JP5796001B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
遮熱機能をもったガラスとしては、例えば、熱線カットガラスが市販されている。この熱線カットガラスは、直接太陽光の遮断を目的として、金属蒸着、スパッタリング加工等によって、ガラス板の表面に金属/金属酸化物の多層コーティングが施されたものである。しかし、この多層コーティングは、外部からの擦傷に弱く、耐薬品性も劣るので、例えば、可塑化ポリビニルブチラール樹脂等からなる中間膜を積層して合わせガラスとする方法が採用されていた。
本発明の合わせガラス用中間膜を合わせガラスとしたときに、その合わせガラスのTvが75%未満であると、透明性が小さくなり、実使用上好ましくない。合わせガラスのTsが60%を超えると、遮熱性が不充分となる。合わせガラスのHが1.0%を超えると、透明性が小さいので実使用上好ましくない。合わせガラスのΔdBが10dBを超えると、電磁波透過性が不充分となる。また、80℃、相対湿度95%の環境下に2週間放置した際に合わせガラス端辺からの白化距離が7mmを超えると、耐湿性が不充分となる。
上記可塑剤としては特に限定されず、これまで中間膜用に提示されているものすべてを用いることができるが、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、ジヘキシルアジペート(DHA)、テトラエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート(4G7)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)等が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
上記可塑剤の含有量が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20重量部未満であると、得られる合わせガラス用中間膜の耐衝撃性が低下することがある。60重量部を超えると、可塑剤がブリードアウトして接着力が低下することがある。
上記分散剤を含有させることにより、得られる合わせガラス用中間膜は、高度の耐湿性を有するものとなる。
また、更に耐湿性を向上させるために、別途分散剤を後添加してもよい。
上記接着力調整剤としては、例えば、有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が好適に用いられる。
上記のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。上記有機酸としては特に限定されず、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、酪酸、酢酸、蟻酸等のカルボン酸等が挙げられる。上記無機酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸等が挙げられる。これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
上記炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩としては特に限定されず、例えば、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルヘキサン酸マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
上記変性シリコンオイルとは、一般には、ポリシロキサンに変性すべき化合物を反応させて得られる、粘調な液体である。上記変性シリコンオイルとしては特に限定されず、例えば、エーテル変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、エステル変性シリコンオイル、アミン変性シリコンオイル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
本発明2は、少なくとも1対のガラス板間に、本発明1の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなる合わせガラスである。
ポリビニルアセタール樹脂として、ブチラール化度68モル%、残存アセチル化度1モル%、残存ビニルアルコール31モル%、平均重合度1700のポリビニルブチラール樹脂を用いた。
このポリビニルブチラール樹脂100重量部に、可塑剤としてトリエチレングリコールジ−2−エチルヘキサノエート40重量部、更に、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を中間膜中の含有量が1.0重量%となるように添加混合し、接着力調整剤として酢酸マグネシウム50ppm、紫外線吸収剤、酸化防止剤を加え、ミキシングロールに供給して混練した。混練して得られた混練物を、プレス成形機にて150℃で30分間プレス成形し、厚さ約0.8mmの中間膜を得た。このとき、分散剤として、プライサーフA212E(第一工業製薬社製)を0.4重量部含有させた。この中間膜を、恒温恒湿室で含水率が0.3〜0.5%になるように調整し、2.4mm厚のフロート板ガラス2枚の間に挟み込み、ロール法で予備接着した。次いで、140℃のオートクレーブで、圧力1.2MPaにて圧着し、合わせガラスを得た。
1)耐湿性
合わせガラスを、80℃、相対湿度95%の環境に2週間置いた後、取り出してすぐに端部の白化状態を確認した。合わせガラス周辺からの白化距離を測定し、評価を行った。
分光光度計(島津製作所社製、UV3100)を使用して、合わせガラスの340〜1800nmの透過率を測定し、JIS Z 8722、JIS R 3106及びJIS Z 8701に準拠して、380〜780nmの可視光透過率Tv、340〜1800nmの日射透過率Tsを評価した。
JIS K 6714に準拠して測定した。
4)電磁波透過性
KEC法測定(電磁波シールド効果試験)に準拠し、10〜2000MHzの範囲の反射損失値(dB)を、通常の板厚3mmのフロートガラス単板と比較して測定し、上記周波数の範囲での差の最大値をΔdBmaxとして評価した。
中間膜のガラスに対する接着性は、パンメル値で評価した。その試験方法の詳細は次の通りである。
合わせガラスを、−18℃±0.6℃の温度に16時間放置して調整し、これを頭部が0.45kgのハンマーで打って、ガラスの粒径が6mm以下になるまで粉砕した。次いで、ガラスが部分剥離した後の膜の露出度を、あらかじめグレード付けした限度見本で判定し、その結果を表1に示す判定基準に従ってパンメル値として表した。なお、上記パンメル値が大きいほど中間膜とガラスとの接着力も大きく、パンメル値が小さいほど中間膜とガラスとの接着力も小さい。
分散剤プライサーフA212Eを、その含有量が0.8重量部となるように添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で製膜し、合わせガラスを得た。また、この合わせガラスを用いて、上記の評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に示した。
ITOの代わりに、アンチモンドープ酸化錫(ATO)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で製膜し、合わせガラスを得た。また、この合わせガラスを用いて、上記の評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に示した。
中間膜の製造において、ITOを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で製膜し、合わせガラスを得た。また、この合わせガラスを用いて、上記の評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例1において、ITOを添加せずに中間膜を製造し、透明なフロート板ガラスの代わりに、ITOを蒸着したガラスを用いて合わせガラスを得た。また、この合わせガラスを用いて、上記の評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に示した。
実施例1において、ITOを添加せずに膜厚0.38mmの中間膜を製造し、この中間膜2枚の間にITOを蒸着した膜厚50μmのポリエステルフィルムを挟着したものを合わせガラス用中間膜として用いて、合わせガラスを得た。また、この合わせガラスを用いて、上記の評価方法にて評価を行った。評価結果を表2に示した。
Claims (3)
- 可塑化ポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜であって、
前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂が可塑剤により可塑化されたものであり、
合わせガラスとしたときに、前記合わせガラスは、波長380〜780nmでの可視光透過率Tvが75%以上、340〜1800nmでの日射透過率Tsが60%以下、ヘイズHが1.0%以下、及び、10〜2000MHzでの電磁波シールド性能ΔdBが10dB以下であり、かつ、80℃、相対湿度95%の環境下に2週間放置した際に合わせガラス端辺からの白化距離が7mm以下であり、
前記可塑剤とは別にリン酸エステルと、接着力調整剤と、熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子とを含有し、
前記接着力調整剤は、炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。 - 熱線カット機能を有する金属酸化物微粒子は、錫ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化錫及びアルミニウムドープ酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上の金属酸化物であることを特徴とする請求項1記載の合わせガラス用中間膜。
- 少なくとも1対のガラス板間に、請求項1又は2記載の合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させてなることを特徴とする合わせガラス。
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