JP2010030047A - 熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法 - Google Patents

熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】植物性材料を多く含有しながら射出性に優れ、機械的特性に優れた成形体が得られる熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】第1装置を用いて、熱可塑性樹脂(PP等)を植物性材料(ケナフ等)と混合して、50〜95質量%の植物性材料が含有された第1混合物を得る工程と、第2装置を用いて、熱可塑性樹脂(PP等)を植物性材料(ケナフ等)と混合して、50〜95質量%の植物性材料が含有されると共に、曲げ弾性率が第1混合物の50〜90%、バーフロー長が1.1〜2.5倍の第2混合物を得る工程と、第1混合物を破砕した第1破砕物と第2混合物を破砕した第2破砕物との混合破砕物を得る第3混合工程と、混合破砕物をペレット化するペレット化工程と、を備える。得られた熱可塑性組成物を射出成形して成形体を得る。
【選択図】図1

Description

本発明は熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法に関する。更に詳しくは、植物性材料を50〜95質量%と多く含有する熱可塑性組成物の製造方法及び成形体の製造方法に関する。
近年、ケナフ等の成長が早く、二酸化炭素吸収量が多い植物性材料は、二酸化炭素排出量削減及び二酸化炭素の固定化等の観点から注目され、樹脂との複合用途で期待されている。
しかし、特に多量の植物性材料を樹脂に混合し、更には、得られた複合材料を成形するには大きな困難を伴う。これは複合材料に従来の樹脂と同等の十分な流動性を付与することが難しいからである。多量の植物材料を含む複合材料を扱う技術としては下記特許文献1〜3が知られている。
特開2005−105245号公報 特開2000−219812号公報 特開2008−093956号公報
上記特許文献1では、ケナフ繊維の含有量が50質量%を超える場合に、樹脂組成物の流動性が著しく低下するので射出成形において、満足する製品形状や製品形態が得られない等の問題が発生することが示されている。即ち、50質量%を超える多量の植物性材料を混合することが難しいことが示されている。
また、上記特許文献2では、樹脂にロジンや可塑剤を加えず、植物繊維のみを配合した場合には植物繊維が均一に分散され難く、樹脂と植物繊維の間の親和性が悪いことなどから、強度等に劣り、又品質の均一性にも欠け、実用性に乏しい材料しか得られないことが示されている。即ち、50質量%以上の多量の植物性材料を混合できるものの、添加剤を要することが示されている。
上記特許文献3には、植物性材料をペレット化して利用し、植物性材料が50質量%と多く含まれた成形体を射出成形により製造する方法が開示されているものの、更に射出成形に適した熱可塑性組成物が求められている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、植物性材料を50〜95質量%と多く含有しながら射出成形性に優れると共に機械的特性に優れた成形体が得られる熱可塑性組成物の製造方法及びこれを用いた成形体の製造方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)植物性材料と熱可塑性樹脂とを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性組成物の製造方法であって、
回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第1混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有された第1混合物を得る第1混合工程と、
回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第2混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有されると共に、曲げ弾性率が上記第1混合物の曲げ弾性率の50〜90%であり、且つバーフロー長が上記第1混合物のバーフロー長の1.1〜2.5倍である第2混合物を得る第2混合工程と、
上記第1混合物を破砕してなる第1破砕物と上記第2混合物を破砕してなる第2破砕物との混合破砕物を得る第3混合工程と、
上記混合破砕物を加熱することなく押し固めてペレット化するペレット化工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性組成物の製造方法。
(2)上記第1混合物の曲げ弾性率は3500〜7000MPaであり、且つバーフロー長は200〜600mmであり、更に、上記第2混合物の曲げ弾性率は2100〜5600MPaであり、且つバーフロー長は350〜900mmである上記(1)に記載の熱可塑性組成物の製造方法。
(3)上記混合破砕物は、上記第1破砕物と上記第2破砕物との合計を100質量%とした場合に、該第2破砕物を15質量%以上且つ60質量%未満含有する上記(1)又は(2)に記載の熱可塑性組成物の製造方法。
(4)上記ペレット化工程は、ダイと該ダイに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記混合物を該ダイ内に圧入した後、該ダイから押し出して上記ペレットを形成する上記(1)乃至(3)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
(5)上記植物性材料は、ケナフである上記(1)乃至(4)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
(6)上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はエチレン・プロピレン共重合体である上記(1)乃至(5)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
(7)上記(1)乃至(6)のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法により得られた熱可塑性組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
本発明の熱可塑性組成物の製造方法によれば、植物性材料を50〜95質量%と多く含有しながら射出成形性(とりわけ流動性)に優れた熱可塑性組成物を得ることができる。更に、この熱可塑性組成物を用いることで成形性及び機械的特性(とりわけ曲げ弾性率)に優れた成形体を得ることができる。
第1混合物の曲げ弾性率が3500〜7000MPaであり、且つバーフロー長が200〜600mmであり、更に、第2混合物の曲げ弾性率が2100〜5600MPaであり、且つバーフロー長が350〜900mmである場合は、曲げ弾性率及び流動性を相乗的に向上させることができる。
混合破砕物が第2破砕物を15質量%以上且つ60質量%未満含有する場合は、より顕著に曲げ弾性率及び流動性を相乗的に向上させることができる。
ペレット化工程が、ダイとダイに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、ローラーにより混合物をダイ内に圧入した後、ダイから押し出してペレットを形成する工程である場合は、熱可塑性樹脂を軟化又は溶融させるための加熱を要することなくペレット化を行うことができる。このため、熱可塑性組成物に対する熱履歴を抑制でき、得られる成形体においては優れた機械的特性を発現できる。
植物性材料がケナフである場合、ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できる。
熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はエチレン・プロピレン共重合体である場合は、優れた環境特性を備える熱可塑性組成物が得られると共に、高い機械的特性を得ることができる。
本発明の成形体の製造方法によれば、植物性材料を50〜95質量%と多く含有する熱可塑性組成物からなる成形体を射出成形により得ることができる。更に、成形性及び機械的特性に優れ、なかでも特に曲げ弾性率に優れた成形体が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[1]熱可塑性組成物の製造方法
本発明の熱可塑性組成物の製造方法は、植物性材料と熱可塑性樹脂とを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性組成物の製造方法であって、
回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第1混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有された第1混合物を得る第1混合工程と、
回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第2混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有されると共に、曲げ弾性率が上記第1混合物の曲げ弾性率の50〜90%であり、且つバーフロー長が上記第1混合物のバーフロー長の1.1〜2.5倍である第2混合物を得る第2混合工程と、
上記第1混合物を破砕してなる第1破砕物と上記第2混合物を破砕してなる第2破砕物との混合破砕物を得る第3混合工程と、
上記混合破砕物を加熱することなく押し固めてペレット化するペレット化工程と、を備えることを特徴とする。
上記「第1混合工程」は、第1混合溶融装置を用いて熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の植物性材料が含有された第1混合物を得る工程である。
上記「第2混合工程」は、第2混合溶融装置を用いて熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の植物性材料が含有されると共に、曲げ弾性率が上記第1混合物の曲げ弾性率の50〜90%であり、且つバーフロー長が上記第1混合物のバーフロー長の1.1〜2.5倍である第2混合物を得る工程である。
第1混合工程及び第2混合工程で用いる植物材料は同じであってもよく異なっていてもよい。
上記「植物性材料」は、植物に由来する材料である。この植物性材料としては、ケナフ、ジュート麻、マニラ麻、サイザル麻、雁皮、三椏、楮、バナナ、パイナップル、ココヤシ、トウモロコシ、サトウキビ、バガス、ヤシ、パピルス、葦、エスパルト、サバイグラス、麦、稲、竹、各種針葉樹(スギ及びヒノキ等)、広葉樹及び綿花などの各種植物体から得られた植物性材料が挙げられる。この植物性材料は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかではケナフが好ましい。ケナフは成長が極めて早い一年草であり、優れた二酸化炭素吸収性を有するため、大気中の二酸化炭素量の削減、森林資源の有効利用等に貢献できるからである。
また、上記植物性材料として用いる植物体の部位は特に限定されず、非木質部、木質部、葉部、茎部及び根部等の植物体を構成するいずれの部位であってもよい。更に、特定部位のみを用いてもよく2ヶ所以上の異なる部位を併用してもよい。
更に、本発明の熱可塑性組成物内に含まれる植物性材料(混合前の植物性材料)の形状は特に限定されず、繊維状であってもよく、非繊維状(粉末状、破砕物状、チップ状及び不定形状等が含まれる)であってもよい。
尚、本発明におけるケナフとは、木質茎を有する早育性の一年草であり、アオイ科に分類される植物である。学名におけるhibiscus cannabinus及びhibiscus sabdariffa等が含まれ、更に、通称名における紅麻、キューバケナフ、洋麻、タイケナフ、メスタ、ビムリ、アンバリ麻及びボンベイ麻等が含まれる。
また、本発明におけるジュートとは、ジュート麻から得られる繊維である。このジュート麻には、黄麻(コウマ、Corchorus capsularis L.)、及び、綱麻(ツナソ)、シマツナソ並びにモロヘイヤ、を含む麻及びシナノキ科の植物を含むものとする。
植物性材料{混合前の植物性材料}の形状は特に限定されず、繊維状及び非繊維状の形態が挙げられる。このうち繊維状の植物性材料(以下、単に「植物性繊維」ともいう)は、植物体から取り出された繊維であり、且つ長さ(繊維長)Lに対する径(繊維径)tの割合L/tが5.0〜20,000であるものをいう。この植物性繊維において、上記繊維長Lは、通常、0.5〜300mmであり、上記繊維径tは、通常、0.01〜1mmである。この繊維長は、JIS L1015における直接法と同様に、1本の植物性繊維を伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で測定した値(L)である。一方、繊維径は、繊維長を測定した当該植物性繊維について、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて測定した値(t)である。
更に、植物性繊維の平均繊維長及び平均繊維径等は特に限定されないが、平均繊維長は、20mm以下が好ましい。平均繊維長が20mm以下の植物性繊維を用いることで、植物性繊維を用いることによる前記効果をよりよく得ることができる。この平均繊維長は1〜15mmがより好ましく、1.5〜10mmが更に好ましく、2〜7mmが特に好ましい。この平均繊維長は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、伸張させずにまっすぐに伸ばし、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。
一方、上記平均繊維径は、0.2mm以下が好ましい。平均繊維径が0.2mm以下の植物性繊維を用いることで、植物性繊維を用いることによる前記効果をよりよく得ることができる。この平均繊維径は0.01〜0.15mmがより好ましく、0.01〜0.1mmが特に好ましい。この平均繊維径は、無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、繊維の長さ方向の中央における繊維径を光学顕微鏡を用いて実測し、合計200本について測定した平均値である。
また、植物性材料のうち、上記非繊維状の植物性材料(以下、単に「非繊維状植物性材料」ともいう)は、植物体から取り出された上記繊維状には含まれない形態の植物性材料である。即ち、例えば、非繊維状としては、粉末状(粒状及び球状等を含む)、チップ状(板状及び薄片状等を含む)及び不定形状(粉砕物状等を含む)などの形態が含まれる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
この非繊維状植物性材料の大きさは特に限定されないが、例えば、最大長さ(粒状の場合は最大粒径)は20mm以下(通常0.1mm以上、更には0.3〜20mm、より更には0.3〜15mm、特に0.5〜10mm)とすることが好ましい。
更に、その形状が粉末状である場合には、平均粒径は5.0mm以下(通常0.1mm以上、更には0.2〜5.0mm、より更には0.3〜4.0mm、特に0.3〜3.0mm、とりわけ0.5〜2.0mm)とすることが好ましい。尚、平均粒径とは、粒度分布測定装置によって測定された粒度分布におけるD50の値である。
尚、本方法により得られる熱可塑性組成物では、上記混合前の植物性材料の形状及び大きさは、熱可塑性樹脂組成物内でそのまま維持されてもよく、維持されなくてもよい。維持されない場合としては、混合時に更に細かく粉砕されて熱可塑性組成物内に含まれる場合が挙げられる。
また、植物性材料としてケナフを用いる場合、上記植物性繊維としてはケナフ繊維が挙げられ、上記非繊維状植物性材料としてはケナフコア粉末が挙げられる。本発明の熱可塑性組成物の製造方法では上記のように非繊維状植物性材料を用いることができる。即ち、ケナフにおいてはケナフコア粉末を用いることができることとなる。
このケナフは靭皮と称される外層部分とコアと称される芯材部分とからなるが、このうち靭皮は、強靱な繊維を有するために利用価値が高いのに対して、コアはケナフ全体の60体積%程をも占めるにも関わらず、植物性繊維にすることができない。更に、見掛け比重が小さく嵩高いために取扱い性が悪く、樹脂等との混練が難しく、コアは廃棄又は燃料化されることが多い。しかし、本方法によれば、ケナフコアを植物性材料として利用することができる。
第1混合工程及び第2混合工程で用いる熱可塑性樹脂は同じであってもよく異なっていてもよい。
上記「熱可塑性樹脂」は、熱可塑性を有する樹脂である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されず種々のものを用いることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル樹脂{(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル樹脂)、(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリトリメチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂)}、ポリスチレン、アクリル樹脂(メタクリレート及び/又はアクリレート等を用いて得られた樹脂)、ポリアミド樹脂(ナイロン等)、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
更に、上記ポリエステル樹脂のなかでは、生分解性を有するポリエステル樹脂(以下、単に「生分解性樹脂」ともいう)が好ましい。生分解性樹脂としては、(1)乳酸、リンゴ酸、グルコース酸及び3−ヒドロキシ酪酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体、並びに、これらのヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種を用いた共重合体、などのヒドロキシカルボン酸系脂肪族ポリエステル、(2)ポリカプロラクトン、及び、上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体、などのカプロラクトン系脂肪族ポリエステル、(3)ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート及びポリブチレンアジペート、などの二塩基酸ポリエステル、等が挙げられる。
これらのなかでは、ポリ乳酸、乳酸と乳酸を除く他の上記ヒドロキシカルボン酸との共重合体、ポリカプロラクトン、及び上記ヒドロキシカルボン酸のうちの少なくとも1種とカプロラクトンとの共重合体が好ましく、特にポリ乳酸が好ましい。これらの生分解性樹脂は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。尚、上記乳酸にはL−乳酸及びD−乳酸を含むものとし、これらの乳酸は単独で用いてもよく、併用してもよい。
更に、熱可塑性樹脂として、単独で又は他の熱可塑性樹脂と併用して、熱可塑性エラストマーを用いることができる。熱可塑性エラストマーとしては、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等が例示される。これらの中ではオレフィン系熱可塑性エラストマー及びスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。
オレフィン系熱可塑性エラストマーの形態は特に限定されないが、オレフィン系樹脂成分(ハードセグメントとして機能)とゴム成分(ソフトセグメントとして機能)とを含み、ゴム成分がオレフィン系樹脂成分内に分散されてなるものが好ましい。
このうち、オレフィン系樹脂成分は、オレフィンを主成分とする樹脂であること以外特に限定されない。このオレフィン系樹脂成分としては、オレフィンの単独重合体、オレフィンを含む共重合体(オレフィン共重合体を構成する構成単位全体を100モル%とした場合に70モル%以上のオレフィンに由来する構成単位を有する共重合体)が挙げられる。前者(オレフィンの単独重合体)としては、ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン・プロピレン共重合体(エチレン・プロピレンランダム共重合体など)等が挙げられる。一方、後者(オレフィンを含む共重合体)としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体及びエチレン・アクリル酸アルキル共重合体等が挙げられる。これらのオレフィン系樹脂成分は1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、上記ゴム成分の組成は特に限定されず、種々のゴム成分を用いることができる。即ち、例えば、オレフィン系ゴム(EPR、EPDM等)、スチレン系ゴム、ウレタン系ゴム、アクリル系ゴム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのゴム成分のなかでは、オレフィン系ゴム及びスチレン系ゴムが好ましい。
また、スチレン系熱可塑性エラストマーは、芳香族ビニル化合物{スチレン、アルキル置換スチレン(α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン等)、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等}に由来する構成単位を含む共重合体であり、通常、この芳香族ビニル化合物に由来する構成単位{通常、全構成単位中に5モル%(通常50モル%以下)を越えて含有}は、芳香族ビニル重合体ブロックとして含有されてハードセグメントとして機能する。スチレン系熱可塑性エラストマーは水素添加されていてもよく、水素添加されていなくてもよいが、水素添加型スチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。また、上記芳香族ビニル重合体ブロック以外の重合体部分は、通常、共役ジエン(ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等)を用いて形成される。
このスチレン系熱可塑性エラストマーとしては、水素添加型スチレン・ブタジエンランダム共重合体(HSBR)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS,水素添加型スチレン・ブタジエンブロック共重合体)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS,水素添加型スチレン・イソプレンブロック共重合体)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)等が挙げられる。
上記各種の熱可塑性樹脂のなかでは、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂及びポリエステル樹脂のうちのポリ乳酸を含む他の樹脂との混合樹脂{ポリ乳酸アロイ(ポリスチレン、ABS、ナイロン、ポリカーボネート、ポリプロピレン及びポリブチレンサクシネートのうちの少なくとも1種とポリ乳酸との混合樹脂等)}のうちの少なくとも1種であることが好ましい。更にこのなかでもポリオレフィンが好ましく、特にポリプロピレン(単独重合体)、ポリプロピレンを含むポリオレフィンの混合樹脂、及びプロピレンに由来する構成単位を含むオレフィン共重合樹脂のうちの少なくともいずれかの樹脂が好ましい。このうちポリプロピレンを含むポリオレフィンの混合樹脂としては、ポリプロピレンとポリエチレンとの混合樹脂が挙げられる。更に、プロピレンに由来する構成単位を含むオレフィン共重合樹脂としては、エチレン・プロピレン共重合体(ランダム共重合体及びブロック共重合体を含む)が挙げられる。これらのポリオレフィンは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、ポリプロピレン(単独重合体)及び/又はエチレン・プロピレン共重合体が特に好ましい。
更に、上記熱可塑性樹脂の一部として、酸変性された熱可塑性樹脂を用いることができる。即ち、上記各酸変性されていない熱可塑性樹脂(非酸変性熱可塑性樹脂)と、酸変性熱可塑性樹脂とを併用することができる。
酸変性熱可塑性樹脂は、酸基を有する熱可塑性樹脂である。この酸変性熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂に酸基を導入したものが挙げられる(尚、以下では酸基が導入されていない状態の重合体を「ベースポリマー」ともいう)。このベースポリマーとしては、前記熱可塑性樹脂として挙げた各種熱可塑性樹脂のうちの1種又は2種以上を用いることができる。これらのなかでは前記非酸変性熱可塑性樹脂と同様にポリオレフィンが好ましい。
更に、上記ベースポリマーは、非酸変性熱可塑性樹脂と同質であることが好ましい。この「同質」とは、[i]同じ種類の熱可塑性樹脂であって、構成単位(単量体単位)が同じであること、[ii]同じ種類の熱可塑性樹脂であって、構成単位が異なること、又は、[iii]同じ又は異なる種類の熱可塑性樹脂であって、同じ構成単位を少なくとも1種有し且つ互いに相溶性を有する熱可塑性樹脂であること、を意味する。「同じ種類の熱可塑性樹脂」とは、ポリオレフィン、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂等の分類において共通することを意味する。
上記[i]としては、同一の単独重合体又は共重合体であって、分子量、粘度等の化学的性質又は物理的性質が異なる場合が挙げられる。このうち共重合体である例としては、共通する2以上の構成単位を有し、その割合が異なる場合が挙げられる。上記[ii]としては、一方がポリエチレンであり、他方がポリプロピレンである場合等が挙げられる。上記[iii]の例としては、一方がポリエチレンであり、他方がエチレン・プロピレン共重合体である場合等が挙げられる。上記[ii]及び[iii]において、熱可塑性樹脂(B)及びベースポリマーの各々の構成単位全体の50モル%以上を占める主構成単位は同じであることが好ましい。
また、酸変性熱可塑性樹脂を形成する酸基の種類は特に限定されないが、通常、無水カルボン酸残基(−CO−O−OC−)及び/又はカルボン酸残基(−COOH)である。この酸基は共重合段階で導入されたものであってもよく、グラフト導入されたものであってもよい。また、酸基はどのような化合物により導入されたものであってもよく、その化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、アクリル酸、及びメタクリル酸等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのなかでは、無水マレイン酸及び無水イタコン酸が好ましく、無水マレイン酸が特に好ましい。
酸変性熱可塑性樹脂に導入される酸基の量は特に限定されないものの、酸価において5以上であることが好ましい。これにより、酸変性熱可塑性樹脂の添加量を抑制しつつ高い添加効果を得ることができるからである。この酸価は、10〜80がより好ましく、15〜70が更に好ましく、20〜60が特に好ましい。尚、この酸価はJIS K0070によるものである。更に、その重量平均分子量は10,000〜200,000であることが好ましい。これにより熱可塑性樹脂組成物全体への性状変化を抑制しつつ、高い添加効果が得られ、更に優れた耐衝撃性を付与できる。この重量平均分子量は、15,000〜150,000がより好ましく、25,000〜120,000が更に好ましく、35,000〜100,000が特に好ましい。尚、この重量平均分子量はGPC法によるものである。
上記第1混合工程で混合する植物性材料と熱可塑性樹脂の量比は、植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合の植物性材料の割合において50〜95質量%であればよい。この割合は53〜80質量%が好ましく、55〜75質量%がより好ましく、60〜70質量%が更に好ましい。また、上記第2混合工程で混合する植物性材料と熱可塑性樹脂との量比は、植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合の植物性材料の割合において50〜95質量%であればよい。この割合は53〜80質量%が好ましく、55〜75質量%がより好ましく、60〜70質量%が更に好ましい。上記各範囲では得られる熱可塑性組成物において流動性の向上に寄与する優れた流動性を発揮する混合物が得られる。
尚、通常、上記第1混合工程で混合する植物性材料の割合は、第1混合物中の植物性材料の割合と同じであり、また、上記第2混合工程で混合する植物性材料の割合は、第2混合物中の植物性材料の割合と同じである。
上記第1混合工程で混合する植物性材料の割合と、第2混合工程で混合する植物性材料の割合と、は同じであってもよく異なっていてもよいが、例えば、植物性材料と熱可塑性樹脂との合計を100質量%とし、第1混合工程での植物性材料の割合(A質量%)が50質量%≦A<55質量%である場合、第2混合工程での植物性材料の割合(B質量%)は60質量%≦B≦90質量%が好ましい。同様に、第1混合工程での上記割合が55質量%≦A≦75質量%である場合、第2混合工程での上記割合は50質量%≦B≦90質量%が好ましい。更に、第1混合工程での上記割合が75質量%<A≦85質量%である場合、第2混合工程での上記割合は50質量%≦B≦80質量%が好ましい。また、第1混合工程での上記割合が85質量%<A≦90質量%である場合、第2混合工程での上記割合は50質量%≦B≦70質量%が好ましい。
即ち、換言すれば、後述する第3工程で用いる、第1破砕物及び第2破砕物の各破砕物に含まれる熱可塑性樹脂と植物性材料との合計を100質量%とした場合に、第1破砕物に含まれる植物性材料の割合(A質量%)が50質量%≦A<55質量%である場合、第2破砕物の植物性材料の割合(B質量%)は60質量%≦B≦90質量%が好ましい。同様に、第1破砕物の上記割合が55質量%≦A≦75質量%である場合、第2破砕物の上記割合は50質量%≦B≦90質量%が好ましい。更に、第1破砕物の上記割合が75質量%<A≦85質量%である場合、第2破砕物の上記割合は50質量%≦B≦80質量%が好ましい。また、第1破砕物の上記割合が85質量%<A≦95質量%である場合、第2破砕物の上記割合は50質量%≦B≦70質量%が好ましい。
上記「第1混合溶融装置」及び上記「第2混合溶融装置」は(以下では、第1混合溶融装置と第2混合溶融装置とをまとめていう場合には単に「混合溶融装置」という)、共に、回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた装置であり、この混合溶融装置の混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して混合物(第1混合溶融装置においては第1混合物、第2混合溶融装置においては第2混合物)を得ることができる装置である。更に、この混合溶融装置は、通常、上記混合を行うための混合室を備える。そして、上記混合具はこの混合室内に少なくとも混合羽根が配置される。
このような混合溶融装置としては、特に下記混合溶融装置が好ましい。
この混合溶融装置{以下、図6、図7(図7は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図1を引用)及び図8(図8は、特許庁の特許電子図書館から取得した国際公開04/076044号パンフレット図2を引用)参照}としては、国際公開04/076044号パンフレットに記載の混合溶融装置1が好ましい。即ち、混合溶融装置1は、材料供給室13と、該材料供給室13に連接された混合室3と、該材料供給室13と該混合室3とを貫通して回転自在に設けられた回転軸5と、該材料供給室13内の該回転軸5に配設され且つ該材料供給室13に供給された混合材料(植物性材料等)を該混合室3へ搬送するらせん状羽根12と、該混合室3内の該回転軸5に配設され且つ該混合材料を混合する混合羽根10a〜10fと、を備える混合溶融装置が好ましい。
上記混合溶融装置では、混合材料を混合溶融装置1(材料供給室13)へ投入し、混合溶融装置1の混合羽根10a〜10fを回転させることで、混合羽根により生じる剪断力や、植物性材料及び熱可塑性樹脂が共に混合室3の内壁へ向かって押し付けるように打撃し且つ押し進められ、材料同士の衝突するエネルギー(熱量)により短時間で熱可塑性樹脂が軟化され、更には溶融され、植物性材料と混合され、更には混練される。また、得られる熱可塑性組成物には射出成形が可能な優れた流動性が発現される。
上記混合羽根10a〜10fは、上記回転軸5の円周方向の一定角度間隔の部位における軸方向において対向すると共に、回転方向において互いの対向間隔が狭まるような取付け角で該回転軸5に配設された少なくとも2枚の混合羽根(10a〜10f)によって構成され、該混合羽根10a〜10fの該回転軸5に対する取付け角は、該回転軸5に取り付けられる該混合羽根10a〜10fの根元部から半径方向外方の先端部まで同一であることが好ましく、更には、上記混合羽根10a〜10fが矩形板状をなすことが好ましい。
また、上記混合室は、該混合室を構成する壁に冷却媒体を循環させることができる混合室冷却手段を備えることがより更に好ましい。この構成により、混合室内の過度な温度上昇を抑制でき、熱可塑性樹脂の分解及び熱劣化を抑制(更には防止)できる。
また、上記第1混合工程及び上記第2混合工程の各々工程における混合条件等は特に限定されないものの、得られる第1混合物と第2混合物とはその物性が異なる混合物(熱可塑性組成物)である。即ち、第2混合物は、曲げ弾性率が第1混合物の50〜90%と小さく、且つバーフロー長が第1混合物の1.1〜2.5倍と大きい混合物である。
このような特定の範囲の物性の差を有することで、後述の実施例に示すように、第1混合物と第2混合物とを混合して得られる熱可塑性組成物において、予測できない相乗効果が認められる。即ち、第1混合物と第2混合物とを混合すると、一般には、これらの物性は、その配合割合に正比例した物性が得られるものと考えられる。しかし、本発明の熱可塑性組成物の製造方法によれば、曲げ弾性率も流動性も共に相乗的に向上された熱可塑性組成物を得ることができる。なかでも特に流動性は少量の第2混合物の配合であっても顕著に大きく向上される。
上記弾性率の差異は、曲げ弾性率において、第2混合物は第1混合物の60〜88%であることが好ましく、70〜85%であることがより好ましい。この範囲では、第1混合物と第2混合物とを混合することによる相乗効果がより顕著に得られる。更に、バーフロー長においては、第2混合物は第1混合物の1.2〜2.3倍であることが好ましく、1.3〜2.0倍であることがより好ましい。この範囲では、第1混合物と第2混合物とを混合することによる相乗効果がより顕著に得られる。
更に具体的には、第1混合物の曲げ弾性率は3500〜7000MPaであることが好ましい。特に含まれる植物性材料がケナフ繊維である場合には、4500〜6500MPaであることが好ましく、5000〜6000MPaであることが更に好ましい。また、含まれる植物性材料がケナフコアである場合には、3500〜5500MPaであることが好ましく、4000〜5000MPaであることが更に好ましい。
一方、第2混合物の曲げ弾性率は、上記第1混合物との差異を保った上で、2100〜5600MPaであることが好ましい。特に含まれる植物性材料がケナフ繊維である場合には、2700〜5200MPaであることが好ましく、3200〜4800MPaであることが更に好ましい。また、含まれる植物性材料がケナフコアである場合には、2100〜4400MPaであることが好ましく、2800〜4000MPaであることが更に好ましい。尚、上記曲げ弾性率は後述する実施例における測定方法による。
また、第1混合物のバーフロー長さは200〜600mmであることが好ましい。特に含まれる植物性材料がケナフ繊維である場合には、400〜600mmであることが好ましく、450〜550mmであることが更に好ましい。また、含まれる植物性材料がケナフコアである場合には、200〜400mmであることが好ましく、220〜350mmであることが更に好ましい。
一方、第2混合物のバーフロー長は、上記第1混合物との差異を保った上で、350〜900mmであることが好ましい。特に含まれる植物性材料がケナフ繊維である場合には、500〜900mmであることが好ましく、600〜800mmであることが更に好ましい。また、含まれる植物性材料がケナフコアである場合には、350〜600mmであることが好ましく、380〜500mmであることが更に好ましい。尚、上記バーフロー長は後述する実施例における測定方法による。
上記特性の差異を有する第1混合物と第2混合物とはどのような混合条件の差異により得られてもよいが、例えば、第1混合物を得るために課す剪断力の合計量に比べて、第2混合物を得るために課す剪断力の合計量をより多くすることによって得ることができる。即ち、例えば、下記のような態様が挙げられる。
1.第1混合工程における混合羽根の回転数と第2混合工程における混合羽根の回転数とが略同じであって、第1混合工程の混合時間よりも第2混合工程の混合時間が長く(例えば、2倍以上に)する。
2.第1混合工程の混合時間と第2混合工程の混合時間とが略同じであって、第1混合工程における混合羽根の回転数よりも第2混合工程における混合羽根の回転数を大きく(例えば、10%以上大きく)する。
3.第1混合工程の混合時間よりも第2混合工程の混合時間が長く(例えば、2倍以上に)、第1混合工程における混合羽根の回転数よりも第2混合工程における混合羽根の回転数を大きく(例えば、10%以上大きく)する。
本発明の熱可塑性組成物の製造方法では、第1混合工程及び第2混合工程の各混合工程では、混合溶融装置における回転数を略一定に維持しながら、混合時間の長さを調整して第1混合物と第2混合物との特性の差異を形成することが好ましい。通常、このように略一定の回転数で混合を行うと、混合を開始すると次第に回転軸に生じる負荷が上昇し、その後、負荷の極大値を経て、負荷は次第に減少するという経過をたどる。本発明の熱可塑性組成物の製造方法では、上記混合時間の長さの調整は、上記負荷の極大値を経てから継続する混合時間の長さを変えることにより行うことがより好ましい。この負荷の極大値を経ることで射出成形に適した十分な流動性が得られる。そして、負荷の極大値を経てから継続する混合時間の長さが短い場合には、曲げ弾性率が大きい混合物を得ることができ、負荷の極大値を経てから継続する混合時間の長さが長い場合には、流動性がより大きい混合物を得ることができる。また、この混合物(第2混合物)では、後述するペレット化においてより固まり易いという特性を有する。
上記各混合における上記回転数は略一定とすることが好ましいが、その回転数自体は特に限定されず、混合羽根の大きさ及び混合物の性質等により適宜のものとすることができる。この略一定とは、回転数の変動率が7%以下(0%を含む)であることを意味する。この変動率は4%以下(0%を含む)であることが好ましい。また、具体的な回転数としては、例えば、混合羽根の直径が20〜30cmである場合には、1000〜2500rpmとすることが好ましい。
尚、回転数の変動率が7%以下とは、設定した回転数に到達してから回転軸を停止するための指令を出すまでの間における平均回転数をRとし、その間の最大回転数をRとし、その間の最小回転数をRとした場合に、|R−R|/R≦0.07であり、且つ、|R−R|/R≦0.07であることを意味する。
更に、上記負荷の極大値を経てから継続する混合時間は、第1混合工程では30秒以下(通常、1秒以上)とすることが好ましく、2〜25秒とすることがより好ましく、3〜20秒とすることが更に好ましく、3〜15秒とすることがとりわけ好ましい。この混合時間は、混合羽根の直径が20〜30cmである場合に特に適している。
一方、上記負荷の極大値を経てから継続する混合時間は、第2混合工程では30秒を越える(通常、125秒以下)とすることが好ましく、40〜125秒とすることがより好ましい。この混合時間は、混合羽根の直径が20〜30cmである場合に特に適している。
上記のように負荷の測定を要する場合、上記混合溶融装置には、回転軸に生じる負荷を測定するためにこの負荷を測定できる負荷測定手段を備えることができる。この負荷測定手段は、回転軸に生じる負荷を直接測定できるように、混合溶融装置自体に付設することができる。更に、通常、回転軸を駆動するために備えられている駆動源(モーター等)に負荷測定手段を付設し、駆動源の負荷を測定することによって間接的に回転軸の負荷が測定されるようであってもよい。
具体的には、図7に例示されるように、回転軸5を回転させるための駆動源(モーター等)8が付設されており、駆動源8はプーリー6及びVベルト7を介して回転連絡されていることが好ましい。また、この駆動源8には負荷測定手段21が付設されていることが好ましい。更に、この負荷測定手段21は、駆動源8に電気的に接続されて、駆動源8の主軸に作用される負荷(トルク)を測定できるものであることが好ましい。
上記「第3混合工程」は、第1混合物を破砕してなる第1破砕物と第2混合物を破砕してなる第2破砕物との混合破砕物を得る工程である。
この第3混合工程では、(1)第1混合物を破砕して第1破砕物を得る第1破砕工程と、第2混合物を破砕して第2破砕物を得る第2破砕工程と、を別工程で行い、各工程から得られた破砕物を混合して上記混合破砕物を得ることができる。また、(2)第1混合物と第2混合物とを同時に破砕する破砕工程を備え、その後、得られた破砕物をより高度に分散(第1破砕物と第2破砕物とがより高度に分散)させるために混合を行って上記混合破砕物を得ることもできる。
上記破砕物を得る方法は特に限定されず、例えば、乾式破砕方法及び湿式破砕方法を用いることができるが、乾式破砕方法が好ましい。乾式方法では、混合物中に含まれた植物性材料の吸湿・吸水による乾燥を要さないからである。
また、破砕に用いることができる破砕機{図6の符号300、第1破砕機301、第2破砕機302}は、剪断式破砕機であってもよく、切断式破砕機であってもよく、衝撃式破砕機であってもよく、圧縮式破砕機であってもよく、更にその他の方法による破砕機であってもよい。即ち、破砕機としては、カッターミル、ターボミル、フェザミル、ロートプレックスミル、ラバチョッパ、ハンマーミル及びジョークラッシャー等が挙げられる。これらの破砕機は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。併用する場合としては、1つの破砕機で塊状物を粗砕して粗砕物を得た後、別の破砕機で得られた粗砕物を更に細かく細分化する場合等が挙げられる。これらのなかでは、より細かく破砕(粉砕)でき、本方法における最適な粒度をより確保し易いために剪断式破砕機が好ましい。
破砕物(図6の符号303及び304)の大きさは特に限定されず、各々後述するペレット化工程に供することができればよいが、最大辺長が25mm以下(通常1mm以上)であることが好ましく、1〜20mmがより好ましく、1〜15mmが更に好ましく、2〜7mmが特に好ましい。この範囲であれば後続するペレット化工程におけるペレット生産性に優れ、更には、得られる成形体においても植物性材料による補強効果を特に良好に得ることができる。
尚、破砕機に換えて粉砕機により混合物を粉末状となるまで粉砕した場合には、植物性材料を含有させることによる熱可塑性樹脂強度の補強効果を十分に引き出し難い傾向になる。このため、上記適度な大さに破砕することが好ましい。
更に、破砕に際しては、破砕による温度上昇を抑制することが好ましく、特に破砕時の破砕物の温度は100℃以下(通常0℃以上、更に好ましくは80℃以下)にすることが好ましい。この範囲では熱可塑性樹脂の劣化を効果的に抑制でき、得られる成形体の機械的特性を高く維持できる。
また、上記混合破砕物に含まれる第1破砕物(第1混合物)と第2破砕物(第2混合物)との量比は特に限定されないが、これらの合計を100質量%とした場合に、第2破砕物の割合は、3〜80質量%とすることが好ましく、5〜75質量%とすることがより好ましく、10〜70質量%とすることが更に好ましく、10〜65質量%とすることがより更に好ましく、10〜60質量%とすることが特に好ましく、15質量%以上且つ60質量%未満とすることがより特に好ましく、とりわけ15〜55質量%とすることが好ましい(尚、本明細書においてA〜Bとは、A以上且つB以下の意味である)。
また、各々異なる破砕機{例えば、第1破砕機(図6の符号301)及び第2破砕機(図6の符号302)}を用いて第1破砕物と第2破砕物とを得る場合には、その後、第1破砕物と第2破砕物とを混合(ドライブレンド)することで混合破砕物が得られる。この2種類の破砕物を混合する方法は特に限定されないが、各破砕物を溶融させることなく混合(換言すれば、各破砕物の形状を維持して混合)することができればよく、どのような装置(例えば、図6の符号400)及び手段を用いてもよい。この破砕物を混合する際にも用いる破砕物混合機(ペレットブレンダー)としては、ジャータンブラー、プラウシャーミキサー、パドルブレンダー、リボンブレンダー、ロータリーブレンダー、高速ロータリーブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー及びスーパーミキサー等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。
上記「ペレット化工程」は、混合破砕物を加熱することなく押し固めてペレット化する工程である。
ペレット化工程を備える場合、このペレット化工程は、第3混合工程において得られた混合破砕物をペレット化することができる工程であればよく、ペレット化方法等は特に限定されないが、加熱することなく押し固めて混合破砕物をペレット化する工程であることが好ましい。加熱せず押し固めてペレット化することで、第3混合工程で得られた混合破砕物を溶融させて二軸押出し機等の一般的な方法を用いてペレット化を行う場合に比べて、混合破砕物への熱履歴を低減できるために得られる成形体の機械的特性をより高く維持できる。
この加熱せず押し固めてペレット化する方法としては、どのような装置及び手段を用いてもよいが、特に各種圧縮成形方法を用いることが好ましい。この圧縮成形方法としては、例えば、ローラー式成形方法及びエクストルーダ式成形方法などが挙げられる。
ローラー式成形方法は、ダイとこのダイに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、ローラーにより被圧縮物をダイ内に圧入した後、ダイから押し出してペレットを形成する方法である。ローラー式成形機には、ダイの形状が異なるディスクダイ式(ローラーディスクダイ式成形機)とリングダイ式(ローラーリングダイ式成形機)が挙げられる。一方、エクストルーダ式成形方法は、エクストルーダ式成形機を用いる方法であり、スクリューオーガの回転により被圧縮物がダイ内に圧入された後、ダイから押し出してペレットを形成する方法である。
これらの圧縮成形方法のなかでは、特にローラーディスクダイ式成形方法を用いる方法が好ましい。この圧縮成形方法で用いられるローラーディスクダイ式成形機は圧縮効率が高く特に好適である。
更に、本方法では下記特定のローラーディスクダイ式成形機500(主要部を図9に例示)を用いてペレット化することが特に好ましい。即ち、複数の貫通孔511が穿設されたディスクダイ51と、該ディスクダイ51上で転動されて該貫通孔511内に被圧縮物を押し込むプレスローラ52と、該プレスローラ52を駆動する主回転軸53と、を備え、上記ディスクダイ51は、上記貫通孔511と同方向に貫通された主回転軸挿通孔512を有し、上記主回転軸53は、上記主回転軸挿通孔512に挿通され且つ該主回転軸53に垂直に設けられたプレスローラ固定軸54を有し、上記プレスローラ52は、上記プレスローラ固定軸54に回転可能に軸支されて上記主回転軸53の回転に伴って上記ディスクダイ51表面で転動されるローラーディスクダイ式成形部50を有するローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)500である。
このローラーディスクダイ式成形機500では、上記構成に加えて更に、上記プレスローラ52は表面に凹凸521を備えるものであることが好ましい。また、主回転軸53の回転に伴って回転される切断用ブレード55を備えることが好ましい。
上記ローラーディスクダイ式成形機500では、例えば、図9においては、主回転軸53の上方から投入された被圧縮物をプレスローラ52が備える表面凹凸521が捉えて貫通孔511内に押し込み、ディスクダイ51の裏面側から押し出される。押し出された紐状の混合物は、切断用ブレード55により適宜の長さに切断されてペレット化され、下方に落下されて熱可塑性組成物(図6の符号56)として回収される。
得られるペレットの形状及び大きさは特に限定されないが、柱状(その他の形状であってもよいが、円柱状が好ましい)であることが好ましい。また、その最大長さは1mm以上(通常20mm以下)とすることが好ましく、1〜10mmがより好ましく、2〜7mmが特に好ましい。
本方法では、混合工程(第1混合工程〜第3混合工程)、ペレット工程及び破砕工程以外に他の工程を備えることができる。他の工程としては、第1混合工程及び第2混合工程で用いる植物性材料を押し固めて植物性材料ペレットを得る工程(植物性材料ペレット化工程)が挙げられる。この植物性材料ペレット化工程では、前記破砕混合物をペレット化するペレット化工程と同様にローラーディスクダイ式成形機500を用いることができる。
上記植物性材料ペレット化工程を備える場合は、植物性材料の比重を熱可塑性樹脂に近づけることができ、植物性材料と熱可塑性樹脂との間の比重差を小さくできる。このため、混合の際の材料の偏在を抑制でき、植物性材料と熱可塑性樹脂とが相互により均一に分散された混合物を得ることができる。そして、得られる成形体はより優れた機械的特性を得ることができる。また、植物性材料の見掛け比重を大きくすることで嵩高さを小さくでき取扱い性が向上され、混合溶融装置への投入も容易となるなど熱可塑性組成物を製造する際の効率が向上される。
尚、本発明の製造方法では、植物性材料及び熱可塑性樹脂以外にも他の成分を配合できる。他の成分としては、各種帯電防止剤、難燃剤、抗菌剤、着色剤等も配合できる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。これら他の成分は、どの工程で配合してもよい。但し、本発明の方法では植物性材料と熱可塑性樹脂との混合を促進するための添加剤は何ら用いる必要がない。
[2]成形体の製造方法
本発明の成形体の製造方法は、前記方法により得られた熱可塑性組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする。即ち、本成形体の製造方法は、熱可塑性組成物を射出成形して成形体を得る成形工程を備える。
本製造方法の射出成形における射出成形機(図6の符号600)、これに付設された金型(図6の符号61)並びに各種成形条件及び使用する装置等は特に限定されず、目的とする成形体及び性状、使用されている熱可塑性樹脂の種類等により適宜のものとすることが好ましい。
本発明の製造方法により得られる成形体の形状、大きさ及び厚さ等は特に限定されない。また、その用途も特に限定されない。この成形体は、例えば、自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等として用いられる。このうち自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等が挙げられる。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材が挙げられる。即ち、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等が挙げられる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。
[1]熱可塑性組成物の製造
繊維長さ3mmのケナフ繊維(実施例1〜9及び比較例1〜3)及び粒径1mm以下のケナフコア(実施例10及び比較例4〜5)である植物性材料と、PP(エチレン・プロピレン共重合体、日本ポリプロ株式会社製、品名「NBX03HRS」)と、を植物性材料と熱可塑性樹脂との合計が700gとなるように、植物性材料420g(60質量%)及びPP280g(40質量%)を混合溶融装置1(株式会社エムアンドエフ・テクノロジー製、WO2004−076044号に示された器機)の材料供給室(図7の符号13)に投入して、混合室(容量5L、図7の符号3)内で混合し混練した。
表1〜3に示す第1混合物及び第2混合物の混合条件は以下の通りである。
[第1混合物A]
植物性材料;繊維長さ3mmのケナフ繊維
熱可塑性樹脂;エチレン・プロピレン共重合体
混合羽根回転数;2000rpm
混合時間;負荷の極大値からの継続混合時間6秒
第1混合物Aの曲げ弾性率;5400MPa
第1混合物Aのバーフロー長;500mm
[第2混合物B]
植物性材料;繊維長さ3mmのケナフ繊維
熱可塑性樹脂;エチレン・プロピレン共重合体
混合羽根回転数;2000rpm
混合時間;負荷の極大値からの継続混合時間30秒
第1混合物Aの曲げ弾性率;4000MPa
第1混合物Aのバーフロー長;720mm
[第2混合物C]
植物性材料;繊維長さ3mmのケナフ繊維
熱可塑性樹脂;エチレン・プロピレン共重合体
混合羽根回転数;1200rpm
混合時間;負荷の極大値からの継続混合時間120秒
第1混合物Aの曲げ弾性率;4200MPa
第1混合物Aのバーフロー長;700mm
[第1混合物D]
植物性材料;粒径1mm以下のケナフコア
熱可塑性樹脂;エチレン・プロピレン共重合体
混合羽根回転数;2000rpm
混合時間;負荷の極大値からの継続混合時間6秒
第1混合物Aの曲げ弾性率;4500MPa
第1混合物Aのバーフロー長;260mm
[第2混合物E]
植物性材料;粒径1mm以下のケナフコア
熱可塑性樹脂;エチレン・プロピレン共重合体
混合羽根回転数;2000rpm
混合時間;負荷の極大値からの継続混合時間30秒
第1混合物Aの曲げ弾性率;3800MPa
第1混合物Aのバーフロー長;420mm
得られた各混合物は、除熱して固化させた後、破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)を用いて5.0mm程度(5.0mmメッシュを通過するサイズ)に破砕して破砕物とした。
更に、上記破砕工程により得られた各破砕物を表1〜3に示す割合でドライブレンドした後、ローラーディスクダイ式成形機500{株式会社菊川鉄工所製、形式「KP280」、貫通孔径(図9の符号511)4.2mm}に、フィダー周波数20Hzで投入し、直径約4mm且つ長さ約5mmの円柱状のペレットにした。その後、得られたペレットをオーブンにて100℃で24時間乾燥させて、実施例1〜10及び比較例1〜5の各熱可塑性組成物を得た。
尚、上記ケナフ繊維は、JIS L1015に準拠して、直接法にて無作為に単繊維を1本ずつ取り出し、置尺上で繊維長を測定し、合計200本について測定した平均値である。また、上記ケナフコアは、破砕機(株式会社ホーライ製、形式「Z10−420」)で破砕したものであり、その粒径は、JIS Z8801に準拠して、目開き1.0mmの円孔板篩を通過したものである。
Figure 2010030047
Figure 2010030047
Figure 2010030047
[2]成形体の製造
上記[1]で得られた実施例1〜10及び比較例1〜5の各熱可塑性組成物を射出成形機(住友重機械工業株式会社製、形式「SE100DU」)に各々投入し、シリンダ温度190℃、型温度40℃の条件で射出成形して厚さ4mm、幅10mm、長さ80mmの長方形板状の試験片を得た。
[3]特性の評価
上記[2]で成形した試験片を用いて曲げ弾性率(JIS 7171に準拠)を測定した。曲げ弾性率は、各試験片を支点間距離(L)64mmとした2つの支点(曲率半径5mm)で支持しつつ、支点間中心に配置した作用点(曲率半径5mm)から速度2mm/分にて荷重の負荷を行い測定した。その結果を表1〜3に併記した。
更に、上記射出成形機にバーフロー金型(図10に示す注入口611の口径が10mmであり、且つ、幅20mm且つ厚さ2mmの角渦巻き形状のキャビティ612を有する金型61)を接続し、シリンダ温度190℃、型温度40℃、射出圧力150MPa、射出速度80mm/秒、計量値60(スクリューを60mm後退させて、シリンダに60mm分の被射出物の貯留域を確保)の条件で射出成形して得られた成形体の長さをバーフロー長として測定した。その結果を表1〜3に併記した。
更に、表1〜3の各特性を縦軸とし第2混合物の配合割合を横軸として、図1〜5にグラフトして示した。
[4]実施例の効果
図2に示すグラフのうち、実線は、表1における実施例1〜6及び比較例1〜2の各曲げ弾性率と第2混合物(第2破砕物)の配合割合との相関である。また、点線は、第1混合物のみからなる熱可塑性組成物(比較例1)と第2混合物のみからなる熱可塑性組成物(比較例2)とを混合した場合に、各熱可塑性組成物の曲げ弾性率から予測される曲げ弾性率の計算値をプロットしたグラフである。即ち、点線は、第1混合物の配合割合をX(質量%)とし、第1混合物の曲げ弾性率をA(MPa)とし、第2混合物の配合量をY(質量%)とし、第2混合物の曲げ弾性率をB(MPa)とした場合の、{(X/100)×A}+{(Y/100)×B}により算出される値である。
図3に示すグラフのうち、実線は、表1における実施例1〜6及び比較例1〜2の各バーフロー長と第2混合物(第2破砕物)の配合割合との相関である。また、点線は、第1混合物のみからなる熱可塑性組成物(比較例1)と第2混合物のみからなる熱可塑性組成物(比較例2)とを混合した場合に、各熱可塑性組成物のバーフロー長から予測されるバーフロー長の計算値をプロットしたグラフである。即ち、点線は、第1混合物の配合割合をX(質量%)とし、第1混合物のバーフロー長をA(mm)とし、第2混合物の配合量をY(質量%)とし、第2混合物のバーフロー長をB(mm)とした場合の、{(X/100)×A}+{(Y/100)×B}により算出される値である。
図2の結果から、第2混合物を配合することによって、第2混合物の配合量が0質量%を越えて約55質量%までの範囲では、予測される曲げ弾性率よりも実際の測定値の方が上回っていることが分かる。更に、図3の結果から、第2混合物を配合することによって、第2混合物の配合量が約15質量%から100質量%未満の範囲では、予測されるバーフロー長よりも実際の測定値の方が上回っていることが分かる。
即ち、図1〜図3より、第2混合物を配合した全ての範囲において、曲げ弾性率かバーフロー長のうちの少なくとも一方は予測される計算値を上回る相乗効果が得られることが分かる。そして、特に約15〜約55質量%の範囲では、曲げ弾性率とバーフロー長の両方が相乗的に向上されていることが分かる。
上記の相乗効果は、表2と図4、及び、表3と図5のいずれにおいても同様であり、用いる植物性材料の種類、第2混合物の形成方法等に関係なく得られる得意且つ顕著な効果であることが分かる。
本発明の熱可塑性組成物の製造方法並びに成形体の製造方法は、自動車関連分野及び建築関連分野などにおいて広く利用される。特に自動車、鉄道車両、船舶及び飛行機等の内装材、外装材及び構造材等に好適であり、なかでも自動車用品としては、自動車用内装材、自動車用インストルメントパネル、自動車用外装材等に好適である。具体的には、ドア基材、パッケージトレー、ピラーガーニッシュ、スイッチベース、クオーターパネル、アームレストの芯材、自動車用ドアトリム、シート構造材、シートバックボード、天井材、コンソールボックス、自動車用ダッシュボード、各種インストルメントパネル、デッキトリム、バンパー、スポイラー及びカウリング等が挙げられる。更に、例えば、建築物及び家具等の内装材、外装材及び構造材にも好適である。具体的には、ドア表装材、ドア構造材、各種家具(机、椅子、棚、箪笥など)の表装材、構造材等が挙げられる。その他、包装体、収容体(トレイ等)、保護用部材及びパーティション部材等としても好適である。
実施例1〜6及び比較例1〜2における第2混合物の配合量(横軸)と曲げ弾性率(第1縦軸)及びバーフロー長(第2縦軸)との相関を示すグラフである。 実施例1〜6及び比較例1〜2における第2混合物の配合量(横軸)と曲げ弾性率との相関を示すグラフである。 実施例1〜6及び比較例1〜2における第2混合物の配合量(横軸)とバーフロー長(第2縦軸)との相関を示すグラフである。 実施例7〜9、比較例1及び3における第2混合物の配合量(横軸)と曲げ弾性率(第1縦軸)及びバーフロー長(第2縦軸)との相関を示すグラフである。 実施例10及び比較例4〜5における第2混合物の配合量(横軸)と曲げ弾性率(第1縦軸)及びバーフロー長(第2縦軸)との相関を示すグラフである。 本熱可塑性組成物の製造方法から本成形体の製造方法までの各工程の流れの一例を模式的に示す説明図である。 混合溶融装置の一例を示す模式的な断面図である。 混合溶融装置に配設された混合羽根の一例を示す模式的な側面図である。 ローラーディスクダイ式成形機の要部の一例を示す模式的な斜視図である。 バーフロー長の測定に用いる金型及びキャビティの形状を示す平面図である。
符号の説明
1;混合溶融装置、11;第1混合装置、12;第2混合装置、3;混合室、5;回転軸、10及び10a〜10f;混合羽根、12;らせん状羽根、6;プーリー、7;Vベルト、8;駆動源(モーター)、13;材料供給室、21;負荷測定手段、
300;破砕機、301;第1破砕機、302;第2破砕機、303;第1破砕物、304;第2破砕物、
400;破砕物混合機、
500;ローラーディスクダイ式成形機(ペレット化装置)、50;ローラーディスクダイ式成形部(ペレット化部)、51;ディスクダイ、511;貫通孔、512;主回転軸挿通孔、52;プレスローラ、521;凹凸部、53;主回転軸、54;プレスローラ固定軸、55;切断用ブレード、56;熱可塑性組成物(ペレット形状)、
600;射出成形機、61;金型、611;注入口、612;キャビティ。

Claims (7)

  1. 植物性材料と熱可塑性樹脂とを含有し、該植物性材料及び該熱可塑性樹脂の合計を100質量%とした場合に該植物性材料を50〜95質量%含有する熱可塑性組成物の製造方法であって、
    回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第1混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有された第1混合物を得る第1混合工程と、
    回転軸の円周方向に複数の混合羽根が立設された混合具を備えた第2混合溶融装置を用いて、該混合羽根の回転による剪断力により、熱可塑性樹脂を溶融させながら、該熱可塑性樹脂と植物性材料とを混合して、該植物性材料と該熱可塑性樹脂との合計を100質量%とした場合に50〜95質量%の該植物性材料が含有されると共に、曲げ弾性率が上記第1混合物の曲げ弾性率の50〜90%であり、且つバーフロー長が上記第1混合物のバーフロー長の1.1〜2.5倍である第2混合物を得る第2混合工程と、
    上記第1混合物を破砕してなる第1破砕物と上記第2混合物を破砕してなる第2破砕物との混合破砕物を得る第3混合工程と、
    上記混合破砕物を加熱することなく押し固めてペレット化するペレット化工程と、を備えることを特徴とする熱可塑性組成物の製造方法。
  2. 上記第1混合物の曲げ弾性率は3500〜7000MPaであり、且つバーフロー長は200〜600mmであり、更に、上記第2混合物の曲げ弾性率は2100〜5600MPaであり、且つバーフロー長は350〜900mmである請求項1に記載の熱可塑性組成物の製造方法。
  3. 上記混合破砕物は、上記第1破砕物と上記第2破砕物との合計を100質量%とした場合に、該第2破砕物を15質量%以上且つ60質量%未満含有する請求項1又は2に記載の熱可塑性組成物の製造方法。
  4. 上記ペレット化工程は、ダイと該ダイに接して回転されるローラーとを備えたローラー式成形機を用い、該ローラーにより上記混合物を該ダイ内に圧入した後、該ダイから押し出して上記ペレットを形成する請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
  5. 上記植物性材料は、ケナフである請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
  6. 上記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレン及び/又はエチレン・プロピレン共重合体である請求項1乃至5のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれかに記載の熱可塑性組成物の製造方法により得られた熱可塑性組成物を射出成形して成形体を得ることを特徴とする成形体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015500961A (ja) * 2011-12-12 2015-01-08 ザ ゲイツ コーポレイション ケナフ強化ゴム組成物からなる伝動ベルト
CN108148424A (zh) * 2016-12-03 2018-06-12 化晨冰 封闭式低压配电箱
CN110982207A (zh) * 2019-12-13 2020-04-10 东莞市莎米特箱包有限公司 一种行李箱壳体用材及其制备方法

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