JP5243347B2 - 高周波交流電源装置 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1に示されるように、トランスコアを共通とし複数の異なる2次巻線を有するトランスを備え、各2次巻線を、半導体スイッチを駆動する複数のゲートドライブ回路にそれぞれ接続することが行われていた。
また、他の従来技術として特許文献2に示されるように、複数個の円環状のトランスコアを、高絶縁を施したケーブル状のもので貫通連結し、各々の2次電圧を整流して半導体スイッチを駆動していた。
そして、半導体スイッチのスイッチング周波数が高いほど部分放電の発生頻度が高くなり、時間経過と共にトリーイングによってやがて絶縁破壊に至る確率が高まり信頼性が低下するため、通常はモールドトランスと呼ばれる樹脂封止型のトランスを使用しなければならず、コスト高となる問題があった。
また、このようなモールドトランスは内部が見えないので、劣化や汚損の状態が把握し難くメンテナンス周期を短くする必要があった。また劣化や汚損が生じた場合でも絶縁部がモールドされているので、清掃など簡便な方法によって機能を回復できないため、トランスを交換する必要がありメンテナンスコストが高くなるという問題があった。
このようなトランスを用いて半導体スイッチを高いスイッチング周波数で動作させると、ケーブル表面の絶縁材料部に部分放電が発生しやすくなり、1次巻線表面の絶縁材料がトリーイングによって劣化し、やがて絶縁破壊に至るため品質、信頼性の低下を招いていた。
さらに1次巻線と2次巻線間の浮遊容量が大きいと、浮遊容量を介してコモンモード電流が流れる。このようなコモンモード電流は、ノイズ輻射の原因になる他、ノイズ電流による装置の誤動作や発熱などの原因となるため、コモンモード電流を抑制する部品としてチョークコイルやフィルタを挿入する必要がありコスト高となる問題があった。
また、前記ノイズ輻射を抑制するためにトランスを金属シャーシでシールドする必要があり、このためコスト高になるだけでなく、トランスの外形サイズ・重量が大きくなり装置への取り付け作業が困難となる。
同一のトランスコア材を用いてトランスコアを小型・軽量化するにはトランスを駆動するトランスドライブ回路のスイッチング周波数を高周波化する必要があった。
高速トランスドライブ回路の設計には、素子選定をはじめとした高い技術力が必要で、設計が困難だった。
従来トランスでは1次巻線の巻数を2ターン以上にするには、内径の大きな環状トランスコアを使う必要があるので、トランスコア形状が大きくなり高周波交流電源装置の小型軽量化が困難だった。
これを防ぐため従来は各トランスの出力に短絡状態を検出するための保護回路を設けるなどの対策が必要であった。
また、トランスコアを共通としたトランスは、各2次巻線を離して絶縁するために大きなトランスコアを使う必要がありトランスが重く大型化してしまう。
前記問題を解決するためにトランスをエポキシ樹脂でモールドしたり絶縁性能の高い絶縁線を使用したりする必要がありコスト高となっていた。
前記の問題を解決するため、従来は各半導体スイッチにコンデンサが並列に接続され電圧が均等に分担するように出力端子に近い半導体スイッチほど大容量のコンデンサが接続されていた。そのため部品点数が多くなり、コスト高となっていた。
また、1次巻線をプリント基板に配置することで1次巻線と2次巻線間の空間距離を保ちつつ複数の1次巻線をトランスコアに貫通させることが可能となる。これによりトランス1次側インダクタンスを高めることができるのでトランスコアの小型軽量化が図れる。
実施例1.
図1において、負荷である放電管1は、誘電体コンデンサ2と放電抵抗3を含んでいる。フルブリッジインバータの4つのアームA1〜A4を構成する複数の高電圧スイッチ5は、中点を接地された直流高圧電源8の直流電圧Ea/2を高速でスイッチングして高周波交流電圧に変換し出力リアクトル4を介して放電管1に供給する。各高電圧スイッチ5は直列接続された複数のFET等の半導体スイッチで構成され、各半導体スイッチは各ゲート回路6によって駆動される。各ゲート回路6はゲート用電源7から駆動用電力を供給されると共に、制御回路9から光発振器10、光ファイバ11を介してオン・オフ用の制御信号を供給される。
図2に制御回路9から出力される制御信号S1〜S4と出力電圧Voutのタイミングチャートの一例を示す。
制御信号S1〜S4はオン時間がオフ時間よりも2td短いオン・オフ信号で、制御信号S3、S4は制御信号S1、S2よりも位相が90度進みまたは遅れたオン・オフ信号である。
前記のようにオン時間をオフ時間よりも2td短くすることで制御信号S1、S2と制御信号S3、S4の立ち上がり、立下りのタイミングが同じにならないようにデッドタイムtdが設けられる。
制御信号S1,S2がオンのときに、出力電圧Voutは+Ea、制御信号S3,S4がオンのときに、出力電圧Voutは-Eaとなり±Eaの高周波交流電圧が出力される。
前記S1〜S4のオン・オフ信号を光発振器10で光に変換し光ファイバ11を介してゲート回路6に伝送する。
高電圧スイッチ5は、直列多段接続された6個の半導体スイッチ20で構成され、ゲート回路6は、各半導体スイッチ20にゲート信号を供給する6個のゲートドライブ回路19で構成されている。ゲート用電源7は、商用電源12、AC/DCコンバータ13、ゲートドライブ回路19、6個のトランス15、6個の整流回路27で構成されている。トランスドライブ回路14はフルブリッジ回路といった一般的なスイッチング回路でAC/DCコンバータ13からの出力電圧をスイッチングする。
各トランス15は、閉じた磁路を形成する複数のトランスコア18、これらのトランスコアを貫通し直列接続された1次巻線16、複数の1次巻線16が外層に配置されたプリント基板28、及びこの複数の直列1次巻線と空間距離を設けて各トランスコアに巻回された複数の2次巻線17を有し、複数の直列1次巻線16はトランスドライブ回路14に接続されると共に、各2次巻線17は対応する各ゲートドライブ回路19に整流回路27を介して接続されている。
各ゲートドライブ回路19には光ファイバ11を通してオン・オフ信号が伝送されており、ゲートドライブ回路19から各半導体スイッチ20にスイッチング信号が供給される。半導体スイッチ20はそれぞれ直列に接続されているため、1つの耐圧が小さくても全体としては、高電圧仕様を満足し得る。
即ち、図4に示すように、複数のトランスコア18が、それらの中空部が一列に連なるように台座23を介してプリント基板21上に取り付けられた状態で、プリント基板28に配置された複数の直列1次巻線16は、全てのトランスコア18の中空部を直線状に貫通するように配置され、その両端が多ピン端子台22を介してプリント基板21上に支持され、多ピン端子台22を介して1次電流が供給される。各2次巻線17は、その両端がプリント基板21上の配線(図示せず)に接続され、整流回路27を介して対応する各ゲートドライブ回路19に直流電圧を供給する。
そして、このトランス構造においては、各トランス15の1次巻線16と2次巻線間は空気によって絶縁される。このため、部分放電が発生し難く、部分放電が発生したとしても絶縁材料の劣化による絶縁破壊がないため信頼性・安全性が大幅に向上する。
図6に絶縁物中にボイドが1個ある場合の等価回路を示す。図中、Cvはボイド25の静電容量、C1〜C4は右図の位置に対応した絶縁物の静電容量を示している。
通常、絶縁物26中のボイド25は空気等の気体でできていて、その大きさは非常に小さい。絶縁物26の電極24間に電圧を印加すると静電容量の小さいボイド25に高い電圧が印加され、ボイド部の電界強度が局部的に高くなる。電界強度が局部的に高くなると部分放電の発生確率が高まり、さらに半導体スイッチのスイッチング周波数が高くなるとその確率はより高まる。部分放電が発生すると絶縁物が炭化し侵食され時間経過と共に侵食された部位が発展して局部破壊を起こす。これが更に樹枝状に発達して全路破壊に至るトリーイング現象が起こる。
絶縁距離をt、比誘電率をεsとすると、部分放電のコロナ開始電圧Vcはダーキンの実験式
Vc=163*(t/εs)^0.46 [V] ・・・(1)
で概算できる。
ケーブル表面の絶縁材料部の比誘電率は空気の比誘電率εs=1よりも高いためケーブル表面では部分放電が発生しやすい。
部分放電によりケーブル表面の絶縁材料が劣化するので、1次巻線、2次巻線間の短絡故障が生じやすく品質・信頼性が低いといった問題があった。
式(1)より空気中でのコロナ開始電圧と絶縁距離の関係をグラフ化したものが図7である。
部分放電を防ぐには絶縁の施されていない裸導体を使用し、(1)式から求まる絶縁距離以上に1次巻線と2次巻線間に空間距離を設けるなどして電界強度を均一にして、絶縁距離間における部分的な電界強度の上昇を抑える必要がある。
半導体スイッチの出力容量Coesでの充放電損失Wcは、分担電圧をVc、スイッチング周波数をfとすると、1/2・Coes・Vc^2・fで求めることができ、上式より分担電圧Vcが高くなると出力容量Coesでの損失Wcは分担電圧Vcの2乗に比例して増加する。そのため分担電圧Vcが高い一部の半導体スイッチで損失Wcが大きくなるといった問題があった。
かかる問題を解決するため従来は各半導体スイッチにコンデンサが並列に接続され、電圧が均等に分担するように出力端子に近い半導体スイッチほど大容量のコンデンサが接続されていた。そのため部品点数が多くなり、コスト高となっていた。
図8(a)に示すようにアームA1を構成する半導体スイッチQ1〜Q6全てがオン、A2がオン、A3,A4がオフの時、各出力容量の両端電圧は0V、各接続点の電位は+3kVとなりトランス結合容量10pFが充電される。図8(b)に示すようにアームA1を構成する半導体スイッチQ1〜Q6全てがオフ、A2がオフ、A3,A4がオンで、各接続点の電位が図のようになった場合、トランス結合容量10pFから各半導体スイッチの出力容量に移動電荷が流れ込む。
図8(b)中の10nC〜60nCは、図8(a)中のQ1〜Q6がオンからオフに切り替わった際、トランス結合容量10pFにかかる電圧が図8(b)のように仮に+2kV〜-3kVである場合に移動する電荷を表している。
また、図8(b)中の400nC〜550nCは、各出力容量400pFに流れる電荷を表しており、最初に図8(b)中、左端の出力容量400pFに1kVが印加され、400nC(=400pF/1kV)の電荷が流れ、その後、接続点に流れ込んでくる上記トランス結合容量10pFからの移動電荷が加算され、各出力容量に400nC〜550nCの電荷が流れる。
出力アームに近い半導体スイッチの出力容量ほど多くの移動電荷が流れ、この各部の移動電荷を出力容量で除したものが半導体スイッチの分担電圧を等価的に表し、出力アームに近い半導体スイッチほど分担電圧が高くなる。
従来は分担電圧を均等化させるため半導体スイッチQ1〜Q6にコンデンサを並列に接続し出力アームに近い半導体スイッチほど大容量コンデンサが接続されていた。
このため半導体スイッチ20の分担電圧のアンバランスが小さくなり、出力容量の充放電に伴う損失を均一化できると共に、半導体スイッチにコンデンサを並列に接続する必要がなくなり部品点数・コストを抑えることができる。
この場合、複数のゲート回路のうち1つでも故障しトランスの出力がショートするとトランス1次側が短絡状態となり、トランス1次側のトランスドライブ回路も連鎖的に故障してしまうため、各トランスの出力(2次側)に短絡電流検出のための保護回路を設けるなどの対策を行っていた。
本実施例1によれば、複数のゲートドライブ回路19のうち1つが故障しトランス15の出力がショートした場合でも、トランス1次側が短絡状態にならずトランス15は継続して他のゲートドライブ回路に駆動用電力を供給することができる。
n個のトランスのうち1個の出力がショートした場合、ショートしたトランスは磁気飽和
を起こし1次側インダクタンスはゼロとなる。
これによりトランスの1次電圧がV1'=Vin/(n-1)に上昇するため、他の2次側の出力電圧(即ちゲートドライブ回路の出力電圧=ゲート電圧)もV2'=Vin・N/(n-1)に上昇する。
また1次側の総インダクタンスL=n・L1はL'=(n-1)・L1に減少し、励磁電流IlがVin・t/((n-1)・L1)に増加する。
1次電流I1は2次電流I2と励磁電流との和なので、1次電流I1はI2+ Vin・t/(n・L1)からI2+ Vin・t/((n-1)・L1)に増加する。
つまり、n個のトランスのうち1個の出力がショートすると、2次側出力電圧(ゲート電圧)はV2'=Vin・N/(n-1)に増加またはゼロとなり、1次電流I1も増加するが、nが十分に大きければ2次側出力電圧及び1次電流の増加分もわずかである。
1次巻線を直列に接続した本実施例1によれば、必要耐圧に対して十分なマージンを有する半導体スイッチを用いれば、ゲート電圧がV2'=Vin・N/(n-1)に上昇するが、装置が停止することなく継続して動作可能である。
また半導体スイッチとして絶縁ゲート素子を用いた場合では、ゲート電圧が上がるとオン抵抗が下がり、損失増加が低減されるので、
半導体スイッチの分担電圧増加に伴う発熱の増加が緩和され、故障箇所のメンテナンスを行うまでの期間、装置を停止させること無く、継続動作させることが可能となり、非常に高い信頼性を確保できる。
側)を監視する必要があった。本実施例1においては、1次巻線が直列である複数のトランスのうち少なくとも1つのトランスの2次側がショートすると、他のトランスの2次側の出力電圧はVin・N/nからVin・N/(n-1)に増加する。
上記のように2次側の出力電圧はVin・N/(n-1)に増加するが、必要耐圧に対して十分なマージンを有する半導体スイッチを使用することで複数のトランスのうち少なくとも1つのトランスの2次側がショートしても装置のメンテナンスを行うまでの期間、装置を停止することなく継続して動作が可能であるため高い信頼性が得られる。
また、複数のトランスのうち少なくとも1つのトランスの2次側電圧を監視し、2次側電圧が所定のしきい値を超えた場合にゲートドライブ回路19の動作を停止させる保護回路を備えることにより、ゲートドライブ回路19の故障に対して容易に対処することができる。
本実施例1によれば保護回路と監視電圧を絶縁することなく保護をかけられるので、複雑な回路を必要とせず、回路調整などに時間を割かれることがなくなり、設計時間の短縮とコスト削減の両方が図れる。
上記問題を解決するため、銅ブスバー等の機械的剛性の高い導体を1次巻線に使用し、複数のトランスコアを、その中空部が1列に連なるように固定した後、複数のトランスコアを前記銅ブスバーで貫通連結することが行われていた。これにより、1次巻線を複数のトランスコアに巻回する手間が省かれ、組立工数は大幅に改善される。
しかし、1次巻線の巻数が2ターン以上の場合、各々の1次巻線を保持・固定するために複数の端子台と、上記複数の端子台を実装するための広い実装スペースが必要で基板サイズが大型化してしまう問題があった。
また、トランスコアに複数の1次巻線を貫通させるには内径が大きなトランスコアが必要だった。内径が大きなトランスコアは形状が大きく重いためプリント基板への実装が困難で電源装置全体の小型化が難しく、コスト高になる。さらに1次巻線の耐振動性を向上させるため1次巻線には機械的剛性の高いブスバー等を使用する必要があり、やはりコスト高となっていた。
本実施例1によれば、ゲート用電源7を構成する複数のトランス15の複数の1次巻線16はプリント基板28に配置される。プリント基板28に配置された複数の1次巻線16の両端は多ピン端子台22を介して一括してプリント基板21上の配線に接続されるので、実装スペースが抑えられると共に組み立てが簡単になり、装置の小型化と組み立て工数の削減が図れる。さらに1次巻線16である配線パターンはプリント基板28上に固定され、銅ブスバー等を使用する必要が無くなる。1次巻線16はプリント基板28の製造精度で高密度配線が可能なので1次巻線16の巻数が2ターン以上の場合でも内径が小さなトランスコアを使用でき電源装置全体の小型化とコスト削減が図れる。
従来は、1次巻線として、機械的剛性を得るための理由で必要以上に肉厚で高コストの銅ブスバー等を使用していた。
本実施例1に示すように1次巻線にプリント基板上の配線パターンを使用した場合、配線パターンの厚さはスイッチング周波数が数百kHz時の表皮効果の表皮深さよりも十分に薄いため、1次電流は配線パターン全体に流れる。上記、配線パターンはプリント基板に固定されており、プリント基板に剛性があるので複数のトランスコアを貫通しやすい。
本実施例1によれば、必要最小限の導体で高い剛性を持つ1次巻線が低コストに得られる。
トランス1次巻線には励磁電流Ilと出力電流Ioからなる1次電流I1が流れ、励磁電流IlはIl= Vin・ton/L1から求められる。また、1次側インダクタンスL1はL1= μ・S・N1^2/lから算出でき、励磁電流Ilは巻数N1の2乗に比例する。従来はスイッチング周波数を高くし、オン時間tonを短くしたり、トランスコア断面積Sを大きくすることで励磁電流Ilを小さくし、ピーク電流Ipkを抑えていた。
本実施例1によれば実装スペースを抑えつつ1次巻線の巻数N1を容易に増やすことができ、励磁電流Ilは巻数N1の2乗に反比例するのでスイッチング周波数を高くすることなくピーク電流Ipkを抑えることが可能である。
スイッチング周波数の低周波化により部分放電の発生頻度が低減するだけでなくコモンモード電流も減少するので電源の低ノイズ化が図れる。またコア断面積の小さなトランスコアが使用可能となるので電源装置全体の小型化ができる。
トランスを駆動するトランスドライブ回路の設計には、素子選定をはじめとした高い技術力が必要で、設計が困難だった。本実施例1によれば、スイッチング周波数が低周波化され、トランスドライブ回路設計者の設計負荷を軽減できる。
このようにプリント基板上にトランスを実装することで、配線部材、トランスや端子台といった構造体とシールド板とを兼ね備えたゲート用電源が構成でき、トランスの1次巻線と2次巻線間の距離と位置、空間・沿面距離といった絶縁距離を、プリント基板の製造精度で極めて高精度に制御可能であると共に、配線が簡便な低ノイズ高周波交流電源装置が得られる。
また、本実施例1によれば、各トランス15は広く流通している部材を用いて構成可能なため汎用性に優れ、構成部材は極めて安価であるため、モールドトランスを用いた従来の装置と比較して安価な高周波交流電源装置が得られる。
また、本実施例1によれば、各トランス15を樹脂で封止する必要が無く、汚損状態を目で見て確認できるためメンテナンス時期を容易に確認できるほか、ハケなどでトランスコア周辺を清掃することによって簡便に機能を回復することができるためメンテナンスコストを抑えることができる。
そのため、1次巻線と2次巻線間の距離が部分的に短くなり、1次巻線と2次巻線間の距離が短い部分で部分放電の発生確率が高まり、コモンモード電流が増加するといった問題があった。
本実施例1によれば1次巻線をプリント基板に配置し、図4に示すように複数の1次巻線と多ピン構造の多ピン端子台22をはんだ付けなどで接続することで、従来のネジ締め固定とは異なり1次巻線を端子台に固定する際に1次巻線が動かないため、高い精度で1次巻線を各トランスコア中心に貫通させることが出来る。
1次巻線を高い精度で各トランスコア中心に貫通させることが出来るため、1次巻線と2次巻線間の距離を均等に保つことができ、部分放電の発生を抑えるとともに、コモンモード電流の少ない低ノイズ多出力ゲート電源が得られる。
さらに、1次巻線はプリント基板に固定され、銅ブスバー等を使用する必要が無く、1次巻線はプリント基板の製造精度で高密度配線が可能なので1次巻線の巻数が2ターン以上の場合でも内径が小さなトランスコアを使用でき電源装置全体の小型化とコスト削減が図れる。
この場合、トランスコアが角型であることで、トロイダル状(環状)のトランスコアと比較して、トランスコアとトランスコア取り付け面の接触面積が広いので、安定してトランスコアを基板に固定できるため台座を必要とせず、耐振動性が向上するとともに信頼性が向上し、コストと組み立て工数が削減される。
また一般的に角型のトランスコアには、トランスコアを分割できるものがあり、1次巻線を配線後に、トランスコアを組み立てることで、トランスコア中空部に1次巻線を配置することができ、組み立て性が向上する。
またギャップ(スリット)を設けることで、トランスコアを基板に固定した後、1次巻線をトランスコアに貫通させることなく、ギャップ(スリット)を通して1次巻線をトランスコア中空部に配置することができるので組み立て性が向上する。
従って、本実施例1と異なり1次巻線と2次巻線間の距離が短い場合やトランスが汚損した場合は部分放電を発生しやすいが、部分放電発生時に生成されるオゾンによって装置内部への害虫やネズミ等の侵入を防止することができる(オゾンにはハエやゴキブリ等の害虫やネズミ等の忌避効果、殺虫や害虫の活動の抑制効果がある)。
上記のように1次巻線と2次巻線間に部分放電が発生する場合はオゾンが生成されオゾンによって害虫やネズミ等が装置に侵入することで起きる故障、短絡事故などを防止できるため装置の信頼性が高まる。
図10、及び図11は、ゲート用電源7におけるトランス部分の他の構成例を示す斜視図及び要部平面図である。
図10において、複数のトランスコア18は、それらの中空部が一列に連なるように台座23を介してプリント基板21上に取り付けられる。複数の直列1次巻線16は多層プリント基板29の内層を通り、全てのトランスコア18の中空部を直線状に貫通するように配置される。1次巻線16の両端は多ピン端子台22でプリント基板21上に支持され、前記多ピン端子台22を介して1次巻線16には1次電流が供給される。各2次巻線17は、その両端がプリント基板21上の配線に接続され、整流回路27を介して対応する各ゲートドライブ回路19に直流電圧を供給する。
上記実施例1に示すように複数の1次巻線を外層に配置した場合、導電性の汚損物質により複数の1次巻線間が短絡するのを防ぐため、プリント基板外装に絶縁性コーティング材等を塗布し、1次巻線間を絶縁する必要があった。
また、確実に汚損物質による1次巻線間の短絡を防ぐため絶縁性コーティング材の膜厚を管理する必要があったが、複数の1次巻線を多層プリント基板29の内層に配置することで確実に1次巻線間を絶縁することができ、1次巻線間の短絡故障に対する信頼性を高めることができると共に、プリント基板に絶縁性コーティング材等を塗布する必要がないので、加工数削減によるコスト低減が図れる。
また1次巻線16と2次巻線17の間の浮遊容量は距離に反比例するので、前記のように1次巻線16と2次巻線17間の空間距離を大きくすることで、1次巻線と2次巻線間の浮遊容量が小さくなり、浮遊容量を介して流れるコモンモード電流を抑制できる。
本実施例2のように、2次巻線17をトランスコア18の中心より、トランスコア取り付け部の方向に偏らせて巻くことで、コアと取り付け面との接着の際に巻線も同時に接着固定できるので、組み立て性・加工時間が改善されるだけでなく巻線の配線長を短くでき、コストを抑えることができる。
また、本実施例2ではトロイダル状(環状)のトランスコアを例に説明したが、トロイダル状(環状)のトランスコア以外でも閉じた磁路が形成されるため、図12に示すような角型のトランスコアでも、トロイダル状(環状)のトランスコアと同様に本実施例2で説明したような効果が得られることは言うまでも無い。
この場合、トランスコアが角型であることで、トロイダル状(環状)のトランスコアと比較して、トランスコアとトランスコア取り付け面の接触面積が広いので、安定してトランスコアを基板に固定できるため台座を必要とせず、耐振動性が向上するとともに信頼性が向上し、コストと組み立て工数が削減される。
また一般的に角型のトランスコアには、トランスコアを分割できるものがあり、1次巻線を配線後に、トランスコアを組み立てることで、トランスコア中空部に1次巻線を配置することができ、組み立て性が向上する。
またギャップ(スリット)を設けることで、トランスコアを基板に固定した後、1次巻線をトランスコアに貫通させることなく、ギャップ(スリット)を通して1次巻線をトランスコア中空部に配置することができるので組み立て性が向上する。
光発振器、11 光ファイバ、12 商用電源、13 AC/DCコンバータ、14 トランスゲートドライブ回路、15 トランス、16 1次巻線、17 2次巻線、18 トランスコア、19 ゲートドライブ回路、20 半導体スイッチ、21 プリント基板、22 多ピン端子台、23 台座、24 電極、25 ボイド、26 絶縁物、27 整流回路、28 プリント基板、29 多層プリント基板
Claims (8)
- 直列に接続された複数の半導体スイッチと、これらの半導体スイッチをそれぞれ駆動する複数のゲートドライブ回路と、これらのゲートドライブ回路にそれぞれ電圧源を供給する多出力ゲート用電源とを備え、
前記多出力ゲート用電源は、前記各ゲートドライブ回路に相互に、絶縁された電圧源を供給する複数のトランスと、これらのトランスに駆動電力を供給するトランスドライブ回路を含み、
前記トランスは、閉じた磁路を形成するトランスコアと、このトランスコアに巻回された2次巻線と、前記トランスコアの中空部を貫通する1次巻線とで構成され、
前記2次巻線は前記各ゲートドライブ回路に接続され、
前記複数のトランスの1次巻線は直列に接続され、
前記直列1次巻線と2次巻線が空間距離を設けて配置され、
かつ、前記直列1次巻線がプリント基板に配置されている
ことを特徴とする高周波交流電源装置。 - 前記複数のトランスを構成する複数のトランスコアはそれらの中空部が一列に連なるように配置され、前記1次巻線は直線状の導体で構成され、前記複数のトランスコアの中空部を一括して貫通することを特徴とする請求項1記載の高周波交流電源装置。
- 前記各トランスコアにギャップ(スリット)を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の高周波交流電源装置。
- 前記各2次巻線が、前記各トランスコアのプリント基板取り付け部側に偏って巻かれており、前記1次巻線がプリント基板取り付け部とは反対方向に偏ってトランスコアを貫通することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の高周波交流電源装置。
- 前記直列1次巻線が配置されたプリント基板は多層プリント基板で、前記直列1次巻線が多層プリント基板の内層に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の高周波交流電源装置。
- 前記直列1次巻線における1次電流または1次電圧を監視し、前記1次電流または1次電圧が所定のしきい値を超えた場合に、前記ゲートドライブ回路の動作が停止することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の高周波交流電源装置。
- 前記複数のトランスのうち少なくとも1つのトランスの2次側電圧を監視し、前記2次側電圧が所定のしきい値を超えた場合に、前記ゲートドライブ回路の動作が停止することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一つに記載の高周波交流電源装置。
- 前記複数のトランスの1次巻線と2次巻線間に部分放電が発生し、オゾンが生成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一つに記載の高周波交流電源装置。
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