JP5252569B2 - 電力用半導体素子の駆動制御回路およびインテリジェントパワーモジュール - Google Patents

電力用半導体素子の駆動制御回路およびインテリジェントパワーモジュール Download PDF

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Description

この発明は、電力用半導体素子のスイッチングを制御する駆動制御回路に関する。さらに、この発明は、電力用半導体素子とその駆動制御回路とが集積化されたインテリジェントパワーモジュールに関する。
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やパワーMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電圧制御型の半導体スイッチング素子では、ゲート駆動回路によってゲート電極に供給されたゲート電圧に応じて、半導体スイッチング素子がオン状態またはオフ状態に切替わる。
たとえば、特開2006−129595号公報(特許文献1)に記載のゲート駆動回路では、ゲート駆動回路用の電源回路は、直列接続された第1および第2のコンデンサを含む。第1および第2のコンデンサは、直流電源から供給された電荷で充電される。そして、第1のコンデンサの両端電圧が順方向のゲート電圧として半導体スイッチング素子に印加され、第2のコンデンサの両端電圧が逆方向のゲート電圧として半導体スイッチング素子に印加される。半導体スイッチング素子のゲートを積極的に逆バイアスする場合には、第2のコンデンサの両端にツェナーダイオードが並列接続される。
特開2006−129595号公報
ところで、半導体スイッチング素子のオン電流は、ゲート電圧の大きさによって変化する。したがって、ゲート駆動回路に供給された電源電圧が変動すると半導体スイッチング素子のオン電流が変化することになる。たとえば、供給される電源電圧が高い場合には、半導体スイッチング素子に過大な電流が流れてしまう。この結果、過電流保護回路が組込まれたアプリケーションシステムでは過電流保護回路が作動する結果、システム全体が頻繁にダウンするような状態に陥ってしまう。
半導体スイッチング素子のゲート電極への過電圧保護のために電源ノードとゲート電極との間に逆バイアス方向にダイオードが設けられることがあるが、これはゲート電圧が電源電圧よりも高くなるようなノイズに対して有効なものである。供給される電源電圧自体が変動する場合にゲート過電圧を抑制する効果は得られない。
したがって、この発明の目的は、供給される電源電圧が変動する場合であっても、電力用の半導体スイッチング素子を安定に動作させることが可能な駆動制御回路を提供することである。また、この発明の目的は、そのような駆動制御回路が集積化されたインテリジェントパワーモジュール(IPM:Intelligent Power Module)を提供することである。
この発明は要約すれば、電力用半導体素子の駆動制御回路であって、分圧回路と、駆動部と、定電圧回路とを備える。ここで、電力用半導体素子は、制御電極および第1の主電極間に印加された電圧に応じて、第1および第2の主電極間が導通状態または非道通状態になる。分圧回路は、第1および第2の電源ノード間に印加された電源電圧を分圧し、分圧された電源電圧を取出すための分圧ノードを有する。分圧ノードは、電力用半導体素子の第1の主電極と接続される。駆動部は、外部から入力された制御信号に応じて、電力用半導体素子の制御電極を第1の電源ノードに電気的に接続することによって電力用半導体素子を導通状態にするか、または、電力用半導体素子の制御電極を分圧ノードに電気的に接続することによって電力用半導体素子を非導通状態にする。定電圧回路は、第1の電源ノードおよび分圧ノード間に接続され、第1の電源ノードおよび分圧ノード間の電圧を一定に保つ。
この発明によれば、電力用の半導体スイッチング素子をオン状態にするときに、半導体スイッチング素子の制御電極および第1の電極間には、第1の電源ノードおよび分圧ノード間の電圧が印加される。これらのノード間の電圧は、定電圧回路によって一定の電圧に保持されるので、電源電圧の変動によらず半導体スイッチング素子を安定に動作させることができる。
この発明の実施の形態1によるIGBT2の駆動制御回路1の構成を示す回路図である。 図1の定電圧回路30の構成の一例を示す回路図である。 図1の定電圧回路30の構成の他の例を示す回路図である。 図1の駆動部10の構成の一例を示す回路図である。 図4の駆動部10の動作を示すタイミング図である。 この発明の実施の形態2によるIGBT2の駆動制御回路1Aの構成を示す回路図である。 図6の分圧制御部50の動作を説明するための図である。 実施の形態2の変形例1としての分圧回路20Bの構成を示す回路図である。 実施の形態2の変形例2としての分圧回路20Cの構成を示す回路図である。 この発明の実施の形態3によるIGBT2の駆動制御回路1Bの構成を示す回路図である。 図10の駆動部10Aの構成の一例を示す回路図である。 図11の駆動部10Aの動作を示すタイミング図である。 実施の形態3の変形例1としての駆動部10Bの構成を示す回路図である。 実施の形態3の変形例2としての駆動部10Cの構成を示す回路図である。 この発明の実施の形態4によるIGBT2の駆動制御回路1Cの構成を示す回路図である。 図15の駆動部10Dの構成の一例を示す回路図である。 図16の駆動部10Dの動作を示すタイミング図である。 この発明の実施の形態5によるIGBT2の駆動制御回路1Dの構成を示す回路図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して、その説明を繰返さない。
また、以下では、電力用の半導体スイッチング素子としてIGBTを例に挙げて説明するが、パワーMOSトランジスタなどその他の電力用半導体素子についても本発明を同様に適用できる。さらに、半導体スイッチング素子の導電型はNチャネルであるとして説明するが、Pチャネルの半導体スイッチング素子についても本発明を同様に適用できる。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1によるIGBT2の駆動制御回路1の構成を示す回路図である。駆動制御回路1は、IGBT2のゲート・エミッタ間に供給する電圧(ゲート電圧とも称する)を制御することによってIGBT2をオン状態またはオフ状態に駆動する。駆動制御回路1には、直流電源40から電源電圧VSが供給される。図1に示すように、駆動制御回路1は、分圧回路20と、定電圧回路30と、駆動部10とを含む。
分圧回路20は、電源電圧VSを分圧して、分圧された電圧を分圧ノードNDから取り出すための回路である。分圧回路20は、コンデンサ21,22(容量素子)を含む。コンデンサ21,22は、直流電源40の正極側の電源ノードNPと負極側の電源ノードNNとの間にこの順序で直列に接続される。コンデンサ21,22の接続ノードが分圧ノードNDに相当する。分圧ノードNDは、IGBT2のエミッタEに接続される。これによって、分圧ノードNDの電位が、ゲート電圧の基準電位として用いられる。以下の説明では、直流電源40の正極側の電源ノードNPの電位をVpとし、負極側の電源ノードNNの電位をVnとし、分圧ノードNDの電位(基準電位)をVdとする。したがって、電源電圧VSは、Vp−Vnに等しい。
なお、図1の場合と異なり、電源ノードNP,NN間に直列接続された3個以上のコンデンサによって分圧回路を構成してもよい。この場合、直列接続されたコンデンサの複数の接続ノードのうち、1つの接続ノードが分圧ノードNDとして用いられる。また、電源ノードNP,NN間に直列接続された複数の抵抗素子によっても分圧回路を構成することも可能である。しかしながら、図1のようにコンデンサによって構成したほうが、分圧された電圧が安定化するので好ましい。
定電圧回路30は、正側の電源ノードNPと分圧ノードNDとの間に、コンデンサ21と並列に設けられる。定電圧回路30は、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧を一定に保つ回路である。直流電源40から供給された電源電圧VSが変動した場合、分圧ノードNDと負側の電源ノードNNとの間の電圧(すなわち、コンデンサ22にかかる電圧)は変動する。一方、正側の電源ノードNPおよび分圧ノードNDとの間の電圧(すなわち、コンデンサ21にかかる電圧)は、電源電圧VSの変動によらず一定に保たれる。
駆動部10は、外部から信号入力ノードNSGに入力された制御信号SGに応じて、IGBT2をオン状態またはオフ状態にする。IGBT2をオン状態にする場合には、駆動部10は、IGBT2のゲート電極Gと正極側の電源ノードNPとを電気的に接続する。これによって、IGBT2のゲート・エミッタ間には、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧(Vp−Vd)が印加される。前述のように、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧は定電圧回路30によって一定に保たれるので、IGBT2のゲート・エミッタ間電圧が安定化し、この結果、IGBT2のコレクタ電流を安定化することができる。
一方、IGBT2をオフ状態にする場合には、駆動部10は、IGBT2のゲート電極Gと分圧ノードNDとを電気的に接続する。これによって、IGBT2のゲート・エミッタ間の電圧は、0Vになる。駆動部10の具体的な構成は、図4を参照して後述する。
上記のIGBT2およびその駆動制御回路1、ならびにフリーホイールダイオード3などが1パッケージに集積化されることによってインテリジェントパワーモジュール(IPM)100が構成される。IPM100のコレクタC側のノードNCおよびエミッタE側のノードNEの間には主回路が接続される。IPM100には、主回路の異常によってIGBT2が破損するのを防止する保護機能が設けられている。
フリーホイールダイオード3は、IGBT2のコレクタCおよびエミッタE間に逆バイアス方向に並列接続される。フリーホイールダイオード3には、IGBT2がオフ状態のときに主回路からの還流電流が流れる。IGBT2およびフリーホイールダイオード3に代えて、半導体スイッチング素子自体に逆並列機能を有するRC−IGBT(Reverse Conducting Insulated Gate Bipolar Transistor)を使用することもできる。
なお、IGBT2およびフリーホイールダイオード3は、酸化ケイ素(SiC)を材料に用いて形成されることが好ましい。SiCデバイスは従来のシリコン(Si)デバイスに比べて耐電圧が高く、許容電流密度も高いので、半導体スイッチング素子のサイズを小型化でき、この結果、IPMを小型化できる。SiCデバイスは、IGBT2およびフリーホイールダイオード3のいずれか一方に使用してもよいし、両方に使用してもよい。
図2は、図1の定電圧回路30の構成の一例を示す回路図である。図2に示すように、定電圧回路30はツェナーダイオード31によって構成することができる。ツェナーダイオード31のカソードは、電源ノードNPに接続され、アノードは分圧ノードNDに接続される。この場合、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧はツェナーダイオード31のツェナー電圧に等しくなる。ツェナーダイオード31を用いることによって、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の定電圧制御を安価かつ省スペースで行なうことができる。
図3は、図1の定電圧回路30の構成の他の例を示す回路図である。図3の定電圧回路30は、電源ノードNPおよび分圧ノードND間に逆バイアス方向で直列接続された複数のツェナーダイオード32A,32B,32Cを含む。各ツェナーダイオードは、ツェナー電圧が約5Vのものが選択される。約5Vのツェナー電圧をもつツェナーダイオードは、負の温度依存性をもつアバランシェ降伏による電流と正の温度依存性をもつトンネル効果による電流とがほぼ等しく生じるので、ツェナー電圧の温度係数をほぼ0にすることができる。この場合、複数(図3の場合は3個)のツェナーダイオード32A,32B,32Cを直列接続することによって、IGBT2をターンオンするのに必要なゲート・エミッタ間の電圧が得られる。
図4は、図1の駆動部10の構成の一例を示す回路図である。図4を参照して、駆動部10は、NMOS(N-channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタTr1と、PMOS(P-channel Metal-Oxide Semiconductor)トランジスタTr2と、抵抗素子11,12と、制御IC(Integrated Circuit)13とを含む。
NMOSトランジスタTr1と抵抗素子11とは、この順で正側の電源ノードNPとIGBT2のゲート電極Gとの間に直列に接続される。PMOSトランジスタTr2と抵抗素子12とは、この順で分圧ノードNDとIGBT2のゲート電極Gとの間に直列に接続される。トランジスタTr1,Tr2は、各々のドレインが電源ノードNPおよび分圧ノードNDにそれぞれ接続されることによってソースフォロアを構成する。トランジスタTr1,Tr2のゲート電極は、制御IC13の出力ノード14に接続される。
制御IC13は、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧(Vp−Vd)の供給を受けて動作し、信号入力ノードNSGから入力された制御信号SGを整形および増幅して出力ノード14から出力する。出力ノード14の電位がHレベル(通常、正側の電源ノードNPの電位Vp)のとき、NMOSトランジスタTr1がオン状態になり、PMOSトランジスタTr2がオフ状態になる。これによって、IGBT2のゲート電極Gと正極側の電源ノードNPとが電気的に接続されてIGBT2がターンオンする。
逆に、出力ノード14の電位がLレベル(通常、分圧ノードNDの電位Vd)のとき、NMOSトランジスタTr1がオフ状態になり、PMOSトランジスタTr2がオン状態になる。これによって、IGBT2のゲート電極Gと分圧ノードNDとが電気的に接続されてIGBT2がターンオフする。
抵抗素子11,12の抵抗値は、それぞれIGBT2のターンオン、ターンオフ速度が所望の値となるように設定される。
さらに、制御IC13は、異常時にIGBT2を保護する保護回路(図示省略)を含む。たとえば、制御IC13は、供給される電源電圧VSが不足のとき、IGBT2の主電流が過大のとき、もしくはIGBT2の接合温度が高すぎるときなどに、IGBT2をオフ状態にするとともに、異常状態を知らせるエラー信号を出力する。
次に、具体的な電圧波形図に基づいて、駆動部10の動作についてさらに説明する。
図5は、図4の駆動部10の動作を示すタイミング図である。図5は上から順に、制御信号SGの電圧波形、トランジスタTr1,Tr2の開閉状態、およびIGBT2のゲート電極Gの電位変化を示す。横軸は経過時間である。
なお、以下の説明では、制御信号SGは、その論理レベルがHレベルのときに、IGBT2をターンオンさせるアクティブ状態であるとして説明するが、制御信号SGの論理レベルとIGBT2のオンおよびオフとの対応関係は逆であってもよい。また、以下の説明で、制御信号SGは分圧ノードNDの電位Vdを基準電位とする信号であるとする。したがって、制御信号SGがLレベルのとき、制御信号の電位は分圧ノードNDの電位Vdにほぼ等しくなる。
図4、図5を参照して、図5の時刻t1で、制御信号SGがLレベルからHレベルに切替わると、制御IC13は、NMOSトランジスタTr1がターンオンし、PMOSトランジスタTr2がターンオフするように、出力ノード14の電位をHレベルに切り替える。この結果、時刻t1以降、IGBT2のゲート電極Gへ正電荷が蓄積し、これに伴なってゲート電極Gの電位がVdから徐々に増加する。
次の時刻t2で、IGBT2のゲート電極Gの電位は電源ノードNPの電位Vpに到達する。時刻t1からt2の途中(ゲート電圧の波形がフラットな部分)で、ゲート・ソース間電圧がIGBT2の閾値電圧を超えたときIGBT2はターンオンする。図5のゲート電圧の波形がフラットな部分は、ゲート・コレクタ間容量によるミラー効果によって等価的な入力容量が増大するために生じる。
次の時刻t3で、制御信号SGがHレベルからLレベルに切替わると、制御IC13は、NMOSトランジスタTr1がターンオフし、PMOSトランジスタTr2がターンオンするように、出力ノード14の電位をLレベルに切り替える。これによって、時刻t3以降、IGBT2のゲート電極Gの電荷が放出されるにつれて、IGBT2のゲート電極Gの電位はVpから徐々に減少する。
時刻t4で、IGBT2のゲート電極Gの電位が分圧ノードNDの電位Vdに到達する。時刻t3からt4の途中(ゲート電圧の波形がフラットな部分)で、ゲート・ソース間電圧がIGBT2の閾値電圧以下になったときIGBT2はターンオフする。時刻t5以降は、時刻t1以降の波形変化が繰返される。
以上のとおり、実施の形態1の駆動制御回路1によれば、IGBT2をオン状態にするとき、ゲート・エミッタ間には電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧(Vp−Vn)が印加される。これらのノードNP,ND間の電圧は、定電圧回路30によって一定の電圧に保たれるので、直流電源40から供給された電源電圧VSが変動したとしてもIGBT2は安定に動作する。
[実施の形態2]
図6は、この発明の実施の形態2によるIGBT2の駆動制御回路1Aの構成を示す回路図である。図6の駆動制御回路1Aは、図1の実施の形態1の駆動制御回路1を変形したものである。なお、図6に示すように、IGBT2およびフリーホイールダイオード3と、IGBT2の駆動制御回路1AとによってIPM100Aが構成される。
図6の駆動制御回路1Aにおいて、分圧回路20Aは、コンデンサ22と並列に設けられたスイッチSW1をさらに含む点で、図1の分圧回路20と異なる。スイッチSW1が設けられたことによって、分圧回路20Aの分圧比が変更可能になる。なお、この明細書では、分圧比を、電源電圧VSに対する電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧(Vp−Vd)の比として定義する。
具体的に図6の場合、スイッチSW1が開状態(オフ状態)のとき、分圧比はコンデンサ21,22の容量によって決まる値になる。コンデンサ21,22の容量をそれぞれC1,C2とすると、分圧比はC2/(C1+C2)で与えられる。一方、スイッチSW1が閉状態(オン状態)のとき、分圧ノードNDの電位Vdは、電源ノードNNの電位Vnに等しくなるので、分圧比は1になる。
また、駆動制御回路1Aは、分圧制御部50をさらに含む点で図1の駆動制御回路1と異なる。分圧制御部50は、電源ノードNP,NN間の電圧(電源電圧VS)をモニタし、モニタした電源電圧VSに応じて分圧回路20AのスイッチSW1の開閉を制御する。この結果、分圧回路20Aの分圧比が変化する。
図7は、図6の分圧制御部50の動作を説明するための図である。図7の横軸は電源電圧VSを示し、縦軸はスイッチSW1の開閉状態を示す。
図6、図7を参照して、分圧制御部50は、電源電圧VS(=Vp−Vn)が基準電圧V1を超えたとき、スイッチSW1を開状態(オフ状態)にする。これによって、IGBT2をオン状態にするときに、定電圧回路30によって安定化された電圧(Vp−Vd)がIGBT2のゲート・エミッタ間に供給されるので、IGBT2のコレクタ電流が一定に制御される。
一方、電源電圧VSが基準電圧V1以下のとき、分圧制御部50は、スイッチSW1を閉状態(オン状態)にすることによって分圧比を1まで増加させる。この結果、電源電圧VSに等しい電圧がIGBT2のゲート・エミッタ間に供給されるので、ゲート・エミッタ間電圧の不足によるコレクタ電流の低下を回避することができる。
実施の形態2の駆動制御回路1Aのその他の点については、図1に示す実施の形態1の駆動制御回路1と同一であるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
[実施の形態2の変形例1]
図8は、実施の形態2の変形例1としての分圧回路20Bの構成を示す回路図である。図8を参照して、分圧回路20Bは、正側の電源ノードNPと分圧ノードNDとの間に直列に接続されたコンデンサ23A,23B,23Cと、分圧ノードNDと負側の電源ノードNNとの間に直列に接続されたコンデンサ24A,24B,24Cとを含む。分圧回路20Bは、さらに、コンデンサ24A,24B,24Cとそれぞれ並列接続されたスイッチSW2,SW3,SW4とを含む。
図8の場合、分圧制御部50は、電源ノードNP,NN間の電圧(電源電圧VS)をモニタし、モニタした電源電圧VSに応じてスイッチSW2,SW3,SW4の開閉を個別に制御する。これによって、分圧回路20Bの分圧比を段階的に増減することができる。したがって、電源電圧VSが減少するにつれて、閉状態(オン状態)のスイッチを増加させるように制御すれば、オン状態でのIGBT2のゲート・エミッタ間電圧を安定な領域に維持することが可能になる。
[実施の形態2の変形例2]
図9は、実施の形態2の変形例2としての分圧回路20Cの構成を示す回路図である。図9を参照して、分圧回路20Cは、電源ノードNP,NN間に直列に接続されたコンデンサ25A,25B,25C,25Dを含む。分圧回路20Cは、さらに、スイッチSW5,SW6,SW7(これらを総称してスイッチ部26と称する)を含む。スイッチSW5は、コンデンサ25A,25Bの接続ノードと分圧ノードNDとの間に接続され、スイッチSW6は、コンデンサ25B,25Cの接続ノードと分圧ノードNDとの間に接続され、スイッチSW7は、コンデンサ25C,25Dの接続ノードと分圧ノードNDとの間に接続される。
図9の場合、分圧制御部50は、電源ノードNP,NN間の電圧(電源電圧VS)をモニタして、電源電圧VSに応じてスイッチ部26を構成するスイッチSW5,SW6,SW7のいずれか1つを選択的に閉状態(オン状態)にする。これによって、変形例1の場合と同様に分圧回路20Cの分圧比を段階的に増減することができる。したがって、電源電圧VSが減少するにつれて、分圧比を増加させるように制御すれば、オン状態でのIGBT2のゲート・エミッタ間電圧を安定な領域に維持することが可能になる。
[実施の形態3]
図10は、この発明の実施の形態3によるIGBT2の駆動制御回路1Bの構成を示す回路図である。図10では、駆動部10Aの構成が図1の実施の形態1の駆動部10と異なる。その他の点については、図10の駆動制御回路1Bの構成は図1の実施の形態1の駆動制御回路1と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。なお、図10に示すように、IGBT2の駆動制御回路1Bと、IGBT2およびフリーホイールダイオード3とによってIPM100Bが構成される。
駆動部10Aは、IGBT2をターンオンするときに、IGBT2のゲート電極Gを正側の電源ノードNPと電気的に接続する。この点では、図10の駆動部10Aは、図1の駆動部10と同じである。
一方、駆動部10Aは、IGBT2をターンオフするときに、IGBT2のゲート電極Gを負側の電源ノードNNと電気的に接続する。図1の駆動制御回路1Aの場合は、駆動部10は、IGBT2のゲート電極Gを分圧ノードNDと接続していたので、この点で図10の駆動部10Aは、図1の駆動部10と異なる。
このような構成によって、IGBT2のターンオフ時には、分圧ノードNDに接続されたIGBT2のエミッタEの電位Vdよりもゲート電極Gの電位が低くなる。すなわち、ゲート・エミッタ間に負電圧(Vd−Vn)が印加されることになるので、ターンオフ時にゲート・エミッタ間を0ボルトにする場合のときに比べて閾値電圧との電圧差を大きくすることができる。この結果、IGBT2のオフ状態のときの誤動作に対するノイズマージンが向上し、確実にIGBT2をオフさせることができる。たとえば、インバータ回路のように2個のIGBTを直列接続する場合には、主回路の高圧側と低圧側とがIGBTを介してショートする危険性を防止できる。
図11は、図10の駆動部10Aの構成の一例を示す回路図である。図11を参照して、駆動部10Aは、NPN型のバイポーラトランジスタTr3と、PNP型のバイポーラトランジスタTr4と,抵抗素子11,12と、制御IC13と、電流源回路60とを含む。
トランジスタTr3と抵抗素子11とは、この順で正側の電源ノードNPとIGBT2のゲート電極Gとの間に直列に接続される。また、トランジスタTr4と抵抗素子12とは、この順で負側の電源ノードNNとIGBT2のゲート電極Gとの間に直列に接続される。トランジスタTr3,Tr4は、各々のコレクタが電源ノードNP,NNにそれぞれ接続されることによってエミッタフォロアを構成する。抵抗素子11,12の抵抗値は、それぞれIGBT2のターンオン、ターンオフ速度が所望の値となるように設定される。
図11のトランジスタTr3,Tr4は、図4のトランジスタTr1,Tr2にそれぞれ対応するものである。ただし、図4のトランジスタTr2のドレインは分圧ノードNDに接続されていたのに対し、図11のトランジスタTr4のコレクタは負側の電源ノードNNに接続される。この結果、図11においてIGBT2のターンオフする場合に、トランジスタTr3がオフ状態になり、かつ、トランジスタTr4がオン状態になったときに、IGBT2のゲート電極Gは負側の電源ノードNNと電気的に接続され、ゲート・エミッタ間に負電圧(Vd−Vn)を印加することができる。
図11の駆動部10Aは、さらに、制御IC13の後段に電流源回路60を含む点で図4の駆動部10と異なる。まず、電流源回路60を設けた理由について説明する。
図11において、信号入力ノードNSGに入力された制御信号SGは、分圧ノードNDの電位Vdを基準電位とする信号である。また、制御IC13は、電源ノードNPと分圧ノードNDとの間の電圧(Vp−Vd)を受けて動作する。したがって、制御IC13は、出力ノード14から出力する信号の電位レベルをVpとVdの間でしか変化させることができない。この結果、制御IC13によって、正側の電源ノードNPに接続されたトランジスタTr3をオン状態に駆動することはできるが、負側の電源ノードNNに接続されたトランジスタTr4をオン状態に駆動することができない。
そこで、図11の駆動部10Aでは、電流源回路60がバイポーラトランジスタTr4の前段に設けられる。電流源回路60は、制御IC13の出力ノード14から出力された電位がLレベル(分圧ノードNDの電位Vd)のとき、電流駆動型であるトランジスタTr4のベースと負側の電源ノードNNとの間に電流を流すことによってトランジスタTr4を導通状態にする。逆に、制御IC13の出力ノード14から出力された電位がHレベル(正側の電源ノードNPの電位Vp)のとき、電流源回路60は、トランジスタTr4のベースと負側の電源ノードNNとの間を高抵抗にすることによって、トランジスタTr4を非導通状態にする。
次に、電流源回路60の具体的な構成例について説明する。図11に示すように、電流源回路60は、PNP型のバイポーラトランジスタ61,62,63と、NPN型のバイポーラトランジスタ64,65とを含む。
トランジスタ61,63はこの順で電源ノードNPと分圧ノードNDとの間に直列に接続される。トランジスタ63のベースは、制御IC13の信号出力用の出力ノード14と接続される。
また、トランジスタ62,64はこの順で電源ノードNP,NN間に直列に接続される。トランジスタ62のベースはトランジスタ61のベースおよびコレクタと接続される。すなわち、トランジスタ61,62はカレントミラーを構成する。
さらに、トランジスタ65のコレクタはトランジスタTr4のベースに接続され、トランジスタ65のエミッタが電源ノードNNに接続される。トランジスタ65のベースは、トランジスタ64のベースおよびコレクタと接続される。すなわち、トランジスタ64,65はカレントミラーを構成する。
このような電流源回路60の構成によって、制御IC13の出力ノード14の電位がLレベル(分圧ノードNDの電位Vd)になると、トランジスタ63のコレクタ・エミッタ間に電流が流れる。この電流は、カレントミラーによってコピーされ、最終的にトランジスタTr4のベースにベース電流が流れ、トランジスタTr4がオン状態になる。逆に、制御IC13の出力ノード14の電位がHレベルになる(正側の電源ノードNPの電位Vp)と、トランジスタ63のコレクタ電流が0になるので、トランジスタTr4のベース電流も0になり、トランジスタTr4はオフ状態になる。
一方、トランジスタTr3のベースは制御IC13の出力ノード14に直結されている。したがって、トランジスタTr3は出力ノード14の電位がHレベル(正側の電源ノードNPの電位Vp)になるとオン状態になり、出力ノード14の電位がLレベル(分圧ノードNDの電位Vd)になるとオフ状態になる。このように、トランジスタTr3,Tr4は、出力ノード14の電位変化に伴なって相補的に動作する。なお、制御IC13の機能については、実施の形態1と同じであるので説明を繰返さない。
次に、具体的な電圧波形に基づいて、駆動部10Aの動作をさらに説明する。
図12は、図11の駆動部10Aの動作を示すタイミング図である。図12は上から順に、制御信号SGの電圧波形、トランジスタTr3,Tr4の開閉状態、およびIGBT2のゲート電極Gの電位変化を示す。横軸は経過時間である。
図11、図12を参照して、図12の時刻t11で、制御信号SGがLレベルからHレベルに切替わると、NPN型のトランジスタTr3がターンオンし、PNP型のトランジスタTr4がターンオフするように、制御IC13は、出力ノード14の電位をHレベルに切り替える。これによって、時刻t11以降、IGBT2のゲート電極Gの電位は、Vnから徐々に増加する。このとき、ゲート電極Gに蓄積された負電荷が放出されることによってゲート電極の電位はVdになる。続いて、ゲート電極Gには正電荷が蓄積される。
次の時刻t12で、IGBT2のゲート電極Gの電位は電源ノードNPの電位Vpに到達する。時刻t11からt12の途中(ゲート電圧の波形がフラットな部分)で、ゲート・ソース間電圧がIGBT2の閾値電圧を超えるとIGBT2はターンオンする。
次の時刻t13で、制御信号SGがHレベルからLレベルに切替わると、制御IC13は、NPN型のトランジスタTr3がターンオフし、PNP型のトランジスタTr4がターンオンするように、出力ノード14の電位をLレベルに切り替える。これによって、時刻t13以降、IGBT2のゲート電極Gの電位は、ゲート電極Gの正電荷が放出されることによってVpから徐々に減少しVdになる。続いて、ゲート電極Gには負電荷が蓄積される。
次の時刻t14で、IGBT2のゲート電極Gの電位は、負側の電源ノードNNの電位Vnに到達する。時刻t13からt14の途中(ゲート電圧波形がフラットな部分)で、ゲート・ソース間電圧がIGBT2の閾値電圧以下になるとIGBT2はターンオフする。時刻t15以降は、時刻t11以降と同じ手順が繰返される。
[実施の形態3の変形例1]
図13は、実施の形態3の変形例1としての駆動部10Bの構成を示す回路図である。図13の駆動部10Bは、信号入力ノードNSGと制御IC13との間に設けられたレベルシフト回路15をさらに含む点で、図11の駆動部10Aと異なる。
図13の駆動部10Bは、信号入力ノードNSGに入力された制御信号SGAが、負側の電源ノードNNの電位Vnを基準電位とする信号である場合に利用される。この場合、レベルシフト回路15によって、電源ノードNNの電位Vnを基準電位とする制御信号SGAを、分圧ノードNDの電位Vnを基準電位とする制御信号SGに変換する必要がある。この結果、制御信号SGAの電圧レベルを、電源ノードNPおよび分圧ノードND間の電圧(Vp−Vd)を受けて動作する制御IC13の電圧レベルに適合させることができる。その他の点については、図13の駆動部10Bは図11の駆動部10Aと同一であるので、同一または相当する部分については同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
なお、制御IC13を、電源ノードNP,NN間の電源電圧VS(=Vp−Vn)を受けて動作するように設計変更すると、レベルシフト回路15および電流源回路60が不要になる。しかしながら、制御IC13で使われる半導体素子の高耐圧化が必要になるので、制御IC13の設計変更が大幅なものになる。図13の変形例のようにレベルシフト回路15および電流源回路60を設けることによって、制御IC13などのIPMの周辺回路については設計変更をせずにそのまま用いることができるので、メリットが大きい。
[実施の形態3の変形例2]
図14は、実施の形態3の変形例2としての駆動部10Cの構成を示す回路図である。
図14の駆動部10Cは、IGBT2のターンオフ時に負電圧をゲート・エミッタ間に印加可能なように、実施の形態1の駆動部10を変形したものである。具体的に、図14の駆動部10Cは、分圧ノードNDに代えて負側の電源ノードNNに、PMOSトランジスタTr2のドレインが接続されている点で、図4の駆動部10と異なる。
さらに、図14の駆動部10Cは、制御IC13の出力ノード14とトランジスタTr1,Tr2のゲート電極との間に、レベルシフト回路16を含む点で、図4の駆動部10と異なる。既に説明したように、制御IC13は、制御信号SGに応じて、出力ノード14からHレベルの電位(電源ノードNPの電位Vp)またはLレベルの電位(分圧ノードNDの電位Vd)を出力する。レベルシフト回路16は、制御ICの13の出力ノードの電位に応じて、電源ノードNPの電位Vpまたは電源ノードNNの電位Vnを出力する。すなわち、レベルシフト回路16によって、トランジスタTr1,Tr2のゲートに供給される電位の下限が、分圧ノードNDの電位Vdから分電源ノードNNの電位Vnにレベル変換される。レベルシフト回路16からの出力電圧によって、電圧駆動型のMOSトランジスタTr1,Tr2はオン状態またはオフ状態に切替わる。
その他の点については、図14の駆動部10Cは、図4の駆動部10と共通するので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
[実施の形態4]
図15は、この発明の実施の形態4によるIGBT2の駆動制御回路1Cの構成を示す回路図である。実施の形態4の駆動制御回路1Cは、図10の実施の形態3の駆動制御回路1Bを変形したものである。なお、IGBT2の駆動制御回路1Cと、IGBT2およびフリーホイールダイオード3とによってIPM100Cが構成される。
図15の駆動制御回路1Cは、ゲート電極Gに蓄積された電荷を放電するための放電回路70をさらに含む点で、図10の駆動制御回路1Bと異なる。放電回路70は、IGBT2のゲート電極GとエミッタEとの間に設けられる。具体的には、放電回路70としてIGBT2のゲート電極GとエミッタEとの間にスイッチSW8が接続される。ここで、IGBT2のエミッタEは、分圧ノードNDに接続されているので、放電後のゲート電極Gの電位は分圧ノードNDの電位Vdに等しくなり、ゲート・エミッタ間電圧は0になる。
図15の駆動制御回路1Cの駆動部10Dは、さらに、スイッチSW8の開閉のタイミングを制御する機能を有する点で、図10の駆動制御回路1Bの駆動部10Aと異なる。以下、駆動部10Dの構成および動作について説明する。
図16は、図15の駆動部10Dの構成の一例を示す回路図である。図16の制御IC13Aは、トランジスタTr3,Tr4のオンおよびオフのタイミングを個別に制御する。さらに、制御IC13Aは、スイッチSW8の開閉のタイミングを制御する。
この制御ため、図16の制御IC13Aは、出力ノード14A,14B,14Cを個別に有する。出力ノード14Aは、トランジスタTr3のオンおよびオフを制御するためにトランジスタTr3のベースに接続される。出力ノード14Aは、トランジスタTr4のオンおよびオフを制御するためにトランジスタ63のベースに接続される。出力ノード14Cからは、スイッチSW8の開閉を制御するための信号が出力される。以上の点で、図16の制御IC13Aは図11の制御IC13と異なる。
図17は、図16の駆動部10Dの動作を示すタイミング図である。図17は上から順に、制御信号SGの電圧波形、トランジスタTr3,Tr4の開閉状態、スイッチSW8の開閉状態、およびIGBT2のゲート電極Gの電位変化を示す。横軸は経過時間である。
図16、図17を参照して、図17の時刻t21で、制御信号SGがLレベルからHレベルに切替わると、制御IC13Aは、まず、PNP型のトランジスタTr4をターンオフするために、出力ノード14Bの電位をHレベルにする。これによって、トランジスタTr3,Tr4はいずれもオフ状態になる。この状態で、制御IC13Aは、スイッチSW8を閉状態(オン状態)にする。この結果、ゲート電極Gに蓄積された負電荷が放電され、ゲート電極Gの電位はエミッタEの電位Vdに戻る。すなわち、ゲート・エミッタ間電圧が0Vになる。
ゲート電極Gの放電が完了し、ゲート電極Gの電位がVdになった後の時刻t22に、制御IC13Aは、スイッチSW8を開状態(オフ状態)にする。さらに、制御IC13Aは、NPN型のトランジスタTr3をターンオンするために、出力ノード14Aの電位をHレベルにする。これによって、時刻t22以降、IGBT2のゲート電極Gに正電荷が蓄積され、ゲート電極Gの電位はVdから徐々に増加する。
次の時刻t23で、IGBT2のゲート電極Gの電位は電源ノードNPの電位Vpに到達する。時刻t22からt23に至る途中(ゲート電圧の波形がフラットな部分)で、ゲート・ソース間電圧がIGBT2の閾値電圧を超えたときIGBT2はターンオンする。
次の時刻t24で、制御信号SGがHレベルからLレベルに切替わると、制御IC13Aは、トランジスタTr3をターンオフするために、出力ノード14Aの電位をLレベルにする。これによって、トランジスタTr3,Tr4はいずれもオフ状態になる。この状態で、制御IC13Aは、スイッチSW8を閉状態(オン状態)にする。この結果、ゲート電極Gに蓄積された正電荷が放電され、ゲート電極Gの電位はエミッタEの電位Vdに戻る。すなわちゲート・エミッタ間電圧が0Vになる。
ゲート電極Gの放電が完了し、ゲート電極Gの電位がVdになった時刻t25の後の時刻t26に、制御IC13Aは、スイッチSW8を開状態(オフ状態)にする。さらに、制御IC13Aは、トランジスタTr4をターンオンするために、出力ノード14Bの電位をLレベルにする。これによって、時刻t26以降、ゲート電極Gに負電荷が蓄積されるにつれて、IGBT2のゲート電極Gの電位はさらに減少し、時刻t27で負側の電源ノードNNの電位Vnに到達する。時刻t24からt25の途中(ゲート電圧の波形がフラットな部分)で、ゲート・エミッタ間電圧がIGBT2の閾値電圧以下になるとIGBT2はターンオフする。
次の時刻t28で、制御信号SGがLレベルからHレベルに切替わった以降の手順は、時刻t21で既に説明したとおりである。
このように、実施の形態4の駆動制御回路1Cの制御IC13Aは、IGBT2のゲート・エミッタ間電圧を負電圧にして、IGBT2を完全にオフ状態する。その後、制御IC13Aは、ゲート電極Gに蓄積された負電荷を放電回路70によって放電して、ゲート・エミッタ間電圧を0Vに戻してから、IGBT2をターンオンするためにゲート・エミッタ間に正電圧を印加する。ターンオフ時も同様に、制御IC13Aは、ゲート電極Gに蓄積された正電荷を放電回路70によって放電して、ゲート・エミッタ間電圧を0Vに戻してから、IGBT2を確実にターンオフするためにゲート・エミッタ間に負電圧を印加する。この結果、実施の形態3の駆動制御回路1Bに比べると、IGBT2をターンオン、ターンオフさせるのに必要な電力が少なくなる。このため、直流電源40の小型化および低コスト化が可能になる。
上記の点以外については、図15の駆動制御回路1Cおよび図16の駆動部10Dの構成は、図10の駆動制御回路1Bおよび図11の駆動部10Aの構成と同じであるので、同一または相当する部分には同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
[実施の形態5]
図18は、この発明の実施の形態5によるIGBT2の駆動制御回路1Dの構成を示す回路図である。実施の形態5の駆動制御回路1Dは、実施の形態2の駆動制御回路1Aと実施の形態3の駆動制御回路1Bを組み合わせたものである。なお、図18に示すように、IGBT2の駆動制御回路1Dと、IGBT2およびフリーホイールダイオード3とによってIPM100Dが構成される。
駆動制御回路1Dにおいて、分圧回路20Aは、コンデンサ22と並列に設けられたスイッチSW1をさらに含む点で、図10の駆動制御回路1Bの分圧回路20と異なる。分圧回路20Aは、図6の駆動制御回路1Aの分圧回路20Aと同一である。スイッチSW1が設けられたことによって、分圧回路20Aの分圧比が変更可能になる。
また、駆動制御回路1Dは、分圧制御部50をさらに含む点で図10の駆動制御回路1Bと異なる。分圧制御部50は、図6の駆動制御回路1Aの分圧制御部50と同一である。すなわち、分圧制御部50は、電源ノードNP,NN間の電圧(電源電圧VS)をモニタして、モニタした電源電圧VSに応じて分圧回路20AのスイッチSW1の開閉を制御する。これによって、分圧回路20Aの分圧比が変化する。
具体的には、図7の場合と同様に、分圧制御部50は、電源電圧VS(=Vp−Vn)が基準電圧V1を超えたとき、スイッチSW1を開状態(オフ状態)にする。これによって、IGBT2をオン状態にするときに、定電圧回路30によって安定化された電圧(Vp−Vd)がIGBT2のゲート・エミッタ間に供給されるので、IGBT2のコレクタ電流が一定値に制御される。
一方、電源電圧VSが基準電圧V1以下のとき、分圧制御部50は、スイッチSW1を閉状態(オン状態)にすることによって分圧比を1まで増加させる。この結果、電源電圧VSに等しい電圧がオン状態のIGBT2のゲート・エミッタ間に供給されるので、ゲート・エミッタ間電圧の不足によるコレクタ電流の低下を回避することができる。
その他の点については、図18の駆動制御回路1Dは、図10の駆動制御回路1Bと同一であるので、同一または相当する部分については同一の参照符号を付して説明を繰返さない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものでないと考えられるべきである。この発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1,1A,1B,1C,1D 駆動制御回路、2 IGBT(電力用半導体素子)、3 フリーホイールダイオード、10,10A,10B,10C,10D 駆動部、15,16 レベルシフト回路、20,20A,20B,20C 分圧回路、21〜25 コンデンサ、30 定電圧回路、31,32 ツェナーダイオード、40 直流電源、50 分圧制御部、60 電流源回路、70 放電回路、100,100A,100B,100C,100D インテリジェントパワーモジュール(IPM)、C コレクタ、E エミッタ、G ゲート電極、13,13A 制御IC13、ND 分圧ノード、NN 電源ノード(電源40の負極側)、NP 電源ノード(電源40の正極側)、NP 分圧ノード、SG,SGA 制御信号、SW1〜SW8 スイッチ、Tr1 NMOSトランジスタ、Tr2 PMOSトランジスタ、Tr3 NPN型バイポーラトランジスタ、Tr4 PNP型バイポーラトランジスタ、Vd 分割ノードNDの電位、Vn 電源ノードNNの電位、Vp 電源ノードNPの電位、VS 電源電圧。

Claims (16)

  1. 制御電極および第1の主電極間に印加された電圧に応じて、第1および第2の主電極間が導通状態または非道通状態になる電力用半導体素子の駆動制御回路であって、
    第1および第2の電源ノード間に印加された電源電圧を分圧し、分圧された電源電圧を取出すための分圧ノードを有する分圧回路を備え、
    前記分圧ノードは、前記電力用半導体素子の第1の主電極と接続され、
    外部から入力された制御信号に応じて、前記電力用半導体素子の制御電極を前記第1の電源ノードに電気的に接続することによって前記電力用半導体素子を導通状態にするか、または、前記電力用半導体素子の制御電極を前記分圧ノードに電気的に接続することによって前記電力用半導体素子を非導通状態にする駆動部と、
    前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間に接続され、前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間の電圧を一定に保つ定電圧回路とをさらに備える、電力用半導体素子の駆動制御回路。
  2. 制御電極および第1の主電極間に印加された電圧に応じて、第1および第2の主電極間が導通状態または非道通状態になる電力用半導体素子の駆動制御回路であって、
    第1および第2の電源ノード間に印加された電源電圧を分圧し、分圧された電源電圧を取出すための分圧ノードを有する分圧回路を備え、
    前記分圧ノードは、前記電力用半導体素子の第1の主電極と接続され、
    外部から入力された制御信号に応じて、前記電力用半導体素子の制御電極を前記第1の電源ノードに電気的に接続することによって前記電力用半導体素子を導通状態にするか、または、前記電力用半導体素子の制御電極を前記第2の電源ノードに電気的に接続することによって前記電力用半導体素子を非導通状態にする駆動部と、
    前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間に接続され、前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間の電圧を一定に保つ定電圧回路とをさらに備える、電力用半導体素子の駆動制御回路。
  3. 前記駆動部は、
    前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間の電圧で動作し、前記制御信号の論理レベルに応じて、前記第1の電源ノードの電位または前記分圧ノードの電位を出力する制御部と、
    前記第1の電源ノードと前記電力用半導体素子の制御電極との間に設けられ、前記制御部から前記第1の電源ノードの電位が出力されたとき導通状態になる第1のトランジスタと、
    前記第2の電源ノードと前記電力用半導体素子の制御電極との間に設けられた電流駆動型の第2のトランジスタと、
    前記制御部から前記分圧ノードの電位が出力されたとき、前記第2のトランジスタの制御電極と前記第2の電源ノードとの間に電流を流すことによって前記第2のトランジスタを導通状態にし、前記制御部から前記第1の電源ノードの電位が出力されたとき、前記第2のトランジスタの制御電極と前記第2の電源ノードとの間を高抵抗にすることによって、前記第2のトランジスタを非導通状態にする電流源回路とを含む、請求項2に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  4. 前記制御信号は、前記第2の電源ノードの電位を基準電位とする電圧信号であり、
    前記駆動部は、前記制御信号の電位をシフトすることよって、前記制御信号を前記分圧ノードを基準電位とする電圧信号に変換し、変換された前記制御信号を前記制御部に出力するレベルシフト回路をさらに含む、請求項3に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  5. 前記駆動部は、
    前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間の電圧で動作し、前記制御信号の論理レベルに応じて、前記第1の電源ノードの電位または前記分圧ノードの電位を出力する制御部と、
    前記第1および第2の電源ノード間の電圧で動作し、前記制御部から出力された電位に応じて、前記第1または第2の電源ノードの電位を出力するレベルシフト回路と、
    前記第1の電源ノードと前記電力用半導体素子の制御電極との間に設けられ、前記レベルシフト回路から前記第1の電源ノードの電位が出力されたとき導通状態になる第1のトランジスタと、
    前記第2の電源ノードと前記電力用半導体素子の制御電極との間に設けられ、前記レベルシフト回路から前記第2の電源ノードの電位が出力されたとき導通状態になる第2のトランジスタとを含む、請求項2に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  6. 前記電力用半導体素子の制御電極と第2の主電極とを電気的に接続することによって前記電力用半導体素子の制御電極に蓄積された電荷を放電させる放電回路をさらに備える、請求項2に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  7. 前記駆動部は、前記制御信号に応じて、前記電力用半導体素子を導通状態または非導通状態に切替えるとき、前記電力用半導体素子の制御電極が前記第1および第2の電源ノードのいずれにも電気的に接続されていない状態にした後に、前記放電回路によって前記電力用半導体素子の制御電極に蓄積された電荷を放電させ、その後、前記電力用半導体素子の制御電極と前記第1または第2の電源ノードとを電気的に接続する、請求項6に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  8. 前記分圧回路は、
    前記第1の電源ノードと前記分圧ノードとの間に設けられた少なくとも1つの第1の容量素子と、
    前記第2の電源ノードと前記分圧ノードとの間に設けられた少なくとも1つの第2の容量素子とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  9. 前記定電圧回路は、少なくとも1つのツェナーダイオードを含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  10. 前記定電圧回路は、前記第1の電源ノードと前記分圧ノード間に直列に接続された複数のツェナーダイオードを含み、
    前記複数のツェナーダイオードの各々は、ツェナー電圧の温度係数がほぼ0である、請求項9に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  11. 前記分圧回路の分圧比は変更可能であり、
    前記電力用半導体素子の駆動制御回路は、前記電源電圧の大きさに応じて前記分圧回路の分圧比を変更する分圧制御部をさらに備える、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  12. 前記分圧制御部は、前記電源電圧が予め定める電圧以下となった場合、前記電源電圧に対する前記第1の電源ノードおよび前記分圧ノード間の電圧の割合を増加させる、請求項11に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  13. 前記分圧回路は、前記分圧ノードと前記第2の電源ノードとの間に接続されたスイッチを含み、
    前記分圧制御部は、前記電源電圧が予め定める電圧以下となった場合、前記スイッチを接続する、請求項12に記載の電力用半導体素子の駆動制御回路。
  14. 制御信号に応じてスイッチングする電力用半導体素子と、
    前記電力用半導体素子を駆動する請求項1から13のいずれか1項に記載の駆動制御回路と、
    前記電力用半導体素子と並列に接続されたフリーホイールダイオードとを備えた、インテリジェントパワーモジュール。
  15. 前記フリーホイールダイオードは、炭化珪素を用いて形成される、請求項14に記載のインテリジェントパワーモジュール。
  16. 前記電力用半導体素子は、炭化珪素を用いて形成される、請求項14または15に記載のインテリジェントパワーモジュール。
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