JP2005035414A - ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異音の発生を防止し、耐摩耗性、摺動特性を向上させると共に、安価に製造し得るラック軸支持装置を提供することを目的とする。
【解決手段】回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、ローラーハウジング内の前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配設し、該ローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化した。
【選択図】 図1
【解決手段】回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、ローラーハウジング内の前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配設し、該ローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化した。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車のラックアンドピニオン式ステアリング装置等に用いられるラック軸支持装置の改良に関する。
ラックアンドピニオン式ステアリング装置は、図10にその全体構成を概略的に示すように、上方端がステアリングホイール101に連結されたステアリング軸102の下方端にピニオン軸103を形成し、このピニオン軸103をラック軸104に噛合させてピニオン軸103の回転を横方向の動きに変換し、タイロッド105及びナックルアーム106を介して操舵輪107の向きを変えるものである。なお、ラック軸104の下側はラック軸支持装置108によって支持され、ラック軸104をピニオン軸103側に付勢している。
このラック軸支持装置108には、従来、すべり式ラックガイドが多用されていたが、最近、電動式パワーステアリングの利用に伴い、ラックガイドにかかる荷重が増加する傾向にあり、すべり式ラックガイドより耐摩耗性、耐熱性に優れているローラー式ラックガイドを用いたラック軸支持装置が増えてきている。このローラー式ラックガイドを用いたラック軸支持装置は、例えば特許文献1に開示されている。図11は、その要部を断面図で示したもので、図示するように、ギヤハウジング109内において、ピニオン軸103とラック軸104とが、それぞれに形成されたピニオン歯103a、ラック歯104aを介して噛合し、ラック軸104を間にしてピニオン軸103と対向する位置にラック軸支持装置108が設けられている。
このラック軸支持装置108では、ラック軸104の背面を転がり案内するローラー110が、ローラーシャフト111を介してローラーハウジング112に回転自在に支持されている。このローラー110には低摩擦材料からなる一対のすべり軸受113が装着され、バネ押え114を座とするバネ115によってローラーハウジング112が付勢され、ローラー110がラック軸104をピニオン軸103側に押し付けるようになっている。
なお、特許文献2には、ローラー110とすべり軸受113との間に弾性体を嵌挿するようにしたものが提案されている。このラック軸支持装置によれば、この弾性体により、ローラー110に作用する力が吸収され、また、弾性体が弾性変形することにより、製造公差に起因した隙間が補完される。これにより、隙間による異音の発生が防止される。
実開平5−34079号公報
特開平11−105717号公報
しかしながら、このような従来のローラー式ラックガイドを用いたラック軸支持装置では、すべり式ラックガイドを用いたラック軸支持装置に較べ、構成部品点数、すなわちローラー、ローラーシャフト、ローラーハウジング、すべり軸受等の点数が多くなり、組付け工数の増加と共に、製造コストがアップする欠点があった。また、摺動接触部が多いため、異音や摩耗が発生し易く、さらにまた、原因箇所の究明が困難かつ時間を要するという欠点があった。
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたものであり、異音の発生を防止し、耐摩耗性、摺動特性を向上させると共に、安価に製造し得るラック軸支持装置を提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配置し、かつ該ローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化したことにより、達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部は、ローラーハウジングにより回転自在に支持され、該ローラーハウジングが、外側のハウジングケース内に設けられた1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記表面硬化処理が、セラミック系皮膜のコーティングであることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配置し、該ラックガイドの両側に該ラックガイドよりも支持剛性の小さいローラー式ラックガイド、すべり式ラックガイド、又は板バネを1個又は複数個、間隔をあけて設け、かつ前記少なくとも1個のローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化したことにより、達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部は、ローラーハウジングにより回転自在に支持され、該ローラーハウジングが、外側のハウジングケース内に設けられた1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記表面硬化処理は、セラミック系皮膜のコーティングであることにより、効果的に達成される。
さらに、上記目的は、ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、前記ラック軸を前記ラック軸支持装置により支持することにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記表面硬化処理が、セラミック系皮膜のコーティングであることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配置し、該ラックガイドの両側に該ラックガイドよりも支持剛性の小さいローラー式ラックガイド、すべり式ラックガイド、又は板バネを1個又は複数個、間隔をあけて設け、かつ前記少なくとも1個のローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化したことにより、達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部は、ローラーハウジングにより回転自在に支持され、該ローラーハウジングが、外側のハウジングケース内に設けられた1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドのローラーシャフト部が、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることにより、効果的に達成される。
また、上記目的は、前記表面硬化処理は、セラミック系皮膜のコーティングであることにより、効果的に達成される。
さらに、上記目的は、ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、前記ラック軸を前記ラック軸支持装置により支持することにより、効果的に達成される。
本発明に係るラック軸支持装置は、ローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部を一体化してシャフト付きローラーとし、ローラーシャフト部あるいはローラーハウジングを弾性部材を介して弾性支持し、各部材同士の接触面にコーティング皮膜を設け、表面硬化処理を施したので、ローラー部、ローラーシャフト部、ローラーハウジングの異音や摩耗が低減され、ラック軸支持装置の耐久性や摺動特性が向上する。また、ローラー部とローラーシャフト部が一体化することにより、部品点数が減り、製造コストを軽減することができる。
本発明に係るラック軸支持装置は、上述したような種々の効果を有するので、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に適用すると有効である。
本発明に係るラック軸支持装置は、上述したような種々の効果を有するので、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に適用すると有効である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施例を説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係るローラー式ラックガイドによるラック軸支持装置を示す。なお、図1以下に示す本発明の実施例においては、同一の構成要素には同一の符号を付して説明する。
本ラック軸支持装置1は、ラックアンドピニオン式ステアリング装置において、操舵により回転する出力軸2に一体的に形成されたピニオン軸3と噛合うラック軸4を、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に配置された1個のローラー式ラックガイド20により支持するものである。このローラー式ラックガイド20において、ローラー部6とローラーシャフト部7とがシャフト付きローラー5として一体で構成され、ローラーシャフト部7がローラーハウジング8により回転自在に支持されている。なお、ローラーハウジング8は、外側に設けられたハウジングケース9の底板9a上に配設されたコイルバネ10により弾性支持され、ローラー部6をラック軸4側に押圧するようになっている。このように本ラック軸支持装置1では、ローラー部6とローラーシャフト部7が一体化されているので、部品点数が削減され、よってコストダウンが図れ、また、ローラー部6とローラーシャフト部7間における異音や摩耗の発生が防止される。
本ラック軸支持装置1は、ラックアンドピニオン式ステアリング装置において、操舵により回転する出力軸2に一体的に形成されたピニオン軸3と噛合うラック軸4を、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に配置された1個のローラー式ラックガイド20により支持するものである。このローラー式ラックガイド20において、ローラー部6とローラーシャフト部7とがシャフト付きローラー5として一体で構成され、ローラーシャフト部7がローラーハウジング8により回転自在に支持されている。なお、ローラーハウジング8は、外側に設けられたハウジングケース9の底板9a上に配設されたコイルバネ10により弾性支持され、ローラー部6をラック軸4側に押圧するようになっている。このように本ラック軸支持装置1では、ローラー部6とローラーシャフト部7が一体化されているので、部品点数が削減され、よってコストダウンが図れ、また、ローラー部6とローラーシャフト部7間における異音や摩耗の発生が防止される。
図2は、本発明の第2実施例の要部断面図である。本ラック軸支持装置1aは、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に、前述した1個のローラー式ラックガイド20を配設し、このローラー式ラックガイド20の両側に、このローラー式ラックガイド20よりも支持剛性の小さいローラー式ラックガイド20A及び20Bを、それぞれ間隔SA 及びSB をあけて配設したものである。また、シャフト付きローラー5、5A、5Bをそれぞれローラーハウジング8により回転自在に支持するとともに、このローラーハウジング8を適切な弾性係数を有するコイルバネ10、10A、10Bを介して、ハウジングケース9により支持している。本ラック軸支持装置1aは複数個のラックガイド群により構成されている。
なお、ローラー式ラックガイド20、20A、及び20Bの基本構造は、以下に説明する支持剛性の点を除き、図1に基づき説明した前記ラック軸支持装置1と実質的に同一なものであるのでこの説明は省略する。
なお、ローラー式ラックガイド20、20A、及び20Bの基本構造は、以下に説明する支持剛性の点を除き、図1に基づき説明した前記ラック軸支持装置1と実質的に同一なものであるのでこの説明は省略する。
中央に位置するローラー式ラックガイド20及びこの両側に配設された2個のローラー式ラックガイド20A、20Bとは、支持剛性のファクターである弾性係数がそれぞれ異なっている。今、コイルバネ10の弾性係数をk 、コイルバネ10Aの弾性係数をkA 、コイルバネ10Bの弾性係数をkBとすると、kB ≦kA < k 、あるいは、kA ≦kB < k となるように設定されている。
このように、本ラック軸支持装置1aでは、ピニオン軸3からの荷重をメインに受けるローラー式ラックガイド20より弾性係数の小さい、すなわち支持剛性の小さい補助用のローラー式ラックガイド20A、20Bをローラー式ラックガイド20の両側に配設してあるので、メインのローラー式ラックガイド20にかかる荷重が分散され、各ローラー式ラックガイドの摩耗及び過熱が軽減される。また、走行時の急ブレーキや急旋回により、ラック軸4が図2において点線で示すような曲げ変形を受けても、補助的なローラー式ラックガイド20A、20Bの支持剛性を最適に調節することにより、これらのローラー式ラックガイド20,20A,20Bの少なくとも1個は、ラック軸4との接触面がラック軸4に追従したまま、さらに、ラック軸4の曲げ変形を極度に拘束することなく、支持状態を保つことができる。
なお、メインのローラー式ラックガイド20と補助的なローラー式ラックガイド20A、20Bとの配置間隔SA 、SB を大きくすることは、ラック軸4に大きな荷重がかかった場合にラック軸4を過度に拘束してしまうことになり、ラック軸4にひずみを生じさせてしまう可能性があるので、配置間隔SA 、SB は過度に大きくないことが望ましい。よって、上述したような配置間隔SA 、SB 、あるいは弾性係数k 、kA 、kB 等は、設計上の諸条件等を勘案し、最適値を実験等から求めることにより、任意に設定し得るものである。本ラック軸支持装置1aにおいても、少なくとも1つのローラー式ラックガイドのローラー部とローラーシャフト部を一体化することで前記第1実施例と同様の効果が得られる。
図3は前記第2実施例の第1変更例の要部断面図である。本ラック軸支持装置1a’は、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に1個のローラー式ラックガイド20が配設されている点で前記第2実施例と共通するが、このローラー式ラックガイド20の両側に、このラックガイド20よりも支持剛性の小さいすべり式ラックガイド11A及び11Bが、それぞれ間隔SA 及びSB をあけて配設されている点で相違している。
なお、すべり式ラックガイド11A、11Bは、すべり式ラックガイド11の底側とハウジングケース9の底板9Aの間にコイルバネ10を配し、ローラーハウジング8をラック軸4側に押圧して弾性支持するようになっている。本ラック軸支持装置1a’によっても前記第2実施例と同様の作用効果が得られる。
図4は前記第2実施例の第2変更例の要部断面図である。本ラック軸支持装置1a’’は、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に1個のローラー式ラックガイド20が配設されている点で前記第2実施例と共通するが、このローラー式ラックガイド20の両側に、このローラー式ラックガイド20よりも支持剛性の小さい板バネ12A及び12Bが、それぞれ間隔SA 及びSB をあけて配設されている点で相違している。本ラック軸支持装置1a’’によっても前記第1変更例と同様の作用効果が得られるが、特に、構成が極めてシンプルな板バネ12使用することにより、前述したようなラックガイドに比べ、一段と安価に製造することができる利点がある。
以上、本発明の内容を、3個のラックガイドを用いた3つの実施例に基づき説明したが、本発明においては、ラックガイド又は板バネの組み合わせ、また、それらの数、設置間隔、支持剛性等は、目的に応じて任意に設定することができる。
なお、すべり式ラックガイド11A、11Bは、すべり式ラックガイド11の底側とハウジングケース9の底板9Aの間にコイルバネ10を配し、ローラーハウジング8をラック軸4側に押圧して弾性支持するようになっている。本ラック軸支持装置1a’によっても前記第2実施例と同様の作用効果が得られる。
図4は前記第2実施例の第2変更例の要部断面図である。本ラック軸支持装置1a’’は、ラック軸4のピニオン軸3と対向した軸方向の同位置に1個のローラー式ラックガイド20が配設されている点で前記第2実施例と共通するが、このローラー式ラックガイド20の両側に、このローラー式ラックガイド20よりも支持剛性の小さい板バネ12A及び12Bが、それぞれ間隔SA 及びSB をあけて配設されている点で相違している。本ラック軸支持装置1a’’によっても前記第1変更例と同様の作用効果が得られるが、特に、構成が極めてシンプルな板バネ12使用することにより、前述したようなラックガイドに比べ、一段と安価に製造することができる利点がある。
以上、本発明の内容を、3個のラックガイドを用いた3つの実施例に基づき説明したが、本発明においては、ラックガイド又は板バネの組み合わせ、また、それらの数、設置間隔、支持剛性等は、目的に応じて任意に設定することができる。
図5(a)は、本発明の第3実施例に係るラック軸支持装置1bの要部断面図であり、図図5(b)は第3実施例の変更例の要部断面図である。本ラック軸支持装置1bの基本構造は、前記第1実施例で示したものと同一であり、シャフト付きローラー5はローラー部6とローラーシャフト部7が一体で構成されている。本ラック軸支持装置1bでは、シャフト付きローラー5は、ローラー部6及びローラーシャフト部7の全表面に表面硬化処理が施され、表面にコーティング皮膜coが設けられている。
コーティング皮膜co材としては、例えば、TiN、TiCN、TiAlN、CrNや、多層コート皮膜TiC/TiN、TiC/TiCN/AlO2O3 、TiC/Al2O3 /TiN、TiC/TiCN/TiC/Al2O3 等のセラミック系皮膜材、またDLC(ダイヤモンドライクカーボン薄膜材)等が用いられる。このようなセラミック系皮膜のコーティング処理による皮膜の形成方法には種々の方法が選択できるが、中でもPVD法(Physical Vapor
Deposition : 物理蒸着法)、具体的にはPVS−スパッタリング−マグネトロン法による、粒子エネルギーが0.2〜10eV、動作ガス圧が0.01〜1Paで行ったものが推奨される。なお、耐摩耗性、耐熱性、耐摺動性、低摩擦係数等の向上を図る表面硬化処理方法としては、上記のコーティングのほかに、例えば窒化や浸硫窒素等の表面処理も有効である。
このような表面硬化処理が施された各表面は、硬度が上がると共に耐摩耗性や摺動特性が向上し、過熱や焼付きが防止されて、ローラーハウジング8、シャフト付きローラー5間の接触時に発生する異音や振動が低減される。特に、TiN、TiAlN、TiC/TiCN/AlO2O3 、TiC/Al2O3 /TiN、TiC/TiCN/TiC/Al2O3 等のコーティングやDLC、窒化処理は耐摩耗性の向上に、また、TiCN、CrN等のコーティングや浸流窒化処理は摺動特性の向上に結びつくことが明らかにされている。さらにまた、このようにシャフト付きローラー5の全表面にコーティング処理を施すことは、コーティング箇所の選定作業が不要になるという利点がある。
なお、本ラック軸支持装置1bでは、シャフト付きローラー5の全表面にコーティング処理を施したが、1箇所あるいは複数箇所の接触部にのみ、このような処理を施すようにしても有効である。また、シャフト付きローラー5だけではなく、ローラーハウジング8のローラーシャフト部7を回転自在に支持している支持部8aにこのような処理を施すようにしても有効である。
図5(b)に示す前記第3実施例の変更例に係わるラック軸支持装置1b’では、シャフト付きローラー5において、上述したコーティング皮膜coがローラーシャフト部7の表面と、ローラー部6の摺動面にのみ設けられている。このように、表面硬化処理を施す面を限定することにより、各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面硬化処理に要する材料費を削減することができる。
上述した表面硬化処理は図6(a)に断面図で示すように、図4に基づき説明した前記ラック軸支持装置1a’’の板バネ12にも適用することができる。これは、板バネ12のラック軸4との接触面にコーティング皮膜coを設け、表面硬化処理を施したものである。図6(b)は、その板バネ12のラック軸4との接触面を上から見た図である。なお、板バネ12の全表面に表面硬化処理を施してもよいことは言うまでもない。このように、補助的なラックガイドである板バネ12の接触面にコーティング皮膜coを設けることにより、上記同様、耐摩耗性や摺動特性が向上する。
コーティング皮膜co材としては、例えば、TiN、TiCN、TiAlN、CrNや、多層コート皮膜TiC/TiN、TiC/TiCN/AlO2O3 、TiC/Al2O3 /TiN、TiC/TiCN/TiC/Al2O3 等のセラミック系皮膜材、またDLC(ダイヤモンドライクカーボン薄膜材)等が用いられる。このようなセラミック系皮膜のコーティング処理による皮膜の形成方法には種々の方法が選択できるが、中でもPVD法(Physical Vapor
Deposition : 物理蒸着法)、具体的にはPVS−スパッタリング−マグネトロン法による、粒子エネルギーが0.2〜10eV、動作ガス圧が0.01〜1Paで行ったものが推奨される。なお、耐摩耗性、耐熱性、耐摺動性、低摩擦係数等の向上を図る表面硬化処理方法としては、上記のコーティングのほかに、例えば窒化や浸硫窒素等の表面処理も有効である。
このような表面硬化処理が施された各表面は、硬度が上がると共に耐摩耗性や摺動特性が向上し、過熱や焼付きが防止されて、ローラーハウジング8、シャフト付きローラー5間の接触時に発生する異音や振動が低減される。特に、TiN、TiAlN、TiC/TiCN/AlO2O3 、TiC/Al2O3 /TiN、TiC/TiCN/TiC/Al2O3 等のコーティングやDLC、窒化処理は耐摩耗性の向上に、また、TiCN、CrN等のコーティングや浸流窒化処理は摺動特性の向上に結びつくことが明らかにされている。さらにまた、このようにシャフト付きローラー5の全表面にコーティング処理を施すことは、コーティング箇所の選定作業が不要になるという利点がある。
なお、本ラック軸支持装置1bでは、シャフト付きローラー5の全表面にコーティング処理を施したが、1箇所あるいは複数箇所の接触部にのみ、このような処理を施すようにしても有効である。また、シャフト付きローラー5だけではなく、ローラーハウジング8のローラーシャフト部7を回転自在に支持している支持部8aにこのような処理を施すようにしても有効である。
図5(b)に示す前記第3実施例の変更例に係わるラック軸支持装置1b’では、シャフト付きローラー5において、上述したコーティング皮膜coがローラーシャフト部7の表面と、ローラー部6の摺動面にのみ設けられている。このように、表面硬化処理を施す面を限定することにより、各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面硬化処理に要する材料費を削減することができる。
上述した表面硬化処理は図6(a)に断面図で示すように、図4に基づき説明した前記ラック軸支持装置1a’’の板バネ12にも適用することができる。これは、板バネ12のラック軸4との接触面にコーティング皮膜coを設け、表面硬化処理を施したものである。図6(b)は、その板バネ12のラック軸4との接触面を上から見た図である。なお、板バネ12の全表面に表面硬化処理を施してもよいことは言うまでもない。このように、補助的なラックガイドである板バネ12の接触面にコーティング皮膜coを設けることにより、上記同様、耐摩耗性や摺動特性が向上する。
図7(a)は本発明の第4実施例に係るラック軸支持装置1cの要部断面図で、ローラーハウジング8の下部に複数個のコイルバネ10を配設して、ローラーハウジング(第1ハウジング)8とハウジングケース9の間を弾性支持するようにしたものである。また、図7(b)は、前記第4実施例の第1変更例に係るラック軸支持装置1c’の断面図で、ローラーハウジング8の下部に複数個の板バネ12を配設して、ローラーハウジング8とハウジングケース9の間を弾性支持するようにしたものである。さらにまた、図7(c)は、前記第4実施例の第2変更例に係るラック軸支持装置1c’’の断面図で、ローラーハウジング8の下部に弾性部材13を配して、ローラーハウジング8とハウジングケース9の間を弾性支持するようにしたものである。このように、複数個のコイルバネ10や板バネ12、又は弾性部材13を介して弾性支持することにより、衝撃荷重時などの大きな振動が原因で起こる表面傷や摩耗、異音の発生を緩和できる。また、稼動中にローラーハウジング8が傾動し、ハウジングケース9の内面に接触して起こる異音の発生を防止するのにも有効である。さらに、これらの弾性材を、ラック軸4方向への複数配置だけではなく、ローラーシャフト部7方向への複数配置も有効であり、両者を複合して両方向に関して複数個の弾性材を配することによって、より効果的に作用する。また、コイルバネ10、板バネ12、弾性部材13を組み合わせて配することも有効である。
図8は、本発明の第5実施例に係るラック軸支持装置1dの要部断面図である。本ラック軸支持装置1dでは、ローラーシャフト部7を回転自在に支持するローラーハウジング8の支持部8aにおいて、ローラーシャフト部7を、複数個の板バネ12を介する受け部材14によって支持している。なお、受け部材14の支持部表面にはコーティング皮膜coによって、表面硬化処理が施されている。これによって、衝撃荷重時などに大きな振動が発生した場合、異音や摩耗を防止できる。また、設計上、ハウジングケースを設けるスペースが得られないときに、弾性支持する手段として有効である。
図9は、前記第5実施例の第1変更例に係るものであり、本ラック軸支持装置1d’では、ローラーシャフト部7を回転自在に支持するローラーハウジング8の支持部8aにおいて、ローラーシャフト部7を、弾性部材13によって直接支持している。なお、弾性部材13の支持部表面にはコーティング皮膜coによって、表面硬化処理が施されている。これによって、前記第5実施例と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図8、図9では共に、ローラーハウジング8とローラーシャフト部7の支持構成は、上部に開口を有する凹部としたが、ローラーハウジング8の側板内面に円形凹部を設けた支持構成にしてもよい。また、ローラーハウジング8の支持部8aに、転がり軸受を設置して、ローラーシャフト部7を支持することも、摩擦や摩耗を低減させる有効な手段である。
なお、図8、図9では共に、ローラーハウジング8とローラーシャフト部7の支持構成は、上部に開口を有する凹部としたが、ローラーハウジング8の側板内面に円形凹部を設けた支持構成にしてもよい。また、ローラーハウジング8の支持部8aに、転がり軸受を設置して、ローラーシャフト部7を支持することも、摩擦や摩耗を低減させる有効な手段である。
以上、本発明に係るラック軸支持装置について説明してきたが、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置はマニュアルステアリング、パワーステアリングのいずれでもよく、またパワーステアリングは電動、油圧のいずれであってもよい。さらにまた、電動パワーステアリングは、コラムアシストタイプ、ピニオンアシストタイプ、ラックアシストタイプのいずれであってもよい。
また、ハウジングケース9の形状は、ローラーハウジング8およびコイルバネ10が収納できる範囲で自在に変更可能であり、同様に、ローラーハウジング8の形状は、シャフト付きローラー5が収納できる範囲で自在に変更でき、例えば、鋳造などでローラーハウジング8を一体として製作することも有効で、コスト面で有利となる。
1 ラック軸支持装置
2 出力軸
3 ピニオン軸
4 ラック軸
5 シャフト付きローラー
6 ローラー部
7 ローラーシャフト部
8 ローラーハウジング
8a 支持部
9 ハウジングケース
9a 底板
10 コイルバネ
11 すべり式ラックガイド
12 板バネ
13 弾性部材
14 受け部材
20 ローラー式ラックガイド
co コーティング皮膜
2 出力軸
3 ピニオン軸
4 ラック軸
5 シャフト付きローラー
6 ローラー部
7 ローラーシャフト部
8 ローラーハウジング
8a 支持部
9 ハウジングケース
9a 底板
10 コイルバネ
11 すべり式ラックガイド
12 板バネ
13 弾性部材
14 受け部材
20 ローラー式ラックガイド
co コーティング皮膜
Claims (13)
- 回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配置し、かつ該ローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化したことを特徴とするラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、ローラーハウジングにより回転自在に支持され、該ローラーハウジングは、外側のハウジングケース内に設けられた1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性支持されていることを特徴とする請求項1記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることを特徴とする請求項1又は2記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることを特徴とする請求項1又は2記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラック軸支持装置。
- 前記表面硬化処理は、セラミック系皮膜のコーティングであることを特徴とする請求項5記載のラック軸支持装置。
- 回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラック軸の前記ピニオン軸と対向した軸方向の同位置に、1個のローラー式ラックガイドを配置し、該ラックガイドの両側に該ラックガイドよりも支持剛性の小さいローラー式ラックガイド、すべり式ラックガイド、又は板バネを1個又は複数個、間隔をあけて設け、かつ前記少なくとも1個のローラー式ラックガイドを構成するローラー部とローラーシャフト部とを一体化したことを特徴とするラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、ローラーハウジングにより回転自在に支持され、該ローラーハウジングは、外側のハウジングケース内に設けられた1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性支持されていることを特徴とする請求項7記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、前記ローラーハウジングの支持部において、1個乃至複数個のコイルバネ、板バネ、又は弾性部材により弾性効果を備えた受け部材によって支持されていることを特徴とする請求項7又は8記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドのローラーシャフト部は、前記ローラーハウジングの支持部において、弾性部材によって直接支持されていることを特徴とする請求項7又は8記載のラック軸支持装置。
- 前記ラックガイドは、前記ローラーハウジングの支持部の表面、又は前記ローラーシャフト部の表面の片側あるいは両側に表面硬化処理が施されていることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載のラック軸支持装置。
- 前記表面硬化処理は、セラミック系皮膜のコーティングであることを特徴とする請求項11記載のラック軸支持装置。
- ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、前記ラック軸を前記請求項1乃至12のいずれかに記載のラック軸支持装置により支持するようにしたことを特徴とするラックアンドピニオン式ステアリング装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003275085A JP2005035414A (ja) | 2003-07-16 | 2003-07-16 | ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003275085A JP2005035414A (ja) | 2003-07-16 | 2003-07-16 | ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005035414A true JP2005035414A (ja) | 2005-02-10 |
JP2005035414A5 JP2005035414A5 (ja) | 2006-08-31 |
Family
ID=34211837
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JP2003275085A Pending JP2005035414A (ja) | 2003-07-16 | 2003-07-16 | ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005035414A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010195210A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Jtekt Corp | ラックピニオン式ステアリング装置 |
FR2962508A1 (fr) * | 2010-07-12 | 2012-01-13 | Jtekt Europe Sas | Poussoir pour direction a cremaillere de vehicule automobile |
JP7601377B2 (ja) | 2021-01-14 | 2024-12-17 | Nskステアリング&コントロール株式会社 | ラックアンドピニオン機構 |
-
2003
- 2003-07-16 JP JP2003275085A patent/JP2005035414A/ja active Pending
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