JP3940531B2 - 合わせガラス用中間膜及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,機械的強度、耐衝撃性、透明性の優れたポリビニルアセタール中間膜に関する。更に、本発明は、前記中間膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、プラスチック材料は、揮発性の低い可塑剤を添加して、成形加工性を改善したり、物理的性質を改良することが広く行われている。しかし、可塑剤を添加することで、通常は力学的強度が著しく低下し、強度と柔軟性を両立させた軟質系材料を得ることは困難であった。
【0003】
合わせガラス用中間膜の耐衝撃性を改良する試みとして、中間膜の厚みを増加させたり、ポリエステルフィルムを挟み込む方法等が行われている。しかしながら、合わせガラス用中間膜としては、透明性、特に低ヘイズであることが実用上、必須であり、一般的に軟質材料の強度向上のために行われる充填剤、層状珪酸塩等を添加することは、透明性の低下が懸念されるため、これまであまり試みられていなかった。
【0004】
一方、層状珪酸塩は、厚さが約1nmの微細な薄片状結晶がイオン結合により凝集してなる無機鉱物であり、この凝集構造を化学的または物理的な手段により離砕し、有機ポリマー中に薄片を微細に分散させることで、ポリマー材料の機械的性質、熱的特性、ガスバリヤー性等の性質を改善できることが、従来より知られている。
【0005】
一般に、層状珪酸塩を有機ポリマー中に均一分散させる為には、薄片間のイオン相互作用を出来るだけ小さくせしめ、ポリマー中に容易に分散させる為の手段を講じる必要がある。例えば、特公平8─22946号公報においては,アミノカルボン酸を層状珪酸塩にインターカレート(intercalate )することで層間の間隔を予め拡げておき、次いでポリアミドのモノマーであるε‐カプロラクタムを層間に挿入させると同時に重縮合させることによりポリアミド樹脂中に層状珪酸塩の薄片を均一に分散させた構造を形成する方法が開示されている。しかし、この方法はポリアミド樹脂には有効であるが、この方法で他の多くの熱可塑性樹脂に層状珪酸塩を均一に分散させることは一般に極めて困難である。
【0006】
特開平8‐302025号公報には、層状化合物に有機カチオンを接触させる工程と、その接触させた層状化合物を有機溶媒(特に、芳香族系溶媒)で膨潤化する工程と、その膨潤化した層状化合物をエラストマーと混練する工程とからなる無機質フィラー含有エラストマーの製造方法が開示されている。特開平9‐48856号公報には、有機化層状珪酸塩を溶媒で膨潤分散させた有機分散液とビニル系高分子化合物を融解状態で混合することにより層状珪酸塩をポリマー中に分散させる方法が開示されている。
【0007】
しかしながら,特開平8‐302025号公報、特開平9‐48856号公報、に記載の方法では、最終製品には不必要な溶媒を使用するため、溶媒除去工程が必須となる。有機化層状珪酸塩の層間に取り込まれた溶媒を完全除去するのは、非常に困難で、工業的側面からは必ずしも実際的でない。また、溶媒の除去が不十分で溶媒が残存した場合には、力学的強度の向上も期待通りには得られず、更に、合わせガラス用中間膜として用いる場合、ガラスとの接着性の低下や、発泡などが生じる可能性がある。
【0008】
層状珪酸塩を微分散化して得られる、所謂ナノコンポジットは、ポリアミド、ポリオレフィン等の基本的に可塑剤を含まない硬質系の材料には適応されているが、可塑剤を含有する軟質系組成物のナノコンポジットは知られていなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来技術の課題を解決し、ポリビニルアセタール樹脂に層状珪酸塩を微細に分散させた、強度と柔軟性のバランスのとれた中間膜を提供しようとするものである。更に、本発明は、溶剤の除去等の工程を必要としない、ポリビニルアセタール樹脂に層状珪酸塩を微細に分散させた中間膜の容易な製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部、有機化層状珪酸塩0.1〜100重量部及び可塑剤20〜100重量部を含有し、有機化層状珪酸塩が微細に分散されている合わせガラス用中間膜である。
【0013】
請求項2記載の本発明は、ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜である。
【0014】
請求項3記載の本発明は、有機化層状珪酸塩と可塑剤とを混合し、前記混合物とポリビニルアセタール樹脂とを混合して得られた樹脂組成物を膜に成形する請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜の製造方法である。
【0015】
本発明で用いられるポリビニルアセタール樹脂とは、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂であれば、特に限定されるものではない。
上記のポリビニールアルコールは、通常ポリ酢酸ビニルを鹸化することにより得られ、鹸化度は80〜99. 8モル%のポリビニルアルコールが一般的に用いられる。
また、本発明に用いるポリアセタール樹脂の分子量及び分子量分布は特に制限されるものではないが、成形性、物性等から、原料となるポリビニルアルコール樹脂の重合度が200〜3000の物が好ましく用いられ、特に、好ましくは、重合度500〜2000の樹脂が用いられる。上記平均重合度が200未満であると、得られる合わせガラスの耐貫通性が低下し、上記平均重合度が3000を超えると、樹脂膜の成形性が悪くなり、しかも樹脂膜の剛性が大きくなり過ぎ、加工性が悪くなる。
【0016】
上記アルデヒドとしては、炭素数が1〜10のアルデヒドが用いられ、具体例としては、n−ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、n−バレルアルデヒド、2−エチルブチルアルデヒド、n−ヘキシルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられる。好ましく用いられるアルデヒドとしては、n−ブチルアルデヒド、n‐ヘキシルアルデヒド、n‐バレルアルデヒドが挙げられる。特に好ましくは、炭素数が4のブチルアルデヒドである。
【0017】
特に好ましいポリビニルアセタールとしては、ブチルアルデヒドでアセタール化されたポリビニルブチラールが挙げられる。
また、これらのアセタール樹脂は必要な物性を考慮した上で、適当な組み合わせにてブレンドされていても良い。また、アセタール化時にアルデヒドを組み合わせた共ポリビニルアセタール樹脂も適宜用いることが可能である。
本発明で用いられる前記ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は通常40〜85%であり、好ましくは50〜75%である。
【0018】
本発明に用いる層状珪酸塩とは、層間に交換性陽イオンを有する珪酸塩鉱物を指す。層状珪酸塩の種類は特に限定されるものではないが、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、バイデライト、スティブンサイト、ノントロナイトなどのスメクタイト系粘土鉱物のほか、バーミキュライト、ハロイサイト、又は膨潤性マイカなどがあり、天然のものでも合成されたものでも好ましく用いることが出来る。
【0019】
本発明に用いられる層状珪酸塩の形状としては、平均長さが0. 01〜3μm、厚さが0. 001〜1μm、アスペクト比が20〜500の物が好ましく用いられ、より好適には平均長さが0. 05〜2μm、厚さが0. 01〜0. 5μm、アスペクト比が50〜200の物が用いられる。
【0020】
層状珪酸塩はそのまま使用しても良いし、前もって処理された有機化層状珪酸塩を使用しても良いが、有機化層状珪酸塩を使用するのがより好ましい。
【0021】
本発明で用いられる「有機化層状珪酸塩」とは、層状珪酸塩の層間がカチオン系界面活性剤にて有機化処理されてなる層状珪酸塩であり、有機化されていない層状珪酸塩よりも樹脂中に細分散されやすいのでより好適に用いられる。カチオン系界面活性剤としては、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩等が挙げられ、好ましくは炭素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩が用いられる。炭素数が8以上のアルキル鎖を含有しない場合には,アルキルアンモニウムイオンの親水性が強く、層状珪酸塩の層間を十分に非極性化することが出来ない。炭素数8以上のアルキル鎖を有する4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジ硬化牛脂ジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いる層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の陽イオン交換容量は特に限定されるものではないが、50〜200mmol/100gであることが好ましい。50mmol/100g未満の場合には、結晶層間にイオン交換によりインターカレートされる可塑剤、カチオン系界面活性剤の量が少なくなりやすく、結果的に層状珪酸塩又は層状珪酸塩が微細に分散されない場合がある。一方,200mmol/100gを越える場合には,層状珪酸塩の層間の結合力が強固となり,可塑剤及びカチオン系界面活性剤によるインターカレーとが不十分になり、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩を微細に分散することが困難な場合がある。
【0023】
層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の添加量は、ポリビニルアセタール樹脂100重量部に対して0.1から100重量部であることが好ましい。0.1重量部未満では、添加量が少なく、所望の物性を十分に発揮するには至らない。100重量部を越えて添加すると、複合材料中に占める樹脂分が少なくなり、耐衝撃性などの物性が低下することがあり好ましくない。より好ましい層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の添加量は1〜20重量部である。
【0024】
層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩は、微細に分散されていることが必要である。目視や、走査型電子顕微鏡(SEM)レベルで確認出来る1μm以上の大きさの層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩が多く存在することは、機械強度、特に透明性の上で好ましくない。1μm以上の層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の量は100μm×100μmあたり100個以下が好ましく、更に好ましくは50個以下である。
【0025】
上記可塑剤は、通常ポリビニルアセタール樹脂に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、一塩基性有機酸エステル、多塩基性有機酸エステル等の有機系可塑剤、有機リン酸系、有機亜リン酸系等のリン酸系可塑剤等が用いられる。一塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、例えば、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコールと酪酸、イソ酪酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、ヘプチル酸、n−オクチル酸、2−エチルヘキシル酸、ペラルゴン酸(n−ノニル酸)、デシル酸等の一塩基性有機酸との反応によって得られたグリコール系エステルが挙げられ、中でも、トリエチレングリコール−ジカプロン酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチル酪酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−n−オクチル酸エステル、トリエチレングリコール−ジ−2−エチルヘキシル酸エステル等のトリエチレングトリエチレングリコールの一塩基性有機酸エステルが好適に用いられる。又、多塩基性有機酸エステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の多塩基性有機酸と炭素数4〜8の直鎖状又は分枝状アルコールのエステル等が挙げられ、中でも、ジブチルセバシン酸エステル、ジオクチルアゼライン酸エステル、ジブチルカルビトールアジピン酸エステル等が好適に用いられる。又、有機リン酸系可塑剤としては、例えば、トリブトキシエチルホスフェート、イソデシルフェニルホスフェート、トリイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
【0026】
特に、好ましく用いられる具体例としては、トリエチレングリコール- ジ- エチルブチラート、トリエチレングリコール- ジ- エチルヘキソエート、トリエチレングリコール- ジ- ブチルセバケート、等が挙げられる。これら可塑剤は樹脂との相溶性等を考慮して、ポリビニルアセタール樹脂の種類に応じて使い分けられる。
【0027】
可塑剤の添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して、20〜100重量部が好ましい。20重量部未満では、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩を微細に分散するのには不十分であり、耐貫通性が低下する。また、100重量部を越えて可塑剤を添加すると、可塑剤のブリードアウトが生じ、樹脂膜の透明性や接着性が低下し、得られる合わせガラスの光学歪みが大きくなったりするおそれがある。より好ましい可塑剤の添加量は、30〜70重量部である。また、可塑剤の量は層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩1部に対して、可塑剤の量が1部〜50部あることが好ましい。
【0028】
本発明に用いる中間膜には、必要に応じて、酸化防止剤、耐光剤、紫外線吸収剤、滑剤等、難燃剤、帯電防止剤、接着力調整剤、耐湿剤、熱線反射剤、熱線吸収剤等の添加剤を添加しても良い。
【0029】
本発明の中間膜は、膜厚は特に限定されるものでは無いが、耐貫通性、合わせガラス生産性、経済性などの観点から、好ましい膜厚は0.1mmから2mmであり、特に、好ましくい膜厚は0.2〜1mmの厚さである。又、中間膜の表面には、ガラスとの積層の際の脱気性を良くするためにエンボス等の加工をすることが好ましい
【0030】
本発明の中間膜に用いられる複合材料を得る方法としては特に限定されるものではないが、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩と可塑剤を予め混合して、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の層間隔を十分に膨潤させたものを、樹脂に添加して混練することが特に好ましい。層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩と可塑剤と混合することに、前記珪酸塩が可塑剤により膨潤され樹脂と混合する際により容易に樹脂中に微細に分散されやくなるからである。この場合、可塑剤の一部と層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の全量を一旦混合し、その後更に可塑剤の残量を加えて混合しても良い。
【0031】
可塑剤と層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩を混合する装置は、特に限定されないが、遊星式攪拌装置、湿式メカノケミカル装置、ヘンシェルミキサー、ホモジナイザー、超音波照射機などが一般的に用いられる。
ポリビニルアセタール樹脂、可塑剤、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩の混練に用いられる装置も限定されるものではないが、押出機、プラストグラフ、ニーダー、バンバリーミキサー、カレンダーロール、などを用いることが出来る。特に、連続的に生産するという観点から、押出機を用いることが好ましい。
【0032】
ポリビニルアセタール樹脂、層状珪酸塩又は有機化層状珪酸塩、及び可塑剤との組み合わせからなる複合材料は、押出機、ロール等の通常の製膜法によりシート状に製膜され、合わせガラス用中間膜として好適に用いることができる。合わせガラスは自動車のフロントガラス及びサイドガラス、航空機や電車等の乗り物のガラス部位、建築用ガラスなどに用いることができる。
又、膜が多層構造からなる多層系中間膜、例えば、多層系遮音中間膜として用いることも可能である。更に、熱線反射剤、電磁波シールド剤、金属系化合物等との併用により、熱線反射、電磁波遮断等の機能性中間膜、機能性合わせガラスとして用いることも可能である。
【0033】
上記複合材料は、可塑剤の耐ブリード性が優れているために、ガラスの代わりに、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等の透明性のプラスチックとの張り合わせにも用いることができる。
又、ガラス以外の剛性体、例えば、金属、無機材料等と積層して制振素材としての応用も可能である。
【0034】
(作用)
一般に層状珪酸塩が微細に樹脂中に微細に分散すればする程、熱可塑性樹脂−層状珪酸塩複合物の機械的強度やガスバリヤー性、透明性は著しく向上する。層状珪酸塩と樹脂との界面積が、層状珪酸塩の分散の向上に伴い増大することにより説明することができる。即ち、樹脂と無機結晶との界面においてポリマーの分子運動が拘束されることにより、ポリマーの弾性率等の力学強度が増大する為、層状珪酸塩の分散度合いが向上する程、効率的にポリマー強度を増大させることができる。また、無機物に比較して樹脂層はガス分子がはるかに拡散しやすいため、複合材料中をガス分子が拡散する際には、無機物を迂回しながら拡散する。従って、層状珪酸塩の分散度合いが向上する程、効率的にガスバリヤーを向上させることができる。更に、透明性の樹脂に層状珪酸塩を添加した場合、分散している層状珪酸塩の大きさが、大きいと光が散乱されて不透明となってしまうが、微細に分散されるほど光の散乱が少なくなって、光が透過しやすくなり透明性が良くなる。
【0035】
以上の如く、本発明において最も注目すべきことは,層状珪酸塩を樹脂中に分散させる際に、可塑剤が層間に侵入することにより、層状珪酸塩を効率的に微細に分散させることが可能であるので、透明性が確保され、かつ、可塑剤を除去する必要がないため、優れた物性の複合材料が簡易に得られることである。更に注目すべき点は、層状珪酸塩を微細に分散させることにより強度と柔軟性を両立させた軟質系複合材料が得られることである。
【0036】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明の内容を説明する。
実施例1
〔評価用サンプル作成方法〕
可塑剤(トリエチレングリコール‐ジ‐エチレンブチレート)50重量部と有機化メスクタイト(商品名SAN、コープケミカル社製)7. 5重量部を遊星式攪拌装置で1分間混合して、ペースト状の混合物を得た。得られたペースト状混合物57. 5重量とポリビニルブチラール(ブチラール化度65モル%)100重量部をプラストグラフで、設定温度140℃にて5分間溶融混練した。出来上がったサンプルを200℃に温調した熱プレスにより厚さ0. 5mmのシート状物を得た。
【0037】
〔サンプル評価法〕
(分散性)
SEMにより任意の位置で、100μm×100μmの範囲を観察した。結果を表1に示す。
◎印:1μm以上の粒子数≦50。
○印:50<1μm以上の粒子数≦100。
×印:100<1μm以上の粒子数。
(透明性)
JIS R3212に従い、合わせガラスのヘイズを測定した。
(耐衝撃性)
耐衝撃性の特性として、高速引張試験により求められるS‐S曲線の面積(破断点エネルギー)を用いて評価を行った。
試験片:JIS K6774の2号ダンベル
測定条件:引っ張り速度…3m/sec、
:温度…23℃
【0038】
実施例2〜7
表1に示した材料、配合割合で、実施例1と同様にして試料を作成し評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
比較例1
〔評価用サンプル作成方法〕
ポリビニルブチラール(ブチラール化度60モル%、残存アセチル基12モル%)100重量部と可塑剤(トリエチレングリコール‐ジ‐エチレンブチレート)50重量部をプラストグラフで、設定温度140℃にて5分間溶融混練した。出来上がったサンプルを200℃に温調した熱プレスにより厚さ0. 5mmのシート状物を成形した。得られたシートを用いて実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】
比較例2
表1に示した材料、配合割合で、実施例1と同様にして試料を作成し評価を行った。結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
尚、表1中で用いた略号は、各々、以下に示す内容である。
樹脂
A:ポリビニルブチラール(ブチラール化度65モル%、重合度1700、鹸化度99. 5モル%)
B:ポリビニルブチラール(ブチラール化度70モル%、重合度1700、鹸化度88モル%)
層状珪酸塩
クロイサイト20A:モンモリロナイト(サザンクレイ社製、有機化処理品)
MAE:膨潤性マイカ(コープケミカル社製、有機化処理品)
SAN:スメクタイト(コープケミカル社製、有機化処理品)
ハイフィラー#5000:微細タルク(白石カルシウム社製)
可塑剤
3GH:トリエチレングリコール- ジ- エチルブチレート
3GO:トリエチレングリコール- ジ- エチルヘキソエート
【0043】
【発明の効果】
本発明の請求項1は ポリビニルアセタール樹脂、層状珪酸塩及び可塑剤からなり、層状珪酸塩が微細に分散されている中間膜であるので、透明性を保持したまま、力学的強度、耐衝撃性、可塑剤のブリードアウト性の低減、などを著しく向上することが可能である。特に、従来困難であった、柔軟性と強度のバランスを確保することが可能である。
【0045】
本発明はポリビニルアセタール樹脂100重量部及び、有機化層状珪酸塩0.1〜100重量部及び可塑剤20〜100重量部からなっているので、上記効果をより確実に奏することができる。
【0046】
本発明の請求項2はポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であるので、上記効果に加えて透明性、接着性等の性能を向上させることができる。
【0047】
本発明の請求項3は、層状珪酸塩と可塑剤とを混合し、前記混合物とポリビニルアセタール樹脂とを混合して得られた組成物を膜に成形する中間膜の製造方法であり、層状珪酸塩が微細に分散でき溶剤を除去する必要がないので、本発明の中間膜を容易に提供することが出来る。
Claims (3)
- ポリビニルアセタール樹脂100重量部、有機化層状珪酸塩0.1〜100重量部及び可塑剤20〜100重量部を含有し、有機化層状珪酸塩が微細に分散されていることを特徴とする合わせガラス用中間膜。
- ポリビニルアセタール樹脂がポリビニルブチラール樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の合わせガラス用中間膜。
- 有機化層状珪酸塩と可塑剤とを混合し、前記混合物とポリビニルアセタール樹脂とを混合して得られた樹脂組成物を膜に成形することを特徴とする請求項1または2に記載の合わせガラス用中間膜の製造方法。
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