JP5255177B2 - 合わせガラス用中間膜および合わせガラス - Google Patents
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Description
また、遮音性ポリビニルアセタール樹脂は多量の可塑剤を含むため、保管中や取り扱い時にブロッキングを起こしやすいといった問題点があった。そこで、遮音性ポリビニルアセタール樹脂の両面に可塑剤含有量が少ないポリビニルアセタール樹脂を積層した3層膜とすることによって、中間膜のブロッキングを防止していた。
すなわち、請求項1記載の発明に係る合わせガラス用中間膜は、微粒子状の無機粉末を含有する不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物からなることを特徴とする。
本発明において、不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、ポリビニルアセタール樹脂に、可塑剤と、微粒子状の無機粉末とを適当量分散混合させることにより得ることができる。また、特に限定されないが、従来より遮音性合わせガラスの中間膜として用いられている公知の遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物、例えば、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して可塑剤含有量が45重量部以上含有するポリビニルアセタール樹脂組成物に微粒子状の無機粉末を適当量分散混合させるようにしても構わない。すなわち、不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物は、微粒子状の無機粉末を含有し、かつポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して可塑剤45重量部以上含有するポリビニルアセタール樹脂組成物であってよい。
上記ヘイズ値が20%を下回ると、可視光線の散乱が少なくなり、得られる合わせガラスの遮光性が損なわれる。
また、熱線遮蔽微粒子としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、インジウムドープ酸化亜鉛(IZO)、錫ドープ酸化亜鉛、珪素ドープ酸化亜鉛、アンチモン酸亜鉛、6ホウ化ランタン、6ホウ化セリウム、金微粉、銀微粉、白金微粉、アルミニウム微粉等が挙げられる。
さらに、微粒子状の無機粉末を含有することにより可塑剤を多量に含むにもかかわらず自着性の低い合せガラス用中間膜が得られる。
(1)ポリビニルブチラール樹脂(a)および合わせガラス用中間膜A−1の作製
純水2890重量部に、平均重合度1700、鹸化度88.1モル%のポリビニルアルコール191重量部を加えて加熱溶解した。この反応系を12℃に温度調節し、35重量%の塩酸触媒201重量部とn−ブチルアルデヒド148重量部を加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を45℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂(a)を得た。この樹脂(a)の平均ブチラール化度は63.8モル%、ビニルアセテート成分は11.9モル%であった。
上記合わせガラス用中間膜A−1を用い、これを両側から二枚の透明なフロートガラス板(縦30cm×横30cm×厚さ2.5mm)で挟み、これをゴムバック内に入れ、2.6kPaの真空度で20分間脱気した後、脱気したまま90℃のオーブンに移し、更に90℃で30分間保持しつつ真空プレスした。このようにして予備圧着された合わせガラスを、エアー式オートクレーブ中で135℃、圧力1.2MPaの条件で20分間圧着を行い、合わせガラスの作製を行った。
(1)ポリビニルブチラール樹脂(b)および合わせガラス用中間膜B−1の作製
純水2890重量部に、平均重合度1700、鹸化度98.5モル%のポリビニルアルコール191重量部を加えて加熱溶解した。この反応系を12℃に温度調節し、35重量%の塩酸触媒201重量部とn−ブチルアルデヒド165重量部を加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を45℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂(b)を得た。この樹脂(b)の平均ブチラール化度は71.0モル%、ビニルアセテート成分は1.5モル%であった。
上記樹脂(b)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)51重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径3μmの炭酸カルシウム6.5重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.90mmの合わせガラス用中間膜B−1を作製した。
上記合わせガラス用中間膜B−1を用い、これを実施例1と同様の方法により合わせガラスの作製を行った。
合わせガラス用中間膜B−2の作製
上記樹脂(b)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)51重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.90mmの微粒子状の無機粉末を含まない透明な合わせガラス用中間膜B−2を作製した。
上記合わせガラス用中間膜B−2を用い、実施例1と同様の方法により合わせガラスの製造を行った。
(1)合わせガラス用中間膜A−2の作製
上記実施例1の樹脂(a)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)51重量部、熱線遮蔽微粒子としてITO微粒子(三菱マテリアル社製)0.5重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径5μmのシリカ粉末5重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.9mmの合わせガラス用中間膜A−2を作製した。
(2)合わせガラスの作製
合わせガラス用中間膜A−1に代えて上記合わせガラス用中間膜A−2を用いたこと以外、実施例1と同様にして合わせガラスを得た。
(1)合わせガラス用中間膜B−3の作製
上記実施例2の樹脂(b)100重量部と、可塑剤としてトリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)51重量部、熱線遮蔽微粒子としてITO微粒子(三菱マテリアル社製)1重量部、紫外線吸収剤として2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール0.1重量部、酸化防止剤としてt−ブチルヒドロキシトルエン0.1重量部、微粒子状の無機粉末として平均粒径3μmの炭酸カルシウム6.5重量部を混合し、ミキシングロールで充分に溶融混練した後、プレス成形機を用いて150℃で30分間プレス成形し、平均膜厚0.90mmの合わせガラス用中間膜B−3を作製した。
(2)合わせガラスの作製
合わせガラス用中間膜B−1に代えて上記合わせガラス用中間膜B−3を用いたこと以外、実施例2と同様にして合わせガラスを作製した。
上記実施例1、2および比較例1で得られた合わせガラスについて、下記の方法によりヘイズ値および損失係数の測定を行った。上記実施例1、2および比較例1で得られた合わせガラス用中間膜について、下記の方法により自着力の測定を行った。その結果を表1に示す。
また、上記実施例3および4で得られた合わせガラスについても、下記の方法によりヘイズ値、損失係数および自着力の測定を行い、さらには、下記の方法により可視光透過率(Tv)、日射透過率(Te)および日射反射率(Re)の測定を行った。その結果を表2に示す。
JIS K 6714「航空機用メタクリル樹脂板」に準拠し、積分式濁度計(東京電色社製)を用いて、340〜1800nmの光線に対するヘイズ値を測定した。
(2)損失係数の測定
合わせガラスから試料(幅25mm×長さ300mm)を切り出し、この試料を20℃の恒温層の中でダンピング試験用の振動発生器(振研社製の加振機「G21−005D」)により加振し、そこから得られる振動特性を機械インピーダンスアンプ(リオン社製「XG−81」)で増幅し、振動スペクトルをFFTスペクトラムアナライザー(横河ヒューレットパッカード社製「FFTスペクトラムアナライザーHP 3582A」)により解析して、2000〜3000Hzの周波数範囲に有するピークの損失係数を求めた。この損失係数が高いほど遮音性が優れていることを示す。
(3)自着力の測定
23℃×50%RHの条件下で、合せガラス用中間膜から試料(幅10mm×長さ100mm)を2枚切り出し、その2枚の中間膜を重なるように位置合わせした後、2kgのローラーを試料上で長さ方向に2往復させ、圧着した。得られた試験片の片側に両面テープを貼り、その両面テープを介してSUS製の固定板に試験片を固定し、剥離速度500mm/分で180度剥離試験を行い、剥離強度を測定した。
(4)可視光透過率(Tv)、日射透過率(Te)および日射反射率(Re)の測定
直記分光光度計(島津製作所社製「UV3100」)を使用して、JIS Z 8722及びJIS R 3106に従って、380〜780nmの可視光透過率(Tv)、300〜2100nmの日射透過率(Te)および300〜2100nmの日射反射率(Re)を求めた。
また、シリカ粉末や炭酸カルシウム粉末等の無機粉末を含有する合わせガラス用中間膜では、中間膜同士の自着力が低いため、保管中や取り扱い時のブロッキングが起こりにくいことがわかる。
Claims (3)
- 微粒子状の無機粉末として、炭酸カルシウム又はシリカを含有し、上記微粒子状の無機粉末の含有量がポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して5〜30重量部であり、かつポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して可塑剤45重量部以上70重量部以下含有する不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物からなることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- 不透明な遮音性ポリビニルアセタール樹脂組成物が、さらに熱線遮蔽微粒子を含有することを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも二枚の透明ガラス板の間に、請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜が接着されていることを特徴とする合わせガラス。
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