JP5247038B2 - 乗客コンベア及びその改修方法 - Google Patents

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本発明は傾斜して設置され傾斜部において踏板に段差が生じるエスカレーターや傾斜部において踏板に段差が生じない乗客コンベア及びその改修方法に係り、特に、既設乗客コンベアの既設枠体を利用して新設枠体を設置する乗客コンベア及びその改修方法に関する。
既設乗客コンベアの既設枠体を利用して新設枠体を設置する乗客コンベア及びその改修方法としては、例えば特許文献1に示すように、既に提案されている。
特公平3−48115号公報
上記従来の技術によれば、既設枠体を利用して新設乗客コンベアを設置することで、その据付作業が簡単にできると云う優れた点を有しているが、その半面、既設枠体の全長に渡って略同じ長さの新設枠体を組み込んでいるために、既設枠体に対して新設枠体の幅方向寸法が狭くなることは避けられない。
新設枠体の幅方向寸法が狭くなっても、乗客コンベアの揚程が15m以下であれば乗客コンベアの駆動機構を大容量化する必要がないので、十分に幅方向寸法が狭い新設枠体内に十分に設置することができる。しかしながら、揚程が15m以上となる高揚程の乗客コンベアにおいては、その駆動機構を大容量化しているので、改修時に狭幅の新設枠体内に大容量の駆動機構を設置することが困難になることがある。
本発明の目的は、既設枠体を利用して新設乗客コンベアを設置するに際し、揚程の大小に関係なく広幅な構成部品の設置が行える乗客コンベアを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、新設枠体の上端を、既設枠体の上部水平部の長手方向中間位置まで延在させて固定すると共に、新設乗客コンベアの構成部品のうち新設枠体よりも広幅な構成部品を前記上部水平部の前記既設枠体内に設置するようにしたのである。
以上説明したように、新設枠体の上端を、既設枠体の上部水平部の長手方向中間位置まで延在させて固定することで、既設枠体の上部水平部に広幅の空間が形成されることになり、この空間を利用して新設乗客コンベアの構成部品のうち新設枠体よりも広幅な構成部品を設置できるので、揚程の大小に関係なく広幅な構成部品の設置が行える乗客コンベアを得ることができる。
以下本発明による乗客コンベアを、図1〜図8に示すエスカレーターに基づいて説明する。
エスカレーター1は、上階床UFと下階床LF間に跨って設置された枠体2と、この枠体2の上部水平部5内に設置された駆動機構6と、前記枠体2の幅方向両側に沿って立設された欄干パネル7と、この欄干パネル7の周縁に沿って移動可能に案内された移動手摺8と、前記枠体2内に案内されて循環移動する複数の踏板9とを備えている。
前記枠体2は、上階床UFと下階床LF間に跨って設置された既設枠体3と、この既設枠体3の上部水平部5の長手方向中間位置まで上端部が延在する新設枠体4とを有している。この新設枠体4の上端部は、既設枠体3の長手方向中間位置に設けた強度部材10によってその底部を支持され、頂部は既設枠体3の頂部と一致させている。また、この新設枠体4の下端部は、既設枠体3の下部水平部11の端部に係合されている。
前記駆動機構6は、大きく分けると、踏段駆動機構12と手摺駆動機構13とからなり、踏段駆動機構12は、前記新設枠体4の上端部を既設枠体の上部水平部の長手方向中間部まで延在させることで形成される空間14内に設置され、前記手摺駆動機構13は、新設枠体の上部水平部に設置されている。
そして、前記踏段駆動機構12は、前記上部水平部5内の空間14内において、前記既設枠体に両端部を軸支された駆動軸15と、この駆動軸15の左右対称位置に設けられた駆動スプロケット16A,16Bと、一方側の駆動スプロケット16Aの軸端側に設けられた動力伝達スプロケット17と、他方側の駆動スプロケット16Bの軸端側に設けられた手摺駆動スプロケット18と、駆動用モータ19と、この駆動用モータ19によって駆動される減速機20と、この減速機20の動力を前記動力伝達スプロケット17に動力伝達チェーン(図示せず)を介して伝達する出力スプロケット21とを備えている。
前記手摺駆動機構13は、前記手摺駆動スプロケット18から動力伝達チェーン18Cを介して動力を伝達され、前記移動手摺8を挟圧して駆動する複数の挟圧ローラを備えた手摺駆動装置を有している。
また、前記新設枠体4の下部水平部11A内には、前記駆動スプロケット16A,16Bと同間隔の従動スプロケット22A,22Bが軸支されており、駆動スプロケット16Aと従動スプロケット21A間及び駆動スプロケット16Bと従動スプロケット21B間には、夫々無端状の踏段チェーン23A,23Bが巻き掛けられている。これら左右の踏段チェーン23A,23Bに跨って複数の前記踏板9が連結されており、新設枠体4内に案内されて循環移動するように構成されている。
上記構成によれば、既設枠体3の内幅W1に較べて新設枠体4の内幅W2は当然狭くなる。そして、揚程15m以上の高揚程エスカレーターにおいて、大容量の駆動機構6を使用することで、駆動機構6の幅方向寸法W3が新設枠体4の内幅W2よりも大きくなった場合でも、新設枠体4を既設枠体3の上部水平部5の中間位置まで延在することで確保した空間14を利用して既設枠体3の内幅W1に幅方向寸法W3の駆動機構6を設置することが可能となる。尚、既設枠体3の内幅W1は、もともと設置時の揚程に対応した駆動機構を設置できる寸法となっているので、新設エスカレーターの駆動機構6は十分に既設枠体3の内幅W1内に設置することができる。
次に、上記構成のエスカレーターを設置する手順について説明する。
先ず、上階床UFと下階床LF間に跨って設置された既設エスカレーターの構成部品を、既設枠体3を除いて分解撤去し、次に、構成部品が撤去された既設枠体3の上部水平部5の中間部に新設エスカレーターの新設枠の上端を支持する強度部材10を設ける。その後、新設枠体4を既設枠体3内に収納して固定するのであるが、新設枠体4の上部水平部5Aは、既設枠体3の上部水平部5の長さの略半分の長さに形成されているので、新設枠体4の上部水平部5Aの先端部を前記強度部材10に仮支持させると共に、新設枠体4の下部水平部11Aの先端部を既設枠体3の下部水平部11の先端部に係合させる。その後、既設枠体3と新設枠体4との前後及び左右方向の位置を決めてから新設枠体4を既設枠体3に固定する。
その後、上述のように構成された駆動機構6のうち踏段駆動機構12を既設枠体3の上部水平部5の空間14内に設置すると共に、手摺駆動機構13を新設枠体4の上部水平部5Aに設置する。そして、新設枠体4の下部水平部11A内に従動スプロケット22A,22Bを軸支し、前記駆動スプロケット16A,16Bとの間に踏段チェーン23A,23Bを巻き掛け、この踏段チェーン23A,23Bに複数の踏段9を連結する。
そして、新設枠体4の左右両側に沿って欄干パネル7を立設すると共に、その周縁に移動手摺8を装着し、この移動手摺8を前記手摺駆動機構13を構成する手摺駆動装置の複数の挟圧ローラ間に通過させる。
また、これらの組み立て終了後あるいは組み立てと並行して意匠部品の設置やエスカレーターの運転制御に必要な電気系の設置を行って新設エスカレーターの設置作業を終了する。
本発明による乗客コンベアの一実施の形態であるエスカレーターの枠体を示す側面図。 図1における既設枠体と新設枠体の上部水平部を示す分解斜視図。 図1のA−A線に沿う拡大断面図。 図1のB−B線に沿う拡大断面図。 図1における既設枠体と新設枠体の上部水平部内の駆動機構の設置状態を示す平面図。 図1における既設枠体と新設枠体の下部水平部内の従動スプロケットの設置状態を示す平面図。 図1に駆動機構を設置した場合の側面図。 図1における既設枠体と新設枠体を利用した新設エスカレーターの全体構成を示す概略側面図。
符号の説明
1…エスカレーター、2…枠体、3…既設枠体、4…新設枠体、5,5A…上部水平部、6…駆動機構、7…欄干パネル、8…移動手摺、9…踏板、10…強度部材、11,11A…下部水平部、12…踏段駆動機構、13…手摺駆動機構、14…空間、15…駆動軸、16A,16B…駆動スプロケット、17…動力伝達スプロケット、18…手摺駆動スプロケット、19…駆動用モータ、20…減速機、21…出力スプロケット、22A,22B…従動スプロケット、23A,23B…踏段チェーン。

Claims (7)

  1. 上下階に跨って設置され既設乗客コンベアの構成部品が撤去された既設枠体と、この既設枠体内に組み込まれ前記既設枠体よりも狭幅な新設乗客コンベアの新設枠体と、この新設枠体に設置された新設乗客コンベアの構成部品とを有する乗客コンベアにおいて、前記新設枠体の上端を、前記既設枠体の上部水平部の長手方向中間位置まで延在させて固定すると共に、前記新設乗客コンベアの構成部品のうち前記新設枠体よりも広幅な構成部品を前記上部水平部の前記既設枠体内に設置したことを特徴とする乗客コンベア。
  2. 上下階に跨って設置され既設乗客コンベアの構成部品が撤去された既設枠体と、この既設枠体内に組み込まれた新設乗客コンベアの新設枠体と、この新設枠体に設置された新設乗客コンベアの構成部品とを有する乗客コンベアにおいて、前記新設枠体の上端を、前記既設枠体の上部水平部の長手方向中間位置まで延在させて固定すると共に、前記新設乗客コンベアの構成部品のうち前記新設枠体よりも広幅な駆動機構を前記上部水平部の前記既設枠体内に設置したことを特徴とする乗客コンベア。
  3. 上下階に跨って設置され既設乗客コンベアの構成部品が撤去された既設枠体と、この既設枠体内に組み込まれた新設乗客コンベアの新設枠体と、この新設枠体に設置された新設乗客コンベアの構成部品とを有する乗客コンベアにおいて、前記既設枠体の上部水平部の端部近傍に前記新設枠体よりも広幅な新設乗客コンベアの駆動機構を設置し、かつ前記新設枠体の上端を、前記駆動機構の設置位置に至る前まで延在させて固定したことを特徴とする乗客コンベア。
  4. 上下階に跨って設置され既設乗客コンベアの構成部品が撤去された既設枠体と、この既設枠体内に組み込まれた新設乗客コンベアの新設枠体と、この新設枠体に設置された新設乗客コンベアの構成部品とを有する乗客コンベアにおいて、前記既設枠体の上部水平部の端部近傍に設置した前記新設枠体よりも広幅な駆動機構と、上端を前記駆動機構の設置位置に至る前まで延在させて前記既設枠体の強度部材に支持すると共に下端を前記既設枠体の下部水平部の端部に固定した前記新設枠体と、この新設枠体の下部水平部内に軸支した従動スプロケットと、前記駆動機構の駆動スプロケットと前記従動スプロケット間に巻き掛けた無端状の踏段チェーンと、この踏段チェーンに連結されて前記新設枠体内を循環移動する複数の踏板とを有することを特徴とする乗客コンベア。
  5. 前記新設枠体の上部水平部は、前記既設枠体よりも高さ寸法が低く構成されており、前記新設枠体は、その上部水平部の頂部を前記既設枠体の上部水平部の頂部と一致させて前記既設枠体に設けた強度部材に支持されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の乗客コンベア。
  6. 既設乗客コンベアの既設枠体を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベアの改修方法において、前記既設枠体の上部水平部に広幅の空間を形成する工程と、前記既設枠体の上部水平部に形成された空間に、新設乗客コンベアの構成部品のうち新設枠体よりも広幅な構成部品を設置する工程とを有する乗客コンベアの改修方法。
  7. 既設乗客コンベアの既設枠体を利用して新設乗客コンベアを設置する乗客コンベアの改修方法において、既設枠体内の既設乗客コンベアの構成部品を撤去する工程と、既設乗客コンベアの構成部品が撤去された既設枠体の上部水平部の長手方向中間部に強度部材を設置する工程と、新設乗客コンベアの新設枠体の下部水平部の端部を前記既設枠体の下部水平部端に支持させると共に新設枠体の上部水平部の端部を前記強度部材に支持させる工程と、前記新設枠体が存在しない前記既設枠体の上部水平部内に前記新設枠体よりも広幅な乗客コンベアの駆動機構を設置する工程と、前記新設枠体に新設乗客コンベアの構成部品を設置する工程とを有する乗客コンベアの改修方法。
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