JP5251857B2 - 光学フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、液晶表示装置等の表示装置に使用される光学フィルムに関し、詳しくは位相差の調整の容易な光学フィルムに関する。
液晶表示装置、有機EL表示装置には、位相差を調整した光学フィルムが使用されている。位相差の調整は、単に大きい位相差を出すだけでなく、位相差をゼロにするという調整も含まれる。
これらの光学フィルムは、位相差を出す場合は、一般にシクロオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、セルロースエステル樹脂等を延伸製膜することにより作製している。そして、延伸だけでは所望の位相差に不足する位相差は、位相差制御剤等の添加剤により調整している。
また位相差をゼロに近づける場合は、固有複屈折の正負が異なる樹脂、位相差制御剤を混合、添加することにより調整している。この場合も、光学フィルムの表面性を良化させるため延伸は必須の操作となっている。
特にセルロースエステル樹脂では、セルローエステル樹脂がもともと延伸性に劣ることから、可塑剤と位相差制御剤等の添加剤が併用されることが多かった(特許文献1、2)。
ところが、これまで知られている可塑剤では、延伸により期待される位相差の調整が安定せず、製品ロット毎に調整が必要なことがあり、工程適性として課題が残っていた。
特開2007−3679号公報 特開2009−249394号公報
本発明の目的は、位相差の調整の容易な光学フィルムを提供することにある。
本発明の目的は、下記によって達成された。
1.イソソルビドエステル化合物およびセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする光学フィルム。
2.前記イソソルビドエステル化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする前記1記載の光学フィルム。
Figure 0005251857
R1、R2は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基またはアリル基を表し、R3〜R8は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、アルコキシ基を表す。
これまでは、可塑剤によっては、延伸により期待される位相差の調整が安定せず、製品ロット毎に微妙な延伸操作調整が必要なことがあったが、本発明によりその現象は大幅に軽減された。
本発明者は、この現象が、セルロースエステル樹脂に含有される可塑剤と、可塑剤以外の添加剤との相互作用が無視できない程度に発生することが原因であると考えた。つまり、添加剤として可塑剤以外に、位相差制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が一般に使用されるが、これらの添加剤は多少の違いはあるもののそれ自体が位相差を発現する機能を有しており、その機能が可塑剤の種類によって位相差発現性に影響を受けるということである。
本発明のイソソルビドエステル化合物は、この位相差を発現する添加剤との相互作用が小さいものと推測される。
位相差(レターデーション)の安定性は、光学フィルムの膜厚にもよるが、40μmのフィルムにおいては、Roでロット間での最大値、最小値の差ΔRoが6nm以内(40nmの目標値に対して)、ロット間でのRtの最大値、最小値の差ΔRtが10nm以内(100nmの目標値に対して)であれば、実用可能な程度であるといわれている。もちろん目標とするレターデーションによって、この値は異なる。
レターデーションは、得られた光学フィルムを、自動複屈折計KOBRA−21−ADH(王子計測機器社製)を用いて温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長が590nmにおける屈折率nx、ny、nzを求め、下記の式に従って、フィルム面内方向のレターデーション(Ro)、および厚み方向のレターデーション(Rt)を算出したものである。
ここで、Ro=(nx−ny)×d(nm)
Rt=((nx+ny)/2−nz)×d(nm)
であり式中、位相差フィルムの面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直交する方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnz、dは位相差フィルムの厚み(nm)を表す。
本発明の光学フィルムは、イソソルビドエステル化合物およびセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする。
<イソソルビドエステル化合物>
本発明のイソソルビド化合物は、イソソルビドをカルボン酸と公知の方法でエステル化したものであり、一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005251857
R1、R2は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基またはアリル基を表し、R3〜R8は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、アルコキシ基を表す。
R1、R2は、好ましくは炭素数5〜15のアルキル基、アルケニル基またはアリル基である。これらの基は、分岐していてもよい。R3〜R8は、水素原子であることが好ましい。
本発明のイソソルビドエステル化合物に用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
モノカルボン酸としては、炭素数1〜22の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、5〜15であることが特に好ましい。このカルボン酸によりアルキル基、アルケニル基を導入することができる。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基あるいはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。このカルボン酸によりアリル基を導入することができる。
本発明のイソソルビドエステル化合物の分子量は、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることがさらに好ましい。分子量の大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明のイソソルビドエステル化合物に用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、イソソルビド中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に好ましいイソソルビドエステル化合物の具体例を挙げる。
Figure 0005251857
本発明のイソソルビドエステル化合物は、POLYSORB ID37(ROCETTE(株)製)等の市販品を使用することができる。
本発明のイソソルビドエステル化合物は、セルロースエステル樹脂に対して、任意の割合で適宜添加することができるが、0.1〜30質量%の範囲で使用することが好ましい。
<セルロースエステル樹脂>
本発明のセルロースエステル樹脂は、アシル基の総置換度が2.1〜3.0、炭素数が3〜7のアシル基の置換度が1.2〜3.0であることが好ましく、より好ましくはアシル基の総置換度が2.3〜3.0、炭素数3〜7のアシル基の置換度は1.4〜3.0である。
本発明において前記アシル基は、脂肪族アシル基であっても、芳香族アシル基であってもよい。脂肪族アシル基の場合は、直鎖であっても分岐していても良く、さらに置換基を有してもよい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
本発明のセルロースエステル樹脂としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースプロピオネートである。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本発明のセルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、75,000以上であることが好ましく、75,000〜240,000の範囲であることがより好ましい。本発明では2種以上のセルロース樹脂を混合して用いることもできる。
<可塑剤>
本発明の光学フィルムには、本発明のイソソルビドエステル化合物以外の可塑剤を含有させても良い。
用いることのできる可塑剤としては、例えば、多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、3価以上の芳香族多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、糖エステル系化合物、アクリル系ポリマー、などを用いることができる。
特に好ましくは、多価アルコール系可塑剤である。また、リン酸エステル系可塑剤の添加量は偏光度の耐久性の観点から6質量%以下とすることが好ましい。
可塑剤は1%減量温度(Td1)が250℃以上であることが好ましく、より好ましくは280℃以上であり、特に好ましくは300℃以上である。
<位相差制御剤>
本発明の光学フィルムには、位相差制御剤を含有することも好ましい。位相差制御剤としては、公知のものを適宜選択して使用することができ、芳香族末端エステル化合物、フラノース構造もしくはピラノース構造を1個有す化合物中の、あるいは、フラノース構造もしくはピラノース構造の少なくとも1種を2〜12個結合した化合物中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化化合物、グリコールと二塩基酸のポリエステルポリオールが好ましく挙げられる。
その他、分子内にビスフェノールAを含有しているものも好ましい。ビスフェノールAの両端にエチレンオキサイド、プロピレンオキサイドを付加した化合物などを用いることができる。
例えばニューポールBP−2P、BP−3P、BP−23P、BP−5PなどのBPシリーズ、BPE−20(F)、BPE−20NK、BPE−20T、BPE−40、BPE−60、BPE−100、BPE−180などのBPEシリーズ(三洋化成(株)製)などやアデカポリエーテルBPX−11、BPX−33、BPX−55などのBPXシリーズ((株)アデカ製)がある。
ジアリルビスフェノールA、ジメタリルビスフェノールAや、ビスフェノールAを臭素などで置換したテトラブロモビスフェーノールAやこれを重合したオリゴマーやポリマー、ジフェニルフォスフェイトなどで置換したビスフェノールAビス(ジフェニルフォスフェイト)なども用いることができる。
ビスフェノールAを重合したポリカーボネートやビスフェノールAをテレフタル酸などの二塩基酸と重合したポリアリレート、エポキシを含有するモノマーと重合したエポキシ オリゴマーやポリマーなども用いることができる。
ビスフェノールAとスチレンやスチレンアクリルなどをグラフト重合させたモディパーCL130DやL440−Gなども用いることができる。
<アクリル樹脂>
本発明のセルローエステル樹脂は、アクリル樹脂を混合することも好ましい。このアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、およびこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%からなるものが好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等、アクリロイルモルフォリン等のアクリルアミド誘導体等が挙げられ、これらは1種または2種以上の単量体を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱分解性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明のフィルムに用いられるアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、110,000〜1,000,000の範囲内であることが好ましく、140,000〜600,000の範囲内であることがより好ましく、200,000〜400,000の範囲であることが特に好ましい。
本発明のアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系、アゾ系、レドックス系のものを用いることができる。重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
本発明のアクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。アクリル樹脂は2種以上を併用することもできる。
<その他の添加剤>
本発明の光学フィルムには、下記の添加剤をそれぞれ使用することができる。
《酸化防止剤、熱劣化防止剤》
本発明では、酸化防止剤、熱劣化防止剤としては、通常知られている劣化防止剤(酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミンなど)を使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。劣化防止剤については、特開平3−199201号公報、特開平5−194789号公報、特開平5−271471号公報、特開平6−107854号公報に記載がある。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノール構造を有するものが好ましく、例えば、チバ・ジャパン(株)から、Irganox1076、Irganox1010という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学(株)から、Sumilizer−GP、ADEKA(株)からADK STAB PEP−24G、ADK STAB PEP−36およびADK STAB 3010、チバ・ジャパン(株)からIRGAFOS P−EPQ、堺化学(株)からGSY−P101という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、チバ・ジャパン(株)から、Tinuvin144およびTinuvin770、ADEKA(株)からADK STAB LA−52という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学(株)から、Sumilizer TPL−RおよびSumilizer TP−Dという商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学(株)から、Sumilizer−GMおよびSumilizer−GSという商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸捕捉剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているようなエポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜5質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤、熱劣化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
《着色剤》
本発明においては、着色剤を使用しても良い。通常、着色剤とは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックス(黄色度)の調整、ヘイズの低減効果を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
《紫外線吸収剤》
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体などが挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、透明性が高く、偏光板や液晶素子の劣化を防ぐ効果に優れたベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベンゾフェノン系紫外線吸収剤が好ましく、不要な着色がより少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好ましい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤の具体例として、例えばチバ・ジャパン(株)製のTINUVIN109、TINUVIN171、TINUVIN326、TINUVIN327、TINUVIN328、TINUVIN900、TINUVIN928、ADEKA(株)製のLA−31等を好ましく用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤は単独で用いても良いし、二種以上の混合物であっても良い。
紫外線吸収剤の使用量は化合物の種類、使用条件などにより一様ではないが、光学フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、光学フィルムに対して0.5〜4.0質量%が好ましく、0.6〜3.5質量%がさらに好ましい。
《アクリル粒子(C)》
本発明においては、光学フィルム中にアクリル粒子(C)を含有させても良い。
例えば、作製した光学フィルムを所定量採取し、溶媒に溶解させて攪拌し、充分に溶解・分散させたところで、アクリル粒子(C)の平均粒子径より小さな孔径を有するPTFE製のメンブレンフィルターを用いて濾過し、濾過捕集された不溶解物の重さが、光学フィルムに添加したアクリル粒子(C)の90質量%以上あることが好ましい。
本発明に用いられるアクリル粒子(C)は、2層以上の層構造を有するアクリル粒子(C)であることが好ましく、特に下記多層構造アクリル系粒状複合体であることが好ましい。
本発明において光学フィルムに、アクリル粒子(C)を配合する方法には、特に制限はなく、光学フィルム形成組成物とその他の任意成分を予めブレンドした後、通常200〜350℃において、アクリル粒子を添加しながら一軸又は二軸押出機により均一に溶融混練する方法が好ましく用いられる。
また、アクリル粒子を予め分散した溶液を、光学フィルム形成組成物を溶解した溶液(ドープ液)に添加して混合する方法や、アクリル粒子(C)およびその他の任意の添加剤を溶解、混合した溶液をインライン添加する等の方法を用いることができる。
本発明のアクリル粒子(C)としては、市販のものも使用することができ、例えば、三菱レイヨン社製メタブレンW−341(C2)、ケミスノーMR−2G(C3)、MS−300X(C4)(綜研化学(株)製)、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
その他二酸化珪素からなるマット剤を含有させても良い。
<光学フィルムの製造方法>
本発明の光学フィルムは、溶融流延製膜法、溶液流延製膜法等の公知の方法で作製することができる。
〈溶液流延製膜法〉
(有機溶媒)
光学フィルムを溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、イソソルビドエステル化合物、セルロースエステル樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることが出来る。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのセルロースエステル樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、メチレンクロライド、及び炭素数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒にセルロースエステル樹脂を、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖または分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることが出来る。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からエタノールが好ましい。
(溶液流延法)
溶液流延法では、樹脂および添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻き取る工程により行われる。
ドープ中のセルロースエステル樹脂の濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステル樹脂の濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。
好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。
温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度および乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
光学フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、光学フィルム或いはセルロースエステル樹脂の乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
(延伸工程)
本発明光学フィルムは位相差の調整の為に、延伸処理を行うことが好ましい。
延伸工程では、光学フィルムの長手方向(MD方向)、及び幅手方向(TD方向)に対して、逐次または同時に延伸することができる。互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的にはMD方向に1.0〜2.0倍、TD方向に1.07〜2.0倍の範囲とすることが好ましく、MD方向に1.0〜1.5倍、TD方向に1.07〜2.0倍の範囲で行うことが好ましい。
例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用してMD方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げてMD方向に延伸する方法、同様に横方向に広げてTD方向に延伸する方法、或いはMD/TD方向同時に広げてMD/TD両方向に延伸する方法などが挙げられる。
製膜工程のこれらの幅保持或いは幅手方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
テンター内などの製膜工程でのフィルム搬送張力は温度にもよるが、120N/m〜200N/mが好ましく、140N/m〜200N/mがさらに好ましい。140N/m〜160N/mが最も好ましい。
延伸する際は、光学フィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃、さらに好ましく(Tg−5)〜(Tg+20)℃である。
光学フィルムのTgは、フィルムを構成する材料種及び構成する材料の比率によって制御することができる。本発明の用途においてはフィルムの乾燥時のTgは110℃以上が好ましく、さらに120℃以上が好ましい。
従ってガラス転移温度は190℃以下、より好ましくは170℃以下であることが好ましい。このとき、フィルムのTgはJIS K7121に記載の方法などによって求めることができる。
延伸する際の温度は150℃以上、延伸倍率は1.15倍以上にすると、表面が適度に粗れる為好ましい。フィルム表面を粗らす事は、滑り性を向上させるのみでなく、表面加工性、特にハードコート層の密着性が向上するため好ましい。算術平均粗さRaは、好ましくは2.0nm〜4.0nm、より好ましくは2.5nm〜3.5nmである。
〈溶融製膜法〉
溶融製膜法は、樹脂および可塑剤などの添加剤を含む組成物を、流動性を示す温度まで加熱溶融し、その後、流動性のセルロースエステル樹脂を含む溶融物を流延することをいう。
加熱溶融する成形法は、更に詳細には、溶融押出成形法、プレス成形法、インフレーション法、射出成形法、ブロー成形法、延伸成形法などに分類できる。これらの成形法の中では、機械的強度および表面精度などの点から、溶融押出し法が好ましい。溶融押出しに用いる複数の原材料は、通常予め混錬してペレット化しておくことが好ましい。
ペレット化は、公知の方法でよく、例えば、乾燥セルロースエステル樹脂や可塑剤、その他添加剤をフィーダーで押出し機に供給し1軸や2軸の押出し機を用いて混錬し、ダイからストランド状に押出し、水冷または空冷し、カッティングすることでできる。
添加剤は、押出し機に供給する前に混合しておいてもよいし、それぞれ個別のフィーダーで供給してもよい。
粒子や酸化防止剤等少量の添加剤は、均一に混合するため、事前に混合しておくことが好ましい。
押出し機は、剪断力を抑え、樹脂が劣化(分子量低下、着色、ゲル生成等)しないようにペレット化可能でなるべく低温で加工することが好ましい。例えば、2軸押出し機の場合、深溝タイプのスクリューを用いて、同方向に回転させることが好ましい。混錬の均一性から、噛み合いタイプが好ましい。
以上のようにして得られたペレットを用いてフィルム製膜を行う。もちろんペレット化せず、原材料の粉末をそのままフィーダーで押出し機に供給し、そのままフィルム製膜することも可能である。
上記ペレットを1軸や2軸タイプの押出し機を用いて、押出す際の溶融温度を200〜300℃程度とし、リーフディスクタイプのフィルターなどで濾過し異物を除去した後、Tダイからフィルム状に流延し、冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップされ、冷却ロール上で固化させる。
供給ホッパーから押出し機へ導入する際は真空下または減圧下や不活性ガス雰囲気下にして酸化分解等を防止することが好ましい。
押出し流量は、ギヤポンプを導入するなどして安定に行うことが好ましい。また、異物の除去に用いるフィルターは、ステンレス繊維焼結フィルターが好ましく用いられる。
ステンレス繊維焼結フィルターは、ステンレス繊維体を複雑に絡み合った状態を作り出した上で圧縮し接触箇所を焼結し一体化したもので、その繊維の太さと圧縮量により密度を変え、濾過精度を調整できる。
可塑剤や粒子などの添加剤は、予め樹脂と混合しておいてもよいし、押出し機の途中で練り込んでもよい。均一に添加するために、スタチックミキサーなどの混合装置を用いることが好ましい。
冷却ロールと弾性タッチロールでフィルムをニップする際のタッチロール側のフィルム温度はフィルムのTg以上Tg+110℃以下にすることが好ましい。このような目的で使用する弾性体表面を有するロールは、公知のロールが使用できる。
弾性タッチロールは挟圧回転体ともいう。弾性タッチロールとしては、登録特許3194904号、登録特許3422798号、特開2002−36332号、特開2002−36333号などで開示されているタッチロールを好ましく用いることができる。これらは市販されているものを用いることもできる。
冷却ロールからフィルムを剥離する際は、張力を制御してフィルムの変形を防止することが好ましい。
また、上記のようにして得られたフィルムは、冷却ロールに接する工程を通過後、前記延伸操作により延伸することが好ましい。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを好ましく用いることができる。延伸温度は、通常フィルムを構成する樹脂のTg〜Tg+60℃の温度範囲で行われることが好ましい。
巻き取る前に、製品となる幅に端部をスリットして裁ち落とし、巻き中の貼り付きやすり傷防止のために、ナール加工(エンボッシング加工)を両端に施してもよい。ナール加工の方法は凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。なお、フィルム両端部のクリップの把持部分は通常、フィルムが変形しており製品として使用できないので切除されて、再利用される。
<機能性層>
本発明に係るハードコートフィルムには、帯電防止層、バックコート層、反射防止層、易滑性層、接着層、防眩層、バリアー層等の機能性層を設けることができる。
<偏光板>
本発明の光学フィルムは偏光板保護フィルムとして使用することが好ましい。偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の光学フィルムの裏面側をアルカリ鹸化処理し、処理した光学フィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子を挟むように両面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがあるがこれのみに限定されるものではない。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μm、好ましくは8〜15μmの偏光子が好ましく用いられる。
<液晶表示装置>
本発明の光学フィルムを用いて作製した本発明の偏光板を表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた画像表示装置を作製することができる。
本発明の光学フィルムは偏光板に組み込まれ、反射型、透過型、半透過型液晶表示装置またはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型、OCB型等の各種駆動方式の液晶表示装置で好ましく用いられる。特に高コントラストなVA型(PVA型、MVA型)液晶表示装置に好ましく用いられる。
また、本発明の液晶表示装置に用いられるバックライトはサイドライト型であっても直下型であっても、これらを組み合わせたものであってもよいが、直下型バックライトであることがコントラスト向上の観点から好ましい。
特に好ましい直下型バックライトは、赤色(R)LED、緑色(G)LED、及び青色(B)LEDを有するカラー液晶表示装置用LEDバックライトであって、例えば、上記赤色(R)LEDのピーク波長が610nm以上であり、上記緑色(G)LEDのピーク波長が530±10nmの範囲内であり、上記青色(B)LEDのピーク波長が480nm以下であるものが好ましく用いられる。
ピーク波長が上記範囲内の緑色(G)LEDの種類としては、例えば、DG1112H(スタンレー電気(株)製)、UG1112H(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3G(豊田合成(株)製)、E1L49−3G(豊田合成(株)製)、NSPG500S(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。赤色(R)LEDとして用いられるLEDの種類としては、例えばFR1112H(スタンレー電気(株)製)、FR5366X(スタンレー電気(株)製)、NSTM515AS(日亜化学工業(株)製)、GL3ZR2D1COS(シャープ(株)製)、GM1JJ35200AE(シャープ(株)製)等が挙げられる。青色(B)LEDとして用いられるLEDの種類としては、DB1112H(スタンレー電気(株)製)、DB5306X(スタンレー電気(株)製)、E1L51−3B(豊田合成(株)製)、E1L4E−SB1A(豊田合成(株)製)、NSPB630S(日亜化学工業(株)製)、NSPB310A(日亜化学工業(株)製)等が挙げられる。
上述した3色のLEDを組み合わせてバックライトとすることができる。或いは白色LEDを用いることもできる。
このほか、直下型バックライト(若しくは直下方式)としては、特開2001−281656号に記載の直下型バックライトや、特開2001−305535号記載のLED等の点状光源を使用した直下型バックライト、特開2002−311412号記載の直下方式のバックライトなどが挙げられるが特にこれらのみに限定されるわけではない。
このようなバックライトを用いても、本発明の長尺状偏光板を用いることで、長期間に渡り、正面コントラストの高い視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
実施例1
<光学フィルム101の作製>
〈ドープ組成物101〉
下記の材料を、順次密閉容器中に投入し、容器内温度を20℃から80℃まで昇温した後、温度を80℃に保ったままで3時間攪拌を行って、セルロースエステルを完全に溶解した。酸化ケイ素微粒子は予め添加する溶媒と少量のセルロースエステルの溶液中に分散して添加した。このドープを濾紙(安積濾紙(株)製、安積濾紙No.244)を使用して濾過し、ドープ組成物1を得た。
セルロースエステルCE1 100質量部
本発明のエステル化合物2 10質量部
酸化ケイ素微粒子 0.2質量部
(アエロジルR972V、日本アエロジル(株)製)
チヌビン109(チバ・ジャパン(株)製) 1質量部
チヌビン171(チバ・ジャパン(株)製) 1質量部
位相差調整剤1 5質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
ブタノール 5質量部
次に、得られたドープ組成物101を、温度35℃に保温した流延ダイを通じてステンレス鋼製エンドレスベルトよりなる温度35℃の支持体上に流延して、ウェブを形成した。ついで、ウェブを支持体上で乾燥させ、ウェブの残留溶媒量が80質量%になった段階で、剥離ロールによりウェブを支持体から剥離した。
剥離後のウェブを、上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で90℃の乾燥風にて乾燥させながら搬送し、続いてテンターでウェブ両端部を把持した後、温度130℃で幅方向に延伸前の1.5倍となるように延伸した。テンターでの延伸の後、ウェブを上下に複数配置したロールによる搬送乾燥工程で、温度135℃の乾燥風にて乾燥させた。
乾燥工程の雰囲気置換率15(回/時間)とした雰囲気内で15分間熱処理した後、室温まで冷却して巻き取り、幅1.5m、膜厚40μm、長さ4000m、屈折率1.49の長尺の光学フィルム101を作製した。またフィルムは、両端部に幅1cm、平均高さ10μmのナーリング加工を施して巻き取った。なお、この作製方法でのRo、Rtの目標値は、50nm、125nmである。
この作製を5回行い、ロット間での平均Rtの最大値、最小値の差ΔRtを位相差安定性の評価とした。
この光学フィルム101の作製において、セルロースエステル樹脂および本発明のエステル化合物に代えて添加剤を、表1に示したものに変更して同様の光学フィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
ただし、光学フィルム102は、位相差調整剤は添加しなかった。
CE1:トリアセチルセルロース(アセチル基置換度2.95)Mw200000
CE2:トリアセチルセルロース(アセチル基置換度2.80)Mw250000
CE3:セルロースアセテートプロピオネート(アシル基総置換度2.75、アセチル基置換度0.20、プロピオニル基置換度2.55)Mw185000
CE4:ジアセチルセルロース(アセチル基置換度2.10)Mw170000
添加剤1(トリメチロールプロパントリベンゾエート)
添加剤2:トリフェニルホスフィン
添加剤3:モノペットSB(第1工業製薬(株))
添加剤4:ジフェニルビフェニルホスフェート
添加剤5:エチルフタリルエチルグリコレート
添加剤6:ポリ(アジピン酸/プロピレングリコール)エステルMw1000
位相差調整剤1:下記構造のトリアジン化合物
Figure 0005251857
Figure 0005251857
表1から明らかなように、本発明の化合物では、位相差の安定性が大きい。
実施例2
<光学フィルム201の作製>
下記組成で、溶融流延によりフィルム201を作製した。
〈光学フィルム201組成物〉
セルロースエステルCE2 94質量部
本発明のエステル化合物 5質量部
Irganox 1010(チバ・ジャパン(株)製) 0.5質量部
Irgafos P−EPG(チバ・ジャパン(株)製) 0.3質量部
HP−136(チバ・ジャパン(株)製) 0.2質量部
上記セルロースエステルを70℃、3時間減圧下で乾燥を行い室温まで冷却した後、各添加剤を混合した。
以上の混合物を弾性タッチロールを用いた製造装置で製膜した。窒素雰囲気下、240℃にて溶融して流延ダイから第1冷却ロール上に押し出し、第1冷却ロールとタッチロールとの間にフィルムを挟圧して成形した。また押出し機中間部のホッパー開口部から、滑り剤としてシリカ粒子(日本アエロジル社製)を、0.1質量部となるよう添加した。
流延ダイのギャップの幅がフィルムの幅方向端部から30mm以内では0.5mm、その他の場所では1mmとなるようにヒートボルトを調整した。タッチロールとしては、その内部に冷却水として80℃の水を流した。
流延ダイから押し出された樹脂が第1冷却ロールに接触する位置P1から第1冷却ロールとタッチロールとのニップの第1冷却ロール回転方向上流端の位置P2までの、第1冷却ローラの周面に沿った長さLを20mmに設定した。
その後、タッチロールを第1冷却ロールから離間させ、第1冷却ロールとタッチロールとのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tを測定した。第1冷却ロールとタッチロールとのニップに挟圧される直前の溶融部の温度Tは、ニップ上流端P2よりも更に1mm上流側の位置で、温度計(安立計器(株)製HA−200E)により測定した。測定の結果、温度Tは141℃であった。
タッチロールの第1冷却ロールに対する線圧は14.7N/cmとした。更に、テンターに導入し、巾方向に160℃で1.5倍延伸した後、巾方向に3%緩和しながら30℃まで冷却し、その後クリップから開放し、クリップ把持部を裁ち落とし、フィルム両端に幅20mm、高さ25μmのナーリング加工を施し、巻き取り張力220N/m、テーパー40%で巻芯に巻き取った。
巻芯の大きさは、内径152mm、外径165〜180mm、長さ1550mmであった。この巻芯母材として、エポキシ樹脂をガラス繊維、カーボン繊維に含浸させたプリプレグ樹脂を用いた。巻芯表面にはエポキシ導電性樹脂をコーティングし、表面を研磨して、表面粗さRaは0.3μmに仕上げた。なお、膜厚は40μm、巻長は3500mとし、屈折率1.49の光学フィルム201を作製した。なお、この作製方法でのRo、Rtの目標値は、50m、125nmである。
この作製を5回行い、ロット間での平均Rtの最大値、最小値の差ΔRtを位相差安定性の評価とした。
この光学フィルム201の作製において、セルロースエステル樹脂および本発明のエステル化合物に代えて添加剤を、表2に示したものに変更して同様の光学フィルムを作製した。評価結果を表2に示す。
添加剤7:グリセリントリベンゾエート
Figure 0005251857
表2から明らかなように、本発明の化合物では、位相差の安定性が大きい。
実施例3
<光学フィルム301の作製>
(ドープ液301組成)
ダイヤナールBR85(三菱レイヨン(株)製) 50質量部
セルロースCE2 50質量部
本発明のエステル化合物 5質量部
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 40質量部
上記組成物を、加熱しながら十分に溶解し、ドープ液1を作製した。
この作製したドープ液を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力180N/mでステンレスバンド支持体上から剥離ロールによって剥離した。
剥離したウェブを第1MD延伸工程において60℃で溶媒を蒸発させながら搬送張力180N/mでMD延伸し、その後1.6m幅にスリットし、テンター(TD延伸工程)へと搬送した。この時、剥離ロールからTD延伸工程起点ロールまでの搬送方向の延伸率M1は15%であった。
その後、テンターで幅方向に1.5倍に延伸しながら、145℃で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、第2MD延伸工程において130℃で緩和を行った後、120℃で多数のロールで搬送張力100N/mの力で搬送させながら乾燥させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻き取り、光学フィルム301を作製した。なお、この作製方法でのRo、Rtの目標値は、Ro、Rtともにゼロである。
この作製を5回行い、ロット間での平均Rtの最大値、最小値の差ΔRtを位相差安定性の評価とした。
この光学フィルム301の作製において、セルロースエステル樹脂および本発明のエステル化合物に代えて添加剤を、表3に示したものに変更して同様の光学フィルムを作製した。評価結果を表3に示す。
ダイヤナールBR85:アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製)
Figure 0005251857
表3から明らかなように、本発明の化合物では、位相差の安定性が大きい。

Claims (2)

  1. イソソルビドエステル化合物およびセルロースエステル樹脂を含有することを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記イソソルビドエステル化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の光学フィルム。
    Figure 0005251857
    R1、R2は、炭素数1〜22のアルキル基、アルケニル基またはアリル基を表し、R3〜R8は、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、アルコキシ基を表す。
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