JP2015160779A - 合わせガラス、及びこれが取り付けられた取付構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】外側ガラス板と、外側ガラス板と対向配置され外側ガラス板よりも厚みが小さい内側ガラス板と、外側ガラス板及び内側ガラス板の間に挟持され着色されたシェード領域10が一部に形成されるとともにシェード領域10に貫通孔30が形成された第1中間膜と、貫通孔30に配置される透明の第2中間膜と、を備え、内側ガラス板の厚みを0.4〜2.0mm、外側ガラス板の厚みを1.8〜2.3mmとし、第1及び第2中間膜は少なくともコア層を含む複数の層で構成されており、第1中間膜を構成する層の少なくとも1つが着色されてシェード領域10を形成しており、第1及び第2中間膜のコア層のヤング率は周波数100Hz,温度20℃において1〜20MPaであり、他の層のヤング率よりも低い構成とする。
【選択図】図1
Description
外側ガラス板1及び内側ガラス板2は、公知のガラス板を用いることができ、熱線吸収ガラス、一般的なクリアガラスやグリーンガラス、またはUVグリーンガラスで形成することもできる。但し、この合わせガラスを自動車の窓に用いる場合には、自動車が使用される国の安全規格に沿った可視光線透過率を実現する必要がある。例えば、外側ガラス板1により必要な日射吸収率を確保し、内側ガラス板2により可視光線透過率が安全規格を満たすように調整することができる。以下に、クリアガラスの組成の一例と、熱線吸収ガラス組成の一例を示す。
SiO2:70〜73質量%
Al2O3:0.6〜2.4質量%
CaO:7〜12質量%
MgO:1.0〜4.5質量%
R2O:13〜15質量%(Rはアルカリ金属)
Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3):0.08〜0.14質量%
熱線吸収ガラスの組成は、例えば、クリアガラスの組成を基準として、Fe2O3に換算した全酸化鉄(T−Fe2O3)の比率を0.4〜1.3質量%とし、CeO2の比率を0〜2質量%とし、TiO2の比率を0〜0.5質量%とし、ガラスの骨格成分(主に、SiO2やAl2O3)をT−Fe2O3、CeO2およびTiO2の増加分だけ減じた組成とすることができる。
<2−1.第1中間膜>
第1中間膜3は、複数の層で形成されており、一例として、図2に示すように、軟質のコア層31を、これよりも硬質のアウター層32で挟持した3層で構成することができる。但し、この構成に限定されるものではなく、軟質のコア層31を有する複数層で形成されていればよい。例えば、コア層31を含む2層(コア層が1層と、アウター層が1層)、またはコア層31を中心に配置した5層以上の奇数の層(コア層が1層と、アウター層が4層)、あるいはコア層31を内側に含む偶数の層(コア層が1層と、他の層がアウター層)で形成することもできる。
第2中間膜4は第1中間膜3と同様に、コア層41及びアウター層42で形成されている。第1中間膜3との相違点は、着色がなさず透明であることと、形状である。第2中間膜4の大きさ、形状は、特には限定されないが、上述したレーザーレーダーやカメラの光が通過可能な大きさであればよい。第2中間膜4は、種々の方法で第1中間膜3に取り付けることができるが、例えば、図7示すように、第1中間膜3に取り付けられる。
上記のように、本実施形態に係る合わせガラスは、レーザーレーダー、カメラなどを用いた自動車の前方安全システム用のウインドシールドに用いられる。このような安全システムでは、前方の車両に対して赤外線を照射して、前方の自動車の速度や車間距離を計測する。そのため、合わせガラスには、所定範囲の赤外線の透過率を達成することが要求される。
本実施形態に係る合わせガラスの製造方法は、特に限定されず、従来公知の合わせガラスの製造方法を採用することができる。例えば、まず、中間膜3、4を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃で予備接着する。予備接着の方法は、これ以外でも可能である。例えば、中間膜3、4を外側ガラス板1及び内側ガラス板2の間に挟み、オーブンにより45〜65℃で加熱する。続いて、この合わせガラスを0.45〜0.55MPaでロールにより押圧する。次に、この合わせガラスを、再度オーブンにより80〜105℃で加熱した後、0.45〜0.55MPaでロールにより再度押圧する。こうして、予備接着が完了する。
上述した合わせガラスは、例えば、自動車、建築物などの取付構造体に取付けることができる。このとき、合わせガラスは、取付部を介して取付構造物に取付けられる。取付部とは、例えば、自動車に取付けるためのウレタン枠などのフレーム、接着材、クランプなどが該当する。自動車への取付の一例を挙げると、図8(a)に示すように、まず、合わせガラス10の両端にピン50を取付けておき、取付対象となる自動車のフレーム70に接着材60を塗布する。フレームには、ピンが挿入される貫通孔80が形成されている。そして、図8(b)に示すように、合わせガラス10をフレーム70に取付ける。まず、ピン50を貫通孔80に挿入し、合わせガラス10をフレーム70に対して仮止めする。このとき、ピン50には段差が形成されているため、ピン50は貫通孔80の途中までしか挿入されず、これにより、フレーム70と合わせガラス10との間に隙間が生じる。そして、この隙間には上述した接着材60が塗布されているため、時間の経過とともに接着材60を介して合わせガラス10とフレーム70が固定される。
本実施形態によれば、第1中間膜3の一部を構成するコア層31のヤング率を周波数100Hz,温度20℃において、1〜20MPaという小さい値にすることで、次の効果を得ることができる。まず、第1中間膜3のヤング率が大きいと、合わせガラスであっても、中間膜が両ガラス板と一体化されたものと近似され、単板として性質が強くなる。また、以下の数式に示すように、ガラスは一般的に厚みやヤング率が小さくなるほどコインシデンス周波数は高周波側にシフトする。
まず、外側ガラス板の厚みの評価を行った。ここでは、以下に示す7つの合わせガラスを準備した。各合わせガラスは、外側ガラス板、内側ガラス板、及びこれらに挟持される中間膜で構成されている。中間膜は、コア層、アウター層の厚みがそれぞれ0.1mm、0.33mm、ヤング率がそれぞれ10MPa、441MPa(20℃、100Hz)とした。なお、この中間膜は、上記実施形態で示したとおり、第1中間膜と第2中間膜とを組み合わせたものであり、以下の説明では、中間膜とはこの形態を示すものとする。
以下の通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。
(1) モデルの設定
本シミュレーションで用いた合わせガラスのモデルを図11に示す。このモデルでは、音の発生源側から外側ガラス板、中間膜、内側ガラス板、ウレタン枠の順で積層した合わせガラスを規定している。ここで、ウレタン枠をモデルに追加しているのは、ウレタン枠の有無により音響透過損失の算出結果に少なからず影響があると考えられる点、及び、合わせガラスと車両のウインドシールドの間にはウレタン枠が用いられて接着していることが一般的である点を考慮したためである。
(2) 入力条件1(寸法等)
(3) 入力条件2(物性値)
主な周波数毎に異なった値を用いた。これは、コア層及び両アウター層は粘弾性体のため、粘性効果によりヤング率は周波数依存性が強いためである。なお、温度依存性も大きいが、今回は温度一定(20℃)を想定した物性値を用いた。
以下の通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。ここでは、コア層の厚みを変化させ、音響透過損失を上記シミュレーション方法により算出した。中間膜は3層で構成し、総厚を変化させず、コア層とアウター層の厚みを変化させた。コア層のヤング率は10MPa(20℃、100Hz),アウター層のヤング率は441Mpa(20℃、100Hz)とした。また、外側ガラス板及び内側ガラス板の厚みはそれぞれ2.0mm、1.0mmとした。
続いて、音の入射角を変化させたシミュレーションにより、合わせガラスの取付角度について評価を行った。ここでは、垂直からの角度を0〜75度に変化させて音響透過損失を算出した。各ガラス板は、上述したクリアガラスで形成した。また、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みは0.33mmとした。コア層のヤング率は10MPa(20℃、100Hz),両アウター層のヤング率は441MPa(20℃、100Hz)とした。また、ガラス板の厚みは、2.0mm、1.0mmとした。
アウター層のヤング率に関する評価を行うため、以下の通り、実施例及び比較例に係る合わせガラスを準備した。ここでは、外側ガラス及び内側ガラスの厚みを一定にした上で、中間膜のアウター層及びコア層のヤング率を変化させ、音響透過損失を上記シミュレーション方法により算出した。各ガラス板は、上述したクリアガラスで形成し、中間膜はコア層とこれを挟持する一対のアウター層で構成した。中間膜の厚みは0.76mm、コア層の厚みは0.1mm、両アウター層の厚みは0.33mmとした。
30 透過領域
1 外側ガラス板
2 内側ガラス板
3 第1中間膜
31 コア層
32 アウター層
4 第2中間膜
41 コア層
42 アウター層
Claims (8)
- 外側ガラス板と、
前記外側ガラス板と対向配置され、前記外側ガラス板よりも厚みが小さい内側ガラス板と、
前記外側ガラス板及び前記内側ガラス板の間に挟持され、着色されたシェード領域が一部に形成されるとともに、当該シェード領域に貫通孔が形成された第1中間膜と、
前記第1中間膜の貫通孔に配置される透明の第2中間膜と、
を備え、
前記内側ガラス板の厚みが0.4〜2.0mmであり、
前記外側ガラス板の厚みが1.8〜2.3mmであり、
前記第1及び第2中間膜は、少なくともコア層を含む複数の層で構成されており、
前記第1中間膜を構成する層の少なくとも1つが着色されて、前記シェード領域を形成しており、
前記第1及び第2中間膜の前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、1〜20MPaであり、他の前記層のヤング率よりも低い、合わせガラス。 - 前記第1及び第2中間膜は、前記コア層と接触し、周波数100Hz,温度20℃において、560MPa以上の少なくとも1つのアウター層を有する請求項1に記載の合わせガラス。
- 前記内側ガラス板の厚みは、0.6〜1.6mmである、請求項1または2に記載の合わせガラス。
- 前記内側ガラス板の厚みは、0.8〜1.4mmである、請求項1または2に記載の合わせガラス。
- 前記内側ガラス板の厚みは、0.8〜1.3mmである、請求項1または2に記載の合わせガラス。
- 前記コア層の厚みが0.1〜2.0mmである、請求項1から5のいずれかに記載の合わせガラス。
- 前記コア層のヤング率は、周波数100Hz,温度20℃において、1〜16MPaである請求項1から6のいずれかに記載の合わせガラス。
- 請求項1から7のいずれかに記載の合わせガラスと、
前記合わせガラスを、垂直からの取付け角度が45度以下に取り付ける取付部と、を備えている、合わせガラスの取付構造体。
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