JP5251098B2 - 熱可塑性組成物成形体の製造方法 - Google Patents
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Description
上記特許文献1及び上記特許文献2では、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含有する材料を射出成形しようとしているものの、上記端材等に対して対応することについては検討されておらず、また、機械的特性を維持する方法についての検討もなされていない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含有した前駆成形体を利用して、熱可塑性樹脂が有する機械的特性を維持しつつ射出成形できる熱可塑性組成物成形体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むマット成形体及びボード成形体のうちの少なくとも一方の前駆成形体を細分化してチップにするチップ化工程と、
上記チップを加熱せず押し固めてペレットを得る非加熱ペレット化工程と、
上記ペレットを射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備える熱可塑性組成物成形体の製造方法であって、
上記非加熱ペレット化工程は、ダイスと該ダイスに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記チップを該ダイス内に圧入した後、該ダイスから押し出して上記ペレットを形成する工程であり、
上記ローラーの表面には凹凸が形成されていることを特徴とする熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(2)上記植物性繊維はケナフ繊維である上記(1)に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
(3)上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン又はポリ乳酸樹脂である上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
上記ペレット化工程は、ローラー式成形機を用い、ローラーによりチップをダイス内に圧入した後、ダイスから押し出してペレットを形成する工程であるため、特に優れた成形性と高い曲げ強度維持率を得ることができる。
植物性繊維がケナフ繊維である場合、より高い曲げ弾性率を有する成形体を得ることができる。また、ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。
熱可塑性樹脂がポリ乳酸樹脂である場合は、バイオマス材料であり環境負荷が小さい。即ち、生合成可能であり、また、非石油系樹脂である樹脂を用いることとなり、高い機械的強度等の実用的な特性を得ながら、石油資源の使用を抑制できる。また、熱可塑性樹脂がポリプロピレンである場合は、取扱いが容易であり、生産性を向上させることができる。また、高い柔軟性と優れた成形性が得られ、より自在な形状に成形できる高い弾性率を有する成形体を得ることができる。
[1]熱可塑性組成物成形体の製造方法
本発明の熱可塑性組成物成形体の製造方法は、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むマット成形体及びボード成形体のうちの少なくとも一方の前駆成形体を細分化してチップにするチップ化工程と、
上記チップを加熱せず押し固めてペレットを得る非加熱ペレット化工程と、
上記ペレットを射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備えることを特徴とする。
即ち、本発明の熱可塑性組成物成形体の製造方法は、「チップ化工程」と「非加熱ペレット化工程」と「射出成形工程」と、を備える。
上記「チップ化工程」は、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むマット成形体及びボード成形体のうちの少なくとも一方の前駆成形体を細分化してチップにする工程である。
上記「前駆成形体」は、植物性繊維と熱可塑性樹脂とが含まれたマット成形体及びボード成形体のうちの少なくとも一方である。この前駆成形体は、マット成形体及びボード成形体のうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、この前駆成形体は、本方法における熱可塑性樹脂組成形体を製造するためのみの目的で製造されたものであってもよく、他の成形物を製造する過程で生じた不要部(端材など)であってもよい。
尚、マット成形体は、マット状に成形された後にそのような加工が施されていてもよい。即ち、例えば、加熱加工が施されていてもよく、圧縮加工が施されていてもよく、更にはその他の加工が施されていてもよい。更に、このマット成形体の上記密度は、JIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定される値である。
尚、このボード成形体の密度は、上記マット成形体の密度と同様に、JIS K7112(プラスチック−非発泡プラスチックの密度及び比重の測定方法)に準じて測定される値である。
(1)熱可塑性樹脂を繊維状にした熱可塑性樹脂繊維を用い、この熱可塑性樹脂繊維と植物性繊維とを混繊(エアーレイにより同時堆積させる等)してマット成形体を得る方法。
(2)熱可塑性樹脂を分散させた分散液(分散状態は特に限定されず、エマルジョン、サスペンジョン等を含む)を植物性繊維に噴霧して得られた樹脂混合繊維(噴霧後に、加熱等の手段により乾燥させてもよい)を不織布化(エアーレイなどにより堆積)してマット成形体を得る方法。
(3)熱可塑性樹脂を分散させた分散液(分散状態は特に限定されず、エマルジョン、サスペンジョン等を含む)に、植物性繊維のみを不織布化(エアーレイなどにより堆積)してなるマットを浸漬して(浸漬後に、加熱等の手段により乾燥させてもよい)マット成形体を得る方法。
(4)熱可塑性樹脂を粉末状にした粉末状熱可塑性樹脂を用い、この粉末状熱可塑性樹脂と植物性繊維とを混合して上で、これらを不織布化(エアーレイなどにより堆積)してマット成形体を得る方法。
(5)上記(1)乃至(4)のうちのいずれかの方法により得られたマット成形体を、更に、加熱してマット成形体に含まれた熱可塑性樹脂を溶融させて、熱可塑性樹脂により植物性繊維同士を結着させてマット成形体を得る方法。
尚、上記(5)の方法においては、用いる熱可塑性樹脂がポリプロピレン及びポリ乳酸である場合、加熱温度は170〜240℃(より好ましくは190〜220℃)とすることが好ましい。
また、植物性繊維と熱可塑性樹脂繊維との混繊を行う(混繊工程)際にどのようにして混繊を行ってもよい。例えば、エアーレイ、フリース、カード等の各種方法を用いることができる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、上記混繊を行った後に、繊維同士を交絡する交絡工程を行ってもよい。交絡工程における交絡方法は特に限定されず、ニードルパンチ法及びステッチボンド法等を用いることができる。これらの方法は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(6)上記(1)〜(4)のうちのいずれかの方法により得られたマット成形体を、更に加熱圧縮してボード成形体を得る方法。
(7)上記(5)の方法により得られたマット成形体を、更に加熱せずマット成形体の余熱を利用して圧縮して(非加熱圧縮して)ボード成形体を得る方法。
(8)上記(5)の方法により得られたマット成形体を、更に加熱圧縮してボード成形体を得る方法。
上記「植物性繊維」は、植物に由来する繊維である。植物性繊維の種類は特に限定されないが、例えば、植物に由来する植物性繊維として、ケナフ、マニラ麻、サイザル麻、ジュート麻、綿花、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)及び広葉樹などの植物から得られる繊維(木質性及び非木質性を問わず、更には、採取部位を問わない)が挙げられる。これらの植物性繊維は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
尚、本発明におけるケナフとは木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。また、ジュートとはジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
更に、通常、繊維径は1mm以下である。繊維径が1mm以下であれば特に高い曲強さを得ることができる。この繊維径は0.01〜1mmが好ましく、0.05〜0.7mmがより好ましく、0.07〜0.5mmが特に好ましい。更には1〜10dtexであることが好ましい。尚、上記繊維径は平均繊維径である。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
尚、上記範囲を外れる形態の繊維が含有されてもよいが、植物性繊維全体の10質量%以下であることが好ましい。
これらのなかでは、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂のうちのポリ乳酸を含む他の樹脂との混合樹脂(ポリ乳酸アロイ)のうちの少なくとも1種であることが好ましい。また、上記ポリオレフィンのなかではポリプロピレンがより好ましい。上記ポリ乳酸アロイのなかでは、ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリブチレンサクシネートのうちの少なくとも1種とポリ乳酸との混合樹脂が好ましい。
これらのなかでは、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。
これらの生分解性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
尚、この前駆成形体における植物性繊維の割合は、後工程において熱可塑性樹脂を添加しない限り、得られる熱可塑性組成物成形体においても維持される。
前駆成形物は、例えば、粉砕機により粉末状となるまで粉砕することもできるが、それでは植物性繊維を含有させたことによる熱可塑性樹脂強度の補強効果を十分に得ることができない。このため、チップ状に細分化することが好ましい。チップの大きさは、最大辺長が25mm以下(通常1mm以上)であることが好ましく、1〜20mmがより好ましく、1〜15mmが更に好ましく、2〜7mmが特に好ましい。この範囲であれば好適に射出成形でき、また、得られる熱可塑性組成物成形体においても植物性繊維としての補強機能を十分に発揮することができる。
上記「非加熱ペレット化工程」は、チップ化工程で得られたチップを加熱せず押し固めてペレットを得る工程である。このペレット化工程では、圧縮成形方法を用いる。この圧縮成形方法としては、ローラー式成形方法が挙げられる。ローラー式成形方法は、ローラー式成形機を用いる方法であり、ダイス(ダイ)に接して回転されるローラーにより混合物がダイス内に圧入された後、ダイスから押し出されて成形される。ローラー式成形機には、ダイスの形状が異なるディスクダイス式(ローラーディスクダイス式成形機)とリングダイス式(ローラーリングダイス式成形機)が挙げられる。これらの圧縮成形方法のなかでは、特にローラーディスクダイス式成形方法を用いる方法が好ましい。この圧縮成形方法で用いられるローラーディスクダイス式成形機は圧縮効率が高く、本方法における非加熱ペレット化工程に特に好適である。
このローラーディスクダイス式成形機20では、上記構成に加えて更に、上記プレスローラ220は表面に凹凸221を備えるものである。また、主回転軸230の回転に伴って回転される切断用ブレード250を備えることが好ましい。
このペレットの形状及び大きさは特に限定されないが、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その最大長さは1mm以上(通常20mm以下)とすることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
上記「射出成形工程」は、上記非加熱ペレット化工程を経て得られたペレットを射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る工程である。この射出成形における各種成形条件及び使用する装置等は特に限定されず、目的とする成形体及び性状、使用されている熱可塑性樹脂の種類等により適宜のものとすることが好ましい。
本方法では、この射出成形時に、上記前駆成形体をチップ化及びペレット化して得られたペレット(前駆成形体ペレット)以外に、他のペレットを添加(後添加)することができる。他のペレット(以下、単に「後添加ペレット」という)としては前駆成形体を構成する熱可塑性樹脂と同質の熱可塑性樹脂からなるペレットが挙げられる。
更に、上記[ii]及び[iii]の場合においては、前駆成形体を構成する熱可塑性樹脂の単量体単位全体を100モル%とし、後添加ペレットを構成する熱可塑性樹脂の単量体単位全体を100モル%とし、且つ、前駆成形体を構成する熱可塑性樹脂の単量体単位のうちの50モル%以上を占める特定の単量体単位を主単量体単位とした場合に、後添加ペレットを構成する熱可塑性樹脂は、上記主単量体単位を50モル%以上(より特に好ましくは80〜100モル%)有する樹脂であることが特に好ましい。
尚、「異質の熱可塑性樹脂」とは、上記[i]〜[iii]のいずれの関係も有さない熱可塑性樹脂同士である。即ち、熱可塑性樹脂の種類が異なり、且つ互いに相溶性がない樹脂同士であることを意味する。
本発明の製造方法により得られる成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
[1]熱可塑性組成物成形体の製造
(1)実施例1
ケナフ繊維(繊維長70mm)とポリプロピレン繊維(繊維長51mm)とを質量比で50:50となるように計量し、エアーレイ法によりこれらの繊維が混合して堆積された厚さ20mmのマット成形体を得た。得られたマット成形体を250℃に加熱した熱板プレス機を用いて、マット成形体の内部温度が210℃となるまで加熱圧縮して、板厚が2.5mmのボード成形体を得た。更に、得られたボード成形体を250℃に設定されたオーブン内で加熱して、ボード成形体の内部温度を210℃に加熱し、次いで40℃に調温された金型を用いて約12kgf/cm2の圧力となるようにプレス成形して(加圧して)ドアトリム形状に賦形した後、不要部を切除してドアトリム基材を得た。この際に、切除した不要部(端材)を前駆成形体(図1の40)とした。
次いで、上記チップ(図1の41)をローラーディスクダイス式成形機(図1の20){株式会社菊川鉄工所製、形式「KP280」、貫通孔径(図2の211)4.2mm}に投入して、フィーダー周波数20Hzにて非加熱でペレット化を行い、直径約4mm且つ長さ約5mmの円柱状のペレット(図1の42)を得た(非加熱ペレット化工程)。
その後、上記ペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させた後、ペレット(図1の42)を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」、図1の30)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型(図1の31)温度40℃の条件で射出成形して厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の実施例1の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た(射出成形工程)。
上記(1)と同様にして非加熱ペレット化工程を行った後、上記射出成形工程において、非加熱ペレット化工程で得られたペレットに対して、表1の組成割合となるように、前駆成形体を構成する熱可塑性樹脂と同じ熱可塑性樹脂からなるペレット(後添加ペレット)を加えて射出成形工程を行い、実施例2〜4の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
上記(1)における前駆成形体の調製の際に、ポリプロピレン繊維に代えてポリ乳酸繊維(繊維長51mm)を、ケナフ繊維とポリ乳酸繊維との質量比が50:50となるように用いた以外は、上記(1)と同様にして前駆成形体を得た。その後、上記(1)と同様にして、チップ化工程、非加熱ペレット化工程及び射出成形工程を行って実施例5の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
上記(1)と同様にしてチップ化工程を行った後、上記非加熱ペレット化工程に変えて、二軸押出機により加熱ペレット化工程を行った。即ち、二軸押出機(株式会社プラスチック工学研究所製、φ40mm、L/D=32)を用い190℃で押し出し、コンベアで空冷させながら送った後、裁断してペレットを調製した(加熱ペレット化工程)。その後は、上記(1)と同様にして射出成形工程を行って比較例1の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
上記(3)と同様にして前駆成形体を得た後、上記(1)と同様にしてチップ化工程を行い、次いで、上記(4)と同様にして加熱ペレット化工程を行った後、上記(1)と同様にして射出成形工程を行って比較例2の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
ポリプロピレンからなるペレット(日本ポリプロ株式会社製、品名「ノバテック BC06C」)のみ(ケナフ繊維を用いず)を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型温度40℃の条件で射出成形して厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の比較例3の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
ポリ乳酸からなるペレット(トヨタ自動車株式会社製、品名「U’sS−12」)のみ(ケナフ繊維を用いず)を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」)に各々投入し、シリンダー温度190℃、型温度40℃の条件で射出成形して厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の比較例4の熱可塑性組成物成形体(試験片)を得た。
上記[1]で得られた実施例1〜5及び比較例1〜4の各成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。この測定に際しては、厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の上記各試験片を用い、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行って、各試験片の曲げ弾性率をJIS K7171に従って測定した。その結果を表1に示した。
実施例1〜4では、いずれも前駆成形体としてボード成形体を用いながら射出成形を行うことができた。また、ポリプロピレンのみからなる比較例3の成形体の曲げ強度は50MPaであった。これに対して、実施例1〜4の曲げ強度は51〜52MPaであり、ポリプロピレン単独での曲げ強度を維持しながら成形を行うことができたことが分かる。
一方、実施例1(非加熱ペレット化工程を採用)と比較例1(加熱ペレット化工程を採用)とを比較すると、曲げ強度は比較例1が45MPaであるのに対して実施例1では52MPaであった。実施例1には比較例1の曲げ強度を維持するだけでなく、それを上回る曲げ強度が付与され、この非加熱ペレット化工程を経ることで約16%もの顕著な曲げ強度強化がなされたことが分かる。更に、曲げ弾性率は、比較例1が5800MPaであるのに対して実施例1では6200MPaであった。実施例1には比較例1の曲げ弾性率を上回る曲げ弾性率が得られ、この非加熱ペレット化工程を経ることで400MPaの曲げ弾性率強化がなされたことが分かる。
更に、実施例1〜4では、成形時にポリプロピレンを後添加しても、曲げ弾性率をコントールしながら、曲げ強度は維持していることが分かる。
更に、実施例5(非加熱ペレット化工程を採用)と比較例2(加熱ペレット化工程を採用)とを比較すると、曲げ強度は比較例2が90MPaであるのに対して実施例5では102MPaであった。実施例5には比較例2の曲げ強度を維持するだけでなく、それを上回る曲げ強度が得られ、非加熱ペレット化工程を経ることで約13%の顕著な曲げ強度強化がなされたことが分かる。更に、曲げ弾性率は、比較例2が7800MPaであるのに対して実施例5では8000MPaであった。実施例1には比較例1の曲げ弾性率を上回る曲げ弾性率が得られ、この非加熱ペレット化工程を経ることで200MPaの曲げ弾性率強化がなされたことが分かる。
20;非加熱ペレット成形装置(ローラーディスクダイス式成形機)、200;ローラーディスクダイス式成形部、210;ディスクダイス、211;貫通孔、212;主回転軸挿通孔、220;プレスローラ、221;凹凸部、230;主回転軸、240;プレスローラ固定軸、250;切断用ブレード、
30;射出成形機、31;金型部、
40;前駆成形体、41;チップ、42ペレット。
Claims (3)
- 植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むマット成形体及びボード成形体のうちの少なくとも一方の前駆成形体を細分化してチップにするチップ化工程と、
上記チップを加熱せず押し固めてペレットを得る非加熱ペレット化工程と、
上記ペレットを射出成形して熱可塑性組成物成形体を得る射出成形工程と、を備える熱可塑性組成物成形体の製造方法であって、
上記非加熱ペレット化工程は、ダイスと該ダイスに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記チップを該ダイス内に圧入した後、該ダイスから押し出して上記ペレットを形成する工程であり、
上記ローラーの表面には凹凸が形成されていることを特徴とする熱可塑性組成物成形体の製造方法。 - 上記植物性繊維はケナフ繊維である請求項1に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
- 上記熱可塑性樹脂はポリプロピレン又はポリ乳酸樹脂である請求項1又は2に記載の熱可塑性組成物成形体の製造方法。
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