JP4278280B2 - 合わせガラス用中間膜及び合わせガラス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、遮熱性、耐候性に優れ、かつ、吸湿による白化が起こらない合わせガラス用中間膜及びその合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、合わせガラスは、外部衝撃を受けて破損しても、ガラスの破片が飛散することが少なく安全であるので、自動車のような車両、航空機、建築物等の窓ガラス等として広く使用されている。このような合わせガラスとしては、少なくとも一対のガラス間に、可塑剤により可塑化されたポリビニルブチラール樹脂等のポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜を介在させ、一体化させて得られるものが用いられている。
【0003】
しかし、このような合わせガラスは、安全性には優れるが、遮熱性や耐湿性に劣るという問題点があった。
遮熱機能をもったガラスとしては、例えば、熱線カットガラスが市販されている。この熱線カットガラスは、直接太陽光の遮断を目的として、金属蒸着、スパッタリング加工等によって、ガラス板の表面に金属/金属酸化物の多層コーティングが施されたものである。しかし、この多層コーティングは、外部からの擦傷に弱く、耐薬品性も劣るので、例えば、可塑化ポリビニルブチラール樹脂膜等の中間膜を積層して合わせガラスとする方法が採用されていた。
【0004】
しかしながら、上記可塑化ポリビニルブチラール樹脂膜等の中間膜が積層された熱線カットガラスは、高価である、多層コーティングが厚いので透明性(可視光透過率)が低下する、多層コーティングと中間膜との密着性が低下し、中間膜の剥離や白化が起こる、又は、電磁波の透過を阻害し、携帯電話、カーナビ、ガレージオープナー等の通信機能に支障をきたす等の問題点があった。
【0005】
その他の遮熱性能をもった合わせガラスとして、例えば、特公昭61−52093号公報、特開昭64−36442号公報等には、可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートの間に、金属蒸着したポリエステルフィルムを積層した合わせガラスが提案されている。しかし、これらの合わせガラスは、可塑化ポリビニルブチラール樹脂シートとポリエステルフィルムとの間の接着性に問題があり、界面で剥離が起こるだけでなく、電磁波透過も不充分である等の問題点があった。
【0006】
更に、中間膜自身に遮熱性能を付与する目的で、熱線カット機能を有する無機物質の微粒子を中間膜層に分散させた合わせガラスが、特開平8−259279号公報等に提案されている。これらの技術では、赤外線をこれらの機能性微粒子にて遮断して、車両や建築物の温度上昇を抑えることが期待できる。
【0007】
しかし、上記の技術では、中間膜中にこれら機能性微粒子を微分散させなければ、合わせガラスとしてのヘイズが高くなり、透明性が悪化する。そこで、一般に、分散剤を用いて可塑剤中に微粒子を微分散させた分散液を、樹脂練り込み時に添加することにより、中間膜が成形される。
【0008】
しかし、中間膜成形時には、約200℃まで加熱されるので、可塑剤溶液中で微粒子が微分散されていても、高温での分散安定性がなければ、成形時に微粒子の再凝集が起こり、中間膜中での分散状態が悪くなって合わせガラスとしたときにヘイズが高くなってしまうという問題点があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、遮熱性に優れ、電磁波透過性が良好であり、安価で透明性、特にヘイズが良好であり、接着力の調整が可能な合わせガラス用中間膜、及び、その合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜であって、上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂中に、錫ドープ酸化インジウム粒子、並びに、炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物が分散されてなる合わせガラス用中間膜である。
以下に、本発明を詳述する。
【0011】
本発明の合わせガラス用中間膜は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂からなる。上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂を構成するポリビニルアセタール樹脂としては特に限定されず、従来安全ガラス用中間膜用樹脂として用いられる種類のものを使用することができ、具体的には、例えば、ブチラール化度60〜75モル%、重合度800〜3000のポリビニルブチラール等が好適に使用される。
【0012】
本発明の合わせガラス用中間膜に用いられる可塑化ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアセタール樹脂が可塑剤により可塑化されたものである。
上記可塑剤としては特に限定されないが、例えば、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(3GO)、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルブチレート(3GH)、ジヘキシルアジペート(DHA)、テトラエチレングリコール−ジ−ヘプタノエート(4G7)、テトラエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキサノエート(4GO)等が好適に用いられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0013】
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記可塑剤の配合量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20〜60重量部であることが好ましい。
上記可塑剤の配合量が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して20重量部未満であると、得られる合わせガラス用中間膜の耐衝撃性が低下することがある。60重量部を超えると、可塑剤がブリードして接着力が低下することがある。
【0014】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂中に、錫ドープ酸化インジウム(以下、ITOという)粒子、並びに、炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物が分散されてなるものである。
上記ITO粒子は、熱線カット機能を有するので、得られる合わせガラス用中間膜は、遮熱性に優れたものとなる。また、上記ITO粒子が、可塑化ポリビニルアセタール樹脂中に均一に分散されていることにより、得られる合わせガラス用中間膜の遮熱性は、膜全体に渡って高いものとなり、また、透明性、電磁波透過性も良好となる。
【0015】
本発明の合わせガラス用中間膜において、上記可塑化ポリビニルアセタール樹脂中にITO粒子を分散させる方法としては特に限定されないが、ITO粒子を分散剤により可塑剤中に分散させた分散液を添加する方法が好ましい。上記の方法により、ITO粒子は、可塑化ポリビニルアセタール樹脂中に均一に分散される。
【0016】
本発明の合わせガラス用中間膜において、ITO粒子を可塑剤中に分散させる方法としては特に限定されないが、可塑剤、分散剤、ITO粒子を混合し、一般の塗料の分散や配合に用いられる、サンドミル、ボールミル、ホモジナイザー、アトライター、高速回転攪拌装置、超音波分散装置等の装置にて分散することができる。
【0017】
本発明の合わせガラス用中間膜において、ITO粒子の含有量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.1〜3.0重量部が好ましい。ITO粒子の含有量が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.1重量部未満では、赤外線カット効果がでにくくなることがある。3.0重量部を超えると、得られる合わせガラス用中間膜は、可視光線の透過性が低下することがある。
【0018】
また、上記の方法で得られたITO粒子を分散した分散液は、合わせガラス用中間膜に含まれるITO粒子の割合が上記の範囲になるよう、可塑化ポリビニルアセタール樹脂に直接添加してもよく、また、あらかじめ可塑剤中に添加し、その後ポリビニルアセタール樹脂と混合してもよい。
【0019】
本発明の合わせガラス用中間膜においては、分散剤として、炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物を用いる。
上記炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物は、高い分散能を有するので、ITO粒子を樹脂中に均一に分散させることができる。また、上記炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物を用いることにより、ITO粒子の分散性は高温においても安定となり、中間膜を成形時に加熱しても、ITO粒子の凝集・沈降が発生せず、良好な分散状態が保たれる。そのため、得られる合わせガラス用中間膜は、低ヘイズで、透明性に優れたものとなる。
なお、上記α−(又はβ−)ヒドロキシカルボニル化合物とは、α−(又はβ−)ヒドロキシケトン、α−(又はβ−)ヒドロキシエステル、α−(又はβ−)ヒドロキシカルボン酸である。
【0020】
上記炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物としては、例えば、ヒドロキシアセトン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、乳酸及びそのエステル、α−ヒドロキシイソ酪酸及びそのエステル等が挙げられる。
上記炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物としては、例えば、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、ダイアセトンアルコール、3−ヒドロキシ酪酸及びそのエステル、サリチル酸及びそのエステル等が挙げられる。
これらの化合物は単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0021】
また、本発明の合わせガラス用中間膜においては、分散剤として、上記炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物とその他の分散剤とを併用することもできる。
上記その他の分散剤としては、リン酸エステル塩等が挙げられる。
【0022】
上記α−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又はβ−ヒドロキシカルボニル化合物は、分散時に使用するだけでなく、ITO粒子を他の分散剤で分散した後に添加してもよく、いずれの場合でも高温での分散安定性を付与することができる。また、中間膜成形時に添加しても、ITO粒子が良好に分散された合わせガラス用中間膜を得ることができる。
【0023】
上記分散剤の添加量としては特に限定されないが、ITO粒子100重量部に対して、0.1〜300重量部であることが好ましい。上記分散剤の添加量がITO粒子100重量部に対して0.1重量部未満であると、ITO粒子が可塑剤中に良好に分散されないことがある。300重量部を超えると、表面にブリードして接着力が低下することがある。より好ましくは、ITO粒子100重量部に対して0.5〜150重量部である。
【0024】
本発明の合わせガラス用中間膜に用いられる可塑化ポリビニルアセタール樹脂は、上述のようにITO粒子を可塑剤中に分散させた分散液を添加してなるが、上記分散液中でのITO粒子の粒径は、常温において10〜80nmであり、かつ、分散液を200℃に加熱後も10〜80nmであることが好ましい。
上記分散液中でのITO粒子の粒径が、常温で10〜80nmであり、かつ、200℃まで加熱しても凝集、沈降が起きず、その粒径が10〜80nmであるような分散液を用いて合わせガラス用中間膜を成形すると、膜中では、ITO粒子が微分散化されているので、その合わせガラス用中間膜を用いて製造される合わせガラスは、低ヘイズで透明性に優れたものとなる。
【0025】
また、本発明の合わせガラス用中間膜には、必要に応じて、接着力調整剤が含有されていてもよい。
上記接着力調整剤としては、例えば、有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等が好適に用いられる。
上記のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩としては特に限定されず、例えば、カリウム、ナトリウム、マグネシウム等の塩が挙げられる。上記有機酸としては特に限定されず、例えば、オクチル酸、ヘキシル酸、酪酸、蟻酸等のカルボン酸等が挙げられる。上記無機酸としては特に限定されず、例えば、塩酸、硝酸等が挙げられる。
これらの接着力調整剤は単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0026】
上記有機酸又は無機酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のなかでも、炭素数2〜16の有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましい。より好ましくは、炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩である。
上記炭素数2〜16のカルボン酸のマグネシウム塩としては特に限定されず、例えば、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、2−エチルブタン酸マグネシウム、2−エチルヘキシル酸マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0027】
上記接着力調整剤の添加量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001〜0.5重量部が好ましい。上記接着力調整剤の添加量が、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.001重量部未満では、得られる合わせガラス用中間膜は、高湿度雰囲気下で周辺部の接着力低下が起こることがある。0.5重量部を超えると、得られる合わせガラス用中間膜の接着力が低くなりすぎるうえに、膜の透明性が失われるという問題が起こることがある。上記接着力調整剤の添加量は、より好ましくは、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して、0.01〜0.2重量部である。
【0028】
また、接着力調整剤として、特公昭55−29950号公報に開示されている変性シリコンオイルを併用してもよい。
上記変性シリコンオイルとは、一般には、ポリシロキサンに変性すべき化合物を反応させて得られる、粘調な液体である。上記変性シリコンオイルとしては特に限定されず、例えば、エーテル変性シリコンオイル、エポキシ変性シリコンオイル、エステル変性シリコンオイル、アミン変性シリコンオイル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0029】
上記変性シリコンオイルの添加量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.005〜0.5重量部であることが好ましい。より好ましくは、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.02〜0.2重量部である。
【0030】
本発明の合わせガラス用中間膜には、その他の添加剤として、押出機中での熱による変質を防止するための酸化防止剤、耐候性や耐光性改善のための紫外線吸収剤、各種安定剤が1種又は2種以上添加されてもよい。
【0031】
本発明の合わせガラス用中間膜を成形する方法としては特に限定されず、例えば、上記ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、ITO粒子、分散剤の各所定量と、必要に応じて添加される各種添加剤とを配合し、これを均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、キャスティング法、インフレーション法等によりシート状に成膜すればよい。
【0032】
本発明の合わせガラス用中間膜の全体の膜厚は、特に限定されるものではないが、合わせガラスとして最小限必要な耐貫通性や耐候性等を考慮すると、実用的には、0.3〜0.8mmであることが好ましい。
【0033】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述のような構成からなるので、透明性、遮熱性、電磁波透過性、耐候性に優れており、また、ガラスとの接着力調整が良好である。更に、吸湿による白化が起こりにくい。
【0034】
本発明2は、本発明1の合わせガラス用中間膜を用いてなる合わせガラスである。
本発明2の合わせガラスの製造方法としては特に限定されず、例えば、2枚の透明なガラス板の間に、本発明1の合わせガラス用中間膜を挟み、これをゴムバッグに入れ、減圧吸引しながら約70〜110℃の温度で予備接着し、次いで、オートクレーブを用いて約120〜150℃の温度で、約1〜1.5MPaの圧力で本接着を行うことにより、所望の合わせガラスを得ることができる。
【0035】
上記ガラス板としては特に限定されず、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、線入り板ガラス、着色された板ガラス等の各種無機ガラス板等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0036】
また、本発明1の合わせガラス用中間膜は、無機ガラス以外の有機ガラス、即ち、剛性の高い透明体で挟着されてもよい。上記透明体としては、例えば、ポリカーボネート樹脂よりなるもの等が挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
(ポリビニルブチラール樹脂の合成)
純水2890gに、平均重合度1700、鹸化度99.2モル%のポリビニルアルコール275gを加えて加熱溶解した。反応系を15℃に温度調節し、35重量%の塩酸201gとn−ブチルアルデヒド157gとを加え、この温度を保持して反応物を析出させた。その後、反応系を60℃で3時間保持して反応を完了させ、過剰の水で洗浄して未反応のn−ブチルアルデヒドを洗い流し、塩酸触媒を汎用な中和剤である水酸化ナトリウム水溶液で中和し、更に、過剰の水で2時間水洗及び乾燥を経て、白色粉末状のポリビニルブチラール樹脂を得た。この樹脂の平均ブチラール化度は68.5モル%であった。
【0039】
(分散液の調製)
ITOを5重量%含有する3GO溶液に、乳酸ブチルをITO100重量部に対して10重量部加え、よく攪拌し分散させた。
得られたITO粒子が分散した3GO溶液の加熱安定性を、下記(1)の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0040】
上記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に、上記ITO粒子が分散した3GO溶液41重量部を加えミキシングロールに供給し、混練して得られた混練物をプレス成形機にて150℃で30分間プレス成形し、厚さ約0.8mmの合わせガラス用中間膜を得た。この合わせガラス用中間膜を2.4mm厚のフロート板ガラス2枚の間に挟み込み、ロール法で予備接着した。次いで、140℃のオートクレーブで1.2MPaの圧力で圧着し、合わせガラスを得た。
得られた合わせガラスの性能を、下記(2)、(3)の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0041】
評価方法
(1)粒度分布測定
日機装社製マイクロトラックUPA粒度分析計にて、3GO溶液中におけるITO粒子の粒度分布測定を行った。まず常温で測定し、次に200℃まで加熱した後、常温まで戻し測定を行った。
【0042】
(2)光学特性
分光光度計(島津製作所社製、「UV3100」)を使用して、合わせガラスの340〜1800nmの透過率を測定し、JIS Z 8722、JIS R 3106、JIS Z 8701に準拠して、380〜780nmの可視光透過率Tv、340〜1800nmの日射透過率Tsを評価した。
(3)ヘイズH
JIS K 6714に準拠して測定した。
【0043】
実施例2
乳酸ブチルの代わりにサリチル酸メチルを添加したこと以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0044】
実施例3
乳酸ブチルの添加量を、ITO100重量部に対して5重量部としたこと以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0045】
比較例1
乳酸ブチルを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で合わせガラス用中間膜及び合わせガラスを作製し、評価を行った。結果を表1に示した。
【0046】
【表1】
【0047】
表1から、実施例1〜3で作製したITO粒子の分散液では、200℃に加熱後もITO粒子の凝集が起こらず、ITO粒子が良好に分散した合わせガラス用中間膜を得ることができた。また、この合わせガラス用中間膜を用いて製造された合わせガラスは、ヘイズが小さく、透明性に優れたものであった。分散剤を用いなかった比較例1の分散液では、加熱後に分散液中でITO粒子が凝集・沈降した。また、その分散液を用いて得られた合わせガラス用中間膜より製造された合わせガラスは、ヘイズが高かった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の合わせガラス用中間膜は、上述のような構成からなるので、常温・加熱後ともにITO微粒子の分散性が良好に保たれている。そのため、製膜時に高温がかかっても、得られる合わせガラス用中間膜の透過率やヘイズは悪化せず、透明性が良好な合わせガラスを製造することができる。
Claims (2)
- 可塑化ポリビニルアセタール樹脂からなる合わせガラス用中間膜であって、
前記可塑化ポリビニルアセタール樹脂中に、錫ドープ酸化インジウム粒子、並びに、炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物が分散され、前記炭素数2〜18のα−ヒドロキシカルボニル化合物及び/又は前記炭素数2〜18のβ−ヒドロキシカルボニル化合物の添加量は、前記錫ドープ酸化インジウム粒子100重量部に対して、0.1〜300重量部であることを特徴とする合わせガラス用中間膜。 - 請求項1記載の合わせガラス用中間膜を用いてなることを特徴とする合わせガラス。
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