JP2006084019A - ウォームホイール減速機及び電動パワーステアリング装置 - Google Patents

ウォームホイール減速機及び電動パワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 減速ギヤ歯の噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持すること。
【解決手段】 ウォーム3のギヤ歯3aに、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)である。具体的には、金属製のウォーム3の基材は、S45C調質材である。この基材に、高周波焼入れ焼戻しにより、硬化処理を施して、硬化層(HL)を形成する。その後、ギヤ歯3aを研削し、磨き(バレル)処理を行なう。ウォーム3のギヤ歯3aの表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングする。これにより、ギヤ歯2a,3aの噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、減速ギヤ歯の噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる、ウォームホイール減速機及び電動パワーステアリング装置に関する。
自動車の操舵系では、外部動力源を用いて操舵アシストを行わせる、いわゆるパワーステアリング装置が広く採用されている。従来、パワーステアリング装置用の動力源としては、ベーン方式の油圧ポンプが用いられており、この油圧ポンプをエンジンにより駆動するものが多かった。ところが、この種のパワーステアリング装置は、油圧ポンプを常時駆動することによるエンジンの駆動損失が大きい(最大負荷時において、数馬力〜十馬力程度)ため、小排気量の軽自動車等への採用が難しく、比較的大排気量の自動車でも走行燃費が無視できないほど低下することが避けられなかった。
そこで、これらの問題を解決するものとして、電動モータを動力源とする電動パワーステアリング装置(Electric Power Steering、以下EPSと記す)が近年注目されている。EPSには、電動モータの電源に車載バッテリを用いるために直接的なエンジンの駆動損失が無く、電動モータが操舵アシスト時にのみに起動されるために走行燃費の低下も抑えられる他、電子制御が極めて容易に行える等の特長がある。
EPSでは、ステアリングホイールに印加された操舵トルクに対応して、電動モータから補助操舵トルクを発生して、動力伝達機構(減速機)により減速して操舵機構の出力軸に伝達するようになっている。
この動力伝達機構(減速機)として、特許文献1に示すように、ウォームホイール減速機を用いたEPSでは、電動モータの駆動軸側のウォームに、ウォームホイールが噛合してあり、このウォームホイールは、操舵機構の出力軸(例えば、ピニオン軸、コラム軸)に嵌合してある。
特開2002−213576号公報 特開平11−43062号公報
従来、電動パワーステアリング装置に使用される減速機のほとんどは、ウォームホイール減速機を採用している。その構成は、アルミ製ギヤケースの中に、金属製(焼き入れ又は調質処理をした鉄)のウォームと、少なくともギヤ歯が合成樹脂製(6、66、46ナイロン、又はMCナイロン)であるウォームホイールとを組合わせ、グリースを潤滑剤として使用している。
しかしながら、ウォームホイールに使用されているナイロン樹脂は、吸湿により膨らむ。これにより、減速ギヤ歯の噛合い隙間がつまり、グリース潤滑から素材同士の滑り潤滑に変わるため、ギヤ作動性能が低下するという問題点がある。
また、この問題点は、ウォームホイール減速機を構成するそれぞれの素材の線膨張係数と厚みでも起こりえる。
そこで、特許文献1では、ウォームの歯面とウォームホイールの歯面との、いずれか一方又は両方を、表面処理することによって、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆してある。低摩擦剤からなる被膜層にて被覆するには、例えば、低摩擦剤にてコーティングしたり低摩擦剤を含浸させる。低摩擦剤にて、ウォームの歯面とウォームホイールの歯面との間の、滑り面の摩擦係数を所定値まで低減させることにより、動力伝達効率を高めることができる。低摩擦剤としては、例えば、ポリテトラフルエチレン(略記;PTFE、登録商標;テフロン)等のフッ素樹脂がある。フッ素樹脂は摩擦係数が極めて小さい。これにより、ウォームの歯面とウォームホイールの歯面との間の滑り面の摩擦係数を、低摩擦剤にて低減させることができ、従って、ウォームとウォームホイールの組合せ構造からなる減速機の動力伝達効率を高めることができる。
一般的に、ウォームのギヤ歯表面は、ガラス繊維等の強化繊維に対しても耐久性を有している必要がある。しかしながら、特許文献1に開示した被膜処理は、ガラス繊維等の強化繊維に対する耐久性を、十分に満足できるものではない。
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、減速ギヤ歯の噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる、ウォームホイール減速機及び電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明の請求項1に係るウォームホイール減速機は、金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
前記ウォームのギヤ歯面に、被膜処理が施してあり、
当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とする。
本発明の請求項2に係るウォームホイール減速機は、金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
前記ウォームの略全体に、被膜処理が施してあり、
当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とする。
本発明の請求項3に係るウォームホイール減速機は、金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
前記ウォームの軸部、当該軸部の軸受、及び、これら双方の何れかに、被膜処理が施してあり、
当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とする。
本発明の請求項4に係るウォームホイール減速機は、前記被膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜であることを特徴とする。
本発明の請求項5に係るウォームホイール減速機は、前記ウォームホイールの少なくともギヤ歯の合成樹脂は、繊維強化合成樹脂であることを特徴とする。
本発明の請求項6に係るウォームホイール減速機は、前記ウォームのギヤ歯面には、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする。
本発明の請求項7に係るウォームホイール減速機は、前記ウォームの略全体には、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする。
本発明の請求項8に係るウォームホイール減速機は、前記ウォームの軸部、当該軸部の軸受、及び、これら双方の何れかには、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする。
本発明の請求項9に係る電動パワーステアリング装置は、前記請求項1乃至8のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機を具備することを特徴とする。
本発明によれば、ウォームのギヤ歯面に、又は、ウォームの略全体に、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜であることから、減速ギヤ歯の噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる。
また、ウォームの略全体に、ウォームの軸部、当該軸部の軸受、及び、これら双方の何れかには、DLCコーティングは、硬く、摺動性に優れると共に、耐摩耗性に優れることから、EPSの高出力化に対して、摩耗を抑えながらの摺動構造が対応可能となる。
以下、本発明の実施の形態に係るウォームホイール減速機及び電動パワーステアリング装置を図面を参照しつつ説明する。
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。
図2(a)は、被膜処理前の金属製のウォームの側面図であり、(b)被膜処理を施した金属製のウォームの側面図であり、(c)は、被膜処理後の金属製のウォームの組織図である。
図1に示すように、ステアリングホイール(図示略)に連結した入力軸(図示略)に、トーションバー(図示略)等を介して出力軸1が連結してあり、出力軸1に、ウォームホイール減速機のウォームホイール2が固定してある。
このウォームホイール2に、ウォーム3が噛合してあり、このウォーム3は、その両端部に於いて、軸受7,8により、回転自在に支持してある。
また、ウォームホイール減速機のためのハウジング4には、電動モータ5が取付けてあり、ウォーム3は、電動モータ5の駆動軸6と、スプライン嵌合してある。
さらに、ウォーム3は、金属製であり、ウォームホイール2は、少なくともギヤ歯2aが合成樹脂製である。
さて、本実施の形態では、ウォーム3のギヤ歯3aに、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)である。
具体的には、金属製のウォーム3の基材は、S45C調質材である。この基材に、図2(c)に示すように、高周波焼入れ焼戻しにより、硬化処理を施して、硬化層(HL)を形成する。その後、ギヤ歯3aを研削し、磨き(バレル)処理を行なう。
このウォーム3のギヤ歯3aの表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングする。これにより、ギヤ歯2a,3aの噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる。
ここで、DLCコーティングは、イオンを利用した気相合成法により合成されるダイヤモンドに類似した高硬度・電気絶縁性・赤外線透過性などを持つカーボン薄膜の総称である。
DLC膜の構造は、通常水素を若干含有した平滑な非晶質(アモルファス)構造で、ダイヤモンド結合やグラファイト結合などを持っている。
DLCコーティングは、従来のセラミックスコーティングと比較して、高硬度・低摩擦係数(0.1以下)・潤滑性という特徴がある。DLCは、作製方法によって特性が異なり、膜中の水素の有無によって膜の硬さおよび密着カが異なり、使用する条件によって膜質を選択する必要がある。
ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)は、PVD、CVD、スパッタリング法などにより成膜され、純カーボンをはじめ水素を含むa−C:H,Si,Cr,WやTiのような金属を含有するものなど様々である。硬度は、1000−8000HVと高硬度で、非常に平滑で優れた耐摩耗性を有する。また、無潤滑下では、摩擦係数0.2以下と低摩擦で、様々な摺動部品への適用が期待されている。
また、ウォーム3のギヤ歯3aに、DLCコーティングを施す理由として、繊維強化合成樹脂製のウォームホイール2のギヤ歯2aでは、この強化繊維により、ウォーム3のギヤ歯3aが摩耗・劣化される虞れがある。そこで、少なくともウォームホイール2のギヤ歯2aと噛み合うウォーム3のギヤ歯3aの硬度を高くする必要があり、DLCコーティングが施してある。なお、一つの方法に、窒化処理(パルソナイト処理、タフトライト処理)があり、この方法でも、鉄よりも摩擦係数が低下するが、DLCコーティングの方が硬度をより一層高くして、摩擦係数をより一層低減することができる。
さらに、DLCコーティングを施す前に、前処理工程として、焼き入れ等の硬化層(HL)を形成する理由として、硬化層が無い状態でDLCコーティングを施したウォーム3のギヤ歯3aを、繊維強化合成樹脂製のウォームホイール2のギヤ歯2aに噛み合わせると、強化繊維により、ウォーム3のギヤ歯3aが摩耗・劣化され、ギヤ歯3aの表面が損傷することがあり、摺動抵抗が大きくなる。しかし、焼き入れ等の硬化層(HL)を形成した状態でDLCコーティングを施したウォーム3のギヤ歯3aを、繊維強化合成樹脂製のウォームホイール2のギヤ歯2aに噛み合わせても、ウォーム3のギヤ歯3aに損傷がなく、摺動抵抗が大きくなることを防止することができる。また、別の理由として、表層のみを硬くすると、DLCコーティングでは、ガラス繊維等で局部当たりをさせると、素材硬さが負け、凹凸が出来る。局部当たりによる素材変形を防ぐため、素材を硬くする必要がある。
さらに、ウォーム3にDLCコーティングを施す場合には、PVD法が好適である理由として、高温化処理があると、ウォーム3が変形する虞れがあるが、PVD法では、高温化での処理を必要としないからである。
なお、被膜処理をするギヤ歯3aの表面は、研削のみでも良い。また、金属製のウォーム3の基材は、浸炭焼入れ焼戻し後、ギヤ歯3aの表面を研削、又は研削、及び磨き処理を行なっても良い。または、研削後に、窒化処理を行なっても良い。さらに、被膜処理は、ギヤ歯3aの表面のみならず、ウォーム3全体に施しても良い。さらに、被膜処理は、DLCコーティングに限らず、TiN・CrN・TiCN・TiAlNに代表されるセラミックもーティングでもよい。
図3(a)は、「実ガタ」と「作動トルク」の関係を示すグラフである。なお、本明細書において、「実ガタ」とは、出力軸(ホイール軸)を固定したときのウォーム回転角総量をいう。本明細書において、ウォームを回転させる際にある程度トルクを掛け、樹脂ホイールの弾性変形分も含めた回転角を「ガタ」といい、弾性変形分を差し引いた回転角を「実ガタ」という。
図3(a)では、DLCコーティングが施してある場合には、「実ガタ」例えば、−0.4(deg)になる時にかける作動トルクが小さく、DLCコーティングの効果が顕著に現出している。
図3(b)は、DLCコーティングが施してある場合に於ける「作動トルク」と「出力軸回転角」の関係を示すグラフである。DLCコーティングが施してある場合には、ウォームホイール軸固定であって所定の実ガタになる時にかける作動トルクが小さく、DLCコーティングの効果が顕著に現出している。
また、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)は、下記の参考文献に開示してある。参考文献[トライボロジー研究会、第15回講演会用原稿、テーマ「表面改質の新展開−話題のDLCを中心にして」、日時:平成16年1月23日、会場:パシフィコ横浜 会議センター 501号]。
(第2実施の形態)
図4(a)は、従来例に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図であり、(b)は、本発明の第2実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。
また、本実施の形態は、その基本的構造が上述した第1実施の形態と同様であり、その相違する点について説明する。
図4(a)に示す従来例、及び図4(b)に示す本実施の形態では、ウォーム3は、電動モータ5の駆動軸6と、スプライン嵌合してあり、ウォーム3は、軸方向に摺動できるようになっている。
ウォーム3の鍔部3b,3cと、軸受7,8との間に、ゴム製のダンパー10,11が介装してある。このダンパー10,11により、軸受7,8に初期予圧を与えている。(特許文献2:参照)
ウォームホイール2側からのわずかな揺動角(路面から伝わるロードインフォメーション)に対し、ダンパー10,11が伸縮することにより、ウォーム3は、回転せずに、その軸方向に摺動する。
図4(a)に示す従来例では、このウォーム3の軸方向の摺動製を確保するため、ウォーム3の軸部3d,3eと、軸受7,8の内輪との間には、ブッシュ20が介装してある(従来例の詳細は、図5(a)を参照)。
従来の軸受7,8の構造では、電動モータ5が高トルク化すると、その単位接触面積当たりの面圧を現行に合わせるため、軸受7,8の長さを長くするか、軸径を太らせるかして、ブッシュ20の摩耗を抑える必要がある。
また、ブッシュ20無しでは、フレッチングによるアカサビが発生するため、なんらかの摺動部材が必要である。
このような背景から、本実施の形態では、図4(b)に示すように、ウォーム3の略全体に、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)である。
具体的には、金属製のウォーム3の基材は、S45C調質材である。この基材に、高周波焼入れ焼戻しにより、硬化処理を施して、硬化層(HL)を形成する。その後、研削し、磨き(バレル)処理を行なう。
このウォーム3の略全体の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングする。これにより、DLCコーティングは、硬く、摺動性に優れると共に、耐摩耗性に優れることから、EPSの高出力化に対して、摩耗を抑えながらの摺動構造が対応可能となる。
また、ウォーム3の略全体の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)がコーティングしてあることから、ギヤ歯2a,3aの噛合い隙間がつまったとしても、ギヤ作動性能を良好に維持することができる。
なお、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)に関する事項は、上記第1実施の形態と同様である。また、DLCコーティング以外に、カニゼンメッキ、摺動用塗装を用いてもよい。
(第3実施の形態)
図5(a)は、従来例に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図であり、(b)は、第3実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図である。
また、本実施の形態は、その基本的構造が上述した第1・第2実施の形態と同様であり、その相違する点について説明する。
本実施の形態では、図5(b)に示すように、ウォーム3の軸部3d,3eに、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)である。
具体的には、金属製のウォーム3の軸部3d,3eの基材は、S45C調質材である。この基材に、高周波焼入れ焼戻しにより、硬化処理を施して、硬化層(HL)を形成する。その後、研削し、磨き(バレル)処理を行なう。
このウォーム3の軸部3d,3eの表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングする。これにより、DLCコーティングは、硬く、摺動性に優れると共に、耐摩耗性に優れることから、EPSの高出力化に対して、摩耗を抑えながらの摺動構造が対応可能となる。なお、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)に関する事項は、上記第1実施の形態と同様である。また、DLCコーティング以外に、カニゼンメッキ、摺動用塗装を用いてもよい。
その他の構成、作用、及び効果は、上記第2実施の形態と同様である。
(第4実施の形態)
図6(a)は、第3実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図であり、(b)は、軸受の断面図である。
また、本実施の形態は、その基本的構造が上述した第1・第2実施の形態と同様であり、その相違する点について説明する。
本実施の形態では、図6(a)(b)に示すように、ウォーム3の軸部3d,3eを支持する軸受7,8の内輪の内周面に、被膜処理が施してあり、この被膜処理は、使用される金属素材よりもその摩擦係数が低いダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)である。
具体的には、軸受7,8の内輪の基材は、SUJ2である。
この基材に、高周波焼入れ焼戻しにより、硬化処理を施して、硬化層(HL)を形成する。その後、研削し、磨き(バレル)処理を行なう。
軸受7,8の内輪の表面に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングする。これにより、DLCコーティングは、硬く、摺動性に優れると共に、耐摩耗性に優れることから、EPSの高出力化に対して、摩耗を抑えながらの摺動構造が対応可能となる。なお、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)に関する事項は、上記第1実施の形態と同様である。また、DLCコーティング以外に、カニゼンメッキ、摺動用塗装を用いてもよい。
すなわち、軸受7,8の内輪に、摺動用コーティングを施すことで、摩耗を抑えながら摺動性を確保することができる。
また、ウォーム3の軸部3d,3eと軸受7,8の内輪との摺動部の摩耗がなくなり、軸ガタの発生を抑制することができる。
さらに、ウォーム3のDLCコーティングと併用することでさらに効果があがる。
さらに、薄膜で摺動効果を得るためウォーム3の軸が太くなり、高出力に伴い大きくなる減速ギヤ芯間を離そうとする力から発生するウォーム3のペンディングを抑える効果も付加される。
さらに、DLCコーティングは、硬い被膜を形成するため、磨耗しづらく、かつ摺動性が他のコーティングに比べ優れている。
さらに、ウォーム3の軸部3d,3eと軸受7,8の内輪との双方に、ダイヤモンドライクカーボン膜(DLC)をコーティングしてあってもよい。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されず、種々変形可能である。
本発明の第1実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。 (a)は、被膜処理前の金属製のウォームの側面図であり、(b)被膜処理を施した金属製のウォームの側面図であり、(c)は、被膜処理後の金属製のウォームの組織図である。 (a)は、「実ガタ」と「作動トルク」の関係を示すグラフであり、(b)は、DLCコーティングが施してある場合に於ける「作動トルク」と「出力軸回転角」の関係を示すグラフである。 (a)は、従来例に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図であり、(b)は、本発明の第2実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の縦断面図である。 (a)は、従来例に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図であり、(b)は、第3実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図である。 (a)は、第3実施の形態に係る電動パワーステアリング装置の要部の拡大断面図であり、(b)は、軸受の断面図である。
符号の説明
1 出力軸
2 ウォームホイール
2a ギヤ歯
3 ウォーム
3a ギヤ歯
3b、3c 鍔部
3d,3e 軸部
4 ハウジング
5 電動モータ
6 駆動軸
7,8 軸受
10,11 ゴム製のダンパー
20 ブッシュ

Claims (9)

  1. 金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
    前記ウォームのギヤ歯面に、被膜処理が施してあり、
    当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とするウォームホイール減速機。
  2. 金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
    前記ウォームの略全体に、被膜処理が施してあり、
    当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とするウォームホイール減速機。
  3. 金属製のウォームに、少なくともギヤ歯が合成樹脂製であるウォームホイールが噛合してあるウォームホイール減速機に於いて、
    前記ウォームの軸部、当該軸部の軸受、及び、これら双方の何れかに、被膜処理が施してあり、
    当該被膜処理は、使用される金属素材よりも、その摩擦係数が低いことを特徴とするウォームホイール減速機。
  4. 前記被膜は、ダイヤモンドライクカーボン膜であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機。
  5. 前記ウォームホイールの少なくともギヤ歯の合成樹脂は、繊維強化合成樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機。
  6. 前記ウォームのギヤ歯面には、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機。
  7. 前記ウォームの略全体には、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機。
  8. 前記ウォームの軸部、当該軸部の軸受、及び、これら双方の何れかには、前記被膜処理の前工程として、硬化層が形成してあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機。
  9. 前記請求項1乃至8のいずれか1項に記載のウォームホイール減速機を具備することを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013011317A (ja) * 2011-06-30 2013-01-17 Aisin Seiki Co Ltd ウォーム減速機
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