JP2017040670A - バーティカルアライメント用位相差フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 高温高湿環境下での画面ムラを改善できる位相差フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】 総アシル基置換度が2.80〜2.95の範囲内であるセルロースアシレートと、二糖類または三糖類と、位相差上昇剤とを含有し、該二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が、5〜35の範囲内であり、波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmである、バーティカルアライメント用位相差フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、バーティカルアライメント用位相差フィルムに関するものである。
昨今、自動車搭載用の液晶ディスプレイ、大型液晶テレビのディスプレイ、携帯電話、ノートパソコン等の普及から液晶表示装置(以下、LCDとも言う)の需要が旺盛である。このようなLCDには、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されている。LCDの需要が増加し、これに合わせ使用される偏光板についても薄膜化、軽量化、高生産化が要望されている。さらに、LCDの大画面化に伴い、部材としての偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の薄膜化、広面積化が求められている。さらに近年、大画面化、高精細感のある映像を両立した4Kが開発されている。
このようなLCDには、偏光フィルムや位相差フィルムなどの種々な光学フィルムが使用されており、大画面化、高精細感を満たすために、部材としての偏光板保護フィルム、位相差フィルム等の性能の要求も高まってきている。
一方、液晶表示素子の用途拡大に伴い、液晶テレビのバックライトには従来から冷陰極管(CCFL)が用いられてきたが、水銀を含む、温度特性が悪い、消費電力が大きい、高速点滅が出来ない等の欠点があり、これらを解消するためにバックライトのLED化が検討されてきた。白色LEDは、青色LEDに黄色蛍光体を混合した構成や、青色LEDに緑色蛍光体と赤色蛍光体を組み合わせた構成があり、擬似的に白色再現を行っている。
このように、バックライトとしてLEDを用いることで消費電力を抑えることができ、初期段階では高コントラストを達成することが出来る。しかしながら、長期間にわたり高温高湿環境下で保存されると、色調変動が大きな問題であり、特に、大画面化した場合には、画面の各所で明るさや色のばらつきが起こってしまう。部材の薄膜化にも影響をうけて高温高湿下でのバックライト内の蛍光体の寿命を短くしており、その結果が画面に影響している(特許文献1)。
一方、上記のような液晶表示装置に用いられる位相差フィルムにおいては、視野角を拡大させるために位相差上昇剤を含有する場合がある。含窒素複素環を含む位相差上昇剤は、位相差の発現性も高く、部材が薄膜化しても、視野角が保持できる(特許文献2)。
しかしながら、上記の位相差上昇剤は、長時間にわたり高温高湿環境下で保存されると、安定性が低く、分解してしまう問題があり、位相差フィルムの位相差が減少してしまう。その結果、画面上での色ムラが各所で起こってしまう。特に、大画面化、高精細化した場合には画面の明るさや色のばらつきが顕著化してしまうことが分かった。
また他方で、上記のような液晶表示装置に用いられる位相差フィルムでは、位相差発現性の高い低置換度のセルロースアセテートフィルムが用いられているが、低置換度のセルロースアセテートフィルムは、一般的には加水分解を受けやすい特性を有し、また、添加している添加剤の特性から、薄膜化が困難とされている。この問題に対し、セルロースアセテートフィルムに、加水分解調整剤あるいは位相差制御剤として糖エステル化合物を添加する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかしながら、セルロースアセテートフィルムに対し、単に糖エステル化合物を可塑剤として添加した場合には、上記と同様に、高温高湿環境下で長期間にわたり保存された後での色調変動が大きくなり、特に、大画面化した場合には色ムラや画像ムラとして顕在化してしまう。
特開2010−241995号公報 韓国公開特許第2011−0037289号公報 特開2011−53645号公報
このように、従来、長期間にわたり高温高湿環境下で保存されると、色調変動が非常に大きな問題となっており、特に、大画面化した場合には、画面の各所で明るさや色のばらつきが起こってしまう。また、部材の薄膜化にも影響を受けて、高温高湿下でのバックライト内の蛍光体の寿命を短くしており、その結果が画面に影響している。
よって本発明は、高温高湿環境下での画面ムラを改善できる位相差フィルムを提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の特定の化合物を使用すると、高温高湿環境下での画面ムラを改善できる位相差フィルムを提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、総アシル基置換度が2.80〜2.95の範囲内であるセルロースアシレートと、二糖類または三糖類と、位相差上昇剤とを含有し、該二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が、5〜35の範囲内であり、波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmである、バーティカルアライメント用位相差フィルムを提供することで上記課題を解決する。
本発明によれば、高温高湿環境下での画面ムラを改善できる位相差フィルムを提供することができる。
カラーフィルター・オン・アレイ(COA)方式を採用した垂直配向型(バーティカルアライメント型)液晶表示装置の構成の一例を示す概念図。 液垂直配向型(バーティカルアライメント型)液晶表示装置の構成の一例を示す概念図。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。また、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上Y以下」を意味し、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」および「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%の条件で測定する。また、図面の比率は説明のために誇張されている場合もある。
<本発明の第1>
本発明の第1は、(1)総アシル基置換度が2.80〜2.95の範囲内であるセルロースアシレートと、(2)二糖類または三糖類と、(3)位相差上昇剤とを含有し、該二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が、5〜35の範囲内であり、波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmである、バーティカルアライメント用位相差フィルムである。
本発明において高温高湿環境下での画面ムラを改善できる位相差フィルムを提供することができるメカニズムについては以下のようであると推測される。すなわち、上記のように、白色LEDは、青色LEDに「黄色蛍光体」を混合した構成や、青色LEDに「緑色蛍光体と赤色蛍光体」を組み合わせた構成によって、擬似的に白色再現を行っている。
バックライトとしてLED(発光ダイオード)を用い、長期間にわたり高温高湿環境下で保存されると、バックライト内の蛍光体(黄色蛍光体、緑色蛍光体と赤色蛍光体)の寿命が短くなり、その結果、色調に変動が起こり、画面に影響していると考えられる。
この問題に対し、本発明の構成によれば、黄色蛍光体や、緑色蛍光体/赤色蛍光体が消滅する方向に向かっても、黄色着色糖としての二糖類または三糖類が機能し、高温高湿環境下での画面ムラを改善することができる。そして、本発明によれば、青色LEDに緑色蛍光体/赤色蛍光体を混合した構成でも、汎用的な構成である青色LEDに黄色蛍光体を混合した系にも適用することができる。なお、以下では、「緑色蛍光体/赤色蛍光体」の組み合わせも、単に、「黄色蛍光体」として表現する場合がある。
また、本発明のバーティカルアライメント用位相差フィルムにおける波長589nmにおける面内位相差値は、30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmである。これら範囲を逸脱する位相差フィルムを用いると、液晶の位相差を解消できないので、視認性が悪化してしまう。その結果、カラーシフトが顕著に表れてしまう。本発明のバーティカルアライメント用位相差フィルムにおける波長589nmにおける面内位相差値は、視野角補償の観点で好ましくは30〜110nmであり、より好ましくは30〜90である。また、厚さ方向位相差値は、視野角補償の観点で好ましくは70〜280nmであり、より好ましくは70〜260である。
以下、各構成要件について説明を行う。
(1)セルロースアシレート
本発明のセルロースアシレートは、総アシル基置換度が2.80〜2.95の範囲内である。ここで、総アシル基置換度とは、セルロースの繰り返し単位の2位、3位および6位について、エステル化している割合の合計を表す。したがって、セルロースの2位、3位および6位の全てが100%エステル化した場合、置換度は最大の3となる。
総アシル基置換度が2.80〜2.95である範囲から逸脱すると、糖エステル化合物との相溶性が悪く、カラーシフトが顕著に表れる。なお、総アシル基置換度の測定方法は、ASTMのD−817−96に準じて実施することができる。
なお、好ましい総アシル基置換度は、2.86〜2.92の範囲内である。かような範囲であることによってカラーシフト耐性をより向上させることができる。
本発明のセルロースアシレートの重量平均分子量(Mw)は、30000〜350000の範囲内であることが、流延時の製膜適性の観点や、得られるフィルムの機械的強度の観点から好ましい。また、150000〜320000の範囲内のものが好ましく用いられる。
本発明のセルロースアシレートの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
測定条件の一例を、以下に示す。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用する)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用する。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明で使用されるセルロースアシレートの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ(針葉樹由来、広葉樹由来)、ケナフ等を挙げることができる。また、それらから得られたセルロースアシレートは、それぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明で使用されるセルロースアシレートにおけるアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ペンタネート基、ヘキサネート基等が挙げられ、セルロースエステルとしては、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースペンタネート等が挙げられる。
よって、本発明のセルロースアシレートとしては、例えば、セルロース(ジ、トリ)アセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、およびセルロースフタレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。これらの中で特に好ましいセルロースエステルとしては、セルローストリアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
なお、本発明に係るセルロースアシレートは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号公報、特開2005−281645号公報、特開2009−161701号公報などに記載の方法を参考にして合成することができる。
(2)二糖類または三糖類
本発明の位相差フィルムには二糖類または三糖類が含まれる。そして、本発明で使用される二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.は、5〜35の範囲内である。
糖類として、単糖やそのエステル化合物を用いると、黄色味が大き過ぎ、よって、色相Y.I.が本発明の規定の範囲内に収まらず、結果、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を過剰に解消することになる。他方、糖類として、四糖以上のものまたはそれらのエステル化合物を用いると、黄色味が小さ過ぎることによって、色相Y.I.が本発明の規定の範囲内に収まらず、結果、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を解消できない。
また、糖エステル化合物以外の黄色化合物は、高温高湿環境下では、分解してしまい、黄色味が大きくなり、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を過剰に解消することになる。
つまりは、色相Y.I.が5未満のものを使用すると、黄色味が足りなく、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を解消できない。一方で、色相Y.I.が35を超えるものを用いると、黄色味が過剰となり、カラーシフト耐性が劣化する。
本発明のように、二糖類または三糖類を用い、また、55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が5〜35の範囲内にあるものを用いることにより、高温、高湿環境下で長期間にわたり保存した際に、製造初期から保存後における色相の変化率が極めて小さく、その結果、色味変動安定性や画像ムラ耐性が顕著に改良できる。
本発明で使用される二糖類または三糖類としては、55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.は、5〜35の範囲内であれば、特に制限はない。ただ、本発明で使用される二糖類または三糖類としては、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも一種を有する構造であることが好ましく、例えば、ラクトース、ニゲロトリオース、スクロース、ゲンチオトリオース、ラクチュロース、メレジトース、ゲンチオビオース、セロビオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、マルトトリロース、テアンデロース、ラフィノースもしくはケストースまたはこれらの構造異性体が挙げられる。
また好ましい形態によれば、本発明で使用される二糖類または三糖類は、その構造のOH基の一部をエステル化した糖エステル化合物であることが好ましい。その中でも、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも一種を有する糖エステル化合物であることが好ましい。なお、その糖エステル化合物を構成する二糖類または三糖類の具体例は、上記と同様のものを使用することができる。
また、OH基の一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は一種類でもよいし、二種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、より具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、Y−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、本発明の好ましい形態によれば、二糖類または三糖類の総質量は、セルロースアシレート100質量部に対して、1〜30質量%の範囲内である。このような範囲の含有量であることによって、カラーシフトを有意に抑制することができる。
また、本発明の好ましい形態では、二糖類または三糖類としては、総平均置換度6.00を超える糖エステル化合物を用いる。総平均置換度が6.00を超えることによって、セルロースアシレートとの相溶性を向上させ、カラーシフト耐性を向上させる効果がある。なお、相溶性との観点から、二糖類では好ましくは6.5〜7.8、より好ましくは6.8〜7.4である。一方、三糖類では、好ましくは7〜11、より好ましくは8〜10である。なお、本発明において、総平均置換度とは、二糖類の8つのヒドロキシ基のうち、水素原子以外の置換基(例えば、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基)で置換されている数を表す。例えば、下記一般式(1)においては、R〜Rのうち、水素原子以外の基を含む数を表す。したがって、一般式(1)において、R〜Rがすべて水素原子以外の置換基により置換された場合に、一般式(1)における置換度は最大値の8.0となり、他方で、一般式(1)において、R〜Rがすべて水素原子である場合には、一般式(1)における置換度は最小値の0.0となる。この考え方は、三糖類についても同様に適用され、置換度の最大値は11.0となり、置換度の最小値は0となる。
なお、本発明の二糖類または三糖類において、ヒドロキシ基の数、OR基の数が固定された単一種の化合物を合成することは困難であり、式中のヒドロキシ基の数、OR基の異なる成分が数種類混合された化合物となることが知られているため、置換度としては、総平均置換度を用いることが適当であり、常法により高速液体クロマトグラフィによって置換度分布を示すチャートの面積比から総平均置換度を測定することができる。
本発明の二糖類および三糖類の具体的な構造については、特に制限はないが、工業適性との観点から、以下のような構造を有するものが好適である。
式中、R〜R30は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基である。
アルキルカルボニル基としては、炭素数1〜10のアルキル基を有するカルボニル基であることが好ましく、より好ましくは1〜5のアルキル基を有するカルボニル基である。炭素数1〜10のアルキル基としては、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、c−ブチル基、n−ペンチル基、c−ペンチル基、n−ヘキシル基、c−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。中でも、機械的特性の観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、c−プロピル基が好ましい。
アリールカルボニル基としては、フェニル基、ナフチル基を有するカルボニル基であることが好ましい。
また、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基における置換基としても特に制限はなく、アルキルカルボニル基には、炭素数1〜5のアルコキシ基等の置換基が好適であり、アリールカルボニル基には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基等の置換基が好適である。なお、炭素数1〜5のアルキル基の具体例は上記のものが同様に妥当でき、炭素数1〜5のアルコキシ基の具体例も、同様である。また、置換基の数にも特に制限はないが、1〜4個程度が好適である。
また、本発明に係る一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物を合成するための、エステル化に用いられるカルボン酸類としては、特に制限はなく、前述のカルボン酸類を挙げることができる。
本発明に係る一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される化合物の具体例の一部を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。なお、下記表中に記載のRは、一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)におけるR〜R30を表す。
(本発明に用いられる糖エステル化合物の合成例)
以下に、本発明に用いられる糖エステル化合物の合成例を示す。
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.8モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で10時間エステル化反応を行なった。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗後、トルエン層を分取し、減圧下(4×10Pa以下)、75℃でトルエンを留去させ、平均置換度が7.0である例示化合物1−6を得た。化合物A−1、A−2、A−3、A−4およびA−5の混合物を得た。得られた混合物をHPLCおよびLC−MASSで解析したところ、A−1が7質量%、A−2が58質量%、A−3が23質量%、A−4が9質量%、A−5が3質量%であった。
上記の例のうち、反応物の量・触媒量・反応時間・反応温度を適宜変更することによりセルロースのエステル化操作を行うことによって、ベンゾエート基置換度を調整することができる。より具体的には、例えば、反応時間をより長くすることによってベンゾエート基置換度がより高いものを製造することができるし、例えば、反応温度を高くすることによってベンゾエート基置換度がより高いものを得る傾向がある。また、反応物の量・触媒量を、多くすることによってアセチル基置換度がより高いものを得る傾向がある。また、反応物を酢酸、トルイル酸、フェニル酢酸、トリメトキシ安息香酸を用いることで、置換度が異なる糖エステル化合物を得ることができる。
上記は、二糖類のものを一例に挙げて記載しているが、二糖類のものを上記以外の方法で製造してもよいし、また、三糖類についても同様に、上記例を参考にしたり、また従来公知の知見を利用し、あるいは組み合せることによって、製造することができる。
また、本発明において、二糖類または三糖類の色相Y.I.の値を制御する手段としては、最終的に二糖類または三糖類を製造する工程のうち、最終の乾燥工程における乾燥温度や乾燥時間を調整することにより、所望の色相Y.I.を有する二糖類または三糖類を得ることができる。色相Y.I.の値は、乾燥の進行(乾燥温度、乾燥時間)に従って常に変化する場合があるため、乾燥過程で色相Y.I.値をモニターしながら、所望の色相Y.I.の値に到達した段階で乾燥を終了させることが好ましい。
(3)位相差上昇剤
本発明に係る位相差フィルムには位相差上昇剤を含む。位相差上昇剤を含有させることによって視野角を拡大させることができる。また、位相差上昇剤を含むことは過度な延伸操作を避け、位相差を調整するための延伸時に発生するフィルム中の微細な割れ(クレーズ)や異物の配列によるコントラスト低下要因を抑制する上で好ましい。
上記のように、位相差上昇剤は、一般的に、高温高湿下で分解してしまい、位相差が減少し、カラーシフトが容易に起きてしまう。これに対し、本発明のような、特定の糖エステル化合物を添加することによって、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を解消する分、カラーシフトを抑制するという効果を有する。
位相差上昇剤は、セルロースアシレート100質量部に対して、例えば、0.1〜15質量%の割合で含有させることができ、さらには、1.0〜7.0質量%の割合で含有させることが好ましい。また、二種類以上の位相差上昇剤を併用してもよい。
本明細書において、「芳香族環」は、芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン環)に加えて、芳香族性ヘテロ環を含む。芳香族性ヘテロ環は一般に、不飽和ヘテロ環である。芳香族性ヘテロ環は、5員環、6員環または7員環でありうる。ヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子および硫黄原子が好ましく、窒素原子が特に好ましい。よって、位相差上昇剤は、含窒素複素環化合物を含有することが好ましい。
芳香族性ヘテロ環の例には、フラン環、ジアゾール環、オキサジアゾール環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、イソオキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、イミダゾール環、ピラゾール環、フラザン環、トリアゾール環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環および1,3,5−トリアジン環が含まれる。
本明細書において、位相差上昇剤は、二つ以上の芳香族環を含んでいるものでもよく、二つ以上の芳香族環の結合関係は、(a)縮合環を形成する場合、(b)単結合で直結する場合および(c)連結基を介して結合する場合に分類できる。結合関係は、(a)〜(c)のいずれでもよい。
(a)の縮合環(二つ以上の芳香族環の縮合環)の例には、インデン環、ナフタレン環、アズレン環、フルオレン環、フェナントレン環、アントラセン環、アセナフチレン環、ビフェニレン環、ナフタセン環、ピレン環、インドール環、イソインドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、インドリジン環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、プリン環、インダゾール環、クロメン環、キノリン環、イソキノリン環、キノリジン環、キナゾリン環、シンノリン環、キノキサリン環、フタラジン環、プテリジン環、カルバゾール環、アクリジン環、フェナントリジン環、キサンテン環、フェナジン環、フェノチアジン環、フェノキサチイン環、フェノキサジン環およびチアントレン環が含まれる。ナフタレン環、アズレン環、インドール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環およびキノリン環が好ましい。
(b)の単結合は、二つの芳香族環の炭素原子間の結合であることが好ましい。二以上の単結合(アルキレン基)で二つの芳香族環を結合して、二つの芳香族環の間に脂肪族環または非芳香族性複素環を形成してもよい。(b)の組み合わせとしては、芳香族環、芳香族性ヘテロ環の組み合わせでもよい。
(c)の連結基も、二つの芳香族環の炭素原子と結合することが好ましい。連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、−CO−、−O−、−NH−、−S−またはそれらの組み合わせであることが好ましい。組み合わせからなる連結基の例を以下に示す。なお、以下の連結基の例の左右の関係は、逆になってもよい。
c1:−CO−O−
c2:−CO−NH−
c3:−アルキレン−O−
c4:−NH−CO−NH−
c5:−NH−CO−O−
c6:−O−CO−O−
c7:−O−アルキレン−O−
c8:−CO−アルケニレン−
c9:−CO−アルケニレン−NH−
c10:−CO−アルケニレン−O−
c11:−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−
c12:−O−アルキレン−CO−O−アルキレン−O−CO−アルキレン−O−
c13:−O−CO−アルキレン−CO−O−
c14:−NH−CO−アルケニレン−
c15:−O−CO−アルケニレン−
以上より、特には、カルバゾール環、キノキサリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環からなる群から選択される環を有する化合物の少なくとも一種であることが好ましい。
芳香族環および連結基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、アミノ、ニトロ、スルホ、カルバモイル、スルファモイル、ウレイド、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族アシル基、脂肪族アシルオキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシカルボニルアミノ基、アルキルチオ基、アルキルスルホニル基、脂肪族アミド基、脂肪族スルホンアミド基、脂肪族置換アミノ基、脂肪族置換カルバモイル基、脂肪族置換スルファモイル基、脂肪族置換ウレイド基および非芳香族性複素環基が含まれる。
アルキル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。環状アルキル基よりも鎖状アルキル基の方が好ましく、直鎖状アルキル基が特に好ましい。アルキル基は、さらに置換基(例、ヒドロキシ、カルボキシ、アルコキシ基、アルキル置換アミノ基)を有していてもよい。アルキル基の(置換アルキル基を含む)例には、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル、t−ブチル基、n−ヘキシル、2−ヒドロキシエチル、4−カルボキシブチル、2−メトキシエチルおよび2−ジエチルアミノエチルが含まれる。アルケニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルケニル基よりも鎖状アルケニル基の方が好ましく、直鎖状アルケニル基が特に好ましい。アルケニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよび1−ヘキセニルが含まれる。アルキニル基の炭素原子数は、2〜8であることが好ましい。環状アルキケニル基よりも鎖状アルキニル基の方が好ましく、直鎖状アルキニル基が特に好ましい。アルキニル基は、さらに置換基を有していてもよい。アルキニル基の例には、エチニル、1−ブチニルおよび1−ヘキシニルが含まれる。
脂肪族アシル基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシル基の例には、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルが含まれる。脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アシルオキシ基の例には、アセトキシが含まれる。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルコキシ基は、さらに置換基(例、アルコキシ基)を有していてもよい。アルコキシ基の(置換アルコキシ基を含む)例には、メトキシ、エトキシ、ブトキシおよびメトキシエトキシが含まれる。アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルおよびエトキシカルボニルが含まれる。アルコキシカルボニルアミノ基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノおよびエトキシカルボニルアミノが含まれる。
アルキルチオ基の炭素原子数は、1〜12であることが好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ、エチルチオおよびオクチルチオが含まれる。アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。アルキルスルホニル基の例には、メタンスルホニルおよびエタンスルホニルが含まれる。
脂肪族アミド基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族アミド基の例には、アセトアミドが含まれる。脂肪族スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ブタンスルホンアミドおよびn−オクタンスルホンアミドが含まれる。脂肪族置換アミノ基の炭素原子数は、1〜10であることが好ましい。脂肪族置換アミノ基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよび2−カルボキシエチルアミノが含まれる。脂肪族置換カルバモイル基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換カルバモイル基の例には、メチルカルバモイルおよびジエチルカルバモイルが含まれる。脂肪族置換スルファモイル基の炭素原子数は、1〜8であることが好ましい。脂肪族置換スルファモイル基の例には、メチルスルファモイルおよびジエチルスルファモイルが含まれる。脂肪族置換ウレイド基の炭素原子数は、2〜10であることが好ましい。脂肪族置換ウレイド基の例には、メチルウレイドが含まれる。非芳香族性複素環基の例には、ピペリジノおよびモルホリノが含まれる。位相差上昇剤の分子量は、揮散性と相溶性の両立のため、300〜800であることが好ましい。
また、位相差上昇剤の例として、特開2013−137357、特開2000−111914号および特開2000−275434号の各明細書に記載の化合物を挙げることができる。
(4)微粒子
本発明の位相差フィルムには、取扱性を向上させる観点から、例えば、二酸化ケイ素(シリカ)、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の無機微粒子や架橋高分子などから構成される有機微粒子を含有させることが好ましい。中でも、二酸化ケイ素(シリカ)が位相差フィルムのヘイズを低く抑えることができる観点から好ましい。これらは溶液中に分散しているものを用いてもよく、当該溶液としては、エタノールなどのアルコールが好適である。その際の濃度にも特に制限はないが、例えば、5〜20質量%程度である。
微粒子の一次平均粒子径としては、20nm以下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmの範囲内であり、特に好ましくは、5〜12nmの範囲内である。
これらの微粒子は、0.1〜5μmの粒径範囲の二次粒子を形成して位相差フィルムに含まれることが好ましく、好ましい二次粒子としての平均粒径は0.1〜2μmの範囲内であり、更に好ましくは0.2〜0.6μmの範囲内である。これにより、フィルム表面に高さが0.1〜1.0μm程度の範囲の凹凸構造を形成し、これによってフィルム表面に適切な滑り性を与えることができる。なお、本発明に用いる微粒子の一次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で粒子の観察を行い、粒子100個を観察して粒子径を測定し、その平均値をもって、一次平均粒子径とする。
微粒子の見掛け比重としては、70g/リットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200g/リットルの範囲内であり、特に好ましくは、100〜200g/リットルの範囲内である。見掛け比重が大きい程、高濃度の分散液を調製することが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化するため好ましく、また、固形分濃度の高いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
微粒子は、セルロースアシレート100質量部に対して、例えば、0.05〜1.0質量%の割合で含有させることができ、さらには、0.1〜0.5質量%の割合で含有させることが好ましい。
一次粒子の平均径が20nm以下、見掛け比重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例えば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1000〜1200℃の温度範囲内にて空気中で燃焼させることで得ることができる。また、例えば、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812(以上、日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、それらを使用することもできる。
上記記載の見掛け比重は、二酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時の容積と質量を測定し、下記式で算出したものである。
(4)可塑剤
本発明の位相差フィルムには、可塑剤を含ませてもよい。このように、本発明の特定の糖類と、添加剤とを組み合わせることによって、可塑剤分布が良くなり、後述のA、B面で密着性が良化する。無論、可塑剤を添加しない場合であったとしても、本発明の特定の糖エステル化合物の存在により、可塑剤分布が良くなり、後述のA、B面で密着性が良化する。
可塑剤の例には、ポリエステル化合物、多価アルコールエステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物(フタル酸エステル化合物を含む)、グリコレート化合物、およびエステル化合物(脂肪酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などを含む)が含まれる。これらは、単独で用いても、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル化合物は、ジカルボン酸とジオールを反応させて得られる繰り返し単位を含む化合物である。
ポリエステル化合物を構成するジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸または脂環式ジカルボン酸であり、好ましくは芳香族ジカルボン酸である。ジカルボン酸は、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
ポリエステル化合物を構成するジオールは、芳香族ジオール、脂肪族ジオールまたは脂環式ジオールであり、好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは炭素数1〜4のジオールである。ジオールは、一種類であっても、二種類以上の混合物であってもよい。
なかでも、ポリエステル化合物は、少なくとも芳香族ジカルボン酸を含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことが好ましく;芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸とを含むジカルボン酸と、炭素数1〜4のジオールとを反応させて得られる繰り返し単位を含むことがより好ましい。
ポリエステル化合物の分子の両末端は、封止されていても、封止されていなくてもよいが、フィルムの透湿性を低減する観点からは、封止されていることが好ましい。
ポリエステル化合物は、式(1)または(2)で表される化合物であることが好ましい。下記式において、nは1以上の整数である。
式(1)
B−(G−A)n−G−B
式(2)
C−(A−G)n−A−C
式(1)および(2)のAは、炭素原子数3〜20(好ましくは4〜12)のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基、炭素原子数4〜20(好ましくは4〜12)のアルケニレンジカルボン酸から誘導される2価の基、または炭素原子数8〜20(好ましくは8〜12)のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基を表す。
Aにおける炭素原子数3〜20のアルキレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、1,2-エタンジカルボン酸(コハク酸)、1,3-プロパンジカルボン酸(グルタル酸)、1,4-ブタンジカルボン酸(アジピン酸)、1,5−ペンタンジカルボン酸(ピメリン酸)、1,8−オクタンジカルボン酸(セバシン酸)などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数4〜20のアルケニレンジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、マレイン酸、フマル酸などから誘導される2価の基が含まれる。Aにおける炭素原子数8〜20のアリールジカルボン酸から誘導される2価の基の例には、1,2-ベンゼンジカルボン酸(フタル酸)、1,3-ベンゼンジカルボン酸、1,4-ベンゼンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸などのナフタレンジカルボン酸などから誘導される2価の基が含まれる。
Aは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。なかでも、Aは、炭素原子数4〜12のアルキレンジカルボン酸と炭素原子数8〜12のアリールジカルボン酸との組み合わせが好ましい。
式(1)および(2)のGは、炭素原子数2〜20(好ましくは2〜12)のアルキレングリコールから誘導される2価の基、炭素原子数6〜20(好ましくは6〜12)のアリールグリコールから誘導される2価の基、または炭素原子数4〜20(好ましくは4〜12)のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基を表す。
Gにおける炭素原子数2〜20のアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールペンタン)、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(3,3-ジメチロールヘプタン)、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、および1,12-オクタデカンジオール等から誘導される2価の基が含まれる。
Gにおける炭素原子数6〜20のアリールグリコールから誘導される2価の基の例には、1,2-ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、1,3-ジヒドロキシベンゼン(レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)などから誘導される2価の基が含まれる。Gにおける炭素原子数が4〜12のオキシアルキレングリコールから誘導される2価の基の例には、ジエチレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコールなどから誘導される2価の基が含まれる。
Gは、一種類であっても、二種類以上が組み合わされてもよい。なかでも、Gは、炭素原子数2〜12のアルキレングリコールであることが好ましい。
式(1)のBは、芳香環含有モノカルボン酸または脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基である。
芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基における芳香環含有モノカルボン酸は、分子内に芳香環を含有するカルボン酸であり、芳香環がカルボキシル基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してカルボキシル基と結合したものも含む。芳香環含有モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸、フェニル酢酸、3−フェニルプロピオン酸などから誘導される1価の基が含まれる。
脂肪族モノカルボン酸から誘導される1価の基の例には、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、カプリル酸、カプロン酸、デカン酸、ドデカン酸、ステアリン酸、オレイン酸などから誘導される1価の基が含まれる。なかでも、アルキル部分の炭素原子数が1〜3であるアルキルモノカルボン酸から誘導される1価の基が好ましく、アセチル基(酢酸から誘導される1価の基)がより好ましい。
式(2)のCは、芳香環含有モノアルコールまたは脂肪族モノアルコールから誘導される1価の基である。
芳香環含有モノアルコールは、分子内に芳香環を含有するアルコールであり、芳香環がOH基と直接結合したものだけでなく、芳香環がアルキレン基などを介してOH基と結合したものも含む。芳香環含有モノアルコールから誘導される1価の基の例には、ベンジルアルコール、3−フェニルプロパノールなどから誘導される1価の基が含まれる。
脂肪族モノアルコールから誘導される1価の基の例には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ペンタノール、イソペンタノール、ヘキサノール、イソヘキサノール、シクロヘキシルアルコール、オクタノール、イソオクタノール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、イソノニルアルコール、tert−ノニルアルコール、デカノール、ドデカノール、ドデカヘキサノール、ドデカオクタノール、アリルアルコール、オレイルアルコールなどから誘導される1価の基が含まれる。なかでも、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素原子数1〜3のアルコールから誘導される1価の基が好ましい。
ポリエステル化合物の重量平均分子量は、300〜1500であることが好ましく、400〜1000であることがより好ましい。重量平均分子量が300未満であるポリエステル化合物が、光学フィルムから染み出しやすいことがある。
ポリエステル化合物の具体例を、以下に示す。まず、「芳香族基」で両末端を封止したポリエステル化合物の具体例を示す。
(m=0〜5、n=0〜5)
次に、「脂肪族基」で両末端を封止したポリエステル化合物の具体例を、以下に示す。
(m=0〜5、n=0〜5)
P−1:アジピン酸/フタル酸/エタンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量950)の両末端のアセチルエステル化体
P−2:コハク酸/フタル酸/エタンジオール/(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量2500)の両末端のアセチルエステル化体
P−3:グルタル酸/イソフタル酸/1,3−プロパンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量1300)の両末端のアセチルエステル化体
P−4: コハク酸/グルタル酸/アジピン酸/テレフタル酸/イソフタル酸/エタンジオール/1,2−プロパンジオール(1/1/1/1/1/3/2 モル比)からなる縮合物(数平均分子量3000)の両末端のプロピルエステル化体
P−5: コハク酸/フタル酸/エタンジオール/(1/1/2 モル比)からなる縮合物(重量平均分子量2100)の両末端のブチルエステル化体
P−6: アジピン酸/テレフタル酸/1,2−プロパンジオール(1/1/2 モル比)からなる縮合物(数平均分子量2500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
P−7: コハク酸/テレフタル酸/ポリ(平均重合度5)プロピレンエーテルグリコール/1,2−プロパンジオール(2/1/1/2モル比)からなる縮合物(重量平均分子量3500)の両末端の2−エチルヘキシルエステル化体
多価アルコールエステル化合物は、2価以上の脂肪族多価アルコールと、モノカルボン酸とのエステル化合物(アルコールエステル)であり、好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。多価アルコールエステル化合物は、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。
脂肪族多価アルコールの好ましい例には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメチロールエタン、キシリトール等が含まれる。なかでも、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールなどが好ましい。
モノカルボン酸は、特に制限はなく、脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸等でありうる。フィルムの透湿性を高め、かつ揮発しにくくするためには、脂環式モノカルボン酸または芳香族モノカルボン酸が好ましい。モノカルボン酸は、一種類であってもよいし、二種以上の混合物であってもよい。また、脂肪族多価アルコールに含まれるOH基の全部をエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
脂肪族モノカルボン酸は、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸であることが好ましい。脂肪族モノカルボン酸の炭素数はより好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。脂肪族モノカルボン酸の例には、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸;ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等が含まれる。なかでも、セルロースアセテートとの相溶性を高めるためには、酢酸、または酢酸とその他のモノカルボン酸との混合物が好ましい。
脂環式モノカルボン酸の例には、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸などが含まれる。
芳香族モノカルボン酸の例には、安息香酸;安息香酸のベンゼン環にアルキル基またはアルコキシ基(例えばメトキシ基やエトキシ基)を1〜3個を導入したもの(例えばトルイル酸など);ベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸(例えばビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸など)が含まれ、好ましくは安息香酸である。
多価アルコールエステル化合物の具体例を以下に示す。2価のアルコールエステル化合物の例には、以下のものが含まれる。
3価以上のアルコールエステル化合物の例には、以下の化合物が含まれる。
多価カルボン酸エステル化合物は、2価以上、好ましくは2〜20価の多価カルボン酸と、アルコール化合物とのエステル化合物である。多価カルボン酸は、2〜20価の脂肪族多価カルボン酸であるか、3〜20価の芳香族多価カルボン酸または3〜20価の脂環式多価カルボン酸であることが好ましい。
多価カルボン酸の例には、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などが含まれ、フィルムからの揮発を抑制するためには、オキシ多価カルボン酸が好ましい。
アルコール化合物の例には、直鎖もしくは側鎖を有する脂肪族飽和アルコール化合物、直鎖もしくは側鎖を有する脂肪族不飽和アルコール化合物、脂環式アルコール化合物または芳香族アルコール化合物などが含まれる。脂肪族飽和アルコール化合物または脂肪族不飽和アルコール化合物の炭素数は、好ましくは1〜32であり、より好ましくは1〜20であり、さらに好ましくは1〜10である。脂環式アルコール化合物の例には、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどが含まれる。芳香族アルコール化合物の例には、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどが含まれる。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は、特に制限はないが、300〜1000であることが好ましく、350〜750であることがより好ましい。多価カルボン酸エステル系可塑剤の分子量は、ブリードアウトを抑制する観点では、大きいほうが好ましく;透湿性やセルロースアセテートとの相溶性の観点では、小さいほうが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の例には、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が含まれる。
多価カルボン酸エステル化合物は、フタル酸エステル化合物であってもよい。フタル酸エステル化合物の例には、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が含まれる。
グリコレート化合物の例には、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が含まれる。アルキルフタリルアルキルグリコレート類の例には、メチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が含まれ、好ましくはエチルフタリルエチルグリコレートである。
エステル化合物には、脂肪酸エステル化合物、クエン酸エステル化合物やリン酸エステル化合物などが含まれる。
脂肪酸エステル化合物の例には、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、およびセバシン酸ジブチル等が含まれる。クエン酸エステル化合物の例には、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、およびクエン酸アセチルトリブチル等が含まれる。リン酸エステル化合物の例には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ビフェニルジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、およびトリブチルホスフェート等が含まれ、好ましくはトリフェニルホスフェートである。
(6)紫外線吸収剤
本発明の位相差フィルムおいては、必要に応じて、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は、400nm以下の紫外線を吸収する特性を備えた化合物であり、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いることのできる紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等がある。また、市販品として入手することも可能であり、例えば、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328、チヌビン928等のチヌビン類があり、これらはいずれもBASFジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤である。
この他、1,3,5−トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明の位相差フィルムは、紫外線吸収剤を2種以上含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号公報に記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール類やメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒に、紫外線吸収剤を所望の濃度で溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶媒に溶解しないものは、有機溶媒とセルロースアシレート中にディゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加することが好ましい。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、位相差フィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの範囲内である場合は、位相差フィルムに対して0.5〜10質量%の範囲内で添加することが好ましく、0.6〜4質量%の範囲内が更に好ましい。
(7)酸化防止剤
本発明の位相差フィルムにおいては、酸化防止剤を用いることができる。酸化防止剤は劣化防止剤あるいは安定剤ともいわれ、例えば、位相差フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により位相差フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする効果を有するので含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロースアシレートに対して質量割合で1ppm〜1.0%の範囲が好ましく、10〜1000ppmの範囲が更に好ましい。
〔位相差フィルムの特性値〕
(イエローインデックス値Y.I.)
本発明の位相差フィルムにおいては、黄色味の指標の一つであるイエローインデックスY.I.が、0.6<Y.I.<2.0の範囲内にあることが好ましい。
本発明においては、特定のセルロースアシレートと、特定の糖類とを組み合わせることによって、所望のイエローインデックス値Y.I.にすることができている。
本発明でいう位相差フィルムのイエローインデックス(Y.I.)値は、JIS規格K7105−6.3に記載の方法で求めることができる。本発明における具体的なイエローインデックス値の測定方法としては、実施例に記載のように、日立製作所製の分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックス値を求めた。
〔位相差フィルムの物性値〕
本発明の位相差フィルムの透湿度は、40℃、90%RHの環境下で測定したとき、300〜1800g/m・24hの範囲内であることが好ましく、更に400〜1500g/m・24hの範囲内であることが好ましく、40〜1300g/m・24hの範囲内であることが特に好ましい。ここでいう透湿度は、JIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
本発明の位相差フィルムの破断伸度は10〜80%の範囲内であることが好ましく20〜50%の範囲内であることが更に好ましい。
破断伸度は、JIS K7127−1999に準拠した測定により、フィルムの遅相軸方向、およびそれと直交する方向の破断点応力(MPa)を測定し、この破断点応力にフィルムの膜厚を掛けたものを破断伸度(N)として算出する。
本発明の位相差フィルムの可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。可視光透過率は、島津製作所製の分光光度計V−2450を用い、可視光領域(400〜700nm)における平均透過率を求めることができる。
本発明の位相差フィルムのヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.4%の範囲であることが特に好ましい。本発明の位相差フィルムのヘイズは、例えば、ヘイズ計(1001DP型、日本電色工業(株)製)を用いて測定することができる。
《位相差フィルムの製造方法》
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムは、溶液流延法で製造されたフィルムであっても、溶融流延法で製造されたフィルムであっても、いずれも好ましく用いることができる。
本発明の位相差フィルムの溶液流延法による製造プロセスとしては、主に、セルロースアシレートおよび添加剤を溶媒に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体からウェブを剥離する工程、延伸または幅を保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
はじめに、ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースアシレートの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できる点で好ましいが、セルロースアシレートの濃度が高すぎると、濾過時の負荷が増えて、濾過精度が低下する。これらを両立する濃度としては、10〜40質量%の範囲内が好ましく、更に好ましくは、15〜35質量%の範囲内である。
ドープで用いられる有機溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースアシレートの良溶媒と貧溶媒を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶媒が多い方がセルロースアシレートの溶解性の点で好ましい。
良溶媒と貧溶媒の混合比率の好ましい範囲は、良溶媒が70〜98質量%の範囲内であり、貧溶媒が2〜30質量%である。良溶媒、貧溶媒とは、使用するセルロースアシレートを単独で溶解するものを良溶媒、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶媒と定義している。
そのため、セルロースアシレートの平均酢化度(アセチル基置換度)によって良溶媒、貧溶媒が変わる。
本発明に用いられる良溶媒は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくは、メチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶媒は、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースアシレートの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いることもできる。
回収溶媒中に、セルロースアシレートに添加されている添加剤、例えば、可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されている場合もあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して、これらの添加剤を除いた後に、再利用することもできる。
上記ドープを調製する時、セルロースアシレートの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると、常圧における沸点以上に加熱できる点から、好ましい方法の一つである。
溶媒の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止することができる観点から好ましい。
また、セルロースアシレートを貧溶媒と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶媒を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は、窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶媒の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易である点で好ましい。
溶媒を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースアシレートの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると、必要とされる圧力が高くなり、生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃の範囲内であり、60〜110℃の範囲内がより好ましく、70℃〜105℃の範囲内が更に好ましい。また、圧力は、設定温度で使用している溶媒が沸騰しない条件に調整される。
本発明において、ドープ調製方法として、冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの低沸点溶媒にセルロースアシレートを溶解させることができる。
以上のようにして調製されたセルロースアシレート溶液は、次いで、濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。使用する濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度が0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの範囲内の濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの範囲内の濾材が更に好ましい。
濾材の材質は、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススチール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースアシレートに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減する。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を配置し、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数としては、200個/cm以下であることが好ましい。より好ましくは100個/cm以下であり、更に好ましくは50個/m以下であり、特に好ましくは0〜10個/cm以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は従来公知の方法で行うことができるが、溶媒の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶媒が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後での濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。好ましい温度は45〜120℃の範囲内であり、45〜70℃の範囲内がより好ましく、45〜55℃の範囲内であることが更に好ましい。濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
次いで、ドープの流延方法について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレスバンド、ステンレススチールベルト、若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mの範囲内とすることが好ましい。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶媒の沸点未満の温度範囲で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡し、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜55℃の範囲内であり、20〜50℃の範囲内が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は、特に制限されないが、例えば、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法が挙げられる。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は、目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
位相差フィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは20〜40質量%の範囲内、特に好ましくは、70〜120質量%の範囲内である。また延伸開始時の残留溶媒量は8〜30質量%の範囲内であることが好ましく、更に好ましくは10〜25質量%の範囲内、特に好ましくは、8〜20質量%の範囲内である。
本発明において、残留溶媒量は下式で定義される。
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間加熱した後の質量である。
フィルム乾燥工程では、一般に、ローラー乾燥方式(上下に配置した多数のローラーにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。ウェブの乾燥工程における乾燥温度は、40〜200℃の範囲内が好ましい。
本発明の位相差フィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で、幅方向(横方向、TD方向ともいう。)に延伸を行うことが特に好ましい。例えば、複数のローラーに周速差をつけ、その間でローラー周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。なお、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できる観点から好ましい。製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸は、テンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。なお、延伸温度は80℃〜220℃の範囲内が好ましく、さらに好ましくは90℃〜180℃の範囲内である。
位相差フィルムの膜厚は、特に限定はされないが、10〜100μmの範囲内で用いられる。特に、膜厚としては、15〜90μmの範囲内であることが特に好ましい。更に好ましくは20〜50μmの範囲内である。かような範囲内で膜厚を薄くすると、可塑剤分布が良くなり、後述のA、B面で密着性が良化する。また、本発明のように特定の糖類を添加することによって、可塑剤分布が良くなり、後述のA、B面で未着性が良化する。また、位相差フィルムは、幅1〜4mの範囲内のものを用いることができる。特に幅1.4〜4mの範囲内のものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mの範囲内である。幅が4m以下であれば、安定したフィルム搬送を行うことができる。
本発明の位相差フィルムは、下記式(i)で定義されるリタデーション値Roが30〜130nmの範囲内であり、下記式(ii)で定義されるリタデーション値Rtが70〜300nmの範囲内である。
上記式(i)および(ii)において、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率である。dはフィルムの厚さ(nm)である。
なお、リタデーション値RoおよびRtは、自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、実施例に記載のように、自動複屈折率計としてKOBRA−21ADH(王子計測機器株式会社製)を用い、温度23℃、湿度55%RHの環境下で、波長589nmで求めることができる。
本発明で目標とするリタデーション値RoおよびRtを得るには、位相差フィルムが本発明で規定する構成をとり、更に搬送張力の制御、延伸条件等の操作により屈折率制御を行うことが好ましい。例えば、長手方向の張力を低くまたは高くすることでリタデーション値を変動させることが可能となる。また、フィルムの長手方向(製膜方向)およびそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に2軸延伸若しくは1軸延伸することにより制御することができる。
《偏光板》
本発明の位相差フィルムは、偏光板、それを用いた液晶表示装置に具備させることができる。
本発明の偏光板は、本発明の位相差フィルムを、偏光子の少なくとも一方の面に貼合した偏光板であることが特徴である。本発明の液晶表示装置は、少なくとも一方の液晶セル面に、本発明の偏光板が、貼り合わされたものであることが特徴である。
本発明の偏光板は、一般的な方法で作製することができる。本発明の位相差フィルムの偏光子側をアルカリ鹸化処理し、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせて作製する方法が好ましい。
偏光子のもう一方の面には、本発明の位相差フィルムを用いても、また他のフィルムを貼合しても良い。
上記適用可能な他のフィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC4UY、KC4UE、KC4UA、KC5UA、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)を好ましく用いることができる。
液晶表示装置の表面側に用いられる偏光板は、防眩層あるいはクリアハードコート層のほか、反射防止層、帯電防止層、防汚層、バックコート層を、それぞれ必要に応じて設けることができる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色したもの、あるいは染色した後、一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。偏光子の膜厚は5〜30μmの範囲内が好ましく、特に10〜20μmの範囲内であることが好ましい。
また、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量が1〜4モル%の範囲内、重合度が2000〜4000の範囲内、鹸化度が99.0〜99.99モル%の範囲内のエチレン変性ポリビニルアルコールも好ましく用いられる。
中でも、熱水切断温度が66〜73℃の範囲内であるエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムが好ましく用いられる。
このエチレン変性ポリビニルアルコールフィルムを用いた偏光子は、偏光性能および耐久性能に優れていることに加え、色斑が少なく、大型液晶表示装置に特に好ましく用いられる。
以上のようにして得られた偏光子は、通常、その両面または片面に保護フィルムが貼合される。貼合する際に用いられる接着剤としては、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)系の接着剤やウレタン系の接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系の接着剤が好ましく用いられる。
《液晶表示装置》
本発明の偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。
本発明の位相差フィルムは、バーティカルアライメントの駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。
本発明の位相差フィルムの特性を効果的に発揮することができる観点から、バーティカルアライメント型液晶表示装置に適用することが好ましい。バーティカルアライメント型液晶表示装置は、バックライトと、カラーフィルター層と、液晶が2枚の透明基板の透明基板で挟持して構成されるバーティカルアライメント型液晶セルと、該バーティカルアライメント型液晶セルの表面側(視認側)とバックライト側にそれぞれ本発明の位相差フィルムを含む偏光板とで構成され、かつ透明基板の一方にカラーフィルター層を備えたカラーフィルター・オン・アレイ(COA)方式を採用した垂直配向型液晶セルを用いることが好ましい。
当該COA方式は、例えば、特開平10−206888号公報などに記載されているように、カラーフィルターが液晶セルの駆動側基板に直接形成されたカラーフィルター一体型駆動基板と、対向電極(導電層)を備える対向基板とをスペーサを介在させて対向配置し、その間隙部に液晶材料を封入して構成されるものであり、カラーフィルターを反射電極の上に形成し、高精細時に貼り合わせマージンを広くして歩留まりや開口率を向上させることができる。
図1は、本発明に係るカラーフィルター・オン・アレイ(COA)方式を採用した垂直配向(バーティカルアライメント)型液晶表示装置の構成の一例を示す概念図である。
図1において、バーティカルアライメント型液晶表示装置の基本的構成としては、バックライト10と、カラーフィルター5と薄層トランジスタ(TFT)6を有する透明基板7と他方の透明基板3との間に液晶4が挟持されている液晶セル12を有する。これらの透明基板3、7の外側には、主に偏光子1、9と位相差フィルム2、8から構成される偏光板11、13が配置された構成を有する。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例1
<位相差フィルム1の作製>
(セルロースアシレート1の調製)
セルロース100質量部に、硫酸16質量部、無水酢酸260質量部、酢酸420質量部をそれぞれ添加し、攪拌しながら室温から60℃まで60分かけて昇温し、15分間その温度を保持しながら酢化反応を行った。次に、酢酸マグネシウムおよび酢酸カルシウムの酢酸−水混合溶液を添加して硫酸を中和した後、反応系内に水蒸気を導入して、60℃で120分間維持してケン化熟成処理を行った。その後、多量の水により洗浄を行い、更に乾燥し、セルロースエステルアシレート1を得た。得られたセルロースアシレート1は、総アシル基置換度が2.9、重量平均分子量が80000であった。なお、総アシル基置換度の測定方法は、ASTMのD−817−91に準じて行った。また、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、前述の方法に従って測定した。
(糖エステル化合物1(例示化合物1−7)の調製)
撹拌装置、還流冷却器、温度計および窒素ガス導入管を備えた四頭コルベンに、ショ糖34.2g(0.1モル)、無水安息香酸180.8g(0.6モル)、ピリジン379.7g(4.8モル)を仕込み、撹拌下に窒素ガス導入管から窒素ガスをバブリングさせながら昇温し、70℃で10時間エステル化反応を行った。次に、コルベン内を4×10Pa以下に減圧し、60℃で過剰のピリジンを留去した後に、コルベン内を1.3×10Pa以下に減圧し、120℃まで昇温させ、無水安息香酸、生成した安息香酸の大部分を留去した。最後に、分取したトルエン層に水100gを添加し、常温で30分間水洗した後、トルエン層を分取し、減圧下(1×10Pa以下)、75℃で、相対乾燥時間:1.3で、トルエンの留去および乾燥させて、総平均置換度が7.0の糖エステル化合物1(例示化合物1−7)を得た。
総平均置換度は、常法により高速液体クロマトグラフィによって置換度分布を示すチャートの面積比から総平均置換度を測定した。なお、相対乾燥時間:「1」は60分、相対乾燥時間:「2」は120分を意味する(以下、同様)。
また、上記調製した糖エステル化合物1(例示化合物1−7)の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、7.5であった。
(微粒子添加液1の調製)
微粒子(アエロジル R812、日本アエロジル(株)製 乾式シリカ 一次平均粒子径:7μm/二次粒子としての平均粒径:0.4μm/見掛け比重:150g/リットル)の11質量部と、エタノールの89質量部とを、ディゾルバーを用いて50分間攪拌および混合した後、マントンゴーリン分散機で分散を行って、微粒子分散液を調製した。
次いで、99質量部のメチレンクロライドを充填した溶解タンクに、十分に攪拌しながら、上記調製した微粒子分散液の5質量部をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った後、これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液1を調製した。
(ドープの調製)
次いで、加圧溶解タンクに、メチレンクロライドとエタノールを添加した。その後、この混合溶媒の入った加圧溶解タンクに、上記調製した総アシル基置換度が2.9のセルロースアシレート1と、上記調製した糖エステル化合物1(例示化合物1−7)と、2,3−ジフェニルキノキサリン(東京化成/CAS番号:1684−14−6)を攪拌しながら添加し、これを加熱しながら、攪拌しながら完全に溶解した。次いで、上記調製した微粒子添加液1を添加した後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを調製した。上記調製したドープの組成の詳細は以下のとおりである。
〈ドープの組成〉
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースアシレート1(アセチル基置換度(総平均置換度)2.9、重量平均分子量:約30万) 100質量部
糖エステル化合物1(例示化合物1−7)(総平均置換度が7.0) 10質量部
微粒子添加液1 1質量部
2,3−ジフェニルキノキサリン 3質量部
上記各添加剤を、密閉されている加熱溶解タンクに投入し、攪拌しながら溶解してドープを調製した。
(位相差フィルム1の製膜:溶液流延法)
ベルト流延装置を用い、表面温度22℃、2m幅の無端ステンレスバンド支持体上に、上記ドープを、ダイコータを用いて均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、流延したフィルム中の溶媒残留量が75質量%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで、剥離張力130N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、170℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に20%延伸した。延伸開始時の残留溶媒量は、15質量%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は130℃で、搬送張力は100N/mとした。以上のようにして、乾燥膜厚40μmの位相差フィルム1を得た。
<位相差フィルム2〜6の作製>
(セルロースアシレート2〜6の調製)
前記セルロースアシレート1の調製において、反応物の量・触媒量・反応時間・反応温度を適宜変更した以外は同様にしてセルロースのエステル化操作を行い、アセチル基置換度がそれぞれ2.8、2.95、2.6、2.7、2.98であるセルロースアシレート2〜6(重量平均分子量:それぞれ、約25万、約30万、約20万、約22万、約30万)を調製した。
(位相差フィルム2〜6の製膜:溶液流延法)
位相差フィルム2〜6の製膜は、セルロースアシレート1に代えて、セルロースアシレート2〜6を使用した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
なお、位相差フィルム2〜6は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、それぞれ、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム7〜13の作製>
(糖エステル化合物2〜8の調製)
上記糖エステル化合物1(例示化合物1−7)の調製において、最終乾燥時間を、
糖エステル化合物2:相対乾燥時間:1.2、
糖エステル化合物3:相対乾燥時間:1.5、
糖エステル化合物4:相対乾燥時間:1.7、
糖エステル化合物5:相対乾燥時間:2.1、
糖エステル化合物6:相対乾燥時間:2.3、
糖エステル化合物7:相対乾燥時間:1、
糖エステル化合物8:相対乾燥時間:4
にそれぞれ変更した以外は同様にして、糖エステル化合物2〜8を調製した。
調製した糖エステル化合物2〜8の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.は、それぞれ5、10、20、25、35、2、40であった。
(位相差フィルム7〜13の製膜:溶液流延法)
位相差フィルム7〜13の製膜は、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、糖エステル化合物2〜8(例示化合物1−7)を使用した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
なお、位相差フィルム7〜13は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム14の作製>
(位相差フィルム14の製膜:溶液流延法)
上記位相差フィルム1の作製において、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、糖エステル化合物9(例示化合物1−3、平均置換度:7.0、相対乾燥時間:1)を用いた以外は同様にして、位相差フィルム14を作製した。
上記糖エステル化合物9(例示化合物1−3)の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、2であった。
位相差フィルム14は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム15〜17の作製>
(糖エステル化合物10〜12の調製)
上記糖エステル化合物9(例示化合物1−3)の調製において、最終乾燥時間を、
糖エステル化合物10(例示化合物1−3):相対乾燥時間:1.4、
糖エステル化合物11(例示化合物1−3):相対乾燥時間:1.7、
糖エステル化合物12(例示化合物1−3):相対乾燥時間:2.5
にそれぞれ変更した以外は同様にして、糖エステル化合物10〜12を調製した。
調製した糖エステル化合物10〜12の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.は、それぞれ10、25、40であった。
(位相差フィルム15〜17の製膜:溶液流延法)
位相差フィルム15〜17の製膜は、糖エステル化合物9(例示化合物1−3)に代えて、糖エステル化合物10〜12(例示化合物1−3)を使用した以外は、位相差フィルム14の製膜と同様の方法により行った。
なお、位相差フィルム15〜17は、位相差フィルム14の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム18の作製>
(位相差フィルム18の製膜:溶液流延法)
上記位相差フィルム1の作製において、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、糖エステル化合物13(例示化合物1−11、平均置換度:6.8、相対乾燥時間:1)を用いた以外は同様にして、位相差フィルム18を作製した。
上記糖エステル化合物13(例示化合物1−11)の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、2であった。
位相差フィルム18は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム19〜21の作製>
(糖エステル化合物14〜16の調製〉
上記糖エステル化合物13(例示化合物1−11)の調製において、最終乾燥時間を、
糖エステル化合物14(例示化合物1−11):相対乾燥時間:1.3、
糖エステル化合物15(例示化合物1−11):相対乾燥時間:1.8、
糖エステル化合物16(例示化合物1−11):相対乾燥時間:2.6
にそれぞれ変更した以外は同様にして、糖エステル化合物14〜16を調製した。
調製した糖エステル化合物14〜16の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.は、それぞれ10、25、40であった。
(位相差フィルム19〜21の製膜:溶液流延法)
位相差フィルム19〜21の製膜は、糖エステル化合物13(例示化合物1−11)に代えて、糖エステル化合物14〜16(例示化合物1−11)を使用した以外は、位相差フィルム18の製膜と同様の方法により行った。
なお、位相差フィルム19〜21は、位相差フィルム18の製膜において、剥離したフィルムを、それぞれ、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム22の作製>
位相差フィルム22の作製は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、175℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に20%延伸した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
<位相差フィルム23の作製>
位相差フィルム23の作製は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に15%延伸した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
<位相差フィルム24の作製>
位相差フィルム24の作製は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に25%延伸した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
<位相差フィルム25の作製>
位相差フィルム25の作製は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、165℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に20%延伸した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
<位相差フィルム26〜33の作製>
(位相差フィルム26〜33の製膜:溶液流延法)
上記位相差フィルム1の作製において、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、
糖エステル化合物17(例示化合物2−3、平均置換度:10.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物18(例示化合物2−4、平均置換度:11.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物19(例示化合物2−7、平均置換度:10.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物20(例示化合物2−8、平均置換度:11.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物21(例示化合物2−11、平均置換度:10.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物22(例示化合物2−12、平均置換度:11.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物23(例示化合物4−1(単糖)、平均置換度:4.0、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物24(例示化合物5−1(四糖)、平均置換度:13.0、相対乾燥時間:1.3)
を用いた以外は同様にして、位相差フィルム26〜33を作製した。
なお、位相差フィルム26〜33は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
上記糖エステル化合物17〜24の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、それぞれ、7、7、5.5、5.5、5.5、5.5、45、2であった。
<位相差フィルム34〜35の作製>
位相差フィルム34〜35の製膜は、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、
サンセットイエローFCF(東京化成社製、分子式はC1610Na、分子量452.38、CAS登録番号:2783−94−0、モル質量:424.35g/mol)、下記化学式のTi328(チバ・ジャパン社製)
を使用した以外は、位相差フィルム1の製膜と同様の方法により行った。
なお、位相差フィルム34〜35は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
サンセットイエローFCF、Ti328の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、それぞれ、7.5、7.5であった。
<位相差フィルム36〜38の作製>
(位相差フィルム36〜38の製膜:溶液流延法)
上記位相差フィルム1の作製において、糖エステル化合物1(例示化合物1−7)に代えて、
糖エステル化合物25(例示化合物1−5、平均置換度:5.6、相対乾燥時間:1.2)、
糖エステル化合物26(例示化合物1−6、平均置換度:6.2、相対乾燥時間:1.3)、
糖エステル化合物27(例示化合物1−8、平均置換度:8.0、相対乾燥時間:1.4)を用いた以外は同様にして、位相差フィルム36〜38を作製した。
なお、位相差フィルム36〜38は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、それぞれ、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
上記調製した糖エステル化合物25〜27の55質量%メチレンクロライド溶液を調製し、後述の方法で色相Y.I.を測定した結果、それぞれ、8、9、8.5であった。
<位相差フィルム39〜43の作製>
(位相差フィルム39〜43の製膜:溶液流延法)
上記位相差フィルム1の作製において、糖エステル化合物1の添加量を、
位相差フィルム36:0.5質量部、
位相差フィルム37:1質量部、
位相差フィルム38:15質量部、
位相差フィルム39:30質量部、
位相差フィルム40:35質量部、
に変更した以外は同様にして、位相差フィルム39〜43を作製した。
なお、位相差フィルム39〜43は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、それぞれ、170℃前後の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム44〜49の作製>
上記位相差フィルム1の作製において、2,3−ジフェニルキノキサリン(東京化成/CAS番号:1684−14−6)を、
位相差フィルム44:9−エチルカルバゾール(東京化成/製品コード:E0071)、
位相差フィルム45:2−メチルベンゾオキサゾール(東京化成/製品コード:M0557)、
位相差フィルム46:2−(4−tert−ブチルフェニル)−5−(4−ビフェニイル)−1,3,4−オキサジアゾール(東京化成/製品コード:B2696)、
位相差フィルム47:4,5−ジヒドロ−2−フェニルオキサゾール(東京化成/製品コード:D2155)、
位相差フィルム48:ベンゾトリアゾール(関東化学/製品番号:05084−00)、
位相差フィルム49:3,5−ジメチル−1−フェニルピラゾール(東京化成/製品コード:D2834)、
に変更した以外は同様にして、位相差フィルム44〜49を作製した。
なお、位相差フィルム44〜49は、位相差フィルム1の製膜において、剥離したフィルムを、それぞれ、170前後℃の熱を付与しながらテンターを用いて幅方向(TD方向)に、20%前後延伸し、位相差を調節した。
<位相差フィルム50〜53の作製>
上記位相差フィルム1の作製において、膜厚を、20μm、30μm、60μm、80μmに変更した以外は同様にして、位相差フィルム50〜53を作製した。
<位相差フィルム54の作製>
上記位相差フィルム50の作製において、添加剤1としてTPP(トリフェニルホスフェート 和光、製品コード209−03055) 2.5質量部、添加剤2としてポリエステル化合物1 2.5質量部をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム54を作製した。
ただし、n=0〜5、m=0〜5である。
<位相差フィルム55の作製>
上記位相差フィルム54の作製において、膜厚を、40μmに変更した以外は同様にして、位相差フィルム55を作製した。
<位相差フィルム56の作製>
上記位相差フィルム51の作製において、添加剤1としてTPP 2.5質量部、をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム56を作製した。
<位相差フィルム57の作製>
上記位相差フィルム56の作製において、添加剤1をBDP(ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート 大八化学工業、CAS番号5945−33−5)に変更した以外は同様にして位相差フィルム57を作製した。
<位相差フィルム58の作製>
上記位相差フィルム56の作製において、添加剤2としてポリエステル化合物1 2.5質量部をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム58を作製した。
<位相差フィルム59の作製>
上記位相差フィルム57の作製において、添加剤2としてポリエステル化合物1 2.5質量部をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム59を作製した。
<位相差フィルム60の作製>
上記位相差フィルム51の作製において、添加剤1としてTPP 2.5質量部、添加剤3として、以下のEPEG(エチルフタリルエチルグリコレート CAS番号84−72−0、和光純薬工業) 2.5質量部をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム60を作製した。
<位相差フィルム61の作製>
上記位相差フィルム60の作製において、添加剤1としてBDPに変更した以外は同様にして位相差フィルム61を作製した。
<位相差フィルム62の作製>
上記位相差フィルム60の作製において、添加剤2としてポリエステル化合物1 2.5質量部をさらに添加することでドープを調製した以外は同様にして、位相差フィルム62を作製した。
<位相差フィルム63の作製>
上記位相差フィルム62の作製において、添加剤1としてBDPに変更した以外は同様にして位相差フィルム63を作製した。
<位相差フィルム64の作製>
上記位相差フィルム58の作製において、例示化合物番号1−7の糖エステル化合物を添加しなかった以外は同様にして位相差フィルム64を作製した。
<位相差フィルム65の作製>
上記位相差フィルム59の作製において、例示化合物番号1−7の糖エステル化合物を添加しなかった以外は同様にして位相差フィルム65を作製した。
<各特性値の測定>
(色相Y.I.の測定)
上記の各糖エステル化合物を、55質量%の濃度でメチレンクロライド(関東化学社製)に溶解して、測定液を調製した。次いで、この測定液を、石英セル(光路長:1cm)に入れ、日立製作所製の分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックス値YIを求めた。
Y.I.(イエローインデックス値)=100(1.28X−1.06Z)/Y
(位相差フィルム特性値:イエローインデックスY.I.の測定)
位相差フィルムを、日立製作所製の分光光度計U−3200と付属の彩度計算プログラム等を用いて、色の三刺激値X、Y、Zを求め、下式に従ってイエローインデックス値YIを求めた。
Y.I.(イエローインデックス値)=100(1.28X−1.06Z)/Y
(リターデーション(位相差値)の測定)
リターデーション値Ro、Rtは以下の式によって求めた。
式(I):Ro=(nx−ny)×d(nm)
式(II):Rt={(nx+ny)/2−nz}×d(nm)
ここにおいて、dはフィルムの厚さ(nm)、屈折率nx(遅相軸方向の屈折率)、ny(フィルム面内で遅相軸に直角な方向の屈折率)、nz(厚さ方向におけるフィルムの屈折率)である。屈折率はアッベの屈折率計を用い、23℃、55%RHの環境下で、波長589nmでの屈折率測定を行った。
また上記リターデーション値(Ro)、(Rt)は自動複屈折率計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長589nmで求めた。
実施例2
<偏光板の作製>
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した後、水洗、乾燥して偏光子を得た。
次いで、下記工程1〜5に従って偏光子と実施例1で作製した位相差フィルム1〜65と、裏面側にはコニカミノルタタックKC4UY(コニカミノルタアドバンストレイヤー(株)製セルロースエステルフィルム)を貼り合わせて偏光板を作製した。
工程1:各位相差フィルムおよびコニカミノルタタックKC4UYを、60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側を鹸化した。
工程2:上記調製した偏光子を、固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光子に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理した各位相差フィルムの上に乗せて配置した。
工程4:工程3で積層した各位相差フィルムと偏光子と裏面側のコニカミノルタタックKC4UYを圧力20〜30N/cm、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光子と各位相差フィルムとコニカミノルタタックKC4UYとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、それぞれ、位相差フィルム1〜65に対応する偏光板を作製した。
(密着性の評価)
偏光板の端部において、偏光子と位相差フィルムとの間にカッターの刃先を挿入した。当該挿入部において、偏光子と位相差フィルムとを掴み、それぞれ反対方向に引っ張った。このとき、偏光子および/または位相差フィルムが破断して剥離できないかどうか検討した。また、位相差フィルムのA面とB面の接着の検討もした。
B面・・・位相差フィルムを製膜する際のベルトと接する面
A面・・・B面の逆側の面
◎:偏光子および/または位相差フィルムが破断して剥離できなく、密着性が良好。また位相差フィルムのA面、B面共に密着性が良好だった。
○:位相差フィルムのA面、B面で接着した偏光板のいずれかにおいて、偏光子と透明保護フィルムとの間で一部剥離した場合は、密着性は少し良好。
×:位相差フィルムのA面、B面で接着した偏光板のいずれかにおいて、偏光子と透明保護フィルムとの間で全部剥離した場合は、密着性に乏しい。
<液晶表示装置の作製>
(カラーシフト耐性1)
SONY社製の型番X9200Aシリーズの4K液晶テレビの偏光板を剥離し、代わりに、上記で作製した偏光板を装着して、液晶表示装置を作製した。この液晶表示装置のバックライトは、青色LEDと黄色蛍光体の構成である。この液晶表示装置を60℃、相対湿度90%の環境下で2000時間処理し、カラーシフト(色調変動)を観測した。
なお、この液晶表示装置の液晶セル2は、図2に記載の構成からなり、図1に記載の構成に対し、カラーフィルター5が透明基板3上に、薄膜トランジスタ6が透明基板7に配置されている構成である。
◎:初期と処理後の液晶表示装置の間で、カラーシフト(色調変動)は全く認められない
○:初期と処理後の液晶表示装置の間で、カラーシフト(色調変動)はほぼ認められない
△:初期と処理後の液晶表示装置の間で、特定の色表示でカラーシフト(色調変動)がやや認められるが、実用上問題はない
×:初期と処理後の液晶表示装置の間で、強いカラーシフト(色調変動)が認めら、実用上問題となる品質である。
(カラーシフト耐性2)
上記作製した液晶表示装置について、測定機(EZ−Contrast160D、ELDIM社製)を用いて色味変動について測定した。
CIE1931、xy色度図において、ニュートラルな色味がD65光源と仮定した時のニュートラルな色味(x,y)=(0.313,0.34)と、倒れ角θ=0°における色味の最大色味変動幅Δxyを測定し、下記の基準に従ってカラーシフト耐性2を評価した。
◎:Δxy値が、0.05未満である
○:Δxy値が、0.05以上、0.07未満である
△:Δxy値が、0.07以上、0.09未満である
×:Δxy値が、0.09以上である。
上記のように、セルロースアシレートの総アシル化置換度が2.8〜2.95の範囲内であると糖エステル化合物との相溶性を向上させてカラーシフトを抑えることができ、この範囲を逸脱すると糖エステル化合物との相溶性が悪く、カラーシフトが顕著に表れることが分かる。また、二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が、5〜35の範囲内のものを使用すると、黄色味が適切であるため、バックライト内の黄色蛍光体の消滅があってもカラーシフトを抑えることができ、色相Y.I.が、5未満のものを使用すると黄色味が不十分であるためバックライト内の黄色蛍光体の消滅があるとカラーシフトが顕著に表れる。これは四糖類以上のものを使用しても同様のことが言えている。他方、色相Y.I.が35を超えるものを使用すると黄色味が過剰となってしまう。これは単糖を使用しても同様のことが言えている。また糖エステル化合物以外の黄色化合物を使用すると、高温高湿環境下では、分解してしまい、黄色味が大きくなり、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を過剰に解消することになることが言えている。
また、波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmであるものを使用すれば、液晶の位相差を解消し視認性を向上させカラーシフトを顕著に抑える。他方で、波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmの範囲を逸脱するものを使用すると液晶の位相差を解消できないので、視認性が悪く、カラーシフトが顕著に表れてしまう。
また二糖類または前記三糖類が、総平均置換度6.00を超える糖エステル化合物であるとセルロースアシレートとの相溶性を向上させカラーシフトをより顕著に抑制することが言えている。また二糖類または前記三糖類の総質量が、セルロースアシレート100質量部に対して、1〜30質量%の範囲内であると黄色味が適切であるため、バックライト内の黄色蛍光体の消滅があってもカラーシフトをより顕著に抑えることができていることが分かる。また、本発明によれば、位相差上昇剤が、高温高湿によって分解されたとしても、特定の糖エステル化合物を添加しているため、バックライト内の黄色蛍光体の消滅を解消しカラーシフトを抑制することができるという効果もある。
なお、バーティカルアライメント用位相差フィルムの膜厚は、カラーシフトに対して特に依存性はないことが分かる。また、膜厚が実施例の範囲であると、可塑剤分布が良くなり、A,B面で密着性が良化する。また、本発明の特定の糖類に添加剤を組み合わせることで、可塑剤分布が良くなり、A,B面で密着性が良化することが分かる。無論、添加剤を添加しなくても本発明には特定の糖類が含まれているので可塑剤分布が良くなり、A,B面で密着性が良化することが分かる。
このように本発明によれば、高温高湿環境下での画面ムラを改善できるバーティカルアライメント用位相差フィルムを提供することができる。
1、9 偏光子
2 位相差フィルムB
3、7 透明基板
4 誘電率異方性が負の液晶
5 カラーフィルター
6 薄膜トランジスタ
8 位相差フィルムA
10 バックライト
11、13 偏光板
12 液晶セル。

Claims (11)

  1. 総アシル基置換度が2.80〜2.95の範囲内であるセルロースアシレートと、二糖類または三糖類と、位相差上昇剤とを含有し、
    該二糖類または三糖類の55質量%メチレンクロライド溶液における色相Y.I.が、5〜35の範囲内であり、
    波長589nmにおける面内位相差値が30〜130nmであり、厚さ方向位相差値が70〜300nmである、バーティカルアライメント用位相差フィルム。
  2. 前記二糖類または前記三糖類が、総平均置換度6.00を超える糖エステル化合物である、請求項1に記載の位相差フィルム。
  3. 前記糖エステル化合物が、下記一般式(1)〜(3)で表される化合物のいずれかである、請求項2に記載の位相差フィルム。
    式中、R〜R30は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、または置換もしくは無置換のアリールカルボニル基を表す。
  4. イエローインデックス値(Y.I.)が、下式(1)で規定する条件を満たす、請求項1〜3のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
    式(1)
    0.6<Y.I.<2.0
  5. 前記二糖類または前記三糖類の総質量は、前記セルロースアシレート100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  6. 前記位相差上昇剤が、含窒素複素環化合物を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  7. 前記含窒素複素環化合物が、カルバゾール環、キノキサリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環およびピラゾール環からなる群から選択される環を有する化合物の少なくとも一種である、請求項6に記載の位相差フィルム。
  8. ポリエステル化合物、多価アルコールエステル化合物、多価カルボン酸エステル化合物、グリコレート化合物およびエステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種をさらに含有している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の位相差フィルム。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の位相差フィルムを含む偏光板保護フィルムを用いた、偏光板。
  10. 請求項9に記載の偏光板を液晶セルに用いた、液晶表示装置。
  11. バックライトとして発光ダイオード(LED)を用いる、請求項10に記載の液晶表示装置。
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