JP2004322716A - ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】異音や振動がなく、耐摩耗性に優れて安価に製造し得る転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置及びこのようなラック軸支持装置を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置を提供すること。
【解決手段】回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラックガイドを前記ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより構成し、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、及び前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施す。
【選択図】 図1
【解決手段】回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラックガイドを前記ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより構成し、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、及び前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックアンドピニオン式ステアリング装置等に用いるラック軸支持装置に関し、更に詳細には、耐久性の向上を図った転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置及びこのラック軸支持装置を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラックアンドピニオン式ステアリング装置は、図9にその全体構成を概略的に示すように、上方端がステアリングホイール101に連結されたステアリング軸102の下方端にピニオン軸103を形成し、このピニオン軸103をラック軸104に噛合させてピニオン軸103の回転を横方向の動きに変換し、タイロッド105及びナックルアーム106を介して操舵輪107の向きを変えるものである。なお、点線円Aで示すピニオン軸103と噛合するラック軸104の下側は後述するようなラック軸支持装置によって支持されている。
【0003】
図7は、上記ラックアンドピニオン式ステアリング装置の一例であるピニオンアシストタイプ電動パワーステアリング装置の要部断面図である。すなわち、この電動パワーステアリング装置は、一端が図示しないステアリング軸に連結され、操舵により回転する出力軸1の他端に一体的に形成されたピニオン軸2をラック軸3に噛合させると共に、電動モータ4に結合された駆動軸5にウォームギヤ6を設け、このウォームギヤ6と噛合するウォームホイール7をピニオン軸2に接続し、電動モータ4のトルクをラック軸3に伝えることにより操舵アシストをするようになっている。なお、上流側、すなわちドライバー側にはトルクセンサ8が設けられており、入力軸9と出力軸1間のトルクに応じて生じたトーションバー10の捩れ角を磁気的な変化として取り出し、この変化をコイルユニット11で検出するようになっている。
【0004】
ラック軸3はシリンダ部12の内部に設けられたラック軸支持装置13により支持されている。従来、このラック軸支持装置13は、シリンダ部12の開口部14に被着されたキャップ15により背面側を支持されて弾圧するばね16によりラックガイド17をラック軸3を介してピニオン軸2に押し付けるようにし、ラック軸3の一端側を摺動自在に支持するようにした滑り式のラックガイドが一般に用いられている。(例えば、特許文献1参照。)。なお、ラック軸3の他端側は図示しない軸受により支持され、また、ラック軸3の中間部には図示しないタイロッドが連結されている。
【0005】
なお、このような滑り式のラックガイドは上述した電動パワーステアリング装置に限らず、油圧式のパワーステアリング装置等においても用いられている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
ところが、最近、電動パワーステアリングの利用に伴い、従来多用されていた滑り式のラックガイドによるラック軸支持装置に対し、例えば図8に断面図で示すような転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20が増えてきている。
【0007】
図示するように、この転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20は、底板21aの両端側に側板21b,21bが立設されて凹字状に形成されたローラーハウジング21と、側板21b,21bにより回転自在に軸支されたローラー軸22を有し、前記ラック軸3の外周面と転がり接触が可能に鼓状に形成されたローラー23とからなり、例えば前記シリンダ部12内に装着され、ピニオン軸2の回転に伴い軸方向に往復するラック軸3をローラー23が回転しながら支持するようになっている。なお、ローラーハウジング21、ローラー軸22、ローラー23等の材料にはクロム鋼をはじめとする特殊鋼等が一般に用いられている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−301631号公報(第3頁、図1、図2)
【0009】
【特許文献2】
特開2002−160651号公報(第3頁、第1図)
【0010】
【非特許文献1】
精密工学会編「スーパーコーティング」硬質膜の機能と利用技術、大河出版、1992年9月20日発行、第38頁〜第53頁、(とくに第41頁 表3)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20においては、ローラー23のラジアル面23rとラック軸3の外周面とが転がり接触をし、同時に、ローラー23のスラスト面23tとローラーハウジング21の側板内面21bsとが滑り接触をするため、異音や振動を発生し、また各接触面が摩耗するという問題がある。とくに、電動パワーステアリング化に伴いラックガイドにかかる荷重および衝撃荷重が増大するようになり、これによってラックガイド各部の接触面がさらに摩耗、過熱してローラー23に不具合を生じることがあった。
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、従来のラック軸支持装置、すなわち転がり式ラックガイドによるラック軸支持装置が有する上述したような欠点を解消し、異音や振動がなく、耐摩耗性に優れて安価に製造し得る転がり式ラックガイドによるラック軸支持装置及びこのようなラック軸支持装置を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラックガイドを前記ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより構成し、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、及び前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施したラック軸支持装置によって達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記表面硬化処理がセラミック系皮膜のコーティング処理であるラック軸支持装置によって、より効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、前記表面硬化処理または前記コーティング処理が前記ローラーと前記ラック軸との接触部にのみ、及び/または前記ローラーと前記ローラーハウジングとの接触部にのみ施されているラック軸支持装置によって、より低コストで達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記ローラーと前記ローラーの回転軸とを別体とし、該ローラーと該ローラーの回転軸との接触部にのみ前記表面硬化処理または前記コーティング処理が施されているラック軸支持装置によって、より低コストで達成される。
【0016】
また、本発明の上記目的は、前記ローラーまたは前記ローラーの回転軸のスラスト面と前記ローラーハウジングの支持側内面のいずれか一方または両方に突起部が設けられ、該突起部のスラスト面に前記表面硬化処理が施されている互いにスラスト接触する前記ローラーのスラスト面および前記ハウジングの支持側内面のいずれか一方に突起部が設けられ、該突起部のスラスト面に前記表面硬化処理が施されているラック軸支持装置によって、より低コストで、かつ効率的に達成される。
【0017】
さらにまた、本発明の上記目的は、ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、上述した各ラック軸支持装置のいずれかを用いて支持するようにしたラックアンドピニオン式ステアリング装置によって、有効に達成される。
【0018】
このように、本発明は、(イ)接触面および摺動面の表面に硬化処理を施すこと(ロ)表面処理の対象面を限定すること、および(ハ)接触面積を小さくすることに課題を解決する手段を見出したものである。以下、本発明のこの内容を、本発明の実施の形態を示す添付図面に基づき詳述する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Aの断面図である。なお、図1以下に示す実施形態において、前述した従来のラック軸支持装置20と同一の構成部品には同一の符号を付して説明する。
【0020】
図示するように、本ラック軸支持装置20Aは、ローラー軸22とローラー23とが別体で構成され、ローラーハウジング21の内面、すなわち側板内面21bsと、ローラー軸22の全表面と、ローラー23のラジアル面23r及びスラスト面23tの各面に対し表面硬化処理が施され、表面にコーティング皮膜coが設けらたものである。
このコーティング皮膜co材としては、例えば、TiN,TiCN,TiAlN,TiC,CrNや多層コート皮膜TiC/TiN,TiC/TiCN/AI203,TiC/AI203/TiN,TiC/TiCN/TiC/AI203等のセラミック系皮膜材が好ましく用いられ、またDLC(ダイヤモンドライクカーボン薄膜材)等が用いられる。ここに、このようなセラミック系皮膜のコーティング処理による皮膜の形成方法には種々の方法が選択できるが、中でもPVD法(Physical Vapor Deposition:物理蒸着法)が、具体的にはPVD―スパッタリングーマグネトロン法による、粒子エネルギーが0.2〜10eV、動作ガス圧が0.01〜1Paで行なったものが推奨される。(例えば、非特許文献1参照。)。なお、耐摩耗性、耐熱性、耐摺動性、低摩耗係数等の向上を図る表面処理方法としては、上記のコーティングのほか、例えば窒化や浸硫窒化等の表面処理も有効であり、さらに浸炭処理も可能である。
【0021】
このような表面硬化処理が施された各表面は、硬度が上がると共に耐摩耗性や摺動特性が向上し、これらの特性の向上により、過熱や焼付きが防止されてローラーハウジング21、ローラー軸22、ローラー23間の接触時に発生する異音や振動が低減される。とくに、TiN,TiAlN,TiC/TiCN/AI203,TiC/AI203/TiN,TiC/TiCN/TiC/AI203等のコーティングやDLC、窒化処理は耐摩耗性の向上に、また、TiCN,CrN等のコーティングや浸硫窒化処理は摺動特性の向上に結びつくことが明らかにされている。さらにまた、このようにラック軸支持装置20Aを構成する全部品の表面にコーティング処理を施すようにすると、コーティング処理箇所の選定作業が不要となる利点がある。
【0022】
なお、本ラック軸支持装置20Aでは本装置を構成する全部品の表面にコーティング処理を施したが、これらのうちの何れか1部品、あるいは2つの部品の接触箇所にのみこのような処理を施すようにしても有効である。
【0023】
図2は、本発明の第2の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Bの断面図である。
【0024】
図示するように、本ラック軸支持装置20Bは、鼓状ローラー23のラジアル面断面がゴシックアーチ形状となっており、上述したコーティング皮膜coをそのラジアル面23rの一部、すなわちラック軸3の外周面と接触する面ないしこの近傍に設け、さらにローラー23のスラスト面23tに設けたものである。なお、コーティング皮膜coは必要に応じて設け、例えばラジアル面23rの接触部だけに設けてもよい。また、スラスト面23tについては、ローラー23の接触部とローラーハウジング21の側板内面21bsの両方に設けるようにしてもよい。この際、片側を前記耐摩耗性向上に結びつく表面硬化処理とし、もう一方側を前記摺動特性の向上に結びつく表面硬化処理としてもよい。
【0025】
このように、表面硬化処理を施す面を限定することにより、各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面処理に要する材料費を削減することができる。浸炭処理においては、硬化不要の部分に事前に銅メッキや防炭剤塗布を施して熱処理をすることにより得られる。
【0026】
図3は、本発明の第3の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Cの要部断面図である。
【0027】
図示するように、本ラック軸支持装置20Cは、ローラーハウジング21の側板内面21bsとローラースラスト面23tとの間に位置するローラー軸22に突起部22dを設け、この突起部22dのスラスト面にのみ上述したコーティング皮膜coを設けたものである。
【0028】
このように、表面硬化処理を施す面をさらに限定することにより、上記同様に各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面処理に要する材料費をさらに削減することができる。
【0029】
図4は、本発明の第4の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Dの要部断面図である。前記ラック軸支持装置20Cではローラー軸22に突起部22dを設けたが、本ラック軸支持装置20Dはローラーハウジング21の内面側、すなわち側板内面21bs側のローラー軸22の支持部に突起部21bdを設け、この突起部21bdのスラスト面、すなわちローラー軸22の端面と接触する面にコーティング皮膜coを設けたものである。本ラック軸支持装置20Dによっても、上述した第3の実施形態と同様な効果を奏する。
【0030】
以上の実施形態に係わるラック軸支持装置20A〜20Dは、いずれも、ローラー軸22とローラー23とが別体に作られ、ローラー軸22に対しローラー23が回転するように構成されたものであるが、両者、すなわちローラー軸22とローラー23を一体化した次のようなラック軸支持装置としてもよい。このように両者を一体化したラック軸支持装置によれば、部品点数や製造工程が削減されるので生産コストを低減することができ、また両者間における摩耗や発熱による焼付き等の接触問題がなくなる利点がある。なお、このようなラック軸支持装置では、ローラー軸22とローラーハウジング21の内面、すなわち側板内面21bsとの間のすべり摩擦が大きくなるので、前記表面処理はローラー軸22の接触面と側板内面21bsの接触面のうち少なくともいずれか一方に施すことが望ましい。
【0031】
図5(A)は本発明の第5の実施形態に係わるラック軸支持装置20Eの要部の断面図で、前記第3の実施形態と関連し、ローラー23’とローラー軸22’とを一体化し、突起部22dのスラスト面にのみコーティング皮膜coを設けたものである。
【0032】
また、図5(B)は本発明の第6の実施形態に係わるラック軸支持装置20Fの要部の断面図で、前記第4の実施形態と関連し、突起部21bdのスラスト面、すなわちローラー軸22’の端面と接触する面にコーティング皮膜coを設けたものである。
【0033】
また、図5(C)は本発明の第7の実施形態に係わるラック軸支持装置20Gの要部の断面図で、ローラー軸22’がハウジング21の側板内面21bsの端面と接触する面にのみコーティング皮膜coを設けたものである。とくにこのラック軸支持装置20Gによれば、ローラー軸22’に集中荷重やモーメント荷重がかかって摩耗が進行する場合等において有効かつ経済的である。
【0034】
さらにまた、図5(D)は本発明の第8の実施形態に係わるラック軸支持装置20Hのローラーハウジング21の斜視図で、側板21bに穿設されたローラー軸22’(図示せず)の支持孔21bhから径方向に離れた任意の箇所に3箇所以上の突起部21beを設け、この支持孔21bhの内面、すなわちラジアル接触面、及び突起部21beの端面、すなわちスラスト接触面に夫々コーティング皮膜coを設けたものである。なお、突起部21beの端面の角部には面取り(またはR付け)加工が施され、引っ掛かり防止が図られている。このようにラジアル接触面とスラスト接触面とが分けられた本ラック軸支持装置20Hによれば、発熱箇所が分散されるので、過熱による部品の損傷を防止することができる。
【0035】
図6は、本発明の第9の実施形態に係わるラック軸支持装置20Iの要部の断面図である。すなわち、本ラック軸支持装置20Iは、前記第5の実施形態に係わるラック軸支持装置20Eのローラーハウジング21を、底板210aの両端側に側板210b,210bが立設されて凹字状に形成されたハウジング210の内部下方に固設されたばね211により上下方向に摺動可能に支持するようにしたものである。本ラック軸支持装置20Hによれば、とくに振動や衝撃荷重の減衰につながり有効である。
【0036】
なお、以上の実施形態においてはローラーハウジングを底板及び側板を組み付けて構成したが、これを例えば成型等により一体的に形成することも可能である。このように一体的化することにより、製造コストを低減させることができる。
【0037】
また、ローラーハウジングの側板内面とローラー軸端との支持構造は、必ずしも円形凹部に限定されるものではなく、例えば、ローラー軸端が装着可能な開口を上部に有する凹部とした支持構造を側板内面に設け、このスラスト面に表面硬化処理を施すようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明に係るラック軸支持装置について説明したが、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に用いると、当該装置の長寿命化を図ることができ、これにより信頼性を向上させることができる。なお、このステアリング装置はマニュアルステアリング、パワーステアリングのいずれでもよく、またパワーステアリングは電動、油圧のいずれであってもよい。さらにまた、電動パワーステアリングは、コラムアシストタイプ、ピニオンアシストタイプ、ラックアシストタイプのいずれであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明は、ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより転がり式のラックガイドを構成すると共に、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、並びに前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施したラック軸支持装置であるので、耐摩耗性や摺動特性が向上し、以下のとおりの効果を奏する。
【0040】
(イ)ラックガイドのローラー、ローラーハウジング、ローラー軸の摩耗が低減され、ローラーやローラー軸の過熱、焼付きが防止される。
【0041】
(ロ)ローラー、ローラーハウジング、ローラー軸の各間の接触時に発生する異音が低減され、騒音防止が図れる。
【0042】
(ハ)ラックガイドの耐久性が向上する。
【0043】
(ニ)ローラーハウジングとラックガイドの接触、振動によって生じる各面の摩耗が抑えられる。
【0044】
とくに、上述した表面硬化処理を特定の箇所に限定して施したラック軸支持装置によれば、接触面積の減少に伴いつぎのような効果を奏する。
【0045】
(ホ)稼動時の接触面積が少なくなり、摩擦によるエネルギー損失の低減および過熱の防止が図れると共に、コーティング等の表面効果処理に要する費用が削減できる。
【0046】
また、本発明に係わるラック軸支持装置は、上述したような種々の効果を有するので、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に適用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるラック軸支持装置の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係わるラック軸支持装置の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図5】(A)本発明の第5の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(B)本発明の第6の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(C)本発明の第7の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(D)本発明の第8の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図6】本発明の第9の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図7】従来のラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置の要部断面図である。
【図8】従来のラック軸支持装置の断面図である。
【図9】従来のラックアンドピニオン式ステアリング装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 出力軸
2、103 ピニオン軸
3、104 ラック軸
4、M 電動モータ
5 駆動軸
6 ウォームギャ
7 ウォームホイール
8 トルクセンサ
9 入力軸
10 トーションバー
11 コイルユニット
12 シリンダ部
13 ラック軸支持装置
14 開口部
15 キャップ
16 ばね
17 ラックガイド
20 (従来の)ラック軸支持装置
20A〜20I (本発明に係わる)ラック軸支持装置
21 ローラーハウジング
21a 底板
21b 側板
21bd (側板の)突起部
22 ローラー軸
22d (ローラー軸の)突起部
23 ローラー
23r (ローラーの)ラジアル面
23t (ローラーの)スラスト面
co コーティング皮膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラックアンドピニオン式ステアリング装置等に用いるラック軸支持装置に関し、更に詳細には、耐久性の向上を図った転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置及びこのラック軸支持装置を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ラックアンドピニオン式ステアリング装置は、図9にその全体構成を概略的に示すように、上方端がステアリングホイール101に連結されたステアリング軸102の下方端にピニオン軸103を形成し、このピニオン軸103をラック軸104に噛合させてピニオン軸103の回転を横方向の動きに変換し、タイロッド105及びナックルアーム106を介して操舵輪107の向きを変えるものである。なお、点線円Aで示すピニオン軸103と噛合するラック軸104の下側は後述するようなラック軸支持装置によって支持されている。
【0003】
図7は、上記ラックアンドピニオン式ステアリング装置の一例であるピニオンアシストタイプ電動パワーステアリング装置の要部断面図である。すなわち、この電動パワーステアリング装置は、一端が図示しないステアリング軸に連結され、操舵により回転する出力軸1の他端に一体的に形成されたピニオン軸2をラック軸3に噛合させると共に、電動モータ4に結合された駆動軸5にウォームギヤ6を設け、このウォームギヤ6と噛合するウォームホイール7をピニオン軸2に接続し、電動モータ4のトルクをラック軸3に伝えることにより操舵アシストをするようになっている。なお、上流側、すなわちドライバー側にはトルクセンサ8が設けられており、入力軸9と出力軸1間のトルクに応じて生じたトーションバー10の捩れ角を磁気的な変化として取り出し、この変化をコイルユニット11で検出するようになっている。
【0004】
ラック軸3はシリンダ部12の内部に設けられたラック軸支持装置13により支持されている。従来、このラック軸支持装置13は、シリンダ部12の開口部14に被着されたキャップ15により背面側を支持されて弾圧するばね16によりラックガイド17をラック軸3を介してピニオン軸2に押し付けるようにし、ラック軸3の一端側を摺動自在に支持するようにした滑り式のラックガイドが一般に用いられている。(例えば、特許文献1参照。)。なお、ラック軸3の他端側は図示しない軸受により支持され、また、ラック軸3の中間部には図示しないタイロッドが連結されている。
【0005】
なお、このような滑り式のラックガイドは上述した電動パワーステアリング装置に限らず、油圧式のパワーステアリング装置等においても用いられている。(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
ところが、最近、電動パワーステアリングの利用に伴い、従来多用されていた滑り式のラックガイドによるラック軸支持装置に対し、例えば図8に断面図で示すような転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20が増えてきている。
【0007】
図示するように、この転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20は、底板21aの両端側に側板21b,21bが立設されて凹字状に形成されたローラーハウジング21と、側板21b,21bにより回転自在に軸支されたローラー軸22を有し、前記ラック軸3の外周面と転がり接触が可能に鼓状に形成されたローラー23とからなり、例えば前記シリンダ部12内に装着され、ピニオン軸2の回転に伴い軸方向に往復するラック軸3をローラー23が回転しながら支持するようになっている。なお、ローラーハウジング21、ローラー軸22、ローラー23等の材料にはクロム鋼をはじめとする特殊鋼等が一般に用いられている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−301631号公報(第3頁、図1、図2)
【0009】
【特許文献2】
特開2002−160651号公報(第3頁、第1図)
【0010】
【非特許文献1】
精密工学会編「スーパーコーティング」硬質膜の機能と利用技術、大河出版、1992年9月20日発行、第38頁〜第53頁、(とくに第41頁 表3)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20においては、ローラー23のラジアル面23rとラック軸3の外周面とが転がり接触をし、同時に、ローラー23のスラスト面23tとローラーハウジング21の側板内面21bsとが滑り接触をするため、異音や振動を発生し、また各接触面が摩耗するという問題がある。とくに、電動パワーステアリング化に伴いラックガイドにかかる荷重および衝撃荷重が増大するようになり、これによってラックガイド各部の接触面がさらに摩耗、過熱してローラー23に不具合を生じることがあった。
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、従来のラック軸支持装置、すなわち転がり式ラックガイドによるラック軸支持装置が有する上述したような欠点を解消し、異音や振動がなく、耐摩耗性に優れて安価に製造し得る転がり式ラックガイドによるラック軸支持装置及びこのようなラック軸支持装置を有するラックアンドピニオン式ステアリング装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラックガイドを前記ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより構成し、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、及び前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施したラック軸支持装置によって達成される。
【0013】
また、本発明の上記目的は、前記表面硬化処理がセラミック系皮膜のコーティング処理であるラック軸支持装置によって、より効果的に達成される。
【0014】
また、本発明の上記目的は、前記表面硬化処理または前記コーティング処理が前記ローラーと前記ラック軸との接触部にのみ、及び/または前記ローラーと前記ローラーハウジングとの接触部にのみ施されているラック軸支持装置によって、より低コストで達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記ローラーと前記ローラーの回転軸とを別体とし、該ローラーと該ローラーの回転軸との接触部にのみ前記表面硬化処理または前記コーティング処理が施されているラック軸支持装置によって、より低コストで達成される。
【0016】
また、本発明の上記目的は、前記ローラーまたは前記ローラーの回転軸のスラスト面と前記ローラーハウジングの支持側内面のいずれか一方または両方に突起部が設けられ、該突起部のスラスト面に前記表面硬化処理が施されている互いにスラスト接触する前記ローラーのスラスト面および前記ハウジングの支持側内面のいずれか一方に突起部が設けられ、該突起部のスラスト面に前記表面硬化処理が施されているラック軸支持装置によって、より低コストで、かつ効率的に達成される。
【0017】
さらにまた、本発明の上記目的は、ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、上述した各ラック軸支持装置のいずれかを用いて支持するようにしたラックアンドピニオン式ステアリング装置によって、有効に達成される。
【0018】
このように、本発明は、(イ)接触面および摺動面の表面に硬化処理を施すこと(ロ)表面処理の対象面を限定すること、および(ハ)接触面積を小さくすることに課題を解決する手段を見出したものである。以下、本発明のこの内容を、本発明の実施の形態を示す添付図面に基づき詳述する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Aの断面図である。なお、図1以下に示す実施形態において、前述した従来のラック軸支持装置20と同一の構成部品には同一の符号を付して説明する。
【0020】
図示するように、本ラック軸支持装置20Aは、ローラー軸22とローラー23とが別体で構成され、ローラーハウジング21の内面、すなわち側板内面21bsと、ローラー軸22の全表面と、ローラー23のラジアル面23r及びスラスト面23tの各面に対し表面硬化処理が施され、表面にコーティング皮膜coが設けらたものである。
このコーティング皮膜co材としては、例えば、TiN,TiCN,TiAlN,TiC,CrNや多層コート皮膜TiC/TiN,TiC/TiCN/AI203,TiC/AI203/TiN,TiC/TiCN/TiC/AI203等のセラミック系皮膜材が好ましく用いられ、またDLC(ダイヤモンドライクカーボン薄膜材)等が用いられる。ここに、このようなセラミック系皮膜のコーティング処理による皮膜の形成方法には種々の方法が選択できるが、中でもPVD法(Physical Vapor Deposition:物理蒸着法)が、具体的にはPVD―スパッタリングーマグネトロン法による、粒子エネルギーが0.2〜10eV、動作ガス圧が0.01〜1Paで行なったものが推奨される。(例えば、非特許文献1参照。)。なお、耐摩耗性、耐熱性、耐摺動性、低摩耗係数等の向上を図る表面処理方法としては、上記のコーティングのほか、例えば窒化や浸硫窒化等の表面処理も有効であり、さらに浸炭処理も可能である。
【0021】
このような表面硬化処理が施された各表面は、硬度が上がると共に耐摩耗性や摺動特性が向上し、これらの特性の向上により、過熱や焼付きが防止されてローラーハウジング21、ローラー軸22、ローラー23間の接触時に発生する異音や振動が低減される。とくに、TiN,TiAlN,TiC/TiCN/AI203,TiC/AI203/TiN,TiC/TiCN/TiC/AI203等のコーティングやDLC、窒化処理は耐摩耗性の向上に、また、TiCN,CrN等のコーティングや浸硫窒化処理は摺動特性の向上に結びつくことが明らかにされている。さらにまた、このようにラック軸支持装置20Aを構成する全部品の表面にコーティング処理を施すようにすると、コーティング処理箇所の選定作業が不要となる利点がある。
【0022】
なお、本ラック軸支持装置20Aでは本装置を構成する全部品の表面にコーティング処理を施したが、これらのうちの何れか1部品、あるいは2つの部品の接触箇所にのみこのような処理を施すようにしても有効である。
【0023】
図2は、本発明の第2の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Bの断面図である。
【0024】
図示するように、本ラック軸支持装置20Bは、鼓状ローラー23のラジアル面断面がゴシックアーチ形状となっており、上述したコーティング皮膜coをそのラジアル面23rの一部、すなわちラック軸3の外周面と接触する面ないしこの近傍に設け、さらにローラー23のスラスト面23tに設けたものである。なお、コーティング皮膜coは必要に応じて設け、例えばラジアル面23rの接触部だけに設けてもよい。また、スラスト面23tについては、ローラー23の接触部とローラーハウジング21の側板内面21bsの両方に設けるようにしてもよい。この際、片側を前記耐摩耗性向上に結びつく表面硬化処理とし、もう一方側を前記摺動特性の向上に結びつく表面硬化処理としてもよい。
【0025】
このように、表面硬化処理を施す面を限定することにより、各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面処理に要する材料費を削減することができる。浸炭処理においては、硬化不要の部分に事前に銅メッキや防炭剤塗布を施して熱処理をすることにより得られる。
【0026】
図3は、本発明の第3の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Cの要部断面図である。
【0027】
図示するように、本ラック軸支持装置20Cは、ローラーハウジング21の側板内面21bsとローラースラスト面23tとの間に位置するローラー軸22に突起部22dを設け、この突起部22dのスラスト面にのみ上述したコーティング皮膜coを設けたものである。
【0028】
このように、表面硬化処理を施す面をさらに限定することにより、上記同様に各接触面における耐摩耗性や摺動特性が向上することに加え、表面処理に要する材料費をさらに削減することができる。
【0029】
図4は、本発明の第4の実施形態に係わる転がり式のラックガイドによるラック軸支持装置20Dの要部断面図である。前記ラック軸支持装置20Cではローラー軸22に突起部22dを設けたが、本ラック軸支持装置20Dはローラーハウジング21の内面側、すなわち側板内面21bs側のローラー軸22の支持部に突起部21bdを設け、この突起部21bdのスラスト面、すなわちローラー軸22の端面と接触する面にコーティング皮膜coを設けたものである。本ラック軸支持装置20Dによっても、上述した第3の実施形態と同様な効果を奏する。
【0030】
以上の実施形態に係わるラック軸支持装置20A〜20Dは、いずれも、ローラー軸22とローラー23とが別体に作られ、ローラー軸22に対しローラー23が回転するように構成されたものであるが、両者、すなわちローラー軸22とローラー23を一体化した次のようなラック軸支持装置としてもよい。このように両者を一体化したラック軸支持装置によれば、部品点数や製造工程が削減されるので生産コストを低減することができ、また両者間における摩耗や発熱による焼付き等の接触問題がなくなる利点がある。なお、このようなラック軸支持装置では、ローラー軸22とローラーハウジング21の内面、すなわち側板内面21bsとの間のすべり摩擦が大きくなるので、前記表面処理はローラー軸22の接触面と側板内面21bsの接触面のうち少なくともいずれか一方に施すことが望ましい。
【0031】
図5(A)は本発明の第5の実施形態に係わるラック軸支持装置20Eの要部の断面図で、前記第3の実施形態と関連し、ローラー23’とローラー軸22’とを一体化し、突起部22dのスラスト面にのみコーティング皮膜coを設けたものである。
【0032】
また、図5(B)は本発明の第6の実施形態に係わるラック軸支持装置20Fの要部の断面図で、前記第4の実施形態と関連し、突起部21bdのスラスト面、すなわちローラー軸22’の端面と接触する面にコーティング皮膜coを設けたものである。
【0033】
また、図5(C)は本発明の第7の実施形態に係わるラック軸支持装置20Gの要部の断面図で、ローラー軸22’がハウジング21の側板内面21bsの端面と接触する面にのみコーティング皮膜coを設けたものである。とくにこのラック軸支持装置20Gによれば、ローラー軸22’に集中荷重やモーメント荷重がかかって摩耗が進行する場合等において有効かつ経済的である。
【0034】
さらにまた、図5(D)は本発明の第8の実施形態に係わるラック軸支持装置20Hのローラーハウジング21の斜視図で、側板21bに穿設されたローラー軸22’(図示せず)の支持孔21bhから径方向に離れた任意の箇所に3箇所以上の突起部21beを設け、この支持孔21bhの内面、すなわちラジアル接触面、及び突起部21beの端面、すなわちスラスト接触面に夫々コーティング皮膜coを設けたものである。なお、突起部21beの端面の角部には面取り(またはR付け)加工が施され、引っ掛かり防止が図られている。このようにラジアル接触面とスラスト接触面とが分けられた本ラック軸支持装置20Hによれば、発熱箇所が分散されるので、過熱による部品の損傷を防止することができる。
【0035】
図6は、本発明の第9の実施形態に係わるラック軸支持装置20Iの要部の断面図である。すなわち、本ラック軸支持装置20Iは、前記第5の実施形態に係わるラック軸支持装置20Eのローラーハウジング21を、底板210aの両端側に側板210b,210bが立設されて凹字状に形成されたハウジング210の内部下方に固設されたばね211により上下方向に摺動可能に支持するようにしたものである。本ラック軸支持装置20Hによれば、とくに振動や衝撃荷重の減衰につながり有効である。
【0036】
なお、以上の実施形態においてはローラーハウジングを底板及び側板を組み付けて構成したが、これを例えば成型等により一体的に形成することも可能である。このように一体的化することにより、製造コストを低減させることができる。
【0037】
また、ローラーハウジングの側板内面とローラー軸端との支持構造は、必ずしも円形凹部に限定されるものではなく、例えば、ローラー軸端が装着可能な開口を上部に有する凹部とした支持構造を側板内面に設け、このスラスト面に表面硬化処理を施すようにしてもよい。
【0038】
以上、本発明に係るラック軸支持装置について説明したが、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に用いると、当該装置の長寿命化を図ることができ、これにより信頼性を向上させることができる。なお、このステアリング装置はマニュアルステアリング、パワーステアリングのいずれでもよく、またパワーステアリングは電動、油圧のいずれであってもよい。さらにまた、電動パワーステアリングは、コラムアシストタイプ、ピニオンアシストタイプ、ラックアシストタイプのいずれであってもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上に詳述したように、本発明は、ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより転がり式のラックガイドを構成すると共に、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、並びに前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施したラック軸支持装置であるので、耐摩耗性や摺動特性が向上し、以下のとおりの効果を奏する。
【0040】
(イ)ラックガイドのローラー、ローラーハウジング、ローラー軸の摩耗が低減され、ローラーやローラー軸の過熱、焼付きが防止される。
【0041】
(ロ)ローラー、ローラーハウジング、ローラー軸の各間の接触時に発生する異音が低減され、騒音防止が図れる。
【0042】
(ハ)ラックガイドの耐久性が向上する。
【0043】
(ニ)ローラーハウジングとラックガイドの接触、振動によって生じる各面の摩耗が抑えられる。
【0044】
とくに、上述した表面硬化処理を特定の箇所に限定して施したラック軸支持装置によれば、接触面積の減少に伴いつぎのような効果を奏する。
【0045】
(ホ)稼動時の接触面積が少なくなり、摩擦によるエネルギー損失の低減および過熱の防止が図れると共に、コーティング等の表面効果処理に要する費用が削減できる。
【0046】
また、本発明に係わるラック軸支持装置は、上述したような種々の効果を有するので、このラック軸支持装置をラックアンドピニオン式ステアリング装置に適用すると有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係わるラック軸支持装置の断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係わるラック軸支持装置の断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図5】(A)本発明の第5の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(B)本発明の第6の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(C)本発明の第7の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
(D)本発明の第8の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図6】本発明の第9の実施形態に係わるラック軸支持装置の要部の断面図である。
【図7】従来のラックアンドピニオン式電動パワーステアリング装置の要部断面図である。
【図8】従来のラック軸支持装置の断面図である。
【図9】従来のラックアンドピニオン式ステアリング装置の概略構成図である。
【符号の説明】
1 出力軸
2、103 ピニオン軸
3、104 ラック軸
4、M 電動モータ
5 駆動軸
6 ウォームギャ
7 ウォームホイール
8 トルクセンサ
9 入力軸
10 トーションバー
11 コイルユニット
12 シリンダ部
13 ラック軸支持装置
14 開口部
15 キャップ
16 ばね
17 ラックガイド
20 (従来の)ラック軸支持装置
20A〜20I (本発明に係わる)ラック軸支持装置
21 ローラーハウジング
21a 底板
21b 側板
21bd (側板の)突起部
22 ローラー軸
22d (ローラー軸の)突起部
23 ローラー
23r (ローラーの)ラジアル面
23t (ローラーの)スラスト面
co コーティング皮膜
Claims (6)
- 回転する出力軸に形成されたピニオン軸と噛合うラック軸をラックガイドにより支持するラック軸支持装置において、前記ラックガイドを前記ラック軸を支持するローラーと、該ローラーの回転軸を両端で支持するローラーハウジングとにより構成し、前記ローラーの表面及び前記ローラーの回転軸の表面、及び前記ローラーハウジングの支持側内面の少なくともいずれか一箇所に表面硬化処理を施したことを特徴とするラック軸支持装置。
- 前記表面硬化処理がセラミック系皮膜のコーティング処理であることを特徴とする請求項1に記載のラック軸支持装置。
- 前記表面硬化処理または前記コーティング処理が前記ローラーと前記ラック軸との接触部にのみ、及び/または前記ローラーと前記ローラーハウジングとの接触部にのみ施されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラック軸支持装置。
- 前記ローラーと前記ローラーの回転軸とを別体とし、該ローラーと該ローラーの回転軸との接触部にのみ前記表面硬化処理または前記コーティング処理が施されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のラック軸支持装置。
- 前記ローラーまたは前記ローラーの回転軸のスラスト面と前記ローラーハウジングの支持側内面のいずれか一方または両方に突起部が設けられ、該突起部のスラスト面に前記表面硬化処理が施されていることを特徴とする請求項1または請求項3に記載のラック軸支持装置。
- ステアリング軸の先端にラック軸と噛合するピニオン軸を形成し、該ピニオン軸の回転を前記ラック軸を介して横方向の動きに変換し操舵輪の向きを変えるラックアンドピニオン式ステアリング装置において、前記ラック軸を前記請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のラック軸支持装置により支持するようにしたことを特徴とするラックアンドピニオン式ステアリング装置。
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JP2003116832A JP2004322716A (ja) | 2003-04-22 | 2003-04-22 | ラック軸支持装置及びラックアンドピニオン式ステアリング装置 |
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WO2006107041A1 (ja) | 2005-04-04 | 2006-10-12 | Nsk Ltd. | ラックピニオン式ステアリングギヤ |
JP2010195210A (ja) * | 2009-02-25 | 2010-09-09 | Jtekt Corp | ラックピニオン式ステアリング装置 |
JP2016064738A (ja) * | 2014-09-24 | 2016-04-28 | 大豊工業株式会社 | ラックガイドおよび当該ラックガイドを備えるラックピニオン式舵取り装置 |
-
2003
- 2003-04-22 JP JP2003116832A patent/JP2004322716A/ja active Pending
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