JP5240497B2 - スプラインシャフト - Google Patents

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Description

本発明は、相互に軸線方向の相対移動を可能としつつトルクを伝達するスプラインシャフトに関するものである。
スプラインシャフトの一例として、車両に搭載されたパワーユニットの駆動力を車輪に伝達するプロペラシャフトがある。このプロペラシャフトは、パワーユニットに連結されるトランスミッションと車輪に連結されるディファレンシャルギヤとの間に配置され、トランスミッションの出力をディファレンシャルギヤへ伝達する。ここで、路面からの衝撃や車両の運転状態などにより、トランスミッションとディファレンシャルギヤとの相対位置関係が移動する。特に車両前後方向の相対位置の移動を吸収するために、プロペラシャフトは、外周スプラインが形成された第1シャフトと、内周スプラインが形成された第2シャフトとに分割されている。(特開2004−359087号公報参照)つまり、外周スプラインと内周スプラインとが、軸方向(車両前後方向)に摺動できるような構成としている。
ところで、車両の加減速時などにトランスミッションとディファレンシャルギヤとの間が変動することにより、スティックスリップという現象が生じることがある。スティックスリップとは、第1シャフトの外周スプラインと第2シャフトの内周スプラインとが、軸方向に断続的に相対移動するという現象である。そして、スティックスリップにより、車体振動や異音が発生することになる。
このスティックスリップの発生は、外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数を低くすることにより、抑制することができる。そこで、静摩擦係数を低くするために、外周スプラインと内周スプラインの表面の表面粗さを小さくすることが考えられる。しかし、例えば、表面粗さをRz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ、以下同様)0.1μm以下と非常に低くした場合には、スクイズ効果等により、却って静摩擦係数が増加してしまう。さらに、表面粗さをRz0.1μm以下と小さくした場合には、中すべり領域、すなわち第1シャフトと第2シャフトの相対的な摺動速度が0.1m/s以上の領域において、摺動速度に対する動摩擦係数が負勾配となる。これは、外周スプラインと内周スプラインとの間における巨視的な油膜の増加に伴い、混合潤滑状態に移行するためである。ここで、動摩擦係数が摺動速度に対して負勾配である場合とは、摺動速度が増加するにつれて、動摩擦係数が減少する場合である。そして、このように摺動速度に対する動摩擦係数が負勾配となることにより、やはりスティックスリップが発生するおそれがある。
本発明は、このような事情に鑑みて為されたものであり、表面粗さを単に小さくすること以外の手段により、スティックスリップが生じることを確実に抑制することができるスプラインシャフトを提供することを目的とする。
本発明のスプラインシャフトは、相互に軸線方向の相対移動を可能としつつトルクを伝達するスプラインシャフトであって、第1シャフトと、第2シャフトとを備える。第1シャフトとは、外周面に外周スプラインが形成されたシャフトである。第2シャフトとは、内周面に外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な内周スプラインが形成されたシャフトである。そして、外周スプライン及び内周スプラインのうち少なくとも何れか一方は、表面を所定の表面粗さに形成された基材と、基材の表面を被覆形成し、表面粗さをRz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)0.1μm以上3.0μm以下とするアモルファス炭素系硬質薄膜とを備え、外周スプラインと内周スプラインとの動摩擦係数に対する外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数の比は、第1シャフトと第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/sにおいて、1.0以下とすることを特徴とする。
つまり、本発明のスプラインシャフトは、外周スプラインの表面部のみ、内周スプラインの表面部のみ、又は、外周スプライン及び内周スプラインの双方の表面部に、アモルファス炭素系硬質薄膜が形成されている。ただし、アモルファス炭素系硬質薄膜が、外周スプラインの表面部のみに形成されるようにした場合には、非常に製造が容易となる。これは、アモルファス炭素系硬質薄膜を物理的蒸着法又は化学的蒸着法で成膜する際に、軸状部材の外表面への成膜は非常に容易にできるからである。ここで、単に「表面」という場合は、その部材の表面そのもの、すなわち、その部材のうち表に露出している面を意味する。また、「表面部」という場合は、その部材の表面のみならず、その部材の表面から所定深さまでの範囲を含む意味である。
ここで、アモルファス炭素系硬質薄膜は、炭素を主成分とするアモルファスの硬質薄膜を意味する。このアモルファス炭素系硬質薄膜としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)のみものや、DLCにシリコン(Si)、タングステン(W)の何れかを含有させたものや、炭化タングステン(WC)とDLCとの積層膜(WC/C)としてもよい。なお、WC/Cの場合には、最表面にDLCの層が配置されるようにする。また、第1シャフト及び第2シャフトの基材は、いずれも鋼材などの金属製材料を主とする。例えば、これらの基材には、機械構造用炭素鋼・合金鋼などが用いられる。ただし、これらの基材は、金属製材料のみからなるものの他、金属製材料部とその表面に下地処理を施したものからなるものを含む。
そして、このアモルファス炭素系硬質薄膜は、固体潤滑性に富み、アモルファスであるため、アモルファス炭素系硬質薄膜自体の表面粗さは小さい。さらに、アモルファス炭素系硬質薄膜は、その下地の表面粗さ、すなわち、アモルファス炭素系硬質薄膜を形成する前の部材の表面粗さに倣う性質(トレース性)を有している。つまり、本発明のスプラインシャフトにおいては、アモルファス炭素系硬質薄膜の表面粗さは、その下地に相当する基材の表面粗さに倣うものとなる。
つまり、基材の表面粗さが大きい場合には、アモルファス炭素系硬質薄膜を形成した後の表面粗さも大きくなり、基材の表面粗さが小さい場合には、アモルファス炭素系硬質薄膜を形成した後の表面粗さも小さくなる。さらに、アモルファス炭素系硬質薄膜自体の表面粗さは小さいため、基材の表面粗さを十分に小さくした場合には、アモルファス炭素系硬質薄膜を形成した後の表面粗さも、十分に小さくなる。
従って、本発明のスプラインシャフトによれば、基材の表面粗さを所定の表面粗さに形成することで、アモルファス炭素系硬質薄膜を被覆形成した後の表面粗さを、所定の表面粗さとすることができる。つまり、アモルファス炭素系硬質薄膜を形成した後のスプラインの表面粗さを、適切にコントロールすることができる。
つまり、基材の表面粗さを適切な表面粗さに形成しておき、この基材の表面をアモルファス炭素系硬質薄膜により被覆形成することで、外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数が確実に低くなるように設定することができる。
その結果、外周スプラインと内周スプラインとが断続的な相対移動をすることなく、滑らかな連続的な相対移動をすることができる。つまり、スティックスリップの発生を抑制することができる。さらに、アモルファス炭素系硬質薄膜は摩耗しにくいので、本発明のスプラインシャフトを長期間使用した場合であっても、スティックスリップの発生を抑制することができる。また、アモルファス炭素系硬質薄膜として、シリコン、タングステンをDLCに含有させたものとした場合は、比較的厚い膜を形成することができる。比較的厚い膜を形成することで、アモルファス炭素系硬質薄膜の摩耗に対する耐久性を確保することができる。
ところで、基材の表面を被覆するものとして、例えばナイロンコートやダイヤモンドコート等が考えられる。しかし、ナイロンコートは下地に相当する基材の表面粗さを倣う性質はなく、ダイヤモンドコートはトレース性はあるが、アモルファス炭素系硬質薄膜のトレース性に比べて非常に劣るものである。さらに、ダイヤモンドコートは、それ自体の結晶性により微細な粗さが形成され、結果として表面粗さが大きくなってしまう。このように、本発明は、ナイロンコートやダイヤモンドコート等が有しないアモルファス炭素系硬質薄膜の特有の性質を利用することで、上述したように、スティックスリップの発生を抑制することができる。
ここで、基材の所定の表面粗さは、Rz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)0.1μm以上とするとよい。基材の表面粗さをRz0.1μm以上とすることで、アモルファス炭素系硬質薄膜の表面粗さをRz0.1μm以上とすることができる。つまり、上述したように、スプラインの表面粗さが小さすぎることにより、却って静摩擦係数を大きくすることを抑制できる。換言すると、確実に静摩擦係数を小さくすることができる。さらに、中すべり領域、すなわち第1シャフトと第2シャフトの相対的な摺動速度が0.1m/s以上の領域において、摺動速度に対する動摩擦係数を正勾配とすることができる。従って、両シャフトの相対的な摺動速度が0.1m/s以上となるような場合において、確実にスティックスリップの発生を抑制することができる。なお、摩擦係数が摺動速度に対して正勾配である場合とは、摺動速度が増加するにつれて、摩擦係数が一定若しくは増加する場合である。
また、基材の所定の表面粗さは、Rz5.0μm以下とするとよい。このように、十分に小さな表面粗さとすることで、外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数を十分に小さくすることができる。
また、外周スプラインと内周スプラインとの摩擦係数の関係が次のようになるようなアモルファス炭素系硬質薄膜を形成するようにするとよい。すなわち、外周スプラインと内周スプラインとの摩擦係数は、第1シャフトと第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/s以下の範囲において0.15以下であるようにする。さらに、摺動速度が0.1m/sにおける外周スプラインと内周スプラインとの動摩擦係数に対する外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数の比は、1.4以下であるようにする。動摩擦係数に対する静摩擦係数の比(動摩擦係数と静摩擦係数との比)は、好ましくは1.2以下、より好ましくは1.0以下である。そして、外周スプラインと内周スプラインとの動摩擦係数及び静摩擦係数を上記のようにすることで、確実にスティックスリップの発生を抑制することができる。
特に、動摩擦係数に対する静摩擦係数の比(動摩擦係数と静摩擦係数との比)は、摺動速度が0.1m/s以下の範囲において、1.0以下にするとよりよい。これにより、摺動速度が0.1m/s以下の範囲において、摩擦係数が摺動速度に対して正勾配とすることができる。従って、スティックスリップの発生をより確実に抑制できる。
ここで、アモルファス炭素系硬質薄膜の表面粗さは、Rz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)3.0μm以下である。つまり、アモルファス炭素系硬質薄膜の表面粗さを上記の範囲にすることで、外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数及び動摩擦係数を低くすることができる。さらには、外周スプラインと内周スプラインとの摩擦係数の関係を上述したような関係とすることができる。
また、アモルファス炭素系硬質薄膜の膜厚は、0.4以上10.0μm以下とするとよい。当該膜厚の上限値は、好ましくは0.7μm以上、より好ましくは0.8μm以上である。また、当該膜厚の下限値は、好ましくは8.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下である。これにより、アモルファス炭素系硬質薄膜は、基材の表面粗さを確実に倣うことができる。さらに、本発明のスプラインシャフトを長期間使用した場合であっても、摩耗・剥離などの生じにくいアモルファス炭素系硬質薄膜とすることができる。従って、本発明のスプラインシャフトを長期間使用した場合であっても、スティックスリップの発生をより確実に抑制することができる。
また、アモルファス炭素系硬質薄膜の硬度は、800Hv以上とするとよい。これにより、アモルファス炭素系硬質薄膜の摩耗を抑制することができる。従って、本発明のスプラインシャフトを長期間使用した場合であっても、スティックスリップの発生を抑制することができる。
また、アモルファス炭素系硬質薄膜の基材への密着力は、10N以上とするとよい。これにより、アモルファス炭素系硬質薄膜が基材から剥離することを抑制することができる。従って、本発明のスプラインシャフトを長期間使用した場合であっても、スティックスリップの発生を抑制することができる。
特に、アモルファス炭素系硬質薄膜の基材への密着力を向上させるために、以下のようにするとよい。すなわち、外周スプライン及び内周スプラインのうち少なくとも何れか一方の基材のうちの表面部に、窒化層、Si層、Cr層、及びCrN層の何れかからなる下地処理が施されているようにするとよい。この場合、アモルファス炭素系硬質薄膜は、基材のうちの表面部に形成された下地層を被覆形成することになる。そして、この下地処理により形成される下地層により、アモルファス炭素系硬質薄膜と基材との密着力を十分に得ることができる。
なお、基材とアモルファス炭素系硬質薄膜との間に、中間層を形成するようにしてもよい。ただし、この中間層の膜厚は、アモルファス炭素系硬質薄膜の膜厚に比べて非常に薄く形成されるため、中間層の表面の表面粗さは、基材の表面粗さに倣うものとなっている。
また、アモルファス炭素系硬質薄膜は、200度以下の物理的蒸着法(PVD)又は高周波プラズマ化学的蒸着法(CVD)により成膜されるようにするとよい。ここで、例えば500度などの非常に高い温度でアモルファス炭素系硬質薄膜を成膜する場合には、成膜対象である第1シャフト及び/又は第2シャフトの基材の強度を低下させるおそれがある。しかし、200度以下にてアモルファス炭素系硬質薄膜を成膜することで、成膜対象である基材の強度の低下を防止することができる。特に、アモルファス炭素系硬質薄膜の成膜温度を150度以下とすると、基材の強度の低下をより確実に防止できる。
ここで、上述したスプラインシャフトは、車両のプロペラシャフトに適用するとよい。すなわち、この場合、当該スプラインシャフトは、車両に搭載されたパワーユニットの駆動力を車輪に伝達するプロペラシャフトであり、第1シャフトは、一端側が前記パワーユニット及び車輪の何れか一方側に連結され、他端側の外周面に外周スプラインが形成され、第2シャフトは、一端側がパワーユニット及び車輪の他方側に連結され、他端側の内周面に外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な内周スプラインが形成される。このように、本発明のスプラインシャフトをプロペラシャフトに適用することで、スティックスリップの発生に伴う車体振動や異音を確実に抑制することができる。
また、外周スプラインと内周スプラインとの間に潤滑油を介在するようにするとよい。これにより、適切に外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数を小さくしつつ、超寿命化を図ることができる。
これまでは、本発明をスプラインシャフトとして捉えた場合について説明したが、この他に、本発明は、スプラインシャフトの製造方法としても捉えることができる。
すなわち、本発明のスプラインシャフトの製造方法は、相互に軸線方向の相対移動を可能としつつトルクを伝達するスプラインシャフトの製造方法である。ここで、スプラインシャフトは、外周面に外周スプラインが形成された第1シャフトと、内周面に前記外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な内周スプラインが形成された第2シャフトとを備える。そして、外周スプライン及び内周スプラインのうち少なくとも何れか一方は、基材の表面を所定の表面粗さに形成した後、当該基材の表面に表面粗さをRz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)0.1μm以上3.0μm以下のアモルファス炭素系硬質薄膜を被覆形成し、外周スプラインと内周スプラインとの動摩擦係数に対する外周スプラインと内周スプラインとの静摩擦係数の比は、第1シャフトと第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/sにおいて、1.0以下とすることを特徴とする。これにより、上述したスプラインシャフトによる効果と同一の効果を発揮することができる。
さらに、上述したスプラインシャフトに適用する他の特徴を、当該スプラインシャフトの製造方法に同様に適用することができる。この場合、それぞれの効果と同様の効果を発揮する。
第1図は、車両の駆動系の構成を示す斜視図である。
第2図は、プロペラシャフト10の部分断面図を示す。
第3図は、外周スプライン111の軸方向断面を示す模式図である。
第4図は、実験結果を示す図である。
第5図は、実験結果を示す図である。
第6図は、実験結果を示す図である。
次に、実施形態を挙げ、本発明をより詳しく説明する。本発明のスプラインシャフトを、車両に搭載されるプロペラシャフト10に適用した場合を例に挙げて説明する。
(1)車両の駆動系の構成
まず、プロペラシャフト10が適用される車両の駆動系の構成について図1を参照して説明する。ここで、図1は、車両の駆動系の構成を示す斜視図である。図1に示すように、当該車両は、フロントエンジンリアドライブ(FR)車である。すなわち、当該車両の駆動系は、車両前方に配置されたエンジン20(本発明におけるパワーユニット)と、トランスミッション30と、プロペラシャフト10と、ディファレンシャルギヤ40と、リアアクスル50とを備えている。
トランスミッション30は、車両の前方側であって、エンジン20の後方に配置されている。そして、トランスミッション30は、エンジン20から出力される駆動力を変速する。プロペラシャフト10は、車両前後方向に延伸するように配置されている。このプロペラシャフト10の車両前端側は、トランスミッション30の出力シャフト(図示せず)に連結されている。プロペラシャフト10の車両後端側は、車両後方側に配置されたディファレンシャルギヤ40の入力シャフト(図示せず)に連結されている。すなわち、プロペラシャフト10は、トランスミッション30から出力されるエンジン20の駆動力をディファレンシャルギヤ40に伝達している。そして、ディファレンシャルギヤ40は、プロペラシャフト10を介して伝達された駆動力を左右の後輪60へ左右のリアアクスル50を介して伝達する。
このように、プロペラシャフト10は、車両前方に配置されたエンジン20の駆動力を後輪60へ伝達するためのシャフトである。ここで、トランスミッション30及びディファレンシャルギヤ40の相対的位置は、路面からの衝撃や車両の運転状態などにより、移動する。そして、トランスミッション30とディファレンシャルギヤ40とが相対的に車両前後方向、車両左右方向、及び車両上下方向に移動した場合であっても、プロペラシャフト10は、確実にトランスミッション30からディファレンシャルギヤ40へ駆動力を伝達できる構成とされている。具体的には、プロペラシャフト10の車両前端側とトランスミッション30の出力シャフトとは、自在継手10aにより連結されている。さらに、プロペラシャフト10の車両後端側とディファレンシャルギヤ40の入力シャフトとは、自在継手10bにより連結されている。さらに、プロペラシャフト10は、軸方向に伸縮可能な構成とされている。以下、プロペラシャフト10の詳細構成について説明する。
(2)プロペラシャフト10の詳細構成
プロペラシャフト10の詳細構成について図2を参照して説明する。図2は、プロペラシャフト10の部分断面図を示す。図2に示すように、プロペラシャフト10は、第1シャフト11と、第2シャフト12とから構成されている。
第1シャフト11は、軸状からなる。この第1シャフト11の車両後端側には、ディファレンシャルギヤ40の入力シャフトと連結する自在継手10bが配置されている。第1シャフト11の車両前端側には、外周面にスプライン(以下、「外周スプライン」という)111が形成されている。この外周スプライン111の径方向断面形状は、周方向に凹凸状をなしている。そして、外周スプライン111の凹凸状は、軸方向に延伸するように形成されている。また、この第1シャフト11は、主として、機械構造用炭素鋼・合金鋼などからなる。さらに、外周スプライン111の表面部には、アモルファス炭素系硬質薄膜が形成されている。具体的には、外周スプライン111の凸面、凹面、側面の全ての表面部にアモルファス炭素系硬質薄膜が形成されている。なお、この外周スプライン111の表面部の詳細については、後述する。
第2シャフト12は、軸状からなる。この第2シャフト12の車両前端側には、トランスミッション30の出力シャフトと連結する自在継手10aが配置されている。第2シャフト12の車両後端側は、筒状をなしており、この筒状部分の内周面にスプライン(以下、「内周スプライン」という)121が形成されている。内周スプライン121の径方向断面形状は、周方向に凹凸状をなしている。そして、内周スプライン121の凹凸状は、軸方向に延伸するように形成されている。この内周スプライン121は、外周スプライン111に対して周方向に係合し、且つ、軸方向に摺動するようにされている。また、この第2シャフト12は、主として、機械構造用炭素鋼・合金鋼などからなる。
つまり、外周スプライン111と内周スプライン121とが周方向に係合することにより、第2シャフト12の回転が第1シャフト11へ伝達される。また、外周スプライン111と内周スプライン121とが軸方向に摺動することができるので、プロペラシャフト10全体の長さを伸縮することができる。
(3)外周スプライン111の表面部の詳細構成
次に、外周スプライン111の表面部の詳細構成について図3を参照して説明する。図3は、外周スプライン111の軸方向断面を示す模式図である。図3に示すように、外周スプライン111は、基材111aと、DLC層111bとからなる。
基材111aは、例えば、機械構造用炭素鋼・合金鋼などからなる。この基材111aの表面部は、高周波焼き入れ処理などが施されている。さらに、高周波焼き入れが施された後、基材111aの表面部には、ダイヤモンドブラスト又はマイクロブラストなどの処理が施されている。ここで、例えば、ダイヤモンドブラスト処理は、ダイヤモンド粒子を配合した粒直径が数十〜数百μmの樹脂粒子を基材111aの表面に投射することにより行う処理である。これらの処理により、基材111aの表面粗さは、Rz0.1μm以上5.0μm以下とする。なお、基材111aのうちの表面部(基材111aの一部分である)には、窒化層、Si層、Cr層、又はCrN層などの下地層111cを形成する下地処理が施されるようにしてもよい。もちろん、下地処理を施した場合における下地層111cの表面粗さは、Rz0.1μm以上5.0以下μmとする。この下地処理により形成される下地層111cの厚みは、例えば、2〜10μmなどとする。
DLC層111bは、基材111aの表面側を被覆するように形成される。仮に、基材111aの表面部に下地層111cが形成されている場合には、DLC層111bは、下地層111cの表面側を被覆するように形成される。このDLC層111bは、ダイヤモンドライクカーボン(以下、「DLC」という)などのアモルファス炭素系硬質薄膜からなる。具体的には、DLC層111bは、DLC、シリコン(Si)をDLCに含有させたDLC−Si、チタン(Ti)をDLCに含有させたDLC−Ti、タングステン(W)をDLCに含有させたDLC−W、炭化タングステン(WC)とDLCとの積層膜(WC/C)などである。
そして、DLC層111bは、200度以下の物理的蒸着法又は高周波プラズマ化学的蒸着法により成膜される。このDLC層111bは、表面粗さがRz0.1μm以上5.0μm以下である。これは、DLC層111bは基材111aの表面粗さに倣う性質を有しているため、DLC層111bの表面粗さは、基材111aの表面粗さとほぼ同一の表面粗さとなる。また、DLC層111bは、膜厚が0.4μm以上10.0μm以下であり、硬度が800Hv以上である。そして、DLC層111bの基材111aへの密着力は、10N以上確保されている。
(4)DLC層111bの摩擦係数μに関する実験
ここで、外周スプライン111と内周スプライン121との摩擦係数μは、外周スプライン111と内周スプライン121との間にて発生するスティックスリップの指標となる。具体的には、外周スプライン111と内周スプライン121との摩擦係数μを低下させることが、スティックスリップの発生を抑制するように作用する。さらに、外周スプライン111と内周スプライン121との相対的な摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配となるようにすることが、スティックスリップの発生を抑制するように作用する。
そこで、スティックスリップの発生の指標である外周スプライン111と内周スプライン121との摩擦係数μに関する実験を行った。
(a)まず、第1シャフト11と第2シャフト12との相対的な摺動速度Vを変化させた場合における外周スプライン111と内周スプライン121との摩擦係数μを計測した。ここで、DLC層111bは、処理温度500度の直流プラズマCVDにより、Si含有量20wt%のDLC−Siを成膜した。また、DLC層111bは、表面粗さがRz2.0μm、膜厚が3μm、密着力が40N、硬度が2000Hv、下地層が窒化層である。
そして、当該実験は、駆動系潤滑油中にて、外周スプライン111と内周スプライン121との面圧を約1.7GPaとして行った。比較のため、DLC層111bが形成されていない外周スプライン111を用いた場合についても同様の実験を行った。
この実験結果を図4に示す。図4は、上記の実験結果を示す図であり、横軸を摺動速度Vとし、縦軸を摩擦係数μとする、いわゆるμ−V特性を示す図である。図4に示すように、DLC層111bが形成されている場合には、摺動速度Vが0m/sの摩擦係数μ、いわゆる静摩擦係数μsが、約0.12程度である。そして、摺動速度Vの増加に伴って、摩擦係数μが0.13付近まで増加している。そして、摺動速度Vが約0.01m/s以上における摩擦係数μ、いわゆる動摩擦係数μdは、0.13付近でほぼ一定となっている。例えば、摺動速度Vが0.1m/sの場合における動摩擦係数μdは、約0.13である。
ここで、外周スプライン111と内周スプライン121との間にてスティックスリップが発生するおそれのある摺動速度Vは、0.1m/s以下の範囲である。つまり、DLC層111bが形成されている場合には、スティックスリップが発生するおそれのある摺動速度Vが0.1m/s以下の範囲において、摩擦係数μが摺動速度Vに対して正勾配となっている。さらに、摺動速度Vが0.1m/s以下の範囲において、摩擦係数μは0.15以下となっている。なお、摩擦係数μが摺動速度Vに対して正勾配である場合とは、摺動速度Vが増加するに従って、摩擦係数μが一定若しくは増加する場合である。
一方、DLC層111bが形成されていない場合には、静摩擦係数μsが、約0.23程度である。そして、摺動速度Vが増加するのに伴って、摩擦係数μが0.19前後まで徐々に減少する。例えば、摺動速度Vが0.1m/sの場合における動摩擦係数μdは、約0.20である。つまり、摺動速度Vが0.1m/s以下の範囲において、摩擦係数μは摺動速度Vに対して正勾配となっていない。
このように、DLC層111bが形成されている場合には、DLC層111bが形成されていない場合に比べて、摺動速度Vが0.1m/s以下の範囲において摩擦係数μを低くすることができる。さらに、DLC層111bが形成されることで、DLC層111bが形成されていない場合には成し得なかった摺動速度Vに対して摩擦係数μを正勾配にすることができる。このように、DLC層111bを形成することで、スティックスリップが発生するおそれのある摺動速度Vにおいて、摩擦係数μを低下でき、且つ、正勾配とすることができるので、スティックスリップの発生を抑制することができる。
さらに、DLC層111bは、摩耗しにくい特性を有している。従って、プロペラシャフト10を長期間使用した場合であっても、上述したμ−V特性が維持される。これは、上述したDLC層111bが形成されている場合におけるμ−V特性は、DLC層111bが形成されていることによる影響が非常に大きいためである。すなわち、外周スプライン111と内周スプライン121との間に配置させていたグリスや駆動系潤滑油などが消耗したとしても、摩擦係数μはほとんど大きくならない。これに対して、DLC層111bが形成されていない場合には、グリスや駆動系潤滑油が消耗した場合には、摩擦係数μは大きくなる。これは、DLC層111bが形成されていない場合におけるμ−V特性は、グリスや駆動系潤滑油による影響が非常に大きいためである。
このように、DLC層111bが形成されている場合には、摩擦係数μを低くすることができ、摺動速度Vに対して摩擦係数μを正勾配にすることができ、さらに、この状態を長期間維持することができる。従って、スティックスリップの発生を長期間抑制することができる。
(b)次に、外周スプライン111の表面粗さを変化させた場合における外周スプライン111と内周スプライン121との摩擦係数μを計測した。ここで、DLC層111bは、処理温度500度の直流プラズマCVDにより、Si含有量20wt%のDLC−Siを成膜した。また、DLC層111bは、膜厚が3.0μm、密着力が30〜40N、硬度が2000Hv、下地層が窒化層である。
そして、当該実験は、駆動系潤滑油中にて、外周スプライン111と内周スプライン121との面圧を約1.7GPaとして行った。比較のため、DLC層111bが形成されていない外周スプライン111を用いた場合についても同様の実験を行った。
この実験結果を図5に示す。図5は、上記の実験結果を示す図であり、横軸を外周スプライン111の表面粗さとし、縦軸を静摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの比とする図である。ここで、図5における縦軸の静摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの比とは、摺動速度Vが0.1m/sにおける動摩擦係数μdに対する静摩擦係数μsの比、すなわち、静摩擦係数μsを摺動速度Vが0.1m/sにおける動摩擦係数μdで除した値である。つまり、図5は、表面粗さを変化させた場合に、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配となるか否かを判断することができる図である。つまり、縦軸の静摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの比が1.0以下の場合には、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配となり、1.0より大きい場合には、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配とならない。なお、以下、静摩擦係数と動摩擦係数との比を「静摩擦係数/動摩擦係数」と記す。
図5に示すように、DLC層111bが形成されている場合には、表面粗さがRz3.0μm以下において、静摩擦係数/動摩擦係数は、1.0より小さくなっている。また、表面粗さがRz5.0μmにおいては、静摩擦係数/動摩擦係数は、約1.1である。
一方、DLC層111bが形成されていない場合には、表面粗さがRz1.0μm以下においては、静摩擦係数/動摩擦係数は、約1.1である。表面粗さがRz2.0〜3.0μmにおいては、静摩擦係数/動摩擦係数は、約1.25である。また、表面粗さがRz5.0μmにおいては、静摩擦係数/動摩擦係数は、約1.4である。
以上より、DLC層111bが形成されている場合には、DLC層111bが形成されていない場合に比べて、静摩擦係数/動摩擦係数が小さくなっている。つまり、DLC層111bが形成されることが、摺動速度Vに対して摩擦係数μを正勾配に近づかせるように作用する。
そして、DLC層111bが形成されている場合には、摺動速度Vが0.1m/s以下の範囲において、表面粗さがRz3.0μm以下であれば、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配となる。また、表面粗さがRz3.0〜5.0μmにおいては、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配にはならないとしても、静摩擦係数μsと動摩擦係数μdとの差が非常に小さい。従って、正勾配となる場合とほど同等と考えることができる。従って、表面粗さがRz5.0μm以下であれば、スティックスリップの発生を抑制することができる。さらには、表面粗さがRz3.0μm以下であれば、スティックスリップの発生をより抑制することができる。特に、表面粗さがRz0.5μm以下であれば、スティックスリップの発生をさらに抑制することができる。
また、DLC層111bは、上述したように、摩耗しにくい特性を有している。従って、プロペラシャフト10を長期間使用した場合であっても、摺動速度Vに対して摩擦係数μが正勾配になる状態又は正勾配に近い状態を維持することできる。
(c)次に、DLC層111bの種類を変化させた場合の摩擦係数μを計測した。ここで、DLC層111bは、DLC−Siと、DLCと、WC/Cとした。DLC−SiからなるDLC層111bは、Si含有量20wt%のDLCであって、処理温度500度の直流プラズマCVDにより成膜し、表面粗さがRz2.6μm、膜厚が3μm、密着力が40N、硬度が2000Hv、下地層が窒化層である。DLCからなるDLC層111bは、処理温度150度のPVDにより成膜し、表面粗さがRz2.5μm、膜厚が3μm、密着力が20N、硬度が2000Hv、下地層が窒化層である。WC/CからなるDLC層111bは、処理温度180度のPVDにより成膜し、表面粗さがRz3.6μm、膜厚が3μm、密着力が40N、硬度が1000Hv、下地層が窒化層である。
そして、当該実験は、駆動系潤滑油中にて、外周スプライン111と内周スプライン121との面圧を約1.7GPa、摺動速度Vを0.08m/sとして行った。比較のため、DLC層111bが形成されていない外周スプライン111についても同様の実験を行った。
この実験結果を図6に示す。図6は、DLC層111bの各種、及び、比較例についての摩擦係数μを示す図である。図6に示すように、DLC−Siが形成されている場合には、摩擦係数μは約0.13となる。また、DLCのみが形成されている場合には、摩擦係数μは約0.125である。WC/Cが形成されている場合には、摩擦係数μは約0.12である。また、DLC層111bが形成されておらず基材111aのみの場合には、摩擦係数μは約0.2である。
つまり、DLC−Si、DLC、又はWC/CのDLC層111bが形成されることで、基材111aのみの場合に比べて、摩擦係数μを低くすることができる。すなわち、DLC層111bの種類をDLC−Siに代えて、DLC、WC/Cとした場合であっても、スティックスリップの発生を抑制することができる。
ここで、上記各実験において、DLC層111bの成膜は、処理温度500度の直流プラズマCVDにより行った。ただし、実際には、DLC層111bは、200度以下、好ましくは150度以下のPVD又は高周波プラズマCVDにより成膜されるようにする。これにより、DLC層111bを成膜することにより、基材111aの焼き鈍しによる強度低下を防止することができる。なお、上記実験において、処理温度500度の直流プラズマCVDにより行ったが、このことは、摩擦係数μには影響を及ぼすことはない。
なお、上記実施形態においては、DLC層111bは、外周スプライン111に形成するようにしたが、内周スプライン121に形成するようにしてもよい。内周スプライン121にDLC層を形成する場合にも、外周スプライン111にDLC層111bを形成する場合と同様の効果を奏する。さらに、外周スプライン111及び内周スプライン121の双方にDLC層を形成するようにしてもよい。この場合には、より効果的に、スティックスリップの発生を抑制することができる。

Claims (13)

  1. 相互に軸線方向の相対移動を可能としつつトルクを伝達するスプラインシャフトであって、
    外周面に外周スプラインが形成された第1シャフトと、
    内周面に前記外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な内周スプラインが形成された第2シャフトと、
    を備え、
    前記外周スプライン及び前記内周スプラインのうち少なくとも何れか一方は、
    表面を所定の表面粗さに形成された基材と、
    前記基材の表面を被覆形成し、表面粗さをRz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)0.1μm以上3.0μm以下とするアモルファス炭素系硬質薄膜と、
    を備え
    前記外周スプラインと前記内周スプラインとの動摩擦係数に対する前記外周スプラインと前記内周スプラインとの静摩擦係数の比は、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/sにおいて、1.0以下とすることを特徴とするスプラインシャフト。
  2. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜は、シリコン、タングステンの何れかを含有することを特徴とする請求項1記載のスプラインシャフト。
  3. 前記外周スプラインと前記内周スプラインとの摩擦係数は、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/s以下の範囲において0.15以下である請求項1または2に記載のスプラインシャフト。
  4. 前記基材の表面粗さは、Rz0.1μm以上5.0μm以下である請求項1〜3の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  5. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜の膜厚は、0.4μm以上10.0μm以下である請求項4記載のスプラインシャフト。
  6. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜の硬度は、800Hv以上である請求項1〜5の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  7. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜の前記基材への密着力は、10N以上である請求項1〜6の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  8. 前記外周スプライン及び前記内周スプラインのうち少なくとも何れか一方の前記基材のうちの表面部に、窒化層、Si層、Cr層、及びCrN層の何れかからなる下地処理が施されている請求項7記載のスプラインシャフト。
  9. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜は、200度以下の物理的蒸着法又は高周波プラズマ化学的蒸着法により成膜される請求項1〜8の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  10. 前記アモルファス炭素系硬質薄膜は、前記外周スプラインの表面部に形成されている請求項1〜9の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  11. 前記スプラインシャフトは、車両に搭載されたパワーユニットの駆動力を車輪に伝達するプロペラシャフトであり、
    前記第1シャフトは、一端側が前記パワーユニット及び前記車輪の何れか一方側に連結され、他端側の外周面に前記外周スプラインが形成され、
    前記第2シャフトは、一端側が前記パワーユニット及び前記車輪の他方側に連結され、他端側の内周面に前記外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な前記内周スプラインが形成される請求項1〜10の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  12. 前記外周スプラインと前記内周スプラインとの間に潤滑油を介在する請求項1〜11の何れか一項に記載のスプラインシャフト。
  13. 相互に軸線方向の相対移動を可能としつつトルクを伝達するスプラインシャフトの製造方法であって、
    前記スプラインシャフトは、
    外周面に外周スプラインが形成された第1シャフトと、
    内周面に前記外周スプラインに対して周方向に係合し且つ軸方向に摺動可能な内周スプラインが形成された第2シャフトと、
    を備え、
    前記外周スプライン及び前記内周スプラインのうち少なくとも何れか一方は、基材の表面を所定の表面粗さに形成した後、当該基材の表面に表面粗さをRz(JIS B 0601:1994に基づく十点平均粗さ)0.1μm以上3.0μm以下のアモルファス炭素系硬質薄膜を被覆形成し、
    前記外周スプラインと前記内周スプラインとの動摩擦係数に対する前記外周スプラインと前記内周スプラインとの静摩擦係数の比は、前記第1シャフトと前記第2シャフトとの相対的な摺動速度が0.1m/sにおいて、1.0以下とすることを特徴とするスプラインシャフトの製造方法。
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