を高くすることができる。
光伝送素子モジュール100内の電子回路素子(図示せず)による内部演算により処理された電子情報はVCSEL1に伝達され、VCSEL1のレーザ発振による光出射部2からのレーザ光が、図11中の下方に出射される。このようにして出射されたレーザ光は、不透明な成形体3に設けた貫通孔となる孔部8を透過し、この孔部8の下部にあるマイクロ光学素子7により集光され、光配線ボード500に対して垂直方向に伝播し、光導波路であるコア層501に集光される。コア層501の端面には90度偏向子502が形成されており、集光ビームは90度偏向子502において90度の光路変換がなされた後、コア層501の各コアに導光される。
このようにして光導波路であるコア層501を伝播した光は、別の偏向子(図示せず)により垂直に偏向されて上方に進行して、光伝送素子モジュール100と同様で受光素子を有している光伝送素子モジュール(図示せず)へ伝達される。なお、基板508に対して光導波路であるコア層501は少なくとも1度以内、好ましくは10分以内の平行性を有することが好ましい。平行度が悪い場合には、長い距離を伝播した場合に、基板508に垂直方向の大きな位置の差となり、光利用効率が低下する場合がある。
図12にシミュレーションにより求めたVCSEL1と光導波路であるコア層501、および光導波路であるコア層501とPDとの光利用効率を示す。シミュレーションは、モンテカルロ法による光線追跡により行い、界面損失無しとした。計算条件としては、
発光素子=Φ20μm&20degのLD(角度分布は、ガウス分布とした)
光導波路=Φ50μmのGI光ファイバ(出射の面積および角度分布をガウス分布とした)
受光素子=Φ40μmまたは80μmのPD
とした。また、
光学結像素子=Φ200μmの球面2面(△n=約0.2)
作動距離=約400μm
とした。図12に示すように、光配線ボード500にマイクロレンズを設けなくとも非常に高い光利用効率と20μm程度のアライメントトレランスを実現することができる。
ここで、図13に、図11におけるVCSEL1の光出射部2、マイクロ光学素子7および90度偏向子502の位置関係を示す。図13において、VCSEL1の光出射部2の位置を物点O、マイクロ光学素子7のO側の主点をH、マイクロ光学素子7のO側焦点位置をF、主点Hと焦点位置Fとの距離を焦点距離をfとすると、図11においては、光電変換面のO点と主点Hとの距離を焦点距離fの略2倍となるようにVCSEL1の光出射部2を配置している。このとき、レーザからの発散光を像側に、像側の主点をH´、像側の焦点距離をF´、主点H´と焦点位置F´との距離を焦点距離をf´とすると、拡大倍率1倍前後でレーザの光を像側主点距離から像側焦点距離の2倍の位置に集光させることができようになり、このとき面発光レーザの径と導波路の径とPD径とほぼ同じオーダの大きさの光学素子であるために、非常に高い光利用効率で90度偏向子502とこれを端面に有する光導波路であるコア層501に光を結合することができるようになる。
ここでの略2倍とは、1.6倍から2.2倍であり、より好ましくは1.7倍から2.1倍である。マルチモードのレーザ光からなる面光源に対して結像関係が成立するとするならば、1.6倍から2.2倍のときに、拡大倍率で0.80倍から1.67倍の倍率範囲となる。VCSEL1の発光面積は相対的には一番に小さいために、50μm前後の30から70μm程度の径の光導波路へは容易に光結合することができるが、受光素子となる面型PDは、2.5GHz程度であれば80μmの大きさも可能であるので拡大倍率等倍となる拡大倍率1倍前後で容易に光結合できる。また、シングルモードレーザの場合においても、デフォーカスにより像が拡大するので、略同一の値となる。
また、10GHz以上の帯域では、PD径は容量低減のため40μm以下の大きさにしたいので、高い光結合のためには導波路から受光素子への縮小倍率しながら光結合する必要がある。このとき、VCSEL1を物像としたときの拡大倍率は、拡大倍率1倍より大きくすることがより好ましくなり、光電変換面のO点と主点Hとの距離を主点距離fの略2倍として、1.7倍より大きく2.0倍より小さくすることがさらに好ましい。これにより、40μmから60μmの径の導波路に対して、発散角20度で20μm径のVCSEL1、40μm径のPDを用いて、非球面レンズを用いることにより80%以上の光結合効率を実現することができるようになる。
なお、本発明の第二の実施の形態で説明した光伝送素子モジュール200のように、VCSEL1から出射され、不透明な成形体3に設けた貫通孔となる孔部8を透過し、この孔部8の上部にあるマイクロ光学素子31に入射したレーザ光を平行光束に変換するような場合には、光伝送素子モジュール200と光配線ボード500との間を平行光束として空間光伝送させて情報伝送を行うようにしている。すなわち、この光伝送素子モジュール200を適用する場合には、光伝送素子モジュール200と光配線ボード500との間を平行光束として空間光伝送させて情報伝送を行うため、光配線ボード500にマイクロレンズを設ける必要がある。なくとも非常に高い光利用効率と20μm程度のアライメントトレランスを実現することができる。このような場合、図12とほぼ同条件のシミュレーションでは、50μm以上の大きいアライメントトレランスを有する。
ここで、図14に、第二の実施の形態の光伝送素子モジュール200を適用した場合におけるVCSEL1の光出射部2、マイクロ光学素子31の位置関係を示す。図14において、VCSEL1の光出射部2の位置を物点Oとし、マイクロ光学素子31のO側の主点をHとし、マイクロ光学素子31の物側焦点位置をF、主点Hと焦点位置Fとの距離を焦点距離fとすると、光電変換面のO点と主点Hとの距離を主点距離fの略1倍と略等しいように光電変換面を配置している。このため、FとOが略一致した点となっている。このとき、マイクロ光学素子31はコリメートレンズとして機能し、レーザからの発散光は、平行光束にすることができる。
ここでの略等しいとは、0.9倍から2.1倍であり、より好ましくは0.95倍から1.5倍である。PD径が80μmの場合には、倍率がずれることによる大きな光利用効率の低下はないが、40μm以下のPD径の場合には、5%以内に誤差を抑えておくことで、その光利用効率の低下を低減することが必要である。
[第六の実施の形態]
本発明の第六の実施の形態を図15に基づいて説明する。
前述した本発明の第三の実施の形態及び第四の実施の形態においては、実装基板にシリコン基板を用いた光伝送素子モジュールをPCB上に配置して光伝送用トランシーバを実現したが、本実施の形態においては、光伝送素子モジュールを光配線を備えた光配線ボード上に配置して同一ボード内での光伝送を実現するものである。
図15は、本発明の第六の実施の形態の光配線システムを示すものであって、第三の実施の形態の光伝送素子モジュール300を、光配線ボード500上に配置している。なお、本実施の形態の光伝送素子モジュール300は、第三の実施の形態の光伝送素子モジュール300とは、封止材301によりVCSEL1全体をシリコン基板51内に封止している点で異なっている。
302は光伝送素子モジュール300に設けた電気配線である。このような電気配線302は、大径バンプ510によって光配線ボード500の電気配線509に接合される。なお、大径バンプ510による光伝送素子モジュール300の電気配線302と光配線ボード500の電気配線509との接合部分は、光伝送素子モジュール300と光配線ボード500との間に充填された透明樹脂からなるアンダーフィル材511により覆われている。
図15において、VCSEL1の光出射部2と光配線ボード500内の90度偏向子502との位置精度は、VCSEL1の光出射部2とVCSEL1の電極パッド5との位置精度〔1〕、VCSEL1の電極パッド5と成形体3に設けた電気配線4との位置精度〔2〕、成形体3に設けた電気配線4と光伝送素子モジュール300の電気配線302との位置精度〔3〕、光伝送素子モジュール300の電気配線302と光配線ボード500の電気配線509との位置精度〔4〕、光配線ボード500の電気配線509と光配線ボード500内の90度偏向子502との位置精度〔5〕の5つの加算によって決定される。
このとき、図15においては、〔1〕は同一の面に電極とVCSEL1を近接して設けているので非常に位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔2〕は光伝送素子モジュール300内であるので小さいバンプを利用できるのでこれも位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔3〕は同じシリコン基板51上のほぼ上下面になるようビーム径程度しか水平にずれずにかつ厚さも薄くでき、非常に近接した位置に関してお互いの電極を設けているので変形の位置ズレ量が小さく、さらに初期の位置精度も立体フォトリソやレーザ描画により高精度に実現できる。また、〔4〕はバンプの大きさに関して制約がないのでバンプ径を小さくできるので位置精度が高く形成できると同時に変形の量も小さい。また、〔5〕は電気配線509及び90度偏向子502の垂直方向の距離に大きな制約がないので近接させることができる変形量を少なくすると同時に、それぞれをフォトリソによりパターニングすることができるので位置精度を高くすることができる。
光伝送素子モジュール300内の電子回路素子(図示せず)による内部演算により処理された電子情報はVCSEL1に伝達され、VCSEL1のレーザ発振による光出射部2からのレーザ光が、図11中の下方に出射される。このようにして出射されたレーザ光は、シリコン基板51に設けた貫通孔となる孔部52を透過し、この孔部52の下部にあるマイクロ光学素子7により集光され、光配線ボード500に対して垂直方向に伝播し、光導波路であるコア層501に集光される。コア層501の端面には90度偏向子502が形成されており、集光ビームは90度偏向子502において90度の光路変換がなされた後、コア層501の各コアに導光される。
なお、シリコン基板51に加えてポリイミドフィルムからなる第2のインタボーザを用いるようにしても良い。この第2のインタポーザとシリコン基板51からなるインタポーザが複合されて一つのインタポーザ基板として構成することにより、熱伝導性、電気配線、強度、透過率等の特性を最適にすることができ、非常に効果的である。また、ポリイミドフィルムに限定されるわけではなく、ビルフォアップ基板やセラミックス基板等を用いることも非常に効果的である。また、必要な光利用効率が十分であれば、ポリイミドは850nm以上では高い透過率を有するので、光透過部分のポリイミドを除去せずにそのまま用いてもよい。
[第七の実施の形態]
本発明の第七の実施の形態を図16ないし図26に基づいて説明する。
本実施の形態は、光伝送素子モジュールの実装基板に設けられる貫通孔の壁面に光反射部材を備えるようにしたものである。なお、ここでは、図1に示す光伝送素子モジュール100についての適用例について説明するが、図3(a)や図3(b)に示す光伝送素子モジュール100、図4に示す光伝送素子モジュール200、図5、図8、図9に示す光伝送素子モジュール300、図10に示す光伝送素子モジュール400等に適用可能であることは言うまでもない。
図16は、本発明の第七の実施の形態の光伝送素子モジュール100を示すものであって、第一の実施の形態の光伝送素子モジュール100とは、実装基板となる成形体3に設けられる貫通孔である孔部8の壁面に透明誘電体膜または金属薄膜で形成されている光反射部材80を備えている点で異なっている。また、本実施の形態においては、マイクロ光学素子7の形状が第一の実施の形態の光伝送素子モジュール100とは異なっており、孔部8の内部は空洞である。
通常、強度を有する高分子材料からなる成形体3は、大きな光吸収を有する。透明エンプラも存在するが、その強度や膨張係数等の特性は不透明な高分子材料に劣る。このため、不透明が高分子材料を実装基板として使用したいが、この場合に数十μmの孔部8に1mm程度伝播させた場合に、その内部での反射が1回でも生じた光は、ほとんど反射されないために、反射回数0のレーザ光しか利用できないため、その光利用効率はレーザ光の配光分布にもよるが、1%以下である。
そこで、本実施の形態においては、孔部8の壁面に光反射部材80を備えることにより、光吸収を有する成形体3による損失を大きく低減するようにしたものである。これにより、光が孔部8内を低損失で透過することができるようになる。
ここで、光反射部材80が透明誘電体膜で形成されている場合は、単層膜でもよいが、多層膜にすることにより、より大きな光利用効率を実現することが可能である。透明誘電体膜は、原材料によりディピングにより薄層を形成することもできるが、粘度や表面張力が大きい場合には高分子液体を孔部に注液した後にエアにより中空にして薄膜としたり、液体または気体の吸着プロセスを繰り返して作製してもよい。
また、光反射部材80が金属薄膜で形成されている場合には、孔部8の壁面に光反射部材80を備えない成形体3のみからなる場合と比較すると反射率が大きくなるため、ほとんど全ての金属を用いることができる。特に、金、銀、銅は、その近赤外から赤外にかけて反射率が高いことから好ましい。金属は酸化によりその反射率が変化する場合もあるので、金属薄膜の上にさらに保護層を設けることも好ましい。また、これらの金属薄膜は蒸着やスパッタ等により作製することもできる。さらに、これらは金属を含有する液体より無電解メッキを用いることができ、さらに通常の電解メッキも用いることができるので、非常に経済性も高い。
また、上述したような光反射部材80としては透明誘電体膜や金属薄膜により形成する以外にも種々の変形例が考えられる。その変形例のいくつかを以下に例示的に示す。
[第1の変形例]
図17は第1の変形例を示すものである。図17に示すように、第1の変形例は、光反射部材80が備えられた成形体3の孔部8の内部に、透明誘電体である充填材料81を充填したものである。このように充填材料81を光反射部材80が備えられた孔部8内に充填させるには、あらかじめ光反射部材80を孔部8に形成した後に、UV硬化または熱硬化材料をディピングにより充填した後に硬化させてもよいし、光反射部材80(金属薄膜)を利用して電着により形成してもよい。充填材料81を直接に充填する方法以外にも、これをコアとする材料を挿入してクラッド層を充填材料81とし、その充填材料81の周辺に光反射部材80(金属薄膜)を形成してもよい。充填する材料は、高屈折率であるほど光利用効率を向上できるが、通常の屈折率1.48〜1.6のPMMA、PC、ポリオレフィン系の材料を用いても十分に効果的である。
このように光反射部材80が備えられるとともに透明誘電体81が充填されている孔部8に入射した光の反射は、光反射部材80において行われる。このとき光反射部材80への入射角度は、70度以上であることが望ましい。入射角度が大きいほど反射率は増加することになるので、光利用効率を向上させることができる。また、反射回数が小さいほど、反射による光損失を低減することができるので、光利用効率を向上させることができる。すなわち、例えば屈折率1.5程度の充填材料81を光反射部材80が備えられた孔部8の内部に充填するのみで、これらの作用を同時に生じることができ、その光利用効率を大きく増大することができるようになるものである。
ここで、図18ないし図21に、VCSEL1を用いた場合の光利用効率の計算結果を示す。なお、図18中、“air”は充填材料81を充填しない場合、“n150”は充填材料81を充填した場合である。孔部8の径は50μmとし、光反射部材80の反射率は複素屈折率を基に計算した。計算には、モンテカルロ法による光線追跡を行い、10万本以上により絶対値として2%以内の計算誤差である。ただし、設定した物質特性値による誤差は含まない。計算波長は850nmであり、充填材料81は吸収のない屈折率1.5の材料とした。孔部8の長さとなる伝播長の記入のないものは伝播長=1mmであり、光反射部材80の記入のないものは金属=銅であり、VCSEL発散角の記入のないものは、25度である。発散角度が20度のときのVCSEL発散角の正規化強度角度分布としては、図22に示す強度プロファイルを定義して用いた。他の角度のときは、これらを基に横倍率をかけることにより定義した。
なお、充填材料81は、光反射部材80(金属薄膜)の酸化防止、さらには湿度やコンタミ(contamination:異物混入)による光利用効率低下を減少させる効果もある。
[第2の変形例]
図23は第2の変形例を示すものである。図23に示すように、第2の変形例は、成形体3の孔部8の側面に低屈折率材料からなるクラッド薄膜82を形成し、このクラッド薄膜82の内側にクラッド薄膜と比較して高屈折率材料からなるコア部83を形成したものである。図23に示すように、不透明な成形体3の孔部8内にクラッド薄膜82を形成し、その内部にコア部83を形成しているので、全反射による低損失の伝播が可能であり、反射率を向上させた光反射構造により、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することができる。すなわち、クラッド薄膜82は光反射部材として機能し、コア部83は充填材料として機能するものである。
クラッド薄膜82を形成する低屈折材料としては、汎用光学材料のエポキシ樹脂およびアクリル樹脂以外にも、フッ素を含有したエポキシおよびアクリル材料またはサイトップ(旭硝子社)やPFA(デュポン社)等のフッ素樹脂を用いることができる。一方、コア部を形成する高屈折率材料としては、汎用光学材料のポリカーボネート樹脂、ポリオエレフィン樹脂(例えば日本ゼオン社ゼオネックス)以外にもポリイミド系樹脂やベンゼン環や複素環を含有した高屈折率樹脂を用いることができる。低屈折率材料と高屈折率材料は、その配置を交換してもよい。また、フッ素を含有する低屈折率材料を用いた場合には、リフロー時の耐熱性を考慮して被覆層の内側に用いることが好ましい。
ここで、クラッド薄膜82及びコア部83の形成手法について図24を参照しつつ説明する。まず、図24(b)に示すように、成形体3に設けた孔部8の側面を化成品にて親水処理を行い、親水処理層90を形成する。この親水処理層90は、必要に応じて孔部8以外に施しても良い。また、この親水処理層90は、成形体3の内部まで変性するものであっても良いし、成形体3の孔部8の表面のみを被覆する被覆層を設けるものであっても良い。また、通常の電極配線4を作製する場合の工程と同時に行うようにしても良い。次に、図24(c)に示すように、親水処理層90を設けた成形体3に、銅の無電解メッキ処理を施すことにより、親水処理層90の部分の表面のみを選択的に銅メッキとなる金属薄膜91を形成する。その後、図24(d)に示すように、成形体3をアクリル成分を含む低屈折率高分子電着コーティング液に浸漬し、この銅からなる金属薄膜91の電位を制御することにより、重合反応を開始させて薄膜のクラッド薄膜82を形成する。最後に、図24(e)に示すように、低屈折率高分子電着コーティング液から取り出して純水にて洗浄した後、高屈折率高分子電着コーティング液に再度浸漬し、この銅からなる金属薄膜91の電位を制御することにより、重合反応を再開させて薄膜のコア部83を形成する。この後、再度、高屈折率高分子電着コーティング液から取り出して、純水にて洗浄した後、加熱さらには光照射を行い反応を完全に停止し、さらに緻密な透明材料とする。これにより、光学的に良好な光利用効率を有するクラッド薄膜82とコア部83を形成することができる。
以上の手順により、不透明な成形体3の孔部8内にクラッド薄膜82形成し、その内部にコア部83を形成することができる。これにより、全反射による低損失の伝播が可能であり、反射率を向上させた光反射構造により、より光利用効率を向上させた光伝送素子モジュールを実現することができる。
なお、電着により形成するのは、クラッド薄膜82とコア部83のどちらか一方であっても良い。また、金属薄膜91のかわりに半導体を用いて、光照射により重合を開始することも効果的である。また、コア部83のみを挿入して、クラッド薄膜82を周囲と孔部8の壁面またはその上に設けた金属薄膜91との間にクラッド薄膜82を電着形成することも効果的である。
また、図24に示すように、成形体3の孔部8にこれらのクラッド薄膜82とコア部83を作製する場合には、孔部8の端面が平面またはなだらかな曲面となるように、あらかじめ平板や型を当てたり、同時に光照射するなどして、側面以外の形状制御手段を設けることも効果的である。
さらに、電着する材料は、アクリル系材料に限定されるわけではなく、他の高分子材料を用いたり、誘電体を含む無機材料を含有していても良い。
さらにまた、コア部83を光硬化性材料からなるインクで形成するようにしても良い。光硬化性材料からなるインクによるコア部83の形成手法について図25を参照しつつ説明する。図25(a)〜(d)については図24(a)〜(d)と何ら変わるものではないので、その説明は省略する。図25(f)に示すように、低屈折率高分子電着コーティング液から取り出して純水にて洗浄した後、クラッド薄膜82が形成された孔部8の内部に、インク出射装置92により、光硬化性材料からなるインク93を出射する。そして、図25(g)に示すように、出射されたインク93は表面張力と粘度を最適にすることにより孔部8内に充填され、この後、この孔部8にUV光を集中させて照射してインク93を光硬化させることにより、透明材料からなるコア部83を形成することができる。
以上の手順により、不透明な成形体3の孔部8内にクラッド薄膜82形成し、その内部にコア部83を形成することができる。この場合には、コア部83が通常の光学材料からなる誘電体充填材料からなるので、反射率を向上させた光反射構造をより簡単に作製できるようになる。
なお、図26に示すように、成形体3の孔部8の側面に金属薄膜等の光反射部材80を設けた後、低屈折率材料からなるクラッド薄膜82を形成し、このクラッド薄膜82の内側にクラッド薄膜82と比較して高屈折率材料からなるコア部83を形成するようにしても良い。これにより、全反射による低損失の伝播が可能であると同時に、全反射を超えた角度や薄いコア層の場合でも高い反射率とすることができるので、より反射率を向上させた光反射構造を簡単に作成できることができる。
[第八の実施の形態]
本発明の第八の実施の形態を図27に基づいて説明する。
本実施の形態は、前述した光伝送素子モジュール100の光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する密着部材を備えるようにしたものである。なお、ここでは、図1に示す光伝送素子モジュール100についての適用例について説明するが、図3(a)や図3(b)に示す光伝送素子モジュール100、図4に示す光伝送素子モジュール200、図5、図8、図9に示す光伝送素子モジュール300、図10に示す光伝送素子モジュール400等に適用可能であることは言うまでもない。
図27は、本発明の第八の実施の形態の光伝送素子モジュール100を示す模式図である。図27に示すように、光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する直方体形状の密着部材201が備えられている。また、VCSEL1と密着部材201とは、接着材料を含有する材料から形成された中間層202により互いに密着されている。
密着部材201は、成形体3と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さい銅を用いている。成形体3の熱膨張係数は、FR4系材料や液晶ポリマー系複合材の場合には一般には15〜25ppmであるのに対して、VCSEL1の基板としてGaAsを用いた場合にはその熱膨張係数は6ppmであり、非常に大きな熱膨張係数の差がある。これに対して、銅の熱膨張係数は18ppmであり、成形体3との熱膨張数の差を大きく低減することができるようになる。なお、密着部材201の材料は、銅に限定されるわけではなく、セラミックス、複合材料、高分子材料等を用いることができ、応力と放熱特性を考慮して膨張係数と熱抵抗および電気抵抗を最適化することが好ましい。また、形状も図27に示す直方体に限定されるわけではなく、円柱形状や角錐形状であってもよい。また、単一または複数の貫通孔等を設けたりすることも効果的である。
中間層202は、単なる接着剤に限定されるわけではなく、放熱特性をより向上させるためには、伝熱材フィラーまたは伝熱材微粒子を含有する複合型の伝熱性材料を用いたり、シリコンゲルのような密着性と伝熱性とを同時に有する材料を用いてもよい。その大きさは、密着部材201と同じ大きさである必要はなく、その材料特性に応じて最適化することが好ましい。
このように構成することにより、光伝送素子モジュール100に対してその使用環境や動作自体による発熱が原因で熱変動が生じた場合において、VCSEL1と成形体3との熱膨張係数が異なることにより生じた応力による変形が、VCSEL1が成形体3と密着部材201とで挟まれているために大きく低減し、VCSEL1上の電気配線5、成形体3上の電気配線4やマイクロ光学素子7の変形による信頼性を向上させることができる。また、VCSEL1に対して密着部材201がヒートシンクとなって機能し、VCSEL1の放熱特性を向上することができる。
また、本実施の形態の光伝送素子モジュール100においては、密着部材201と成形体3との間に、中間充填材203が充填されている。これにより、VCSEL1と成形体3と密着部材201とでわずかに異なることにより生じた応力による変形をより低減し、成形体3上の電気配線4やマイクロ光学素子7の変形による信頼性を向上させることができる。
なお、密着部材201を密着させる成形体3上の部材は、VCSEL1に限定されるわけではない。VCSEL1と電気接続しているドライバ素子、アップ素子、論理素子、電気伝送素子等を搭載するICを成形体3にバンプ接合すると同時に、その裏面を密着部材201に密着させることにより、VCSEL1と同様に信頼性を向上させることができる。
[第九の実施の形態]
本発明の第九の実施の形態を図28に基づいて説明する。
本実施の形態は、前述した光伝送素子モジュール100の光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する密着部材を備えるようにしたものである。なお、ここでは、図1に示す光伝送素子モジュール100についての適用例について説明するが、図3(a)や図3(b)に示す光伝送素子モジュール100、図4に示す光伝送素子モジュール200、図5、図8、図9に示す光伝送素子モジュール300、図10に示す光伝送素子モジュール400等に適用可能であることは言うまでもない。
図28は、本発明の第九の実施の形態の光伝送素子モジュール100を示す模式図である。図28に示すように、光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する直方体形状の密着部材201が備えられている。また、VCSEL1と密着部材201とは、接着材料を含有する材料から形成された中間層202により互いに密着されている。さらに、密着部材201は、接着材料を含有する材料から形成された中間層204によりPCB9に密着されている。
密着部材201は、成形体3と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さい銅を用いている。成形体3の熱膨張係数は、FR4系材料や液晶ポリマー系複合材の場合には一般には15〜25ppmであるのに対して、VCSEL1の基板としてGaAsを用いた場合にはその熱膨張係数は6ppmであり、非常に大きな熱膨張係数の差がある。これに対して、銅の熱膨張係数は18ppmであり、成形体3との熱膨張数の差を大きく低減することができるようになる。なお、密着部材201の材料は、銅に限定されるわけではなく、セラミックス、複合材料、高分子材料等を用いることができ、応力と放熱特性を考慮して膨張係数と熱抵抗および電気抵抗を最適化することが好ましい。また、形状も図27に示す直方体に限定されるわけではなく、円柱形状や角錐形状であってもよい。また、単一または複数の貫通孔等を設けたりすることも効果的である。
中間層202、204は、単なる接着剤に限定されるわけではなく、放熱特性をより向上させるためには、伝熱材フィラーまたは伝熱材微粒子を含有する複合型の伝熱性材料を用いたり、シリコンゲルのような密着性と伝熱性とを同時に有する材料を用いてもよい。その大きさは、密着部材201と同じ大きさである必要はなく、その材料特性に応じて最適化することが好ましい。
このように構成することにより、密着部材201がVCSEL1とPCB9との両方に密着しているために、VCSEL1の熱を短い距離と低い熱伝導率による低熱抵抗でPCB9に伝熱することができるようになり、VCSEL1の放熱特性を大きく向上させることができる。また、PCB9の熱膨張係数は、一般には15〜25ppmである。つまり、PCB9と密着部材201との熱膨張係数の差は15〜25ppmの間の20%以内となるため、PCB9と密着部材201との熱膨張係数は略同一である。したがって、その膨張係数による差による変形が生じにくい上に光伝送素子モジュール100の中央部に密着部材201による変形しない部分が生じるので、変形量が非常に低減でき、光伝送素子モジュール100のマイクロ光学素子7の信頼性をより向上させることができる。これらにより、光伝送素子モジュール100の信頼性をより一層に向上することができるようになる。
また、本実施の形態の光伝送素子モジュール100においては、密着部材201と成形体3との間に、中間充填材203が充填されている。これにより、VCSEL1と成形体3と密着部材201とでわずかに異なることにより生じた応力による変形をより低減し、成形体3上の電気配線4やマイクロ光学素子7の変形による信頼性を向上させることができる。
なお、密着部材201を密着させる成形体3上の部材は、VCSEL1に限定されるわけではない。VCSEL1と電気接続しているドライバ素子、アップ素子、論理素子、電気伝送素子等を搭載するICを成形体3にバンプ接合すると同時に、その裏面を密着部材201に密着させ、かつ、この密着部材201をPCB9に密着させることにより、VCSEL1と同様に信頼性を向上させることができる。
[第十の実施の形態]
本発明の第十の実施の形態を図29に基づいて説明する。
本実施の形態は、前述した光伝送素子モジュール100の光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する密着部材を備えるようにしたものである。なお、ここでは、図1に示す光伝送素子モジュール100についての適用例について説明するが、図3(a)や図3(b)に示す光伝送素子モジュール100、図4に示す光伝送素子モジュール200、図5、図8、図9に示す光伝送素子モジュール300、図10に示す光伝送素子モジュール400等に適用可能であることは言うまでもない。
図29は、本発明の第十の実施の形態の光伝送素子モジュール100を示す模式図である。図29に示すように、光伝送素子であるVCSEL1のPCB9側に、当該VCSEL1に密着する直方体形状の密着部材201が備えられている。また、VCSEL1と密着部材201とは、接着材料を含有する材料から形成された中間層202により互いに密着されている。さらに、密着部材201は、金属バンプ205によりPCB9に接合されている。
密着部材201は、成形体3と略同一の熱膨張係数を有し、かつ、熱抵抗の小さい銅を用いている。成形体3の熱膨張係数は、FR4系材料や液晶ポリマー系複合材の場合には一般には15〜25ppmであるのに対して、VCSEL1の基板としてGaAsを用いた場合にはその熱膨張係数は6ppmであり、非常に大きな熱膨張係数の差がある。これに対して、銅の熱膨張係数は18ppmであり、成形体3との熱膨張数の差を大きく低減することができるようになる。なお、密着部材201の材料は、銅に限定されるわけではなく、セラミックス、複合材料、高分子材料等を用いることができ、応力と放熱特性を考慮して膨張係数と熱抵抗および電気抵抗を最適化することが好ましい。また、形状も図27に示す直方体に限定されるわけではなく、円柱形状や角錐形状であってもよい。また、単一または複数の貫通孔等を設けたりすることも効果的である。
中間層202は、単なる接着剤に限定されるわけではなく、放熱特性をより向上させるためには、伝熱材フィラーまたは伝熱材微粒子を含有する複合型の伝熱性材料を用いたり、シリコンゲルのような密着性と伝熱性とを同時に有する材料を用いてもよい。その大きさは、密着部材201と同じ大きさである必要はなく、その材料特性に応じて最適化することが好ましい。
このように構成することにより、密着部材201がVCSEL1に密着すると同時に、PCB9に金属バンプ205で接合されているために、VCSEL1の熱を短い距離と低い熱伝導率による低熱抵抗でPCB9に伝熱することができるようになり、VCSEL1の放熱特性を大きく向上させることができる。また、PCB9の熱膨張係数は、一般には15〜25ppmである。つまり、PCB9と密着部材201との熱膨張係数の差は15〜25ppmの間の20%以内となるため、PCB9と密着部材201との熱膨張係数は略同一である。したがって、その膨張係数による差による変形が生じにくい上に光伝送素子モジュール100の中央部に密着部材201による変形しない部分が生じるので、変形量が非常に低減でき、光伝送素子モジュール100のマイクロ光学素子7の信頼性をより向上させることができる。これらにより、光伝送素子モジュール100の信頼性をより一層に向上することができるようになる。
また、本実施の形態の光伝送素子モジュール100においては、密着部材201と成形体3との間に、中間充填材203が充填されている。これにより、VCSEL1と成形体3と密着部材201とでわずかに異なることにより生じた応力による変形をより低減し、成形体3上の電気配線4やマイクロ光学素子7の変形による信頼性を向上させることができる。
なお、密着部材201を密着させる成形体3上の部材は、VCSEL1に限定されるわけではない。VCSEL1と電気接続しているドライバ素子、アップ素子、論理素子、電気伝送素子等を搭載するICを成形体3にバンプ接合すると同時に、その裏面を密着部材201に密着させ、かつ、この密着部材201をPCB9にもバンプ接合させることにより、VCSEL1と同様に信頼性を向上させることができる。