HCVは、主要なヒト病原体であり、世界中で1億7千万人が感染していると推定され、これはヒト免疫不全ウイルス1型の感染数の概ね5倍である。これらのHCV感染者のかなりの割合が肝硬変および肝細胞癌を含めた重篤な進行性肝疾患を発症させる。
現在、最も有効なHCV治療は、α−インターフェロンおよびリバビリンの組合せを用い、これは患者の40%において持続的効果をもたらしている。ペグ化α−インターフェロンは、単独療法としては未修飾α−インターフェロンより優れていることを、最近の臨床結果は示している。しかし、ペグ化α−インターフェロンおよびリバビリンの組合せを伴う試験的な治療計画をもってしても、患者の大部分は、ウイルス量が持続的に減少することがない。したがって、HCV感染の治療のための有効な療法を開発する明確であり、まだ満たされていない必要性が存在する。
HCVは、プラス鎖RNAウイルスである。5’非翻訳領域における推定されるアミノ酸配列および広範な類似性の比較に基づいて、HCVは、フラビウイルス科ファミリーの独立した属として分類されてきた。フラビウイルス科ファミリーの全てのメンバーは、単一の中断されていないオープンリーディングフレームの翻訳を介して全て公知のウイルス特異的タンパク質をコードするプラス鎖RNAゲノムを含有するエンベロープに包まれたビリオンを有する。
HCVゲノムに亘ってヌクレオチドおよびコードされたアミノ酸配列内にかなりの多様性が見い出される。6つの主要な遺伝子型が特性決定され、50を超える亜型が説明されてきた。HCVの主要な遺伝子型は世界的にその分布が異なっており、病原および治療における遺伝子型の影響の可能性についての多くの研究にも関わらず、HCVの遺伝的多様性の臨床的意義は依然として捕らえにくい。
一本鎖HCV RNAゲノムは、約9500ヌクレオチドの長さであり、約3000個のアミノ酸の単一の大きなポリタンパク質をコードする単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。感染細胞において、このポリタンパク質は、細胞プロテアーゼおよびウイルスプロテアーゼによって複数の部位で切断され、構造タンパク質および非構造(NS)タンパク質を生成する。HCVの場合、成熟非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5B)の生成は、2種のウイルスプロテアーゼによってもたらされる。最初のものは、NS2−NS3接合部を切断し;第2のものは、NS3のN末端領域内に含有されるセリンプロテアーゼであり、NS3の下流、すなわち、NS3−NS4A切断部位においてシスで、残りのNS4A−NS4B、NS4B−NS5A、NS5A−NS5B部位においてトランスでの両方における以降の切断の全てを仲介する。NS4Aタンパク質は、複数の機能を果たしていると思われ、NS3プロテアーゼの補助因子として作用し、NS3および他のウイルスレプリカーゼ成分の膜局在性をおそらく補助している。NS3タンパク質のNS4Aとの複合体形成は、効率的なポリタンパク質の進行、部位の全てにおけるタンパク分解切断の増強に本質的である。NS3タンパク質はまた、ヌクレオシドトリホスファターゼおよびRNAヘリカーゼ活性を示す。NS5Bは、HCVの複製に関与するRNA依存性RNAポリメラーゼである。
本開示は、例えば、NS4Aプロテアーゼと組み合わせて、NS3プロテアーゼの機能を阻害することができるペプチド化合物を提供する。さらに、本開示は、患者への併用療法の投与について記載し、それによって、HCV NS3プロテアーゼを阻害するのに効果的な本開示による化合物は、抗HCV作用を有する1種または2種のさらなる化合物と共に投与することができる。
第1の態様では、本開示は、式(I)の化合物
(I)、
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、
R
1は、アルコキシ、ヒドロキシ、および−NHSO
2R
7から選択され;
R
2aおよびR
2bは、水素およびメチルから独立して選択され;
R
3は、アルケニル、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルから選択されるが;但し、R
4が水素である場合、R
3はヘテロシクリル以外であり;
R
4は、水素およびヒドロキシから選択され;
R
5は、水素、アルキル、およびシクロアルキルから選択され;
R
6は、水素、アルキル、アルコキシカルボニル、アルキルアミノカルボニル、アルキルカルボニル、アミノカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、ハロアルコキシカルボニル、ハロアルキル、ハロアルキルカルボニル、ヘテロシクリルオキシカルボニル、および(NR
aR
b)スルホニルから選択され;
R
7は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、および−NR
aR
bから選択され;該シクロアルキルおよび該(シクロアルキル)アルキルのシクロアルキル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキル、アリールアルキル、アリールカルボニル、シアノ、シクロアルケニル、(シクロアルキル)アルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、および(NR
eR
f)カルボニルから独立して選択される1個、2個、または3個の基で適宜置換されており;R
aおよびR
bは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルから独立して選択され;R
eおよびR
fは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロシクリルから独立して選択され;該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1個または2個の置換基で適宜置換されており;並びに
Qは、O、S(O)
m、およびNR
9(mは、0、1、または2である)から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を所望により含有するC
3~9飽和または不飽和鎖であり、R
9は、水素、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アリールスルホニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、シクロアルキルオキシ、ジアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルアルキル、ハロアルキル、およびヘテロシクリルカルボニルから選択される。
第1の態様の第1の実施形態では、本開示は、R4がヒドロキシである式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第1の態様の第2の実施形態では、本開示は、R1が−NHSO2R7である式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。第1の態様の第3の実施形態では、R7はシクロアルキルである。
第1の態様の第4の実施形態では、本開示は、R2aおよびR2bが水素である式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第1の態様の第5の実施形態では、本開示は、Qが0個のヘテロ原子を含有するC5~7不飽和鎖である式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。第1の態様の第6の実施形態では、0個のヘテロ原子を含有するC6不飽和鎖である。
第2の態様では、本開示は、式(II)の化合物
(II)、
またはその医薬的に許容される塩を提供し、式中、
R
1は、−NHSO
2R
7であり;
R
2aおよびR
2bは、水素であり;
R
3は、アルケニル、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルから選択されるが;但し、R
4が水素である場合、R
3はヘテロシクリル以外であり;
R
4は、水素およびヒドロキシから選択され;
R
5は、水素であり;
R
6は、アルコキシカルボニルであり;
R
7は、アルキル、アリール、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ヘテロシクリル、および−NR
aR
bから選択され;R
aおよびR
bは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルから独立して選択され;並びに
Qは、O、S(O)
m、およびNR
9(mは、0、1、または2である)から独立して選択される1〜3個のヘテロ原子を所望により含有するC
3~9飽和または不飽和鎖であり、R
9は、水素、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アルキルカルボニル、アルキルスルホニル、アミノカルボニル、アリールスルホニル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、シクロアルキルオキシ、ジアルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニルアルキル、ハロアルキル、およびヘテロシクリルカルボニルから選択される。
第2の態様の第1の実施形態では、本開示は、R4がヒドロキシである式(II)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第2の態様の第2の実施形態では、本開示は、R7がシクロアルキルである式(II)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第2の態様の第3の実施形態では、本開示は、Qが0個のヘテロ原子を含有するC6不飽和鎖である式(II)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第3の態様では、本開示は、
から選択される化合物、またはその医薬的に許容される塩を提供する。
第4の態様では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体とを含む組成物を提供する。第4の態様の第1の実施形態では、この組成物は、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物をさらに含む。第4の態様の第2の実施形態では、さらなる化合物の少なくとも1つは、インターフェロンまたはリバビリンである。第4の態様の第3の実施形態では、インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球インターフェロンタウから選択される。
第4の態様の第4の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体と、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物とを含む組成物を提供し、さらなる化合物の少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5’−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される。
第4の態様の第5の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、医薬的に許容される担体と、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物とを含む組成物を提供し、さらなる化合物の少なくとも1つは、HCV感染の治療のためのHCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス(HCV egress)、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに効果的である。
第5の態様では、本開示は、患者に治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を投与する工程を含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第5の態様の第1の実施形態では、この方法は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の前、後、または同時に、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物を投与する工程をさらに含む。第2の実施形態では、さらなる化合物の少なくとも1つは、インターフェロンまたはリバビリンである。第3の実施形態では、インターフェロンは、インターフェロンα2B、ペグ化インターフェロンα、コンセンサスインターフェロン、インターフェロンα2A、およびリンパ芽球インターフェロンタウから選択される。
第5の態様の第4の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の前、後、または同時に、患者に治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物とを投与する工程を含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、さらなる化合物の少なくとも1つは、インターロイキン2、インターロイキン6、インターロイキン12、1型ヘルパーT細胞応答の発生を増強する化合物、干渉RNA、アンチセンスRNA、イミキモド、リバビリン、イノシン5’−一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、アマンタジン、およびリマンタジンから選択される。
第5の態様の第5の実施形態では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の前、後、または同時に、患者に治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、抗HCV作用を有する少なくとも1種のさらなる化合物とを投与する工程を含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供し、さらなる化合物の少なくとも1つは、HCV感染の治療のためのHCVメタロプロテアーゼ、HCVセリンプロテアーゼ、HCVポリメラーゼ、HCVヘリカーゼ、HCV NS4Bタンパク質、HCVエントリー、HCVアセンブリ、HCVイグレス、HCV NS5Aタンパク質、およびIMPDHから選択される標的の機能を阻害するのに効果的である。
第6の態様では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、抗HCV作用を有する1種、2種、3種、4種、または5種のさらなる化合物と、医薬的に許容される担体とを含む組成物を提供する。第6の態様の第1の実施形態では、この組成物は、抗HCV作用を有する3種または4種のさらなる化合物を含む。第6の態様の第2の実施形態では、この組成物は、抗HCV作用を有する1種または2種のさらなる化合物を含む。
第7の態様では、本開示は、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩の前、後、または同時に、患者に治療有効量の式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩と、抗HCV作用を有する1種、2種、3種、4種、または5種のさらなる化合物とを投与する工程を含む、患者においてHCV感染症を治療する方法を提供する。第7の態様の第1の実施形態では、この方法は、抗HCV作用を有する3種または4種のさらなる化合物を投与する工程を含む。第7の態様の第2の実施形態では、この方法は、抗HCV作用を有する1種または2種のさらなる化合物を投与する工程を含む。
本開示の他の態様は、本明細書において開示されている実施形態の適切な組合せを含むことができる。
また他の態様および実施形態は、本明細書において提供する説明において見い出すことができる。
本明細書における本開示の説明は、化学結合の法則および原理と適合させて解釈するべきである。場合によっては、任意の所与の場所に置換基を配置するために水素原子を取り除くことが必要な場合がある。
本開示に包含される化合物は、医薬品として使用するために適切に安定的なものであることを理解すべきである。
本明細書において引用されている全ての特許、特許出願、および文献参照は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。不整合がある場合は、定義を含めた本開示を優先する。
本明細書において使用されているように、下記の用語は、示される意味を有する。
「アルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含有する2個から6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖基を意味する。
「アルコキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているアルキル基を意味する。
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のアルコキシ基で置換されているアルキル基を意味する。
「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアルコキシ基を意味する。
「アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個から6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐鎖の飽和炭化水素由来の基を意味する。
「アルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用する場合、−NHR(Rはアルキル基である)を意味する。
「アルキルアミノカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアルキルアミノ基を意味する。
「アルキルカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアルキル基を意味する。
「アルキルスルホニル」という用語は、本明細書で使用する場合、スルホニル基を介して親分子の部分に結合しているアルキル基を意味する。
「アミノ」という用語は、本明細書で使用する場合、−NH2を意味する。
「アミノカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアミノ基を意味する。
「アリール」という用語は、本明細書で使用する場合、フェニル基、または環の1つもしくは両方がフェニル基である二環式縮合環系を意味する。二環式縮合環系は、4〜6員の芳香族または非芳香族炭素環に縮合されたフェニル基からなる。本開示のアリール基は、基中の任意の置換可能な炭素原子を介して親分子の部分に結合することができる。アリール基の代表例には、それだけに限らないが、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、およびテトラヒドロナフチルが挙げられる。本開示のアリール基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、第2のアリール基、アリールアルキル、アリールオキシ、シアノ、シアノアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ニトロ、およびオキソから独立して選択される1個、2個、3個、4個、または5個の置換基で適宜置換されている場合があり;該第2のアリール基、該アリールアルキルおよび該アリールオキシのアリール部分、該ヘテロシクリル、ならびに該ヘテロシクリルアルキルのヘテロシクリル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、およびオキソから独立して選択される1個、2個、3個、4個、または5個の置換基でさらに適宜置換されている場合がある。
「アリールアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のアリール基で置換されているアルキル基を意味する。
「アリールカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアリール基を意味する。
「アリールオキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているアリール基を意味する。
「アリールオキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているアリールオキシ基を意味する。
「アリールスルホニル」という用語は、本明細書で使用する場合、スルホニル基を介して親分子の部分に結合しているアリール基を意味する。
「カルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、−C(O)−を意味する。
「シアノ」という用語は、本明細書で使用する場合、−CNを意味する。
「シアノアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のシアノ基で置換されているアルキル基を意味する。
「シクロアルケニル」という用語は、本明細書で使用する場合、3〜14個の炭素原子と0個のヘテロ原子とを有する非芳香族で部分不飽和の単環式、二環式、または三環式環系を意味する。シクロアルケニル基の代表例には、それだけに限らないが、シクロヘキセニル、オクタヒドロナフタレニル、およびノルボルニレニルが挙げられる。
「シクロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、3〜14個の炭素原子と0個のヘテロ原子とを有する飽和単環式、二環式、または三環式炭化水素環系を意味する。シクロアルキル基の代表例には、それだけに限らないが、シクロプロピル、シクロペンチル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、およびアダマンチルが挙げられる。
「シクロアルキルオキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているシクロアルキル基を意味する。
「シクロアルキルオキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているシクロアルキルオキシ基を意味する。
「(シクロアルキル)アルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のシクロアルキル基で置換されているアルキル基を意味する。
「ジアルキルアミノ」という用語は、本明細書で使用する場合、各R基がアルキル基である−NR2を意味する。2個のR基は、同一でも異なってもよい。
「ジアルキルアミノカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているジアルキルアミノ基を意味する。
「ジアルキルアミノカルボニルアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のジアルキルアミノカルボニル基で置換されているアルキル基を意味する。
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、本明細書で使用する場合、F、Cl、Br、またはIを意味する。
「ハロアルコキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているハロアルキル基を意味する。
「ハロアルコキシアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のハロアルコキシ基で置換されているアルキル基を意味する。
「ハロアルコキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているハロアルコキシ基を意味する。
「ハロアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、3個、または4個のハロゲン原子で置換されているアルキル基を意味する。
「ハロアルキルカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているハロアルキル基を意味する。
「ヘテロシクリル」という用語は、本明細書で使用する場合、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1個、2個、もしくは3個のヘテロ原子を含有する5員、6員、または7員環を意味する。5員環は、0から2個の二重結合を有し、6員および7員環は、0から3個の二重結合を有する。「ヘテロシクリル」という用語にはまた、ヘテロシクリル環が4〜7員、好ましくは4〜6員の芳香族もしくは非芳香族炭素環に縮合している二環式基、または他の単環式ヘテロシクリル基が含まれる。本開示のヘテロシクリル基は、基中の炭素原子または窒素原子を介して親分子の部分に結合している場合がある。ヘテロシクリル基の例には、それだけに限らないが、ベンゾチエニル、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、オキサゾリル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピロロピリジニル、ピロリル、チアゾリル、チエニル、およびチオモルホリニルが挙げられる。本開示のヘテロシクリル基は、アルケニル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、アルキル、アリール、アリールアルキル、アリールオキシ、シアノ、シアノアルキル、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、第2のヘテロシクリル基、ヘテロシクリルアルキル、ニトロ、およびオキソから独立して選択される1個、2個、3個、4個、または5個の置換基で適宜置換されている場合があり;該アリール、該アリールアルキルおよび該アリールオキシのアリール部分、該第2のヘテロシクリル、ならびに該ヘテロシクリルアルキルのヘテロシクリル部分は、アルケニル、アルコキシ、アルキル、シアノ、ハロ、ハロアルコキシ、ハロアルキル、ニトロ、およびオキソから独立して選択される1個、2個、3個、4個、または5個の置換基でさらに適宜置換されている場合がある。
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、本明細書で使用する場合、1個、2個、または3個のヘテロシクリル基で置換されているアルキル基を意味する。
「ヘテロシクリルカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているヘテロシクリル基を意味する。
「ヘテロシクリルオキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、酸素原子を介して親分子の部分に結合しているヘテロシクリル基を意味する。
「ヘテロシクリルオキシカルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合しているヘテロシクリルオキシ基を意味する。
「ヒドロキシ」という用語は、本明細書で使用する場合、−OHを意味する。
「ニトロ」という用語は、本明細書で使用する場合、−NO2を意味する。
「−NRaRb」という用語は、本明細書で使用する場合、窒素原子を介して親分子の部分に結合している2個の基であるRaおよびRbを意味する。RaおよびRbは、水素、アルコキシ、アルキル、アリール、アリールアルキル、シクロアルキル、(シクロアルキル)アルキル、ハロアルキル、ヘテロシクリル、およびヘテロシクリルアルキルから独立して選択される。
「(NRaRb)スルホニル」という用語は、本明細書で使用する場合、スルホニル基を介して親分子の部分に結合している−NRaRb基を意味する。
「−NReRf」という用語は、本明細書で使用する場合、窒素原子を介して親分子の部分に結合している2個の基であるReおよびRfを意味する。ReおよびRfは、水素、アルキル、アリール、アリールアルキル、およびヘテロシクリルから独立して選択され;該アリール、該アリールアルキルのアリール部分、および該ヘテロシクリルは、アルコキシ、アルキル、およびハロから独立して選択される1個または2個の置換基で適宜置換されている。
「(NReRf)カルボニル」という用語は、本明細書で使用する場合、カルボニル基を介して親分子の部分に結合している−NReRf基を意味する。
「オキソ」という用語は、本明細書で使用する場合、=Oを意味する。
「スルホニル」という用語は、本明細書で使用する場合、SO2を意味する。
本開示の化合物は、プロドラッグとして存在することができる。「プロドラッグ」という用語は、本明細書で使用する場合、血液中の加水分解によって親化合物にインビボで急速に変換される化合物を表す。本開示のプロドラッグには、親分子上のヒドロキシ基のエステル、親分子上のカルボキシ基のエステル、および親分子上のアミンのアミドが挙げられる。
本開示の化合物は、医薬的に許容される塩として存在することができる。「医薬的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用する場合、妥当な医学的判断の範囲内において、妥当な便益/リスク比に見合った過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしに患者の組織と接触して使用するのに適切であり、それらの使用目的のために効果的である、水溶性もしくは油溶性もしくは分散性の本開示の化合物の塩または双性イオン形態を表す。塩は、化合物の最終単離および精製の間に、または別々に適切な塩基官能基を適切な酸と反応させることによって調製することができる。代表的な酸付加塩には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩;ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタミン酸塩、重炭酸塩、パラ−トルエンスルホン酸塩、およびウンデカン酸塩が挙げられる。医薬的に許容される付加塩を形成するために用いることができる酸の例には、無機酸(塩酸、臭化水素酸、硫酸、およびリン酸など)、ならびに有機酸(シュウ酸、マレイン酸、コハク酸、およびクエン酸など)が挙げられる。
塩基付加塩は、酸性基を、適切な塩基(金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、または重炭酸塩など)と、あるいはアンモニアまたは有機第一級、第二級、もしくは第三級アミンと反応させることによって、化合物の最終単離および精製の間に調製することができる。医薬的に許容される塩のカチオンには、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、およびアルミニウム、ならびに無毒性の四級アミンカチオン(アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N−ジベンジルフェネチルアミン、およびN,N’−ジベンジルエチレンジアミンなど)が挙げられる。塩基付加塩の形成に有用な他の代表的な有機アミンには、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、およびピペラジンが挙げられる。
本明細書で使用する場合、「抗HCV作用」という用語は、化合物がHCVウイルスの治療に効果的であることを意味する。
「本開示の化合物」という用語、および同等の表現は、式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容されるエナンチオマー、ジアステレオマー、および塩を包含することを意味する。同様に、中間体への言及は、文脈上許容される場合、それらの塩を包含することを意味する。
「患者」という用語は、ヒトおよび他の哺乳動物の両方を含む。
「医薬組成物」という用語は、投与方法および剤形の種類によって、少なくとも1種のさらなる医薬担体、すなわち、希釈剤、保存料、充填剤、流動性調整剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、香味剤、香料剤、抗菌剤、抗真菌剤、滑沢剤および予製剤などの補助剤、賦形剤またはビヒクルと組み合わせた本開示の化合物を含む組成物を意味する。例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA (1999)において一覧表示された成分を使用することができる。
「医薬的に許容される」という言回しは本明細書において、過度の毒性、刺激作用、アレルギー反応、または妥当な危険性/受益性割合に比例した他の問題もしくは合併症を伴わずに、患者の組織と接触する使用に適した、正しい医療判断の範囲内である化合物、材料、組成物、および/または剤形を意味するために用いられる。
「治療有効量」という用語は、有意義な患者利益、例えば、ウイルス量の持続的減少を示すのに十分なそれぞれの活性物質の総量を意味する。単独で投与される個々の活性成分に適用する場合、この用語はその成分単独を意味する。組合せに適用する場合は、この用語は、組合せであれ、連続的であれ、または同時投与であれ、治療効果をもたらす活性成分の組み合わせた量を意味する。
「治療」および「治療する」という用語は、(i)疾患、障害および/または状態にかかりやすい場合があるが、まだその診断を受けていない患者において、疾患、障害または状態が起こることを防止し;(ii)疾患、障害または状態を阻害、すなわち、その進行を止め;ならびに/あるいは(iii)疾患、障害または状態を軽減、すなわち、疾患、障害および/または状態の退行をもたらすことを意味する。
本開示の化合物の命名に使用する場合、記号P1’、P1、P2*、P3およびP4は、本明細書で使用する場合、天然ペプチド切断基質の結合に対する、結合しているプロテアーゼ阻害剤のアミノ酸残基の相対的位置を表示する。天然基質において、切断はP1とP1’との間で起こり、ここでノンプライム位置は、ペプチド天然切断部位のC末端から始まってN末端に向けて伸びているアミノ酸を表し;一方、プライム位置は、指定切断部位のN末端から始まり、C末端に向かって伸びる。例えば、P1’は、切断部位のC末端の右側末端から離れた第1の位置(すなわち、N末端第1位置)を示し;一方、P1はC末端切断部位の左側から番号付けを始め、P2はC末端からの第2の位置などである)。(Berger A. & Schechter I., Transactions of the Royal Society London series (1970), B257, 249-264を参照されたい]。
不斉中心は、本開示の化合物において存在する。例えば、化合物は、式
のP1シクロプロピル要素を含むことができ、式中、C
1およびC
2はそれぞれ、シクロプロピル環の1位および2位における不斉炭素原子を表す。
本開示は、HCVプロテアーゼを阻害する能力を有する全ての立体化学的形態、またはその混合物を包含することを理解すべきである。
本開示の特定の化合物はまた、分離可能である場合がある異なる安定的な高次構造形態で存在することができる。非対称の単結合の周りの束縛回転に起因するねじれによる不斉は、例えば立体障害または環ひずみによって、異なる配座異性体の分離を可能にすることができる。本開示には、これらの化合物のそれぞれの配座異性体およびこれらの混合物が挙げられる。
本開示の特定の化合物は、双性イオン形態で存在する場合があり、本開示には、これらの化合物のそれぞれの双性イオン形態およびこれらの混合物が含まれる。
治療に使用するために、治療有効量の式(I)の化合物、ならびにその医薬的に許容される塩を、原化学物質(raw chemical)として投与することが可能である場合、活性成分を医薬組成物として提示することが可能である。したがって、本開示は、治療有効量の式(I)の化合物またはその医薬的に許容される塩と、1種もしくは複数の医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤とを含む医薬組成物をさらに提供する。式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩は、上記の通りである。担体(複数可)、希釈剤(複数可)、または賦形剤(複数可)は、製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに対して有害ではないという意味で許容できるものでなければならない。本開示の他の態様によって、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩を、1種もしくは複数の医薬的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と混合する工程を含む、医薬製剤を調製するための方法もまた提供する。
医薬製剤は、単位用量当たり所定の量の活性成分を含有する単位用量形態で存在することができる。1日当たり約0.01〜約250ミリグラム/キログラム(「mg/kg」)体重、好ましくは1日当たり約0.05〜約100mg/kg体重の本開示の化合物の投与量レベルが、HCV媒介疾患の予防および治療のための単独療法において典型的である。典型的には、本開示の医薬組成物は、1日当たり約1〜約5回、あるいは持続注入として投与される。このような投与は、長期治療または救急治療として使用することができる。単一の剤形を得るため担体物質と合わせることのできる活性成分の量は、治療される状態、状態の重篤度、投与回数、投与経路、用いる化合物の排せつ率、治療期間、ならびに患者の年齢、性別、体重、および状態によって変化する。好ましい単位製剤は、本明細書において上記のように、活性成分の1日用量もしくは部分用量、またはその適切な画分を含有する製剤である。一般に治療は、実質的に化合物の適量未満の少量の投与量で開始する。その後、この条件の下で最適な効果が得られるまで少しずつ投与量を増加させる。一般に化合物は、有害または害毒を及ぼす副作用をもたらさずに抗ウイルス的に効果的な結果を生じさせるであろう濃度レベルで投与することが最も望ましい。
本開示の組成物が、本開示の化合物と、1種または複数のさらなる治療剤または予防薬との組合せを含む場合、化合物およびさらなる薬剤の両方は通常、単独療法において通常投与される投与量の約10〜150%、さらに好ましくは約10〜80%の投与量レベルで存在する。
医薬製剤は、任意の適切な経路による投与、例えば、経口(口腔または舌下を含めた)、直腸、経鼻、局所(口腔、舌下、または経皮を含めた)、経腟、あるいは非経口(皮下、皮内、筋内、関節内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、病巣内、静脈内、または皮内注射もしくは注入を含めた)経路による投与に適合することができる。このような製剤は、薬学の技術分野において公知の任意の方法によって、例えば活性成分を担体(複数可)または賦形剤(複数可)と結合することによって調製することができる。
経口投与に適合された医薬製剤は、カプセル剤または錠剤;散剤または顆粒剤;水性もしくは非水性液体中の溶液剤または懸濁剤;食用の泡またはホイップ;あるいは水中油型液体乳剤または油中水型乳剤などの個別単位として提示することができる。
例えば、錠剤またはカプセル剤の形態における経口投与のために、活性薬物成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口で無毒性の医薬的に許容される不活性担体と合わせることができる。散剤は、化合物を適切な微細なサイズに微粉砕し、食用炭水化物(例えば、デンプンまたはマンニトールなど)などの同様に微粉砕した医薬担体と混合することによって調製される。香味剤、保存剤、分散剤、および着色剤もまた存在することができる。
カプセル剤は、上記のように粉末混合物を調製し、ゼラチンの形成被覆に充填することによって作製される。コロイダルシリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、または固体ポリエチレングリコールなどの流動促進剤および滑沢剤を、充填操作の前に粉末混合物に加えることができる。カプセル剤を摂取する場合に薬物の有効性を向上させるために、寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤または可溶化剤をまた加えることができる。
さらに、所望であるかまたは必要な場合、適切な結合剤、滑沢剤、崩壊剤、および着色剤もまた、混合物中に組み込むことができる。適切な結合剤には、デンプン、ゼラチン、天然糖(グルコースまたはβラクトースなど)、コーン甘味料、天然および合成のガム(アカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど)、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。これらの剤形において使用される滑沢剤には、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤には、これらだけに限らないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化またはスラッギングし、滑沢剤および崩壊剤を加え、錠剤に圧入することによって製剤される。粉末混合物は、適切に粉砕した化合物を、上記のような希釈剤または基剤と、および所望により、結合剤(カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、またはポリビニルピロリドンなど)、溶解遅延剤(パラフィンなど)、再吸収促進剤(第四級塩など)および/または吸収剤(ベントナイト、カオリン、またはリン酸二カルシウムなど)と混合することによって調製される。粉末混合物は、結合剤(シロップ、デンプン糊、アラビアゴム粘液、またはセルロース系材料もしくは高分子材料の溶液など)で湿らせ、強制的にスクリーンを通過させるによって顆粒化することができる。顆粒化に代わるものとして、粉末混合物を錠剤成形機にかけることができ、その結果は、顆粒剤へと割れる不完全に形成されたスラグとなる。顆粒剤は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することによって潤滑にされ、錠剤成形型に粘着することを防止することができる。次いで、潤滑混合物を錠剤に圧縮する。本開示の化合物はまた、易流動性の不活性担体と合わせ、顆粒化またはスラッギング工程を経ることなく直接錠剤に圧縮することができる。セラックのシーリングコートからなる透明または不透明な保護コーティング、糖または高分子材料のコーティング、およびワックスの光沢コーティングを提供することができる。これらのコーティングに染料を加えて、異なる単位用量を識別することができる。
溶液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤などの経口流体は、一定量が所定の量の化合物を含有するように、投与単位形態で調製することができる。シロップ剤は、化合物を適切に香味付けした水溶液に溶解することによって調製することができ、一方エリキシル剤は、無毒性ビヒクルの使用によって調製される。可溶化剤および乳化剤(エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなど)、保存剤、香味添加剤(ハッカ油または天然甘味料など)、またはサッカリンもしくは他の人工甘味料などもまた加えることができる。
適切な場合には、経口投与のための投与単位製剤は、マイクロカプセル化することができる。製剤はまた、例えば、粒子材料をポリマー、ワックス、または同種のものでコーティングするか、それらに包埋することによって、放出を延長または維持するように調製することができる。
式(I)の化合物、およびその医薬的に許容される塩はまた、小さな単膜小胞、大きな単膜小胞、および多重膜小胞などのリポソームデリバリーシステムの形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン、またはホスファチジルコリンなどの種々のリン脂質から形成することができる。
式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩はまた、化合物分子が結合する個々の担体としてモノクローナル抗体を使用することによって送達することができる。化合物はまた、標的可能な薬物担体として可溶性ポリマーに結合することができる。このようなポリマーには、パリトイル残基(palitoyl residue)で置換されているポリビニルピロリドン、ピラン共重合体、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノール、またはポリエチレンオキシドポリリシンを含むことができる。さらに、化合物は、薬物の制御放出を実現するのに有用な生分解性ポリマーの類(例えば、ポリ乳酸、ポリεカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマー)に結合することができる。
経皮的投与に適合された医薬製剤は、レシピエントの表皮と長時間密着し続けることを目的とする個別のパッチとして提示することができる。例えば、活性成分は、Pharmaceutical Research, 3(6), 318 (1986)において概ね記載されているようにイオン泳動によってパッチから送達することができる。
局所投与に適合された医薬製剤は、軟膏剤、クリーム剤、懸濁剤、ローション剤、散剤、溶液剤、ペースト剤、ゲル剤、スプレー剤、エアゾール剤、または油剤として製剤することができる。
眼または他の外部組織、例えば口および皮膚の治療のために、製剤は、好ましくは局所軟膏剤またはクリーム剤として施用される。軟膏剤中に配合される場合、活性成分は、パラフィン軟膏基剤または水混和性軟膏基剤と共に用いることができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤と共にクリーム剤中に配合することができる。
眼への局所投与に適合された医薬製剤には、活性成分が適切な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁している点眼薬が挙げられる。
口内の局所投与に適合された医薬製剤には、ロゼンジ、香錠、および口内洗浄剤が挙げられる。
直腸投与に適合された医薬製剤は、坐薬としてまたは浣腸として提示することができる。
担体が固形物である経鼻投与に適合された医薬製剤には、鼻から吸い込む方法、すなわち、鼻の近くに保持した粉末容器から鼻腔を通した急速な吸入によって投与される、例えば20〜500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末が挙げられる。鼻用スプレーまたは点鼻薬として投与するための、担体が液体である適切な製剤には、活性成分の水溶液または油溶液が挙げられる。
吸入による投与に適合された医薬製剤には、様々なタイプの定量加圧式エアロゾル、ネブライザー、または注入器によって生成することができる、微粒子の塵または霧が挙げられる。
膣投与に適合された医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレー製剤として提示することができる。
非経口投与に適合された医薬製剤には、抗酸化剤、バッファー、制菌剤、ならびに製剤を対象とするレシピエントの血液と等張にする溶質;ならびに懸濁化剤および増粘剤を含む場合がある水性および非水性の無菌懸濁剤を含有してもよい、水性および非水性の滅菌注射液が挙げられる。製剤は、単位用量または複数用量の容器、例えば密封したアンプルおよびバイアル中に存在してもよく、注射のため使用直前に、無菌の液体担体、例えば水の添加だけを必要とするフリーズドライ(凍結乾燥)した状態で保存してもよい。無菌散剤、顆粒剤、および錠剤から即時調合注射液および懸濁剤を調製することができる。
特に上述した成分に加えて、製剤には、問題の製剤のタイプを考慮して当技術分野で常用の他の薬剤を含むことができ、例えば経口投与に適した薬剤には、香味剤が含まれる場合があることを理解すべきである。
下記の表1では、本開示の化合物と共に投与することができる化合物のいくつかの実例を一覧表示する。本開示の化合物は、一緒にもしくは別々に、または化合物を組成物に合わせることによって、併用療法において他の抗HCV作用化合物と共に投与することができる。
本開示の化合物はまた、実験用試薬として使用することができる。化合物は、HCV疾患の機構の知識をさらに向上させるための、ウイルス複製アッセイの設計、動物アッセイ系の確認および構造生物学研究のための研究道具の提供において有益な場合がある。さらに、本開示の化合物は、例えば拮抗阻害によって、他の抗ウイルス性化合物の結合部位の確立または決定において有用である。
本開示の化合物はまた、物質のウイルス汚染を処理または予防し、したがって実験室、またはこのような物質(例えば、血液、組織、手術器具および手術着、実験器具および実験着、ならびに採血もしくは輸血の装置および材料)と接触する医療関係者もしくは患者のウイルス感染の危険性を減少させるために使用することができる。
本開示は、合成過程によって、あるいは人体もしくは動物体(インビボ)内で生じる過程またはインビトロで生じる過程を含めた代謝過程によって調製される場合、式(I)を有する化合物を包含することを意図する。
本明細書において開示されている化合物を識別するために一般に使用される化学物質の略語には、Bn:ベンジル;Boc:tert−ブチルオキシカルボニル{Me3COC(O)};BSA:ウシ血清アルブミン;CDI:カルボニルジイミダゾール;DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン;CH2Cl2=DCM:塩化メチレン;TBME:tert−ブチルメチルエーテル;DEAD:ジエチルアゾジカルボキシレート;DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシレート;DIEA:ジイソプロピルエチルアミン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;4−DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;DCC:1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド;DMF:ジメチルホルムアミド;DMSO:ジメチルスルホキシド;DPPA:ジフェニルホスホリルアジド;Et:エチル;EtOH:エタノール;EtOAc:酢酸エチル;Et2O:ジエチルエーテル;グラブス触媒:ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウム(IV)ジクロリド;第2世代グラブス触媒:トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチルフェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン][ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジクロリド;HATU:[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HBTU:[O−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOBT、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;HOAT、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;MS:質量分析法;Me:メチル;MeOH:メタノール;NMM:N−メチルモルホリン;NMP:N−メチルピロリジン;Pr:プロピル;PPA:ポリリン酸;TBAF:テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム;1,2−DCEまたはDCE:1,2−ジクロロエタン;TFA:トリフルオロ酢酸;THF:テトラヒドロフランが挙げられる。
本開示の化合物の合成に有用な出発物質は当業者には公知であり、容易に製造することができ、または市販されている。
以下に記載する下記の方法は、例示の目的のために提供するものであり、特許請求の範囲を制限することを意図しない。従来の保護基を使用して官能基を保護し、次いで保護基を除去して本開示の化合物を提供するようにこのような化合物を調製することが必要である場合があることが理解されるであろう。本開示による保護基の使用に関する詳細は、当業者には公知である。
スキーム1に示されるように、ジペプチド(1)などの本開示の中間体は、式(I)の化合物の調製のために使用することができる。この方法の第1の工程において、(1)のBoc保護された窒素は、エーテルなどの溶媒中のHClなどの酸を使用して脱保護され、対応する遊離アミン2を提供する。アミン(2)は引き続き、ジクロロメタンなどの溶媒中でHATUなどのカップリング剤を使用してアミノ酸(3)にカップリングして、トリペプチド中間体(4)を提供することができる。場合によっては、(3)などの中間体は市販であり、あるいはこのような化合物は、当技術分野において公知の方法によってラセミまたはキラル様式で容易に調製することができることに留意すべきである。式(I)の化合物の構造における重要な転換は、一般構造体(4)の中間体が一般構造体(5)の中間体に変換される大環状化方法である。引用した一般例において、中間体(4)の(5)への変換は、分子内オレフィンメタセシス反応によって影響される場合がある。このクラスの反応は、当技術分野で十分に確立されており、したがっていくつかのオレフィンメタセシス触媒が開発されており、市販されている。例えば、ジエン(4)の大環状分子(5)への変換は、ジクロロメタンまたはジクロロエタンなどの溶媒中で、(4)を十分な量の第1世代グラブスオレフィンメタセシス触媒で処理することによって影響される場合がある。(4)の(5)への変換についてのいくつかの例において、この環化過程がもたらされるために、反応混合物を加熱することが必要な場合がある。次いで、2つの工程方法によって中間体(5)を(7)などの式(I)の化合物に変換する。この方法の第1の工程において、中間体(5)のエステル官能基は、対応するカルボン酸(6)に加水分解される。この転換は、(5)をTHF、メタノールおよび水の混合物中で水酸化リチウムなどの塩基で処理するけん化反応によって達成することができる。このように得られた酸(6)は、示されているようにスルホンアミド誘導体との単純なカップリング反応によって、式(I)の化合物に変換されることができる。例えば、塩化メチレンなどの溶媒中で(6)などのカルボン酸をCDIで処理することによって、インサイチューで反応性中間体が生成し、これをスルホンアミドで処理する場合、式(I)の化合物である7が提供されることは当技術分野で十分に確立している。
上記の最終のカップリング工程において、すなわち(6)の(7)への変換において、R
7SO
2NH
2実体がスルファミド誘導体、例えばR
aR
bNSO
2NH
2である場合、代わりのカップリング手順を使用することができる。それにおいては、スルファミド中間体(1)(スキーム2)は、THFなどの溶媒中でリチウムビスヘキサメチルジシランなどの塩基を使用して最初に脱プロトン化される。次いで、スルファミドアニオン(2)のこのように得られたTHF溶液を、活性化カルボン酸を含有する上記の反応混合物に加える。次いで、この反応混合物を数時間撹拌し、不可欠なアシルスルファミド(7)を得る。
式(I)の化合物はまた、本明細書に記載するような式Iの他の化合物に変換することができる。このような方法の例をスキーム3に示し、そこにおいてはP4位においてBoc基を有する式Iの化合物(1)を、式Iの化合物(3)(前記化合物はP4位において尿素基を有する)に変換する。(1)の(3)への変換は、2つの工程方法で行うことができ、その最初は、(1)を塩化メチレンなどの溶媒中でTFAなどの酸で処理することによる(1)のアミン(2)への変換である。このように得られたアミンTFA塩を、1当量の塩基の存在下、イソシアネートで処理し、式Iの化合物(3)(P3部分は尿素でキャッピングされている)を提供することができる。前述のように、中間体(2)は、式(I)の化合物(P3基はアミドまたはカルバメートでキャッピングされている)の調製のための出発物質として使用することができることを当業者であれば理解するであろう。式(I)の前記化合物の構築は、アミンからの前記P4官能基の形成のための標準状態を使用して達成することができる。
P2中間体および式(I)の化合物を作製するための非限定的な手順を、下記のスキームにおいて示す。前記中間体、反応条件および具体例において示す方法は、他の置換パターンを有する化合物に広く適用することができる。例えば、スキーム4の式(I)の化合物において見い出されるP2成分の合成は、明確な合成経路に従って調製することができる。そこにおいては、市販のN−Boc−4−オキソ−L−プロリンを、グリニャール試薬(あるいは、アルキルまたはアリールリチウム種、あるいは、アルキルまたはアリール亜鉛種)などの有機金属剤で処理し、プロリンのC4位がR
3置換基および遊離の第三級ヒドロキシ基を有する中間体(2)を提供する。次いで、中間体(2)を式(I)の化合物に変換してもよい。
スキーム4
R
4が水素である式(I)の化合物は、R
4がヒドロキシ基である対応の式(I)の化合物から合成されうる。あるいは、R
4が水素である式(I)の化合物は、R
4がヒドロキシ基である式(I)の化合物の製造に用いられるいずれの中間体からも製造されうる。例えば、R
4が水素である式(I)の化合物は、スキーム5に示されるように製造されうる。前記化合物(3)は、対応のヒドロキシ類縁体(1)から製造されうる。(1)のような化合物からの(3)のような化合物の形成方法は、プロリンC4ヒドロキシ基の還元または脱酸素化を必要とする。(1)のような化合物からの(3)のような化合物の形成を提供しうるアルコール(特に三級アルコール)の還元および/または脱酸素化について、かなりの技術が確立されている。例えば、対応のアルカン(スキーム5の工程1)へのアルコールの直接還元は、以下の引用文献:J. Org. Chem. 2001, 66, 7741に報告されている。その中で、アルコールのアルカンへの還元が記載されており、前記アルコールを、ジクロロエタンのような溶媒中、クロロジフェニルシランおよび触媒量の三塩化インジウムで処理して、対応のアルカンを得る。前記反応は室温でおこなってもよいが、加熱が必要となる場合もありうる。R
4がヒドロキシ基である式(I)の化合物から、R
4が水素である式(I)の化合物を形成するための別法が、スキーム5における工程2として示される。その中で、最初に(1)のような化合物を活性化アルコール(2)に変換し、これらの中間体を対応のアルカンに還元する(例えばバートン脱酸素化工程を用いて)。あるいは、(2)に示される活性化アルコールを、例えば還元剤を用いて、対応のアルカンに還元してもよい。スキーム5における化合物(1)の化合物(3)へのこれらの変換工程は、当業者に広く知られている。
スキーム5
プロリン誘導体1のケトン部分(スキーム6)への有機金属剤の添加は、当技術分野で十分に確立していることに留意すべきである。例えば、Hrubyおよび共同研究者(J. Org. Chem. 2001, 66, 3593)は、臭化フェニルマグネシウムのスキーム6の一般構造(1)の中間体への添加について記載している。これらの知見は、tert−ブチルエステル基をC2カルボキシル部分の保護基として用いる場合、所望の1,2付加生成物(スキーム6の(2))の最適収率が得られるという証拠を提供する。さらに、この著作物は、この付加反応の立体化学的な結果についてX線結晶構造解析の形態で明らかな証拠を提供した。具体的には、ケトン(1)への上記のグリニャール添加の結果として、C4ヒドロキシル基およびC2カルボキシル基が5員環の周りでシンの相対的配向をとる単一の生成物を得た。この構造決定から、R
3Mの(1)のケトンへの付加における面選択性は、スキーム6の構造(1)においてαであると推定された。すなわち、有機金属は、選択的に(1)中のカルボニルのre面(底面)に添加され、示された立体化学を有する相当する第三級アルコール(2)を提供する。
スキーム6
Hrubyの上記の著作物は、特定のグリニャール試薬の(1)の誘導体への添加を記載している(スキーム6)。しかし、種々のグリニャール試薬のプロリン(1)への添加は、本開示に包含される。グリニャール試薬を含めた有機金属剤のケトンへの添加について記載した文献は、多数あり、Comprehensive Organic Functional Group Transformations. Volume 2: Synthesis: Carbon with one heteroatom attached by a single bond. Editor in Chief Alan. R. Katritzky, et al.1995. Chapter 2.02, page 37など当技術分野で総括して要約されている。このクラスの反応はまた、Comprehensive Organic Synthesis. Editor in Chief Barry M Trost, Volume 1: Additions to C-X pi-bonds (part 1). 1991に記載されている。
当技術分野の最近の研究は、ケトンへの付加反応におけるグリニャール試薬のさらなる最適化のための条件を提供し、これらの著作物は、本開示において有用である場合がある。例えばIshiharaおよび共同研究者(Org. Lett. 2005, Vol. 7, No. 4, 573)は最近、マグネシウムアート錯体の形成および有用性について記載した。マグネシウムアート錯体であるR3MgLiは、グリニャール試薬およびアルキルリチウムに由来する。Ishiharaによって記載されているように、これらの錯体は、ケトンに対する反応において1,2付加生成物の優れた収率を実現する。別の研究において、Knochelおよび共同研究者(Angew. Chem Int. Ed. 2006, 45, 497)は、有機マグネシウム試薬と併せたLnCl3などの可溶性ランタニド塩の使用を記載している。これらのランタニド塩が存在することによって、カルボニル化合物への1,2付加反応の効率の改善をもたらす。これらの著作物、およびそこにおいて引用されている参照文献は、カルボニル化合物への単純な付加におけるグリニャール反応の最適化に関して現況技術を確立し、本開示における重要な情報源として役立つ。
一連の有機金属反応剤は、ケトンへの付加反応に関与することにも留意すべきである。この著作物において含まれるのは、1,2様式でカルボニル部分に添加されることが周知である、アリールリチウム、アルキルリチウムおよびヘテロアリールリチウム試薬などの試薬である。例えば、Dondoniおよび共同研究者による最近の研究(J. Org. Chem. 2005, 70, 9257)において、BuLiを使用してベンゾチアゾールをリチウム化し、このように得られたC2−リチウム種を、1,2様式でラクトンに加える。類推によると、リチウム化ベンゾチアゾールは、1,2様式でスキーム6のケトン(1)に添加され、(2a)などの中間体を提供することが予想される。
オキサゾールおよびチアゾールおよびイミダゾールなどのヘテロ環由来の有機金属反応剤はまた、ケトン(1)への1,2付加反応に関与できることを当業者であれば理解するであろう。これらのヘテロ環系のそれぞれのために用いられる固有の条件を定義する多数の文献があり、当業者はこの情報を容易に利用できる。例えば、ケトンへの付加反応におけるベンゾオキサゾールまたはオキサゾール由来の有機金属反応剤の使用は、マグネシウム酸リチウムの使用を必要とする。Bayhおよび共同研究者によるこの最近の研究の詳細は、J. Org. Chem., 2005, 70, 5190に記載されている。スキーム6のケトン(1)へのベンゾオキサゾールの添加によって、(2b)などの中間体へのアクセスを可能にする。
ヘテロ環由来の広範囲の有機金属反応剤を使用したケトンへの添加については、重要な文献の前例がある。例えば、Behindaおよび共同研究者の著作物(Tet. Lett. 42, 2001, 647)は、リチウム化ベンズイミダゾールの形成および単純なラクトンへのその添加について記載している。類推によると、スキーム6のケトン(1)への付加反応におけるこのリチウム化ベンズイミダゾールの使用は、(2c)などの中間体へのアクセスを可能にする。さらに、Kawasakiおよび共同研究者による最近の研究(Bioorganic and Medicinal Chem. Lett. 13, 2003, 87)は、一連のリチウム化ヘテロ芳香族化合物の形成および活性化アミドへのそれらの付加反応について記載している。類推によると、スキーム6のケトン(1)への付加反応におけるこれらのリチウム化ヘテロ芳香族中間体の使用は、中間体(2d〜2k)へのアクセスを可能にする。
ケトン(1)への1,2付加反応においてビアリール、またはヘテロアリール−アリール系由来の有機金属を使用することはまた、本開示に対して適切である。このクラスの有機金属反応剤のケトン(1)への添加は、(2l)および(2m)などの中間体へのアクセスを可能にする。本開示の例示において、スキーム6のケトン(1)への付加反応において続いて使用するためのビアリール、またはヘテロ−アリール有機金属を合成することが必要である場合があることに留意すべきである。当業者であれば、このタイプの有機金属およびその前駆体の調製について記載している重要な文献を理解するであろう。例えば、Chinchillaおよび共同研究者による最近の概説(Chem. Rev. 2004, 104, 2667)は、金属化ヘテロ環の調製およびそれらの利用について記載している。ビアリールまたはヘテロアリール−アリール系の調製のための基本的な化学反応は、鈴木様カップリング反応を用いる場合が多い。Gregory Fuによって発表された文献は、このようなカップリング反応における現況技術について記載し、これらの参照文献のサブセットは以下の通りである。JACS 2004, 126, 1340; JACS, 2002, 124, 13662; Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, No.11, 1945; Angew. Chem. Int. Ed. 2002, 41, No.20, 3910; JACS 2002, 122, 4020; JACS 2001, 123, 10099; Org. Lett. 2001, Vol. 3, No. 26, 4295; Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, No.24, 3387。この著作物に加えて、この領域における重要な概説は、RossiによるSynthesis 2004, No.15, 2419など容易に利用可能である。
(実施例)
本開示を、これからその範囲を限定することを意図しない特定の実施形態に関連して説明する。一方、本開示は、全ての代替形態、修正形態、および同等形態を特許請求の範囲内に含むことができるものとして包含する。したがって、特定の実施形態を含む下記の実施例は、本開示の1つの実施を例示し、実施例は特定の実施形態を例示する目的のためであり、その手順および概念的側面の最も有用で理解しやすい説明と考えられているものを提供するために提示することが理解される。
特に断りのない限り、溶液割合は重量対容量の関係を表し、溶液比は容量対容量の関係を表す。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Bruker300、400または500MHz分光計で記録した;化学シフト(δ)は百万分率で報告する。フラッシュクロマトグラフィーを、スティルのフラッシュクロマトグラフィー技術によってシリカゲル(SiO2)上で行った(J. Org. Chem. 1978, 43, 2923)。
実施例1
スルファミドの調製
THF中の水(1当量)を、冷たい(−20℃)撹拌したイソシアン酸クロロスルホニル(1当量)のTHF溶液に加えることによって中間体の塩化スルファモイルを調製し、このように得られた溶液を0℃に温めた。この溶液に、無水Et
3N(1当量)、続いて不可欠な第二級アミン(1当量)を加えた。反応混合物を室温に加温し、次いで濾過し、濾液をロータリーエバポレーターにかけ、所望のスルファミドを得た。次いで、前記スルファミドをカルボン酸に結合し、所望のアシルスルファミドを得た。
実施例2
アシルスルファミド中間体の調製のための特定の手順
(1R、2S)1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸(217mg、1.194mmol)のTHF(5mL)溶液に、CDI(290mg、1.791mmol)を加え、反応混合物を45分間加熱還流した。別の丸底フラスコ内で、LiHMDS(ヘキサン中の1.0M溶液、2.4mL、2.4mmol)を、N−エチルメチルスルファミド(330mg、2.388mmol)のTHF(5mL)溶液に加え、反応混合物を室温で1時間撹拌した。2種の反応混合物を一緒に加え、室温で2時間撹拌した。水を加え、反応物をクエンチし、反応液をEtOAcで抽出した。有機層を分離し、MgSO
4上で乾燥させた。溶媒の蒸発によって、粗生成物を得て、これを分取HPLCによって精製し、所望のN−アシルスルファミドを得た。次いで、N−アシルスルファミドを、ジオキサン(2mL)中の4NのHCl溶液に溶解し、室温で4時間撹拌した。溶液の蒸発によって茶色がかった油状物をHCl塩として得た。(112mg、33%収率)。
1H NMR (400Mz, CD
3OD) δ 1.16 (t, J=7.21 Hz, 3 H), 1.68 (dd, J=10.03, 7.83 Hz, 1 H), 2.15 (m, 1 H), 2.37 (m, 1 H), 2.89 (s, 3 H), 3.30 (m, 2 H), 5.31 (d, J=10.27 Hz, 1 H), 5.42 (d, J=17.12 Hz, 3 H), 5.68 (m, 1 H). LC-MS (保持時間: 0.883分), MS m/z 270 (M+Na
+).
実施例3
ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の調製(方法Aおよび方法B)
指定した化合物を、下記の方法AおよびBのそれぞれによってラセミに作製した。
方法A
グリシンエチルエステルのN−ベンジルイミンの調製
グリシンエチルエステル塩酸塩(303.8g、2.16モル)を、tert−ブチルメチルエーテル(1.6L)中で懸濁した。ベンズアルデヒド(231g、2.16モル)および無水硫酸ナトリウム(154.6g、1.09モル)を加え、氷水浴を使用して混合物を0℃に冷却した。トリエチルアミン(455mL、3.26モル)を、30分に亘り1滴ずつ加え、混合物を室温で48時間撹拌した。次いで、氷水(1L)を加えることによって反応物をクエンチし、有機層を分離した。水相をtert−ブチルメチルエーテル(0.5L)で抽出し、合わせた有機相を飽和水性NaHCO
3(1L)およびブライン(1L)の混合物で洗浄した。溶液をMgSO
4上で乾燥させ、減圧濃縮し、392.4gのN−ベンジルイミン生成物を濃厚な黄色の油状物として得て、それを次の工程で直接使用した。
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 1.32 (t, J=7.1 Hz, 3H), 4.24 (q, J=7.1 Hz, 2H), 4.41 (d, J=1.1 Hz, 2H), 7.39-7.47 (m, 3H), 7.78-7.81 (m, 2H), 8.31 (s, 1H).
ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの調製
リチウムtert−ブトキシド(84.06g、1.05モル)の乾燥トルエン(1.2L)懸濁液に、グリシンエチルエステルのN−ベンジルイミン(100.4g、0.526モル)およびtrans−1,4−ジブロモ−2−ブテン(107.0g、0.500モル)の乾燥トルエン(0.6L)中の混合物を60分に亘り1滴ずつ加えた。添加完了後、水(1L)およびtert−ブチルメチルエーテル(TBME、1L)を加えることによって深紅の混合物をクエンチした。水相を分離し、TBME(1L)で再び抽出した。有機相を合わせ、1NのHCl(1L)を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。有機相を分離し、水(0.8L)で抽出した。次いで、水相を合わせ、塩(700g)で飽和させ、TBME(1L)を加え、混合物を0℃に冷却した。次いで、撹拌した混合物を、10NのNaOHを1滴ずつ加えることによってpH14に塩基性化し、有機層を分離し、水相をTBME(2×500mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、1Lの容量まで濃縮させた。遊離アミンのこの溶液に、BOC
2Oまたは二炭酸ジ−tert−ブチル(131.0g、0.6モル)を加え、混合物を室温で4日間撹拌した。さらなる二炭酸ジ−tert−ブチル(50g、0.23モル)を反応物に加え、混合物を3時間還流し、次いで一晩かけて室温まで冷却させた。反応混合物をMgSO
4上で乾燥させ、減圧濃縮し、80gの粗生成物を得た。この残渣を、フラッシュクロマトグラフィーにより精製(2.5KgのSiO
2、1%〜2%MeOH/CH
2Cl
2で溶出)し、57g(53%)のラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを黄色の油状物として得たが、それは冷蔵庫内に置いている間に凝固した。
1H NMR (CDCl
3, 300 MHz) δ 1.26 (t, J=7.1 Hz, 3H), 1.46 (s, 9H), 1.43-1.49 (m, 1H), 1.76-1.82 (br m, 1H), 2.14 (q, J=8.6 Hz, 1H), 4.18 (q, J=7.2 Hz, 2H), 5.12 (dd J=10.3, 1.7 Hz, 1H), 5.25 (br s, 1H), 5.29 (dd, J=17.6, 1.7 Hz, 1H), 5.77 (ddd, J=17.6, 10.3, 8.9 Hz, 1H); MS m/z 254.16 (M-1).
ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の調製
N−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(9.39g、36.8mmol)を、4NのHCl/ジオキサン(90ml、360mmol)に溶解し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩を定量的収率(7g、100%)で得た。
1H NMR (メタノール-d
4) δ 1.32 (t, J=7.1, 3H), 1.72 (dd, J=10.2, 6.6 Hz, 1H), 1.81 (dd, J=8.3, 6.6 Hz, 1H), 2.38 (q, J=8.3 Hz, 1H), 4.26-4.34 (m, 2H), 5.24 (dd, 10.3, 1.3 Hz, 1H) 5.40 (d, J=17.2, 1H), 5.69-5.81 (m, 1H).
方法B
ラセミのN−Boc−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩の調製
カリウムtert−ブトキシド(11.55g、102.9mmol)のTHF(450mL)溶液に、−78℃でTHF(112mL)中の市販のグリシンエチルエステルのN,N−ジベンジルイミン(25.0g、93.53mmol)を加えた。反応混合物を0℃に温め、40分間撹拌し、次いで−78℃に再冷却した。この溶液に、trans−1,4−ジブロモ−2−ブテン(20.0g、93.50mmol)を加え、混合物を0℃で1時間撹拌し、−78℃に再冷却した。カリウムtert−ブトキシド(11.55g、102.9mmol)を加え、混合物を直ちに0℃に温め、減圧濃縮する前にさらに1時間撹拌した。粗生成物を、Et
2O(530mL)に溶解し、1Nの水性HCl溶液(106mL、106mmol)を加え、このように得られた二相性混合物を室温で3.5時間撹拌した。層を分離し、水層をEt
2O(2×)で洗浄し、飽和水性NaHCO
3溶液で塩基性化した。所望のアミンを、Et
2O(3×)で抽出し、合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、遊離アミンを得た。この物質を、ジオキサン(100mL、400mmol)中の4NのHCl溶液で処理し、濃縮し、少量で未同定の芳香族不純物(8%)の存在以外は手順Aから得た物質と同一の、(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩を茶色の半固形物(5.3g、34%収率)として得た。
実施例4
N−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの分割
分割A
39℃に保持し、300rpmで撹拌し、12リットルのジャケット付き反応器内に収容したリン酸ナトリウムバッファーの水溶液(0.1M、4.25リットル(「L」)、pH8)に、511グラムのAlcalase2.4L(約425mL)(Novozymes North America Inc.)を加えた。混合物の温度が39℃に到達したときに、水中の50%NaOHを加えることによってpHを8.0に調節した。次いで、ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(85g)のDMSO(850mL)溶液を、40分に亘って加えた。次いで、反応温度を40℃に24.5時間保持し、その間に混合物のpHを、水中の50%NaOHを使用して1.5時間および19.5時間時点で8.0に調節した。24.5時間後、エステルのエナンチオ過剰率を97.2%であると決定し、反応物を室温(26℃)に冷却し、一晩撹拌し(16時間)、その後エステルのエナンチオ過剰率は100%であると決定した。次いで、反応混合物のpHを、50%NaOHで8.5に調節し、このように得られた混合物を、MTBE(2×2L)で抽出した。次いで、合わせたMTBE抽出物を5%NaHCO
3(3×100mL)、水(3×100mL)で洗浄し、真空中で蒸発させ、鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを淡黄色の固形物(42.55g;純度:97%@210ナノモル(「nM」)、酸は含有せず;100%鏡像体過剰率(「ee」))として得た。
次いで、抽出工程からの水層を、50%H
2SO
4でpH2まで酸性化し、MTBE(2×2L)で抽出した。MTBE抽出物を水(3×100mL)で洗浄し、蒸発させ、酸を淡黄色固形物(42.74g;純度:99%@210nM、エステルを含有せず)として得た。
分割B
24ウェルプレート(容量:10ml/ウェル)のウェル中の100ミリモル(「mM」)のHeps・Naバッファー(pH8.5)(0.5mL)に、0.1mLのSavinase16.0L(バチルス・クラウシイからのプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)およびラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)のDMSO(0.1mL)溶液を加えた。プレートを密封し、250rpmで40℃にてインキュベートした。18時間後、エステルのエナンチオ過剰率は、下記のように44.3%であると決定した。0.1mLの反応混合物を取り出し、1mLエタノールとよく混合し;遠心分離後、10マイクロリットル(「μl」)の上清をキラルHPLCで分析した。残りの反応混合物に、0.1mLのDMSOを加え、プレートをさらに3日間250rpmで40℃にてインキュベートし、その後4mLのエタノールをウェルに加えた。遠心分離後、10μlの上清をキラルHPLCで分析し、エステルのエナンチオ過剰率を100%であると決定した。
分割C
24ウェルプレート(容量:10mL/ウェル)のウェル中の100mMのHeps・Naバッファー(pH8.5)0.5mlに、0.1mlのEsperase8.0L(バチルス・ハロデュランスからのプロテアーゼ)(Novozymes North America Inc.)およびラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(10mg)のDMSO(0.1mL)溶液を加えた。プレートを密封し、250rpmで40℃にてインキュベートした。18時間後、エステルのエナンチオ過剰率は、下記のように39.6%であると決定した。0.1mLの反応混合物を取り出し、1mLのエタノールとよく混合し;遠心分離後、10μlの上清を、キラルHPLCで分析した。残りの反応混合物に、0.1mLのDMSOを加え、プレートをさらに3日間250rpmで40℃にてインキュベートし、その後4mLのエタノールをウェルに加えた。遠心分離後、10μlの上清をキラルHPLCで分析し、エステルのエナンチオ過剰率は100%であると決定した。
試料分析を下記の方法によって行った。
1)試料の調製:約0.5mlの反応混合物を、10容量のEtOHとよく混合した。遠心分離後、10μlの上清をHPLCカラムに注入した。
2)変換の決定:
カラム:YMC ODS A、4.6×50ミリメートル(「mm」)、S−5μm
溶媒:A、水中の1mMのHCl;B、MeCN
グラジエント:1分間、30%B;0.5分間、30%〜45%B;1.5分間、45%B;0.5分間、45%〜30%B
流量:2ml/分
UV検出:210nM
保持時間:酸、1.2分;エステル、2.8分。
3)エステルについてのエナンチオ過剰率の決定:
カラム:CHIRACEL OD−RH、4.6×150mm、S−5μm
移動相:水中のMeCN/50mMのHClO4(67/33)
流量:0.75ml/分
UV検出:210nM
保持時間:
(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸、5.2分;
ラセミの(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル、18.5分および20.0分;
(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル、18.5分。
分割D
0.3Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH8)5Lを、20リットルのジャケット付き反応器中で38℃に保持し、130rpmで撹拌した。4リットルのAlcalase2.4L(Novozymes North America Inc.)および1リットルの脱イオン水を反応器に加えた。混合物の温度が38℃に近づいたとき、10NのNaOHでpHを7.8に調節した。ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(500グラム)のDMSO(5リットル)溶液を、添加漏斗によって1時間に亘り反応器に加えた。次いで、反応温度を48℃に調節した。21時間後、エステルのエナンチオ過剰率は99.3%に達した。加熱を24時間で止め、反応物を室温(約25℃)にゆっくりと冷却し、一晩撹拌した。10NのNaOHで反応混合物のpHを8.5に調節し、混合物をMTBE(2×4L)で抽出した。合わせたMTBE抽出物を、5%NaHCO3(3×400ml)および水(3×400ml)で洗浄し、蒸発させ、鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを淡黄色の結晶(259g;純度:96.9%@210nM、酸を含有せず;100%ee)として得た。
分割E
10Lの0.1Mのリン酸ナトリウムバッファー(pH8)を、20リットルジャケット付き反応器中で40℃に保持し、360rpmで撹拌した。1.5リットルのAlcalase2.4L(Novozymes North America Inc.)を反応器に加えた。混合物の温度が38℃に近づいたときに、10NのNaOHでpHを8.0に調節した。ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(200グラム)のDMSO(2リットル)溶液を、添加漏斗によって1時間に亘り反応器に加えた。次いで、反応温度を40℃に調節した。3時間後、10NのNaOHでpHを8.0に調節した。21時間後、反応物を25℃に冷却した。10NのNaOHで反応混合物のpHを8.5に調節し、混合物をMTBE(2×5L)抽出した。合わせたMTBE抽出物を5%NaHCO3(3×500ml)および水(3×200ml)で洗浄し、蒸発させて、110グラムの黄色の油状物を得た。油状物は、一般的な吸引装置で室温にて固化し、鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを無色の長いロッド結晶(101g;純度:97.9%@210nM、酸を含有せず;100%ee)として得た。
結晶構造である鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを、単結晶分析(X線NB#:52795−093、参照コード:634592N1)によって特性決定した。公知のキラル中心またはより重い原子(複数可)がないために、絶対配置は確立されない。結晶軸に沿った鎖状構造が、アミド基とカルボニル酸素原子との間の分子間の水素結合(N…O3.159Å)を介して形成される。
N−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの構造:
N−Boc−(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの構造:
結晶データ: 実験:
化学式:C13H21N1O4 結晶化
晶系:斜方晶 結晶源:MTBE
空間群:P2
12
12
1 結晶の説明:無色のロッド
a=5.2902(1)Å、α=90° 結晶サイズ(mm):0.12×0.26×0.30
b=13.8946(2)Å、β=90° データ収集
c=19.9768(3)Å、γ=90° 温度(K):293
V=1468.40(4)Å
3 θ
max(°):65.2(Cu Kα)
Z=4、d
x=1.155gcm
-3 測定反射数:7518
格子定数についての反射数:6817 独立反射数:2390(R
int=0.0776)
格子定数(°)についてのθ範囲:2.2〜65.2 測定反射数(I≧2σ:2284
吸収係数(mm
-1):0.700 吸収補正(T
min-T
max):0.688〜1.000
分割F
0.2Mのホウ酸ナトリウムバッファー(pH9)5Lを、20リットルジャケット付き反応器中で45℃に保持し、400rpmで撹拌した。3リットルの脱イオン水および4リットルのSavinase 16L、タイプEX(Novozymes North America Inc.)を、反応器に加えた。混合物の温度が45℃に近づいたときに、10NのNaOHでpHを8.5に調節した。ラセミのN−Boc−(1R,2S)/(1S,2R)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル(200グラム)のDMSO(2リットル)溶液を、添加漏斗によって40分間に亘り反応器に加えた。次いで、反応温度を48℃に調節した。2時間後、10NのNaOHでpHをpH9.0に調節した。18時間で、エステルのエナンチオ過剰率は72%に達し、10NのNaOHでpHを9.0に調節した。24時間で、温度を35℃に下げた。42時間で、温度を48℃に上げ、10NのNaOHでpHを9.0に調節した。48時間で加熱を止め、反応物を室温(約25℃)にゆっくりと冷却し、一晩撹拌した。66時間で、反応混合物のpHは8.6であった。混合物をMTBE(2×4L)で抽出した。合わせたMTBE抽出物を、5%NaHCO3(6×300ml)および水(3×300ml)で洗浄し、蒸発させ、鏡像異性的に純粋なN−Boc−(1R,2S)/−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを淡黄色の結晶(101Ag;純度:95.9%@210nM、酸を含有せず;98.6%ee)として得た。
実施例5
工程1:エチル1(R)−アミノ−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩の調製
エチル1(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(8.5g、33.3mmol)を、4NのHCl/ジオキサン(Aldrich)200mLと共にN
2雰囲気下にて室温で3時間撹拌した。温度を40℃未満に保ちながら溶媒を減圧下で除去した。これによって、6.57g(約100%)のエチル1(R)−アミノ−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩を淡褐色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 1.31 (t, J=7.0 Hz, 3 H), 1.69-1.82 (m, 2 H), 2.38 (q, J=8.8 Hz, 1 H), 4.29 (q, J=7.0 Hz, 2 H), 5.22 (d, J=10.3 Hz, 1 H), 5.40 (d, J=17.2 Hz, 1 H), 5.69-5.81 (m, 1 H). MS m/z 156 (M++1).
工程2:エチル1(R)−[1−tert−ブトキシカルボニル−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートの調製
塩化メチレン(400mL)中のBoc−L−4−ヒドロキシプロリン(N−Boc(2S,4R)−ヒドロキシプロリン)(10g、43.3mmol)の撹拌したスラリーを、N−メチルモルホリン(9.3mL、84.7mmol)、HATU(19.5g、51.3mmol)、およびエチル1(R)−アミノ−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩(9.1g、47.5mmol)で順次処理した。金色の均一溶液を室温でN
2下18時間撹拌し、次いで減圧濃縮し、茶色の油状物を得た。これを、酢酸エチルおよび飽和水性NaHCO
3に分配した。有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、15g(94%)のエチル1(R)−[1−tert−ブトキシカルボニル−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートをオフホワイトの固形物として得た。LC−MS(Xterra HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:3分。保持時間:1分。流量:5mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.09分)。MS m/z 369 (M++1).
工程3:エチル1(R)−[4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩の調製
エチル1(R)−[1−tert−ブトキシカルボニル−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(5.0g、13.6mmol)の撹拌したスラリーを、4NのHCl/ジオキサン(20mL)で3時間処理した。反応混合物を減圧濃縮し、4.5g(97%)のエチル1(R)−[4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩を白色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 1.26 (t, J=7.14 Hz, 3 H), 1.46 (dd, J=9.70, 5.31 Hz, 1 H), 1.80 (dd, J=8.23, 5.31 Hz, 1 H), 2.00 - 2.15 (m, 1 H), 2.18 - 2.30 (m, 1 H), 2.45 (dd, J=13.36, 7.50 Hz, 1 H), 3.36 - 3.48 (m, 1 H), 4.11 - 4.24 (m, 2 H), 4.44 (dd, J=10.25, 7.68 Hz, 1 H), 4.58 - 4.65 (m, 1 H), 4.84 - 4.94 (m, 1 H), 5.17 (d, J=1.83 Hz, 1 H), 5.27 - 5.42 (m, 1 H), 5.67 - 5.89 (m, 1 H).
実施例6
シクロプロピルスルホンアミドの調製、方法AおよびB
方法A:
0℃に冷却した100mLのTHFの溶液に、飽和に達するまでアンモニアガスを泡立てた。この溶液に、塩化シクロプロピルスルホニル(5g(28.45mmol))(Array Biopharmaから購入)のTHF(50mL)溶液を加え、溶液を一晩室温に温め、さらに1日撹拌した。1〜2mLの溶媒が残るまで混合物を濃縮し、SiO
2のプラグ30gに加え(30%〜60%EtOAc/ヘキサンで溶出)、3.45g(100%)のシクロプロピルスルホンアミドを白色の固形物として得た。
1H NMR (メタノール-d
4) δ 0.94-1.07 (m, 4H), 2.52-2.60 (m, 1H);
13C NMR (メタノール-d
4) δ 5.92, 33.01.
方法B:
工程1:N−tert−ブチル−(3−クロロ)プロピルスルホンアミドの調製
tert−ブチルアミン(3.0モル、315.3mL)を、THF(2.5L)に溶解した。溶液を−20℃に冷却した。塩化3−クロロプロパンスルホニル(1.5モル、182.4mL)をゆっくりと加えた。反応混合物を室温まで温め、24時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をCH
2Cl
2(2.0L)に溶解した。このように得られた溶液を、1NのHCl(1.0L)、水(1.0L)、ブライン(1.0L)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させた。それを濾過し、減圧濃縮し、僅かに黄色の固形物を得て、それをヘキサンから結晶化させることによって、生成物を白色の固形物(316.0g、99%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.38 (s, 9H), 2.30-2.27 (m, 2H), 3.22 (t, J = 7.35 Hz, 2H), 3.68 (t, J = 6.2 Hz, 2H), 4.35 (b, 1H).
工程2:シクロプロパンスルホン酸tert−ブチルアミドの調製
N−tert−ブチル−(3−クロロ)プロピルスルホンアミド(2.14g、10.0mmol)のTHF(100mL)溶液に、n−BuLi(ヘキサン中2.5M、8.0mL、20.0mmol)を−78℃で加えた。反応混合物を1時間に亘り室温まで温めた。揮発性物質を真空中で除去した。残渣をEtOACおよび水に分配した(200mL、200mL)。分離した有機相を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。残渣をヘキサンから再結晶させ、所望の生成物を白色の固形物(1.0g、56%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.98-1.00 (m, 2H), 1.18-1.19 (m, 2H), 1.39 (s, 9H), 2.48-2.51 (m, 1H), 4.19 (b, 1H).
工程3:シクロプロピルスルホンアミドの調製
シクロプロパンスルホン酸tert−ブチルアミド(110.0g、0.62モル)のTFA(500mL)溶液を、室温で16時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した。残渣をEtOAC/ヘキサン(60mL/240mL)から再結晶させ、所望の生成物を白色の固形物(68.5g、91%)として得た。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 0.84-0.88 (m, 2H), 0.95-0.98 (m, 2H), 2.41-2.58 (m, 1H), 6.56 (b, 2H).
実施例7
N−tert−ブチル−(1−メチル)シクロプロピルスルホンアミドの調製
工程1a N−tert−ブチル−(3−クロロ)プロピルスルホンアミドの調製
上記の通りである。
工程1b N−tert−ブチル−(1−メチル)シクロプロピルスルホンアミドの調製
N−tert−ブチル−(3−クロロ)プロピルスルホンアミド(4.3g、20mmol)の溶液を、乾燥THF(100mL)に溶解し、−78℃に冷却した。この溶液に、n−BuLi(17.6mL、44mmol、ヘキサン中2.5M)をゆっくりと加えた。乾燥氷浴を取り除き、反応混合物を室温へと1.5時間に亘り温めた。次いで、この混合物を−78℃に冷却し、n−BuLi(20mmol、8mL、ヘキサン中2.5M)の溶液を加えた。反応混合物を室温に温め、2時間に亘って−78℃に再び冷却し、ヨウ化メチル(5.68g、40mmol)のニート溶液を加えた。反応混合物を一晩室温に温め、飽和NH
4Cl(100mL)で室温にてクエンチした。それをEtOAc(100mL)で抽出した。有機相を、ブラインで洗浄し(100mL)、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、黄色の油状物を得て、それをヘキサンから結晶化させることによって、生成物を僅かに黄色の固形物(3.1g、81%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.79 (m, 2H), 1.36 (s, 9H), 1.52 (m, 2H), 1.62 (s, 3H), 4.10 (bs, 1H).
工程1c:1−メチルシクロプロピルスルホンアミドの調製
N−tert−ブチル−(1−メチル)シクロプロピルスルホンアミド(1.91g、10mmol)の溶液を、TFA(30mL)に溶解し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、黄色の油状物を得て、それをEtOAc/ヘキサン(1:4、40mL)から結晶化させて、実施例3、1−メチルシクロプロピルスルホンアミドを白色の固形物(1.25g、96%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.84 (m, 2H), 1.41 (m, 2H), 1.58 (s, 3H), 4.65 (bs, 2H). 元素分析: C
4H
9NO
2Sの計算値: C, 35.54; H, 6.71; N, 10.36. 実測値: C, 35.67; H, 6.80; N, 10.40.
実施例9
1−プロピルシクロプロピルスルホンアミドの調製
工程1b:N−tert−ブチル−(1−ベンジル)シクロプロピル−スルホンアミドの調製
この方法の第2の工程においてヨウ化メチルの代わりにハロゲン化プロピルを利用した以外は、1−メチルシクロプロピルスルホンアミドの調製について説明した方法を使用して、この化合物を調製した。
実施例10
N−tert−ブチル−(1−アリル)シクロプロピルスルホンアミドの調製
この化合物、N−tert−ブチル−(1−アリル)シクロプロピルスルホンアミドを、1.25当量の臭化アリルを求電子試薬として使用する以外は、N−tert−ブチル−(1−メチル)シクロプロピルスルホンアミドの合成において説明した手順によって97%収率で得た。化合物を、精製をせずに次の反応に直接入れた。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.83 (m, 2H), 1.34 (s, 9H), 1.37 (m, 2H), 2.64 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 4.25 (bs, 1H), 5.07-5.10 (m, 2H), 6.70-6.85 (m, 1H).
1−アリルシクロプロピルスルホンアミドの調製
この化合物、1−アリルシクロプロピルスルホンアミドを、1−メチルシクロプロピルスルホンアミドの合成において説明した手順によって、N−tert−ブチル−(1−アリル)シクロプロピルスルホンアミドから40%収率で得た。CH
2Cl
2中の2%MeOHを溶離液として使用してSiO
2上でカラムクロマトグラフィーによって化合物を精製した。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.88 (m, 2 H), 1.37 (m, 2 H), 2.66 (d, J=7.0 Hz, 2 H), 4.80 (s, 2 H), 5.16 (m, 2 H), 5.82 (m, 1 H);
13C NMR (CDCl
3) δ 11.2, 35.6, 40.7, 119.0, 133.6.
実施例15
シクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの調製、C1−置換シクロプロピルスルホンアミドの調製における重要中間体
工程1:3−クロロプロピルスルホンアミドの調製
塩化3−クロロプロパンスルホニル(55g、310.7mmol)の溶液を、THF(200mL)に溶解し、0℃に冷却したNH
4OH(200mL)の溶液に30分間に亘り1滴ずつ加えた。反応混合物を室温に温め、1時間撹拌し、水層をジクロロメタン(4×500mL)で複数回分配した。合わせたジクロロメタン層を、1NのHCl(150mL)、水(150mL)で洗浄し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。ヘキサン中の最小量のジクロロメタンから粗固形物を再結晶させ、3−クロロプロピルスルホンアミドを白色の固形物(45.3g、93%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 2.34 (m, 2H), 3.32 (t, J=7.3 Hz, 2H), 3.70 (t, J=6.2 Hz, 2H), 4.83 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 27.10, 42.63, 52.57.
工程2:3−クロロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの調製
3−クロロプロピルスルホンアミド(30.2g、191.5mmol)、トリエチルアミン(30.2mL、217.0mmol)、および4−DMAP(2.40g、19.6mmol)の0℃に冷却したジクロロメタン(350mL)溶液に、二炭酸ジ−tert−ブチル(47.2g、216.9mmol)のジクロロメタン(250mL)溶液を30分間に亘りゆっくりと一滴ずつ加えた。反応混合物を室温に温め、さらに3時間撹拌し、1NのHCl(300mL)、水(300mL)、ブライン(300mL)で分配し、MgSO
4上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。この物質をヘキサン中の5%ジクロロメタン70mLで粉砕し、3−クロロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートをオフホワイトの固形物(47.2g、96%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.51 (s, 9H), 2.33 (m, 2H), 3.60 (t, J=7.3 Hz, 2H), 3.68 (t, J=6.21 Hz, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 26.50, 27.95, 42.37, 50.40, 84.76, 149.53.
工程3:シクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの調製
n−ブチルリチウム(74.7mL、119.5mmol、ヘキサン中1.6M)の溶液を、乾燥THF(105mL)に溶解し、アルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。この溶液に、3−クロロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメート(14g、54.3mmol)の乾燥THF(105mL)溶液を20〜30分間に亘り一滴ずつ加えた。乾燥氷浴を取り除き、反応混合物を室温に2時間に亘って温めた。反応混合物を、氷酢酸(3.4mL)でクエンチし、減圧濃縮し、ジクロロメタン(100mL)および水(100mL)に分配した。有機相をブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、シクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートを蝋様のオフホワイトの固形物(12.08g、100%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.10 (m, 2H), 1.34 (m, 2H), 1.50 (s, 9H), 2.88 (m, 1H), 7.43 (s, 1H).
13C NMR (CDCl
3) δ 6.21, 28.00, 31.13, 84.07, 149.82.
実施例16
1−メトキシ−メチルシクロプロピル−スルホンアミドの調製
工程1:1−メトキシメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの調製
−78℃に冷却したTHF(30mL)に溶解したシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメート(1.0g、4.5mmol)の溶液に、n−ブチルリチウム(6.4mL、10.2mmol、ヘキサン中1.6M)を加え、反応混合物を1時間撹拌した。この溶液に、クロロメチルメチルエーテル(0.40mL、5.24mmol)のニート溶液を加え、混合物をゆっくりと室温に一晩温めた。1NのHCl水溶液を使用して溶液pHを3に調節し、次いで酢酸エチル(4×50mLの部分)で抽出した。合わせた抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮し、1−メトキシメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートを蝋様の固形物(1.20g、100%)として得て、これをさらに精製せずに次の反応に直接入れた。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.03 (m, 2H), 1.52 (s, 9H), 1.66 (m, 2H), 3.38 (s, 3H), 3.68 (s, 2H), 7.54 (s, 1H);
13C NMR (CDCl
3) δ 11.37, 28.29, 40.38, 58.94, 73.43, 83.61, 149.57.
工程2:1−メトキシメチルシクロプロピルスルホンアミドの調製
1−メトキシメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメート(1.14g、4.30mmol)の溶液を、50%TFA/ジクロロメタン(30mL)の溶液に溶解し、室温で16時間撹拌した。溶媒を真空中で除去し、残渣を80gのSiO
2上でクロマトグラフ(0%〜60%酢酸エチル/ヘキサンで溶出)にかけ、1−メトキシメチルシクロプロピルスルホンアミドを白色の固形物(0.55g、2つの工程に亘り全77%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.95 (m, 2H), 1.44 (m, 2H), 3.36 (s, 3H), 3.65 (s, 2H), 4.85 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 11.17, 40.87, 59.23, 74.80; LRMS m/z 183 (M
++NH
4).
実施例17
1−シクロプロピルメチルシクロプロピルスルホンアミドの調製
工程1:1−シクロプロピルメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの調製
1−シクロプロピルメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートを、1.10当量の臭化シクロプロピルメチルを求電子試薬として使用した以外は、1−メトキシメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの合成において説明した手順によって、92%収率で得た。化合物を、精製をせずに次の反応に直接入れた。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.10 (m, 2H), 0.51 (m, 2H), 0.67 (m, 1H), 1.10 (m, 2H), 1.49 (s, 9H), 1.62 (m, 2H), 1.87 (d, J=7.0 Hz, 2H).
工程2:1−シクロプロピルメチルシクロプロピルスルホンアミドの調製
この化合物を、1−メトキシメチルシクロプロピルスルホンアミドの合成について説明した手順によって、1−シクロプロピルメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートから65%収率で得た。溶離液としてヘキサン中の0%〜60%酢酸エチルを使用してSiO
2上でカラムクロマトグラフィーによって化合物を精製した。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.15 (m, 2H), 0.51 (m, 2H), 1.01 (m, 2H), 1.34 (m, 3H), 1.86 (d, J=7.0 Hz, 2H), 4.83 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 4.65, 7.74, 11.26, 35.62, 41.21; LRMS m/z 193 (M
++NH
4).
実施例19
1−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバモイルシクロプロパンスルホンアミドの調製
工程1:1−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバモイルシクロプロパンスルホンアミドtert−ブチルカルバメートの調製
この化合物を、1.20当量の3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イソシアネートを求電子試薬として使用した以外は、1−メトキシメチルシクロプロピルスルホニルアミンtert−ブチルカルバメートの合成で説明した手順によって、未精製物として100%収率で得た。化合物を、精製をせずに次の反応に直接入れた。
工程2:1−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバモイルシクロプロパンスルホンアミドの調製
30mL(120mmol)の4NのHCl/ジオキサンを使用し、一晩撹拌し、濃縮し、Biotage40Mカラム(0%〜5%メタノール/ジクロロメタンで溶出)上でクロマトグラフィーすることによって、この化合物を、1.62g(4.52mmol)の1−(3,5−ジメチルイソオキサゾール−4−イル)カルバモイルシクロ−プロパンスルホンアミドtert−ブチルカルバメートから50%収率(580mg)で得た。
1H NMR (メタノール-d
4) δ 1.57 (m, 2H), 1.61 (m 2H), 2.15 (s, 3H), 2.30 (s, 3H), 4.84 (s, 3H);
13C NMR (メタノール-d
4) δ 9.65, 10.94, 15.01, 46.11, 114.82, 159.45, 165.55, 168.15; LRMS m/z 260 (M
++H).
実施例20
臭化シクロブチルからのシクロブチルスルホンアミドの調製
臭化シクロブチル5.0g(37.0mmol)の−78℃に冷却した無水ジエチルエーテル(Et
2O)(30mL)溶液に、ペンタン中の1.7Mのtert−ブチルリチウム44mL(74.8mmol)を加え、溶液を−35℃に1.5時間に亘りゆっくりと温めた。この混合物を、新たに蒸留した塩化スルフリル5.0g(37.0mmol)の−40℃に冷却したヘキサン(100mL)溶液にゆっくりとカニューレで入れ、0℃に1時間に亘って温め、真空中で注意深く濃縮した。この混合物をEt
2Oで再溶解し、いくらかの氷水で1度洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、注意深く濃縮した。この混合物を20mLのTHFに再溶解し、THF中の飽和NH
3(500mL)に1滴ずつ加え、一晩撹拌した。混合物を黄色の粗固形物となるまで減圧濃縮し、1〜2滴のMeOHでヘキサン中の最小量のCH
2Cl
2から再結晶させ、1.90g(38%)のシクロブチルスルホンアミドを白色の固形物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.95-2.06 (m, 2H), 2.30-2.54 (m, 4H), 3.86 (p, J=8 Hz, 1H), 4.75 (brs, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 16.43, 23.93, 56.29. HRMS m/z (M-H)
- C
4H
8NSO
2の計算値: 134.0276, 実測値 134.0282.
実施例21
シクロペンチルスルホンアミドの調製
2Mのシクロペンチル−塩化マグネシウム18.5mL(37.0mmol)のエーテル溶液を、新たに蒸留した塩化スルフリル(Aldrichから入手)3.0mL(37.0mmol)の−78℃に冷却したヘキサン(100mL)溶液に1滴ずつ加えた。混合物を0℃に1時間に亘り温め、次いで真空中で注意深く濃縮した。この混合物をEt
2O(200mL)に再溶解し、いくらかの氷水(200mL)で1度洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、注意深く濃縮した。この混合物を35mLのTHFに再溶解し、THF中の500mLの飽和NH
3に1滴ずつ加え、一晩撹拌した。混合物を黄色の粗固形物へと減圧濃縮し、溶離液として70%EtOAc−ヘキサンを使用して残渣を50gのシリカゲルで濾過し、次いで溶液を濃縮した。残渣を、1〜2滴のMeOHでヘキサン中の最小量のCH
2Cl
2から再結晶させ、2.49g(41%)のシクロペンチルスルホンアミドを白色の固形物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.58-1.72 (m, 2H), 1.74-1.88 (m, 2H), 1.94-2.14 (m, 4H), 3.48-3.59 (m, 1H), 4.80 (bs, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 25.90, 28.33, 63.54; MS m/e 148 (M-H)
-.
実施例22
シクロヘキシルスルホンアミドの調製
2Mの塩化シクロヘキシルマグネシウム(TCI Americas)18.5mL(37.0mmol)のエーテル溶液を、新たに蒸留した塩化スルフリル3.0mL(37.0mmol)の−78℃に冷却したヘキサン(100mL)溶液に1滴ずつ加えた。混合物を0℃に1時間に亘って温め、次いで真空中で注意深く濃縮した。この混合物をEt
2O(200mL)に再溶解し、いくらかの氷水(200mL)で1度洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、注意深く濃縮した。この混合物を35mLのTHFに再溶解し、THF中の500mLの飽和NH
3に1滴ずつ加え、一晩撹拌した。混合物を、黄色の粗固形物へと減圧濃縮し、70%EtOAc−ヘキサンを溶離液として使用して残渣を50gのシリカゲルで濾過し、濃縮した。残渣を、1〜2滴のMeOHでヘキサン中の最小量のCH
2Cl
2から再結晶させ、1.66g(30%)のシクロヘキシル−スルホンアミドを白色の固形物として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.11-1.37 (m, 3H), 1.43-1.56 (m, 2H), 1.67-1.76 (m, 1H), 1.86-1.96 (m, 2H), 2.18-2.28 (m, 2H), 2.91 (tt, J=12, 3.5 Hz, 1H), 4.70 (bs, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 25.04, 25.04, 26.56, 62.74; MS m/e 162 (M-1)
-.
実施例23
ネオペンチルスルホンアミドの調製
シクロヘキシルスルホンアミドの調製のための手順に従って、ジエチルエーテル中の0.75Mの塩化ネオペンチルマグネシウム(Alfa)49mL(37mmol)を、1.52g(27%)のネオペンチルスルホンアミドに白色の固形物として変換した。
1H NMR (CDCl
3) δ 1.17 (s, 9H), 3.12 (s, 2H), 4.74 (brs, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 29.46, 31.51, 67.38; MS m/e 150 (M-1)
-.
実施例24
シクロブチルカルビニルスルホンアミドの調製
臭化シクロブチルカルビニル(Aldrich)12.3g(83mmol)およびヨウ化ナトリウム13.7g(91mmol)のアセトン(150mL)溶液を、一晩還流し、次いで室温に冷却した。無機固形物を濾過し、アセトンおよびヨウ化シクロプロピルカルビニル(8.41g、46%)を、周囲温度および150torr、80℃でそれぞれ蒸留した。
ヨウ化シクロブチルカルビニル4.0g(21.98mmol)の−78℃に冷却した無水ジエチルエーテル(ジエチルエーテル)(30mL)溶液を、1.3Mのsec−ブチルリチウム17mL(21.98mmol)のシクロヘキサン溶液にカニューレで入れ、溶液を5分間撹拌した。この混合物に、新たに蒸留した塩化スルフリル3.0g(21.98mmol)の−78℃に冷却したヘキサン(110mL)溶液をカニューレで入れ、混合物を室温に1時間に亘り温め、次いで注意深く減圧濃縮した。この混合物をジエチルエーテルに再溶解し、いくらかの氷水で1度洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、濾過し、注意深く濃縮した。この混合物を30mLのTHFに再溶解し、THF中の500mLの飽和NH3に1滴ずつ加え、一晩撹拌した。混合物を黄色の粗固形物へと減圧濃縮し、1〜2滴のメタノールでヘキサン中の最小量のジクロロメタンから再結晶させ、1.39g(42%)のシクロブチルカルビニルスルホンアミドを白色の固形物として得た。1H NMR (CDCl3) δ 1.81-2.03 (m, 4H), 2.14-2.28 (m, 2H), 2.81-2.92 (m, 1H), 3.22 (d, J=7 Hz, 2H), 4.74 (brs, 2H); 13C NMR (CDCl3) δ 19.10, 28.21, 30.64, 60.93; MS m/e 148 (M-1)-.
実施例25
シクロプロピルカルビニルスルホンアミドの調製
シクロブチルカルビニルスルホンアミドの調製のために用いた手順を使用して、臭化シクロプロピルカルビニル(Aldrich)からシクロプロピルカルビニルスルホンアミドを調製した(JACS 1981, p.442-445をまた参照されたい)。
1H NMR (CDCl
3) δ 0.39-0.44 (m, 2H), 0.67-0.76 (m, 2H), 1.13-1.27 (m, 1H), 3.03 (d, J=7.3 Hz, 2H), 4.74 (brs, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 4.33, 5.61, 59.93; MS m/e 134 (M-1).
実施例26
2−チオフェンスルホンアミドの調製
Justus Liebigs Ann. Chem., 501, 1933, p.174-182の方法を使用して、2−チオフェンスルホニルクロリド(Aldrichから購入)から調製した。
実施例27
4−ブロモベンゼンスルホンアミドの調製
市販の4−ブロモスルホニルクロリドをTHF中の飽和アンモニアで処理することによって、4−ブロモフェニルスルホンアミドを調製した。
実施例28
シクロプロパンスルホン酸(1−(R)−アミノ−2−(S)−ビニル−シクロプロパンカルボニル)アミドHCl塩の調製
工程1:1(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸の調製
1(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(3.28g、13.2mmol)のTHF(7mL)およびメタノール(7mL)溶液に、水(14mL)中のLiOH(1.27g、53.0mmol)の懸濁液を加えた。混合物を室温で一晩撹拌し、1NのNaOH(15mL)および水(20mL)でクエンチした。このように得られた混合物を酢酸エチル(20mL)で洗浄し、有機相を0.5NのNaOH20mLで抽出した。合わせた水相を1NのHClでpH4まで酸性化し、酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、濃縮して、表題化合物を白色の固形物(2.62g、87%)として得た。
1H NMR: (DMSO-d
6) δ 1.22-1.26 (m, 1H), 1.37 (s, 9H), 1.50-1.52 (m, 1H), 2.05 (q, J=9 Hz, 1H), 5.04 (d, J=10 Hz, 1H), 5.22 (d, J=17 Hz, 1H), 5.64-5.71 (m, 1H), 7.18, 7.53 (s, NH (回転異性体), 12.4 (br s, 1H) ); MS m/z 228 (M++H).
工程2:シクロプロパンスルホン酸(1−(R)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−2−(S)−ビニルシクロプロパンカルボニル)−アミドの調製
工程1の生成物(2.62g、11.5mmol)およびCDI(2.43g、15.0mmol)のTHF(40mL)溶液を、窒素下で50分間加熱還流した。溶液を室温に冷却し、カニューレによってシクロプロピルスルホンアミド(1.82g、15.0mmol)のTHF(10mL)溶液に移した。このように得られた溶液に、DBU(2.40mL、16.1mmol)を加え、撹拌を20時間続けた。混合物を、1NのHClでpH1までクエンチし、THFを減圧濃縮した。懸濁液を酢酸エチル(2×50mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を乾燥させ(Na
2SO
4)、濾過し、濃縮した。ヘキサン−酢酸エチル(1:1)からの再結晶による精製によって、表題化合物(2.4g)を白色の固形物として得た。母液をBiotage40Sカラム(ジクロロメタン中の9%アセトンで溶出)によって精製し、表題化合物の第2のバッチ(1.1g)を得た。両方のバッチを合わせた(総収率92%)。
1H NMR (DMSO-d
6) δ 0.96-1.10 (m, 4H), 1.22 (dd, J=5.5, 9.5 Hz, 1H), 1.39 (s, 9H), 1.70 (t, J=5.5 Hz, 1H), 2.19-2.24 (m, 1H), 2.90 (m, 1H), 5.08 (d, J=10 Hz, 1H), 5.23 (d, J=17 Hz, 1H), 5.45 (m, 1H), 6.85, 7.22 (s, NH (回転異性体); MS m/z 331 (M
++H).
工程3:シクロプロパンスルホン酸(1−(R)−アミノ−2−(S)−ビニル−シクロプロパンカルボニル)アミドHCl塩の調製
工程2の生成物(3.5g、10.6mmol)のジクロロメタン(35mL)およびTFA(32mL)溶液を、室温で1.5時間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣をジエチルエーテル(20mL)中の1NのHCl中に懸濁させ、減圧濃縮した。この手順を一度繰り返した。このように得られた混合物をペンタンから粉砕し、濾過し、表題化合物を吸湿性のオフホワイトの固形物(2.60g、92%)として得た。
1H NMR: (DMSO-d
6) δ 1.01-1.15 (m, 4H), 1.69-1.73 (m, 1H), 1.99-2.02 (m, 1H), 2.38 (q, J=9 Hz, 1H), 2.92-2.97 (m, 1H), 5.20 (d, J=11 Hz, 1H), 5.33 (d, J=17 Hz, 1H), 5.52-5.59 (m, 1H), 9.17 (br s, 3H); MS m/z 231 (M
++H).
実施例29
(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸、実施例29の調製
工程1:1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステルの調製
2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8−ノネン酸(RSP Amino Acidsから購入)(3.5g、12.9mmol)のDCM(200mL)溶液を、4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(2.15g、11.8mmol)、N−メチルモルホリン(4.25mL、38.6mmol)、およびHATU(5.37g、14.1mmol)で順次処理した。反応混合物を室温でN
2下3日間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファー(重フタル酸)に分配した。有機相を飽和水性NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)によって、4.7g(約100%)の1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステルを無色の油状物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 1.33-1.50(m, 8 H), 1.46 (s, 9 H), 1.57 (m, 1 H), 1.72 (m, 1 H) 2.08 (m, 2 H), 2.28 (m, 1 H), 3.72 (s, 3 H,) 3.75-3.87 (m, 2 H), 4.36 (m, 1 H), 4.51 (bs, 1 H), 4.57 (t, J=8.2 Hz, 1 H), 4.95 (d, J=10.4 Hz, 1 H), 5.01 (m, 1 H), 5.83 (m, 1 H); MS m/z 399 (M
++1).
工程2:1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの調製
1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステル(4.7g、11.8mmol)を、THF(80mL)、メタノール(20mL)、および水(40mL)に溶解した。粉末水酸化リチウム(5.6g、233mmol)を加えた。淡黄色のスラリーを室温でN
2下16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pHが4となるまで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液を、EtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、4.36g(96%)の1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8−ノネノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸を白色の固形物として得た。次いで、この酸を150mLのDMFに溶解し、(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩(2.61g、13.6mmol)、N−メチルモルホリン(2.5mL、22.6mmol)、およびHATU(5.2g、13.7mmol)を加えた。反応混合物を室温でN
2下16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファー(重フタル酸)に分配した。有機相を飽和水性NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(60%〜80%酢酸エチル/ヘキサン)によって、6.0g(98%)の1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.33-1.80 (m, 10 H), 1.46 (s, 9 H), 2.09 (m, 3 H), 2.25 (m, 2 H), 3.76 (m, 2 H), 4.14 (m, 2 H), 4.27 (dd, J=8.5, 5.2 Hz, 1 H), 4.50 (m, 2 H), 4.94 (d, J=10.1 Hz, 1 H), 5.01 (dd, J=17.1, 1.8 Hz, 1 H), 5.11 (dd, J=10.4, 1.8 Hz, 1 H), 5.30 (d, J=15.6 Hz, 1 H), 5.80 (m, 2 H), 8.57 (s, 1 H); MS m/z 522 (M
++1).
工程3:(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルの調製
1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニル−アミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニルシクロプロパン−カルボン酸エチルエステル(800mg、1.53mmol)の塩化メチレン(2L)溶液を、0.5時間N
2でフラッシュした。次いで、トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン][ベンジリデン]−ルテニウム(IV)ジクロリド(Strem)(64mg、0.075mmol)を加え、混合物をN
2でさらに10分間フラッシュした。淡いオレンジ色の均一溶液を2時間還流し、濃いオレンジ色の溶液を得た。反応混合物を室温に冷却し、減圧濃縮し、オレンジ色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(酢酸エチル)によって、460mg(61%)の(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]−ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルを灰色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 1.19 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.42 (s, 9 H), 1.22-1.8 (m, 8 H), 1.87 (m, 2 H), 2.03-2.22 (m, 4 H), 2.63 (m, 1 H), 3.65 (m, 1 H), 4.09 (m, 3 H), 4.45 (m, 1 H), 4.56 (s, 1 H), 4.82 (m, 1 H), 5.23 (m, 1 H), 5.51 (s, 1 H), 7.16 (s, 1 H); MS m/z 494 (M
++1).
工程4:(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]−ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸
(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]−ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(493mg、1.0mmol)のTHF(4mL)、メタノール(1mL)、および水(2mL)溶液に、粉末水酸化リチウム(480mg、20mmol)を加え、淡黄色のスラリーを室温でN
2下16時間撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮し、残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pH4まで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液を、EtOAcで3度抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、460mg(98%)の実施例18、(1S,4R,6S,14S,18R)−7−cis−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]−ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸を灰色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ ppm 1.26 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.35-1.52 (m, 15 H), 1.57-1.68 (m, 3 H), 1.79 (m, 1 H), 2.04 (m, 1 H), 2.16-2.41 (m, 3 H), 3.80 (dd, J=10.7, 4.3 Hz, 1 H), 3.88 (m, 1 H), 4.38 (dd, J=8.9, 3.1 Hz, 1 H), 4.55 (m, 2 H), 5.39 (t, J=9.8 Hz, 1 H), 5.58 (m, 1 H); MS m/z 466 (M
++1).
実施例30
(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
工程1:1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの調製
DMF(10mL)中の1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.5g、2.87mmol)の混合物に、イミダゾール(0.25g、3.67mmol)および塩化tert−ブチル−ジメチルシリル(516mg、3.44mmol)を加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮し、粗固形物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%酢酸エチルで溶出)による精製によって、1.43g(78%)の1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.10 (s,6 H), 0.89 (s, 9 H), 1.22 (m, 3 H), 1.31-1.48 (m, 16 H), 1.50-1.75 (m, 3 H), 2.06 (m, 3 H), 2.11-2.33 (m, 2 H), 3.70 (m, 2 H), 4.03-4.19 (m, 2 H), 4.21 (m, 1 H), 4.45 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.59 (m, 1 H), 4.91 (d, J=9.15 Hz, 1 H), 4.98 (d, J=17.20 Hz, 1 H), 5.08 (dd, J=10.25, 1.83 Hz, 1 H), 5.27 (dd, J=17.38, 1.65 Hz, 1 H), 5.65-5.87 (m, 2 H); MS m/z 636 (M++1).
工程2:14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸、エチルエステルの調製
1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.63g、2.56mmol)の塩化メチレン(640mL)溶液に、215mg(0.26mmol)のトリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリ[ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジクロリドを加えた。混合物を15分間加熱還流した。残渣を減圧濃縮し、次いで30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。試料をさらに脱色するために、粗生成物を、ヘキサン中の50%エーテルで溶出するクロマトグラフに再びかけ、1.5g(96%)の14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3Cl) δ 0.06 (s, 3 H), 0.07 (s, 3 H), 0.86 (s, 9 H), 1.18-1.24 (m, 6 H), 1.34-1.64 (m, 14 H), 1.86-1.96 (m, 3 H), 2.02-2.09 (m, 1 H), 2.11-2.17 (m, 1 H), 2.19-2.28 (m, 1 H), 2.57-2.63 (m, 1 H), 3.50-3.54 (m, 1 H), 3.71 (dd, J=10.22, 6.26 Hz, 1 H), 4.06-4.17 (m, 2 H), 4.52-4.58 (m, 2 H), 4.75 (d, J=8.55 Hz, 1 H), 5.21 (t, J=9.92 Hz, 1 H), 5.35 (d, J=7.63 Hz, 1 H), 5.45-5.50 (m, 1 H), 6.94 (s,1 H); MS m/z 608 (M++1).
工程3:14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸の調製
14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(1.5g、2.47mmoL)の混合したTHF(4mL)メタノール(1mL)、および水(2mL)の溶媒系溶液に、粉末水酸化リチウム一水和物(1.0g、50mmol)を加えた。淡黄色のスラリーを室温でN
2下4時間撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮し、残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pH4に到達するまで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液をEtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、1.2g(84%)の14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸をオフホワイトの固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) 0.12 (s, 6 H), 0.89 (s, 9 H), 1.23-1.64 (m, 17 H), 1.70-1.87 (m, 1 H), 1.90-2.49 (m, 6 H), 3.70-3.80 (m,1 H), 3.83-3.90 (m, 1 H), 4.28-4.36 (m, 1 H), 4.47-4.55 (m, 1 H), 4.65 (s, 1 H), 5.30-5.39 (m, 1 H), 5.53-5.62 (m, 1 H); MS m/z 580 (M
++1).
工程4:[18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸(500mg、0.86mmol)を、25mLのTHFに溶解し、CDI(180mg、1.12mmol)で処理した。(オーブンで乾燥させたガラス器具を使用し、乾燥N2雰囲気を維持することによって湿気を除くように注意した)。反応混合物を2時間還流させた後、室温に冷却し、シクロプロピルスルホンアミド(135mg、1.12mmol)およびDBU(170mg、1.12mmol)で順次処理した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、THFをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファーに分配した。有機相を乾燥させ(MgSO4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。次いで、それをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の33%酢酸エチルで溶出)で精製し、300mg(51%)の[18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 1H 0.07 (s, 3 H), 0.08 (s, 3 H), 0.85 (s, 9 H), 0.87-1.49 (m, 21 H), 1.73-1.95 (m, 3 H), 2.08-2.16 (m, 1 H), 2.25-2.36 (m, 2 H), 2.42-2.56 (m, 1 H), 2.85-2.93 (m, 1 H), 3.65-3.74(dd, J=10.61, 3.66 Hz, 1 H), 3.89 (d, J=10.25 Hz, 1 H), 4.34 (m, J=9.70, 9.70 Hz, 1 H), 4.43 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.57 (s, 1 H), 4.94-5.01 (m, 1 H), 5.10 (d, J=8.78 Hz, 1 H), 5.66-5.75 (m, 1 H), 6.55 (s, 1 H), 10.13 (s, 1 H); MS m/z 683 (M
++1).
工程5:実施例19、(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
THF(25mL)中の[18−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(330mg、0.48mmol)の混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(150mg、0.54mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、THFをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を酢酸エチルおよび水に分配した。有機相を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。次いで、それをヘキサンで粉砕することによって精製し、200mg(73%)の(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル、実施例19を白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3Cl) δ 1.87-1.64 (m, 21 H), 1.70-1.98 (m, 3 H), 2.15-2.56 (m, 5 H), 2.85-2.94 (m, 1 H), 3.71 (d, J=13.91 Hz, 1 H), 4.10-4.26 (m, 2 H), 4.51 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.62 (s, 1 H), 4.98 (m, 1 H), 5.06 (d, J=8.78 Hz, 1 H), 5.64-5.71 (m, 1 H), 6.72 (s, 1 H), 10.24 (s, 1 H); MS m/z 569 (M
++1).
下記の大環状アルコール中間体を、実施例29および30に記載されている手順を用いて調製した。
下記の大環状アルコール中間体は、実施例29および30に記載されている手順を用いて調製することができた。
実施例31
実施例31、2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−ペント−4−エニルスルファニルプロピオン酸の調製
工程1:N−Boc−システインメチルエステル(3.36g、0.014モル)のメタノール(166mL)溶液に、室温でトリエチルアミン(10.8mL)および1−ブロモペンタ−4−エン(3.19g、21mmol、1.5当量)を加え、このように得られた溶液を室温で一晩撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮し、このように得られた残りの混合物を、フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン、酢酸エチルのグラジエント)を使用して精製し、1.76g(41%)の所望のチオエーテルを得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 1.43 (s, 9H), 1.64 (m, 2H), 2.11 (m, 2H), 2.51 (m, 2H), 2.95 (m, 2H), 3.75 (s, 3H), 4.51 (m, 1H), 4.95-5.03 (m, 2H), 5.34 (m, 1H), 5.80 (1H, m); MS m/z 304(M
++1).
工程2:工程1(9.51g、31.4mmol)のチオエーテル生成物を、水(200mL)およびTHF(200mL)中の1MのLiOHの混合物に加え、このように得られた混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、1Nの塩酸を使用して反応混合物を酸性化し、このように得られた混合物を、酢酸エチルで数回抽出した。抽出物を合わせ、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮し、所望の酸、実施例20を得て、それを次の反応のように使用した。
実施例32
実施例32、N−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリンの調製
工程1:N−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリン、メチルエステルの調製
L−ペニシラミン7.12g(48mmol、1.0当量)の1,4−ジオキサン(100mL)および水(25mL)溶液に、室温で9.60mL(96mmol、2.0当量)の水酸化ナトリウム水溶液10Nを加え、続いて数分に亘り12.00mL(101mmol、2.1当量)の5−ブロモ−1−ペンテンを1滴ずつ加えた。このように得られた混合物を室温で68時間撹拌した。この時点で12.50g(57mmol、1.2当量)のジ−tert−ブチルジカーボネートを加え、混合物を室温でさらに6時間撹拌した。混合物を真空下で濃縮し、残渣を水に溶解した。水性混合物をジエチルエーテルで洗浄し、1Nの塩酸を用いてpH3に調節し、次いで酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。
粗生成物(12.20g)を、120mLの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。この溶液に、10.50g(76mmol)の炭酸カリウムおよび4.70mL(76mmol)のヨードメタンを加え、このように得られた混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を、水(2×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出:2〜10%酢酸エチル/ヘキサン)によって、8.54gのN−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリン、メチルエステルを無色の油状物として得た。NMR (300 MHz, CDCl3): δ 5.76 (tのdのd, 1 H, J = 17.2, 10.3, 6.6 Hz), 5.35 (br d, 1 H, J = 9.0 Hz), 5.05-4.94 (m, 2 H), 4.27 (br d, 1 H, J = 9.0 Hz), 3.73 (s, 3 H), 2.52 (m, 2 H), 2.13 (quart., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.61 (quint., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.43 (s, 9 H), 1.35 (s, 3 H), 1.33 (s, 3 H).
工程2:実施例32、N−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリンの調製
N−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリン、メチルエステル8.52g(25.7mmol)のテトラヒドロフラン(200mL)溶液に、室温で1.10g(26.2mmol)の水酸化リチウム一水和物の水(50mL)溶液を加えた。このように得られた混合物を室温で65時間撹拌した。次いで、反応混合物に28mLの1.00Nの塩酸を加えた。混合物をジエチルエーテルで希釈し、水(3×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、8.10gのN−tert−ブトキシカルボニル−3−(4−ペンテニルチオ)−L−バリンを無色の油状物として得た。NMR (300 MHz, CDCl
3): δ 5.75 (tのdのd, 1 H, J = 17.2, 10.3, 6.6 Hz), 5.40 (br s, 1 H), 5.05-4.94 (m, 2 H), 4.28 (br s, 1 H), 2.56 (m, 2 H), 2.13 (quart., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.63 (quint., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.44 (s, 9 H), 1.39 (s, 3 H), 1.37 (s, 3 H).
実施例33
実施例33、5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸の調製
工程1:イソプロピルピロリジン−5−オン−2(S)−カルボキシレートの調製
L−ピログルタミン酸(Aldrich、25.0g、195mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(3.71g、19.5mmol)の溶液を、ディーンスタークトラップの変形を使用してイソプロパノール(40mL)中窒素下で6時間還流した(4Å分子ふるいを充填したSoxhlet抽出器を通して凝縮物へと戻った)。室温に冷却した後に、反応物をエーテルで希釈し、飽和水性炭酸水素ナトリウム、次いで飽和水性NaClで洗浄し、乾燥(MgSO
4)、蒸発させ、無色のシロップを得た。それは固化によって結晶化した。結晶性残渣をヘキサン中で粉砕することによって、31.9g(96%)のイソプロピルピロリジン−5−オン−2(S)−カルボキシレートを白色のプリズムとして得た。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-D) δ 6.35 (br s, 1 H), 5.04 (sept. 1 H, J = 6.2 Hz), 4.18 (dd, 1 H, J = 8.4, 5.3 Hz), 2.51-2.28 (m, 3 H), 2.27-2.12 (m, 1 H), 1.24 (d, 6 H, J = 6.2 Hz). LCMS m/z 172 (M+H)+.
工程2:イソプロピル1−(tert−ブトキシカルボニル)−ピロリジン−5−オン−2(S)−カルボキシレートの調製
イソプロピルピロリジン−5−オン−2(S)−カルボキシレート(工程26Aの生成物、31.9g、188mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(48.6g、225mmol)およびDMAP(2.30g、8.8mmol)のアセトニトリル(300mL)溶液を、室温でN
2下30分間撹拌した。反応物を約100mLまで蒸発させ、エーテルで希釈し、1NのHCl、次いで飽和水性NaClで洗浄し、乾燥(MgSO
4)、蒸発させ、イソプロピル1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−5−オン−2(S)カルボキシレートを淡黄色の油状物50.1g(99%)として得た。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-D) δ 5.06 (sept. 1 H, J = 6.2 Hz), 4.53 (dd, 1 H, J = 9.5, 2.9 Hz), 2.66-2.40 (m, 2H), 2.36-2.22 (m, 1 H), 2.03-1.93 (m, 1 H), 1.47 (s, 9 H), 1.26 (d, 3 H, J = 6.2 Hz), 1.24 (d, 3 H, J = 6.2 Hz). LCMS m/z 272 (M+H)
+.
工程3:イソプロピル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエートの調製
イソプロピル1−(tert−ブトキシカルボニル)ピロリジン−5−オン−2(S)−カルボキシレート(工程26Bの生成物、49.5g、183mmol)のメタノール(300mL)溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(10.0g、263mmol)を約1gずつ1.5時間に亘り加えた。反応物を窒素下でさらに10分撹拌した。それを水で希釈し、エーテルで抽出し、合わせた有機フラクションを飽和水性NaClで洗浄し、乾燥(MgSO
4)、蒸発させて、淡黄色の油状物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、20〜30%酢酸エチル/ヘキサン)によって、31.8g(64%)のイソプロピル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエートを無色のシロップとして得た。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-D) δ 5.16 (br d, 1 H, J = 7.3 Hz), 5.03 (sept., 1 H, J = 6.2 Hz), 4.28 (br d, 1 H, J = 6.2 Hz), 3.67 (br dd, J = 10.2, 5.5 Hz), 1.94-1.79 (m, 2 H), 1.76-1.67 (m, 1 H), 1.66-1.56 (m, 2 H), 1.43 (s, 9 H), 1.25 (d, 3 H, J = 6.2 Hz), 1.23 (d, 3 H, J = 6.2 Hz). LCMS m/z 276 (M+H)
+.
工程4:イソプロピル−5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノエートの調製
THF(150mL)中のイソプロピル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−5−ヒドロキシペンタノエート(工程26Cの生成物、17.6g、63.9mmol)、炭酸アリルメチル(24.0ml、213mmol)、Pd
2(dba)
3(1.62g、1.78mmol)およびBINAP(4.42g、7.10mmol)の脱気した混合物を、窒素下で3時間還流した。室温に冷却した後に、反応物をエーテルで希釈し、セライトで濾過し、蒸発させ、濃褐色のシロップを得た。残渣のフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、30%エーテル/ヘキサン)によって、イソプロピル5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノエートを粘性の無色の油状物16.3g(81%)として得た。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-D) δ 5.88 (ddt, 1 H, 17.4, 10.4, 5.5), 5.28 (m, 1 H), 5.22-5.11 (m, 1 H), 5.02 (sept., 1 H, J = 6.2 Hz), 4.21 (br t, 1 H, J = 6.7 Hz), 3.94 (dt, 2 H, J = 5.9, 1.5 Hz), 3.42 (t, 2 H, J = 5.9 Hz), 1.90-1.82 (m, 1 H), 1.75-1.57 (m, 3 H), 1.42 (s, 9 H), 1.21 (d, 3 H, J = 6.2 Hz), 1.19 (d, 3 H, J = 6.2 Hz). LCMS m/z 316 (M+H)
+.
工程5:実施例33、5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸の調製
THF/水(100mL/20mL)中のイソプロピル5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタノエート(工程26Dの生成物、16.1g、51.1mmol)および水酸化リチウム水和物(4.19g、102mmol)の混合物を、室温にて窒素下で16時間撹拌した。反応物を水で希釈し、エーテルで洗浄し、水性画分のpHを約4に調節し、エーテルで抽出し、合わせた有機フラクションを飽和NaClで洗浄し、乾燥(MgSO
4)、蒸発させて、5−アリルオキシ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ペンタン酸を淡黄色のシロップとして得た。
1H NMR (300 MHz, クロロホルム-D) δ 5.89 (ddt, 1 H, J = 17.4, 10.4, 5.5), 5.25 (dd, 1 H, J = 17.4, 1.6 Hz), 5.17 (dd, 1 H, J = 10.4, 1.6 Hz), 4.30 (br d, 1 H, J = 6.2), 3.96 (dt, 2 H, J = 5.9, 1.5 Hz), 3.46 (t, 2 H, J = 5.9 Hz), 1.96-1.86 (m, 1 H), 1.85-1.77 (m, 1 H), 1.75-1.64 (m, 2 H), 1.43 (s, 9 H). LCMS m/z 274 (M+H)
+.
実施例34
実施例34の調製のための一般手順
N−トリチル保護されたスレオニンのDMF溶液を−15Cに冷却した水素化ナトリウムのDMF溶液に加えることによって、実施例23を調製した。反応混合物を−15Cで30分間撹拌し、その後5−ブロモ−1−ペンテンを加え、このように得られた混合物を−5Cに温めた。反応混合物を−5Cで3日間保持し、その後、反応物を1NのHCl水溶液を加えることによってクエンチし、上記のような標準的抽出手順を使用して後処理した。標準的クロマトグラフィー手順によって、実施例23を純粋な形態で得た。
実施例35
実施例35、N−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリンの調製
工程1:N−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリン、メチルエステルの調製
N−tert−ブトキシカルボニル−L−セリン10.26g(50mmol、1.0当量)の無水ジメチルスルホキシド(500mL)溶液に、室温で鉱油中の60%水素化ナトリウム2.00g(50mmol、1.0当量)を加えた。この混合物を、ガス発生が止まるまで室温で0.5時間撹拌した。このように得られた溶液に、6.00mL(50mmol、1.0当量)の5−ブロモ−1−ペンテン、次いで直ちに鉱油中のさらなる60%水素化ナトリウム2.00g(50mmol、1.0当量)を加えた。次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を、2000mLの水で希釈し、1.00Nの塩酸50mLを加えることによってpH3〜4に調節し、酢酸エチルで抽出した。有機相を水(2×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残りの鉱油を除去するために、このように得られた物質を、水酸化ナトリウムの希薄水溶液に溶解した。この水溶液をヘキサンで洗浄し、次いで塩酸を用いてpH4に調節し、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水(2×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。
粗生成物(7.70g)を、100mLの無水ジメチルスルホキシドに溶解した。この溶液に、7.80g(56mmol)の炭酸カリウムおよび3.50mL(56mmol)のヨードメタンを加え、このように得られた混合物を室温で24時間撹拌した。反応混合物を、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を水(2×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出:2〜10%酢酸エチル/ヘキサン)によって、6.70gのN−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリン、メチルエステルを無色の油状物として得た。NMR (300 MHz, CDCl3): δ 5.78 (tのdのd, 1 H, J = 17.2, 10.2, 6.6 Hz), 5.34 (br d, 1 H, J = 8.0 Hz), 5.03-4.92 (m, 2 H), 4.40 (m, 1 H), 3.81 (dのd, 1 H, J = 9.5, 2.9 Hz), 3.74 (s, 3 H), 3.61 (dのd, 1 H, J = 9.5, 3.5 Hz), 3.42 (m, 2 H), 2.06 (quart., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.61 (quint., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.44 (s, 9 H).
工程2:実施例35、N−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリンの調製
N−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリン、メチルエステル6.65g(23mmol)のテトラヒドロフラン(500mL)溶液に、室温で水酸化リチウム一水和物1.95g(46mmol)の水(100mL)溶液を加えた。このように得られた混合物を室温で40時間撹拌した。次いで、反応混合物に1.00Nの塩酸46mLを加えた。混合物を、酢酸エチルで希釈し、水(3×)およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮し、6.30gのN−tert−ブトキシカルボニル−O−(4−ペンテニル)−L−セリンを無色の油状物として得た。NMR (300 MHz, CDCl
3): δ 5.77 (tのdのd, 1 H, J = 17.2, 10.2, 6.6 Hz), 5.37 (br d, 1 H, J = 8.0 Hz), 5.03-4.92 (m, 2 H), 4.42 (m, 1 H), 3.87 (dのd, 1 H, J = 9.5, 2.6 Hz), 3.63 (dのd, 1 H, J = 9.5, 4.0 Hz), 3.45 (t, 2 H, J = 6.6 Hz), 2.07 (quart., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.64 (quint., 2 H, J = 7.3 Hz), 1.44 (s, 9 H).
実施例36
実施例36、(S)−4−アリルオキシ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)酪酸の調製
DMF中の水素化ナトリウム(913mg、22.8mmol)の混合物に、0℃でN−t−Boc−L−ホモセリン(2g、9.13mmol)を加えた。この反応混合物を、0℃で15分間撹拌し、次いで臭化アリル(1.38g、11.4mmol)を加えた。混合物を室温まで温め、2時間撹拌した。次いで、それを減圧濃縮した。残渣を水で希釈し、ヘキサンおよびエーテルで順次洗浄した。有機層を廃棄し、1NのHClで水層を注意深くpH3に調節した。この酸性水溶液を酢酸エチルで抽出した。有機相を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、2.2g(93%)の(S)−4−アリルオキシ−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)酪酸を無色の油状物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 1.42 (s, 9 H), 1.80-1.90 (m, 1 H), 2.04-2.16 (m, 1 H), 3.50-3.54 (m, 2 H), 3.97 (d, J=4.39 Hz, 2 H), 4.23 (dd, J=8.78, 4.39 Hz, 1 H), 5.15 (d, J=10.25 Hz, 1 H), 5.26 (dd, J=17.38, 1.65 Hz, 1 H), 5.84-5.97 (m, 1 H).
実施例37
実施例37、(S)−2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸の調製
工程1:メチル3−アミノ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエートの調製
50mLの塩化メチレン中のi(Boc−DAP−OH)(3.0g、14.7mmol)の混合物に、5mLのメタノールを加えた。この溶液に、(トリメチルシリル)ジアゾメタン(エーテル中2M、7.9mL、15.8mmol)をゆっくりと加えた。固形物の全てが溶解し、溶液が淡黄色となるまで、混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、それを濃縮し、3.2g(99%)のメチル3−アミノ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエートiiを無色の油状物として得た。
1H NMR (CD
3OD, 300 MHz) δ 1.46 (s, 9 H), 2.82-3.00 (m, 2 H), 3.71 (s, 3 H), 4.14 (brs, 1 H).
メチル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)プロパノエートiiiの調製:
DCM(50mL)中のメチル3−アミノ−2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパノエートii(1.6g、7.3mmol)の混合物に、DIPEA(1.64mL、9.4mmol)および2−ニトロベンゼンスルホニルクロリド(1.62g、7.3mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、それを濃縮し、酢酸エチルに溶解し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。次いでそれを濾過し、濃縮し、2.9g(98%)のメチル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)プロパノエートiiiを黄色の泡として得た。
1H NMR (CD
3OD, 300 MHz) δ 1.41 (s, 9 H), 3.36-3.51 (m, 2 H), 3.71 (s, 3 H), 4.22 (m, 1 H), 7.80-7.90 (m, 3 H), 8.07-8.10 (m, 1 H).
メチル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)プロパノエートivの調製:
3mLのDMF中のメチル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロフェニルスルホンアミド)プロパノエートiii(150mg、0.37mmol)の混合物に、炭酸カリウム(102mg、0.74mmol)を加えた。この混合物を、室温で20分間撹拌し、その後5−ブロモ−1−ペンテン(65μL、0.55mmol)を添加した。反応混合物を室温で2日間撹拌した。次いで、それを濾過し、濃縮し、シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン中の25%酢酸エチルで溶出)によって精製し、75mg(43%)のメチル2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)プロパノエートivを黄色の固形物として得た。
1H NMR (CD
3OD, 300 MHz) δ 1.42 (s, 9 H), 1.54-1.64 (m, 2 H), 1.97 (q, J=7.20 Hz, 2 H), 3.37 (m, 2 H), 3.57-3.80 (m, 2 H), 3.72 (s, 3 H), 4.42 (dd, J=8.60, 5.31 Hz, 1 H), 4.91-5.01 (m, 2 H), 5.69-5.79 (m, 1 H), 7.75-7.85 (m, 3 H), 8.04 (m, 1 H); MS m/z 372 (M
++1-Boc).
実施例37、2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸vの調製:
(S)−メチル2−(tert−ブトキシカルボニル)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)−プロパノエートiv(500mg、1.06mmol)を、混合溶媒系:THF(4mL)、メタノール(1mL)、および水(2mL)に溶解した。粉末水酸化リチウム(250mg、10.4mmol)を加えた。淡黄色のスラリーを室温で15時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pHが4となるまで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液を酢酸エチルで4度抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、430mg(89%)の2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(2−ニトロ−N−(ペント−4−エニル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸(実施例26)を黄色の油状物として得た。
1H NMR (CD
3OD, 300 MHz) δ 1.38 (s, 9 H), 1.51-1.60 (m, 2 H), 1.89-1.98 (m, 2 H), 3.28-3.32 (m, 2 H), 3.59-3.64 (dd, J=14.95, 9.46 Hz, 1 H), 3.71-3.74 (m, 1 H), 4.33 (dd, J=9.61, 4.43 Hz, 1 H), 4.87-4.94 (m, 2 H), 5.63-5.72 (m, 1 H), 7.71-7.77 (m, 3 H), 8.01 (dd, J=7.48, 1.37 Hz, 1 H); MS m/z 358 (M
++1-Boc).
実施例86
(1S、4R、6S、14S、18R)−[7−cis−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸、tert−ブチルエステル(実施例86)の調製
工程1:N−(ペント−4−エニル)シクロプロパンアミンの合成。
添加漏斗を使用して、5−ブロモペンテン(15.75g、106mmol)のメタノール(50mL)溶液を、シクロプロピルアミン(20.6g、361mmol)のメタノール(200mL)溶液に5分間に亘って加えた。この溶液を室温で72時間撹拌し、その時点で1時間還流した。メタノールおよび過剰なシクロプロピルアミンを蒸留によって除去した。残渣である生成物の臭化水素酸塩をエーテルおよび4NのNaOHに分配した。水相をエーテル(2×)で洗浄した。合わせたエーテル抽出物を乾燥させ(MgSO4)、濾過、濃縮し、8g(60%)のN−(ペント−4−エニル)シクロプロパンアミンを黄色の油状物として得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 0.31 - 0.36 (m, 2 H) 0.40 - 0.46 (m, 2 H) 1.53 - 1.63 (m, 2 H) 1.87 (brs, 1 H) 2.05 - 2.10 (m, 2 H) 2.10 - 2.14 (m, 1 H) 2.69 (t, J=7.32 Hz, 2 H) 4.91 - 5.07 (m, 2 H) 5.72 - 5.88 (m, 1 H).
工程2:2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパン酸の合成
20mLのアセトニトリル中のN−(ペント−4−エニル)シクロプロパンアミン(668mg、5.30mmol)を、40mLのアセトニトリル中のN−t−ブトキシカルボニル−L−セリン−β−ラクトン(1.0g、5.30mmol)のスラリーに加えた。混合物をN
2下室温で5日間撹拌し、次いで減圧濃縮し、約1.7gの粗2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパン酸を黄色の油状物として得た。この材料を精製せずに工程3において使用した。LC−MS(Phenomenex10マイクロモル(「μm」) C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:3分。保持時間:1分。流量:4mL/分。検出波長:220nm。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。(保持時間:2.50分)。MS m/z 313 (M
++1).
工程3:エチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートの合成。
2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパン酸(1.47g、4.71mmol)のDCM(20mL)溶液を、エチル1(R)−[4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド)−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート塩酸塩(実施例5で調製)(1.44g、4.71mmol)、N−メチルモルホリン(1.80mL、16.34mmol)、およびHATU(2.14g、5.53mmol)で順次処理した。反応混合物を室温でN
2下3時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を水に溶解し、pH=5となるまで1NのHClを加えた。この水溶液を、EtOAc(3×)で抽出した。有機相を、飽和水性NaHCO
3で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)によって、1.55g(58%)のエチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートを白色の泡として得た。LC−MS(Phenomenex−Luna S10HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:2分。保持時間:1分。流量:4mL/分。検出波長:220nm。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:1.38分)。MS m/z 564 (M
++1).
工程4:エチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートの合成
10mLのDMF中のエチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(1.55g、2.75mmol)の混合物に、イミダゾール(0.47g、6.88mmol)および塩化tert−ブチルジメチルシリル(826mg、5.50mmol)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌し、減圧濃縮し、酢酸エチルおよび水に分配した。有機相を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、減圧濃縮し、オフホワイトの固形物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(塩化メチレン、次いで酢酸エチルで溶出)によって、エチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレートを白色の固形物(1.75g、94%)として得た。LC−MS(Phenomenex10μm C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:2分。保持時間:1分。流量:5mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.51分)。MS m/z 677 (M
++1).
工程5:(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルの合成
エチル1(R)−[1−[2(S)−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−[N−シクロプロピル−N−(ペント−4−エニル)アミノ]プロパノイル]−4(R)−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)ピロリジン−2(S)−カルボキサミド]−2(S)−ビニルシクロプロパンカルボキシレート(1.45g、2.14mmol)の塩化メチレン(1L)溶液に、181mg(0.21mmol)の第2世代グラブス触媒[(1,3−ビス−(2,4,6−トリメチルフェニル)−2−イミダゾリジニリデン)ジクロロ(フェニルメチレン)−(トリシクロヘキシルホスフィン)ルテニウム]を加えた。混合物を、1時間加熱還流した。触媒の第2の画分(50mg、0.058mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。残渣を減圧濃縮し、次いで50%エーテル/ヘキサンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、0.84g(62%)の(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。LC−MS(Phenomenex10μm C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:2分。保持時間:1分。流量:5mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.43分)。MS m/z 649 (M
++1).
工程6:(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸の合成
(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(0.84g、1.30mmol)のTHF(30mL)、メタノール(15mL)、および水(4mL)に、粉末水酸化リチウム水和物(0.31g、12.90mmol)を加えた。生成した淡黄色のスラリーを室温でN
2下一晩撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮し、ヘキサン/エーテル(1:1)および水に分配した。有機相を廃棄し、水相を1NのHClでpH5まで処理した。この酸性溶液を、EtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、0.495g(61%)の(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸をオフホワイトの固形物として得た。LC−MS(Phenomenex10μm C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:2分。保持時間:1分。流量:5mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.36分)。MS m/z 621 (M
++1).
工程7:(1S,4R,6S,14S,18R)−[7−シス−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステルの合成
(1S,4R,6S,14S,18R)−7−シス−14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザトリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸(490mg、0.79mmol)を15mLのTHFに溶解し、CDI(179mg、1.10mmol)で処理した。(オーブンで乾燥させたガラス器具を使用し、乾燥N
2雰囲気を維持することによって、湿気を避けるように注意した。)反応混合物を2時間還流させた後、室温に冷却し、シクロプロピルスルホンアミド(134mg、1.10mmol)およびDBU(168mg、1.10mmol)で順次処理した。室温で一晩撹拌した後、THFをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を水に溶解し、1NのHClをpH=5まで加えた。この水溶液を、EtOAc(3×)で抽出した。合わせたEtOAc抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。塩化メチレン中の3%メタノールで溶出するフラッシュカラムによる精製によって、300mg(53%)の(1S,4R,6S,14S,18R)−[7−シス−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固形物として得た。LC−MS(Phenomenex10μm C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:2分。保持時間:1分。流量:5mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.40分)。MS m/z 724 (M
++1).
工程8:(1S,4R,6S,14S,18R)−[7−シス−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(実施例86)の合成
15mLのTHF中の化合物(1S,4R,6S,14S,18R)−[7−シス−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(250mg、0.35mmol)の混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(129mg、0.46mmol)を加えた。混合物を室温で18時間撹拌した。THFをロータリーエバポレーションによって除去し、残渣を酢酸エチルおよび水に分配した。有機相を乾燥させ(MgSO
4)、減圧濃縮し、粗生成物を得た。ヘキサンで粉砕することによる精製によって、200mg(94%)の(1S,4R,6S,14S,18R)−[7−シス−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−12−シクロプロピル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,12,16−トリアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固形物として得た。LC−MS(保持時間:2.32分)、MS m/z 610 (M
++1).(Phenomenex10μm C18HPLCカラム:3.0×50mm長。グラジエント:100%溶媒A/0%溶媒B〜0%溶媒A/100%溶媒B。グラジエント時間:3分。保持時間:1分。流量:4mL/分。検出波長:220nM。溶媒A:10%MeOH/90%H
2O/0.1%TFA。溶媒B:10%H
2O/90%MeOH/0.1%TFA。)(保持時間:2.32分)。MS m/z 610 (M
++1).
実施例87
化合物1の調製
工程1:(2S,4S)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルの製造
(2S,4S)−Boc−4−フェニルピロリジン−2−カルボン酸(0.711g、2,44mmol)(ケム・インペックス・インターナショナル社(Chem-Impex International, Inc.)から購入)、ジイソプロピルエチルアミン(0.948g、7.33mmol)、およびシクロプロパンスルホン酸(1−(R)−アミノ−2−(S)−ビニル−シクロプロパンカルボニル)アミドHCl塩(0.561g、2.44mmol)のジクロロメタン混合溶液(24mL)に、HATU(1.21g、3.18mmol)を加えた。反応混合物を14時間攪拌した後、それを5% NaHCO
3水(50mL)、および5% クエン酸水(50mL)で洗浄した。各水層を、ジクロロメタン(2×25mL)で連続抽出した。有機層を合わせて、MgSO
4で乾燥し、濾過し、濃縮した。生じた茶色粘性油を、フラッシュカラムクロマトグラフィ(SiO
2、97:3、ジクロロメタン:メタノール)で精製して、茶色泡状固形物として、(2S,4S)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−フェニルピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチル(0.973g、収率79%)を得た。
1H NMR (CD
3OD, 500 MHz) δ 0.91 (br s, 1H), 1.03 (d, J=6.4 Hz, 1H), 1.16-1.23 (m, 1H), 1.31-1.38 (m, 1H), 1.44 (dd, J=9.6, 5.6 Hz, 1H), 1.48 (s, 4H), 1.52 (s, 5H), 1.89 (t, J=6.4 Hz), 2.09 (q, J=8.4 Hz, 0.4H), 2.19 (q, J=8.6 Hz, 0.6H), 2.85-2.90 (m, 0.4H), 2.92-2.97 (m, 0.6H), 3.44 (t, J=9.6Hz, 1H), 3.65 (p, J=8.0 Hz, 1H), 3.93-4.01 (m, 1H), 4.29 (dd, J=10.1, 6.7 Hz, 1H), 5.12 (d, J=10.1 Hz, 1H), 5.30 (d, J=18.0 Hz, 1H), 5.75-5.82 (m, 1H), 7.24 (t, J=6.9 Hz, 1H), 7.29-7.33 (m, 5H); MS m/z 504 (M+Na).
工程2:(2S,4S)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−フェニルピロリジン−2−カルボキシアミドの製造
工程1,実施例1からの生成物(0.900g、1.79mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)に、TFA(5mL)を加えた。室温で30分間攪拌した後、反応混合物を濃縮し、一時的に減圧乾燥した。生じた茶色粘性油を、ジクロロメタン(10mL)に再溶解し、それを1N HClのジエチルエーテル溶液(10mL)に滴下して加えた。白色固形物沈殿が形成され、それを減圧濾過によって集めた。濾過ケーキをジエチルエーテルで洗浄して、(2S,4S)−N−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピル)−4−フェニルピロリジン−2−カルボキシアミド(0.720mg、収率91%)を得た。
MS m/z 404 (MH+).
工程3:(S)−1−((2S,4S)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−フェニルピロリジン−1−イル)−1−オキソノン(oxonon)−8−エン−2−イルカルバミン酸tert−ブチルの製造
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)ノン−8−エン酸(RSP アミノ酸から購入)(140mg、0.516mmol)のDMF溶液(20mL)に、工程2,実施例1からの生成物(227mg、0.516mmol)を加えた。この溶液に、HATU(236mg、0.620mmol)を加え、続いてN−メチルモルホリン(182mg、1.80mmol)を加えた。混合物を室温で4時間攪拌し、次いでそれを減圧濃縮して、DMFを除去した。残渣をHCl(0.1N)と酢酸エチルの間で分液した(水相をpH 3〜pH 5の間に維持しながら)。有機相を乾燥し(MgSO4)、濾過し、濃縮して、黄褐色油として、粗生成物(300mg)を得た。1〜5% メタノール/CH2Cl2を用いて溶離するフラッシュクロマトグラフィによって、無色油として、(S)−1−((2S,4S)−2−((1R,2S)−1−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2−ビニルシクロプロピルカルバモイル)−4−フェニルピロリジン−1−イル)−1−オキソノン−8−エン−2−イルカルバミン酸tert−ブチル(230mg、68%)を得た。
MS m/z 657 (MH+).
工程4:化合物1の製造
工程3の生成物(124mg、0.189mmol)をCH2Cl2に溶解し、N2雰囲気下に置き、グラブス第2世代RCM触媒(トリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリメチル−フェニル)−4,5−ジヒドロイミダゾール−2−イリデン][ベンジリデン]−ルテニウム(IV)ジクロリド)(16mg、0.019mmol)で処理した。18時間還流した後、橙色/赤色溶液を室温に冷却し、減圧濃縮して、茶色油(125mg)を得た。1〜5% メタノール/CH2Cl2を用いて溶離するフラッシュクロマトグラフィによって、クルードの大環状生成物(60mg)を得た(1H NMRおよびLC/MSによって推定して純度〜60%)。分取用HPLCによって、オフホワイトの固形物として、純粋な生成物(22mg)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ ppm 0.90 - 1.00 (m, 1H), 1.05 - 1.14 (m, 1H), 1.14 - 1.22 (m, 1H), 1.23 - 1.84 (m, 10H), 1.41 (s, 9H), 1.88 - 2.00 (m, 2H), 2.14 - 2.29 (m, 2H), 2.39 - 2.49 (m, 1H), 2.50 - 2.60 (m, 1H), 2.86 - 2.96 (m, 1H), 3.91 - 4.01 (m, 2H), 4.05 - 4.14 (m, 1H), 4.39 - 4.48 (m, 1H), 4.48 - 4.56 (m, 1H), 4.97 - 5.04 (m, 1H), 5.13 (d, J=8.24 Hz, 1H), 5.70 (q, J=8.95 Hz, 1H), 6.72 (s, 1H), 7.36 - 7.24 (m, 5H), 10.14 (s, 1H). MS m/z 629 (MH+).
実施例88
化合物2の調製
工程1:1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステルの調製
2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8−ノネン酸(RSP Amino Acidsから購入)(3.5g、12.9mmol)のジクロロメタン(200mL)溶液を、4(R)−ヒドロキシピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(2.15g、11.8mmol)、N−メチルモルホリン(4.25mL、38.6mmol)、およびHATU(5.37g、14.1mmol)で順次処理した。反応混合物を室温でN
2下3日間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファー(重フタル酸)に分配した。有機相を飽和NaHCO
3水で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(50%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル)によって、4.7g(約100%)の1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステルを無色の油状物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 1.33-1.50(m, 8 H), 1.46 (s, 9 H), 1.57 (m, 1 H), 1.72 (m, 1 H) 2.08 (m, 2 H), 2.28 (m, 1 H), 3.72 (s, 3 H,) 3.75-3.87 (m, 2 H), 4.36 (m, 1 H), 4.51 (bs, 1 H), 4.57 (t, J=8.2 Hz, 1 H), 4.95 (d, J=10.4 Hz, 1 H), 5.01 (m, 1 H), 5.83 (m, 1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 3.01 分), MS m/z 399 (M
++1).
工程2:1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルの調製
1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸メチルエステル(4.7g、11.8mmol)を、THF(80mL)、メタノール(20mL)、および水(40mL)に溶解した。粉末水酸化リチウム(5.6g、233mmol)を加えた。淡黄色のスラリーを室温でN
2下16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pHが4となるまで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液を、酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、4.36g(96%)の1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8−ノネノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)−カルボン酸を白色の固形物として得た。次いで、この酸を150mLのDMFに溶解し、(1R,2S)−1−アミノ−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステル塩酸塩(2.61g、13.6mmol)、N−メチルモルホリン(2.5mL、22.6mmol)、およびHATU(5.2g、13.7mmol)を加えた。反応混合物を室温でN
2下16時間撹拌し、次いで減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファー(重フタル酸)に分配した。有機相を飽和NaHCO
3水で洗浄し、乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(60%〜80%酢酸エチル/ヘキサン)によって、6.0g(98%)の1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3OD) δ 1.25 (t, J=7.2 Hz, 3 H), 1.33-1.80 (m, 10 H), 1.46 (s, 9 H), 2.09 (m, 3 H), 2.25 (m, 2 H), 3.76 (m, 2 H), 4.14 (m, 2 H), 4.27 (dd, J=8.5, 5.2 Hz, 1 H), 4.50 (m, 2 H), 4.94 (d, J=10.1 Hz, 1 H), 5.01 (dd, J=17.1, 1.8 Hz, 1 H), 5.11 (dd, J=10.4, 1.8 Hz, 1 H), 5.30 (d, J=15.6 Hz, 1 H), 5.80 (m, 2 H), 8.57 (s, 1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 3.21 分), MS m/z 522 (M
++1).
工程3:1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルの調製
DMF(10mL)中の1−{[1−(2(S)−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4(R)−ヒドロキシ−ピロリジン−2(S)カルボニル]−(1R)−アミノ}−2(S)−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.5g、2.87mmol)の混合物に、イミダゾール(0.25g、3.67mmol)および塩化tert−ブチル−ジメチルシリル(516mg、3.44mmol)を加えた。混合物を室温で2日間撹拌した。次いで、反応混合物を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解した。この溶液を、水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、減圧濃縮し、粗固形物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の20%酢酸エチルで溶出)による精製によって、1.43g(78%)の1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニルシクロプロパンカルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.10 (s,6 H), 0.89 (s, 9 H), 1.22 (m, 3 H), 1.31-1.48 (m, 16 H), 1.50-1.75 (m, 3 H), 2.06 (m, 3 H), 2.11-2.33 (m, 2 H), 3.70 (m, 2 H), 4.03-4.19 (m, 2 H), 4.21 (m, 1 H), 4.45 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.59 (m, 1 H), 4.91 (d, J=9.15 Hz, 1 H), 4.98 (d, J=17.20 Hz, 1 H), 5.08 (dd, J=10.25, 1.83 Hz, 1 H), 5.27 (dd, J=17.38, 1.65 Hz, 1 H), 5.65-5.87 (m, 2 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 4.00 分), MS m/z 636 (M++1).
工程4:14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸、エチルエステルの調製
1−{[1−(2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ノン−8−エノイル)−4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−ピロリジン−2−カルボニル]−アミノ}−2−ビニル−シクロプロパンカルボン酸エチルエステル(1.63g、2.56mmol)の塩化メチレン(640mL)溶液に、215mg(0.26mmol)のトリシクロヘキシルホスフィン[1,3−ビス(2,4,6−トリ[ベンジリデン]ルテニウム(IV)ジクロリドを加えた。混合物を15分間加熱還流した。残渣を減圧濃縮し、次いで30%酢酸エチル/ヘキサンで溶出するフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製した。試料をさらに脱色するために、粗生成物を、ヘキサン中の50%エーテルで溶出するクロマトグラフに再びかけ、1.5g(96%)の14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3Cl) δ 0.06 (s, 3 H), 0.07 (s, 3 H), 0.86 (s, 9 H), 1.18-1.24 (m, 6 H), 1.34-1.64 (m, 14 H), 1.86-1.96 (m, 3 H), 2.02-2.09 (m, 1 H), 2.11-2.17 (m, 1 H), 2.19-2.28 (m, 1 H), 2.57-2.63 (m, 1 H), 3.50-3.54 (m, 1 H), 3.71 (dd, J=10.22, 6.26 Hz, 1 H), 4.06-4.17 (m, 2 H), 4.52-4.58 (m, 2 H), 4.75 (d, J=8.55 Hz, 1 H), 5.21 (t, J=9.92 Hz, 1 H), 5.35 (d, J=7.63 Hz, 1 H), 5.45-5.50 (m, 1 H), 6.94 (s,1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 3.88 分), MS m/z 608 (M++1).
工程5:14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸の調製
14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸エチルエステル(1.5g、2.47mmol)の混合したTHF(4mL)メタノール(1mL)、および水(2mL)の溶媒系溶液に、粉末水酸化リチウム一水和物(1.0g、50mmol)を加えた。淡黄色のスラリーを室温でN
2下4時間撹拌した。次いで、混合物を減圧濃縮し、残渣をエーテルおよび水に分配した。エーテル相を廃棄し、pH4に到達するまで水相を1NのHClで処理した。この酸性溶液を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた酢酸エチル抽出物を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、1.2g(84%)の14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸をオフホワイトの固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) 0.12 (s, 6 H), 0.89 (s, 9 H), 1.23-1.64 (m, 17 H), 1.70-1.87 (m, 1 H), 1.90-2.49 (m, 6 H), 3.70-3.80 (m,1 H), 3.83-3.90 (m, 1 H), 4.28-4.36 (m, 1 H), 4.47-4.55 (m, 1 H), 4.65 (s, 1 H), 5.30-5.39 (m, 1 H), 5.53-5.62 (m, 1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 3.69 分), MS m/z 580 (M
++1).
工程6:[18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
14−tert−ブトキシカルボニルアミノ−18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−4−カルボン酸(500mg、0.86mmol)を、25mLのTHFに溶解し、CDI(180mg、1.12mmol)で処理した。(オーブンで乾燥させたガラス器具を使用し、乾燥N2雰囲気を維持することによって湿気を除くように注意した)。反応混合物を2時間還流させた後、室温に冷却し、シクロプロピルスルホンアミド(135mg、1.12mmol)およびDBU(170mg、1.12mmol)で順次処理した。反応混合物を室温で4時間撹拌し、THFをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を酢酸エチルおよびpH4のバッファーに分配した。有機相を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。次いで、それをフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中の33%酢酸エチルで溶出)で精製し、300mg(51%)の[18−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (300 MHz, CD
3OD) δ 0.07 (s, 3 H), 0.08 (s, 3 H), 0.85 (s, 9 H), 0.87-1.49 (m, 21 H), 1.73-1.95 (m, 3 H), 2.08-2.16 (m, 1 H), 2.25-2.36 (m, 2 H), 2.42-2.56 (m, 1 H), 2.85-2.93 (m, 1 H), 3.65-3.74(dd, J=10.61, 3.66 Hz, 1 H), 3.89 (d, J=10.25 Hz, 1 H), 4.34 (m, J=9.70, 9.70 Hz, 1 H), 4.43 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.57 (s, 1 H), 4.94-5.01 (m, 1 H), 5.10 (d, J=8.78 Hz, 1 H), 5.66-5.75 (m, 1 H), 6.55 (s, 1 H), 10.13 (s, 1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 3.81 分), MS m/z 683 (M
++1).
工程7:(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルの調製
THF(25mL)中の[18−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシ)−4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(330mg、0.48mmol)の混合物に、フッ化テトラブチルアンモニウム(150mg、0.54mmol)を加えた。反応混合物を室温で18時間撹拌し、次いで、THFをロータリーエバポレーションによって除去した。残渣を酢酸エチルおよび水に分配した。有機相を乾燥させ(MgSO
4)、濾過し、減圧濃縮し、粗生成物を得た。次いで、それをヘキサンで粉砕することによって精製し、200mg(73%)の(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.0
4,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステルを白色の固形物として得た。
1H NMR (500 MHz, CD
3Cl) δ 1.87-1.64 (m, 21 H), 1.70-1.98 (m, 3 H), 2.15-2.56 (m, 5 H), 2.85-2.94 (m, 1 H), 3.71 (d, J=13.91 Hz, 1 H), 4.10-4.26 (m, 2 H), 4.51 (t, J=7.87 Hz, 1 H), 4.62 (s, 1 H), 4.98 (m, 1 H), 5.06 (d, J=8.78 Hz, 1 H), 5.64-5.71 (m, 1 H), 6.72 (s, 1 H), 10.24 (s, 1 H); LC-MS (方法 A, 保持時間: 2.85 分), MS m/z 569 (M
++1).
工程8:
(4−シクロプロパンスルホニルアミノカルボニル−18−ヒドロキシ−2,15−ジオキソ−3,16−ジアザ−トリシクロ[14.3.0.04,6]ノナデカ−7−エン−14−イル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル(1.00g、1.76mmol)のジクロロメタン溶液(50mL)に、0℃で、固形物のデス・マーチン試薬(1.64g、3.87mmol)を1回で加えた。氷浴を取り除いた後、混合物を室温で3時間攪拌し、2−プロパノール(2mL)でクエンチし、さらに1時間攪拌し、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチルでトリチュレートし、濾過し、濾液を濃縮した。残渣をジクロロメタンでトリチュレートし、濾過した。濾液を乾燥するまで濃縮した。残渣をフラッシュカラムで精製し、最初は2:1、次いで1:1 ヘキサン−アセトンで溶離し、白色固形物として、目的の生成物(670mg、67%)を得た。
LC-MS (保持時間: 2.42分, 方法B), MS m/z 567 (M++H).
工程9:
臭化マグネシウム ジエチルエーテル錯体(183mg、0.71mmol)を入れた2口フラスコを、高真空下、油浴中、4時間70℃で加熱した。室温に冷却した後、(6S,13aS,14aR,16aS,Z)−14a−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2,5,16−トリオキソ−1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a−ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−6−イルカルバミン酸tert−ブチル(40mg、0.071mmol)を入れた。フラスコを氷で冷却した。無水THF(2mL)をシリンジで加えた。形成されたわずかに黄色のスラリーを、室温で終夜、勢いよく攪拌した。ドライアイス−アセトンで冷却したこのフラスコに、フェニルリチウム(1.8M THF溶液、0.39mL、0.71mmol)を滴下して加えた。混合物をこの温度で2時間攪拌し、次いで該バスを氷浴と交換して、もう1時間攪拌した。混合物を飽和NH4Clでクエンチし、酢酸エチルで抽出した。分離した有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン(5mL)でトリチュレートし、濾過した。濾液を濃縮し、分取用HPLCで精製して、白色固形物として、目的の生成物(9.5mg、21%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 1.01-1.21 (m, 4H), 1.28-1.39 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.49-1.52 (m, 4H), 1.63-1.72 (m, 2H), 1.80-1.91 (m, 2H), 1.98-2.04 (m, 1H), 2.30-2.35 (m, 1H), 2.44-2.55 (m, 2H), 2.70-2.74 (m, 1H), 2.94-2.97 (m, 1H), 4.06-4.08 (m, 1H), 4.31-4.39 (m, 2H), 4.60-4.63 (m, 1H), 5.21-5.29 (m, 1H), 5.65-5.71 (m, 1H), 7.31-7.34 (m, 1H), 7.38-7.42 (m, 2H), 7.63-7.65 (m, 2H); LC-MS (保持時間: 2.74分, 方法B), MS m/z 627 (M++H-H2O), 571 (M++H-H2O-t-ブチル).
実施例89:化合物3の製造
化合物2と同じ方法を用いて、化合物3を製造した。臭化マグネシウム ジエチルエーテル錯体(183mg、0.71mmol)を入れた2口フラスコ(フラスコA)を、高真空下、油浴中、4時間70℃で加熱した。室温に冷却した後、(6S,13aS,14aR,16aS,Z)−14a−(シクロプロピルスルホニルカルバモイル)−2,5,16−トリオキソ−1,2,3,5,6,7,8,9,10,11,13a,14,14a,15,16,16a−ヘキサデカヒドロシクロプロパ[e]ピロロ[1,2−a][1,4]ジアザシクロペンタデシン−6−イルカルバミン酸tert−ブチル(40mg、0.071mmol)を加えた。フラスコを氷で冷却した。無水THF(2mL)をシリンジで加えた。形成されたわずかに黄色のスラリーを、室温で終夜、勢いよく攪拌した。
4−ブロモビフェニル(165mg、0.71mmol)のTHF溶液(4mL)を入れた別の2口フラスコ(フラスコB)に、−78℃で、n−BuLi(2.5M ヘキサン溶液、0.28mL、0.71mmol)を滴下して加え、形成された溶液を、この温度で1時間攪拌した。
−78℃のフラスコBの内容物を、−78℃に冷却したフラスコAにカニューレで移した。形成された黄色がかった溶液を、この温度で2時間攪拌し、次いでドライアイス−アセトン浴(dry-acetone bath)を氷浴と交換し、もう1時間攪拌した。混合物をNH4Cl(飽和)でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。分離した有機層を食塩水で洗浄し、MgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮した。残渣をヘキサン(5mL)でトリチュレートし、濾過した。濾液を濃縮し、分取用HPLCで精製して、白色固形物として、目的の生成物(4.1mg、8%)を得た。
1H NMR (CD3OD) δ 0.87-1.10 (m, 4H), 1.24-1.38 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.49-1.52 (m, 4H), 1.70-1.84 (m, 4H), 1.99-2.10 (m, 1H), 2.22-2.35 (m, 1H), 2.40-2.60 (m, 2H), 2.70-2.80 (m, 1H), 2.90-2.99 (m, 1H), 4.08-4.11 (m, 1H), 4.31-4.41 (m, 2H), 4.61-4.69 (m, 1H), 5.23-5.32 (m, 1H), 5.61-5.70 (m, 1H), 7.35-7.38 (m, 1H), 7.43-7.48 (m, 2H), 7.62-7.70 (m, 6H); LC-MS (保持時間: 2.74分, 方法B), MS m/z 703 (M++H-H2O), 647 (M++H-H2O-t-ブチル).
生物学的研究
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体酵素アッセイおよび細胞ベースのHCVレプリコンアッセイを本開示において用い、下記のように調製し、実施し、確認した。
組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生
BMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体を、下記で説明するように産生した。これらの精製した組換えタンパク質を、均一系アッセイ(下記を参照されたい)において使用するために産生し、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本開示の化合物がいかに有効であるかを示した。
HCV感染患者からの血清を、サンフランシスコ病院のT.Wright医師から得た。HCVゲノム(BMS株)の設計された完全長cDNA(相補デオキシリボ核酸)鋳型を、血清RNA(リボ核酸)の逆転写−PCR(RT−PCR)によって得たDNAフラグメントから、他の遺伝子型1a株の間の相同性に基づいて選択したプライマーを使用して作製した。全ゲノム配列の決定から、Simmondsらの分類によって、HCV分離株に対して遺伝子型1aを割り当てた(P Simmonds, KA Rose, S Graham, SW Chan, F McOmish, BC Dow, EA Follett, PL Yap and H Marsden, J. Clin. Microbiol., 31(6), 1493-1503 (1993)を参照されたい)。非構造領域NS2−5Bのアミノ酸配列は、HCV遺伝子型1a(H77)に>97%同一であり、遺伝子型1b(J4L6S)に87%同一であることが示された。感染性クローンH77(1a遺伝子型)およびJ4L6S(1b遺伝子型)は、R.Purcell(NIH)から得たが、配列はGenbankにおいて公開されている(AAB67036、Yanagi,M., Purcell,R.H., Emerson,S.U. and Bukh,J. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94(16),8738-8743 (1997); AF054247を参照されたい、Yanagi,M., St Claire,M., Shapiro,M., Emerson,S.U., Purcell,R.H. and Bukh,J, Virology 244 (1), 161-172. (1998)を参照されたい)。
H77およびJ4L6S株を組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の産生のために使用した。これらの株について組換えHCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体(アミノ酸1027〜1711)をコードするDNAを、P.Gallinariらによって記載されているように操作した(Gallinari P, Paolini C, Brennan D, Nardi C, Steinkuhler C, De Francesco R. Biochemistry. 38(17):5620-32, (1999)を参照されたい)。手短に言えば、3個のリシンの可溶化尾部を、NS4Aコード領域の3’末端に添加した。NS4A−NS4B切断部位のP1位中のシステイン(アミノ酸1711)をグリシンに変更し、リシンタグのタンパク質分解的切断を防止した。さらに、システインからセリンへの変異をアミノ酸位置1454でPCRによって導入し、NS3ヘリカーゼドメインにおける自己分解による切断を防止した。P.Gallinariらによって記載されたプロトコルに修正を加えて、変異DNAフラグメントをpET21b細菌発現ベクター(Novagen)中でクローン化し、NS3/4A複合体を大腸菌株BL21(DE3)(Invitrogen)中で発現させた(Gallinari P, Brennan D, Nardi C, Brunetti M, Tomei L, Steinkuhler C, De Francesco R., J Virol. 72(8):6758-69 (1998)を参照されたい)。手短に言えば、NS3/4Aプロテアーゼ複合体発現を、0.5ミリモル(mM)のイソプロピルβ−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)によって20℃で22時間(h)誘導した。典型的な発酵(1リットル(L))によって、約10グラム(g)の湿細胞ペーストを得た。25mMのN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES)(pH7.5)、20%グリセロール、500mMの塩化ナトリウム(NaCl)、0.5%Triton X−100、1マイクログラム/ミリリットル(「μg/mL」)のリゾチーム、5mMの塩化マグネシウム(MgCl2)、1μg/mlのDnaseI、5mMのβ−メルカプトエタノール(βME)、プロテアーゼ阻害剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)非含有)(Roche)からなる溶解バッファー(10mL/g)中で細胞を再懸濁させ、ホモジナイズし、4℃で20分(分)間インキュベートした。ホモジネートを超音波処理し、4℃にて235000gで1時間(h)超遠心分離することによって清澄にした。イミダゾールを15mMの最終濃度まで上清に加え、pHを8.0に調節した。粗タンパク質抽出物を、バッファーB(25mMのHEPES(pH8.0)、20%グリセロール、500mMのNaCl、0.5%Triton X−100、15mMのイミダゾール、5mMのβME)で予め平衡化させたニッケル−ニトリロ三酢酸(Ni−NTA)カラムに添加した。試料を1mL/分の流量で添加した。カラムを15カラム容量のバッファーC(0.2%Triton X−100以外はバッファーBと同一)で洗浄した。タンパク質を5カラム容量のバッファーD(200mMのイミダゾール以外はバッファーCと同一)で溶出した。
NS3/4Aプロテアーゼ複合体含有画分をプールし、バッファーD(25mMのHEPES(pH7.5)、20%グリセロール、300mMのNaCl、0.2%Triton X−100、10mMβME)で予め平衡化した脱塩カラムSuperdex−S200に添加した。試料を1mL/分の流量で添加した。NS3/4Aプロテアーゼ複合体含有画分をプールし、約0.5mg/mlまで濃縮した。BMS、H77およびJ4L6S株由来のNS3/4Aプロテアーゼ複合体の純度は、SDS−PAGEおよび質量分析法によって90%超であると判断した。酵素は、アッセイバッファーにおいて使用する前に、−80℃で貯蔵し、氷上で解凍し、希釈した。
HCV NS3/4Aタンパク質分解活性をモニターするためのFRETペプチドアッセイ
このインビトロアッセイの目的は、本開示の化合物による上記のようなBMS株、H77株またはJ4L6S株由来のHCV NS3プロテアーゼ複合体の阻害を測定することであった。このアッセイは、HCV NS3タンパク質分解活性の阻害において本開示の化合物がいかに有効であるかを示した。
HCV NS3/4Aプロテアーゼ活性をモニターするために、NS3/4Aペプチド基質を使用した。基質は、Anal. Biochem. 240(2):60-67 (1996)においてTalianiらによって記載されたRET S1であった(共鳴エネルギー移動デプシペプチド基質;AnaSpec、Inc.カタログ#22991)(FRETペプチド)。このペプチドの配列は、切断部位においてアミド結合ではなくエステル結合が存在すること以外は、HCV NS3プロテアーゼについてのNS4A/NS4B天然切断部位に大まかに基づいている。ペプチドはまた、ペプチドの一端近くに蛍光供与体EDANSを、および他端の近くに容体DABCYLを含有する。ペプチドの蛍光は、供与体と受容体との間の分子間の共鳴エネルギー移動(RET)によってクエンチされるが、NS3プロテアーゼがペプチドを切断するにつれ、生成物がRET消光から放出され、供与体の蛍光が明らかになる。
ペプチド基質を、本開示の化合物の非存在下、または存在下で、3種の組換えNS3/4Aプロテアーゼ複合体の1種と共にインキュベートした。Cytofluor Series4000を使用して蛍光性反応生成物の形成をリアルタイムでモニターすることによって化合物の阻害作用を決定した。
試薬は下記の通りであった。HEPESおよびグリセロール(Ultrapure)は、GIBCO−BRLから入手した。ジメチルスルホキシド(DMSO)は、Sigmaから入手した。β−メルカプトエタノールはBio Radから入手した。
アッセイバッファー:50mMのHEPES(pH7.5);0.15MのNaCl;0.1%Triton;15%グリセロール;10mMのβME。基質:2μMの最終濃度(−20℃で貯蔵したDMSO中の2mMのストック溶液から)。HCV NS3/4Aプロテアーゼ1a(1b)型、2〜3nMの最終濃度(25mMのHEPES(pH7.5)、20%グリセロール、300mMのNaCl、0.2%Triton−X100、10mMβME中の5μMのストック溶液から)。アッセイ限界に近づいた作用強度を有する化合物については、アッセイバッファーに50μg/mlのウシ血清アルブミン(Sigma)を加え、プロテアーゼの最終濃度を300pMに下げることによって、アッセイをより感応性にした。
アッセイを、Falconの96−ウェルのポリスチレンブラックプレート中で行った。各ウェルは、アッセイバッファー中のNS3/4Aプロテアーゼ複合体25μl、10%DMSO/アッセイバッファー中の本開示の化合物50μl、およびアッセイバッファー中の基質25μlを含有した。対照(化合物を含有せず)もまた、同一のアッセイプレート上で調製した。基質の添加によって酵素反応が開始する前に、酵素複合体を化合物または対照溶液と1分間混合した。アッセイプレートをCytofluor Series4000(Perspective Biosystems)を使用して直ちに読み取った。25℃にて340nmでの発光および490nmでの励起を読み取るように装置を設定した。反応は一般に約15分間続いた。
下記の式で阻害率を計算した。
100−[(δFinh/δFcon)×100]
式中、δFは曲線の線形範囲に亘る蛍光の変化である。非線形曲線の当てはめを阻害−濃度データに適用し、式y=A+((B−A)/(1+((C/x)^D)))を使用してExcel XLfitソフトウェアの使用によって50%有効濃度(IC50)を計算した。
特異性アッセイ
HCV NS3/4Aプロテアーゼ複合体の阻害における本開示の化合物のインビトロ選択性を示すために、他のセリンまたはシステインプロテアーゼと比較した、特異性アッセイを行った。
本開示の化合物の、種々のセリンプロテアーゼに対する特異性を決定した。ヒト好中球エラスターゼ(HNE)、ブタ膵エラスターゼ(PPE)およびヒト膵臓キモトリプシンおよび1種のシステインプロテアーゼであるヒト肝臓カテプシンB。全ての場合において、セリンプロテアーゼアッセイをある程度修正して、従前(PCT特許出願第WO00/09543号)に記載されているように、それぞれの酵素に特異的な蛍光分析のアミノ−メチル−クマリン(AMC)基質を使用した96ウェルプレートフォーマットプロトコルを使用した。全ての酵素はSigma、EMDbiosciencesから購入し、一方基質はBachem、SigmaおよびEMDbiosciencesから購入した。
化合物濃度は、それらの作用強度によって100〜0.4μMで変化した。10分間プレインキュベートした酵素−阻害剤に室温で基質を加え、cytofluorで測定して15%変換まで加水分解することによって、酵素アッセイをそれぞれ開始した。
各アッセイについての最終条件は下記の通りであった。
50mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩(Tris−HCl)(pH8)、0、5Mの硫酸ナトリウム(Na2SO4)、50mMのNaCl、0.1mMのEDTA、3%DMSO、0.01%Tween−20、5μMのLLVY−AMCおよび1nMのキモトリプシン。
50mMのTris−HCl、pH8.0、50mMのNaCl、0.1mMのEDTA、3%DMSO、0.02%Tween−20、5μMのsucc−AAPV−AMCおよび20nMのHNEまたは8nMのPPE;
100mMのNaOAC(酢酸ナトリウム)(pH5.5)、3%DMSO、1mMのTCEP(トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩)、5nMのカテプシンB(酵素ストックは使用前に20mMのTCEPを含有するバッファー中で活性化させた)、およびH2Oで希釈した2μMのZ−FR−AMC。
阻害率は、式を使用して計算した。
[1−((UVinh−UVblank)/(UVctl−UVblank))]×100
非線形曲線の当てはめを阻害−濃度データに適用し、Excel XLfitソフトウェアを使用して50%有効濃度(IC50)を計算した。
HCVレプリコンの産生
HCVレプリコン全細胞系を、Lohmann V, Korner F, Koch J, Herian U, Theilmann L, Bartenschlager R., Science 285(5424):110-3 (1999)によって記載されているように確立した。この系によって、本発明者らは、HCV RNA複製に対する本発明者らのHCVプロテアーゼ化合物の効果を評価することができた。手短に言えば、Lohmannの論文に記載されているHCV株1b配列(登録番号:AJ238799)を使用して、HCV cDNAをOperon Technologies、Inc.(Alameda、CA)によって合成し、次いで完全長レプリコンをプラスミドpGem9zf(+)(Promega、Madison、WI)中で標準的な分子生物学技術を使用して構築した。レプリコンは、(i)キャプシドタンパク質の最初の12個のアミノ酸に融合したHCV5’UTR、(ii)ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(ネオ)、(iii)脳心筋炎ウイルス(EMCV)からのIRES、および(iv)HCV NS3からNS5B遺伝子およびHCV3’UTRからなる。メーカーの説明書に従ってT7MegaScript転写キット(Ambion、Austin、TX)を使用して、プラスミドDNAをScaIで直線化し、RNA転写物をインビトロで合成した。cDNAのインビトロ転写物を、ヒト肝臓癌細胞系HUH−7にトランスフェクトした。HCVレプリコンを恒常的に発現している細胞についての選択を、選択マーカーであるネオマイシン(G418)の存在下で行った。このように得られた細胞系を、プラス鎖およびマイナス鎖RNA生成、ならびにタンパク質生成について経時で性質決定した。
HCVレプリコンFRETアッセイ
HCVレプリコンFRETアッセイを、HCVウイルス複製に対する本開示において記載されている化合物の阻害作用をモニターするために開発した。HCVレプリコンを恒常的に発現しているHUH−7細胞を、10%ウシ胎仔血清(FCS)(Sigma)および1mg/mlのG418(Gibco−BRL)を含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)(Gibco−BRL)中で増殖させた。細胞を、前夜に96−ウェル組織培養無菌プレート中に(1.5×104細胞/ウェル)で播種した。化合物および化合物を含有しない対照を、希釈プレート中で4%FCS、1:100ペニシリン/ストレプトマイシン(Gibco−BRL)、1:100L−グルタミンおよび5%DMSOを含有するDMEM中で調製した(アッセイにおいて0.5%のDMSO最終濃度)。化合物/DMSO混合物を細胞に添加し、37℃で4日間インキュベートした。4日後、CC50読取りのためにアラマーブルー(Trek Diagnotstic Systems)を使用して最初に細胞毒性について細胞を評価した。細胞をインキュベートしている培地に10分の1容量のアラマーブルーを加えることによって、化合物の毒性(CC50)を決定した。4h後、Cytofluor Series4000(Perspective Biosystems)を使用して、各ウェルからの蛍光シグナルを、530nmでの励起波長および580nmでの発光波長で読み取った。次いで、プレートをリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で完全にすすいだ(3度、150μl)。HCVプロテアーゼ基質、蒸溜水で1倍に希釈した5×細胞ルシフェラーゼ細胞培養溶解試薬(Promega #E153A)、150mMの最終濃度まで加えたNaCl、100%DMSO中の2mMのストックから10μMの最終濃度まで希釈したFRETペプチド基質(上記の酵素アッセイについて説明した通り)を含有する25μlの溶解アッセイ試薬で細胞を溶解した。次いで、プレートを、340nm励起/490nm発光、21サイクルの自動モード、運動モードでのプレート読取りに設定してあるCytofluor4000装置中に置いた。IC50決定について記載したように、EC50決定を行った。
HCVレプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイ
二次的アッセイとして、レプリコンFRETアッセイからのEC50決定を、レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイにおいて確認した。レプリコンルシフェラーゼレポーターアッセイの利用は、Kriegerらによって最初に記載された(Krieger N, Lohmann V, and Bartenschlager R, J. Virol. 75(10):4614-4624 (2001))。本発明者らのFRETアッセイについて記載したレプリコンコンストラクトを、Renillaルシフェラーゼ遺伝子のヒト化形態およびルシフェラーゼ遺伝子の3’末端に直接融合しているリンカー配列をコードするcDNAを挿入することによって改変した。この挿入物は、ネオマイシンマーカー遺伝子の直接上流のコア中に位置するAsc1制限部位を使用して、レプリコンコンストラクトに導入された。1179位での適応的変異(セリンからイソロイシン)もまた導入した(Blight KJ, Kolykhalov, AA, Rice, CM, Science 290(5498):1972-1974)。このHCVレプリコンコンストラクトを恒常的に発現している安定的な細胞系を上記のように産生した。ルシフェラーゼレポーターアッセイを、下記のように修正してHCVレプリコンFRETアッセイのために説明したように設定した。37℃/5%CO2のインキュベーター中で4日間後、Promega Dual−Gloルシフェラーゼアッセイシステムを使用して、Renillaルシフェラーゼ活性について細胞を分析した。培地(100μl)を、細胞を含有する各ウェルから除去した。残りの50μlの培地に、50μlのDual−Gloルシフェラーゼ試薬を加え、プレートを室温で10min〜2h揺動させた。次いで、Dual−Glo Stop & Glo試薬(50μl)を各ウェルに加え、プレートを室温でさらに10min〜2h再び揺動させた。発光プログラムを使用してPackard TopCount NXT上でプレートを読み取った。
阻害率を下記の式を使用して計算した。
%対照= 実験ウェル(+化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
DMSO対照ウェル(−化合物)における平均ルシフェラーゼシグナル
XLfitを使用して値をグラフ化し、分析し、EC50値を得た。
表2に示される特許例番号および特許化合物番号を使用することによって、化合物の構造を本明細書において見い出すことができることに留意されたい。
当業者であれば、本開示は上記の実施例に限定されず、その本質的な特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化することができることは明らかであろう。したがって、実施例はあらゆる点で例示的なものであり、限定するものではないと考えられ、参照は上記の実施例に対してではなくむしろ添付の特許請求に対してなされ、特許請求の範囲に相当する意義および範囲内である全ての変更は、したがってその中に包含されることを意図することが望ましい。