JP5250796B2 - ゲル状研磨材の製造方法及びゲル状研磨材 - Google Patents

ゲル状研磨材の製造方法及びゲル状研磨材 Download PDF

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Description

本発明はゲル状研磨材の製造方法,及びゲル状研磨材に関し,より詳細には,ブラスト加工装置によって被加工物の表面に噴射乃至は投射することにより,被加工物の加工表面の光沢面化,艶出し,鏡面化,平滑化等を行うことができるゲル状研磨材の製造方法,及びゲル状研磨材に関する。
なお,本明細書において,「ブラスト加工」には,圧縮空気等の圧縮流体を利用して研磨材を噴射する乾式ブラストや湿式ブラスト等のブラスト加工方法の他,羽根車を回転させて研磨材に遠心力を与えて投射する遠心式(インペラ式)や,打出しロータを用いて研磨材を叩きつけ投射する平打式等,被加工物の加工表面に対して所定の噴射速度や噴射角度で研磨材を投射することが可能なブラスト加工方法を広く含む。
被加工物の加工表面の面粗度を向上させ,該加工表面を鏡面化,光沢面化等する研磨加工としては,一般に,研磨紙・研磨布による研磨や,バフによる研磨,ラッピング,回転する砥粒との接触による研磨,超音波振動を与えられた砥粒との接触による研磨等が用いられているが,ブラスト加工は使用されていない。
このように鏡面化や光沢面化等の研磨加工にブラスト加工が使用されていない理由は,前記ブラスト加工が,研磨材を被加工物に対して噴射あるいは投射し,該被加工物の加工表面に前記研磨材を衝突させるものであるために,このような研磨材と被加工物表面との衝突の際に,前記加工の表面には梨地状の凹凸が形成されてしまうためである。
このような梨地状の凹凸の形成を抑制し,高精度に被加工物の表面を切削等するためには,番手#3000(4μm)程度の微細な砥粒を使用してブラスト加工を行うことも考えられる。
しかし,このような微細な砥粒を直接投射しようとしても,個々の砥粒の質量が小さいためにブラスト装置のキャビネット内に形成された噴射室内でこの砥粒が空気中を浮遊し,視界が遮られて加工部位の監視ができず,正確な加工を行うことができない。
またこのような微細な砥粒を使用する場合,砥粒が静電気を帯びるとキャビネット内面,および被加工物に大量に付着し,これを除去するためにはイオンエアの送風,湿式洗浄が必要で,ブラスト装置にこれを行うための装置構成を設ける必要があると共に,除去作業中,ブラスト加工が中断されて作業性が低下する。
そのため,このように噴射室内で浮遊せず,かつ,静電気によるキャビネット内面や被加工物に対する付着が生じないものでありながら,前述のような微細な砥粒を使用したと同様の加工を行うことのできる研磨材の開発が要望されている。
このように,通常であれば,ブラスト加工によって被加工物の加工表面を鏡面等の光沢面に加工することはできないが,被加工物の加工表面への梨地の形成を抑制し,被加工物の加工表面の研磨を可能とするブラスト加工方法が提案されている。
例えば,弾力性のある多孔質の植物繊維からなる担体に,この植物繊維に含まれる脂肪分または糖分を粘着剤として砥粒を付着させてなる研磨材を,研削液を混合した上で被加工物の表面に斜めから多数噴射して衝突させ,前記担体を塑性変形させながら前記研磨材を被加工物の加工表面で滑走させて,上記研削材により被加工物の加工表面を仕上げる研削方法が提案されている(特許文献1参照)。
また,ゼラチン等の水を含有することにより所望の弾力性と粘着性を有する核体と,この核体の表面に前記粘着性により粘着された複数の砥粒とから成る研磨材を用い,前記研磨材を該研磨材の核体に水を保持した状態にて被加工物に噴射して衝突させ,被加工物の加工表面を研磨する研磨方法が提案されている(特許文献2参照)。
このほか,上述するような研削加工を可能とする研磨材として,1個または複数の砥粒と,この砥粒と一体的に結合され,かつ上記砥粒より反発係数が大きいゴムやアクリル樹脂等の弾性物質とを具備する粒状研磨材が提案されている(特許文献3参照)。
なお,研磨材分野への応用は未だ行われてはいないが,架橋ポリロタキサン化合物である粘弾性物質が提案されている(特許文献4参照)。
ここで,「ポリロタキサン」は,複数の環状分子の孔を貫通した直鎖状分子の両端にブロック基を結合させることにより環状分子から直鎖状分子を抜き取ることができなくした構造を持ち(図2参照),「架橋ポリロタキサン」は,複数の前記ポリロタキサンの前記環状分子間を化学的に結合して架橋させたものであることから(図3参照),この架橋ポリロタキサンは,直鎖状分子間に直接の架橋点が存在せず,直鎖状分子が環状分子の孔内を移動できるために,このような化合物に応力を加えた場合,環状分子の孔内を直鎖状分子が移動することにより架橋点が移動するために〔図3(A),(B)参照〕化合物の内部応力が分散され,これにより高い破壊強度と伸縮性,復元性が得られると共に,直鎖状分子が網目構造を形成することにより,高い膨潤特性を有するものとなっている。
この発明の先行技術文献情報としては次のものがある。
特許第2957492号公報 特開2001−207160号公報 実開昭55−98565号公報 特許第3475252号公報
以上の従来技術で説明したように,弾性を持つ担体や核体の表面に砥粒を付着させた研磨材や,弾性体と砥粒とを一体的に結合させた研磨材(以下,これらを総称して「弾性研磨材」という。)にあっては,担体や核体,弾性体が塑性変形することによって,被加工物に対して研磨材が衝突しても,被加工物の表面に圧痕が形成され難く,従って,被加工物の表面が梨地となることを防止しつつブラスト加工を行うことができる。
しかし,前述した既知の弾性研磨材にあっては,以下のような問題点がある。
(1)砥粒を表面に担持した弾性研磨材(特許文献1,2)の問題点
(1-1) 砥粒の脱落等に伴う切削能力の変化
前述した弾性研磨材のうち,担体や核体の表面に砥粒を付着させた構造のものにあっては,担体や核体の表面に,担体が持つ油脂や糖分,核体が持つ粘着性によって砥粒を付着させていることから,このような弾性研磨材にあっては,これを被加工物の表面に投射して衝突させると,衝突の際の衝撃によって表面に付着させた砥粒が脱落する。
そのため,前記構造を備えた弾性研磨材にあっては,一旦使用された研磨材を回収して繰り返し使用すると,砥粒の脱落によって研磨材の切削力が変化するため,条件を一定として加工を行ったとしても,被加工物の加工状態を一定の状態に再現することができなくなる。
このような問題を解消するために,1回の使用毎に弾性研磨材を全量入れ換える等の処置を行えば,使用する研磨材量が多大となり,コスト高となる。
(1-2) 研削粉,バリ等のゴミの付着
また,前述のように担体や核体の表面に砥粒を担持させた弾性研磨材にあっては,この砥粒の担持を担体の油脂分や糖分が持つ粘着力,核体自体が持つ粘着力によって行っている。
しかし,この担体や核体が持つこのような粘着力は,砥粒に対してのみ発揮されるものではなく,その他の物質をも付着・担持する力を発揮する。そのため,このような弾性研磨材を繰り返し使用すると,前述のように担体や核体の表面に付着・担持された砥粒の脱落が生じる一方で,このような砥粒が脱落して生じた隙間には,切削粉やバリ等のゴミが付着する。
このようにして担体や核体の表面に付着したゴミは,砥粒と同様に被加工物の表面と接触した際に切削力を発揮するが,切削粉やバリ等のゴミによって発揮される切削力と,所定の切削力を発揮するように材質や粒径等が選択された砥粒が発揮する切削力は異なる。
その結果,担体や核体の表面にゴミが付着した弾性研磨材を回収して繰り返し使用すると,このような弾性研磨材を使用して加工された被加工物の表面は,本来意図した加工状態とはならず,例えば鏡面加工を目的としてブラスト加工を行ったものであるにも拘わらず,鏡面とはならずに曇やくすみが生じたり,傷等が発生する場合がある。
このような問題を解消するために,使用後の研磨材を例えば水洗等して表面に付着した研削粉やバリ等のごみを除去することも考えられるが,このような水洗を行えば,研削粉やバリ等のゴミのみならず,砥粒についても除去してしまうこととなる。
また,植物繊維の持つ油脂分や糖分により砥粒を表面に付着させている研磨材にあっては,このような水洗によって油脂分や糖分まで洗い落としてしまうと,砥粒を付着させることができなくなり,再利用ができなくなる。
(1-3) 乾燥による回収率の低下,砥粒の脱落
また,前述したように,植物繊維やゼラチンを担体乃至は核体とした弾性研磨材では,これを研磨液等を使用することなく単独で被加工物の表面に投射して加工を行うと,衝突の際の発熱等によって水分が失われる。
そして,担体や核体中の水分が失われると,担体や核体は硬化し,被加工物の表面に衝突した際の衝撃で破砕し,また,衝突時の衝撃を吸収できずに被加工物の表面を滑動することができず,更には,被加工物の表面に梨地を生じさせる等して,所望の加工状態を得ることができなくなる。
一方,このような弾性研磨材の乾燥を防止するために,研磨液と共に弾性研磨材を投射する場合,被加工物の表面が研磨液で汚れるために,ブラスト加工後,被加工物を洗浄したり,乾燥したりする工程を別途設ける必要が生じる。
(2)ゴム等で砥粒を結合させた研磨材(特許文献3)の問題点
(2-1) 梨地の発生
以上のように,担体や核体の表面に砥粒を担持させた構造の研磨材に対し,ゴムやアクリル樹脂等の弾性物質中に砥粒を分散する等して一体的に結合させた研磨材にあっては,担持体や核体表面の粘着力によって砥粒を付着させている研磨材とは異なり,表面に研削粉やバリ等のゴミが付着し難い。
また,仮に研削粉やバリ等のゴミが付着した場合であっても,研磨材を洗浄等することによりこれを除去することができ,これにより研磨材を安定して再利用することができる。
しかし,前述したゴム製の弾性物質と砥粒とを結合させた研磨材では,これを単独で被加工物の表面に噴射しても,被加工物の表面を円滑に滑動させることができず,依然として梨地が形成されるという問題がある(例えば特許文献2の「0003」欄)。
(2-2) 静電気の発生
また,アクリル樹脂によって砥粒を集合させた樹脂系の研磨材にあっては,被加工物との衝突の際に静電気が発生し,研磨材がワークの表面に付着したり,加工室の内壁に付着する等して回収が困難となるという問題がある。
このような静電気の発生を防止するために,弾性研磨材を研磨液と共に投射すれば,前述したように研磨液で汚れた被加工物の洗浄,乾燥等の後工程が必要となる。
(2-3) 耐久性
更に,前述したゴムやアクリル樹脂と砥粒とを結合させた弾性研磨材にあっては,植物繊維やゼラチンで形成した担体や核体に比較すれば高い耐久性を有するが,例えば埋め込まれた砥粒との界面部分を基点として断裂が生じる等,依然として十分な耐久性を有するとは言えず,再利用可能な研磨材が減少する。
(2-4) リサイクル性
なお,前述したようにゴムやアクリル樹脂等の弾性材料中の砥粒を分散配合した弾性研磨材では,砥粒とゴムやアクリル樹脂とをそれぞれ別個に回収することが困難であることから,使用後の弾性研磨材は,再利用されずに廃棄処分等されるか,または再利用されたとしてもその用途は極めて限定的である。
また,廃棄処分するにしても,ゴムやアクリル樹脂等の弾性材料は,前述した植物繊維製の担体やゼラチン製の核体とは異なり生分解性を持たない一方,焼却処理すれば有害ガスが発生するおそれがある等,環境負荷の大きなものとなっている。
そのため,研磨材としての使命を全うし,廃棄された後に,各構成物質を成分毎に分離,回収してリサイクルすることができ,また,仮に廃棄処分したとしても,生分解性を有するものであれば,環境負荷等に対する感覚が鋭敏化した今日の社会情勢にも対応するものである。
(3)本発明の課題
そこで本発明は,上記従来技術における欠点を解消するためになされたものであり,弾性体中に砥粒が分散配合された構造を有する弾性研磨材の構造を採用することにより,前述した担体や核体の表面に砥粒を付着させた弾性研磨材が有する問題点を解消するものでありながら,砥粒を分散配合した構造を持つ機知の弾性研磨材が有する種々の問題点をも解消することのできる研磨材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための,本発明のゲル状研磨材の製造方法は,砥粒とポリロタキサンとが混在した状態で前記ポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合させることにより,前記環状分子を架橋点とした網目構造を持つと共に前記砥粒が分散配合された架橋ポリロタキサン化合物を得,次いで,前記架橋ポリロタキサン化合物を所定の粒径に造粒することを特徴とする(請求項1)。
前記構成のゲル状研磨材の製造方法において,前記砥粒と前記ポリロタキサンとが混在した状態は,これをポリロタキサン溶液中に前記砥粒を分散させることにより生成することができる(請求項2)。
なお,この砥粒の分散は,予めポリロタキサン溶液を製造しておき,このポリロタキサン溶液中に砥粒を添加することにより行っても良く,又は,例えば砥粒と溶媒との懸濁液を作製し,これにポリロタキサンを添加することにより行っても良く,最終的に砥粒が分散されたポリロタキサン溶液が得られるものであれば如何なる方法で行っても良い。
このようなポリロタキサンとしては,各種のポリロタキサンを使用することができるが,好ましくは前記環状分子をα−シクロデキストリンとし,直鎖状分子をポリエチレングリコールとするポリロタキサンを使用し,前記ポリロタキサン溶液の溶媒は,これを例えば,NaOH水溶液とすることが好ましい(請求項3)。
更に,前記環状分子間の化学的結合が共有結合のものとすることができる(請求項4)。
また,前記環状分子間の化学的結合は,これを架橋剤の添加により行うことができる(請求項5)。
このような架橋剤としては,前記環状分子をα−シクロデキストリンとする場合,一例として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを使用することがてきる(請求項6)。
また,本発明のゲル状研磨材は,ポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合することにより形成され,前記環状分子を架橋点とした網目構造を持つ架橋ポリロタキサンと,
前記架橋ポリロタキサン中に一部分が表面に露出するよう分散配合された砥粒とを有することを特徴とする(請求項7)。
前記構造のゲル状研磨材において,前記砥粒と前記架橋ポリロタキサンとの比は0.05〜10.0であることが好ましい(請求項8)。
更に,前記ゲル状研磨材において,前記ポリロタキサンの前記環状分子は,これをα−シクロデキストリンとすることができ,直鎖状分子をポリエチレングリコールとすることができる(請求項9)。
以上説明した本発明の構成により,本発明のゲル状研磨材によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
(1)砥粒が混在した状態のポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合させて架橋することにより,前記砥粒が分散配合された架橋ポリロタキサン化合物を所定の粒径に造粒して砥粒を表面に露出させた本発明のゲル状研磨材を得たことにより,このようにして得られた研磨材は,高い弾性変形性を有し,被加工物の表面に梨地を形成することなくブラスト加工を行うことができた。
(2)また,前記構造のゲル状研磨材は,高い耐久性を有することから,被加工物の表面等に衝突しても破砕や断裂等が生じ難いだけでなく,砥粒がゲル状材料中に分散配合された構造を有することから,担体や核体の表面に砥粒を付着させた構造の弾性研磨材とは異なり,被加工物の表面等との衝突や,使用後の洗浄等によっても砥粒が脱落し難く,これを再使用した場合であっても一定の加工状態で被加工物を加工することができた。
(3)更に,本発明のゲル状研磨材は,高い膨潤特性を有するものであることから,例えば水やエタノール等の液体を含浸させることにより,被処理対象表面における滑走性が良好であると共に,静電気の発生についても好適に防止することができた。
(4)前述した砥粒とポリロタキサンとの混在した状態を,ポリロタキサン溶液中に砥粒を分散させて得ることにより,砥粒とポリロタキサンとの均一な混在状態を得ることができ,得られたゲル状研磨材の品質(砥粒の分散状態)を一定とすることができた。
(5)ポリロタキサンが,環状分子をα−シクロデキストリン,直鎖状分子をポリエチレングリコールとする場合,α−シクロデキストリン,ポリエチレングリコール共に生分解性を有するものであることから,廃棄等に際して環境に対する負荷を軽減することのできるゲル状研磨材を提供することができた。
次に,本発明の実施形態につき添付図面を参照しながら以下説明する。
1.研磨材の全体構成
本発明のゲル状研磨材は,砥粒が混在した状態でポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合させて架橋することにより,前記砥粒が分散配合されたゲル状の架橋ポリロタキサン化合物を得ると共に,この化合物を造粒することにより,所定の粒径の研磨材と成すと共に,分散配合された砥粒の一部分を表面に露出させた構造を有するものである。
ここで,前述の「造粒」とは,得られた架橋ポリロタキサン化合物の塊を,不定形な形状に形成する場合のみならず,所定形状に切断乃至は裁断する場合も含み,ゲル状研磨材の個々の粒子形状は,直方体,立方体,扁平体等の定形性を有するものであっても良く,又は,破砕機等によって前記化合物を破砕して得た不定形な形状であっても良く,更にはこれらの形状が混在するものであっても良い。また,その他の方法として、例えば、貧溶媒滴下、スプレー、押し出し、型による成形、打ち抜きなどによる造粒手段を用いることができる。
個々の研磨材のサイズは,被加工物のサイズや加工部分の形状,ブラスト加工条件などの各種の条件に対応して適宜変更可能であり,一例として本実施形態にあっては,最大直径で0.05〜5mm程度のものとして形成した。
得られた研磨材における架橋ポリロタキサンと砥粒との比は,砥粒と架橋ポリロタキサンの固形分重量比で約0.05〜10.0の範囲であり,より好ましくは約0.10〜1.0の範囲である。
このゲル状研磨材は,液体を含浸して膨潤したものであっても良く,これにより,被加工物表面での滑動性と,衝突時における静電気の発生を防止することができる。
膨潤に使用する液体としては,水を使用することができるが,研磨材に含浸された液体は,被加工物との衝突時に被加工物の表面に付着する場合があることから,揮発性が高く比較的短時間で乾燥するエタノール等を使用しても良い。
このような液体の含浸は,乾燥状態にある研磨材の重量を1とした場合,約0.1〜2倍の範囲で含浸させることができ,含浸量が上記の範囲未満である場合には良好な滑動性と静電気の発生を完全に防止することができず,また,含浸量が上記範囲を超えると,被加工物に対する衝突時にこの液体が被加工物の表面に付着して被加工物の表面を汚染する。
2.原材料
(1)砥粒
上記ゲル状研磨材に使用する砥粒としては,被加工物と接触して被加工物を所望の状態に加工等することができるものであれば如何なるものを使用しても良く,加工対象とする被加工物の材質,加工後の表面形状(鏡面,平滑面,ヘアライン加工等)にあわせて各種のサイズ,材質,形状のものを選択することができる。
砥粒の材質としては,一般に砥粒として使用されている各種のものを使用可能であり,ホワイトアランダム(WA)やアランダム(A)等のアルミナ系,グリーンカーボランダム等の炭化ケイ素(SiC)系,ダイヤモンド等,c−BN,ホウ化物,ホウ化炭素,ホウ化チタン,超硬合金等,一例として下記の表1に示すようなものを使用することができ,また,砥粒は,これらを2種以上混合したものを使用してもよい。
Figure 0005250796
前記砥粒の粒度についても限定はなく,加工の目的等に応じて適宜選択可能であるが,例えば1mmから0.1μmの範囲のものを使用できる。
なお,被加工物の加工表面を光沢化する鏡面加工等を行なう場合には,6μm以下(#2000以上)の細砥粒を使用することが好ましい。本発明の研磨材にあっては,平均粒径が1μm以下(#8000以上)の細砥粒を用いることも可能である。
また,被加工物の加工表面を所望の形状に切削加工する場合には,30μm以上(#400以下)の粗砥粒を使用しても良く,本発明においては1mmの砥粒の使用もできる。
(2)ポリロタキサン
(2-1) ポリロタキサンの構造
ポリロタキサンは,前述したように複数の環状分子の孔を貫通した直鎖状分子の両端にブロック基を結合させることにより環状分子から直鎖状分子を抜き取ることができなくした構造を持ち(図2参照),環状分子の孔内に直鎖状分子を挿入して「擬ポリロタキサン」(ブロック基を持たない状態)を得,この擬ポリロタキサンの直鎖状分子の両端をブロック基を結合させることにより,環状分子から直鎖状分子を抜き取ることができない,「ポリロタキサン」が得られる。
(2-2) 直鎖状分子
ポリロタキサンを構成する前述の直鎖状分子は,後述する環状分子の孔に挿入されて非共有結合的に一体化することができる分子又は物質であって,直鎖状のものであれば,特に限定されない。なお,本発明において,「直鎖状分子」とは,高分子を含めた分子,及びその他上記の要件を満たす全ての物質をいう。
また,本発明において,「直鎖状分子」の「直鎖」は,実質的に「直鎖」であることを意味する。即ち,環状分子が回転可能,もしくは直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば,直鎖状分子は分岐鎖を有していてもよい。また,「直鎖」の長さは,直鎖状分子上で環状分子が摺動又は移動可能であれば,その長さに特に制限はない。
本発明の直鎖状分子として,親水性ポリマー,例えばポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン,ポリ(メタ)アクリル酸,セルロース系樹脂(カルボキシメチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース等),ポリアクリルアミド,ポリエチレンオキサイド,ポリエチレングリコール,ポリビニルアセタール系樹脂,ポリビニルメチルエーテル,ポリアミン,ポリエチレンイミン,カゼイン,ゼラチン,でんぷん等及び/またはこれらの共重合体など;疎水性ポリマー,例えばポリエチレン,ポリプロピレン,およびその他オレフィン系単量体との共重合樹脂などのポリオレフィン系樹脂,ポリエステル樹脂,ポリ塩化ビニル樹脂,ポリスチレンやアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂,ポリメチルメタクリレートや(メタ)アクリル酸エステル共重合体,アクリロニトリル−メチルアクリレート共重合樹脂などのアクリル系樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリウレタン樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂,ポリビニルブチラール樹脂等;及びこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
これらのうち,ポリエチレングリコール,ポリイソプレン,ポリイソブチレン,ポリブタジエン,ポリプロピレングリコール,ポリテトラヒドロフラン,ポリジメチルシロキサン,ポリエチレン,及びポリプロピレンが好ましい。特にポリエチレングリコールであるのが好ましい。
本発明の直鎖状分子は,それ自体が高い破壊強度を有するのがよい。化合物又はゲルの破壊強度は,ブロック基と直鎖状分子との結合強度,環状分子同士の結合強度など,その他の因子にも依るが,本発明の直鎖状分子自体が高い破壊強度を有すれば,より高い破壊強度を提供することができる。
本発明の直鎖状分子は,その分子量が1,000以上,例えば1,000〜1,000,000,好ましくは5,000以上,例えば5,000〜1,000,000又は5,000〜500,000,より好ましくは10,000以上,例えば10,000〜1,000,000,10,000〜500,000又は10,000〜300,000であるのがよい。
また,本発明の直鎖状分子を生分解性を有するものとすれば,廃棄等に際して環境に対する負荷を軽減することができる点で好ましい。
本発明の直鎖状分子は,その両末端に反応基を有するのが好ましい。この反応基を有することにより,ブロック基と容易に反応することができる。反応基は,用いるブロック基に依存するが,例えば水酸基,アミノ基,カルボキシル基,チオール基などを挙げることができる。
(2-3) 環状分子
ポリロタキサンが備える前述の環状分子としては,上記直鎖状分子を孔内に挿入可能であると共に,直鎖状分子上を回転又は摺動可能なものであれば如何なる環状分子を使用しても良い。
なお,本発明において,「環状分子」とは,環状分子を含めた種々の環状物質をいう。また,本発明において,「環状分子」とは,実質的に環状である分子又は物質をいう。即ち,「実質的に環状である」とは,英字の「C」のように,完全に閉環ではないものを含む意であり,英字の「C」の一端と多端とが結合しておらず重なった螺旋構造を有するものも含む意である。
本発明の環状分子として例えば,種々のシクロデキストリン類(例えばα−シクロデキストリン,β−シクロデキストリン,γ−シクロデキストリン,ジメチルシクロデキストリン及びグルコシルシクロデキストリン,これらの誘導体又は変性体など),クラウンエーテル類,ベンゾクラウン類,ジベンゾクラウン類,及びジシクロヘキサノクラウン類,並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
上述のシクロデキストリン類及びクラウンエーテル類などは,その種類により環状分子の開口部の大きさが異なる。したがって,用いる直鎖状分子の種類,具体的には用いる直鎖状分子を円柱状と見立てた場合,その円柱の断面の直径,直鎖状分子の疎水性又は親水性などにより,用いる環状分子を選択することができる。また,開口部が相対的に大きな環状分子と,相対的に直径が小さな円柱状の直鎖状分子を用いた場合,環状分子の開口部に2以上の直鎖状分子を包接することもできる。
このうち,シクロデキストリン類は生分解性を有するため,その使用は,前述したように廃棄等に際して環境負荷を低減できる点で好ましい。
環状分子としてα−シクロデキストリン,及び直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いるのが好ましい。
本発明の環状分子は,その環の外側に反応基を有するのが好ましい。後述するように環状分子同士を結合又は架橋する際,この反応基を用いて容易に反応を行うことができる。反応基は,用いる架橋剤などにも依存するが,例えば水酸基,アミノ基,カルボキシル基,チオール基,アルデヒド基などを挙げることができる。また,後述するブロック化反応の際にブロック基と反応しない基を用いるのがよい。
(2-4) ブロック基
ブロック基は,前述したように環状分子の孔を貫通した直鎖状分子を,環状分子の孔より抜き取ることができなくなるようにするために,直鎖状分子の両端に設けられるものであり,直鎖状分子を環状分子の孔より抜き取ることができなくなるようにするものであれば,如何なる基を用いてもよい。
このような基としては,例えば直鎖状分子の両端を,環状分子の孔との相対的関係において嵩高くして抜き取ることができなくするものであっても良く,又は,イオン性を有する基,例えば環状分子が持つイオン性と反応(例えば反発)する等して直鎖状分子を抜き取ることができなくするものであっても良い。ここで,「基」というのは,分子基及び高分子基を含めた種々の基を意味する。即ち,「嵩高さ」を有する基として,図2で模式的に球形で表した分子基であっても良く,又は,高分子の固体や,高分子の主鎖や側鎖であってもよい。
ブロック基が或る高分子である場合,マトリクスとして該高分子がありその一部に本発明の化合物が含まれる形態であっても,逆にマトリクスとして本発明の化合物がありその一部に前記高分子が含まれる形態であってもよい。このように,種々の特性を有する前記高分子と組み合わせることにより,本発明の化合物の特性と前記高分子の特性とを組み合わせて複合材料を形成することができる。
具体的には,分子基のブロック基として,2,4−ジニトロフェニル基,3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類,シクロデキストリン類,アダマンタン基類,トリチル基類,フルオレセイン類及びピレン類,並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
より具体的には,環状分子としてα−シクロデキストリン,及び直鎖状分子としてポリエチレングリコールを用いる場合であっても,シクロデキストリン類,2,4−ジニトロフェニル基,3,5−ジニトロフェニル基などのジニトロフェニル基類,アダマンタン基類,トリチル基類,フルオレセイン類及びピレン類,並びにこれらの誘導体又は変性体を挙げることができる。
(2-5) ポリロタキサンの製造例
このようなポリロタキサンは,一例として次のように調製することができる。
まず,環状分子及び直鎖状分子を混合して環状分子の開口部に直鎖状分子が挿入されてなる前述の擬ポリロタキサンを調製する。
この調製工程における混合の際,種々の溶媒を用いてもよい。この溶媒は,環状分子及び/又は直鎖状分子を溶解する溶媒,もしくは環状分子及び/又は直鎖状分子を懸濁する溶媒などを挙げることができる。具体的には,本発明で用いる環状分子及び/又は直鎖状分子などに依存して適宜選択することができる。
ポリロタキサンの調製の際,直鎖状分子によって貫通される環状分子の量を制御するのが好ましい。少なくとも2個の環状分子が1本の直鎖状分子によって貫通されるのがよい。また,環状分子が直鎖状分子上に最大限に存在することができる量,即ち最大包接量を1とした場合,環状分子の量は,最大包接量の0.001〜0.6,好ましくは0.01〜0.5,より好ましくは0.05〜0.4の値で存在するのがよい。
上述の環状分子の量は,混合する時間,温度,圧力,用いる直鎖状分子の分子量を高分子量にするなどによって制御することができる。より具体的には,環状分子の飽和溶液中に,過剰な直鎖状分子を溶解することなどが挙げられる。
本発明のブラスト加工用研磨材の製造に使用するポリロタキサンは,上述のように,環状分子を直鎖状分子に密に詰めないものであることが好ましい。密に詰めないことにより,架橋した際に,架橋環状分子又は直鎖状分子の可動距離を保持することができ,この可動距離により,高い破壊強度,高エントロピー弾性,優れた伸張性,及び/又は優れた復元性,及び高吸収性又は高吸湿性を提供することができる。
このようにして得られた擬ポリロタキサンの環状分子から,直鎖状分子を抜き取ることができないようにするために,直鎖状分子の両末端を前述したブロック基でブロックしてブロック化ポリロタキサンを調製する。
3.ゲル状研磨材の製造
(1)概要
以上で説明した原料である砥粒及びポリロタキサンは,両者が混在した状態においてポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合させて架橋させ,砥粒が分散配合されたゲル状物である架橋ポリロタキサン化合物を得る。
このようにして得られた架橋ポリロタキサン化合物を,所定の粒径に造粒することにより,砥粒が分散配合されていると共に,表面に砥粒の一部が露出した本発明のゲル状研磨材が得られる。
(2)砥粒を分散配合した架橋ポリロタキサン化合物の製造
(2-1) 砥粒−ポリロタキサンの混在状態の生成
前述した砥粒とポリロタキサンの混在状態は,例えば溶媒中にポリロタキサンを溶解することにより得たポリロタキサン溶液中に,前述した砥粒を混入,攪拌して懸濁させることにより,又は,砥粒を水等の液中で攪拌する等して砥粒の懸濁液を得,この懸濁液中にポリロタキサンや溶媒等を混入,攪拌等する等,ポリロタキサンが溶解したポリロタキサン溶液中に,砥粒を懸濁させることにより生成することができる。
(2-2) 架橋
このように砥粒とポリロタキサンとが混在した状態で,ポリロタキサンを架橋させることにより,砥粒が分散配合された架橋ポリロタキサン化合物を得ることができる。
なお,ここで砥粒と混在するポリロタキサンは,同一種類のポリロタキサンであっても良く,又は複数種類のポリロタキサンを混在させても良い。このように複数種類のポリロタキサンが混在する場合,架橋は,種類の異なるポリロタキサン同士でも生じるように各ポリロタキサンの環状分子のそれぞれが互いに反応して結合を形成することができる反応基を有することが好ましい。
ポリロタキサン相互の架橋は,ポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合することにより行い,この結合は,環状分子同士を直接結合するものであっても良く,又は,種々の分子乃至は原子を介して環状分子同士を結合するものであっても良い。架橋反応の条件は,ポリロタキサンのブロック基を除去しない条件でなければならない。
環状分子の結合に使用する架橋剤としては,既知の架橋剤を用いることができる。例えば,1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル,塩化シアヌル,トリメソイルクロリド,テレフタロイルクロリド,エピクロロヒドリン,ジブロモベンゼン,グルタールアルデヒド,フェニレンジイソシアネート,ジイソシアン酸トリレイン(例えば2,4−ジイソシアン酸トリレイン),1,1’−カルボニルジイミダゾール,及びジビニルスルホンなどを挙げることができる。また,シランカップリング剤(例えば種々のアルコキシシラン)及びチタンカップリング剤(例えば種々のアルコキシチタン)などの各種カップリング剤を挙げることができる。
さらに,ソフトコンタクトレンズ用材料に用いられる各種の光架橋剤,例えばホルミルスチリルピリジウムなどのスチルバゾリウム塩系の光架橋剤(K. Ichimura et al., Journal of polymer science. Polymer chemistry edition 20, 1411-1432(1982)(本文献は,参考として本明細書に含まれる)を参照のこと),並びにその他の光架橋剤,例えば光二重化による光架橋剤,具体的にはケイ皮酸,アントラセン,チミン類などを挙げることができる。
架橋剤は,その分子量が2,000未満,好ましくは1,000未満,より好ましくは600未満,最も好ましくは400未満であるのが好ましい。
環状分子としてα−シクロデキストリンを用いる場合,該架橋剤の例として,塩化シアヌル,2,4−ジイソシアン酸トリレイン,1,1’−カルボニルジイミダゾール,トリメソイルクロリド,テレフタロイルクロリド,並びにテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシラン等のアルコキシシラン類などを挙げることができる。
以上で説明した架橋剤を,例えば砥粒が投入,攪拌された状態のポリロタキサン溶液に加えて攪拌し,又は,架橋剤を添加した後,ゲル化前のポリロタキサン溶液に砥粒を加えて攪拌する等して,砥粒が分散配合されたゲル状の架橋ポリロタキサン化合物が得られる。
(3)造粒
以上のようにして得られた架橋ポリロタキサン化合物は,これを造粒して,最大径0.05〜5mm程度の粒径とし,このようにして本発明のゲル状研磨材が製造される。
なお,必要に応じて造粒して得た研磨材は,これを所定のサイズごとに分級するものとしても良い。
以下,本発明の実施例について説明する。
1.ポリロタキサンの準備
本実施例においてブラスト加工用研磨材の製造に使用したポリロタキサンは,直鎖状分子をポリエチレングリコール(以下,「PEG」と略記する。),環状分子をα−シクロデキストリン(以下,「α−CD」と略記する。)とするもので,これを以下の方法によって得た。
(1)直鎖状分子(PEG)の調整
PEG(分子量10万)10g,TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル)50mg,及び臭化ナトリウム0.25gを水110mlに溶解した。
得られた溶液に市販の次亜塩素酸ナトリウム水溶液(有効塩素濃度約5%)2.5mlを添加し,室温で攪拌しながら反応させた。
反応が進行すると添加直後から系のpHは急激に減少するが,なるべくpH:10〜11を保つように1N NaOHを添加して調整した。pHの低下は概ね3分以内に見られなくなったが,さらに10分間攪拌し,過剰量のエタノールを添加して反応を終了させた。
塩化メチレン50mlでの抽出を3回繰り返して無機塩以外の成分を抽出した後,エバポレータで塩化メチレンを留去した。
これを温エタノール250mlに溶解させた後,−4℃の冷凍庫に一晩おいてPEG−カルボン酸,即ちPEGの両末端をカルボン酸(−COOH)に置換したものを析出させ,析出させたPEG−カルボン酸を遠心分離で回収した。
この温エタノール溶解−析出−遠心分離のサイクルを数回繰り返し,最後に真空乾燥で乾燥させてPEG−カルボン酸を得た。収率95%以上,カルボキシル化率95%以上であった。
(2)擬ポリロタキサンの調整
上記方法で得られたPEG−カルボン酸6g及びα−CD24gを,それぞれ別々に用意した70℃の温水100mlに溶解させた後,両溶液を混合し,その後,冷蔵庫(4℃)中で3日間静置した。クリーム状に析出した擬ポリロタキサンを凍結乾燥し,回収した。
(3)ブロック基による封鎖
上記で得られた擬ポリロタキサンに,アダマンタンアミン0.26g,BOP試薬(ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム・ヘキサフルオロフォスフェート)0.60g,及び,ジイソプロピルエチルアミン0.28mlを脱水ジメチルホルムアミド(以下,「DMF」と略記する。)120mlに溶解した溶液を加え,よく振り混ぜた後,冷蔵庫中で一晩静置した。
その後,メタノール120mlを加え,攪拌,遠心分離,上澄みの除去を行った。
次いで,DMF/メタノール=1:1の混合溶液200mlを加え,同様の操作を2回行った。
更にメタノール200mlを用いて同様の操作を2回行い,得られた沈殿を真空乾燥した後,ジメチルスルホキシド(以下「DMSO」と略記する。)140mlに溶解した。
この溶液を純水1400ml中に滴下してポリロタキサンを析出させた。析出したポリロタキサンを遠心分離で回収し,真空乾燥した。
さらに同様の再沈殿操作を行い,ポリロタキサン16gを得た。得られたポリロタキサンをNMR測定した結果,CDとPEGモノマーとの比(モル比)は,CD:PEGモノマー=13.5:100であった(包接率:27%)。
2.ゲル状研磨材の製造実施例
(1)実施例1
1.5N NaOH水溶液1,000ml(32.2wt%)中に上記で得たポリロタキサン250g(8.0wt%)を溶解し,ポリロタキサン溶液を得た。この溶液に,架橋剤として1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(以下「BDGE」と略記する。東京化成製)56ml(1.8wt%)を加え,次いでSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)1,800g(58.0wt%)を混合し,室温にて28分間撹拌した。攪拌後,ステンレス製のバットに入れ,室温で28時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサー(容器内で回転する回転刃を備え,容器内に投入された対象を回転刃の回転によって破砕乃至は切断する装置。以下同じ。)にて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(2)実施例2
SiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)450g(57.8wt%)に200mlの水を加えて室温にて15分間撹拌し,スラリー状にした。このスラリーにポリロタキサン62.5g(8.0wt%)を加え室温にて14分間撹拌した。次いで4N NaOH水溶液50ml(NaOH水溶液合計250ml 32.1wt%)を加え16分間撹拌し,その後BDGE16ml(2.1wt%)を加えて7分間撹拌した。これをステンレス製のバットに入れ,室温で24時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(3)実施例3
1.2N NaOH水溶液250ml(32.1wt%)中にポリロタキサン62.5g(8.0wt%)を溶解し,ポリロタキサン溶液を得た。この溶液にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)450g(57.8wt%)を混合して室温にて12分間撹拌し,BDGEを16ml(2.1wt%)加え,室温にて11分間撹拌した。真空中(ゲージ圧−0.1MPa)にて17分間脱泡をおこなった後,ステンレス製のバットに入れ,上に重しを載せて5g/cmの圧力をかけながら室温で19時間静置してゲル化した後,水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(4)実施例4
1.2N NaOH水溶液250ml(27.4wt%)中にポリロタキサン62.5g(6.8wt%)を溶解し,ポリロタキサン溶液を得た。この溶液にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)585g(64.0wt%)を混合して室温にて34分間撹拌し,BDGEを16ml(1.8wt%)加えて10分間撹拌した。真空中(ゲージ圧−0.1MPa)にて6分間脱泡をおこなった後,ステンレス製のバットに入れ,上に重しを載せて30g/cmの圧力をかけながら室温で13時間静置してゲル化した後,水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(5)実施例5
1.5N NaOH水溶液250ml(32.1wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)450g(57.8wt%)を3時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン62.5g(8.0wt%)を混合し,20分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを16ml(2.1wt%)加え,室温にて12分間撹拌した。真空中(ゲージ圧−0.1MPa)にて9分間脱泡をおこなった後,厚さ3mm程度のシート状にして,室温で15時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルシートをカッターナイフを用いて2〜3mm角に切り,ゲル状研磨材を得た。
(6)実施例6
1.5N NaOH水溶液100ml(31.6wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)180g(56.9wt%)を24時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン25g(7.9wt%)を混合し,18分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを11.2ml(3.5wt%)加え,室温にて5分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で49時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(7)実施例7
1.5N NaOH水溶液100ml(39.5wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)120.0g(47.4wt%)を28時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン25g(9.9wt%)を混合し,10分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを8.4ml(3.3wt%)加え,室温にて5分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で24時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(8)実施例8
1.5N NaOH水溶液200ml(48.7wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)180g(43.8wt%)を6時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン25g(6.1wt%)を混合し,10分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを5.6ml(1.4wt%)加え,室温にて5分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で23時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて3mm程度以下の不定形に粉砕・水洗し,ゲル状研磨材を得た。
(9)実施例9
1.5N NaOH水溶液280ml(40.0wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)350g(50wt%)を72時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン47.2g(6.7wt%)を混合し,7分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを22.8ml(3.3wt%)加え,室温にて10分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で22時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて不定形に粉砕・水洗し,0.3mm〜3mmに分級してゲル状研磨材を得た。
(10)実施例10
1.5N NaOH水溶液280ml(48.0wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#8,000)233.3g(40.0wt%)を73時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン47.2g(8.1wt%)を混合し,16分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを22.8ml(3.9wt%)加え,室温にて10分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で22時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて不定形に粉砕・水洗し,0.3mm〜3mmに分級してゲル状研磨材を得た。
(11)実施例11
1.5N NaOH水溶液87.5ml(35.0wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#3,000)137.5g(55.0wt%)を47時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン20.5g(8.2wt%)を混合し,18分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを4.5ml(1.8wt%)加え,室温にて5分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で26時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて不定形に粉砕・水洗し,0.3mm〜3mmに分級してブラスト加工用研磨材を得た。
(12)実施例12
粒度#10,000のSiCを主成分とする研磨材を使用し,他は実施例11と同様の方法によりゲル状研磨材を得た。
(13)実施例13
1.5N NaOH水溶液123ml(49.2wt%)中にSiCを主成分とする研磨材(粒度#3,000)100g(40wt%)を141時間室温中で浸漬し,NaOHと研磨材にわずかに残留しているSiが反応することによって発生する水素ガスがゲル化時に発生しないようにあらかじめ反応させた。このNaOH水溶液・研磨材混合物とポリロタキサン18g(7.2wt%)を混合し,8分間撹拌してポリロタキサンをNaOH水溶液に溶かすとともに研磨材を均一に分散させた。BDGEを9ml(3.6wt%)加え,室温にて5分間撹拌した。ステンレス製のバットに入れ,室温で26時間静置してゲル化した後水中に入れて中和した。このゲルをミキサーにて不定形に粉砕・水洗し,0.3mm〜3mmに分級してゲル状研磨材を得た。
(14)実施例14
粒度#10,000のSiCを主成分とする研磨材を使用した他は実施例13と同様の方法でゲル状研磨材を得た。
3.ブラスト加工試験
(1)試験方法の概要
下記の二種類の試験片に対し,上記実施例1〜14の方法で製造したゲル状研磨材を使用してブラスト加工を行った(実施例)。
比較例として,砥粒のみの投射によるブラスト加工を行い,加工後の試験片の表面を観察すると共に評価した。
(2)試験片
(2-1) 試験片1:表面が鏡面加工されたSUS304板(幅×長さ100mm×10mm,厚さ5mm)。
(2-2) 試験片2:前処理として以下の方法によるブラスト加工を行ったSUJ2板(幅×長さ100mm×10mm,厚さ5mm)
SiC砥粒(株式会社不二製作所製「フジランダム」(GC)♯400)を,重力式ブラスト加工装置(株式会社不二製作所製「SGF−3」)により,噴射圧力0.3MPa,ノズル口径φ5mm,噴射角度(試験片表面に対するノズルの傾き)90°,試験片とノズル間の距離を100mmとして噴射。
(3)ブラスト加工条件
(3-1) 実施例
上記実施例1〜14の方法によって得られたブラスト加工用研磨材を使用し,上記2種類の試験片に対し,それぞれブラスト加工を行った。
両試験片に対するブラスト加工条件は,いずれもブラスト加工装置として重力式ブラスト加工装置(株式会社不二製作所製SGF-3)を使用し,噴射圧力0.3MPa,ノズル口径φ6mm,噴射角度(試験片表面に対するノズルの傾き)45°,試験片とノズル間の距離60mmである。
(3-2) 比較例
比較例として,SiC砥粒(株式会社不二製作所製「フジランダム」(GC)♯8000:実施例3のゲル状研磨材の製造に使用した砥粒と同じ)のみを使用し,上記2種類の試験片に対し,それぞれブラスト加工を行った。
両試験片に対するブラスト加工条件は,いずれもブラスト加工装置として,重力式ブラスト加工装置(株式会社不二製作所製「SGF−3」)を使用し,噴射圧力0.3MPa,ノズル口径φ6mm,噴射角度(試験片表面に対するノズルの傾き)45°,試験片とノズル間の距離60mmである。
(4)評価方法
(4-1) 試験片1(鏡面加工されたSUS304板)の評価
株式会社キーエンス製「デジタルマイクロスコープ」を用いて,試験片1の表面状態を観察した。
(4-2) 試験片2(ブラストによる前処理がされたSUJ2板)の評価
株式会社東京精密製の表面粗さ形状測定器「サーフコム130A」を使用して表面粗さ(Ra及びRy)を測定した。
(4-3) 使用後の研磨材の評価(耐久性の確認)
以上のブラスト加工に使用した本発明のゲル状研磨材(実施例1〜14)のうち,試験片1の加工に使用したものの使用後の状態を観察した。
(4-4) 静電気の発生状態の確認
上記方法によるブラスト加工時,試験片や加工室内壁に対する研磨材の付着状態を目視によって確認することにより,静電気の発生状態を確認した。
(5)試験結果
(5-1) 試験片1の評価結果
本発明のブラスト加工用研磨材(実施例1〜14)を使用してブラスト加工を行った試験片の表面は,いずれも研磨材の噴射方向に沿って延びた直線的な多数のスジ状の切削痕が形成されていることが確認でき,また,梨地状の凹凸の形成を確認することはできなかった。
このことから,本発明の研磨材によれば,被加工物の表面に梨地状の凹凸が形成されることを好適に防止することができると共に,研磨材が被加工物の表面を滑走することにより該被加工物の表面を略平行に切削できることを確認することができた。
一方,砥粒を直接投射した試験片にあっては,加工面は梨地状となっており,また,スジ状の切削痕の形成を確認することができなかった。このことから,砥粒の投射角度を被加工面に対して傾斜させただけでは,梨地の形成を抑制することはできず,かつ,被加工物の表面に沿って砥粒を滑走させることができず,本発明の研磨材が,梨地の形成防止と研磨材の滑走による平坦化加工に有効であることが確認された。
(5-2) 試験片2の評価結果
本発明の研磨材(実施例3)を使用して加工した試験片2の表面と,比較例の砥粒を使用して加工した試験片2の表面粗さを測定した結果を表2に示す。
Figure 0005250796
以上の結果から,本発明の研磨材を使用して加工した試験片2では,比較例の砥粒を使用して加工した試験片2に比較して,大幅な表面粗さの低減が得られていることが確認できた。
また,目視による確認においても,加工前の試験片2は前処理で行われたブラスト加工によって梨地状の,ざらついたつや消し状の表面を有するものであったが,本発明の研磨材によって加工することにより鏡面となっていることが確認できた。
従って,本発明の研磨材によれば,ブラスト加工によって被加工物の表面の鏡面仕上げを行うことができることが確認された。
(5-3) 使用後の研磨材の評価(耐久性の確認)結果
上記ブラスト加工試験で使用した後の本発明の研磨材(実施例3)の状態を観察した結果,回収された研磨材には,裂けや割れ等の損傷が殆ど生じていなかった。
また,使用後の研磨材の表面には,分散配合された砥粒の一部分が,研磨材の全体に略均一に露出しており,使用の前後における研磨材の脱落も殆ど生じていないことが確認された。
従って,本発明の研磨材は,裂けや割れ等による研磨材の損耗が少なく,高回収率で回収して繰り返しの使用に耐え得る,高耐久性を有するものであると共に,使用に伴う砥粒の脱落も少ないことから,繰り返しの使用によっても研磨材の持つ切削力が変化し難く,安定した加工を行うことができるものであることが確認できた。
(5-4) 静電気の発生状態の確認結果
なお,砥粒を直接投射した比較例のブラスト加工では,静電気により試験片や加工室の内壁に多量の砥粒が付着していることが確認された一方,本発明の研磨材(実施例1〜14)を使用して行ったブラスト加工では,いずれの試験片に対するブラスト加工においても試験片や加工室内壁に対する研磨材の付着を殆ど確認することができず,本発明のゲル状研磨材が持つ,液体(水)を含浸して膨潤する性質が,静電気の発生の防止に有効であることが確認された。
(5-5) その他
なお,前記ブラスト加工後に回収された本発明の研磨材は,これをバスケット状の容器に入れ,水槽中に容器ごと没して水洗することにより,表面に付着した切削粉等のゴミを容易に除去することが可能であった。
一方,洗浄後の水槽を静置して,底部に沈殿した沈殿物を確認するも,この沈殿物中に含まれる砥粒は僅かであり,また,洗浄後の研磨材の表面を観察するも,ゴミの付着や目立った砥粒の脱落は確認できず,本発明の研磨材は,これを水洗等することによってゴミを除去することにより,切削性等において初期の特性を発揮する状態に回復させることができるものであることが確認できた。
また,使用後,水中に没することにより水分の噴射により水を供給することにより水分を吸収させて再度膨潤させることができることから,前述した高い耐久性を有することとも相俟って,繰り返しの使用に適した研磨材であることが確認できた。
本発明のゲル状研磨材の構造を説明するための模式図。 ポリロタキサンの構造を説明するための模式図。 架橋ポリロタキサンの構造を説明するための模式図であり,(A)は常態,(B)は矢印方向へ引張力を付加した状態を示す。

Claims (9)

  1. 砥粒とポリロタキサンとが混在した状態で前記ポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合させることにより,前記環状分子を架橋点とした網目構造を持つと共に前記砥粒が分散配合された架橋ポリロタキサン化合物を得,
    次いで,前記架橋ポリロタキサン化合物を所定の粒径に造粒することを特徴とするゲル状研磨材の製造方法。
  2. 前記砥粒と前記ポリロタキサンとの混在状態を,ポリロタキサン溶液中に前記砥粒を分散させることにより生成することを特徴とする請求項1記載のゲル状研磨材の製造方法。
  3. 前記ポリロタキサンとして,前記環状分子をα−シクロデキストリンとし,直鎖状分子をポリエチレングリコールとするものを使用することを特徴とする請求項2記載のゲル状研磨材の製造方法。
  4. 前記環状分子間の化学的結合が共有結合であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の研磨材の製造方法。
  5. 前記環状分子間の化学的結合を,架橋剤の添加により行うことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のゲル状研磨材の製造方法。
  6. 前記環状分子をα−シクロデキストリンとし,前記架橋剤を1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルとしたことを特徴とする請求項5記載のゲル状研磨材の製造方法。
  7. ポリロタキサンの環状分子間を化学的に結合することにより形成され,前記環状分子を架橋点とした網目構造を持つゲル状の架橋ポリロタキサンと,
    前記架橋ポリロタキサン中に一部分が表面に露出するよう分散配合された砥粒とを有するゲル状研磨材。
  8. 前記砥粒と前記架橋ポリロタキサンとの比が0.05〜10.0であることを特徴とする請求項7記載のゲル状研磨材。
  9. 前記ポリロタキサンの前記環状分子がα−シクロデキストリンであり,直鎖状分子がポリエチレングリコールである請求項7又は8記載のゲル状研磨材。
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