JP5253990B2 - 薄膜トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜トランジスタ及びその製造方法に関する。また、前記薄膜トランジスタを備える薄膜トランジスタアレイ基板、及び表示装置に関する。
薄膜トランジスタ(以下、「TFT」(Thin Film Transistor)とも云う)は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に広く適用されている。非晶質シリコンを半導体層として用いる逆スタガ構造のTFTは、以下のようにして製造することができる。まず、ガラス等の透明絶縁性基板上にゲート電極をフォトリソグラフィー工程、エッチング工程によってパターン形成する。次いで、プラズマCVD法によってゲート絶縁膜、不純物を含まない非晶質シリコン層、及び不純物を含む非晶質シリコン層を、順次、連続成膜する。そして、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程によって島状の半導体層を得る。その後、金属膜をスパッタ法等で形成し、フォトリソグラフィー工程、エッチング工程によりソース電極、ドレイン電極をそれぞれ一括形成する。
ソース電極、ドレイン電極を形成後、両電極が存在しない領域の不純物を含む非晶質シリコン層を、いわゆるバックチャネルエッチングにより除去し、チャネル領域を形成する。その後、窒化シリコン等を用いてパッシベーション膜を形成する。
上記製造方法によれば、ソース電極とドレイン電極をマスクとしてセルファラインによりチャネル領域を形成することができる。また、ゲート絶縁膜、半導体層を順次連続して成膜することができる。このため、製造工程が簡便である。また、ゲート絶縁膜と半導体層の成膜を連続的に行うのでTFT特性のバラツキが小さいというメリットもある。また、非晶質シリコンを半導体層として用いる逆スタガ構造のTFTとして、チャネルエッチ型の特性を改善したチャネル保護型のTFTも提案されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、TFTのチャネル領域を構成する非晶質シリコン層は、通常は水素を多く含んでいる非晶質シリコン層により構成され、膜中には欠陥準位が多く存在する。このため、上記製造方法により得られたTFTは、電界効果移動度(μ)が1cm/V・s以下である、リーク電流(Ioff)が大きい、長時間動作時のストレスで閾値電圧(Vth)シフトが発生するという問題を抱えている。これらの特性は、スイッチング素子として用いる際には問題ないが、これらを駆動させるための周辺回路に適用することは困難である。
そこで、これらの問題を克服する方法として、エキシマレーザ(XeCl 波長:308nm)光を照射してレーザアニール処理を施すことにより非晶質シリコンを多結晶化する方法がある。エキシマレーザによれば、酸化膜やガラス基板等の材料に熱的影響をほとんど与えることなく、非晶質シリコン層のみを溶融させることができる。そして、非晶質シリコン層を溶融させた後、冷却することで多結晶シリコンを形成することができる。
特許文献2においては、各トランジスタの役割に応じて、非晶質シリコン層のみからなる半導体層、多結晶シリコン層と非晶質シリコン層が積層された半導体層を同一基板上に作り分ける方法が提案されている。
図9に、特許文献2に記載のTFTの切断部断面図を示す。絶縁性基板101上にゲート電極102を形成し、その上層にゲート絶縁層103を形成する。次いで、多結晶半導体層を形成するための非晶質シリコン層を形成する。そして、多結晶シリコン層を形成したい領域にエキシマレーザを選択的に照射する。レーザアニール後、エッチング工程等により下層半導体層111のパターンを得る。その後、非晶質シリコン層からなる上層半導体層112、ソース電極105、及びドレイン電極106を形成する。上記方法により、各トランジスタの役割に応じて、同一基板上に上層半導体層112のみからなる半導体層、下層半導体層111と上層半導体層112が積層された半導体層を作り分けている。
特許文献3においては、CVD法により基板上に直接微結晶粒の多結晶シリコン層を形成する薄膜トランジスタの製造方法が提案されている。図10(a)〜(c)に、特許文献3に記載のTFT252の製造工程断面図を示す。まず、絶縁性基板201上にゲート電極202、ゲート絶縁膜203を形成し、その上層に、多結晶シリコン層である下層半導体層211をCVD法により直接形成する。続いて、下層半導体層211上に、上層半導体層212をCVD法により堆積する。
具体的には、水素化非晶質シリコン層212A、高濃度不純物添加シリコン層212Bを形成する(図9(a)参照)。その後、図9(b)に示すように、ゲート絶縁膜203から上層半導体層212までの積層膜を、トランジスタ部分のみ島状に残してエッチングにより除去する。ゲート電極202上部において上層半導体層212をエッチングにより除去して、ソース領域のシリコン層及びドレイン領域のシリコン層に互いに離間させる。次いで、層間絶縁膜204を成膜してパターン形成し、ソース電極205、ドレイン電極206を形成する(図9(c)参照)。
特開平8−36192号公報 特許2814319号 第2−8図 特開2005−57056号公報 第3−9頁、第1図
上記特許文献2においては、下層半導体層111の側壁部と、ソース電極105及びドレイン電極106が接触する構造を採用している。このため、オン電流を大きくすることができる一方で、リーク電流(オフ電流)が大きくなってしまうという問題を抱えている。
上記特許文献3においては、CVD法により基板上に直接形成した微結晶粒の多結晶シリコン層を用いた薄膜トランジスタであっても、オフ電流を抑止して性能向上を図ることができる旨が記載されている。さらに、これに付加して、レーザ照射により多結晶シリコン層の結晶化又は再結晶化を行うことにより、比較的大きい結晶粒の多結晶シリコン層に変換する方法が記載されている。そして、レーザ照射を加えることによって、オフ電流、及びそのばらつきを低減し、より高機能、高集積化されたモノリシック化回路を実現することができる旨が記載されている。
しかしながら、レーザ照射により、シリコン層表面において少なくとも大気との暴露が生じる。そして、その結果、シリコン層同士の接合面に界面が生じる。この界面では、シリコン層同士の密着力が悪い。成膜時に運よく剥離が生じなかった場合であっても、液晶表示装置に用いられるガラス基板等の絶縁性基板端などにおいて、プロセス途中に機械的接触等によって傷やこすれが生じる恐れがある。そして、これに起因して前述の界面の部分の剥がれが生じやすい。また、その剥がれの一部が異物となり歩留まり低下を招来したり、製造装置の汚染を招来したりする恐れがある。
本発明は、上記背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、優れたオン電流特性と、優れたオフ電流特性を兼ね備え、かつ、歩留まりの向上が可能な薄膜トランジスタ、及び前記薄膜トランジスタを備えた薄膜トランジスタアレイ基板、並びに表示装置を提供することである。
本発明に係る薄膜トランジスタは、半導体層を介してゲート電極と、ソース電極/ドレイン電極の一部が互いに対向配置される薄膜トランジスタであって、前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜の上層に下層半導体層が形成され、前記ソース電極/ドレイン電極の下層に上層半導体層が形成されたものである。そして、前記下層半導体層と、前記上層半導体層の間には、ソース領域/ドレイン領域に開口部を有する絶縁膜が形成され、前記開口部を介して、前記下層半導体層と前記上層半導体層が接続される。前記下層半導体層のうち、少なくとも前記ソース領域/ドレイン領域の間に配置されるチャネル領域、及び前記開口部と対向する領域のうちの前記チャネル領域から延設された少なくとも一部の領域は、多結晶半導体層であり、前記上層半導体層は、非晶質半導体層である。
本発明に係る薄膜トランジスタの製造方法は、半導体層を介してゲート電極と、ソース電極/ドレイン電極の一部が互いに対向配置される薄膜トランジスタの製造方法であって、前記ゲート電極上にゲート絶縁膜を成膜し、前記ゲート絶縁膜上に下層半導体層を形成し、前記下層半導体層上に、ソース領域/ドレイン領域に開口部を有する絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上に、上層半導体層を成膜し、前記上層半導体層上に前記ソース電極/ドレイン電極を形成するための導電層を成膜する。さらに、前記導電層上に、厚み方向に段差構造を有する第1のレジストパターンを形成し、前記第1のレジストパターンを利用して前記ソース電極/ドレイン電極、前記上層半導体層、前記絶縁膜、前記下層半導体層を島状にパターン形成し、前記第1のレジストパターンの膜厚の厚い部分がパターンとして残るように第2のレジストパターンを形成し、前記第2のレジストパターンをマスクとして、前記導電層及び前記上層半導体層を分断することにより、前記ソース電極/ドレイン電極、及びソース領域/ドレイン領域を形成する工程を備える。そして、前記下層半導体層は、チャネル領域と、当該チャネル領域から延設された前記ソース領域/ドレイン領域の少なくとも一部の領域とが多結晶半導体層となるように形成する。
本発明によれば、優れたオン電流特性と、優れたオフ電流特性を兼ね備え、かつ、歩留まりの向上が可能な薄膜トランジスタ、及び前記薄膜トランジスタを備えた薄膜トランジスタアレイ基板、並びに表示装置を提供することができるという優れた効果を有する。
以下、本発明を適用した実施形態の一例について説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に属し得ることは言うまでもない。また、以降の図における各部材のサイズや比率は、説明の便宜上のものであり、これに限定されるものではない。
本実施形態1に係る表示装置は、多結晶シリコンを備えた薄膜トランジスタ(TFT)を有するアクティブマトリクス型のTFTアレイ基板が搭載された表示装置である。ここでは、表示装置の一例として液晶表示装置について説明する。
図1は、TFTアレイ基板となる部分が複数形成された、本実施形態1に係るマザー基板55の模式的平面図であり、図2は、液晶表示装置50の模式的平面図である。なお、図2においては、説明の便宜上、対向基板の図示を省略する。
マザー基板55には、液晶表示装置50を構成する一対の基板のうちのTFTアレイ基板51となる部分が複数形成されている(図1参照)。図1の例においては、ガラス基板や石英基板などの透明絶縁性基板56上に12個のTFTアレイ基板51となる部分がマトリクス状に形成されている。
TFTアレイ基板51は、図2に示すように、ゲート信号線21、ゲート駆動回路22、蓄積容量配線24、ソース信号線31、ソース駆動回路32等を備える。
ゲート信号線(走査信号線)21は、図2中の横方向に延在し、縦方向に複数並設されている。ソース信号線(表示信号線)31は、ゲート信号線21とゲート絶縁層(不図示)を介して交差するように、図2中の縦方向に延在し、横方向に複数並設されている。複数のゲート信号線21と、複数のソース信号線31は、ほぼ直交するようにマトリクスを形成し、隣接するゲート信号線21及びソース信号線31とで囲まれた領域が、画素40となる。従って、画素40は、マトリクス状に配列される。複数の画素40が形成されている領域が表示領域45となる。そして、表示領域45の外側に区画された領域が、額縁領域46である。
ゲート駆動回路22及びソース駆動回路32は、周辺駆動回路として額縁領域46に形成されている。各ゲート信号線21は、表示領域45からゲート駆動回路22まで延設されている。同様に、各ソース信号線31は、表示領域45から当該ソース駆動回路32まで延設されている。ゲート駆動回路22やソース駆動回路32からは、配線が端子まで延設され、端子を介してICチップ34や、FPC(Flexible Printed Circuit)などの配線基板33に接続されている。
外部からの各種信号は、配線基板33を介してゲート駆動回路22、ソース駆動回路32に供給される。ゲート駆動回路22は外部からの制御信号に基づいて、ゲート信号(走査信号)をゲート信号線21に供給する。このゲート信号によって、ゲート信号線21が順次選択されることになる。ソース駆動回路32は、外部からの制御信号や、表示データに基づいて表示信号をソース信号線31に供給する。これにより、表示データに応じた表示電圧を各画素40に供給することができる。
各画素のゲート信号線21とソース信号線31の交差点付近には、少なくとも一つの信号伝達用のTFT52が設けられている。また、各画素には、TFT52と接続する蓄積容量素子42が形成されている。画素に形成されたTFT52のゲート電極はゲート信号線21に、TFT52のソース電極5はソース信号線31に接続されている。ゲート電極に電圧を印加するとソース信号線31から電流が流れるようになる。これにより、ソース信号線31から、TFT52のドレイン電極6に接続された画素電極に表示電圧が印加される。そして、画素電極と対向電極との間に、表示電圧に応じた電界が生じる。
一方、蓄積容量素子42は、TFT52のほか、蓄積容量配線24を介して対向電極とも電気的に接続されている。従って、蓄積容量素子42は、画素電極と対向電極との間の容量と並列に接続されていることになる。また、ゲート駆動回路22及びソース駆動回路32にも、画素40内に設けられたTFT52を駆動するための駆動用のTFT52が配置されている。TFTアレイ基板51の液晶側表面には、配向膜が形成されている。
上記マザー基板55には、対向基板(不図示)となる領域が複数形成された対向マザー基板(不図示)が対向配置されている。対向基板は、例えば、カラーフィルタ基板であり、視認側に配置される。対向基板には、カラーフィルタ、ブラックマトリクス(BM)、対向電極、及び配向膜等が形成されている。なお、対向電極は、TFTアレイ基板51側に配置されている場合もある。液晶表示パネルは、マザー基板55と、これに対向配置された対向マザー基板とを、液晶表示パネル単位に切り出し、これら一対の基板間に液晶を注入して封止することにより得られる。
TFTアレイ基板51と対向基板との外側の面には、偏光板、及び位相差板等が設けられる。液晶表示装置50は、液晶表示パネルの反視認側に、バックライトユニット等を配設することにより得られる。
液晶分子は、画素電極と対向電極との間の電界によって配向方向が変化する。液晶分子の配向変化に応じて、液晶層を通過する光の偏光状態が変化する。すなわち、バックライトユニットから偏光板を通過することにより形成された直線偏光が、液晶層を通過することによって、偏光状態が変化する。従って、偏光状態によって、対向基板側の偏光板を通過する光量が変化する。すなわち、バックライトユニットから液晶表示パネルを透過する透過光のうち、視認側の偏光板を通過する光の光量が変化する。
液晶の配向方向は、印加される表示電圧によって変化する。従って、表示電圧を制御することによって、視認側の偏光板を通過する光量を変化させることができる。すなわち、画素毎に表示電圧を変えることによって、所望の画像を表示することができる。なお、蓄積容量素子42において、画素電極と対向電極との間の電界と並列に電界を形成することにより、表示電圧を保持することができる。
次に、本実施形態1に係る薄膜トランジスタ(TFT)の構造について説明する。図3に、本実施形態1に係るTFT近傍の模式的断面図を示す。TFT52は、図3に示すように、逆スタガ型であり、絶縁性基板1、ゲート電極2、ゲート絶縁膜3、絶縁膜4、ソース電極5、ドレイン電極6、半導体層10等を有している。
半導体層10は、多結晶半導体層からなる下層半導体層11、非晶質半導体層からなる上層半導体層12からなる。本実施形態1に係る上層半導体層12は、第1上層半導体層12A及び第2上層半導体層12Bの2層構造からなる。本実施形態1においては、下層半導体層11は不純物を含まない多結晶シリコン層により構成し、第1上層半導体層12Aは不純物を含まない非晶質シリコン層、第2上層半導体層12Bは不純物を含む非晶質シリコン層により構成する。また、ここで用いられる下層半導体層11の多結晶シリコンは、微結晶粒からなる多結晶シリコンとすることが好ましい。なお、ここで言う微結晶粒とは、概ね100nm以下の粒径を持つ結晶粒を指すものとする。また、下層半導体層11や第1上層半導体層12Aは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、低濃度の不純物を含んでいてもよい。
ゲート電極2は、絶縁性基板1上に形成され、ゲート信号線21、蓄積容量配線24、蓄積容量電極層(不図示)等と同一のレイヤである第1金属膜により形成されている。ゲート絶縁膜3は、ゲート電極2を覆うように、その上層に形成されている。
ゲート絶縁膜3は、単層膜、積層膜のいずれでもよい。例えば、窒化シリコン(SiNx)の単層膜や、窒化シリコン(SiNx)と酸化膜(SiO)の積層膜を適用することができる。下層半導体層11の結晶性を良好に保つ観点からは、窒化シリコン(SiNx)の上層に酸化膜(SiO)を積層することが好ましい。酸化膜上に多結晶シリコン層を形成する構造とすることにより、多結晶半導体層とゲート絶縁膜3界面との固定電荷を減少することができる。酸化膜の膜厚は、50nm以上、200nm以下とすることが好ましい。その理由については後述する。
半導体層10は、前述したように3層構造となっており、ゲート絶縁膜3の上に下層半導体層11が形成されている。下層半導体層11は、ゲート絶縁膜3を介してゲート電極2の少なくとも一部と対向配置されている。下層半導体層11の上層には、第1開口部H1、第2開口部H2を有する絶縁膜4が形成されている。
第1上層半導体層12Aは、絶縁膜4の上層、及び絶縁膜4に設けられた第1開口部H1、第2開口部H2内に配設されている。第2上層半導体層12Bは、第1上層半導体層12Aの上層に形成されている。そして、第2上層半導体層12B上に、ソース電極5及びドレイン電極6が配設されている。本実施形態1においては、上層半導体層12と下層半導体層11との接続は、専ら第1開口部H1、及び第2開口部H2を介して接続するようにしている。また、下層半導体層11をゲート絶縁膜2の上に、上層半導体層12をソース電極5及びドレイン電極6の下層に形成している。これにより、ソース電極5及びドレイン電極6と、下層半導体層11とが接触しない構造となり、オフ電流が大きくなるという問題を回避することができる。
ソース電極5及びドレイン電極6は、第2金属膜である導電層9により構成されている。電気的に分断されたソース電極5及びドレイン電極6を形成するために、導電層9表面からチャネル領域10C上に形成された絶縁膜4の表面まで貫通する第3開口部H3が形成されている。すなわち、第1上層半導体層12A及び第2上層半導体層12Bも第3開口部H3により2つに分断されている。換言すると、TFT52において、ソース電極5及びドレイン電極6を構成する導電層9のパターンと、上層半導体層12のパターンは、平面視上、実質的に同一形状となっている。これにより、ソース電極5及びドレイン電極6と、下層半導体層11とが接触しない構造となり、オフ電流が大きくなるという問題を回避することができる。
半導体層10におけるソース領域10S,チャネル領域10C,ドレイン領域10Dは、以下の領域となる(図3参照)。すなわち、ソース領域10Sは、第1開口部H1の形成領域とその上部に位置する第1上層半導体層12A、及び第1開口部H1の下部に配置される下層半導体層11、並びに第1開口部H1の上部に配置される第2上層半導体層12Bの領域である。同様にして、ドレイン領域10Dは、第2開口部H2の形成領域とその上部に位置する第1上層半導体層12A、及び第2開口部H2の下部に配置される下層半導体層11、並びに第2開口部H2の上部に配置される第2上層半導体層12Bの領域である。
チャネル領域10Cは、下層半導体層11のソース領域10Sとドレイン領域10Dに挟まれた領域となる。すなわち、チャネル領域10Cは、下層半導体層11により構成されている。一方、ソース領域10S及びドレイン領域10Dは、前述したように、下層半導体層11、第1上層半導体層12A、第2上層半導体層12Bにより構成されている。ソース領域10S,チャネル領域10C,ドレイン領域10Dは、ゲート電極2の一部と対向配置されている。また、チャネル領域10Cの上層に絶縁膜4を介して第3開口部H3が形成されている。
ソース電極5及びドレイン電極6は、ゲート絶縁膜3、下層半導体層11、第1上層半導体層12A、第2上層半導体層12Bを介して、ゲート電極2の一部と対向配置されている。すなわち、TFT52として動作するために、薄膜トランジスタ領域が、ゲート電極2上に存在して、ゲート電極2に電圧を印加した時の電界の影響を受けやすい状態とする。換言すると、第1開口部H1を介して、ソース電極5、第2上層半導体層12B及び第1上層半導体層12Aと、下層半導体層11とが接続されている。同様にして、第2開口部H2を介して、ドレイン電極6、第2上層半導体層12B及び第1上層半導体層12Aと、下層半導体層11とが接続されている。
本実施形態1に係るTFT52においては、ソース電極5、及びドレイン電極6を構成する導電層9のパターン、及びソース電極5、及びドレイン電極6の間隙である第3開口部H3を合わせた平面視上の形状と、下層半導体層11のパターンの平面視上の形状が、実質的に同一である。また、下層半導体層11とゲート絶縁膜3の各パターンの平面視上の形状が、実施的に同一である。換言すると、ソース電極5及びドレイン電極6を構成する導電層のパターン、及びこれらの間隙である第3開口部H3を合わせた平面視上のパターン形成時に、一括して、半導体層10、絶縁膜4、ゲート絶縁膜3をパターン形成している。これにより、ソース電極5及びドレイン電極6と、下層半導体層11とが接触しない構造となり、オフ電流が大きくなるという問題を回避することができる。また、パターン形成のためのフォトリソグラフィー工程やエッチング工程数を削減することができる。
なお、「ソース電極5、及びドレイン電極6を構成する導電層9のパターン」とは、TFTアレイ基板51の場合、ソース電極5及びドレイン電極6と同一レイヤに構成される導電層9のパターンである、ソース信号線31等のパターンも含むことを意味する。なお、ゲート絶縁膜3について、ソース電極5及びドレイン電極6を構成する導電層のパターン、及びこれらの間隙である第3開口部H3を合わせた平面視上のパターン形成時に、下層半導体層11と同様にエッチングを行ってもよい。すなわち、ゲート絶縁膜3も下層半導体層11と同一形状となるようにパターン形成してもよい。
絶縁膜4、ソース電極5、ドレイン電極6の上層には、これらを覆うように不図示のパッシベーション膜が形成されている。画素40の領域に配設されるTFT52においては、パッシベーション膜上に、画素電極(不図示)が形成され、パッシベーション膜に形成されたコンタクトホール(不図示)を介して、ドレイン電極6と画素電極が電気的に接続されている。
次に、図4(a)〜(d)及び図5(e)〜(g)を用いて、本実施形態1に係る薄膜トランジスタの製造方法について説明する。なお、本実施形態1において、画素40内に配設されたスイッチング素子用の薄膜トランジスタと、ゲート駆動回路22及びソース駆動回路32に配置された薄膜トランジスタが同様の構成となっており、両TFTを区別せずにTFT52と表記する。これらは、同時に形成する。
まず、絶縁性基板1上に第1金属膜を成膜し、ゲート電極2を形成する。第1金属膜としては、Al、Mo,Cr、これらを主成分とする合金等を挙げることができる。MoやCrは、高融点材料であるのでより好ましい。第1金属膜は、これらの金属の積層膜としてもよい。ゲート電極2の形成と同時に、ゲート信号線等も形成する。本実施形態1においては、ガラス基板上にアルミ合金膜をスパッタ法で形成し、第1のフォトリソグラフィー工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等を経て、所望のパターンを形成した(図4(a)参照)。
次に、ゲート電極2及び絶縁性基板1上に、プラズマCVD法により、ゲート絶縁膜3と、下層半導体層11である多結晶半導体膜を形成するための非晶質半導体膜を順次連続成膜する(図4(a)参照)。本実施形態1においては、ゲート絶縁膜3として、窒化シリコン(SiNx)を200nm成膜し、次いで、酸化膜(SiO)を50nmの厚さで成膜した。
非晶質シリコン層を成膜後、エキシマレーザ照射時の非晶質シリコン層のアブレーション等を抑制する目的で、400℃程度の温度で脱水処理を行う。そして、非晶質シリコン層に対し、表面に成長した自然酸化膜をフッ酸液等で除去し、間髪入れずに不活性ガス雰囲気中で絶縁膜基板1の上方よりエキシマレーザを照射する。これにより、非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に変換する(図4(b)参照)。
非晶質シリコン層をエキシマレーザにより多結晶シリコン等に変換する場合には、非晶質シリコン層に対するエキシマレーザの吸収係数が10cm−1であるので、エキシマレーザからの照射光の吸収は、非晶質シリコン層表面より7nm程度までの表面付近に限られる。このため、結晶性が不均一となりやすい。換言すると、TFT特性についてばらつきが大きくなりやすい。
逆スタガ構造のTFTのキャリアである電子の移動経路は、図3の矢印に示すように、レーザ光を照射する側とは反対側に位置するゲート絶縁膜3との界面付近の半導体層に限られる。このため、非晶質シリコン層を結晶化させる際には、ゲート絶縁膜3の界面近傍まで多結晶シリコン等に変換する必要がある。しかしながら、非晶質シリコン層の深さ方向の溶融は、潜熱によって行うため、ゲート絶縁膜3の界面近傍の非晶質シリコン層の結晶化を制御することは難しい。ゲート絶縁膜の界面近傍に、非晶質シリコン層が残ったり、一部に非晶質な部分が存在したりする場合には、TFT特性(電界効果移動度、リーク電流、閾値電圧シフト抑制)が改善されない。
そこで、成膜する非晶質シリコン層の膜厚は、30nm以上、50nm以下とすることが好ましい。より好ましい範囲は、面内均一性を考慮して35nm以上、45nm以下である。本実施形態1においては、下層半導体層11の非晶質シリコン層を40nm±5nmの範囲の膜厚になるように成膜した。
照射エネルギー密度は、非晶質シリコン層が、膜厚方向に対して、一旦は完全に溶融させて再結晶化する下限値と、レーザ照射中にゲート電極2やゲート絶縁膜3に熱ダメージを与えない上限値範囲に設定する。本実施形態1に係る製造条件においては、照射エネルギー密度は、200mJ/cm以上、300mJ/cm以下に設定することが好ましい。より好ましい範囲は、結晶粒が安定する250mJ/cm以上、300mJ/cm以下である。本実施形態1の条件において、ゲート電極2が損傷する照射エネルギー密度は350mJ/cmであった。
図6に、250mJ/cmのエキシマレーザ照射後の下層半導体層11表面のAFM像を示す。同図より、100nm程度の円形状粒が密集しているのが確認できる。また、その時の表面粗さ(Ra)は、概ね3nmであった。さらに、図7に、酸化膜上の多結晶シリコンの断面TEM写真を示す。同図より、250mJ/cmのエキシマレーザ照射において、ゲート絶縁膜3の界面まで非晶質シリコンが結晶化されていることが確認できる。
エキシマレーザ照射によって、非晶質シリコン層を溶融させて所望の多結晶シリコン層を得るためには、前述したようにある程度の照射エネルギー密度が必要となる。その際、下層半導体層11の潜熱(1500K程度)以上の熱がゲート絶縁膜3に伝播する。ゲート絶縁膜3として熱伝導率が大きい窒化シリコン(SiNx)を適用する場合、ゲート電極2に与える熱的影響はごく短時間である。例えば、ゲート電極2として、融点が930K程度のアルミ(Al)合金を用いた場合であっても、ゲート電極2は、ほとんど熱的ダメージを受けない。
一方、熱伝導率の小さい酸化膜(SiO)をゲート絶縁膜3として適用する場合には、酸化膜の膜厚が200nmを超えると、ゲート電極2に与える熱的影響が無視できない恐れがある。例えば、ゲート電極2として、アルミ(Al)合金を用いた場合、ゲート電極2が融点以上の温度に曝される時間が長くなる。その結果、ゲート電極2が損傷する恐れがある。
すなわち、所望の結晶性を得る照射エネルギー密度と、ゲート電極2が損傷しないような照射エネルギー密度とを両立させる必要がある。ゲート電極2にアルミ合金を用い、多結晶半導体層とゲート絶縁膜3界面との固定電荷を減少させる為に、ゲート絶縁膜3に酸化膜(SiO)を用いる場合、酸化膜の上限膜厚を200nm以下とすることが好ましい。また、多結晶半導体層の結晶性を良好に保つ観点から、酸化膜の下限膜厚を50nm以上とすることが好ましい。勿論、ゲート電極2として高融点材料であるモリブデン(Mo)、クロム(Cr)を用いる場合には、アルミ(Al)合金に比べ、さらに許容温度を上げることができる。すなわち、材料等に応じて、適宜膜厚条件や照射条件等を設定すればよい。
次いで、多結晶シリコン層である第1半導体層を、一旦、フッ酸等で洗浄した後、下層半導体層11上に絶縁膜4を形成する(図4(c)参照)。絶縁膜4については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、特に材料の制約はないが、好適な例として、酸化膜(SiO)、窒化シリコン(SiNx)を挙げることができる。絶縁膜4として酸化膜(SiO)を適用した場合と、窒化シリコン(SiNx)を適用した場合について、TFT特性について検討した結果、特に影響がないことを確認した。本実施形態1においては、酸化膜(SiO)とした。
絶縁膜4の膜厚は、少なくとも下層半導体層11の膜厚よりも厚く設定する。その理由は、下層半導体層11の結晶化に伴って、結晶粒表面の凹凸が大きくなり、凸部分がおよそ非晶質シリコン層の際の膜厚程度(凡そ40nm)となるためである。このときの下層半導体層11表面の平均粗さ(Ra)は、3〜4nm程度である。そこで、下層半導体層11表面を十分に被膜するように絶縁膜4は厚膜化することが好ましい。本実施形態1においては、膜厚を100nmとした。
絶縁膜4は、ソース領域10S、ドレイン領域10Dにおいて、其々、第1開口部H1、第2開口部H2を第2のフォトリソグラフィー工程により形成する。この際、下層半導体層11表面をできるだけ削らないようにエッチングを行う。第1開口部H1、第2開口部H2の寸法精度は第2のフォトリソグラフィー工程で決定される。
続いて、絶縁膜4上に、第1上層半導体層12A、第2上層半導体層12Bを順に成膜する(図4(d)参照)。第1上層半導体層12Aは、前述したように不純物を含まない非晶質シリコン層であり、第2上層半導体層12Bは、不純物を含む非晶質シリコン層である。第2上層半導体層12Bは、例えば、リン(P)ドープしたn型の非晶質シリコン層である。
第2上層半導体層12Bに不純物を導入することにより、低抵抗化を図り、ソース電極5及びドレイン電極6のオーミックコンタクト特性を保つことができる。第1上層半導体層12Aと第2上層半導体層12Bを連続成膜することにより、それぞれの膜の接合面のオーミック性を良好に保つことができる。また、製造ばらつきを小さくすることができる。なお、第1上層半導体層12Aと第2上層半導体層12Bは、明確に区別する必要はなく、ソース電極5及びドレイン電極6側に向かうにつれて不純物濃度が高くなるような濃度勾配を有するように形成してもよい。
本実施形態1によれば、第1上層半導体層12Aの下面側の大半の接触領域は絶縁膜4であり、下層半導体層11とは第1開口部H1、第2開口部H2の領域において接触する。前述したように、多結晶半導体層と非晶質半導体層の接合部においては、その界面が剥離しやすいという問題があった。本実施形態1によれば、下層半導体層11と第1上層半導体層12Aの接触領域の縮小化を図ることにより、界面の剥離を抑制することができる。その結果、歩留まりの低下を防止することができる。
続いて、ソース電極5、ドレイン電極6を形成するための第2金属膜である導電層9をスパッタ法で成膜する。この導電層9には、ゲート電極2と同様に、Al、CrやMo、これらを含む合金等の材料を用いることができる。積層膜により構成することも可能である。成膜後、この導電層9上に膜厚方向に段差構造を有する第1のレジストパターン17を形成する(図5(e)参照)。
第1のレジストパターン17は、公知のハーフトーン露光技術やグレートーン露光技術を適用することにより得ることができる。具体的には、第3開口部H3の形成領域に対応する領域の膜厚が、ソース電極5及びドレイン電極6を形成する領域の膜厚に比して薄くなるようなパターンとする。次いで、第1のレジストパターン17をマスクとして、エッチング処理により、導電膜9、第2上層半導体層12B、第1上層半導体層12A、絶縁膜4、下層半導体層11をエッチングする。これにより、図5(f)に示すように、第1のレジストパターン17がマスキングされていない領域において、導電膜9、第2上層半導体層12B、第1上層半導体層12A、絶縁膜4、下層半導体層11が除去される。
次いで、第1のレジストパターン17の膜厚の厚い部分がパターンとして残るように、アッシングにより一律に膜厚を減じる。これにより、第2のレジストパターン18を得る。第2のレジストパターン18は、第3開口部H3の形成領域に対応する領域の導電層9の表面が露出するパターンを有する。そして、第2のレジストパターン18をマスクとして、エッチングにより第3開口部H3を形成する。これにより、図5(g)に示すように、所望の形状のソース電極5、ドレイン電極6のパターン、第3開口部H3等を得る。
その後、ゲート絶縁膜3、チャネル領域10C、ソース電極5、及びドレイン電極6を覆うように、プラズマCVD法等によりパッシベーション膜を形成する。パッシベーション膜としては、例えば窒化シリコンを用いることができる。上記工程等を経て、TFT52が完成する。
ゲート駆動回路22やソース駆動回路32に用いるTFTは、常時動作しているものである。このため、非晶質シリコン層からなるTFTをゲート駆動回路22やソース駆動回路32に用いると、連続動作が長時間に及ぶことによってVthシフトが発生し、正常な駆動動作をしなくなるという問題があった。すなわち、正常な表示ができなくなってしまうという問題があった。そのため、ゲート駆動回路22やソース駆動回路32の動作には、外付けのICチップを用いていた。
本実施形態1に係るTFT52によれば、ゲート絶縁膜との界面近傍の半導体層を多結晶化している。これにより、優れたオン電流を提供することができる。換言すると、電界効果移動度(μ)を高めることができる。また、結晶化させたシリコン層やその界面では、トラップ密度や欠陥準位を低減することができる。その結果、長時間動作させた際の閾値電圧シフト(Vthシフト)を、従来の非晶質シリコン層を用いる場合に比して、大幅に抑えることができる。
本実施形態1に係るTFTによれば、優れたオン電流特性と、優れたオフ電流特性を兼ね備え、かつ、長時間動作させた場合の閾値電圧シフトを抑制することができる。これらの特性を兼ね備え、かつ、歩留まり向上を実現できるため、生産時の安定性が増す。さらに、多結晶シリコン層を概ね100nm以下の微結晶粒からなる多結晶シリコンとすることにより20%以下程度に結晶粒径のばらつきを抑え、結晶性を均一化できる。また、同時にさらなるオフ電流の低減を実現できる。その結果、スイッチング素子用のTFTとして要求される表示面内でのトランジスタ特性の均一化と、オフ電流特性の向上を実現して、表示特性の高品質化を図ることができる。換言すると、周辺駆動回路用のTFTと、スイッチング素子用のTFTに求められる特性を同時に満足させることができる。また、非晶質シリコン層をエキシマレーザにより多結晶シリコン層に変換し微結晶シリコンを得る際にも、概ね100nm以下の微結晶シリコンを得るための適正なレーザエネルギーの範囲が、一般的な多結晶シリコンを得るための適正なレーザエネルギーの範囲と比較して数倍程度に広いことから、安定して製造することが可能である。
周辺駆動回路用のTFTとスイッチング素子用のTFTを同一基板上に同時に形成することにより、ICチップの部品点数を減らすことが可能となる。すなわち、減量化、軽量化、さらには小型化の実現が期待できる。従って、本発明は、同一基板上に周辺駆動回路用のTFTと画素内のスイッチング素子用のTFTを同時形成する用途に、特に好適に適用することができる。無論、本発明の薄膜トランジスタを、これらの用途以外に用いることができることは言うまでもない。
上記特許文献2においては、ソース電極105、ドレイン電極106と、多結晶シリコン層である下層半導体層111側壁が直接接触している構造を採用していた。一方、本実施形態1に係るTFT52においては、ソース電極5及びドレイン電極6と下層半導体層11とが直接接触しない構造を採用している。その結果、特に、ドレイン側に印加電圧をかけた際に発生する電界による電流が、ドレイン電極6側にリークし難くなる。すなわち、オフ電流を抑制することが可能となる。また、レーザ光照射により非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に変換する方式を採用することにより、オフ電流、及びそのばらつきを低減することができる。
さらに、上記特許文献3のように、結晶化したシリコン層の表面全面に、非晶質シリコン層を積層せず、絶縁膜4の開口部H1,H2を介してこれらを接続する構造を採用しているので、良好なコンタクト抵抗を維持できる。また、これらの界面における密着力低下の問題を改善することができ、歩留まり向上を図ることができる。
本実施形態1に係るTFT52の製造方法によれば、駆動用ICを別途に実装させる場合に比して生産性向上、コスト削減を図ることができる。また、実装時の品質ロスの発生を防止することができる。しかも、本実施形態1によれば、ソース電極/ドレイン電極形成までのマスク枚数を上記特許文献3に比して1枚削減し、バックチャネルエッチ型のTFTと同様のマスク枚数により製造することができる。また、バックチャネルエッチ型の場合、チャネル領域にプラズマダメージが残るという問題があったが、本実施形態1によれば、チャネル領域に絶縁膜4を積層しているので、前記問題を解決することができる。また、新たな製造装置を導入せずに、既存の製造装置により製造可能であるというメリットも有する。
以上のことから、本発明を適用することにより、TFT性能向上、信頼性向上、歩留まり向上、及び品質向上を兼ね備えた薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタアレイ基板、表示装置及びその製造方法を提供することができる。また、低コスト化も実現することができる。
なお、レーザアニールの光源としてエキシマレーザを用いる例について述べたが、これに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において他の方法により多結晶半導体層を得ることができる。例えば、エキシマレーザに代えてYAGレーザを照射してもよい。YAGレーザの第2高調波を用いることにより、深さ方向に対して結晶化を効率的に進行させることができる。
また、本実施形態1においては、非晶質半導体層として非晶質シリコンの例を、多結晶半導体層として多結晶シリコンを例にとり説明したが、これに限定されるものではなく、本件発明を他の半導体層に広く適用することができる。また、TFT特性を更に向上するために、シリコン界面の結晶欠陥の回復処理や膜中の欠陥準位低減のための熱処理を行ってもよい。
また、本実施形態1においては、TFTアレイ基板を液晶表示装置に搭載した例について述べたが、これに限定されるものではなく、EL表示装置(有機EL表示装置、無機EL表示装置)等の平面型表示装置(フラットパネルディスプレイ)に好適に搭載することができる。有機EL表示装置の場合、TFTアレイ基板上に、画素電極であるアノード電極、対向電極であるカソード電極を設ける。また、アノード電極とカソード電極との間には、有機層が配置される。なお、画素電極をアノード電極とするか、カソード電極とするかは、光学的な設計により適宜選択すればよい。
アノード電極とカソード電極との間に電流を供給することによって、アノード電極からは正孔が、カソード電極からは電子がそれぞれ有機層に注入されて再結合する。その際に生ずるエネルギーにより有機層内の発光性化合物の分子が励起される。励起された分子は基底状態に失活し、その過程において有機層が発光する。そして、有機層から発光された光は、視認側に出射する。有機EL素子に所望の電流を伝播するために駆動回路やスイッチング素子、補正回路が必要となり、複数のTFTが形成されている。特にこれらのTFTの駆動能力や閾値電圧の変動の低減が要求されている。従って、本件発明は、有機EL表示装置に搭載するTFTアレイ基板として特に有効である。
[実施形態2]
次に、上記実施形態とは異なる構造のTFTの一例について説明する。なお、以降の説明において、上記実施形態と同一の要素部材は同一の符号を付し、適宜その説明を省略する。
本実施形態2に係るTFTは、以下の点を除く基本的な構成、及び製造方法は上記実施形態1と同様である。すなわち、上記実施形態1に係る下層半導体層11は、全領域において、成膜した非晶質シリコン層を多結晶シリコン層に変換することにより形成していたが、本実施形態2に係る下層半導体層は、第1開口部H1、第2開口部H2、チャネル領域10Cと対向する下層半導体層11aのみ、非晶質シリコン層から多結晶シリコン層に変換することにより形成している点において相違する。
図8に、本実施形態2に係るTFT近傍の模式的断面図を示す。TFT52aの下層半導体層11aは、前述したように、チャネル領域10C、及び第1開口部H1、第2開口部H2と対向する領域を、非晶質シリコン層から多結晶シリコン層Aに変換し、他の領域は、非晶質シリコン層11Bにより構成している。具体的には、エキシマレーザをチャネル領域10C、及び第1開口部H1と第2開口部H2と対向する下層半導体層11aに選択的に照射することにより、上記構成を得る。レーザ光の選択的照射は、例えば、メタルマスクを用いることにより簡便に行うことができる。
本実施形態2によれば、下層半導体層11aのチャネル領域10C,ソース領域10S,ドレイン領域10Dを多結晶シリコン層としているので、上記実施形態1と同様の効果を得ることができる。
なお、本実施形態2に係る下層半導体層11aにおいては、チャネル領域10C、及び第1開口部H1、第2開口部H2と対向する下層半導体層11aを非晶質シリコン層から多結晶シリコン層に変換する例について述べたが、チャネル領域10Cを構成する下層半導体層11a、並びに、第1開口部H1のうちのチャネル領域10Cから延設された少なくとも一部、及び第2開口部H2のうちのチャネル領域10Cから延設された少なくとも一部と対向する下層半導体層11aが多結晶半導体層であればよい。
上記実施形態1及び2においては、画素40内に配設されたスイッチング素子用のTFTと、ゲート駆動回路22等の周辺駆動回路に配設されたTFTが同様の構成である例について述べたが、これに限定されるものではない。例えば、同一のTFTアレイ基板内で、周辺駆動回路のTFTの下層半導体層11のみに選択的にレーザ照射を行って多結晶半導体層に変換し、スイッチング素子用のTFTは非晶質半導体層のまま適用してもよい。
また、上記実施形態1及び2においては、ソース電極/ドレイン電極の上層に形成するレジストパターンとして、ハーフトーン露光技術等を適用することにより膜厚方向に段差構造を有するものを用いたが、通常のレジストパターンによりパターン形成するものを排除するものではない。また、下層半導体層11の多結晶半導体層を得る方法として、レーザアニール法を適用する例について述べたが、求められる特性に応じて、直接、多結晶半導体層、若しくは微結晶半導体層を積層する方法を適用してもよい。
実施形態1に係るマザー基板の構成を示す模式的平面図。 実施形態1に係る液晶表示装置の模式的平面図。 実施形態1に係るTFT近傍の模式的断面図。 (a)〜(d)は、実施形態1に係るTFTの製造工程断面図。 (e)〜(g)は、実施形態1に係るTFTの製造工程断面図。 実施形態1に係る多結晶半導体層のAFM像。(250mJ/cm 実施形態1に係る多結晶半導体層のTEM像。(250mJ/cm 実施形態2に係るTFT近傍の模式的断面図。 特許文献2に記載のTFTの模式的断面図。 特許文献3に記載のTFTの模式的断面図。
符号の説明
1 絶縁性基板
2 ゲート電極
3 ゲート絶縁膜
4 絶縁膜
5 ソース電極
6 ドレイン電極
9 導電膜
10 半導体層
11 下層半導体層
12 上層半導体層
12A 第1上層半導体層
12B 第2上層半導体層
17 第1レジストパターン
18 第2レジストパターン
21 ゲート信号線
22 ゲート駆動回路
24 蓄積容量配線
31 ソース信号線
32 ソース駆動回路
33 配線基板
40 画素
45 表示領域
46 額縁領域
50 液晶表示装置
51 薄膜トランジスタアレイ基板
52 TFT
55 マザー基板

Claims (5)

  1. 半導体層を介してゲート電極と、ソース電極/ドレイン電極の一部が互いに対向配置される薄膜トランジスタであって、
    前記ゲート電極上に形成されたゲート絶縁膜の上層に下層半導体層が形成され、
    前記ソース電極/ドレイン電極の下層に上層半導体層が形成され、
    前記下層半導体層と、前記上層半導体層の間には、ソース領域/ドレイン領域に開口部を有する絶縁膜が形成され、
    前記開口部を介して、前記下層半導体層と前記上層半導体層が接続され、
    前記下層半導体層のうち、少なくとも前記ソース領域/ドレイン領域の間に配置されるチャネル領域、及び前記開口部と対向する領域のうちの前記チャネル領域から延設された少なくとも一部の領域は、多結晶半導体層であり、
    前記上層半導体層は、非晶質半導体層であり、
    前記下層半導体層の平面視上の形状と、前記ソース電極/ドレイン電極を構成する導電層のパターン、及び前記ソース電極/ドレイン電極の間隙を合わせた平面視上の形状とが、同一である薄膜トランジスタ。
  2. 前記下層半導体層の全領域が、多結晶半導体層であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜トランジスタ。
  3. 前記上層半導体層は、非晶質シリコン層であり、前記下層半導体層は、微結晶粒からなる多結晶シリコン層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜トランジスタ。
  4. 前記ゲート絶縁膜は、積層膜であり、
    前記下層半導体層と接する層は、膜厚が50nm以上、200nm以下の酸化膜により構成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
  5. 前記上層半導体層が、不純物を含まない第1上層半導体層と、当該第1上層半導体層上に形成された不純物を含む第2上層半導体層の積層体からなり、
    前記第1上層半導体層が、前記開口部を介して、前記下層半導体層と接続されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の薄膜トランジスタ。
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