JP5244497B2 - Ptcヒーター装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
そして、このPTC素子を発熱体として用い、棒状の外筒管に気密的に封入して形成されるヒーター装置としては、例えば、熱帯魚の水槽用保温ヒーターなどとして、比較的低温の加熱用途に用いられている。
しかし、前記ヒーター装置が長尺なものとなると、一つの長いPTC素子では、所望温度に達するまでに時間がかかることや、ヒーター装置の様々な長さに対応して、多数種類の長さのPTC素子を製造することの面倒やコストから、複数の短いPTC素子を積層配列し並列に繋げ、外筒管に封入して1本のヒーター装置として構成するものが提案されている。
一方、特許文献2のヒーター装置では、発熱体のブロック(PTC素子)と電極板の接続作業は容易で前記したような製造上の問題は無いが、明細書に特段の記載はないが、構造上該PTC素子は、平板状あるいは方形のものと理解され、このような平板状のPTC素子では、円筒状の素子と比較して、装置(外筒管)外径を大きく形成する必要があり、また、発熱部が方型で、外筒管が円形となると絶縁材料の肉厚が全周で均一とならないため、特に高温の場合、熱的にバランスが悪くなるといった問題がある。尚、平板状あるいは方形のものでも、外筒管の形状を適合した平板状あるいは方形とすることにより、径を相対的に小さくすることもできるが、加熱するもので外形が方形のものは応力の関係から好ましくないといった問題があり通常は採用されない。
また、従来の棒状ヒーターの絶縁材としては、マグネシア(酸化マグネシウム)などの粉体状のものを使用するのが一般的で、この場合、外筒管が金属のものにあっては、この粉体の充填密度を上げるために減径処理(プレス加工)を行い、更にその後工程として研磨作業が必要となるなど工程が複雑となっている。また、PTC素子は衝撃に弱く、前記減径作業のような、製造段階での強い衝撃を伴う作業による悪影響が避けられないといった問題がある。
・前記ブラケットには、PTC素子の内面側に突起し、かつ、ヒーター装置基側に向けて曲げられた、前記給電部材との接続面を備える。
・前記絶縁材は、液状の絶縁材を用いる。
・前記構成に加えて、円筒状に形成されたPTC素子の中空部位に温度センサー、あるいは、温度ヒューズを備える。
・前記発熱体エレメントを外筒管に内挿したさい、該発熱体エレメントを外筒管に直接接触しない位置に保持する発熱体エレメントの位置固定手段を備える。
本手段のPTCヒーター装置及びその製造方法によれば、発熱体となるPTC素子、電極板となるブラケット、及び、給電通路となる給電部材により、PTC素子を積層配列し並列に接続した発熱体エレメントを製造するのに、ブラケットでPTC素子の両端面(上下面)を挟持しながら接続していくさい、PTC素子を順次積層していく製造ができる構成となっていることで、PTC素子とブラケットの接続部位がPTC素子の上面あるいは下面となること、及び、ブラケットにPTC素子の内面側に突起し、かつ、ヒーター装置基側に向けて曲げられた、前記給電部材との接続面を備えていることにより、ブラケットと給電部材との接続位置がPTC素子の内筒内面部とならず外部となることにより、ロー付け等による接続作業の部位が、前記円筒内面側など作業スペースが無く、視認性の悪い作業が困難となる位置となることがなく、常に見やすく作業のしやすい位置となることで、接続状態などを確認しながらの容易な作業とすることができる。
また、PTC素子を円筒状としていること、それにより給電部材を円筒内部に配置できること、及び、該PTC素子の外面側に電極等の突起部がないことにより、発熱体エレメントを内挿する外筒管を相対的に小さな外径のものにすることができる。また、PTC素子が方形などでは無く円筒状であることで、バランスの良い装置となり、耐久性等に付いても有利になる。
加えて、円筒状のPTC素子を用いることで、中空部分ができることにより、該位置に熱電対などの温度センサーや温度ヒューズなどの安全装置を設けることが可能で、温度センサーを備えることにより、PTC素子による自己温度制御に加え、温度センサーによる温度制御も併用することができ、また、安全装置を備えると、元々安全性の高いPTCヒーターを、一層安全なヒーター装置とすることができる。
また、発熱体エレメントの外筒管内での位置固定手段を備えると、発熱体エレメントが外筒管に直接接触することによる短絡等の不都合を解消することができる。
本例のPTCヒーター装置は、従来から投げ込みヒーター等として用いられる発熱体としてニクロム線などが使用され、粉体の絶縁材と共に金属棒状の外筒管に封入されてなるカートリッジヒーターに対して、発熱体をPTC素子に置き換えて検討されたもので、その用途は家庭用、工業用、液体加熱、空気加熱など従来のカートリッジヒーターと同様に広範なものが想定される。
本例のヒーター装置の構成は、発熱体となる複数(本例においては4個)の円筒状のPTC素子1と、該PTC素子1の間、及び、両端部に各々のPTC素子1を挟持して設け、該PTC素子1への電極板となるドーナツ型板状のブラケット2と、該ブラケット2間を一つ置きに繋ぐ1本の板状に形成される給電通路となる1対の給電板3と、前記PTC素子1、ブラケット2、給電板3よりなる発熱体エレメントを内挿する、先端部を封止して円筒状に形成された外筒管4と、該外筒管4内部の空間に充填される液状の絶縁体5と、前記円筒状のPTC素子1の内部中空部に設ける温度センサー6と、前記発熱体エレメントの両端部に嵌合被覆して、該発熱体エレメントを外筒管4内に該外筒管内面に直接接触することなく保持しておくための発熱体エレメントの位置固定用エンドリング7と、前記外筒管4の基端部を密封する封止部材8、及び、前記通電板3端部に接続され、電源まで接続されるリード線9よりなる。
PTC素子1は、チタン酸バリウムを主成分とする公知の半導体セラミックを円筒形状に成型したもので、本例においては、水用の投げ込みヒーターを想定したため、キュリー温度を200℃として設定した。そして、同形状、同径の該PTC素子1を複数(本例においては4個)積層して一本のヒーター装置の発熱体として構成した。このように、一定の径(長さは違っても良い)の素子を積層することにより、所望の容量のヒーター装置とすることができ、また、前記した通り、ヒーター装置の長さにより様々なサイズのPTC素子を製造することなく、必要な長さに対応する数のPTC素子を繋げることで対応することができる。また、様々な長さのPTC素子を選択的に繋げて所望の長さのヒーター装置としても良い。
ブラケット2は、銅や黄銅等の導体により前記PTC素子1の端部に適合した径、及び、形状としてドーナツ型板状に形成され、2枚のブラケット2により前記PTC素子1の両端面(上下面)を挟持しロー付け等により接続して、該両端面を電極部として構成する。尚、PTC素子1が複数であることから、ブラケット2は、各PTC素子1の間、及び、両端部に1枚ずつ配置されることになり、PTC素子の間に配置されたブラケット2は、隣接する2つのPTC素子1共通の電極板として機能する。また、該ブラケット2は、後記する給電板3との接続部として、ブラケット2内側に突起し、かつ、組み立てたさに、先端をヒーター装置基側に向けて曲げられた給電板3との接続部20を、ひとつを備えている。この内面側に突起し、かつ、基側に曲げた給電板接続部20により、後記する1本の給電板3とブラケット2の接続を一つ置きにすることができ、また、給電板3との接続のさいに接続作業の位置をPTC素子1の外部の見やすく、作業し易い位置とすることができる。
給電板3は、銅や黄銅などの導体によりヒーター装置の長さに適合した長尺な板状に形成され、2本を1対として構成して、前記ブラケット2、PTC素子1への給電通路となる。そして、各々のPTC素子1の上面と下面に位置するブラケット2の接続部20に2本1対の給電板3の異なる給電板3がそれぞれ接続され、前記複数のPTC素子1が並列となるように接続される。そのため、具体的な接続としては、1本の給電板に付いてみると、前記したようにブラケット2に一つ置きに接続され、一対の給電板3に付いてみると、各々の給電板3が並列されたブラケット2に、交互に接続されることになる。
以上のPTC素子1、ブラケット2、給電板3により本発明の発熱体エレメント(図3参照)となる。
絶縁材5は、通常カートリッジヒーターなどには、マグネシアなどの粉体が用いられるが、前記した通り、PTC素子1は衝撃に弱く、また、粉体の絶縁材を用いる場合には、減径工程など衝撃の大きな工程が必要となるため、本例においては、公知の液状絶縁材5(本例においては、ポリイミド系絶縁材料)を前記外筒管4の内部空間に充填して構成した。液状絶縁材5を用いることにより、前記の通り減径工程、及び、該工程に伴う研磨工程等の後工程が不要となることで、結果として、大幅な工程削減となる。
温度センサー6は、公知の熱電対などにシリコーンあるいはポリイミド系等の絶縁材のフレキシブルチューブを被覆して形成し、前記筒状のPTC素子1の中空内部に位置させて配設する。PTC素子1は、定温発熱体として自己温度制御機能を有するものであるが、別に温度センサー6を備えると、特定温度(キュリー温度)以下に設定しての温度制御も可能となる。尚、この場合に用いられる温度制御装置などは公知のものが用いられれば良い。また、温度センサーに変えて、温度ヒューズなどの安全装置を備えても良い。
エンドリング7は、発熱体エレメントの外筒管内部での位置固定用手段となるもので、マグネシアなどの絶縁物により内径をPTC素子1の外径に適合して嵌合可能な径とし、外径を外筒管4の内径に適合して嵌合可能な径として円筒リング状に形成されてなり、内面の中途部位には段差部71を設け、PTC素子1の嵌合終端部としている。該エンドリング7は、前記したように発熱体エレメントの両端部のPTC素子1に嵌合被覆して設けられ、発熱体エレメントを外筒管4に内挿したさいは、該外筒管4内面と嵌合して保持固定され、発熱体エレメントと外筒管4内面が直接接触しないための絶縁体として機能する。(図3参照)
封止材8、リード線9、及び、従来のカートリッジヒーターに当然用いられる部材は、特に特別のものを用いる必要はなく、公知のものを公知の手段で用いることで足りるため説明しない。
本例の発熱体エレメントは、前記説明した通り、複数(本例では4個)のPTC素子1を先端側から各々第一11、第二12、第三13、第四14のPTC素子として積層し、各々のPTC素子の間、及び、両端部に、1枚ずつ先端側から第一21、第二22、第三23、第四24、第五25のブラケットとして、該各々の素子を挟持して(例えば、第一のPTC素子は、第一、及び第二のブラケット21、22により挟持する)、該ブラケットに設けた給電板接続部20の先端をヒーター装置の基側に向け、かつ、交互に180度位置を違えて配設し、前記第一、第三、第五のブラケット21、23、25の接続部20には、第一の給電板31を、第二、第四のブラケット22、24の接続部20には第二の給電板32を一つ置きに交互に接続し、第一の給電板31には、第二、第四のブラケット22、24が接触しないように、一方、第二の給電板32には、第一、第三、第五のブラケット21、23、25が接触しないように接続され、各々のPTC素子11、12、13、14の両端面(上下面)が電極部となり並列に接続された構成としている。また、両端部は、エンドリング7により嵌合被覆されるが、PTC素子端部は該エンドリング7の段差部71まで嵌入され保持される。(図では基端部側のエンドリングを省略)
本発熱体エレメントは以下の工程により製造する。
1.第一の給電板31の先端部を、第一のブラケット21の接続部20aにスポット溶接あるいはロー付けにより接続(以下、単に接続と記載)したものに、第一のPTC素子11の内腔を通して、前記第一のブラケット21に、該第一のPTC素子11の先端側面(以下、上側面と記載)を接続する。(図a参照)
2.第二の給電部材32の先端部を第二のブラケット22の接続部20bに接続したものを、該第二のブラケット22の内部を第一の給電板31が通るように、また、第一のブラケット21の接続部20aと第二のブラケット22の接続部20bが180度相対する位置となるように配置して、該第二のブラケット22と前記第一のPTC素子11の基面側(以下、下面側と記載)とを接続する。以上により、ひとつの発熱体エレメントとなる。(図a、b参照)
3.第二のPTC素子12の下面側を第三のブラケット23に接続したものを、前記第一、及び、第二の給電板31、32に、該第二のPTC素子12の上面側を先端側に向けて通し、該第二のPTC素子12の上面側と第二のブラケット22を接続すると共に、第三のブラケット23の接続部20cと第一の給電板31を接続する。以上により、2連の発熱体エレメントとなる。(図c参照)
4.第三のPTC素子13の下面側を第四のブラケットに接続したものを、前記第一、及び、第二の給電板31、32に、該第三のPTC素子13の上面側を先端側に向けて通し、該第三のPTC素子13の上面側と第三のブラケット23を接続すると共に、第四のブラケット24の接続部20dと第二の給電板32を接続する。以上により、3連の発熱体エレメントとなる。(図d参照)
5.第四のPTC素子14の下面側を第五のブラケット25に接続したものを、前記第一、及び、第二の給電板31、32に、該第四のPTC素子14の上面側を先端側に向けて通し、該第四のPTC素子14の上面側と第四のブラケット24を接続すると共に、第五のブラケット25の接続部20eと第一の給電板31を接続する。以上により、本例の4連の発熱体エレメントが完成される。(図e、f参照)
6.前記完成した発熱体エレメントの両端部に、エンドリング7を該エンドリング7の段差部71まで挿入して嵌め込む。尚、必要に応じて接着、ロー付け等により固定状態を補強しても良い。
7.前記工程により製造された発熱体エレメントの第一、第二の給電板31、32の基端部にリード線8を接続する。
尚、更に、PTC素子を積層する場合には、リード線8接続の前に3、4あるいは、4、5の工程を必要な素子の数量分だけ繰り返せば良い。
前記工程により発熱体エレメント製造することにより、前記したように非常に容易に本例のPTCヒーター装置を製造することができる。
前記工程により製造された発熱体エレメント(エンドリング7を含む)は、先端部を閉塞した外筒管4の内部に挿入し、前記エンドリング7と該外筒管内面による嵌合、及び、必要に応じて適当な固定手段により固定し、また、温度センサー6をPTC素子1の中空部に位置させて挿入し、適当な手段により該位置に固定し、該外筒管の内部空間の隙間を絶縁材5で充填して、公知の封止部材7により基端部を封止することにより本実施の形態のPTCヒーター装置とした。
2. ブラケット(電極板)
20. 給電板接続部
3. 給電板
4. 外筒管
5. 絶縁材(外筒管内部空間)
6. 温度センサー
7. (位置固定用)エンドリング
8. 封止部材
9. リード線
Claims (7)
- 複数のPTC素子を積層配列し並列に接続した発熱体を、外筒管に気密的に封入してなる棒状のPTCヒーター装置において、円筒状に形成され、積層してなる複数のPTC素子と、該PTC素子各々の間、および、両端面に配置される電極板となるブラケットと、前記PTC素子の内面側に、ブラケット間を繋ぐ1本の板状あるいは棒状に形成された給電通路となる1対の給電部材と、前記PTC素子、ブラケット、給電部材よりなる発熱体エレメントを内挿する外筒管、および、該外筒管の内部空間を満たす絶縁材を備えて構成することを特徴としたPTCヒーター装置。
- 前記ブラケットには、PTC素子の内面側に突起し、かつ、ヒーター装置基側に向けて曲げられた、前記給電部材との接続面を備える請求項1のPTCヒーター装置。
- 前記絶縁材は、液状である請求項1乃至2のいずれかのPTCヒーター装置。
- 前記PTCヒーター装置の円筒状に形成されたPTC素子の中空部位に温度センサー、あるいは、温度ヒューズを備える請求項1乃至3のいずれかのPTCヒーター装置。
- 前記発熱体エレメントを外筒管に内挿したさい、該発熱体エレメントを外筒管に直接接触しない位置に保持する、発熱体エレメントの位置固定手段を備える請求項1乃至4のいずれかのPTCヒーター装置。
- 複数のPTC素子を積層配列し並列に接続した発熱体を、外筒管に気密的に封入してなる棒状のPTCヒーター装置の製造方法において、円筒状に形成されてなる複数のPTC素子と、該PTC素子各々の間、および、両端面に配置される電極板となるブラケットと、前記PTC素子の内面側に、ブラケット間を繋いで1本の板状あるいは棒状に形成される給電通路となる1対の給電部材とにより、前記PTC素子を積層して発熱体エレメントを形成する発熱体エレメント製造段階と、前記発熱体エレメント製造段階で製造された発熱体エレメント、および、絶縁材を外筒管に挿入し封止するヒーター装置組立て段階と、を含むことを特徴とするPTCヒーター装置の製造方法。
- 前記発熱体エレメント製造段階は、第一の給電部材の一方端部に接続した第一のブラケットに、第一のPTC素子の一方面側を接続する第一工程と、第二の給電部材の一方端部に接続した第二のブラケットと、前記第一のPTC素子の他面側とを接続する第二工程と、一方面側を第三のブラケットに接続した第二のPTC素子の他面側を、前記第二のブラケットに接続すると共に、該第三のブラケットを第一の給電部材に接続する第三の工程と、一方面側を第四のブラケットに接続した第三のPTC素子の他面側を、前記第三のブラケットに接続すると共に、該第四のブラケットを第二の給電部材に接続する第四の工程と、これに続き、前記第三の工程、及び、第四の工程と同様な工程を積層するPTC素子の数量分繰り返す工程よりなる請求項6のPTCヒーター装置の製造方法。
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