JP5251318B2 - 自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置 - Google Patents
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当該変速段が実現されている間に、他方の変速段グループに係わる自動クラッチを解放させた状態で該他方の変速段グループ内における変速段(次に選択されるであろうと予測される変速段)の実現を司る選択噛合機構を予めシフト動作(プリシフト)させておき、自動クラッチの掛け替えのみで変速を行い得るようにする。
一方、自動クラッチの冷却システムとしては、オイルクーラで冷却された変速機作動油を、全ての自動クラッチ用の共通なクラッチ潤滑油路を経て各自動クラッチに供給し、これからの潤滑油で全ての自動クラッチを共通に冷却するものと、
オイルクーラで冷却された変速機作動油を、各自動クラッチ用の個々のクラッチ潤滑油路を経て各自動クラッチに個別に供給することにより冷却し、各自動クラッチへの潤滑油量を個別に制御するものとがある。
後者の自動クラッチ冷却システムのように個々のクラッチ潤滑油路を経て各自動クラッチに個別に潤滑油をそれぞれの要求量だけ供給する場合においても、
全ての自動クラッチが自動マニュアルトランスミッションの構成上相互に接近していて、締結側自動クラッチへ多量の潤滑油が供給される時は、締結側自動クラッチへの多量の潤滑油が解放側自動クラッチに向け飛散されることから、
締結側自動クラッチの発熱量が多くなる運転状態のもとでは、全ての自動クラッチに多量の潤滑油が供給される。
このため、プリシフトに関与しない締結側における自動クラッチの発熱量が多くなる運転状態である場合、プリシフトに関与する解放状態の解放側自動クラッチにも多量の潤滑油が供給されることとなる。
このクラッチ引き摺りトルクは、前記プリシフトに関与する同期噛合機構の前後回転同期を取り難くし、結果として前記のプリシフトを困難、若しくは不能にすることから、
当該プリシフトを経由する変速自体が困難、若しくは不能になるという問題や、当該同期噛合機構が無理矢理な同期作用で損傷されたり、その耐久性を低下されるという問題を生ずる。
締結側自動クラッチの発熱量が多くなる状態のもとで、これを冷却すべく供給されてくる多量のクラッチ潤滑油が解放側自動クラッチにも向かって、上記の問題、つまりプリシフトが困難、若しくは不能になるという問題や、同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性を低下されるという問題が不可避である。
この着想を具体化して前記の問題に対処した自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置を提案することを目的とする。
先ず本発明の前提となる自動マニュアルトランスミッションを説明するに、これは、
複数の変速段グループごとに個々の自動クラッチを介し回転を入力可能で、
或る変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構のシフト動作と、対応する自動クラッチの締結とにより該変速段を実現している間に、別の変速段グループに係わる自動クラッチを解放させた状態で該別の変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構を予めシフト動作させておくプリシフトを行い、前記或る変速段グループに係わる自動クラッチを解放させつつ前記別の変速段グループに係わる自動クラッチを締結させる自動クラッチの掛け替えにより変速を行うようにしたものである。
前記別の変速段グループに係わる解放側自動クラッチが解放状態であるのを検知する解放側自動クラッチ解放状態検知手段と、
前記自動クラッチの掛け替え後、変速機入力側回転数が変速に伴い変化するイナーシャフェーズを生じている間に、締結側自動クラッチの入力側トルクが設定トルク未満であり、且つ、変速機出力側回転数が設定回転数未満である時をもって、解放側自動クラッチ内のオイル量が前記設定オイル量未満であると判定して検知し、前記締結側自動クラッチの入力側トルクが前記設定トルク以上であるか、または変速機出力側回転数が前記設定回転数以上である時をもって、前記解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上であると判定して検知する解放側自動クラッチ内オイル量検知手段とを具え、
これら両手段からの信号に応答し、解放側自動クラッチが解放状態であり、且つ、該解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上である間、前記プリシフトを禁止するプリシフト禁止手段を設けたことを特徴とするものである。
また請求項2に記載の第2発明になる変速制御装置は、上記した自動マニュアルトランスミッションにおいて、
前記別の変速段グループに係わる解放側自動クラッチが解放状態であるのを検知する解放側自動クラッチ解放状態検知手段と、
前記解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上であるのを検知する解放側自動クラッチ内オイル量検知手段と、
これら両手段からの信号に応答し、解放側自動クラッチが解放状態であり、且つ、該解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上である間、前記プリシフトを禁止するプリシフト禁止手段と、
変速機入力側回転数が変速に伴って変化するイナーシャフェーズを、前記自動クラッチの掛け替えよりも前に生じさせるイナーシャフェーズ先行型変速か否かを判定するイナーシャフェーズ先行型変速判定手段とを設け、
該手段がイナーシャフェーズ先行型変速であると判定するとき、前記解放側自動クラッチ内オイル量検知手段の検知結果に関係なく、前記プリシフト禁止手段に前記プリシフトの禁止を行わないよう指令する構成としたことを特徴とするものである。
解放状態であるのに解放側自動クラッチが多量の内在オイルを介し大きな引き摺りトルクを発生して、解放側自動クラッチに係わる変速段グループのプリシフトを困難、若しくは不能にする状況下で当該プリシフトを強行することがなくなる。
このため第1発明の変速制御装置によれば、かかるプリシフトの強行によって、対応する同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性が低下するなどの、従来装置が抱えていた前記の問題を解消することができる。
しかも第1発明にあっては、変速に際して行う自動クラッチの掛け替え後、変速機入力側回転数が変速に伴い変化するイナーシャフェーズを生じている間に、締結側自動クラッチの入力側トルクが設定トルク未満であり、且つ、変速機出力側回転数が設定回転数未満である時をもって、解放側自動クラッチ内のオイル量が前記設定オイル量未満であると判定し、締結側自動クラッチの入力側トルクが設定トルク以上であるか、または変速機出力側回転数が設定回転数以上である時をもって、解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上であると判定し、前者の判定時は解放側自動クラッチに係わる変速段グループのプリシフトを許可し、後者の判定時に当該プリシフトを禁止するため、
自動クラッチの掛け替え後にイナーシャフェーズが発生する変速時であっても、つまりイナーシャフェーズ先行型の変速でない変速時のイナーシャフェーズ期間であっても、締結側自動クラッチの入力側トルク条件(設定トルク以上)および変速機出力側回転速度条件(設定回転数以上)が揃っていれば、上記のプリシフトが許可されることとなる。
このため、締結側自動クラッチの入力トルクや、変速前後における締結側自動クラッチのクラッチ入力回転段差が、解放側自動クラッチ内のオイル量を、プリシフトに支障が及ぶほど多くさせることがないにもかかわらず、プリシフトが無駄に禁止されて変速制御に悪影響が及ぶのを回避することができる。
また第2発明の変速制御装置においても、解放側自動クラッチが解放状態であって、且つ、該解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上である間は、該解放側自動クラッチに係わる変速段グループのプリシフトを禁止することから、
解放状態であるのに解放側自動クラッチが多量の内在オイルを介し大きな引き摺りトルクを発生して、解放側自動クラッチに係わる変速段グループのプリシフトを困難、若しくは不能にする状況下で当該プリシフトを強行することがなくなる。
このため第2発明の変速制御装置においても、第1発明と同様、プリシフトの強行によって、対応する同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性が低下するなどの、従来装置が抱えていた前記の問題を解消することができる。
加えて第2発明の変速制御装置によれば、変速機入力側回転数が変速に伴って変化するイナーシャフェーズを、前記自動クラッチの掛け替えよりも前に生じさせるイナーシャフェーズ先行型変速時は、解放側自動クラッチ内オイル量の検知結果に関係なくプリシフトの禁止を行わないよう構成したため、以下の効果が奏し得られる。
イナーシャフェーズ先行型の変速時は、当該イナーシャフェーズの先行により変速機入力回転数が先に上昇することから、解放側自動クラッチオイル量が多くて大きなクラッチ引き摺りトルクを発生しても、この引き摺りトルクに伴う同期噛合機構の回転上昇による同期負荷の増大が、イナーシャフェーズの先行による変速機入力回転数の上昇により相殺されることとなる。
従ってイナーシャフェーズ先行型の変速時は、解放側自動クラッチオイル量が多くて大きなクラッチ引き摺りトルクを発生させても、関連する同期噛合機構の同期負荷が増大されることはなく、プリシフトを実行しても同期噛合機構の損傷や耐久性の問題を生じない。
第2発明によれば、イナーシャフェーズ先行型の変速時は、解放側自動クラッチ内オイル量の検知結果に関係なくプリシフトの禁止を行わず、当該プリシフトを許可するため、
同期噛合機構の損傷や耐久性の問題を生じないイナーシャフェーズ先行型変速時であるにもかかわらず、無駄にプリシフトが禁止されて変速制御に悪影響が及ぶのを回避することができる。
図1は、本発明の一実施例になる変速制御装置を具えた自動マニュアルトランスミッションを含む車両用パワートレーンをその制御系と共に示すシステム図で、
図2は、自動マニュアルトランスミッションを例示するツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションの骨子図である。
エンジン1の出力軸(図2のクランクシャフト1a)は、クラッチハウジング3内における奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用の自動湿式回転クラッチC1、および、偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用の自動湿式回転クラッチC2を介して、ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッション2の奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用第1入力軸4(図2参照)、および偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用第2入力軸5(図2参照)に結合可能とする。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッション2の出力軸6(図2参照)は、図示せざるプロペラシャフトおよびディファレンシャルギヤ装置を介して左右駆動車輪に結合する。
ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションは上記したように、奇数変速段(第1速、第3速、第5速、後退)用の第1入力軸4、および、偶数変速段(第2速、第4速、第6速)用の第2入力軸5を具え、
これら第1入力軸4および第2入力軸5をそれぞれ、個々の自動クラッチC1,C2のクラッチハブ7,8に結合する。
かくてエンジン出力軸1aの回転は、奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2を介して第1入力軸4および第2入力軸5へ選択的に入力され得る。
奇数変速段クラッチC1および偶数変速段クラッチC2を介してエンジン回転を選択的に入力される第1入力軸4および第2入力軸5のうち第2入力軸5は中空とし、これを第1入力軸4上に嵌合するが、内側の第1入力軸4および外側の第2入力軸5を相互に同心状態で回転自在とする。
これら第1入力軸4および第2入力軸5、並びに出力軸6に平行に配してカウンターシャフト10を設ける。
これらカウンターギヤ11および出力歯車12を相互に噛合させてカウンターシャフト10を出力軸6に駆動結合する。
これらをエンジン1に近いフロント側から、第1速歯車組G1、後退歯車組GR、第5速歯車組G5および第3速歯車組G3の順に配置する。
後退歯車組GRは、第1入力軸4の後端延長部4aに一体成形した後退入力歯車15と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた後退出力歯車16と、これら歯車15,16に噛合してこれら歯車15,16間を逆転下に駆動結合するリバースアイドラギヤ17とで構成する。
リバースアイドラギヤ17は、変速機ケースに植設したリバースアイドラ軸18により回転自在に支持する。
第5速歯車組G5は、第1入力軸4の後端延長部4aに回転自在に設けた第5速入力歯車31と、カウンターシャフト10に駆動結合して設けた第5速出力歯車32とを相互に噛合させて構成する。
この1速−後退用同期噛合機構(選択噛合機構)21は、
カウンターシャフト10と共に回転するカップリングスリーブ21aを図示の中立位置から左行させて自動クラッチギヤ21bに噛合させるとき、第1速出力歯車14がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第1速を実現可能なものとし、
カップリングスリーブ21aを図示の中立位置から右行させて自動クラッチギヤ21cに噛合させるとき、後退出力歯車16がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく後退を実現可能なものとする。
この3速−5速用同期噛合機構(選択噛合機構)22は、
第1入力軸4(その後端延長部4a)と共に回転するカップリングスリーブ22aを図示の中立位置から右行させて自動クラッチギヤ22bに噛合させるとき、第3速入力歯車19が第1入力軸4に駆動結合されて後述するごとく第3速を実現可能なものとし、
カップリングスリーブ22aを図示の中立位置から左行させて自動クラッチギヤ22cに噛合させるとき、第5速入力歯車31が第1入力軸4に駆動結合されて後述するごとく第5速を実現可能なものとする。
第6速歯車組G6は第2入力軸5の比較的前部に配置し、第4速歯車組G4は第2入力軸5の後端に配置し、第2速歯車組G2は第2入力軸5のこれら前部および後端間中央部に配置する。
第2速歯車組G2は、第2入力軸5の外周に一体成形した第2速入力歯車25と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第2速出力歯車26とを相互に噛合させて構成する。
第4速歯車組G4は、第2入力軸5の外周に一体成形した第4速入力歯車27と、カウンターシャフト10上に回転自在に設けた第4速出力歯車28とを相互に噛合させて構成する。
この6速専用同期噛合機構(選択噛合機構)29は、
カウンターシャフト10と共に回転するカップリングスリーブ29aを図示の中立位置から左行させて自動クラッチギヤ29bに噛合させるとき、第6速出力歯車24がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第6速を実現可能なものとする。
この2速−4速用同期噛合機構(選択噛合機構)30は、
カウンターシャフト10と共に回転するカップリングスリーブ30aを図示の中立位置から左行させて自動クラッチギヤ30bに噛合させるとき、第2速出力歯車26がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第2速を実現可能なものとし、
カップリングスリーブ30aを図示の中立位置から右行させて自動クラッチギヤ30cに噛合させるとき、第4速出力歯車28がカウンターシャフト10に駆動結合されて後述するごとく第4速を実現可能なものとする。
[非走行レンジ]
動力伝達を希望しない中立(N)レンジや駐車(P)レンジのような非走行レンジにおいては、自動湿式回転クラッチC1,C2の双方を解放しておき、また、同期噛合機構21,22,29,30のカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aを全て図示の中立位置にして、ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションを動力伝達が行われない中立状態にする。
なお駐車(P)レンジにあっては更に、パークロック装置により変速機出力軸6を機械的に回転不能にロックする。
前進動力伝達を希望するDレンジや、後退動力伝達を希望するRレンジのような走行レンジにおいては、エンジン1で駆動されるオイルポンプO/P(図2参照)からの作動油を媒体とし、以下のごとくに同期噛合機構21,22,29,30のカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aをシフト動作させると共に、自動クラッチC1,C2を締結・解放制御することにより、各前進変速段や、後退変速段を実現することができる。
Dレンジのような前進走行レンジで第1速を希望する場合、同期噛合機構21のカップリングスリーブ21aを左行させて歯車14をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる奇数変速段グループの第1速へのプリシフト後、非走行レンジで解放状態だった自動湿式回転クラッチC1を締結する。
これにより自動クラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第1速歯車組G1、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、第1速での動力伝達を行うことができる。
またNレンジからDレンジへのセレクト操作に呼応して上記第1速を実現する場合は、上記奇数変速段グループの第1速へのプリシフトと同時に、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを左行させて歯車26をカウンターシャフト10に駆動結合し、これにより偶数変速段グループの第2速へのプリシフトも済ませておく。
しかして、自動クラッチC2が非走行レンジでの解放状態を継続するため、第2速が実現されることはない。
第1速から第2速へのアップシフトに際しては、N→Dセレクト時に上記のごとく偶数変速段グループが第2速へプリシフトされているため、自動クラッチC1を解放させつつ、非走行レンジで解放状態だった自動クラッチC2を締結進行させること(スリップ締結制御)により、つまり両自動クラッチC1,C2の掛け替えにより第1速から第2速へのアップシフトを行わせることができる。
これにより自動クラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第2速歯車組G2、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、第2速での動力伝達を行うことができる。
なお上記の1→2変速が終わったら、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを右行させて歯車19を第1入力軸4に駆動結合し、奇数変速段グループの1→3プリシフトを行わせておく。
第2速から第3速へのアップシフトに際しては、1→2アップシフト時に上記のごとく奇数変速段グループが第3速へプリシフトされているため、自動クラッチC2を解放させつつ、第2速で解放状態だった自動クラッチC1を締結進行させること(スリップ締結制御)により、つまり両自動クラッチの掛け替えにより第2速から第3速へのアップシフトを行わせることができる。
これにより自動クラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第3速歯車組G3、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、第3速での動力伝達を行うことができる。
なお上記の2→3変速が終わったら、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻して歯車26をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを右行させて歯車28をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる偶数変速段グループの2→4プリシフトを行わせておく。
第3速から第4速へのアップシフトに際しては、2→3アップシフト時に上記のごとく偶数変速段グループが第4速へプリシフトされているため、自動クラッチC1を解放させつつ、第3速で解放状態だった自動クラッチC2を締結進行させること(スリップ締結制御)により、つまり両自動クラッチの掛け替えにより第3速から第4速へのアップシフトを行わせることができる。
これにより自動クラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第4速歯車組G4、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、第4速での動力伝達を行うことができる。
なお上記の3→4変速が終わったら、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを中立位置に戻して歯車19を第1入力軸4から切り離すと共に、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを左行させて歯車31を第1入力軸4に結合し、これによる奇数変速段グループの3→5プリシフトを行わせておく。
第4速から第5速へのアップシフトに際しては、3→4アップシフト時に上記のごとく奇数変速段グループが第5速へプリシフトされているため、自動クラッチC2を解放させつつ、第4速で解放状態だった自動クラッチC1を締結進行させること(スリップ締結制御)により、つまり両自動クラッチの掛け替えにより第4速から第5速へのアップシフトを行わせる。
これにより自動クラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、第5速歯車組G5、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、第5速での動力伝達を行うことができる。
なお上記の4→5変速が終わったら、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻して歯車28をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを左行させて歯車24をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる偶数変速段グループの4→6プリシフトを行わせておく。
第5速から第6速へのアップシフトに際しては、4→5アップシフト時に上記のごとく偶数変速段グループが第6速へプリシフトされているため、自動クラッチC1を解放させつつ、第5速で解放状態だった自動クラッチC2を締結進行させること(スリップ締結制御)により、つまり両自動クラッチの掛け替えにより第5速から第6速へのアップシフトを行わせる。
これにより自動クラッチC2からのエンジン回転が第2入力軸5、第6速歯車組G6、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より軸線方向に出力され、第6速での動力伝達を行うことができる。
かかる5→6変速後の変速はダウンシフトしか存在せず、奇数変速段グループを直下の第5速へプリシフトされた状態にすべきであるから、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを第5速実現時と同じ左行位置に保って歯車31を第1入力軸4に結合させたままとする。
上記アップシフトと逆の変速制御、つまり前述したと逆方向の順次プリシフト制御および自動クラッチC1,C2の締結・解放制御を介して所定のダウンシフトを行わせることができる。
後退走行を希望して非走行レンジからRレンジに切り替えた場合においては、同期噛合機構21のカップリングスリーブ21aを中立位置から右行させて歯車16をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる奇数変速段グループの後退変速段へのプリシフト後、非走行レンジで解放状態であった自動湿式回転クラッチC1を締結する。
これにより自動クラッチC1からのエンジン回転が第1入力軸4、後退歯車組GR、カウンターシャフト10、および出力歯車組11,12を経て出力軸6より出力され、この際、後退歯車組GRにより回転方向を逆にされることから、後退変速段での動力伝達を行うことができる。
なお、後退変速段での発進時は、それ用に自動クラッチC1を締結進行させるスリップ締結制御により、発進ショックのない滑らかな後発進を行わせることとする。
また、同期噛合機構21,22,29,30を成すカップリングスリーブ21a,22a,29a,30aのストローク制御(シフト制御)は、図1に示さなかったが、自動マニュアルトランスミッション2内における図4,5に示したシフトアクチュエータ45,46,48,47によりこれを行うこととする。
このため変速機コントローラ111には、車速VSPを検出する車速センサ112からの信号と、
運転者が前記したP,R,N,Dレンジを選択するために操作するシフトレバー113からのインヒビタ信号(選択レンジ信号)と、
自動クラッチC1,C2のうち、解放状態となっている解放側自動クラッチ内のオイル量Qを検出する油量センサ114からの信号とを入力する。
このためエンジンコントローラ115には、エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ118からの信号と、
アクセルペダル踏み込み量(アクセル開度)APOを検出するアクセル開度センサ119からの信号と、
スロットル弁117のスロットル開度TVOを検出するスロットル開度センサ120からの信号とを入力する。
なおエンジンコントローラ115および変速機コントローラ111との間には相互通信回路121が存在し、両者間で入力信号を含め、情報を交換し合ってそれぞれの制御に用いるものとする。
図4,5は、図3のシステムで生成したライン圧PLを元圧として前記ツインクラッチ式自動マニュアルトランスミッションの自動変速を司る変速制御システム、つまり自動クラッチC1,C2の前記した締結・解放制御と、これとの関連において前記したごとくに行う同期噛合機構21,22,29,30の中立位置からのシフト動作および中立位置への復帰動作(両者を総称してシフトと言う)を司る制御システムを示す。
ライン圧制御弁33は、前記したエンジン駆動されるオイルポンプO/P(図2参照)からの作動油を媒体とし、これを以下のようにしてライン圧PLに調圧するものである。
ライン圧ソレノイド34はライン圧PLをもとに、エンジン負荷(アクセル開度APO)が大きくなるほど高くなるモジュレータ圧を作り出し、これをライン圧制御弁33に対し一方向へ印加する。
ライン圧制御弁33は、このモジュレータ圧による力と、他方向バネ力およびこれと共働する方向にフィードバックさせたライン圧PLによる力とが釣り合うようライン圧PLを調圧する。
ライン圧制御弁33の上記調圧作用によりドレンされることとなった作動油は、潤滑油として用いるべくオイルクーラ35に通流させ、オイルクーラ通流後の作動油を、一方ではクラッチ潤滑油量調整弁36による流量制御下で共通なクラッチ潤滑油路37を経て両クラッチC1,C2に供給することによりこれらクラッチC1,C2の冷却に供し、他方では主軸4〜6に係わる回転部の潤滑およびカウンターシャフト10に係わる回転部の潤滑に供する。
クラッチ潤滑油量ソレノイド38は、クラッチ締結力の決定要因であるクラッチ入力トルク(アクセル開度APOで代表し得る)や、クラッチスリップ量などで決まるクラッチC1,C2の発熱量から求め得る、これらクラッチの冷却に必要なクラッチ潤滑油量に関した指令を入力され、ライン圧PLをもとにこのクラッチ潤滑油量指令に応じたソレノイド圧を作り出してクラッチ潤滑油量調整弁36に供給する。
クラッチ潤滑油量調整弁36は、当該ソレノイド圧に応動してクラッチC1,C2への潤滑油量をクラッチ潤滑油量指令に対応した油量とし、クラッチ発熱量が大きくなるほどクラッチC1,C2への潤滑油量を多くすることで、これらクラッチの冷却を確実に行うことができる。
ここで、オイルクーラ35からの潤滑油量から、上記クラッチC1,C2への潤滑油量を差し引いた油量が、主軸4〜6に係わる回転部への潤滑油量およびカウンターシャフト10に係わる回転部への潤滑油量になることは言うまでもない。
この変速制御に際し図2における同期噛合機構21,22,29,30のシフトを司る制御システムは、
同期噛合機構21を成すカップリングスリーブ21aの外周条溝に係合してそのシフトを行うための1−Rシフトフォーク41と、
同期噛合機構22を成すカップリングスリーブ22aの外周条溝に係合してそのシフトを行うための3−5シフトフォーク42と、
同期噛合機構30を成すカップリングスリーブ30aの外周条溝に係合してそのシフトを行うための2−4シフトフォーク43と、
同期噛合機構29を成すカップリングスリーブ29aの外周条溝に係合してそのシフトを行うための6−Nシフトフォーク44とを具え、
更に、シフトフォーク41〜44をそれぞれ、上記のシフト用にストロークさせるためのシフトアクチュエータ45〜48を有する。
1−Rシフトアクチュエータ45は、両端油路51,52がドレンされている間、1−Rシフトフォーク41を今のシフト位置に保ち、
油路51にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路52をドレンする間、1−Rシフトフォーク41を左行させて後退(R)位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から1速位置へとシフトさせ、油路51への油圧供給を中止する時1−Rシフトフォーク41をその時のシフト位置に停止させ、
油路52にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路51をドレンする間、1−Rシフトフォーク41を右行させて1速位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から後退(R)位置へとシフトさせ、油路52への油圧供給を中止する時1−Rシフトフォーク41をその時のシフト位置に停止させるものとする。
油路53にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路54をドレンする間、3−5シフトフォーク42を左行させて3速位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から5速位置へとシフトさせ、油路53への油圧供給を中止する時3−5シフトフォーク42をその時のシフト位置に停止させ、
油路54にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路53をドレンする間、3−5シフトフォーク42を右行させて5速位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から3速位置へとシフトさせ、油路54への油圧供給を中止する時3−5シフトフォーク42をその時のシフト位置に停止させるものとする。
油路55にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路56をドレンする間、2−4シフトフォーク43を左行させて4速位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から2速位置へとシフトさせ、油路55への油圧供給を中止する時2−4シフトフォーク43をその時のシフト位置に停止させ、
油路56にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路55をドレンする間、2−4シフトフォーク43を右行させて2速位置から図2に示す中立位置、更にこの中立位置から4速位置へとシフトさせ、油路56への油圧供給を中止する時2−4シフトフォーク43をその時のシフト位置に停止させるものとする。
油路57にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路58をドレンする間、6−Nシフトフォーク44を左行させて図2に示す中立位置から6速位置へとシフトさせ、油路57への油圧供給を中止する時6−Nシフトフォーク44をその時のシフト位置に停止させ、
油路58にアクチュエータ作動油圧を供給すると共に油路57をドレンする間、6−Nシフトフォーク44を右行させて6速位置から図2に示す中立位置へとシフトさせ、油路58への油圧供給を中止する時6−Nシフトフォーク44をその時のシフト位置に停止させるものとする。
偶数変速段用の2−4シフトアクチュエータ47および6−Nシフトアクチュエータ48を1組とし、これらシフトアクチュエータ47,48の作動元圧である偶数変速段圧Peを発生させる偶数変速段圧弁62を設ける。
これら奇数変速段圧弁61および偶数変速段圧弁62はそれぞれ、図3のシステムにより前述したごとくに作り出したライン圧PLをもとに、奇数変速段圧Poおよび偶数変速段圧Peを作り出すものとする。
奇数変速段クラッチC1の締結制御用に奇数変速段クラッチソレノイド63を設け、この奇数変速段クラッチソレノイド63は奇数変速段圧Poから奇数変速段クラッチC1の締結圧Pc1を作り出して、奇数変速段クラッチC1を前記したごとくに締結・解放制御するものとする。
また偶数変速段クラッチC2の締結制御用に偶数変速段クラッチソレノイド64を設け、この遇数変速段クラッチソレノイド64は偶数変速段圧Peから偶数変速段クラッチC2の締結圧Pc2を作り出して、偶数変速段クラッチC2を前記したごとくに締結・解放制御するものとする。
奇数変速段圧弁61および偶数変速段圧弁62と、シフトアクチュエータ45, 46, 47, 48との間には、共通な電動ON,OFF式シフトアクチュエータ選択弁であるシーケンスソレノイド弁70を介在させる。
そして、シーケンスソレノイド弁70と、奇数変速段圧弁61との間には、奇数変速段圧Poを元圧として、1−Rシフトアクチュエータ45または3−5シフトアクチュエータ46の作動油圧を作り出すと共に、このアクチュエータ作動油圧を該当するシフトアクチュエータ45または46に対しどちら向きに供給するかを決定する奇数変速段用シフトアクチュエータモジュール80を介在させる。
また、シーケンスソレノイド弁70と、偶数変速段圧弁62との間には、偶数変速段圧Peを元圧として、2−4シフトアクチュエータ47または6−Nシフトアクチュエータ48の作動油圧を作り出すと共に、このアクチュエータ作動油圧を該当するシフトアクチュエータ47または48に対しどちら向きに供給するかを決定する偶数変速段用シフトアクチュエータモジュール90を介在させる。
ソレノイド72は、ON時にバネ75のバネ力に抗し作動されることで、ライン圧PLをソレノイド油路74にソレノイド油圧として出力し、これにより弁体71をバネ73のバネ力に抗し図4に破線(図5に実線)で示す油路接続状態となす。
ソレノイド72は、OFF時にバネ75のバネ力で、ソレノイド油路74をドレンする状態となる結果、弁体71をバネ73のバネ力により図4に実線(図5に破線)で示す油路接続状態にするものとする。
1−Rシフトアクチュエータ45の両端油路51,52および2−4シフトアクチュエータ47の両端油路55,56をそれぞれ対応する奇数変速段用シフトアクチュエータモジュール80および偶数変速段用シフトアクチュエータモジュール90に接続して、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47を個々のシフトアクチュエータモジュール80,90によりシフト制御可能な状態にするものとする。
3−5シフトアクチュエータ46の両端油路53,54および6−Nシフトアクチュエータ48の両端油路57,58をそれぞれ対応する奇数変速段用シフトアクチュエータモジュール80および偶数変速段用シフトアクチュエータモジュール90に接続して、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48を個々のシフトアクチュエータモジュール80,90によりシフト制御可能な状態にするものとする。
これら奇数変速段シフト圧Po1,Po2を、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)が上記のごとく選択してシフト制御可能にした1−Rシフトアクチュエータ45または3−5シフトアクチュエータ46の対応端油路へ供給すべきか、この対応端油路をドレンすべきかを決定するシフトソレノイド83,84とを具える。
ここでシフトソレノイド83,84はそれぞれ、常態で(OFF時に)図4,5に示すごとく、上記の選択によりシフト制御可能な1−Rシフトアクチュエータ45または3−5シフトアクチュエータ46の対応端油路をドレンし、
またシフトソレノイド83,84はそれぞれ、ONによる作動時に、上記の選択によりシフト制御可能な1−Rシフトアクチュエータ45または3−5シフトアクチュエータ46の対応端油路に奇数変速段シフト圧Po1,Po2を供給するものとする。
これら偶数変速段シフト圧Pe1,Pe2を、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)が上記のごとく選択してシフト制御可能にした2−4シフトアクチュエータ47または6−Nシフトアクチュエータ48の対応端油路に供給すべきか、この対応端油路をドレンすべきかを決定するシフトソレノイド93,94とを具える。
ここでシフトソレノイド93,94はそれぞれ、常態で(OFF時に)図4,5に示すごとく、上記の選択によりシフト制御可能な2−4シフトアクチュエータ47または6−Nシフトアクチュエータ48の対応端油路をドレンし、
またシフトソレノイド93,94はそれぞれ、ONによる作動時に、上記の選択によりシフト制御可能な2−4シフトアクチュエータ47または6−Nシフトアクチュエータ48の対応端油路に偶数変速段シフト圧Pe1,Pe2を供給するものとする。
[1速時プリシフト]
Dレンジのような前進走行レンジで第1速を希望する場合、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をOFFにより図4に示す油路接続状態となして、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47をシフト制御可能となるよう選択する一方で、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48をシフト制御不能にする。
この状態で、シフトソレノイド83をONして奇数変速段シフト圧Po1を1−Rシフトアクチュエータ45の対応端油路51へ供給すると共に、シフトソレノイド84のOFFにより1−Rシフトアクチュエータ45の反対端油路52をドレンする。
なお、1−Rシフトフォーク41の1速位置へのシフト(奇数変速段グループの第1速へのプリシフト)は、ソレノイド81による奇数変速段シフト圧Po1の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド83をOFFしておく。
つまり、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をOFFにより図4に示す油路接続状態に保ったまま、シフトソレノイド93をONして偶数変速段シフト圧Pe1を2−4シフトアクチュエータ47の対応端油路55へ供給すると共に、シフトソレノイド94のOFFにより2−4シフトアクチュエータ47の反対端油路56をドレンする。
なお、2−4シフトフォーク43の2速位置へのシフト(偶数変速段グループの第2速へのプリシフト)は、ソレノイド91による偶数変速段シフト圧Pe1の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド93をOFFしておく。
1→2変速が終わって第2速が実現されたら、前記したように奇数変速段グループの第3速へのプリシフト、つまり図2において同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを右行させて歯車19を第1入力軸4に駆動結合し、奇数変速段グループの1→3プリシフトを行うが、これを以下のように遂行する。
つまり、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をONにより図5に示す油路接続状態に切り替え、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48をシフト制御可能となるよう選択する一方で、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47をシフト制御不能にする。
この状態で、シフトソレノイド83をONして奇数変速段シフト圧Po1を3−5シフトアクチュエータ46の対応端油路54へ供給すると共に、シフトソレノイド84のOFFにより3−5シフトアクチュエータ46の反対端油路53をドレンする。
なお、3−5シフトフォーク42の3速位置へのシフト(奇数変速段グループの第3速へのプリシフト)は、ソレノイド81による奇数変速段シフト圧Po1の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド83をOFFしておく。
2→3変速が終わって第3速が実現されたら、前記したように偶数変速段グループの第4速へのプリシフト、つまり図2において同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻して歯車26をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを右行させて歯車28をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる偶数変速段グループの2→4プリシフトを行うが、これを以下のように遂行する。
つまり、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をOFFにより図4に示す油路接続状態に切り替え、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47をシフト制御可能となるよう選択する一方で、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48をシフト制御不能にする。
この状態で、シフトソレノイド94をONして偶数変速段シフト圧Pe2を2−4シフトアクチュエータ47の対応端油路56へ供給すると共に、シフトソレノイド93のOFFにより2−4シフトアクチュエータ47の反対端油路55をドレンする。
なお、2−4シフトフォーク43の4速位置へのシフト(偶数変速段グループの第2速から第4速へのプリシフト)は、ソレノイド92による偶数変速段シフト圧Pe2の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド94をOFFしておく。
3→4変速が終わって第4速が実現されたら、前記したように奇数変速段グループの第5速へのプリシフト、つまり図2において同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを中立位置に戻して歯車19を第1入力軸4から切り離すと共に、同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aを左行させて歯車31を第1入力軸4に結合し、これによる奇数変速段グループの3→5プリシフトを行わせるが、これを以下のごとくに遂行する。
つまり、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をONにより図5に示す油路接続状態に切り替え、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48をシフト制御可能となるよう選択する一方で、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47をシフト制御不能にする。
この状態で、シフトソレノイド84をONして奇数変速段シフト圧Po2を3−5シフトアクチュエータ46の対応端油路53へ供給すると共に、シフトソレノイド83のOFFにより3−5シフトアクチュエータ46の反対端油路54をドレンする。
なお、3−5シフトフォーク42の5速位置へのシフト(奇数変速段グループの第3速から第5速へのプリシフト)は、ソレノイド82による奇数変速段シフト圧Po2の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド84をOFFしておく。
4→5変速が終わって第5速が実現されたら、前記したように偶数変速段グループの第6速へのプリシフト、つまり図2において同期噛合機構30のカップリングスリーブ30aを中立位置に戻すことにより歯車28をカウンターシャフト10から切り離すと共に、同期噛合機構29のカップリングスリーブ29aを左行させて歯車24をカウンターシャフト10に駆動結合し、これによる偶数変速段グループの4→6プリシフトを行わせるが、これを以下のごとくに遂行する。
つまり、シーケンスソレノイド弁70(弁体71)をOFFにより図4に示す油路接続状態に切り替え、1−Rシフトアクチュエータ45および2−4シフトアクチュエータ47をシフト制御可能となるよう選択する一方で、3−5シフトアクチュエータ46および6−Nシフトアクチュエータ48をシフト制御不能にする。
この状態で、シフトソレノイド93をONして偶数変速段シフト圧Pe1を2−4シフトアクチュエータ47の対応端油路55へ供給すると共に、シフトソレノイド94のOFFにより2−4シフトアクチュエータ47の反対端油路56をドレンする。
この中立位置復帰は、ソレノイド91による偶数変速段シフト圧Pe1の調整により適切に行うと共に適切に終了させることができ、この終了時にシフトソレノイド93をOFFしておく。
この状態で、シフトソレノイド93をONして偶数変速段シフト圧Pe1を6−Nシフトアクチュエータ48の対応端油路57へ供給すると共に、シフトソレノイド94のOFFにより6−Nシフトアクチュエータ48の反対端油路58をドレンする。
以上により、第5速で前記したごとくに要求される偶数変速段グループの第4速から第6速へのプリシフトを行わせることができる。
5→6変速が終わって第6速が実現されたら、前記したように奇数変速段グループの第5速へのプリシフトが要求されるが、第6速実現時は、図2において同期噛合機構22のカップリングスリーブ22aが第5速実現時と同じ5速位置にシフトされたままであるため、実際は当該プリシフト制御が不要である。
なお、第6速から順次第1速へとダウンシフトさせる場合も、上記アップシフトの場合と逆のプリシフト制御を行うことにより、所定の逆方向プリシフトを行わせることができる。
ところで、締結側となる自動クラッチC1またはC2の発熱量がスリップ締結に起因して多くなる状況下にあっては、図3につき前述したごとく、クラッチ潤滑油量ソレノイド38へのクラッチ潤滑油量指令が、自動クラッチC1,C2の双方に潤滑油路37から多量の潤滑油を供給するようなクラッチオイル供給量指令値にされる。
このため、プリシフトに関与しない締結側における自動クラッチがスリップ締結により発熱している場合、プリシフト側の解放状態となっている解放側の自動クラッチにも多量の潤滑油が供給されることとなる。
このクラッチ引き摺りトルクは、プリシフトに関与する同期噛合機構の前後回転同期を取り難くし、結果としてプリシフトを困難、若しくは不能にすることから、当該プリシフトを経由する変速自体が困難、若しくは不能になるという問題や、当該同期噛合機構が大きな同期負荷のもとで無理矢理に同期作用を行われることで損傷されたり、その耐久性を低下されるという問題を生ずる。
当該プリシフトの困難や不能に関する問題だけでなく、当該同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性を低下されるという問題を生ずることから、
これらの問題を解消するため本実施例においては、図1の変速機コントローラ111が、図6に示す制御プログラムに基づき、以下のような解放側クラッチ内油量に応じたプリシフトの許可・禁止制御を行う。
解放側自動クラッチC1またはC2が未だ解放状態になっていない間は、このクラッチが未だ締結容量を持って、これに係わる変速段グループのプリシフトを行い得ないことから、制御をステップS6に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を禁止することにより、実質上プリシフトを禁止する。
ステップS2においては、図1の油量センサ114で検出した解放側自動クラッチC1またはC2内のオイル量Qを読み込み、
ステップS3において、この解放側自動クラッチ内オイル量Qが設定オイル量Qs以上か否かをチェックする。
従ってステップS3は、本発明における解放側自動クラッチ内オイル量検知手段に相当する。
なお設定オイル量Qsは例えば、解放側自動クラッチC1またはC2が当該解放側自動クラッチに係わる変速段グループ内でのプリシフトに支障をきたす引き摺りトルクを発生するような油量の下限値に相当する値とする。
制御をステップS5に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を許可することにより、プリシフトを制約なく通常通りに行わせる。
制御をステップS4に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を禁止することにより、実質上プリシフトを禁止する。
従ってステップS4は、本発明におけるプリシフト禁止手段に相当する。
本実施例においては、このような状況の場合(Q≧Qsの場合)ステップS4でプリシフトを禁止するため、当該プリシフトが困難、若しくは不能であるにもかかわらず、これが強行されることがなくなり、当該プリシフトの強行により関連する同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性を低下されるという問題を解消することができる。
例えば、図1の変速機コントローラ111から図3に示したクラッチ潤滑油量ソレノイド38へのクラッチ潤滑油量指令(クラッチオイル供給量指令値)が、自動クラッチC1,C2の双方への潤滑油供給量を表すため、
このクラッチオイル供給量指令値から解放側自動クラッチC1またはC2内のオイル量Qを推定し、この検出値が設定オイル量Qs以上か否かによりQ≧Qsの判定を行うことができる。
この場合、図1における油量センサ114が不要で、コスト上の有利さを享受することができる。
この実施例においては、図3につき前述したように締結側自動クラッチC2またはC1の発熱量が多いほど、自動クラッチC1,C2へのオイル供給量を表す図3に示したクラッチ潤滑油量ソレノイド38へのクラッチ潤滑油量指令が大きくて、解放側自動クラッチC1またはC2内のオイル量Qが多くなり、上記の引き摺りトルクによる問題を生ずるとの観点から、
図1の変速機コントローラ111が、この問題解決を実現すべく図7に示す制御プログラムを実行して、以下のようにクラッチ発熱状態に応じたプリシフトの許可・禁止制御を行うものとする。
変速中であれば、これが、前記したところから明らかなようにクラッチC1,C2の掛け替えにより遂行されることから、締結側となるクラッチC1またはC2のスリップ締結による発熱量(従って、クラッチ潤滑油量)が上記の問題を生じさせるほど多量である可能性がある。
従ってステップS21は、本発明における解放側自動クラッチ解放状態検知手段に相当し、また、ステップS22は、本発明における解放側自動クラッチ内オイル量検知手段に相当する。
解放側自動クラッチC1,C2へのクラッチ潤滑油量Qが(Q<Qs)であって、プリシフトに支障をきたす解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるようなものでなく、前記の問題を生じることはないとの判断により、制御をステップS12に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を許可する。
従ってステップS16は、本発明におけるプリシフト禁止手段に相当する。
解放側自動クラッチの大きな引き摺りトルク故に当該プリシフトが困難、若しくは不能なのにこれを強行することがなくなり、当該プリシフトの強行で、対応する同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性が低下するなどの問題を解消することができる。
その結果にもとづき、締結側自動クラッチC1(C2)の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)が、解放側自動クラッチC2(C1)の解放状態のもとで行うプリシフトに支障をきたすクラッチ引き摺りトルクを生じさせるようなものである場合に、プリシフト用のギヤ位置設定を禁止する。
上記の変速中を、以下の4つの期間に区切る。
基本的には4つの期間をもとに、締結側自動クラッチC1,C2の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)が、解放側自動クラッチの解放状態のもとで行うプリシフトに支障をきたす解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるようなものであるか否かのチェックを行う。
自動クラッチC1,C2が未だ変速前の変速段を保持する完全締結状態または完全解放状態であって、クラッチC1,C2の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)がプリシフトに支障をきたすクラッチ引き摺りトルクを生じさせるようなもの(Q≧Qs)でないから、
制御をステップS12に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を許可する。
自動クラッチC1,C2のうち、締結容量漸増中の自動クラッチ(締結側自動クラッチ)を完全締結させ、且つ、締結容量漸減中の自動クラッチ(解放側自動クラッチ)を完全解放させてしまって、締結側自動クラッチC1またはC2の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)が、解放側自動クラッチC2またはC1の解放状態のもとで行うプリシフトに支障をきたす解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるようなもの(Q≧Qs)でないから、
制御をステップS12に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を許可する。
これら自動クラッチC1,C2に係わる変速段グループが自動クラッチC1,C2のスリップ締結を介して共に伝動状態となるインターロック傾向故に前記プリシフトが困難になるため、無条件に制御をステップS16に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を禁止する。
かかるインターロック傾向となる状況なのにプリシフトが強行された場合の弊害、つまり関連する同期噛合機構が破損するという弊害を回避することができる。
従ってステップS17は、本発明におけるイナーシャフェーズ先行型変速判定手段に相当する。
また、イナーシャフェーズは自動クラッチC1,C2の掛け替えが終了して解放側自動クラッチC1またはC2が締結容量を持たなくなる解放状態となって行われることから、ステップS15は、本発明における解放側自動クラッチ解放状態検知手段に相当する。
しかし、アクセルペダルを踏み込んだことに伴って発生する大トルク状態下での踏み込みダウンシフト時は、先ず変速機入力回転数が変化することから自動クラッチC1,C2の掛け替えよりも前にイナーシャフェーズが発生し、イナーシャフェーズ先行型の変速となる。
締結側自動クラッチC1(C2)の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)が運転条件次第では、プリシフトに支障をきたす解放側自動クラッチC2(C1)の引き摺りトルクを生じさせるようなもの(Q≧Qs)になることがあり、この場合は制御をステップS16に進めてプリシフト用のギヤ位置設定を禁止すべきである。
従って、イナーシャフェーズ先行型の変速(踏み込みダウンシフト)にあっては、イナーシャフェーズ期間故に締結側自動クラッチC1またはC2の発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)が多く(Q≧Qs)、プリシフト側の解放状態にあるクラッチ(解放側自動クラッチ)が大きなクラッチ引き摺りトルクを発生させても、関連する同期噛合機構の同期負荷が増大されることはなく、プリシフトを実行しても前記した問題を生ずることがない。
かように、イナーシャフェーズ先行型の変速(踏み込みダウンシフト)時はイナーシャフェーズ期間であってもプリシフトを許可するように構成した本実施例によれば、
上記の理由からプリシフトを実行しても前記の問題を生じないにもかかわらず、これが無駄に禁止されて変速制御に悪影響が及ぶのを回避することができる。
これらステップS18およびステップS19は、本発明における解放側自動クラッチ内オイル量検知手段に相当するもので、
ステップS18においては、エンジン1の負荷状態を表すアクセル開度APO(締結側自動クラッチC1またはC2への入力トルク)が設定開度APOs以上か(締結側自動クラッチC1またはC2への入力トルクが大きいか)否かをチェックし、
ステップS19においては、車速VSP(変速機出力回転数)が設定車速VSPs以上か否かをチェックする。
また設定車速VSPsは、締結側自動クラッチC1またはC2の変速前後におけるクラッチ入力回転段差(スリップ量)が、該クラッチの発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)を、前記のプリシフトに支障が及ぶ解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるようなもの(Q≧Qs)となす高車速域の下限値とする。
つまり締結側自動クラッチC1またはC2の入力トルクや、変速前後における締結側自動クラッチ入力回転段差(スリップ量)が、当該クラッチの発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)を、前記のプリシフトに支障が及ぶような大きな解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるほど大きくなる(Q≧Qsになる)、上記アクセル開度APO≧APOs条件または車速VSP≧VSPs条件下でのイナーシャフェーズ期間中は、
ステップS16においてプリシフト用のギヤ位置設定を禁止する。
解放側自動クラッチの大きな引き摺りトルク故に当該プリシフトが困難、若しくは不能なのにこれを強行することがなくなり、当該プリシフトの強行で、対応する同期噛合機構が損傷されたり、その耐久性が低下するなどの問題を解消することができる。
つまり締結側自動クラッチC1またはC2の入力トルクや、変速前後における締結側自動クラッチC1またはC2のクラッチ入力回転段差(スリップ量)が、クラッチの発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)を、前記のプリシフトに支障が及ぶような大きな解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるほど大きくなる(Q≧Qsになる)ことがない、上記アクセル開度APO<APOs条件および車速VSP<VSPs条件下でのイナーシャフェーズ期間中は、
ステップS12においてプリシフト用のギヤ位置設定を許可する。
締結側自動クラッチC1またはC2の入力トルクや、変速前後における締結側自動クラッチC1またはC2のクラッチ入力回転段差(スリップ量)が、クラッチの発熱量(解放側自動クラッチ潤滑油量Q)を、前記のプリシフトに支障が及ぶような大きな解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるほど大きくなる(Q≧Qsになる)ことがないにもかかわらず、プリシフトが無駄に禁止されて変速制御に悪影響が及ぶのを回避することができる。
本実施例は、これら小アクセル開度APO<APOs条件および低車速VSP<VSPs条件でプリシフトを許可するよう構成したことで、オートアップシフト要求時の変速を要求通りに遂行することができる。
その理由は、変速機作動油温が高温であるほど、同じ締結側自動クラッチ発熱量のもとでも多量の潤滑油をクラッチC1,C2に供給してその冷却能力を高める必要があって、高温時ほど、アクセル開度APOが小さい時から、また、車速VSPが低い時から、クラッチ潤滑油量を、プリシフトに支障が及ぶ解放側自動クラッチの引き摺りトルクを生じさせるようなものとなす事実に起因する。
従って上記のごとく、設定アクセル開度APOsおよび設定車速VSPsをそれぞれ、変速機作動油温が高温であるほど低くなるよう設定すれば、
変速機作動油温が如何なる温度状態であっても、前記諸々の作用効果を確実に達成することができる。
2 自動マニュアルトランスミッション
C1 奇数変速段クラッチ
C2 偶数変速段クラッチ
3 クラッチハウジング
4 第1入力軸
5 第2入力軸
6 出力軸
7 クラッチハブ
8 クラッチハブ
10 カウンターシャフト
11 カウンターギヤ
12 出力歯車
G1 第1速歯車組
G2 第2速歯車組
G3 第3速歯車組
G4 第4速歯車組
G5 第5速歯車組
G6 第6速歯車組
GR 後退歯車組
21 1速−後退用同期噛合機構
22 3速−5速用同期噛合機構
29 6速用同期噛合機構
30 2速−4速用同期噛合機構
33 ライン圧制御弁
34 ライン圧ソレノイド
35 オイルクーラ
36 クラッチ潤滑油量調整弁
37 クラッチ潤滑油路
38 クラッチ潤滑油量ソレノイド
41 1−Rシフトフォーク
42 3−5シフトフォーク
43 2−4シフトフォーク
44 6−Nシフトフォーク
45 1−Rシフトアクチュエータ
46 3−5シフトアクチュエータ
47 2−4シフトアクチュエータ
48 6−Nシフトアクチュエータ
61 奇数変速段圧弁
62 偶数変速段圧弁
63 奇数変速段クラッチソレノイド
64 偶数変速段クラッチソレノイド
70 シーケンスソレノイド弁(シフトアクチュエータ選択弁)
71 弁体
72 ソレノイド
80 奇数変速段用シフトアクチュエータモジュール
81,82 奇数変速段圧ソレノイド
83,84 シフトソレノイド
90 偶数変速段用シフトアクチュエータモジュール
91,92 偶数変速段圧ソレノイド
93,94 シフトソレノイド
111 変速機コントローラ
112 車速センサ
113 シフトレバー
114 油量センサ
115 エンジンコントローラ
116 インジェクタ
117 スロットル弁
118 エンジン回転センサ
119 アクセル開度センサ
120 スロットル開度センサ
Claims (5)
- 複数の変速段グループごとに個々の自動クラッチを介し回転を入力可能で、
或る変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構のシフト動作と、対応する自動クラッチの締結とにより該変速段を実現している間に、別の変速段グループに係わる自動クラッチを解放させた状態で該別の変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構を予めシフト動作させておくプリシフトを行い、前記或る変速段グループに係わる自動クラッチを解放させつつ前記別の変速段グループに係わる自動クラッチを締結させる自動クラッチの掛け替えにより変速を行うようにした自動マニュアルトランスミッションにおいて、
前記別の変速段グループに係わる解放側自動クラッチが解放状態であるのを検知する解放側自動クラッチ解放状態検知手段と、
前記自動クラッチの掛け替え後、変速機入力側回転数が変速に伴い変化するイナーシャフェーズを生じている間に、締結側自動クラッチの入力側トルクが設定トルク未満であり、且つ、変速機出力側回転数が設定回転数未満である時をもって、解放側自動クラッチ内のオイル量が前記設定オイル量未満であると判定して検知し、前記締結側自動クラッチの入力側トルクが前記設定トルク以上であるか、または変速機出力側回転数が前記設定回転数以上である時をもって、前記解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上であると判定して検知する解放側自動クラッチ内オイル量検知手段とを具え、
これら両手段からの信号に応答し、解放側自動クラッチが解放状態であり、且つ、該解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上である間、前記プリシフトを禁止するプリシフト禁止手段を設けたことを特徴とする自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置。 - 複数の変速段グループごとに個々の自動クラッチを介し回転を入力可能で、
或る変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構のシフト動作と、対応する自動クラッチの締結とにより該変速段を実現している間に、別の変速段グループに係わる自動クラッチを解放させた状態で該別の変速段グループ内における変速段の実現を司る選択噛合機構を予めシフト動作させておくプリシフトを行い、前記或る変速段グループに係わる自動クラッチを解放させつつ前記別の変速段グループに係わる自動クラッチを締結させる自動クラッチの掛け替えにより変速を行うようにした自動マニュアルトランスミッションにおいて、
前記別の変速段グループに係わる解放側自動クラッチが解放状態であるのを検知する解放側自動クラッチ解放状態検知手段と、
前記解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上であるのを検知する解放側自動クラッチ内オイル量検知手段と、
これら両手段からの信号に応答し、解放側自動クラッチが解放状態であり、且つ、該解放側自動クラッチ内のオイル量が設定オイル量以上である間、前記プリシフトを禁止するプリシフト禁止手段と、
変速機入力側回転数が変速に伴って変化するイナーシャフェーズを、前記自動クラッチの掛け替えよりも前に生じさせるイナーシャフェーズ先行型変速か否かを判定するイナーシャフェーズ先行型変速判定手段とを設け、
該手段がイナーシャフェーズ先行型変速であると判定するとき、前記解放側自動クラッチ内オイル量検知手段の検知結果に関係なく、前記プリシフト禁止手段に前記プリシフトの禁止を行わないよう指令する構成としたことを特徴とする自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置。 - 請求項1または2に記載の自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置において、
前記設定オイル量は、解放側自動クラッチが前記プリシフトに支障をきたす引き摺りトルクを発生する油量であることを特徴とする自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置。 - 請求項1または3に記載の自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置において、
前記締結側自動クラッチの入力側トルクに係わる前記設定トルク、および、前記変速機出力側回転数に係わる前記設定回転数を、変速機作動油温が高温であるほど低く設定したことを特徴とする自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置において、
前記解放側自動クラッチ内オイル量検知手段は、発進変速段に係わる自動クラッチの発進時スリップ制御中は、解放側自動クラッチ内のオイル量が前記設定オイル量以上であると判定するものであることを特徴とする自動マニュアルトランスミッションの変速制御装置。
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