以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシート積載装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。
図1において、900は画像形成装置、901は画像形成装置本体であり、画像形成装置本体901の上部には、スキャナユニット955及びイメージセンサ954を備えた画像読取装置951が設けられている。また、画像読取装置951の上面には、原稿をプラテンガラス952に給送する原稿給送装置950が設けられている。
さらに、画像形成装置本体901の中央部にはシートに画像を形成する画像形成部902、両面反転装置953が設けられている。画像形成部902には、円筒状の感光ドラム906、帯電器907、現像器909、クリーニング装置913等がそれぞれ備えられており、さらに画像形成部902の下流側には定着装置912、排出ローラ対914等が配設されている。
また、この画像形成装置本体901には、画像形成後、画像形成装置本体901から排出される画像形成後のシートを積載するシート積載装置であるスタッカ100が接続されている。なお、960は画像形成装置本体901及びスタッカ100の制御を司るコントローラである。また、100Bは、後述するようにスタッカ内部に設けられたスタッカトレイに積載されたシートを取り出す際に開放される前扉である。
次に、このような構成の画像形成装置本体901の画像形成動作について説明する。
コントローラ960から画像形成信号が出力されると、まず原稿給送装置950によりプラテンガラス952上に原稿が載置され、この原稿画像が画像読取装置951により読み取られ、読み取られたデジタルデータは露光手段908に入力される。そして、露光手段908により、このデジタルデータに応じた光が感光ドラム906に照射される。
このとき、感光ドラム906の表面は帯電器907により一様に帯電されており、このように光が照射されると、感光ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像器909により現像することにより、感光ドラム表面にトナー像が形成される。
一方、コントローラ960から給紙信号が出力されると、まずカセット902a〜902d及び給紙デッキ902eにセットされたシートSが給紙ローラ903a〜903e、搬送ローラ対904によってレジストローラ910まで搬送される。
次に、シートSは、レジストローラ910によってシート先端と感光ドラム906のトナー像の先端を合わせるようなタイミングで転写分離帯電器905を備えた転写部まで搬送される。そして、この転写部において、シートSに転写バイアスが転写分離帯電器905によって印加されることにより、感光ドラム906上のトナー像がシート側に転写される。
次に、トナー像が転写されたシートSは、搬送ベルト911によって定着装置912まで搬送された後、定着装置912の加熱ローラと加圧ローラに挟持搬送される際に、トナー像が熱定着される。この時、感光ドラム906上ではシートに転写されずに付着している残存トナー等の異物がクリーニング装置913のブレードにより掻き落とされており、この結果、感光ドラム906の表面がクリアーとなり、次の画像形成に備えることができる。
定着されたシートは、そのまま排紙ローラ対914によりスタッカ100に搬送されるか、フラッパ915により両面反転装置953に搬送され、再度画像形成が行われることになる。
図2は、コントローラ960の構成を示すブロック図である。コントローラ960は、CPU回路部206を有し、CPU回路部206は、不図示のCPU、ROM207、RAM208を内蔵している。そして、ROM207に格納されている制御プログラムによりDF(原稿給紙)制御部202、操作部209、イメージリーダ制御部203、画像信号制御部204、プリンタ制御部205、スタッカ制御部210を総括的に制御する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。
DF(原稿給紙)制御部202は、原稿給送装置950をCPU回路部206からの指示に基づき駆動制御するものである。イメージリーダ制御部203は、画像読取装置951に設けられたスキャナユニット955及びイメージセンサ954等に対する駆動制御を行い、イメージセンサ954から出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部204に転送するものである。
画像信号制御部204は、イメージセンサ954からのアナログ画像信号をデジタル信号に変換した後に各処理を施し、このデジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。
また、画像信号制御部204は、コンピュータ200、或は外部から外部I/F201を介して入力されたデジタル画像信号に対して各種処理を施すと共に、デジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力するものである。なお、この画像信号制御部204による処理動作は、CPU回路部206により制御される。
プリンタ制御部205は、入力されたビデオ信号に基づいての不図示の露光制御部を介して露光手段908を駆動するものである。操作部209は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキー、設定状態を示す情報を表示するための表示部などを有している。そして、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部206に出力すると共に、CPU回路部206からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示するものである。
スタッカ制御部210はスタッカ100に搭載され、CPU回路部206と情報のやり取りを行うことによってスタッカ全体の駆動制御を行う。なお、このスタッカ制御部210には、昇降モータ129、駆動検知センサ232、ソレノイド137、タイミングセンサ111が接続される。
また、スタッカ制御部210には、第1スタッカトレイ昇降モータ152a、第2スタッカトレイ昇降モータ152b、紙面検知センサ117等が接続される。この制御内容については後述する。なお、スタッカ制御部210を画像形成装置本体901側のCPU回路部206に一体的に組み込み、画像形成装置本体901から直接スタッカ100を制御するようにしてもよい。
図3は、スタッカ100の構成を示す図である。スタッカ100は、その上面に画像形成装置本体901から排出されたシートを積載するためのトップトレイ106を備えている。また、装置を大型化させることなく大量にシートを積載することができるよう、2つ(複数)のスタッカトレイ(以下、第1及び第2スタッカトレイという)112a,112bをシート排出方向に並設したシート積載部であるスタック部100Cを備えている。
そして、A4のようなスモールサイズのシートが排出される場合は、シートを、複数並設された、本実施の形態では並設された2つのスタッカトレイ112a,112bに選択的に積載できるようにすることで大容量化を図っている。なお、A3のようなラージサイズのシートを積載する場合は、シートをスタッカトレイ112a,112bに跨るように積載することにより、ラージサイズのシートの積載を可能としている。
ここで、第1及び第2スタッカトレイ112a,112bは、第1及び第2スタッカトレイ昇降モータ152a,152b(図2参照)により矢印C,D及び矢印E,Fに示す方向に独立で昇降可能に配置されている。
さらに、スタッカ100は、不図示のソレノイドにより駆動され、スタッカ内に搬送されたシートSを、他のシート積載部であるトップトレイ106又はスタック部100Cに向かわせる第1切換え部材103を備えている。なお、図3において、108は第2切換え部材であり、シート排出先が下流の不図示のシート処理装置(スタッカ装置)の場合は、不図示のソレノイドにより駆動され、実線で示す位置に移動する。
また、図3において、100Aは装置本体であるスタッカ本体、115はシート排出手段である後述する排出回転体対122Aにより排出されたシートをスタッカトレイ側に案内する案内手段であるシート案内ユニットである。このシート案内ユニット115は、時計回りに回転し、シートをスタッカトレイ上方に引込むための弾性を備えたローレットベルト116と、シートのシート排出方向の位置決めを行う突当て部である先端ストッパ121を具備している。
そして、シート案内ユニット115は、排出されたシートをローレットベルト116により、ローレットベルト116と第1スタッカトレイ112a(又は第2スタッカトレイ112b)との間に引き込んだ後、先端ストッパ121に突き当てるようになっている。これにより、排出したシートの先端をスタッカトレイ112a,112bに対して位置決めした状態で積載することができる。
なお、シート案内ユニット115はスライド軸118に沿って矢印A及びB方向に移動可能に取付けられており、不図示の案内ユニット駆動モータにより駆動され、シートサイズに応じた位置まで移動することができる。また、このシート案内ユニット115のフレームには、排出されたシートをローレットベルト116に案内するようテーパ部115aが形成されている。
117は、シート案内ユニット115とシート上面との距離を一定に保つために設けられた紙面検知センサであり、この紙面検知センサ117からの信号はスタッカ制御部210に入力される(図2参照)。なお、本実施の形態において、シート上面の位置は積載されたシートが上向きにカールしているときに、後続シートの先端が搬送ローラ対110Aに引っかからないように搬送ローラ対110Aよりも下方に設定されている。
113a、113bはホームポジションセンサであり、このホームポジションセンサ113a,113bは、初期動作時には第1及び第2スタッカトレイ112a,112bのホームポジションを検する。また、積載動作中は第1及び第2スタッカトレイ112a,112bの紙面検知センサの役目を果たすものである。
なお、第1及び第2スタッカトレイ112a,112bは、シートが排出される際には、ホームポジションセンサ113a,113bにより、図3に示すようなシートの積載が可能なホームポジションに位置している。ここで、第1及び第2スタッカトレイ112a,112bがホームポジションにあるとき、そのシート積載面の位置は同位置である。
114は駆動ローラ114aと、従動ローラ114bに巻き付けられ、不図示の駆動ベルトモータにより時計回り方向に回転移動可能になっている排出ベルトである。そして、この排出ベルト114により、シートがスタッカトレイ112a,112bに排出され、積載される。なお、110は従動ローラであり、この従動ローラ110は、排出ベルト114と圧接し、搬送ローラ対110Aを構成している。
また、122a、122bは、シート排出方向に移動可能な延長コロであり、シートを第2スタッカトレイ112bに排出する際には、この延長コロ122a,122bを不図示の駆動手段により後述する図7に示すように移動させる。
ここで、延長コロ122aが移動する際、延長コロ122aは、後述する図7に示す、その上面によりシート搬送パスを形成するリールフィルム123を引き出しながら移動し、これによりシート搬送パスが延長される。なお、この排出ベルト114と延長コロ122aにより排出回転体対122A(図8)が構成される。
次に、このような構成のスタッカ100のシート積載動作について図4に示すフローチャートを用いて説明する。
画像形成装置本体901から排出されると、シートは、まずスタッカ100の入口ローラ対101により内部に搬送され、第1切換え部材103まで搬送される。なお、スタッカ制御部210にはシートが搬送される前に、画像形成装置本体901のコントローラ960(のCPU回路部206)から予めシートの情報、例えばシートサイズ、紙種及びシートの排出先の情報等が送られて来ている。
ここで、スタッカ制御部210はコントローラ960から送られてきたシートの排出先がトップトレイ106か否かを判断する(S301)。シートの排出先がトップトレイ106の場合は(S301のY)、第1切換え部材103及び第2切換え部材108を図3に示す破線の位置に切り換える(S302)。これにより、シートは搬送ローラ対104に導かれ、この後、排出ローラ対105によりトップトレイ106へ排出され(S303)、積載される。
シートの排出先がトップトレイ106でない場合には(S301のN)、次にシート排出先がスタッカトレイ112a,112bか否かを判断する(S304)。ここで、排出先がスタッカトレイ112a,112bでないと判断した場合(S304のN)、例えばシートの排出先が下流の不図示のスタッカ装置と判断した場合、第1切換え部材103を破線の位置に切り換える(S306)。
また、第2切換え部材108を図3の実線で示す位置に切り換える(S306)。これにより、入口ローラ対101により搬送されてきたシートは、搬送ローラ対102により搬送されて、出口ローラ対109に導かれた後、下流の不図示のスタッカ装置に搬送される(S307)。
シート排出先がスタッカトレイ112a,112bの場合(S304のY)、第1切換え部材103を実線で示す位置に切り換える(S308)。これにより、シートは、第1切換え部材103に案内されながら搬送ローラ対110Aまで搬送され、この後、排出ベルト114及び排出回転体対122Aによりスタッカトレイ112a,112bに排紙され、積載される(S309)。
ところで、本実施の形態においては、既述したように、A4のようなスモールサイズのシートが排出される場合は、シートをスタッカトレイ112a,112bに積載するようにしている。
図5は、このようにスモールサイズのシートをスタッカトレイ112a,112bに積載する場合の動作を示すフローチャートである。なお、図5においては、第1スタッカトレイ112aをトレイA、第2スタッカトレイ112bをトレイBと簡略化して表記している。
スモールサイズのシートが装置に搬送されて来ると、スタッカ制御部210はシートをトレイA又はトレイBの何れかに積載するかを決定する(S100)。ここで、シートをトレイAに積載する場合(S100のY)、まずトレイA上のシートの有無を確認し(S101)、トレイA上にシートが無い場合には(S101のN)、トレイA上にシートを積載する(S103)。
また、トレイA上にシートが有る場合には(S101のY)、次に、積載されるシートのサイズがトレイAに既積載シートと同サイズで、かつシートが満載でないかを確認する(S102)。そして、積載されるシートのサイズがトレイAに既積載シートと同サイズで、かつシートが満載でない場合は(S102のY)、トレイA上にシートを積載する(S103)。なお、トレイAが満載、あるいは既積載シートと異なったサイズのシートを積載する場合は(S102のN)、トレイBに積載可能かどうか確認する。この部分に関しては、後述する。
次に、このトレイAに対するシートの積載を満載となるまで継続する。そして、シートが満載となると(S104のY)、別のトレイであるトレイBにシートを積載するようにする。なお、満載とならなくとも(S104のN)、ジョブが完了する場合があり、このようにジョブが完了した場合は(S105のY)、シート取出しが可能な状態で装置が一時停止する。なお、満載となったシートの取り出しに関しては、後述する。
次に、トレイAが満載となり(S104のY)、トレイBに積載する場合、まずトレイB上のシートの有無を確認する(S111)。そして、トレイB上にシートが無い場合には(S111のN)、既述したようにリールフィルム123を引き出してシート搬送パスを延長した後、トレイB上にシートを積載する(S113)。なお、この動作は、スタッカ制御部210がシートをトレイBに積載すると決定した場合も(S100のN)、同様である。
また、トレイB上にシートが有る場合には(S111のY)、次に、積載されるシートのサイズがトレイBに既積載シートと同サイズで、かつシートが満載でないかを確認する(S112)。そして、積載されるシートのサイズがトレイBに既積載シートと同サイズで、かつシートが満載でない場合は(S112のY)、シート搬送パスを延長した後、トレイB上にシートを積載する(S113)。
次に、このトレイBに対するシートの積載を、満載となるまで継続する。そして、シートが満載となると(S114のY)、別のトレイであるトレイAにシートを積載するようにする。また、満載とならなくとも(S114のN)、ジョブが完了する場合があり、このようにジョブが完了した場合は(S115のY)、延長パスを縮めさせ(S116)、この後、シート取り出しが可能な状態で装置が一時停止する。なお、満載となったシートの取出しに関しては、後述する。
なお、この図5ではトレイA→トレイBの順序でシートを積載しているが、トレイへの積載順序は特に無く、トレイB→トレイAの順序でシートを積載しても同様の効果を得ることができる。
次に、スタッカ100の、図5に示すフローチャートのS103におけるシート排出方向上流側に位置する第1スタッカトレイ112aにシートを積載する動作について説明する。この場合、スタッカ制御部210は、まず図6の(a)に示すように、予め送られて来ているシート情報の中のシートサイズ情報に基づき、シート案内ユニット115を第1スタッカトレイ上の所定の積載位置に移動させる。これにより、シートの積載準備が完了する。
次に、画像形成装置本体901から排出されたシートSが、入口ローラ対101、搬送ローラ対110Aを経て排出回転体対122Aにより搬送されてシート案内ユニット115のテーパ部115aに当接する。そして、このテーパ部115aにより先端がスタッカトレイ側に案内されながら搬送され、ローレットベルト116に導かれる。
なお、排出ベルト114の上流にはタイミングセンサ111が配置されている。そして、タイミングセンサ111によりシート先端部が検知されると、この検知に基づき排出ベルト114は、シートSの後端が排出ベルト114を抜ける前までに減速する。これにより、シートSは安定してローレットベルト116に搬送されていく。なお、この排紙速度は、ローレットベルト搬送速度と略同じ速度である。
この後、シートSは、図6の(b)に示すようにローレットベルト116により、先端ストッパ121に確実に突当てられ、斜行が補正される。次に、整合板119aが幅方向にジョギング動作を行うことで、シートSの幅方向のずれ(横レジずれ)が補正され、第1スタッカトレイ112a上にシートSが高精度に積載されていく。なお、減速された排出ベルト114は、シートSを排出した後、加速され、後続シートが搬送されてくるまでに入口ローラ対101と同じ搬送速度に復帰する。
このようなシート積載シーケンスを繰返すことにより、シートSは順次、第1スタッカトレイ112a上に高精度に積載される。なお、シート積載中、紙面検知センサ117は積載されたシートの上面を常時監視している。そして、シート案内ユニット115と紙面の位置が所定量よりも狭くなった場合には、第1スタッカトレイ昇降モータ152a(図2参照)により第1スタッカトレイ112aを所定量下降させ、シート案内ユニット115と紙面距離が一定になる様に制御する。これにより、ローレットベルト116の引込み力が一定に保たれ、高精度積載が可能になる。
また、第1スタッカトレイ上に積載されたシートSの満載検知は、通常は排出回転体対122Aから排出されたシートSの排紙枚数により検知するか、第1スタッカトレイ112aに積載されたシートの積載高さを検知する検知手段等により検知される。なお、シートが満載になった場合には、第1スタッカトレイ112aな自動的に下降し、図3に示すドリー120上に固定され、搬出可能な状態になる。ドリーによるシート搬出に関しては、後述する。
次に、スタッカ100の、図5に示すフローチャートのS113におけるシート排出方向下流側に位置する第2スタッカトレイ112bにシートを積載する動作について説明する。なお、本実施の形態において、第2スタッカトレイ112bにシートを積載するのは、例えば第1スタッカトレイ112aが満載か、若しくは新たに積載されるシートのサイズが第1スタッカトレイ112aに既積載のシートと異なる場合である。
そして、第1スタッカトレイ112aが満載か、若しくは新たに積載されるシートのサイズが第1スタッカトレイ112aに既積載のシートと異なる場合、スタッカ制御部210は、第2スタッカトレイ112bにシートを積載する制御を開始する。
この場合、まず第1及び第2スタッカトレイ昇降モータ152a,152bにより、図7に示すように第1及び第2スタッカトレイ112a,112bをシート案内ユニット115が移動可能な位置まで下降させる。次に、シート案内ユニット115を、不図示の駆動手段により矢印A方向に移動させ、第2スタッカトレイ112bの上方のシート積載位置で停止する。この後、ホームポジションセンサ113bにより第2スタッカトレイ112bを検知する位置まで上昇させる。
次に、不図示の駆動手段により、リールフィルム123を不図示の収納部から引き出しながら延長コロ122a,122bが図中左方向に移動し、これによりシート搬送パスが延長される。なお、このシート搬送パスは、第2スタッカトレイ112bに安定してシートが排出される位置、即ち、延長コロ122aと第1スタッカトレイ112a、及び延長コロ122aと第2スタッカトレイ112bとの位置関係が略同一となる位置まで延長される。これらの動作が完了し、図7の状態になると第2スタッカトレイ112bにシートを積載する準備が完了する。
次に、画像形成装置本体901から排紙されたシートSが、入口ローラ対101、搬送ローラ対110を経て排出回転体対122Aにより、引き出されたリールフィルム123の上面に沿って搬送される。この後、図8の(a)に示すようにシートSはシート案内ユニット115に搬送され、このシート案内ユニット115により第2スタッカトレイ112bに搬送される。
なお、タイミングセンサ111によりシート先端部が検知されると、この検知に基づき排出ベルト114はシートSの後端が延長コロ122aを抜ける前までに減速することで、シートSは安定してローレットベルト116に搬送されていく。
この後、シートは、図8の(b)に示すようにローレットベルト116により、先端ストッパ121に確実に突当てられ、斜行が補正される。この後、整合板119bが幅方向にジョギング動作を行うことで、シートの横レジずれが補正され、第2スタッカトレイ112b上にシートSが高精度に積載されていく。なお、減速されたシート排出ベルト114は、シートSを排出した後、加速され、後続シートが搬送されてくるまでに入口ローラ対101と同じ搬送速度に復帰する。
このようなシート積載シーケンスを繰返すことにより、シートSは順次第2スタッカトレイ112b上に高精度に積載される。なお、シート積載中、紙面検知センサ117は積載されたシートの上面を常時監視している。そして、シート案内ユニット115と紙面の位置が所定量よりも狭くなった場合には、第2スタッカトレイ昇降モータ152b(図2参照)により第2スタッカトレイ112bを所定量下降させ、シート案内ユニット115と紙面距離が一定になる様に制御する。これにより、ローレットベルト116の引込み力が一定に保たれ、高精度積載が可能になる。
また、第2スタッカトレイ上に積載されたシートSの満載検知は、通常は排出回転体対122Aから排出されたシートSの排紙枚数により検知するか、第2スタッカトレイ112bに積載されたシートの積載高さを検知する検知手段等により検知される。なお、第2スタッカトレイ上のシートが満載になった場合には、第2スタッカトレイ112bが自動的に下降し、ドリー120上に固定され搬出可能な状態になる。
図9は、スタッカトレイが満載状態となって下降し、積載されたシート束ごとドリーに載置された状態を示す図である。図9の(a)は、満載となった第1スタッカトレイ112aを下降させ、第1スタッカトレイ112aごとシート束SAをドリー120に載置した状態を示している。また、図9の(b)は、満載となった第2スタッカトレイ112bを下降させ、第2スタッカトレイ112bごとシート束SAをドリー120に載置した状態を示している。
なお、第1及び第2スタッカトレイ112a,112bは昇降可能な後述する不図示の支持部材により支持されており、支持部材がドリー120の支持面よりも下降することにより第1及び第2スタッカトレイ112a,112bはドリー120に受け渡される。
ドリー120は、それぞれシートが満載された第1又は第2スタッカトレイ112a,112bをスタッカ外に搬出することができるよう、キャスタ225と、把手226が設けられている。そして、把手226をもって移動させることで、大容量のシート束SAを第1又は第2スタッカトレイ112a,112bごと、一度に、しかも簡単に移動させることができる。
なお、このように第1又は第2スタッカトレイ112a,112bをドリー120に受け渡した後、ドリー120の上面に設けられた不図示のピン等の固定部材により第1又は第2スタッカトレイ112a,112bを固定する。この後、大容量のシート束SAが積載されているドリー120をスタッカ100から引き出した後、ドリー120上の第1又は第2スタッカトレイ112a,112bに積載されたシート束を取り除く。
また、このようにドリー120を引き出した後、シートSが取り除かれた後で再びドリー120と第1又は第2スタッカトレイ112a,112bをスタッカ100に取り付けるようにする。
ここで、このようにドリー120をスタッカ100に取付けると、これを不図示のドリーセットセンサが検知し、この検知信号に基づき、この後、スタッカ制御部210は第1又は第2スタッカトレイ112a,112bを上昇させる。これにより、第1又は第2スタッカトレイ112a,112bは、既述した図3の状態に再び戻り、新たなシートの積載が可能となる。
図10はスタッカ昇降駆動部の側面図である。図10において、125はレール部材138に昇降可能に取り付けられた昇降ユニット、124は昇降ユニット125に取り付けられ、第1スタッカトレイ112aを保持する駆動アームである。なお、通常、この駆動アーム124は2本で昇降ユニット125に取り付けられている。また、第2スタッカトレイ112bを昇降させるスタッカ昇降駆動部も同様の構成である。
この昇降ユニット125は、第1又は第2スタッカトレイ112a,112bを昇降させる昇降手段を構成するものであり、この昇降ユニット125は、駆動プーリ127,128に巻きつけられた駆動ベルト126に固定されている。ここで、下側の駆動プーリ128は後述する図11に示すギアユニットを介して昇降モータ129により駆動される。なお、図10において、130はテンショナであり、このテンショナ130により、駆動ベルト126は所定のテンションを確保することができる。
図11はギアユニットの斜視図である。昇降モータ129の駆動は、駆動ベルト131を伝達して駆動プーリ132に伝達された後、ギア列133により減速しながら駆動トルクを増大させ、駆動プーリ128を駆動させる。
通常、昇降ユニット125の駆動は、大きな力を必要とするため、図11に示すように両側駆動方法で昇降ユニット125を駆動する構成が取られる。また、ギア列133の途中には、駆動検知センサ232(図2参照)を設けるようにする。
ところで、本実施の形態においては、ギア列133の途中にラチェット134と、ラチェット134の回転方向を規制するフック135が設けられている。ここで、フック135は引張りばね136により矢印G方向に引っ張られてラチェット134に係止しており、これにより、通常、ラチェット134は図中矢印H方向、即ち昇降ユニット125が下降する方向にしか回転することができないようになっている。
一方、このフック135は、ソレノイド137を駆動させることにより、引張りばね136を矢印G方向と逆方向に伸張させながら移動するようになっている。そして、このようにソレノイド137の駆動により、フック135が回転すると、フック135はラチェット134から離間し、これに伴いラチェット134は、昇降ユニット125が上昇する方向にも回転することができるようになる。
ここで、ソレノイド137は前扉100B(図1参照)の開閉に応じてオン/オフする、後述する前扉マイクロスイッチ150によってオン/オフするようになっている。即ち、ソレノイド137は、スタッカ100に設けられ、スタッカトレイ112a,112bのシートを取り出す際に開放される扉である前扉100Bが閉じている状態では前扉マイクロスイッチ150によって駆動電流が流れてオンとなる。しかし、前扉100Bが開いている状態では前扉マイクロスイッチ150によってソレノイド137に駆動電流が流れず、ソレノイド137はオフとなるようになっている。
このように、前扉100Bが開いている状態ではソレノイド137に電流が流れないように構成することにより、前扉100Bが開いている状態の時には昇降ユニット125は下降方向にしか移動することができない。
つまり、本実施の形態においては、昇降モータ129の駆動を、ラチェット134、フック135、ソレノイド137、引張りばね136及び前扉マイクロスイッチ150により構成される伝達手段により、選択的に昇降ユニット125に伝達可能となっている。そして、前扉100Bが開いている状態では、この伝達手段により、昇降ユニット125を駆動する駆動源である昇降モータ129の駆動力を昇降ユニット125に選択的に伝達し、スタッカトレイ112a,112bの上昇を規制する。
図12は、スタッカ昇降駆動部の背面図である。図12において、139は昇降ユニット125に設けられた複数のベアリングであり、昇降ユニット125は、この複数のベアリング139を介してレール部材138に昇降方向移動可能に保持されている。また、140は昇降ユニット125に設けられたレバーである。
ところで、本実施の形態において、一方のスタッカトレイ(例えば、スタッカトレイ112a)が満載となり、前扉100Bを開いてドリー120を引き出す際、他方のスタッカトレイ112bにシートを積載することができるように構成している。そして、このようにドリー120を引き出す際にも他方のスタッカトレイ112bにシートを積載することができるようにすることにより、画像形成を停止することなく継続してシートを排出することができる。
ここで、例えば満載となったスタッカトレイ112aからシートを取り出した後、ドリー120をスタッカ100に取り付ける際、ドリー120が、シートが引き続き積載され、徐々に下降している他方のスタッカトレイ112bと干渉する可能性がある。また、誤って下降するスタッカトレイ112bの下側に物が入れられてしまい、破損させてしまうおそれがある。
このため、本実施の形態においては、他方のスタッカトレイ112bが所定の領域(進入規制領域)に達すると、他方のスタッカトレイ112bの下降を停止するようにしている。すなわち、図12に示すように、スタッカ本体100Aに、昇降ユニット125が所定の領域(進入規制領域)に進入したことを検知するための進入エリア検知レバー141を設けるようにしている。そして、昇降ユニット125が下降してレバー140を進入エリア検知レバー141が検知したときに、スタッカトレイ112bを停止させている。
次に、進入エリア検知レバー141による検知機構を説明する。スタッカ本体100Aに、昇降モータ129を駆動するためのマイクロスイッチ145と、マイクロスイッチ145のスイッチ部を押えるマイクロスイッチレバー144を備えている。
進入エリア検知レバー141は、揺動軸142を介してスタッカ本体100Aに揺動可能に保持されると共に、引張りばね146により矢印J方向に付勢されている。また、マイクロスイッチレバー144は、回動軸147を介してスタッカ本体100Aに揺動可能に保持されると共に、引張りばね143により矢印I方向に付勢されることにより、マイクロスイッチ145をオンする構成となっている。したがって、進入エリア検知レバー141がレバー140で押されるまではマイクロスイッチ145はオンとなっている。
ところで、図13は昇降ユニット125が、図12の状態から下降した状態を示した図であり、昇降ユニット125が下降すると、昇降ユニット125に設けられたレバー140が下降し、進入検知レバー141を押圧する。
これにより、進入検知レバー141が揺動軸142を支点として反時計回り方向に揺動する。ここで、この進入検知レバー141の一端部にはマイクロスイッチレバー144が係止されており、進入検知レバー141が揺動すると、これに伴ってマイクロスイッチレバー144も反時計回り方向に回動する。
そして、このようにマイクロスイッチレバー144が回動すると、スタッカトレイ112bが下降して所定位置に達したことを検知する第2検知手段であるマイクロスイッチ145がオフとなる。つまり、昇降ユニット125が下降し、スタッカトレイ112bが所定の領域まで下降すると、マイクロスイッチ145がオフとなって昇降モータ129が停止し、この結果、昇降ユニット125(スタッカトレイ112b)が停止する。
そして、スタッカトレイ112bが所定領域、即ちレバー140により進入検知レバー141が押圧される領域よりも下側に移動した場合には、常にマイクロスイッチ145はオフの状態となる。なお、このようにマイクロスイッチ145がオフとなっても、前扉100Bが閉じられている場合には、昇降モータ129は駆動を継続するので、この後、シートが順次積載されると、スタッカトレイ112bは下降する。なお、ここでは、スタッカトレイ112aが満載となって取り出すときのスタッカトレイ112bの動作を規制する例を説明したが、逆の場合も同様である。
図12に示すように、スタッカトレイ112a,112bが所定の位置よりも上昇してしまい装置を破損させないように昇降ユニット125に直接当接して移動を停止させるための上限ストッパ148aがレール部材138に設けられている。さらに、スタッカトレイ112a,112bが所定の位置よりも下降してしまい装置を破損させないように昇降ユニット125に直接当接して移動を停止させるための下限ストッパ148bがレール部材138に設けられている。
ここで、図13は、昇降ユニット125が最下限位置まで下降した状態を示している。この状態では、昇降ユニット125は下限ストッパ148bに当接しているため、これ以上下降することができない。この状態でもマイクロスイッチ145はオフの状態となっていることが分かる。この様に所定領域進入後は、常時マイクロスイッチ145はオフしていることになる。
ところで、図14に示すように、昇降モータ129とそれに電流を供給する電源149の間には、マイクロスイッチ145及び前扉100Bが開放されたことを検知する第1検知手段としての前扉マイクロスイッチ150が並列に接続されている。ここで、前扉マイクロスイッチ150は、前扉100Bの開閉に連動してオン/オフするようになっており、前扉100Bが開いた状態ではオフし、前扉100Bが閉じた状態ではオンする構成となっている。
このため、前扉100Bが閉じた状態ではマイクロスイッチ145の状態に関係無く、即ちスタッカトレイの位置に関係なく、昇降モータ129には電流が通電されるためスタッカトレイは自由に昇降動作することができる。
つまり、前扉100Bが開いた状態で、シートの積載量の増加に伴いスタッカトレイが所定の進入規制領域の上限位置まで下降すると、2つのマイクロスイッチ145,150により昇降モータ129の駆動を停止させ、スタッカトレイの下降を規制している。2つのマイクロスイッチ145,150はスタッカトレイが進入規制領域の上限位置以下(所定位置以下)にある状態では、スタッカトレイの下降動作を規制する規制手段を構成する。
前扉100Bには、図15に示すようにオープンスイッチ153が設けられている。そして、例えば一方のスタッカトレイが満載になり、このように満載となったシートを取り出す際、このオープンスイッチ153を押すことで前扉100Bが開く構成となっている。
ここで、前扉100Bが開いた状態においては、前扉マイクロスイッチ150はオフとなるが、マイクロスイッチ145がオンの状態であれば、スタッカトレイは所定位置まで下降することは可能である。したがって、このように満載となったシートを取り出す際、前扉100Bを開放してもマイクロスイッチ145がオンの状態であれば、他方のスタッカトレイに継続してシートを積載することができる。
なお、この後、順次、シートが他方のスタッカトレイに積載され、満載となったシートを取り出す際に引き出されたドリー120をスタッカ100に取り付けるまでにスタッカトレイが所定の領域の上限位置まで下降すると、マイクロスイッチ145がオフとなる。ここで、前扉100Bが開放されているとき、昇降モータ129はマイクロスイッチ145がオンの状態でしか駆動することができないため、このようにマイクロスイッチ145がオフとなると、スタッカトレイは所定の進入規制領域に進入しない位置で停止する。
このように、スタッカトレイの昇降及び停止動作を制御するため、このようなマイクロスイッチ145及び前扉マイクロスイッチ150を備えることにより、前扉100Bが閉じた状態では昇降ユニット125は自由に昇降領域を駆動することができる。
一方、前扉100Bが開いた状態では、図16に示すように、スタッカトレイ112a,112bは下降方向(図中矢印D・F方向)にだけ移動するように制限されている。なお、所定の領域(進入規制領域)に進入しようとした場合には、マイクロスイッチ145がオフするためスタッカトレイ112a及びスタッカトレイ112bは停止する。この進入規制領域は、積載可能領域をできるだけ確保しつつ、ドリー120の取り付けの際に、スタッカトレイとドリー120が干渉せぬように、さらに、物が入れられても潰れない程度に設定され、本実施の形態では50cm以下に設定されている。
このように、満載となった一方のスタッカトレイからシートを取り出す際に前扉100Bが開放された状態で、シートが積載される他のスタッカトレイが進入規制領域の上限に達すると、規制手段により昇降ユニット125の駆動を停止させるようにしている。これにより、他のスタッカトレイの下降を規制することができる。
以上説明したように、本実施の形態においては伝達手段を、前扉100Bが開放された状態では、昇降モータ129からのスタッカトレイを下降させる駆動力のみをスタッカトレイに伝達可能に構成している。これにより、前扉100Bが開放された状態でも、画像形成装置本体901及びスタッカ100を停止させることなく、連続してシートを積載することができる。
そして、前扉100Bが開放された状態でモータ等の誤作動が生じても、機構的にスタッカトレイの上昇ができないようにしたため、装置の破損等を防止することができる。また、スタッカトレイの下降を規制することができるので作業性の低下を防ぐことができ、装置の破損等も防止することができる。さらに、省スペース対応型のスタッカ100及び画像形成装置900を提供することができる。
なお、これまでの説明においては、昇降モータ129の駆動を昇降ユニット125に伝達する伝達手段をラチェット134、フック135、ソレノイド137及び前扉マイクロスイッチ150等により構成したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。即ち、前扉100Bが開いた状態では昇降ユニット125が、機構的に下降しかできない構成であれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。
また、これまでの説明においては、スタッカトレイの下降を規制する規制手段を2つのマイクロスイッチ145,150により構成したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。即ち、前扉100Bが閉じた状態では昇降ユニット125が昇降領域全域に移動ができ、前扉100Bが開いた状態では昇降ユニット125に進入規制領域が発生するように構成すれば、本実施の形態と同様の効果が得られる。
さらに、これまでの説明において、シート搬送パスを延長する方法にとしては、延長コロ122a,122bと排出ベルト114を用いたものを例示していたが、本発明は、これに限らない。即ち、シートをシート排出方向に並設されたスタッカトレイのうちのシート排出方向下流側に位置するスタッカトレイに搬送可能な構成で、かつ排出時にシート搬送速度を減速することができれば良い。このため、例えば、シート搬送手段として、シートを吸着しながら搬送する静電吸着ベルトや、エア吸着ベルトを用いても特に問題は無い。
また、これまでの説明では、2つのスタッカトレイを用いた場合について説明したが、スタッカトレイの数は3つ以上であっても同様の効果を得ることができる。また、本発明は、モータ等が誤作動したときに、スタッカトレイが上昇して装置を破損することを防止するものであるため、1つのスタッカトレイに適用することも可能である。この場合、前扉を開いた状態でシートの積載状態を確認するときに生じるおそれがある同様な問題を解決することができる。