JP2001163228A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents
電動パワーステアリング装置Info
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- JP2001163228A JP2001163228A JP34789399A JP34789399A JP2001163228A JP 2001163228 A JP2001163228 A JP 2001163228A JP 34789399 A JP34789399 A JP 34789399A JP 34789399 A JP34789399 A JP 34789399A JP 2001163228 A JP2001163228 A JP 2001163228A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 電動パワーステアリング装置のラックアンド
ピニオン機構において、ピニオンとラックの加工精度を
高めること。 【解決手段】 電動パワーステアリング装置10は、電
動機82で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、こ
の補助トルクを歯車式減速機構110を介してラックア
ンドピニオン機構32に伝達し、このラックアンドピニ
オン機構32によって操舵輪21,21を操舵するよう
にしたものである。ラックアンドピニオン機構32のピ
ニオン33又はラック34あるいはその両方を、鍛造品
等の塑性加工品にした。ピニオン33並びにラック34
の歯形を円弧歯形にした。
ピニオン機構において、ピニオンとラックの加工精度を
高めること。 【解決手段】 電動パワーステアリング装置10は、電
動機82で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、こ
の補助トルクを歯車式減速機構110を介してラックア
ンドピニオン機構32に伝達し、このラックアンドピニ
オン機構32によって操舵輪21,21を操舵するよう
にしたものである。ラックアンドピニオン機構32のピ
ニオン33又はラック34あるいはその両方を、鍛造品
等の塑性加工品にした。ピニオン33並びにラック34
の歯形を円弧歯形にした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電動パワーステアリ
ング装置の改良に関する。
ング装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステアリングハンドルの操舵力を
軽減して快適な操舵感を与えるために、電動パワーステ
アリング装置が多用されてきた。この種の電動パワース
テアリング装置は、電動機で操舵トルクに応じた補助ト
ルクを発生し、この補助トルクをステアリング系のラッ
クアンドピニオン機構に伝達するものであって、例えば
特開平9−193815号「電動パワーステアリング装
置」(以下、「従来の技術」と言う。)が知られてい
る。
軽減して快適な操舵感を与えるために、電動パワーステ
アリング装置が多用されてきた。この種の電動パワース
テアリング装置は、電動機で操舵トルクに応じた補助ト
ルクを発生し、この補助トルクをステアリング系のラッ
クアンドピニオン機構に伝達するものであって、例えば
特開平9−193815号「電動パワーステアリング装
置」(以下、「従来の技術」と言う。)が知られてい
る。
【0003】上記従来の技術は、同公報の図4に示され
る通り、モータ11(番号は公報に記載されたものを引
用した。以下同じ。)で操舵トルクに応じた補助トルク
(補助出力)を発生し、この補助トルクを小傘歯車7b
と大傘歯車7aを介して、ピニオン2aとラック軸5の
組合せからなるラックアンドピニオン機構に伝達し、こ
のラックアンドピニオン機構によって操舵輪を操舵する
というものである。ラック軸5は丸棒状の軸であり、こ
の軸のうち、ピニオン2aと対向する面にラックを形成
したものである。ピニオン2aとラックの歯形は、一般
にインボリュート歯形である。
る通り、モータ11(番号は公報に記載されたものを引
用した。以下同じ。)で操舵トルクに応じた補助トルク
(補助出力)を発生し、この補助トルクを小傘歯車7b
と大傘歯車7aを介して、ピニオン2aとラック軸5の
組合せからなるラックアンドピニオン機構に伝達し、こ
のラックアンドピニオン機構によって操舵輪を操舵する
というものである。ラック軸5は丸棒状の軸であり、こ
の軸のうち、ピニオン2aと対向する面にラックを形成
したものである。ピニオン2aとラックの歯形は、一般
にインボリュート歯形である。
【0004】上述のように、モータ11で発生した補助
出力は、小傘歯車7bと大傘歯車7aとからなる減速機
構を介して倍力され、さらに、倍力された補助出力はラ
ックアンドピニオン機構によって補助推力となる。モー
タ11の補助出力は、減速機構の伝達効率ηGとラック
アンドピニオン機構の伝達効率ηRとにより定まる、複
合効率ηT=ηG×ηRでラック出力に変換されることに
なる。モータ11の補助出力と「1−ηT」との積は出
力損失となり、各機構の摩耗や発熱などに変換され、シ
ステムの耐久性や発熱による出力の低下などを引き起こ
していた。
出力は、小傘歯車7bと大傘歯車7aとからなる減速機
構を介して倍力され、さらに、倍力された補助出力はラ
ックアンドピニオン機構によって補助推力となる。モー
タ11の補助出力は、減速機構の伝達効率ηGとラック
アンドピニオン機構の伝達効率ηRとにより定まる、複
合効率ηT=ηG×ηRでラック出力に変換されることに
なる。モータ11の補助出力と「1−ηT」との積は出
力損失となり、各機構の摩耗や発熱などに変換され、シ
ステムの耐久性や発熱による出力の低下などを引き起こ
していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、モータ
11の補助出力を、減速機構とラックアンドピニオン機
構とを介してラックの推力に変換する電動パワーステア
リング装置においては、特にモータ出力の大きいシステ
ムになるほど、この出力損失の影響が大きく、伝達効率
ηGと伝達効率ηRとを向上することが望まれている。
11の補助出力を、減速機構とラックアンドピニオン機
構とを介してラックの推力に変換する電動パワーステア
リング装置においては、特にモータ出力の大きいシステ
ムになるほど、この出力損失の影響が大きく、伝達効率
ηGと伝達効率ηRとを向上することが望まれている。
【0006】そこで本発明の目的は、特に、ラックアン
ドピニオン機構の伝達効率を向上させることができる技
術を提供することにある。
ドピニオン機構の伝達効率を向上させることができる技
術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に請求項1は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルク
を発生し、この補助トルクを歯車式減速機構を介してラ
ックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピ
ニオン機構によって操舵輪を操舵するようにした電動パ
ワーステアリング装置において、ラックアンドピニオン
機構のピニオン又はラックあるいはその両方が鍛造品等
の塑性加工品であり、ピニオン並びにラックの歯型が、
少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線上を
ほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車
の歯元の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面
に形成した、円弧歯形であることを特徴とする。
に請求項1は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルク
を発生し、この補助トルクを歯車式減速機構を介してラ
ックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピ
ニオン機構によって操舵輪を操舵するようにした電動パ
ワーステアリング装置において、ラックアンドピニオン
機構のピニオン又はラックあるいはその両方が鍛造品等
の塑性加工品であり、ピニオン並びにラックの歯型が、
少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線上を
ほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車
の歯元の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面
に形成した、円弧歯形であることを特徴とする。
【0008】ピニオン並びにラックの歯型が円弧歯形で
あるから、インボリュート歯形よりも表面疲れ強さ、曲
げ強さ、曲げ疲れ強さが大きい。補助トルクが通常の操
作時より大きい場合であっても、十分に伝達することが
できる。さらには、ピニオン又はラックあるいはその両
方が鍛造品等の塑性加工品であるから、歯面の精度が比
較的良好であり、しかも、切削加工品のように歯面に加
工傷がほとんど無く、極めて滑らかである。このため、
歯面同士の摺動による摩擦力は極めて小さい。従って、
ラックアンドピニオン機構の動力伝達効率が大きい。
あるから、インボリュート歯形よりも表面疲れ強さ、曲
げ強さ、曲げ疲れ強さが大きい。補助トルクが通常の操
作時より大きい場合であっても、十分に伝達することが
できる。さらには、ピニオン又はラックあるいはその両
方が鍛造品等の塑性加工品であるから、歯面の精度が比
較的良好であり、しかも、切削加工品のように歯面に加
工傷がほとんど無く、極めて滑らかである。このため、
歯面同士の摺動による摩擦力は極めて小さい。従って、
ラックアンドピニオン機構の動力伝達効率が大きい。
【0009】請求項2は、ラック軸が、ラックを形成し
た面の背面を、ラックガイド部並びに圧縮ばねを介して
調整ボルトにて前記ピニオン側へ押出すように構成した
ものであり、このピニオンにラックを噛み合わせた状態
で、ラックガイド部の背面を調整ボルトで直接押すよう
に構成したことを特徴とする。
た面の背面を、ラックガイド部並びに圧縮ばねを介して
調整ボルトにて前記ピニオン側へ押出すように構成した
ものであり、このピニオンにラックを噛み合わせた状態
で、ラックガイド部の背面を調整ボルトで直接押すよう
に構成したことを特徴とする。
【0010】操舵中にピニオンからラックへトルクを伝
達するとき、ラック軸には軸長手方向の力と軸直角方向
の力が作用する。軸直角方向の力はラックが後退してピ
ニオンから離れる方向の力である。ガイド部の背面を調
整ボルトで直接押しているので、軸直角方向の力によっ
てラックが後退することはない。従って、ピニオンとラ
ックは常に高い噛み合い精度を維持する。さらには、円
弧歯形であるから噛み合いの接触面積が大きい。噛み合
いの面圧が下がるので歯面の摺動は滑らかである。
達するとき、ラック軸には軸長手方向の力と軸直角方向
の力が作用する。軸直角方向の力はラックが後退してピ
ニオンから離れる方向の力である。ガイド部の背面を調
整ボルトで直接押しているので、軸直角方向の力によっ
てラックが後退することはない。従って、ピニオンとラ
ックは常に高い噛み合い精度を維持する。さらには、円
弧歯形であるから噛み合いの接触面積が大きい。噛み合
いの面圧が下がるので歯面の摺動は滑らかである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を添付図面に
基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見
るものとする。図1は本発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の模式図である。電動パワーステアリング装置
10は、車両のステアリングハンドル11から操舵輪
(車輪)21,21に至るステアリング系22に介在し
た操舵機構23と、この操舵機構23に補助トルクを加
える補助トルク機構24とからなる。
基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見
るものとする。図1は本発明に係る電動パワーステアリ
ング装置の模式図である。電動パワーステアリング装置
10は、車両のステアリングハンドル11から操舵輪
(車輪)21,21に至るステアリング系22に介在し
た操舵機構23と、この操舵機構23に補助トルクを加
える補助トルク機構24とからなる。
【0012】操舵機構23は、ステアリングハンドル1
1にステアリングシャフト12及び自在軸継手13,1
3を介して連結した入力軸31と、入力軸31に連結し
たラックアンドピニオン機構32とからなる。ラックア
ンドピニオン機構32は、入力軸31に設けたピニオン
33と、ピニオン33に噛み合うためのラック34を設
けたラック軸35とからなり、このラック軸35の両端
に、左右のタイロッド37,37を介して左右の操舵輪
21,21を連結したものである。
1にステアリングシャフト12及び自在軸継手13,1
3を介して連結した入力軸31と、入力軸31に連結し
たラックアンドピニオン機構32とからなる。ラックア
ンドピニオン機構32は、入力軸31に設けたピニオン
33と、ピニオン33に噛み合うためのラック34を設
けたラック軸35とからなり、このラック軸35の両端
に、左右のタイロッド37,37を介して左右の操舵輪
21,21を連結したものである。
【0013】補助トルク機構24は、ステアリングハン
ドル11で発生したステアリング系22の操舵トルクを
検出する操舵トルクセンサ70と、操舵トルクセンサ7
0の検出信号に基づき制御信号を発生する制御手段81
と、制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを
発生する電動機82と、電動機82にトルクリミッタ9
0及び歯車式減速機構110を介して連結した上記入力
軸31並びにラックアンドピニオン機構32とからな
る。すなわち、操舵機構23に補助トルク機構24の補
助トルクを付加するために、操舵機構23と補助トルク
機構24とで、入力軸31並びにラックアンドピニオン
機構32を共用するようにした。操舵トルクセンサ70
は、操舵機構23に取付けたものである。
ドル11で発生したステアリング系22の操舵トルクを
検出する操舵トルクセンサ70と、操舵トルクセンサ7
0の検出信号に基づき制御信号を発生する制御手段81
と、制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを
発生する電動機82と、電動機82にトルクリミッタ9
0及び歯車式減速機構110を介して連結した上記入力
軸31並びにラックアンドピニオン機構32とからな
る。すなわち、操舵機構23に補助トルク機構24の補
助トルクを付加するために、操舵機構23と補助トルク
機構24とで、入力軸31並びにラックアンドピニオン
機構32を共用するようにした。操舵トルクセンサ70
は、操舵機構23に取付けたものである。
【0014】このような電動パワーステアリング装置1
0によれば、運転者がステアリングハンドル11を操舵
することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及び
ラックアンドピニオン機構32を介して、ラック軸35
に伝達することができる。さらには、操舵トルクを操舵
トルクセンサ70で検出し、この検出信号に基づき制御
手段81で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操
舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で発生し、補
助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速機構11
0、入力軸31及びラックアンドピニオン機構32を介
して、ラック軸35に伝達することができる。従って、
運転者の操舵トルクに電動機82の補助トルクを加えた
複合トルクにより、ラック軸35及び左右のタイロッド
37,37を介して、左右の操舵輪21,21を操舵す
ることができる。
0によれば、運転者がステアリングハンドル11を操舵
することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及び
ラックアンドピニオン機構32を介して、ラック軸35
に伝達することができる。さらには、操舵トルクを操舵
トルクセンサ70で検出し、この検出信号に基づき制御
手段81で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操
舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で発生し、補
助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速機構11
0、入力軸31及びラックアンドピニオン機構32を介
して、ラック軸35に伝達することができる。従って、
運転者の操舵トルクに電動機82の補助トルクを加えた
複合トルクにより、ラック軸35及び左右のタイロッド
37,37を介して、左右の操舵輪21,21を操舵す
ることができる。
【0015】図2(a),(b)は本発明に係る操舵ト
ルクセンサの原理図である。操舵トルクセンサ70は、
鉄鋼材のように磁歪特性を有する入力軸31にトルクが
作用したときに、このトルクに応じて生じる磁歪効果を
電気コイルにて電気磁気的に検出する、磁歪式トルクセ
ンサである。このような磁歪式トルクセンサは、特開平
6−221940号公報「磁歪式トルクセンサ」に示さ
れるように、公知のセンサである。以下、操舵トルクセ
ンサ70の概要について説明する。
ルクセンサの原理図である。操舵トルクセンサ70は、
鉄鋼材のように磁歪特性を有する入力軸31にトルクが
作用したときに、このトルクに応じて生じる磁歪効果を
電気コイルにて電気磁気的に検出する、磁歪式トルクセ
ンサである。このような磁歪式トルクセンサは、特開平
6−221940号公報「磁歪式トルクセンサ」に示さ
れるように、公知のセンサである。以下、操舵トルクセ
ンサ70の概要について説明する。
【0016】(a)に示す操舵トルクセンサ70は、概
ね8の字状に形成した励磁コイル71と、励磁コイル7
1とほぼ同様の大きさで概ね8の字状に形成した検出コ
イル72とを、ほぼ同心上に互いに略直交させて重ね、
これらの励磁・検出コイル71,72を1組の磁気ヘッ
ド73として、入力軸31の外周面の近傍に配置したも
のである。すなわち、入力軸31の外周面に対向して、
概ね8の字状の励磁コイル71を配置し、この励磁コイ
ル71に概ね8の字状の検出コイル72を90゜位相を
変えた状態で重ね合わせた。この場合、励磁コイル71
をなす8の字状の直線部分を、入力軸31の外周にほぼ
平行又は軸方向にほぼ平行にして配置する。74は励磁
電圧供給源、75は出力電圧増幅器である。
ね8の字状に形成した励磁コイル71と、励磁コイル7
1とほぼ同様の大きさで概ね8の字状に形成した検出コ
イル72とを、ほぼ同心上に互いに略直交させて重ね、
これらの励磁・検出コイル71,72を1組の磁気ヘッ
ド73として、入力軸31の外周面の近傍に配置したも
のである。すなわち、入力軸31の外周面に対向して、
概ね8の字状の励磁コイル71を配置し、この励磁コイ
ル71に概ね8の字状の検出コイル72を90゜位相を
変えた状態で重ね合わせた。この場合、励磁コイル71
をなす8の字状の直線部分を、入力軸31の外周にほぼ
平行又は軸方向にほぼ平行にして配置する。74は励磁
電圧供給源、75は出力電圧増幅器である。
【0017】励磁電圧供給源74から励磁コイル71に
20〜100kHz程度の高周波数の交流電圧(励磁電
圧)を供給すれば、トルクに基づく入力軸31の磁歪効
果に対応して、検出コイル72にて励磁電圧と同じ周波
数の交流電圧(出力電圧)を得ることができる。出力電
圧は、入力軸31に作用するトルクの方向によって、励
磁電圧と同相又は逆相になる。このときの出力電圧の振
幅は、トルクの大きさに比例する。従って、励磁電圧の
位相を基準として、出力電圧を同期整流すれば、トルク
の大きさと方向を検出することができる。
20〜100kHz程度の高周波数の交流電圧(励磁電
圧)を供給すれば、トルクに基づく入力軸31の磁歪効
果に対応して、検出コイル72にて励磁電圧と同じ周波
数の交流電圧(出力電圧)を得ることができる。出力電
圧は、入力軸31に作用するトルクの方向によって、励
磁電圧と同相又は逆相になる。このときの出力電圧の振
幅は、トルクの大きさに比例する。従って、励磁電圧の
位相を基準として、出力電圧を同期整流すれば、トルク
の大きさと方向を検出することができる。
【0018】出力電圧は出力電圧増幅器75にて増幅さ
れ、操舵トルクセンサ70の検出信号として、制御手段
81に発することになる。なお、入力軸31の磁化力が
小さければ、励磁コイル71と検出コイル72の巻数を
増し、これらの励磁・検出コイル71,72を1巻ずつ
交互に配列することで、対応すればよい。
れ、操舵トルクセンサ70の検出信号として、制御手段
81に発することになる。なお、入力軸31の磁化力が
小さければ、励磁コイル71と検出コイル72の巻数を
増し、これらの励磁・検出コイル71,72を1巻ずつ
交互に配列することで、対応すればよい。
【0019】(b)に示す操舵トルクセンサ70は、励
磁・検出コイル71,72からなる磁気ヘッド73を2
組準備し、これら2組の磁気ヘッド73,73を、入力
軸31の外周面の近傍に且つ入力軸31の軸線の対称位
置に配置したものである。そして、出力電圧増幅器75
で、検出コイル72,72からの出力電圧の差を増幅す
ることにより、環境温度の変化に対してあまり変化しな
い操舵トルク信号を得ることができる。
磁・検出コイル71,72からなる磁気ヘッド73を2
組準備し、これら2組の磁気ヘッド73,73を、入力
軸31の外周面の近傍に且つ入力軸31の軸線の対称位
置に配置したものである。そして、出力電圧増幅器75
で、検出コイル72,72からの出力電圧の差を増幅す
ることにより、環境温度の変化に対してあまり変化しな
い操舵トルク信号を得ることができる。
【0020】上記(a)や(b)の操舵トルクセンサ7
0を採用することにより、従来の電動パワーステアリン
グ装置において操舵トルクを検出する場合のように、入
力軸31を長手方向に二分割して、これら分割軸間をト
ーションバーにて連結する必要がない。従って、入力軸
31を簡素な構成にすることができるとともに、入力軸
31を十分に長く設定することができる。しかも、図1
に示す入力軸31に設けたピニオン33を加工する場合
に、入力軸31を加工機械にセッテイングすることが容
易であり、加工精度を一層高めることができる。加工精
度が高まると、ピニオン33とラック34との噛み合い
精度も高まる。この結果、ラックアンドピニオン機構3
2の動力伝達効率を高めることができる。
0を採用することにより、従来の電動パワーステアリン
グ装置において操舵トルクを検出する場合のように、入
力軸31を長手方向に二分割して、これら分割軸間をト
ーションバーにて連結する必要がない。従って、入力軸
31を簡素な構成にすることができるとともに、入力軸
31を十分に長く設定することができる。しかも、図1
に示す入力軸31に設けたピニオン33を加工する場合
に、入力軸31を加工機械にセッテイングすることが容
易であり、加工精度を一層高めることができる。加工精
度が高まると、ピニオン33とラック34との噛み合い
精度も高まる。この結果、ラックアンドピニオン機構3
2の動力伝達効率を高めることができる。
【0021】図3は本発明に係る電動パワーステアリン
グ装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面し
て表したものである。この図は、電動パワーステアリン
グ装置10のラック軸35を、車幅方向(図左右方向)
に延びるハウジング41に軸方向へスライド可能に収容
したことを示す。ラック軸35は、ハウジング41から
突出した長手方向両端にボールジョイント36,36を
ねじ結合し、これらのボールジョイント36,36に左
右のタイロッド37,37を連結した軸である。ハウジ
ング41は、図示せぬ車体に取付けるためのブラケット
42,42を備えるとともに、長手方向両端部にストッ
パ43,43を取付けたものである。
グ装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面し
て表したものである。この図は、電動パワーステアリン
グ装置10のラック軸35を、車幅方向(図左右方向)
に延びるハウジング41に軸方向へスライド可能に収容
したことを示す。ラック軸35は、ハウジング41から
突出した長手方向両端にボールジョイント36,36を
ねじ結合し、これらのボールジョイント36,36に左
右のタイロッド37,37を連結した軸である。ハウジ
ング41は、図示せぬ車体に取付けるためのブラケット
42,42を備えるとともに、長手方向両端部にストッ
パ43,43を取付けたものである。
【0022】ラック軸35が右へ所定量だけスライドす
ると、左のボールジョイント36の当接端面(ラックエ
ンド)38がストッパ43に当る。ラック軸35が左へ
所定量だけスライドすると、右のボールジョイント36
の当接端面(ラックエンド)38がストッパ43に当
る。このようにしてラック軸35の移動量を規制するこ
とで、左右の操舵輪21,21(図1参照)の最大操舵
角を制限することができる。すなわち、ラック軸35が
移動終端まで移動したときに、左右の操舵輪21,21
の操舵角は最大になる。図中、44,44はダストシー
ル用ブーツである。
ると、左のボールジョイント36の当接端面(ラックエ
ンド)38がストッパ43に当る。ラック軸35が左へ
所定量だけスライドすると、右のボールジョイント36
の当接端面(ラックエンド)38がストッパ43に当
る。このようにしてラック軸35の移動量を規制するこ
とで、左右の操舵輪21,21(図1参照)の最大操舵
角を制限することができる。すなわち、ラック軸35が
移動終端まで移動したときに、左右の操舵輪21,21
の操舵角は最大になる。図中、44,44はダストシー
ル用ブーツである。
【0023】図4は図3の4−4線断面図であり、電動
パワーステアリング装置10の縦断面構造を示す。電動
パワーステアリング装置10は、入力軸31、ラックア
ンドピニオン機構32、操舵トルクセンサ70、トルク
リミッタ90(図1参照)、歯車式減速機構110をハ
ウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口
をリッド45で塞いだものである。操舵トルクセンサ7
0は、ハウジング41又はリッド45に取付けたもので
ある。
パワーステアリング装置10の縦断面構造を示す。電動
パワーステアリング装置10は、入力軸31、ラックア
ンドピニオン機構32、操舵トルクセンサ70、トルク
リミッタ90(図1参照)、歯車式減速機構110をハ
ウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口
をリッド45で塞いだものである。操舵トルクセンサ7
0は、ハウジング41又はリッド45に取付けたもので
ある。
【0024】ハウジング41は、入力軸31の下端部及
び長手中央部を、上下2個の軸受51,52を介して回
転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであ
り、ラックガイド60を備える。53はリッド取付ボル
ト、54は止め輪である。
び長手中央部を、上下2個の軸受51,52を介して回
転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであ
り、ラックガイド60を備える。53はリッド取付ボル
ト、54は止め輪である。
【0025】ピニオン33並びにラック34は鍛造品
(転造品を含む)等の塑性加工品であることを特徴とす
る。具体的には、入力軸31は、下部にピニオン33を
一体に形成し、さらに下端部にねじ部55を形成すると
ともに、上端部をリッド45から外方へ突出したピニオ
ン軸である。ラック34は、ラック軸35に一体に形成
したものである。ねじ部55にナット56をねじ込むこ
とで、入力軸31の長手方向(軸方向)の移動を規制す
ることができる。57は袋ナット、58はオイルシー
ル、59はスペーサである。
(転造品を含む)等の塑性加工品であることを特徴とす
る。具体的には、入力軸31は、下部にピニオン33を
一体に形成し、さらに下端部にねじ部55を形成すると
ともに、上端部をリッド45から外方へ突出したピニオ
ン軸である。ラック34は、ラック軸35に一体に形成
したものである。ねじ部55にナット56をねじ込むこ
とで、入力軸31の長手方向(軸方向)の移動を規制す
ることができる。57は袋ナット、58はオイルシー
ル、59はスペーサである。
【0026】ラックガイド60は、ラック34と反対側
からラック軸35に当てるガイド部61と、このガイド
部61を圧縮ばね(調整ばね)62を介して押す調整ボ
ルト63とからなる。このようなラックガイド60によ
れば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト63に
て、圧縮ばね62を介してガイド部61を適切な押圧力
で押すことで、ガイド部61でラック34に予圧を与え
て、ラック34をピニオン33に押し付けることができ
る。64はラック軸35の背面を滑らせる当て部材、6
5はロックナットである。
からラック軸35に当てるガイド部61と、このガイド
部61を圧縮ばね(調整ばね)62を介して押す調整ボ
ルト63とからなる。このようなラックガイド60によ
れば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト63に
て、圧縮ばね62を介してガイド部61を適切な押圧力
で押すことで、ガイド部61でラック34に予圧を与え
て、ラック34をピニオン33に押し付けることができ
る。64はラック軸35の背面を滑らせる当て部材、6
5はロックナットである。
【0027】ラックガイド60は、ピニオン33にラッ
ク34を噛み合わせた状態で、ガイド部61の背面61
aを調整ボルト63の先端63aで直接押すようにした
ことを特徴とする。その理由を以下に述べる。
ク34を噛み合わせた状態で、ガイド部61の背面61
aを調整ボルト63の先端63aで直接押すようにした
ことを特徴とする。その理由を以下に述べる。
【0028】運転者の操舵トルクに電動機82(図1参
照)の補助トルクを加えた複合トルクが、ピニオン33
からラック34に伝達されるとき、ラック軸35には軸
長手方向の力と軸直角方向の力が作用する。軸直角方向
の力はラック34が後退してピニオン33から離れる方
向の力であり、歯型の圧力角に応じて生じる分力であ
る。特にこの分力は、ラック軸35が所定量だけスライ
ドした後に移動が規制された場合には、通常の操作時よ
りも極めて大きくなる。従来のラックガイドは、ピニオ
ン33にラック34を噛み合わせた状態で、ラック34
と反対側からラック軸35にガイド部を当て、このガイ
ド部を単に圧縮ばねを介して調整ボルトで押したもので
ある。このため、大きな軸直角方向の力によって圧縮ば
ねが縮むので、ラック34が後退し得る。
照)の補助トルクを加えた複合トルクが、ピニオン33
からラック34に伝達されるとき、ラック軸35には軸
長手方向の力と軸直角方向の力が作用する。軸直角方向
の力はラック34が後退してピニオン33から離れる方
向の力であり、歯型の圧力角に応じて生じる分力であ
る。特にこの分力は、ラック軸35が所定量だけスライ
ドした後に移動が規制された場合には、通常の操作時よ
りも極めて大きくなる。従来のラックガイドは、ピニオ
ン33にラック34を噛み合わせた状態で、ラック34
と反対側からラック軸35にガイド部を当て、このガイ
ド部を単に圧縮ばねを介して調整ボルトで押したもので
ある。このため、大きな軸直角方向の力によって圧縮ば
ねが縮むので、ラック34が後退し得る。
【0029】これに対し、ピニオン33にラック34を
噛み合わせた状態で、ガイド部61の背面61aを調整
ボルト63の先端63aで直接押すようにした。このた
め、軸直角方向の力によって圧縮ばね62が縮みラック
34が後退することはない。従って、ピニオン33とラ
ック34の歯当り状態を常に良好に保つことができ、噛
み合い精度を常に高い状態で維持することができる。
噛み合わせた状態で、ガイド部61の背面61aを調整
ボルト63の先端63aで直接押すようにした。このた
め、軸直角方向の力によって圧縮ばね62が縮みラック
34が後退することはない。従って、ピニオン33とラ
ック34の歯当り状態を常に良好に保つことができ、噛
み合い精度を常に高い状態で維持することができる。
【0030】ところで、上記操舵トルクセンサ70につ
いては、次のような構成にすることができる。すなわ
ち、入力軸31に、作用トルクに応じて磁歪特性が変化
する磁歪膜77を所定幅で全周にわたって設け、この磁
歪膜77に対向して、上記図2に示す励磁・検出コイル
71,72を配置する。入力軸31を介して磁歪膜77
にトルクが作用したときに、このトルクに応じて磁歪膜
77に生じる磁歪効果を、検出コイル72にて電気磁気
的に検出することができる。磁歪膜77は、例えば、入
力軸31に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金
膜からなる、強磁性体膜である。
いては、次のような構成にすることができる。すなわ
ち、入力軸31に、作用トルクに応じて磁歪特性が変化
する磁歪膜77を所定幅で全周にわたって設け、この磁
歪膜77に対向して、上記図2に示す励磁・検出コイル
71,72を配置する。入力軸31を介して磁歪膜77
にトルクが作用したときに、このトルクに応じて磁歪膜
77に生じる磁歪効果を、検出コイル72にて電気磁気
的に検出することができる。磁歪膜77は、例えば、入
力軸31に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金
膜からなる、強磁性体膜である。
【0031】図5は図4の5−5線断面図であり、入力
軸31と電動機82とトルクリミッタ90と歯車式減速
機構110との関係を示す。電動機82は、出力軸83
を横向きにしてハウジング41に取付け、ハウジング4
1内に出力軸83を延したものである。
軸31と電動機82とトルクリミッタ90と歯車式減速
機構110との関係を示す。電動機82は、出力軸83
を横向きにしてハウジング41に取付け、ハウジング4
1内に出力軸83を延したものである。
【0032】歯車式減速機構110は、電動機82で発
生した補助トルクを入力軸31に伝達するトルク伝達手
段であって、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造である、
ウォームギヤ機構からなる。詳しくは、歯車式減速機構
110は、電動機82の出力軸83にトルクリミッタ9
0を介して連結した伝動軸111と、伝動軸111に形
成したウォーム112と、ウォーム112に噛み合うと
ともに入力軸31に結合したウォームホイール113と
からなる。電動機82の補助トルクを、入力軸31を介
してラックアンドピニオン機構32(図1参照)に伝達
することができる。
生した補助トルクを入力軸31に伝達するトルク伝達手
段であって、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造である、
ウォームギヤ機構からなる。詳しくは、歯車式減速機構
110は、電動機82の出力軸83にトルクリミッタ9
0を介して連結した伝動軸111と、伝動軸111に形
成したウォーム112と、ウォーム112に噛み合うと
ともに入力軸31に結合したウォームホイール113と
からなる。電動機82の補助トルクを、入力軸31を介
してラックアンドピニオン機構32(図1参照)に伝達
することができる。
【0033】伝動軸111は、出力軸83と同心上に配
置し、2個の軸受114,115を介してハウジング4
1にて回転可能に支承した軸である。ハウジング41
は、出力軸83に近い位置にある第1軸受114を軸方
向移動不能に取付け、出力軸83から遠い位置にある第
2軸受115を軸方向移動可能に嵌合したものである。
さらには、第2軸受115の外輪の端面を、板ばね11
6を介して調整ボルト117で出力軸83側に押してい
る。調整ボルト117と薄板円盤状の板ばね116の押
圧力にて、第1・第2軸受114,115に予圧を与え
ることで、伝動軸111の軸方向の遊びがないように調
整する、すなわち、ガタ取りすることができる。しか
も、ウォーム112の軸方向変位を調整して、ウォーム
112とウォームホイール113の噛み合いを、適切な
摩擦を保ちつつガタが無いように調整することができ
る。また、板ばね116の弾性力により、伝動軸111
の軸方向の熱膨張等を吸収することができる。118は
ロックナット、119は止め輪である。
置し、2個の軸受114,115を介してハウジング4
1にて回転可能に支承した軸である。ハウジング41
は、出力軸83に近い位置にある第1軸受114を軸方
向移動不能に取付け、出力軸83から遠い位置にある第
2軸受115を軸方向移動可能に嵌合したものである。
さらには、第2軸受115の外輪の端面を、板ばね11
6を介して調整ボルト117で出力軸83側に押してい
る。調整ボルト117と薄板円盤状の板ばね116の押
圧力にて、第1・第2軸受114,115に予圧を与え
ることで、伝動軸111の軸方向の遊びがないように調
整する、すなわち、ガタ取りすることができる。しか
も、ウォーム112の軸方向変位を調整して、ウォーム
112とウォームホイール113の噛み合いを、適切な
摩擦を保ちつつガタが無いように調整することができ
る。また、板ばね116の弾性力により、伝動軸111
の軸方向の熱膨張等を吸収することができる。118は
ロックナット、119は止め輪である。
【0034】図6は本発明に係るトルクリミッタの断面
図である。本発明は、電動機82と歯車式減速機構11
0との間にトルクリミッタ90を介在させたことを特徴
とする。トルクリミッタ90は、電動機82の出力軸8
3にセレーション結合したインナ部材91を、伝動軸1
11にセレーション結合した筒状のアウタ部材93に嵌
合したトルク制限機構である。
図である。本発明は、電動機82と歯車式減速機構11
0との間にトルクリミッタ90を介在させたことを特徴
とする。トルクリミッタ90は、電動機82の出力軸8
3にセレーション結合したインナ部材91を、伝動軸1
11にセレーション結合した筒状のアウタ部材93に嵌
合したトルク制限機構である。
【0035】インナ部材91は外周面92を、伝動軸1
11の先端に向って先細りテーパとした雄部材である。
アウタ部材93は内周面94を、インナ部材91の外周
面92が嵌合するべく先広がりテーパとした雌部材であ
る。テーパ状の外周面92をテーパ状の内周面94に嵌
合し、インナ部材91の後端面95を皿ばね96で弾発
しつつ止め輪97で抜け止めすることで、トルクリミッ
タ90を組立ることができる。101はスペーサ、10
2はワッシャ、103は皿ばねである。
11の先端に向って先細りテーパとした雄部材である。
アウタ部材93は内周面94を、インナ部材91の外周
面92が嵌合するべく先広がりテーパとした雌部材であ
る。テーパ状の外周面92をテーパ状の内周面94に嵌
合し、インナ部材91の後端面95を皿ばね96で弾発
しつつ止め輪97で抜け止めすることで、トルクリミッ
タ90を組立ることができる。101はスペーサ、10
2はワッシャ、103は皿ばねである。
【0036】皿ばね96の弾発力で、外周面92を内周
面94に押し付けて予圧を与えることにより、外周面9
2を内周面94に所定の摩擦力を有して、連結すること
ができる。このようなトルクリミッタ90であるから、
所定の摩擦力を上回る大きなトルクが作用すると、外周
面92と内周面94との間がスリップする。この結果、
電動機82から歯車式減速機構110へ伝達する補助ト
ルクを制限、すなわち、オーバートルクをカットするこ
とができる。従って、電動機82に過大なトルクが発生
することはなく、また、負荷側に過大なトルクが伝わる
こともない。
面94に押し付けて予圧を与えることにより、外周面9
2を内周面94に所定の摩擦力を有して、連結すること
ができる。このようなトルクリミッタ90であるから、
所定の摩擦力を上回る大きなトルクが作用すると、外周
面92と内周面94との間がスリップする。この結果、
電動機82から歯車式減速機構110へ伝達する補助ト
ルクを制限、すなわち、オーバートルクをカットするこ
とができる。従って、電動機82に過大なトルクが発生
することはなく、また、負荷側に過大なトルクが伝わる
こともない。
【0037】さらには、インナ部材91をアウタ部材9
3にテーパにて嵌合したので、両者の組立精度は高く、
心合せも容易である。従って、出力軸83に対する伝動
軸111の組立精度は高く、心合せも容易である。ま
た、比較的高速回転する電動機82と歯車式減速機構1
10との間に、トルクリミッタ90を介在させたので、
トルクリミッタ90が小さくてすみ、トルクリミッタ9
0の小型化、低コスト化を図ることができる。小型のト
ルクリミッタ90であるから配置スペースが少なくてす
むので、ハウジング41に収納することが容易である。
3にテーパにて嵌合したので、両者の組立精度は高く、
心合せも容易である。従って、出力軸83に対する伝動
軸111の組立精度は高く、心合せも容易である。ま
た、比較的高速回転する電動機82と歯車式減速機構1
10との間に、トルクリミッタ90を介在させたので、
トルクリミッタ90が小さくてすみ、トルクリミッタ9
0の小型化、低コスト化を図ることができる。小型のト
ルクリミッタ90であるから配置スペースが少なくてす
むので、ハウジング41に収納することが容易である。
【0038】図7(a),(b)は本発明に係るラック
軸の構成図であって、(a)はラック軸35の斜視図、
(b)は(a)のb−b線断面図である。ラック軸35
は直径D1の丸棒であって、長手途中にラック34を形
成したものである。ラック34を形成する部分39の長
さMは、操舵輪21,21(図1参照)を左右に最大操
舵角だけ操舵するために所定量だけスライド可能な長さ
である。R1はラック軸の中心である。
軸の構成図であって、(a)はラック軸35の斜視図、
(b)は(a)のb−b線断面図である。ラック軸35
は直径D1の丸棒であって、長手途中にラック34を形
成したものである。ラック34を形成する部分39の長
さMは、操舵輪21,21(図1参照)を左右に最大操
舵角だけ操舵するために所定量だけスライド可能な長さ
である。R1はラック軸の中心である。
【0039】本発明は(b)に示すように、ラック軸3
5に形成したラック34の歯幅W1を、ラック34が無
い部分におけるラック軸35の径D1よりも大きく設定
したことを特徴とする(W1>D1)。ラック34を形
成する部分39は、ラック形成面が平坦な略半円状断面
を呈するとともに、歯幅W1を大きくした分に見合うだ
け肉厚T1を小さくしたものである。肉厚T1は、ラッ
ク34の歯先からラック軸35背面までの厚みであり、
当然のことながら、径D1よりも小さい(T1<D
1)。このように、ラック軸35のうちラック34の歯
幅だけを大きくしたので、ラック軸35の重量を抑制す
ることができる。
5に形成したラック34の歯幅W1を、ラック34が無
い部分におけるラック軸35の径D1よりも大きく設定
したことを特徴とする(W1>D1)。ラック34を形
成する部分39は、ラック形成面が平坦な略半円状断面
を呈するとともに、歯幅W1を大きくした分に見合うだ
け肉厚T1を小さくしたものである。肉厚T1は、ラッ
ク34の歯先からラック軸35背面までの厚みであり、
当然のことながら、径D1よりも小さい(T1<D
1)。このように、ラック軸35のうちラック34の歯
幅だけを大きくしたので、ラック軸35の重量を抑制す
ることができる。
【0040】このように、ラック34の歯幅W1を大き
く設定したので、ラック34の機械的強度(曲げ強さや
面圧強さ)は大幅に高まる。一方、ラック軸35のうち
ラック34が無い部分は、操舵輪を操舵するべくスライ
ドするだけであるから、従来と同様の剛性を有するもの
であればよい。このため、ラック軸35のうちラック3
4の歯幅W1だけを大きく設定し、その分だけ肉厚T1
を小さくした。肉厚T1がラック軸35の径D1より小
さいので、ラック34を形成する部分39は、ラック軸
の中心R1からピニオン側(図4参照)へ偏位したもの
である。この結果、ラック軸35の断面積に対して、ラ
ックを形成する部分39の断面積はほとんど同一であ
り、ラックを形成する部分39の幅W1がラック軸35
の径D1より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重
量はほとんど変わらない。このため、ラック軸35の重
量を抑制することができる。
く設定したので、ラック34の機械的強度(曲げ強さや
面圧強さ)は大幅に高まる。一方、ラック軸35のうち
ラック34が無い部分は、操舵輪を操舵するべくスライ
ドするだけであるから、従来と同様の剛性を有するもの
であればよい。このため、ラック軸35のうちラック3
4の歯幅W1だけを大きく設定し、その分だけ肉厚T1
を小さくした。肉厚T1がラック軸35の径D1より小
さいので、ラック34を形成する部分39は、ラック軸
の中心R1からピニオン側(図4参照)へ偏位したもの
である。この結果、ラック軸35の断面積に対して、ラ
ックを形成する部分39の断面積はほとんど同一であ
り、ラックを形成する部分39の幅W1がラック軸35
の径D1より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重
量はほとんど変わらない。このため、ラック軸35の重
量を抑制することができる。
【0041】以上をまとめると、ラック34の歯幅W1
を大きく設定したことにより、ラック軸35の重量を抑
制しつつ、ピニオン33並びにラック34の械的強度
(曲げ強さや面圧強さ)を高めることができる。なお、
ラック34と反対側からラックガイド60(図4参照)
にてピニオン33側へ押しているので、肉厚T1が小さ
いことによる、ラック軸35の曲げ剛性については実質
的に影響が無い。
を大きく設定したことにより、ラック軸35の重量を抑
制しつつ、ピニオン33並びにラック34の械的強度
(曲げ強さや面圧強さ)を高めることができる。なお、
ラック34と反対側からラックガイド60(図4参照)
にてピニオン33側へ押しているので、肉厚T1が小さ
いことによる、ラック軸35の曲げ剛性については実質
的に影響が無い。
【0042】図8(a)〜(c)は本発明に係るラック
軸の製造手順図であり、ラック軸35を鍛造にて製造し
た場合の軸断面を示す。ラック軸35を製造するには、
先ず(a)において、鉄鋼材からなる丸棒35Aのう
ち、ラックを形成する部分39のみを想像線にて示す略
半円断面形状になるまで鍛造で成形する。丸棒35Aの
うち、ラックを形成する部分39の背面39aから後部
までの断面積A1は、ラックを形成する部分39の突出
した下部39b又は上部39cの断面積A2に概ね相当
する。すなわち、ラックを形成する部分39を幅W0に
鍛造することによって、断面積A1と断面積A2とが概
ね同一になり、その結果、厚みT2が定まる。従って、
実線にて示す丸棒35Aの断面積に対して、想像線にて
示すラックを形成する部分39の断面積はほとんど同一
であり、ラックを形成する部分39の幅W0が丸棒35
Aの径より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重量
はほとんど変わらない。
軸の製造手順図であり、ラック軸35を鍛造にて製造し
た場合の軸断面を示す。ラック軸35を製造するには、
先ず(a)において、鉄鋼材からなる丸棒35Aのう
ち、ラックを形成する部分39のみを想像線にて示す略
半円断面形状になるまで鍛造で成形する。丸棒35Aの
うち、ラックを形成する部分39の背面39aから後部
までの断面積A1は、ラックを形成する部分39の突出
した下部39b又は上部39cの断面積A2に概ね相当
する。すなわち、ラックを形成する部分39を幅W0に
鍛造することによって、断面積A1と断面積A2とが概
ね同一になり、その結果、厚みT2が定まる。従って、
実線にて示す丸棒35Aの断面積に対して、想像線にて
示すラックを形成する部分39の断面積はほとんど同一
であり、ラックを形成する部分39の幅W0が丸棒35
Aの径より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重量
はほとんど変わらない。
【0043】鍛造によって得られた、ラックを形成する
部分39の断面形状を(b)に示す。その後、(c)に
おいて、ラックを形成する部分39の全表面を切削加工
により滑らかにするとともに、平坦面(ラック形成面)
39dに転造加工等でラック34を形成して、作業を完
了する。
部分39の断面形状を(b)に示す。その後、(c)に
おいて、ラックを形成する部分39の全表面を切削加工
により滑らかにするとともに、平坦面(ラック形成面)
39dに転造加工等でラック34を形成して、作業を完
了する。
【0044】図9(a)〜(d)は本発明に係るラック
アンドピニオン機構の構成図である。なお、理解を容易
にするために、ラック34よりも図手前側にピニオン3
3を配置して表した。L1はピニオンの中心、R2はラ
ックの歯面に直角な線である。
アンドピニオン機構の構成図である。なお、理解を容易
にするために、ラック34よりも図手前側にピニオン3
3を配置して表した。L1はピニオンの中心、R2はラ
ックの歯面に直角な線である。
【0045】(a)は、ラックアンドピニオン機構32
のピニオン33並びにラック34を「はすば歯車(ヘリ
カルギヤ)」としたことを示す。すなわち、ピニオン3
3は、はすばピニオンであり、ラック34は、はすばラ
ックである。例えば、ピニオン33をなす「はすば歯
車」とは、(b)に示すように、基準ピッチ面となる円
筒33aの周面と歯面33bとの交線である、歯すじ3
3cが、所定のねじれ角θを有したつる巻線である、円
筒歯車を言う。「ねじれ角θ」とは、つる巻線33dと
つる巻線33dを考える円筒33aの母線33eとのな
す、鋭角θを言う。
のピニオン33並びにラック34を「はすば歯車(ヘリ
カルギヤ)」としたことを示す。すなわち、ピニオン3
3は、はすばピニオンであり、ラック34は、はすばラ
ックである。例えば、ピニオン33をなす「はすば歯
車」とは、(b)に示すように、基準ピッチ面となる円
筒33aの周面と歯面33bとの交線である、歯すじ3
3cが、所定のねじれ角θを有したつる巻線である、円
筒歯車を言う。「ねじれ角θ」とは、つる巻線33dと
つる巻線33dを考える円筒33aの母線33eとのな
す、鋭角θを言う。
【0046】(c)は、ラック34をなす「はすば歯
車」の部分拡大斜視図であり、はすば歯車のねじれ角
が、ピニオン33をなす「はすば歯車」のねじれ角θと
同一であることを示す。本発明は、ピニオン33並びに
ラック34をなす、はすば歯車のねじれ角θを、はすば
歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とす
る。その理由については後述する。
車」の部分拡大斜視図であり、はすば歯車のねじれ角
が、ピニオン33をなす「はすば歯車」のねじれ角θと
同一であることを示す。本発明は、ピニオン33並びに
ラック34をなす、はすば歯車のねじれ角θを、はすば
歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とす
る。その理由については後述する。
【0047】(d)は、ピニオン33並びにラック34
をなす「はすば歯車」の歯形の拡大断面図であり、はす
ば歯車の歯形が円弧歯形であることを示す。円弧歯形の
歯車については、「[新しい歯車とその応用]円弧歯形
歯車」(機械設計・第26巻第3号(1982年3月
号)第47頁〜第51頁、日刊工業新聞社発行)の文献
等によって知られている。以下、円弧歯形の概要につい
て説明する。
をなす「はすば歯車」の歯形の拡大断面図であり、はす
ば歯車の歯形が円弧歯形であることを示す。円弧歯形の
歯車については、「[新しい歯車とその応用]円弧歯形
歯車」(機械設計・第26巻第3号(1982年3月
号)第47頁〜第51頁、日刊工業新聞社発行)の文献
等によって知られている。以下、円弧歯形の概要につい
て説明する。
【0048】円弧歯形の歯車とは、1組の歯車のうち、
少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線Pi
上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の
歯車の歯元の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とす
る円弧面に形成した、円弧歯形を有する歯車であって、
W/N歯車とも言う。円弧歯形の歯車には、対称形の円
弧歯形と非対称形の円弧歯形がある。ここで、歯元の面
とは、歯底曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の
部分であり、歯末の面とは、歯先曲面と基準ピッチ線P
iとの間にある歯面の部分である。
少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線Pi
上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の
歯車の歯元の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とす
る円弧面に形成した、円弧歯形を有する歯車であって、
W/N歯車とも言う。円弧歯形の歯車には、対称形の円
弧歯形と非対称形の円弧歯形がある。ここで、歯元の面
とは、歯底曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の
部分であり、歯末の面とは、歯先曲面と基準ピッチ線P
iとの間にある歯面の部分である。
【0049】ピニオン33において、対称形の円弧歯形
とは、(d)に示すように、歯末の面33fを円弧面に
形成するとともに歯元の面33gも円弧面に形成、すな
わち、歯末の面33fと歯元の面33gとを、基準ピッ
チ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成した円弧
歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第3種やシンマーク
歯車がある。rは円弧面の半径である。ラック34にお
ける、対称形の円弧歯形も、上記ピニオン33における
対称形の円弧歯形と同一であって、歯末の面34aと歯
元の面34bとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対
称形の円弧面に形成したものである。
とは、(d)に示すように、歯末の面33fを円弧面に
形成するとともに歯元の面33gも円弧面に形成、すな
わち、歯末の面33fと歯元の面33gとを、基準ピッ
チ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成した円弧
歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第3種やシンマーク
歯車がある。rは円弧面の半径である。ラック34にお
ける、対称形の円弧歯形も、上記ピニオン33における
対称形の円弧歯形と同一であって、歯末の面34aと歯
元の面34bとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対
称形の円弧面に形成したものである。
【0050】一方、非対称形の円弧歯形とは、1組の歯
車のうち、一方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほ
ぼ中心とする歯末円弧だけで形成し、他方の歯車の歯
を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯元円弧だけ
で形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第
1,2種やサーカーク歯車がある。本発明においては、
はすば歯車の歯形を、対称形の円弧歯形にすることが、
より好ましい。
車のうち、一方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほ
ぼ中心とする歯末円弧だけで形成し、他方の歯車の歯
を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯元円弧だけ
で形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第
1,2種やサーカーク歯車がある。本発明においては、
はすば歯車の歯形を、対称形の円弧歯形にすることが、
より好ましい。
【0051】インボリュート歯形の正面歯形は凸面なの
で、1組の歯車の噛み合いが凸面と凸面との接触(噛み
合い)である。これに対して本発明は、はすば歯車の歯
形を円弧歯形にした。円弧歯形の正面歯形は、1組の歯
車の噛み合いが凹面と凸面との接触(噛み合い)であ
る。歯すじ方向の相対曲率半径が大きいので、負荷が作
用したときには、接触線が大きな面積を有した領域とな
る。一般に、円弧歯形の強度はインボリュート歯車に比
べて、表面疲れ強さが6〜7倍、曲げ強さが1.5〜
1.6倍、曲げ疲れ強さが1.5〜1.6倍である。さ
らには、円弧歯形であるから、従来のインボリュート歯
形に比べて歯元の面33g,34bに丸みがある。従っ
て、衝撃並びに疲労強さにおけるノッチ効果を低減する
ことができ、この結果、歯部の曲げ強さをより一層高め
ることができる。
で、1組の歯車の噛み合いが凸面と凸面との接触(噛み
合い)である。これに対して本発明は、はすば歯車の歯
形を円弧歯形にした。円弧歯形の正面歯形は、1組の歯
車の噛み合いが凹面と凸面との接触(噛み合い)であ
る。歯すじ方向の相対曲率半径が大きいので、負荷が作
用したときには、接触線が大きな面積を有した領域とな
る。一般に、円弧歯形の強度はインボリュート歯車に比
べて、表面疲れ強さが6〜7倍、曲げ強さが1.5〜
1.6倍、曲げ疲れ強さが1.5〜1.6倍である。さ
らには、円弧歯形であるから、従来のインボリュート歯
形に比べて歯元の面33g,34bに丸みがある。従っ
て、衝撃並びに疲労強さにおけるノッチ効果を低減する
ことができ、この結果、歯部の曲げ強さをより一層高め
ることができる。
【0052】ピニオン33並びにラック34を上述の円
弧歯形のはすば歯車にしたことにより、これらの歯車の
強度をより一層高めることができ、例えば、次のような
ときに効果を発揮する。左右の操舵輪を最大操舵角まで
操舵したとき、すなわち、上記図3においてラック軸3
5が移動終端まで移動したとき、左のボールジョイント
36がストッパ43に当ったり、右のボールジョイント
36がストッパ43に当たることで、ラック34(図1
参照)は即時に停止する。このとき、通常の操舵時より
も極めて大きなトルクが、ピニオン33(図1参照)と
ラック34とに作用する。このような場合であっても、
強度を高めたピニオン33並びにラック34は、大トル
クを十分に受けることができる。
弧歯形のはすば歯車にしたことにより、これらの歯車の
強度をより一層高めることができ、例えば、次のような
ときに効果を発揮する。左右の操舵輪を最大操舵角まで
操舵したとき、すなわち、上記図3においてラック軸3
5が移動終端まで移動したとき、左のボールジョイント
36がストッパ43に当ったり、右のボールジョイント
36がストッパ43に当たることで、ラック34(図1
参照)は即時に停止する。このとき、通常の操舵時より
も極めて大きなトルクが、ピニオン33(図1参照)と
ラック34とに作用する。このような場合であっても、
強度を高めたピニオン33並びにラック34は、大トル
クを十分に受けることができる。
【0053】さらには、ピニオン33並びにラック34
の歯形を円弧歯形にしたので、1組の歯車の噛み合いが
凹面と凸面との接触であり、インボリュート歯形の場合
よりも噛み合いの接触面積が大きい。噛み合いの面圧が
下がる(接触面圧がインボリュート歯形の約1/6に低
減する)ので、歯面の摺動は滑らかになる。しかも円弧
歯形の歯車は、周知のように滑り軸受に極めて近い接触
をする歯車である。滑り軸受の接触は、接触状態が一様
であるという長所を有している。その長所をそのまま、
円弧歯形の歯車の接触にも活かすことができる。従っ
て、歯面同士の摺動による摩擦力が著しく低減する。
の歯形を円弧歯形にしたので、1組の歯車の噛み合いが
凹面と凸面との接触であり、インボリュート歯形の場合
よりも噛み合いの接触面積が大きい。噛み合いの面圧が
下がる(接触面圧がインボリュート歯形の約1/6に低
減する)ので、歯面の摺動は滑らかになる。しかも円弧
歯形の歯車は、周知のように滑り軸受に極めて近い接触
をする歯車である。滑り軸受の接触は、接触状態が一様
であるという長所を有している。その長所をそのまま、
円弧歯形の歯車の接触にも活かすことができる。従っ
て、歯面同士の摺動による摩擦力が著しく低減する。
【0054】ところで、上記図4において、電動機82
の慣性による大きな負荷トルクがラックアンドピニオン
機構32に作用したとき、これに伴う大きな軸直角方向
の力がラック軸35に作用する。この力によってラック
軸35が後退しないように、ラックガイド部61の背面
を調整ボルト63で直接押して支えているにもかかわら
ず、歯面同士の摺動による摩擦力が低減するので、ラッ
クアンドピニオン機構32の動力伝達効率が高めること
ができるとともに、ステアリングハンドル11(図1参
照)の良好な操舵感覚を維持することができる。
の慣性による大きな負荷トルクがラックアンドピニオン
機構32に作用したとき、これに伴う大きな軸直角方向
の力がラック軸35に作用する。この力によってラック
軸35が後退しないように、ラックガイド部61の背面
を調整ボルト63で直接押して支えているにもかかわら
ず、歯面同士の摺動による摩擦力が低減するので、ラッ
クアンドピニオン機構32の動力伝達効率が高めること
ができるとともに、ステアリングハンドル11(図1参
照)の良好な操舵感覚を維持することができる。
【0055】さらには、歯面同士の摺動による摩擦力が
小さいので、負荷が大きい据え切り操舵時(停車した状
態で操舵するとき)であっても、電動機82からの補助
トルクをピニオン33からラック軸35へ効率良く伝達
することができる。この結果、従来のインボリュート歯
形を用いた場合に比べて、補助トルクが小さくてすみ、
消費電力の少ない電動パワーステアリング装置を提供す
ることができる。
小さいので、負荷が大きい据え切り操舵時(停車した状
態で操舵するとき)であっても、電動機82からの補助
トルクをピニオン33からラック軸35へ効率良く伝達
することができる。この結果、従来のインボリュート歯
形を用いた場合に比べて、補助トルクが小さくてすみ、
消費電力の少ない電動パワーステアリング装置を提供す
ることができる。
【0056】図10は本発明に係るピニオン並びにラッ
クの歯形の模式図であり、ピニオン33の歯形並びにラ
ック34の歯形の繊維組織Sが、歯形に沿って連続して
流れていることを示す。繊維組織Sとは、一般に金属繊
維(加工繊維)とも言われているものであって、鍛造品
の場合には鍛流線と称する。上述のように、ピニオン3
3並びにラック34は塑性加工品であり、ピニオン33
並びにラック34の歯形は円弧歯形である。
クの歯形の模式図であり、ピニオン33の歯形並びにラ
ック34の歯形の繊維組織Sが、歯形に沿って連続して
流れていることを示す。繊維組織Sとは、一般に金属繊
維(加工繊維)とも言われているものであって、鍛造品
の場合には鍛流線と称する。上述のように、ピニオン3
3並びにラック34は塑性加工品であり、ピニオン33
並びにラック34の歯形は円弧歯形である。
【0057】塑性加工品とは、冷間又は熱間で素材に塑
性変形を与えて所定の形状・寸法に製造した物であり、
例えば転造品等の回転加工品や鍛造品がある。転造加工
は回転加工の一種であり、本発明においては鍛造加工に
包含する。転造加工によってピニオン33の歯形並びに
ラック34の歯形を造るには、歯車の歯形を有する工具
を素材に徐々に押し付けて、所定の歯形を造っていくこ
とになる。転造加工によれば、生産性が高く連続生産が
可能である。
性変形を与えて所定の形状・寸法に製造した物であり、
例えば転造品等の回転加工品や鍛造品がある。転造加工
は回転加工の一種であり、本発明においては鍛造加工に
包含する。転造加工によってピニオン33の歯形並びに
ラック34の歯形を造るには、歯車の歯形を有する工具
を素材に徐々に押し付けて、所定の歯形を造っていくこ
とになる。転造加工によれば、生産性が高く連続生産が
可能である。
【0058】切削加工の歯車に対する塑性加工の歯車の
長所としては、次の点がある。 (1)図に示すように、歯形に沿って連続した繊維組織
Sが得られるので強度が増し、繊維組織Sが切断されて
いる切削加工の歯車に比べて、歯部の曲げ強さと耐摩耗
性が大きい。
長所としては、次の点がある。 (1)図に示すように、歯形に沿って連続した繊維組織
Sが得られるので強度が増し、繊維組織Sが切断されて
いる切削加工の歯車に比べて、歯部の曲げ強さと耐摩耗
性が大きい。
【0059】(2)切削加工による残留応力が歯面に発
生しないので、焼入れ時の変形が少ない。従って、円弧
歯車の仕上り精度を確保するために焼入れ後の歯型修正
をしなくても、良好な噛み合い状態を維持することがで
きる。このため、加工工程を短縮することができるとと
もに、生産性を高めることができる。
生しないので、焼入れ時の変形が少ない。従って、円弧
歯車の仕上り精度を確保するために焼入れ後の歯型修正
をしなくても、良好な噛み合い状態を維持することがで
きる。このため、加工工程を短縮することができるとと
もに、生産性を高めることができる。
【0060】(3)切削加工による歯車は、歯面を加工
する工具の刃先形状と工具の送り速度によって決定され
る表面の凹凸(歯面の加工傷)が有る。これに対して、
塑性加工による歯車は、切削加工品のような表面の凹凸
(歯面の加工傷)が無く、均一な歯面粗さにすることが
できるので、歯の表面粗さ状態が良好であって極めて滑
らかであり、寸法精度のバラツキも少ない。このよう
に、歯面の精度が良好になり、一定水準以上の寸法精度
を維持することが容易であり、しかも、切削加工品のよ
うに歯面に加工傷がほとんど無く、極めて滑らかであ
る。このため、歯面同士の摺動による摩擦力は極めて小
さい。従って、ラックアンドピニオン機構の動力伝達効
率が大きく、噛み合い騒音も小さい。
する工具の刃先形状と工具の送り速度によって決定され
る表面の凹凸(歯面の加工傷)が有る。これに対して、
塑性加工による歯車は、切削加工品のような表面の凹凸
(歯面の加工傷)が無く、均一な歯面粗さにすることが
できるので、歯の表面粗さ状態が良好であって極めて滑
らかであり、寸法精度のバラツキも少ない。このよう
に、歯面の精度が良好になり、一定水準以上の寸法精度
を維持することが容易であり、しかも、切削加工品のよ
うに歯面に加工傷がほとんど無く、極めて滑らかであ
る。このため、歯面同士の摺動による摩擦力は極めて小
さい。従って、ラックアンドピニオン機構の動力伝達効
率が大きく、噛み合い騒音も小さい。
【0061】次に、電動パワーステアリング装置の変形
例について、図11〜図17に基づき説明する。なお、
上記図1〜図10の構成と同じ構成については同一符号
を付し、その説明を省略する。図11(a),(b)は
本発明に係る電動パワーステアリング装置(第1変形
例)の模式図であり、(a)はラックアンドピニオン機
構32周りの平面断面図、(b)は(a)のb−b線断
面図である。第1変形例は、符号35Bで示すラック軸
としてパイプ材を使用したことを特徴とする。ラック軸
35Bは長手方向両端にボールジョイント36,36を
結合するめねじ35a,35aを形成するとともに、ピ
ニオン33と対向する面にラック軸35Bの中心R1か
ら所定寸法Y1だけ離れた平坦面35bを形成し、この
平坦面35bにラック34を形成したことを示す。
例について、図11〜図17に基づき説明する。なお、
上記図1〜図10の構成と同じ構成については同一符号
を付し、その説明を省略する。図11(a),(b)は
本発明に係る電動パワーステアリング装置(第1変形
例)の模式図であり、(a)はラックアンドピニオン機
構32周りの平面断面図、(b)は(a)のb−b線断
面図である。第1変形例は、符号35Bで示すラック軸
としてパイプ材を使用したことを特徴とする。ラック軸
35Bは長手方向両端にボールジョイント36,36を
結合するめねじ35a,35aを形成するとともに、ピ
ニオン33と対向する面にラック軸35Bの中心R1か
ら所定寸法Y1だけ離れた平坦面35bを形成し、この
平坦面35bにラック34を形成したことを示す。
【0062】図12は本発明に係る電動パワーステアリ
ング装置(第1変形例)のラック軸の製造手順図であ
り、ラック軸35Bを塑性加工にて製造した場合の各断
面構造を示す。ラック軸35Bを製造するには、次の
〜の手順による。 鋼管からなるパイプ材35Cを準備する。 パイプ材35Cの一端を絞り込んで、ねじ形成部35
cを形成する。 パイプ材35Cの長手途中をプレスにて平坦状に潰し
て、平坦面35bを形成する。この結果をa−a線断面
図に示す。 平坦面35bに塑性加工、例えば転造加工にてラック
34を形成する。この結果をb−b線断面図に示す。 パイプ材35Cをしごき押出し加工によって変肉加工
する。これによって、パイプ材35Cに厚肉部35dと
薄肉部35eができる。 パイプ材35Cの他端を絞り込んで、ねじ形成部35
fを形成する。 左右のねじ形成部35c,35fにめねじ35a,3
5aを形成する。 以上でラック軸35Bが完成する。
ング装置(第1変形例)のラック軸の製造手順図であ
り、ラック軸35Bを塑性加工にて製造した場合の各断
面構造を示す。ラック軸35Bを製造するには、次の
〜の手順による。 鋼管からなるパイプ材35Cを準備する。 パイプ材35Cの一端を絞り込んで、ねじ形成部35
cを形成する。 パイプ材35Cの長手途中をプレスにて平坦状に潰し
て、平坦面35bを形成する。この結果をa−a線断面
図に示す。 平坦面35bに塑性加工、例えば転造加工にてラック
34を形成する。この結果をb−b線断面図に示す。 パイプ材35Cをしごき押出し加工によって変肉加工
する。これによって、パイプ材35Cに厚肉部35dと
薄肉部35eができる。 パイプ材35Cの他端を絞り込んで、ねじ形成部35
fを形成する。 左右のねじ形成部35c,35fにめねじ35a,3
5aを形成する。 以上でラック軸35Bが完成する。
【0063】図13は本発明に係る電動パワーステアリ
ング装置(第2変形例)の模式図である。第2変形例の
電動パワーステアリング装置200は、操舵機構23の
第1ラックアンドピニオン機構232と補助トルク機構
24の第2ラックアンドピニオン機構332とに、分離
したことを特徴とする。第1ラックアンドピニオン機構
232は、入力軸31に設けた第1ピニオン233と、
第1ピニオン233に噛み合うための第1ラック234
を設けたラック軸235とからなる。第1ピニオン23
3並びに第1ラック234は、操舵トルクのみを伝達す
るものであるから、インボリュート歯形でよい。
ング装置(第2変形例)の模式図である。第2変形例の
電動パワーステアリング装置200は、操舵機構23の
第1ラックアンドピニオン機構232と補助トルク機構
24の第2ラックアンドピニオン機構332とに、分離
したことを特徴とする。第1ラックアンドピニオン機構
232は、入力軸31に設けた第1ピニオン233と、
第1ピニオン233に噛み合うための第1ラック234
を設けたラック軸235とからなる。第1ピニオン23
3並びに第1ラック234は、操舵トルクのみを伝達す
るものであるから、インボリュート歯形でよい。
【0064】第2変形例における補助トルク機構24
は、歯車式減速機構110にピニオン軸331を介して
第2ラックアンドピニオン機構332を連結したもので
ある。第2ラックアンドピニオン機構332は、ピニオ
ン軸331に設けた第2ピニオン333と、第2ピニオ
ン333に噛み合う第2ラック334とからなる。第2
ラック334は、第1ラックアンドピニオン機構232
のラック軸235に設けたものである。すなわち、第1
ラックアンドピニオン機構232のラック軸235が、
第2ラックアンドピニオン機構332のラック軸を兼ね
る。
は、歯車式減速機構110にピニオン軸331を介して
第2ラックアンドピニオン機構332を連結したもので
ある。第2ラックアンドピニオン機構332は、ピニオ
ン軸331に設けた第2ピニオン333と、第2ピニオ
ン333に噛み合う第2ラック334とからなる。第2
ラック334は、第1ラックアンドピニオン機構232
のラック軸235に設けたものである。すなわち、第1
ラックアンドピニオン機構232のラック軸235が、
第2ラックアンドピニオン機構332のラック軸を兼ね
る。
【0065】このような電動パワーステアリング装置2
00によれば、運転者がステアリングハンドル11を操
舵することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及
び第1ラックアンドピニオン機構232を介して、ラッ
ク軸235に伝達することができる。さらには、操舵ト
ルクを操舵トルクセンサ70で検出し、この検出信号に
基づき制御手段81で制御信号を発生し、この制御信号
に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で
発生し、補助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速
機構110、ピニオン軸331及び第2ラックアンドピ
ニオン機構332を介して、ラック軸235に伝達する
ことができる。従って、運転者の操舵トルクに電動機8
2の補助トルクを加えた複合トルクによって、ラック軸
235及び左右のタイロッド37,37を介して、左右
の操舵輪21,21を操舵することができる。
00によれば、運転者がステアリングハンドル11を操
舵することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及
び第1ラックアンドピニオン機構232を介して、ラッ
ク軸235に伝達することができる。さらには、操舵ト
ルクを操舵トルクセンサ70で検出し、この検出信号に
基づき制御手段81で制御信号を発生し、この制御信号
に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で
発生し、補助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速
機構110、ピニオン軸331及び第2ラックアンドピ
ニオン機構332を介して、ラック軸235に伝達する
ことができる。従って、運転者の操舵トルクに電動機8
2の補助トルクを加えた複合トルクによって、ラック軸
235及び左右のタイロッド37,37を介して、左右
の操舵輪21,21を操舵することができる。
【0066】図14は本発明に係る電動パワーステアリ
ング装置(第2変形例)の全体構成図であり、操舵機構
23と補助トルク機構24とをハウジング41に並列に
して取付けたことを示す。
ング装置(第2変形例)の全体構成図であり、操舵機構
23と補助トルク機構24とをハウジング41に並列に
して取付けたことを示す。
【0067】図15は図14の15−15線断面図であ
り、操舵機構23の縦断面構造を示す。第2変形例の操
舵機構23は、入力軸31、操舵トルクセンサ70、第
1ラックアンドピニオン機構232をハウジング41に
収納し、このハウジング41の上部開口をリッド45で
塞いだものである。ハウジング41は縦置きにセットし
たものであり、第1ラックガイド260を備える。第1
ピニオン233並びに第1ラック234は転造品等の塑
性加工品である。具体的には、入力軸31に第1ピニオ
ン233を一体に形成し、ラック軸235に第1ラック
234を一体に形成した。
り、操舵機構23の縦断面構造を示す。第2変形例の操
舵機構23は、入力軸31、操舵トルクセンサ70、第
1ラックアンドピニオン機構232をハウジング41に
収納し、このハウジング41の上部開口をリッド45で
塞いだものである。ハウジング41は縦置きにセットし
たものであり、第1ラックガイド260を備える。第1
ピニオン233並びに第1ラック234は転造品等の塑
性加工品である。具体的には、入力軸31に第1ピニオ
ン233を一体に形成し、ラック軸235に第1ラック
234を一体に形成した。
【0068】第1ラックガイド260は、第1ラック2
34と反対側からラック軸235に当てるガイド部26
1と、このガイド部261を圧縮ばね262を介して押
す調整ボルト263とからなる。このような第1ラック
ガイド260によれば、ハウジング41にねじ込んだ調
整ボルト263にて、圧縮ばね262を介してガイド部
261を適切な押圧力で押すことで、ガイド部261で
第1ラック234に予圧を与えて、第1ラック234を
第1ピニオン233に押し付けることができる。264
はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、265は
ロックナットである。第1ラックガイド260は、この
図に示すように第1ピニオン233に第1ラック234
を噛み合わせた状態で、ガイド部261の背面261a
を、調整ボルト263の先端263aで直接押すように
したものである。
34と反対側からラック軸235に当てるガイド部26
1と、このガイド部261を圧縮ばね262を介して押
す調整ボルト263とからなる。このような第1ラック
ガイド260によれば、ハウジング41にねじ込んだ調
整ボルト263にて、圧縮ばね262を介してガイド部
261を適切な押圧力で押すことで、ガイド部261で
第1ラック234に予圧を与えて、第1ラック234を
第1ピニオン233に押し付けることができる。264
はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、265は
ロックナットである。第1ラックガイド260は、この
図に示すように第1ピニオン233に第1ラック234
を噛み合わせた状態で、ガイド部261の背面261a
を、調整ボルト263の先端263aで直接押すように
したものである。
【0069】図16は図14の16−16線断面図であ
り、補助トルク機構24の縦断面構造を示す。補助トル
ク機構24は、トルクリミッタ90(図13参照)、歯
車式減速機構110、ピニオン軸331、第2ラックア
ンドピニオン機構332をハウジング41に収納し、こ
のハウジング41の上部開口をリッド46で塞いだもの
である。ハウジング41は、ピニオン軸331の下端部
及び長手中央部を、上下2個の軸受351,352を介
して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたも
のであり、第2ラックガイド360を備える。353は
リッド取付ボルト、354は止め輪である。
り、補助トルク機構24の縦断面構造を示す。補助トル
ク機構24は、トルクリミッタ90(図13参照)、歯
車式減速機構110、ピニオン軸331、第2ラックア
ンドピニオン機構332をハウジング41に収納し、こ
のハウジング41の上部開口をリッド46で塞いだもの
である。ハウジング41は、ピニオン軸331の下端部
及び長手中央部を、上下2個の軸受351,352を介
して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたも
のであり、第2ラックガイド360を備える。353は
リッド取付ボルト、354は止め輪である。
【0070】第2ピニオン333並びに第2ラック33
4は転造品等の塑性加工品である。具体的には、ピニオ
ン軸331は、下部に第2ピニオン333を一体に形成
し、さらに下端部にねじ部355を形成したものであ
る。第2ラック334は、ラック軸235に一体に形成
したものである。このような第2ピニオン333並びに
第2ラック334は「はすば歯車」であり、はすば歯車
の歯形が円弧歯形である。この点は、上記ピニオン33
並びにラック34と同様の構成であり、詳細な説明を省
略する。ねじ部355にナット356をねじ込むこと
で、ピニオン軸331の長手方向(軸方向)の移動を規
制することができる。357は袋ナット、359はスペ
ーサである。
4は転造品等の塑性加工品である。具体的には、ピニオ
ン軸331は、下部に第2ピニオン333を一体に形成
し、さらに下端部にねじ部355を形成したものであ
る。第2ラック334は、ラック軸235に一体に形成
したものである。このような第2ピニオン333並びに
第2ラック334は「はすば歯車」であり、はすば歯車
の歯形が円弧歯形である。この点は、上記ピニオン33
並びにラック34と同様の構成であり、詳細な説明を省
略する。ねじ部355にナット356をねじ込むこと
で、ピニオン軸331の長手方向(軸方向)の移動を規
制することができる。357は袋ナット、359はスペ
ーサである。
【0071】第2ラックガイド360は、第2ラック3
34と反対側からラック軸235に当てるガイド部36
1と、このガイド部361を圧縮ばね362を介して押
す調整ボルト363とからなる。このような第2ラック
ガイド360によれば、ハウジング41にねじ込んだ調
整ボルト363にて、圧縮ばね362を介してガイド部
361を適切な押圧力で押すことで、ガイド部361で
第2ラック334に予圧を与えて、第2ラック334を
第2ピニオン333に押し付けることができる。364
はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、365は
ロックナットである。第2ラックガイド360は、この
図に示すように第2ピニオン333に第2ラック334
を噛み合わせた状態で、ガイド部361の背面361a
を、調整ボルト363の先端363aで直接押すように
したものである。
34と反対側からラック軸235に当てるガイド部36
1と、このガイド部361を圧縮ばね362を介して押
す調整ボルト363とからなる。このような第2ラック
ガイド360によれば、ハウジング41にねじ込んだ調
整ボルト363にて、圧縮ばね362を介してガイド部
361を適切な押圧力で押すことで、ガイド部361で
第2ラック334に予圧を与えて、第2ラック334を
第2ピニオン333に押し付けることができる。364
はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、365は
ロックナットである。第2ラックガイド360は、この
図に示すように第2ピニオン333に第2ラック334
を噛み合わせた状態で、ガイド部361の背面361a
を、調整ボルト363の先端363aで直接押すように
したものである。
【0072】なお、この図のX−X線断面の構成は、上
記図5に示す電動機82とトルクリミッタ90と歯車式
減速機構110との関係からなる構成と同一であるので
省略する。但し第2変形例においては、上記図5に示す
入力軸31がピニオン軸331に代る。
記図5に示す電動機82とトルクリミッタ90と歯車式
減速機構110との関係からなる構成と同一であるので
省略する。但し第2変形例においては、上記図5に示す
入力軸31がピニオン軸331に代る。
【0073】図17(a)〜(d)は本発明に係るラッ
ク軸(第2変形例)の構成図であって、(a)はラック
軸235の正面図、(b)はラック軸235の平面図、
(c)は(a)のc−c線断面図、(d)は(a)のd
−d線断面図である。ラック軸235は直径D1の丸棒
であって、長手途中に第1ラック234及び第2ラック
334を形成したものである。第1ラック234を形成
する部分の長さM及び第2ラック334を形成する部分
239の長さMは、操舵輪21,21(図11参照)を
左右に最大操舵角だけ操舵するために所定量だけスライ
ド可能な長さである。P1は第1ピニオンの中心、P2
は第2ピニオンの中心である。
ク軸(第2変形例)の構成図であって、(a)はラック
軸235の正面図、(b)はラック軸235の平面図、
(c)は(a)のc−c線断面図、(d)は(a)のd
−d線断面図である。ラック軸235は直径D1の丸棒
であって、長手途中に第1ラック234及び第2ラック
334を形成したものである。第1ラック234を形成
する部分の長さM及び第2ラック334を形成する部分
239の長さMは、操舵輪21,21(図11参照)を
左右に最大操舵角だけ操舵するために所定量だけスライ
ド可能な長さである。P1は第1ピニオンの中心、P2
は第2ピニオンの中心である。
【0074】(c)は、丸棒からなるラック軸235の
うち、第1ピニオンと対向する面にラック軸の中心R1
から所定寸法Y2だけ離れた平坦面235aを形成し、
この平坦面235aに第1ラック234を形成したこと
を示す。第1ラック234の歯幅W2はラック軸235
の径D1よりも小さい(W2<D1)。
うち、第1ピニオンと対向する面にラック軸の中心R1
から所定寸法Y2だけ離れた平坦面235aを形成し、
この平坦面235aに第1ラック234を形成したこと
を示す。第1ラック234の歯幅W2はラック軸235
の径D1よりも小さい(W2<D1)。
【0075】(d)は、ラック軸235に形成した第2
ラック334の歯幅W1を、第2ラック334が無い部
分におけるラック軸235の径D1よりも大きく設定し
たことを特徴とする(W1>D1)。(d)に示す第2
ラック334の断面構造は、上記図7(b)に示すラッ
ク34の断面構造と同一である。
ラック334の歯幅W1を、第2ラック334が無い部
分におけるラック軸235の径D1よりも大きく設定し
たことを特徴とする(W1>D1)。(d)に示す第2
ラック334の断面構造は、上記図7(b)に示すラッ
ク34の断面構造と同一である。
【0076】以上をまとめると、第2変形例の電動パワ
ーステアリング装置200においても、第2ラック33
4の歯幅W1を大きく設定したことにより、ラック軸2
35の重量を抑制しつつ、第2ピニオン333(図16
参照)並びに第2ラック334の械的強度(曲げ強さや
面圧強さ)を高めることができる。
ーステアリング装置200においても、第2ラック33
4の歯幅W1を大きく設定したことにより、ラック軸2
35の重量を抑制しつつ、第2ピニオン333(図16
参照)並びに第2ラック334の械的強度(曲げ強さや
面圧強さ)を高めることができる。
【0077】なお、上記実施の形態並びに各変形例にお
いて、トルクリミッタ90は、摩擦式トルクリミッタに
限定されるものではない。また、歯車式減速機構110
は、ウォームギヤ機構に限定されるものではなく、例え
ば、ベベルギヤ機構や平歯車機構であってもよい。さら
に、ラックアンドピニオン機構32,232,332
は、ピニオン33,233,333又はラック34,2
34,334あるいはその両方を、鍛造品等の塑性加工
品にしたものであればよい。さらにまた、上記第2変形
例において、ラック軸235に形成した第2ラック33
4を延長して、第1ラック234を兼ねてもよい。その
場合の第1ピニオン233並びに第1ラック234は、
第2ピニオン333並びに第2ラック334と同一の、
はすば歯車で且つ円弧歯形である。
いて、トルクリミッタ90は、摩擦式トルクリミッタに
限定されるものではない。また、歯車式減速機構110
は、ウォームギヤ機構に限定されるものではなく、例え
ば、ベベルギヤ機構や平歯車機構であってもよい。さら
に、ラックアンドピニオン機構32,232,332
は、ピニオン33,233,333又はラック34,2
34,334あるいはその両方を、鍛造品等の塑性加工
品にしたものであればよい。さらにまた、上記第2変形
例において、ラック軸235に形成した第2ラック33
4を延長して、第1ラック234を兼ねてもよい。その
場合の第1ピニオン233並びに第1ラック234は、
第2ピニオン333並びに第2ラック334と同一の、
はすば歯車で且つ円弧歯形である。
【0078】
【発明の効果】本発明は上記構成により次の効果を発揮
する。請求項1は、ラックアンドピニオン機構のピニオ
ン並びにラックの歯形を円弧歯形としたものである。従
来のインボリュート歯形は凸面なので、1組の歯車の噛
み合いが凸面と凸面との接触である。これに対して請求
項1の円弧歯形は、1組の歯車の噛み合いが凹面と凸面
との接触である。この結果、接触面積が大きくなるので
接触面圧がインボリュート歯形の約1/6に低減する。
このように、ラックアンドピニオン機構のピニオン並び
にラックの歯形を円弧歯形とすることによって、歯車の
強度をより一層高めることができる。補助トルクが通常
の操作時よりも大きい場合であっても、大強度のピニオ
ン並びにラックで十分に伝達することができる。従っ
て、電動機の慣性による大きな負荷トルクに対して十分
な強度と耐久性を有するラックアンドピニオン機構を備
えた電動パワーステアリング装置を、小型で安価にする
ことができる。しかも、円弧歯形であるから、従来のイ
ンボリュート歯形に比べて歯元の面に丸みがある。従っ
て、衝撃並びに疲労強さにおけるノッチ効果を低減する
ことができ、この結果、ピニオン並びにラックの歯部の
曲げ強さをより一層高めることができる。
する。請求項1は、ラックアンドピニオン機構のピニオ
ン並びにラックの歯形を円弧歯形としたものである。従
来のインボリュート歯形は凸面なので、1組の歯車の噛
み合いが凸面と凸面との接触である。これに対して請求
項1の円弧歯形は、1組の歯車の噛み合いが凹面と凸面
との接触である。この結果、接触面積が大きくなるので
接触面圧がインボリュート歯形の約1/6に低減する。
このように、ラックアンドピニオン機構のピニオン並び
にラックの歯形を円弧歯形とすることによって、歯車の
強度をより一層高めることができる。補助トルクが通常
の操作時よりも大きい場合であっても、大強度のピニオ
ン並びにラックで十分に伝達することができる。従っ
て、電動機の慣性による大きな負荷トルクに対して十分
な強度と耐久性を有するラックアンドピニオン機構を備
えた電動パワーステアリング装置を、小型で安価にする
ことができる。しかも、円弧歯形であるから、従来のイ
ンボリュート歯形に比べて歯元の面に丸みがある。従っ
て、衝撃並びに疲労強さにおけるノッチ効果を低減する
ことができ、この結果、ピニオン並びにラックの歯部の
曲げ強さをより一層高めることができる。
【0079】さらに請求項1は、ピニオン又はラックあ
るいはその両方を鍛造品等の塑性加工品にしたものであ
る。従来のピニオンやラックは切削加工品であるから、
歯面を加工する工具の刃先形状と工具の送り速度によっ
て決定される表面の凹凸(歯面の加工傷)が有る。これ
に対して請求項1のピニオン又はラックあるいはその両
方は塑性加工品であるから、切削加工品のような表面の
凹凸(歯面の加工傷)が無く、歯の表面粗さ状態が良好
であって極めて滑らかである。このように、ピニオン又
はラックあるいはその両方を鍛造品等の塑性加工品とし
たので、歯面の精度が比較的良好であり、しかも、切削
加工品のように歯面に加工傷がほとんど無く、極めて滑
らかである。このため、歯面同士の摺動による摩擦力は
極めて小さい。従って、ラックアンドピニオン機構の動
力伝達効率が高まる。
るいはその両方を鍛造品等の塑性加工品にしたものであ
る。従来のピニオンやラックは切削加工品であるから、
歯面を加工する工具の刃先形状と工具の送り速度によっ
て決定される表面の凹凸(歯面の加工傷)が有る。これ
に対して請求項1のピニオン又はラックあるいはその両
方は塑性加工品であるから、切削加工品のような表面の
凹凸(歯面の加工傷)が無く、歯の表面粗さ状態が良好
であって極めて滑らかである。このように、ピニオン又
はラックあるいはその両方を鍛造品等の塑性加工品とし
たので、歯面の精度が比較的良好であり、しかも、切削
加工品のように歯面に加工傷がほとんど無く、極めて滑
らかである。このため、歯面同士の摺動による摩擦力は
極めて小さい。従って、ラックアンドピニオン機構の動
力伝達効率が高まる。
【0080】さらにまた、塑性加工品としたので、切削
加工による残留応力が歯面に発生せず、歯面に焼き入れ
した時の変形が少ない。従って、焼入れ後の歯型修正を
しなくても、歪みの少ない良好な状態になる。つまり、
塑性加工品であるから、歯の表面粗さ状態は、工具によ
る凹凸や焼き入れによる歪みの少ない良好な状態にな
る。このため、生産性を高めることができる。しかも、
塑性加工品としたので、歯形に沿って連続した繊維組織
が得られることから強度が増し、繊維組織が切断されて
いる切削加工の歯車に比べて、歯部の曲げ強さと耐摩耗
性が大きい。
加工による残留応力が歯面に発生せず、歯面に焼き入れ
した時の変形が少ない。従って、焼入れ後の歯型修正を
しなくても、歪みの少ない良好な状態になる。つまり、
塑性加工品であるから、歯の表面粗さ状態は、工具によ
る凹凸や焼き入れによる歪みの少ない良好な状態にな
る。このため、生産性を高めることができる。しかも、
塑性加工品としたので、歯形に沿って連続した繊維組織
が得られることから強度が増し、繊維組織が切断されて
いる切削加工の歯車に比べて、歯部の曲げ強さと耐摩耗
性が大きい。
【0081】以上のように、ピニオン並びにラックの歯
形を円弧歯形とし、この円弧歯形のピニオン並びにラッ
クを鍛造品等の塑性加工品とすることにより、接触面圧
を低減させ、表面粗さ状態を良好にし、潤滑油の油膜が
切れることを防止することができる。これにより、歯面
の接触抵抗が大幅に低減し、ラックアンドピニオン機構
の動力伝達効率が向上するので、モータ出力損失の少な
い電動パワーステアリング装置を提供することができ
る。さらに、円弧歯形のピニオン並びにラックを鍛造品
等の塑性加工品とすることにより、材料の機械的性質が
向上し、歯元応力が向上するとともに、摩耗も少なくな
り、強度、耐久性に優れた電動パワーステアリング装置
を提供することができる。
形を円弧歯形とし、この円弧歯形のピニオン並びにラッ
クを鍛造品等の塑性加工品とすることにより、接触面圧
を低減させ、表面粗さ状態を良好にし、潤滑油の油膜が
切れることを防止することができる。これにより、歯面
の接触抵抗が大幅に低減し、ラックアンドピニオン機構
の動力伝達効率が向上するので、モータ出力損失の少な
い電動パワーステアリング装置を提供することができ
る。さらに、円弧歯形のピニオン並びにラックを鍛造品
等の塑性加工品とすることにより、材料の機械的性質が
向上し、歯元応力が向上するとともに、摩耗も少なくな
り、強度、耐久性に優れた電動パワーステアリング装置
を提供することができる。
【0082】請求項2は、ピニオンにラックを噛み合わ
せた状態で、ガイド部のうち凹状先端を形成した面の背
面を、調整ボルトで直接押すようにしたことにより、ラ
ックが押し返されることがないので、歯当り状態を常に
良好に保ち、ピニオンとラックの噛み合い精度を常に高
い状態で維持することができる。従って、ラックアンド
ピニオン機構の動力伝達効率を常に高い状態で維持し、
動力伝達効率の安定化を図ることができる。特に、負荷
が大きい据え切り操舵時であっても、電動機からの補助
トルクをピニオンからラック軸へ効率良く伝達すること
ができる。この結果、従来のインボリュート歯形を用い
た場合に比べて、補助トルクが小さくてすみ、消費電力
の少ない電動パワーステアリング装置を提供することが
できる。さらに、円弧歯形を鍛造等の塑性加工にて形成
してあるので、歯面の摩耗が少ない。従って、調整ばね
を介して押え付けなくてもガタの少ないラックアンドピ
ニオン機構を備えた、電動パワーステアリング装置を提
供することができる。
せた状態で、ガイド部のうち凹状先端を形成した面の背
面を、調整ボルトで直接押すようにしたことにより、ラ
ックが押し返されることがないので、歯当り状態を常に
良好に保ち、ピニオンとラックの噛み合い精度を常に高
い状態で維持することができる。従って、ラックアンド
ピニオン機構の動力伝達効率を常に高い状態で維持し、
動力伝達効率の安定化を図ることができる。特に、負荷
が大きい据え切り操舵時であっても、電動機からの補助
トルクをピニオンからラック軸へ効率良く伝達すること
ができる。この結果、従来のインボリュート歯形を用い
た場合に比べて、補助トルクが小さくてすみ、消費電力
の少ない電動パワーステアリング装置を提供することが
できる。さらに、円弧歯形を鍛造等の塑性加工にて形成
してあるので、歯面の摩耗が少ない。従って、調整ばね
を介して押え付けなくてもガタの少ないラックアンドピ
ニオン機構を備えた、電動パワーステアリング装置を提
供することができる。
【0083】さらには、ピニオン並びにラックの歯形を
円弧歯形にしたので、インボリュート歯形よりも噛み合
いの接触面積が大きい。噛み合いの面圧が下がるので歯
面の摺動は滑らかになる。電動機の慣性による大きな負
荷トルクがラックアンドピニオン機構に作用したとき、
これに伴う大きな軸直角方向の力に対して、ラック軸が
後退しないように調整ボルトで直接支えているにもかか
わらず、ステアリングハンドルの良好な操舵感覚を維持
することができる。
円弧歯形にしたので、インボリュート歯形よりも噛み合
いの接触面積が大きい。噛み合いの面圧が下がるので歯
面の摺動は滑らかになる。電動機の慣性による大きな負
荷トルクがラックアンドピニオン機構に作用したとき、
これに伴う大きな軸直角方向の力に対して、ラック軸が
後退しないように調整ボルトで直接支えているにもかか
わらず、ステアリングハンドルの良好な操舵感覚を維持
することができる。
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の模
式図
式図
【図2】本発明に係る操舵トルクセンサの原理図
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全
体構成図
体構成図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図4の5−5線断面図
【図6】本発明に係るトルクリミッタの断面図
【図7】本発明に係るラック軸の構成図
【図8】本発明に係るラック軸の製造手順図
【図9】本発明に係るラックアンドピニオン機構の構成
図
図
【図10】本発明に係るピニオン並びにラックの歯形の
模式図
模式図
【図11】本発明に係る電動パワーステアリング装置
(第1変形例)の模式図
(第1変形例)の模式図
【図12】本発明に係る電動パワーステアリング装置
(第1変形例)のラック軸の製造手順図
(第1変形例)のラック軸の製造手順図
【図13】本発明に係る電動パワーステアリング装置
(第2変形例)の模式図
(第2変形例)の模式図
【図14】本発明に係る電動パワーステアリング装置
(第2変形例)の全体構成図
(第2変形例)の全体構成図
【図15】図14の15−15線断面図
【図16】図14の16−16線断面図
【図17】本発明に係るラック軸(第2変形例)の構成
図
図
10,200…電動パワーステアリング装置、21…操
舵輪(車輪)、31…入力軸、32,232,332…
ラックアンドピニオン機構、33,233,333…ピ
ニオン、33f…歯末の面、33g…歯元の面、34,
234,334…ラック、34a…歯末の面、34b…
歯元の面、35,235…ラック軸、60,260,3
60…ラックガイド、61,261,361…ラックガ
イド部、62,262,362…圧縮ばね、63,26
3,363…調整ボルト、82…電動機、110…歯車
式減速機構、331…ピニオン軸、D1…ラック軸の
径、Pi…基準ピッチ線。
舵輪(車輪)、31…入力軸、32,232,332…
ラックアンドピニオン機構、33,233,333…ピ
ニオン、33f…歯末の面、33g…歯元の面、34,
234,334…ラック、34a…歯末の面、34b…
歯元の面、35,235…ラック軸、60,260,3
60…ラックガイド、61,261,361…ラックガ
イド部、62,262,362…圧縮ばね、63,26
3,363…調整ボルト、82…電動機、110…歯車
式減速機構、331…ピニオン軸、D1…ラック軸の
径、Pi…基準ピッチ線。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 渡辺 勝治 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 山脇 茂 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 米田 篤彦 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 寺田 泰浩 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 Fターム(参考) 3D033 CA04 CA05 JB03 3J030 AC10 BA08 BB07 BB08 BB12 BC06 BD01 BD06 CA10
Claims (2)
- 【請求項1】 電動機で操舵トルクに応じた補助トルク
を発生し、この補助トルクを歯車式減速機構を介してラ
ックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピ
ニオン機構によって操舵輪を操舵するようにした電動パ
ワーステアリング装置において、前記ラックアンドピニ
オン機構のピニオン又はラックあるいはその両方は鍛造
品等の塑性加工品であり、ピニオン並びにラックの歯型
は、少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線
上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の
歯車の歯元の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円
弧面に形成した、円弧歯形であることを特徴とする電動
パワーステアリング装置。 - 【請求項2】 前記ラック軸は、前記ラックを形成した
面の背面を、ラックガイド部並びに圧縮ばねを介して調
整ボルトにて前記ピニオン側へ押出すように構成したも
のであり、このピニオンにラックを噛み合わせた状態
で、ラックガイド部の背面を調整ボルトで直接押すよう
に構成したことを特徴とする請求項1記載の電動パワー
ステアリング装置。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP34789399A JP2001163228A (ja) | 1999-12-07 | 1999-12-07 | 電動パワーステアリング装置 |
US09/679,915 US6390230B1 (en) | 1999-10-06 | 2000-10-05 | Electric power steering apparatus |
GB0024546A GB2354988B (en) | 1999-10-06 | 2000-10-06 | Electric power steering apparatus |
DE2000149548 DE10049548B4 (de) | 1999-10-06 | 2000-10-06 | Elektrische Servolenkvorrichtung |
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