JP4234867B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ステアリングハンドルの操舵力を軽減して快適な操舵感を与えるために、電動パワーステアリング装置が多用されてきた。この種の電動パワーステアリング装置は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをステアリング系のラックアンドピニオン機構に伝達するものであって、例えば特開平9−193815号「電動パワーステアリング装置」(以下、「従来の技術」と言う。)が知られている。
【0003】
上記従来の技術は、同公報の図4に示される通り、モータ11(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクを小傘歯車7bと大傘歯車7aを介して、ピニオン2aとラック軸5の組合せからなるラックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピニオン機構によって操舵輪を操舵するというものである。ラック軸5は丸棒状の軸であり、この軸のうち、ピニオン2aと対向する面にラックを形成したものである。
【0004】
ところで、自動車のステアリング装置は、一般に操舵輪の最大操舵角を制限するためのストッパ機構を備えている。具体的には、ストッパ機構は、ラック軸5をスライド可能に収容したハウジング4の長手方向両端部にラックエンドストッパ(図示せず)を取付け、また、ラック軸5の両端部にボールジョイント(図示せず)を取付けたものである。ラック軸5が所定量だけスライドすると、ボールジョイントがラックエンドストッパに当る。このようにラック軸5の移動量を規制することで、操舵輪の最大操舵角を制限することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
通常の操作時において、ピニオン2aには、運転者の操舵トルクにモータ11の補助トルクを加えた複合トルクが作用する。一方、ラック軸5は所定量だけスライドしたときに、ストッパ機構によって移動が規制される。ラック軸5が停止するので、ピニオン2aには、通常の操作時に比べて、モータ11の慣性トルクが付加された大きな複合トルクが作用する。従って、ラックアンドピニオン機構は、モータ11の慣性トルクを勘案した大きな強度を要する。強度を高めるには、ピニオン2a並びにラック軸5を大型にすることが考えられる。しかし、ラックアンドピニオン機構が大型で大重量になるので、改良の余地がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、電動パワーステアリング装置において、電動機の慣性による負荷トルクに対して十分な強度を有するラックアンドピニオン機構を小型で軽量にできる技術を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをラックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピニオン機構のラック軸によって操舵輪を操舵するようにした電動パワーステアリング装置において、ラック軸に第1軸受を介してハウジングに支承される支承部とラックを形成するラック形成部とを設け、このラック形成部の軸直角断面を支承部と同径の円形断面と仮定し、この円形断面の中心からラックの基準ピッチ線までの距離を所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まるラックの歯幅よりも実際のラックの歯幅が大きくなるように、ラック形成部を形成し、ラックは、ラック軸における一端部と他端部との間に形成されており、第1軸受に支承される支承部は、ラック軸の一端部に形成されており、ラック軸の他端部は、ハウジングに設けた第2軸受の中に、隙間を有して通されていることを特徴とする。
【0008】
これにより、従来のラックに比べて実質的な歯幅を大きくし、ラックの曲げ強さや面圧強さを高める。一方、ラック軸のうちラックが無い部分は、操舵輪を操舵するべくスライドする機構が必要であることに着目して、従来と同様の剛性を確保した。従って、ラック軸のうちラックの歯幅だけを大きくすればよいので、ラック軸の重量を抑制することができる。
【0009】
請求項2は、前記ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックをはすば歯車とし、はすば歯車の歯形を、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面が、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面であり、少なくとも他方の歯車の歯元の面が、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面である、円弧歯形としたことを特徴とする。
【0010】
補助トルクを伝達するラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックを、特に、すぐば歯車に且つ円弧歯形にして強度を高めた。ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックは、はすば歯車であるから、すぐば歯車(平歯車)よりも大きい補助トルクを伝達することができる。さらに、ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックは、円弧歯形であるから、インボリュート歯形よりも表面の面圧が減少するので表面疲れ強さ、曲げ強さ、曲げ疲れ強さが大きい。このため、電動機の補助トルクが通常の操作時より大きい場合であっても、十分に伝達することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングハンドル11から操舵輪(車輪)21,21に至るステアリング系22に介在した操舵機構23と、この操舵機構23に補助トルクを加える補助トルク機構24とからなる。
【0012】
操舵機構23は、ステアリングハンドル11にステアリングシャフト12及び自在軸継手13,13を介して連結した入力軸31と、入力軸31に連結したラックアンドピニオン機構32とからなる。
ラックアンドピニオン機構32は、入力軸31に設けたピニオン33と、ピニオン33に噛み合うためのラック34を設けたラック軸35とからなり、このラック軸35の両端に、左右のタイロッド37,37を介して左右の操舵輪21,21を連結したものである。
【0013】
補助トルク機構24は、ステアリングハンドル11で発生したステアリング系22の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ70と、操舵トルクセンサ70の検出信号に基づき制御信号を発生する制御手段81と、制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを発生する電動機82と、電動機82にトルクリミッタ90及び歯車式減速機構110を介して連結した上記入力軸31並びにラックアンドピニオン機構32とからなる。
すなわち、操舵機構23に補助トルク機構24の補助トルクを付加するために、操舵機構23と補助トルク機構24とで、入力軸31並びにラックアンドピニオン機構32を共用するようにした。
操舵トルクセンサ70は、操舵機構23に取付けたものである。
【0014】
このような電動パワーステアリング装置10によれば、運転者がステアリングハンドル11を操舵することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及びラックアンドピニオン機構32を介して、ラック軸35に伝達することができる。
さらには、操舵トルクを操舵トルクセンサ70で検出し、この検出信号に基づき制御手段81で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で発生し、補助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速機構110、入力軸31及びラックアンドピニオン機構32を介して、ラック軸35に伝達することができる。
従って、運転者の操舵トルクに電動機82の補助トルクを加えた複合トルクにより、ラック軸35及び左右のタイロッド37,37を介して、左右の操舵輪21,21を操舵することができる。
【0015】
図2(a),(b)は本発明に係る操舵トルクセンサの原理図である。
操舵トルクセンサ70は、鉄鋼材のように磁歪特性を有する入力軸31にトルクが作用したときに、このトルクに応じて生じる磁歪効果を電気コイルにて電気磁気的に検出する、磁歪式トルクセンサである。このような磁歪式トルクセンサは、特開平6−221940号公報「磁歪式トルクセンサ」に示されるように、公知のセンサである。以下、操舵トルクセンサ70の概要について説明する。
【0016】
(a)に示す操舵トルクセンサ70は、概ね8の字状に形成した励磁コイル71と、励磁コイル71とほぼ同様の大きさで概ね8の字状に形成した検出コイル72とを、ほぼ同心上に互いに略直交させて重ね、これらの励磁・検出コイル71,72を1組の磁気ヘッド73として、入力軸31の外周面の近傍に配置したものである。すなわち、入力軸31の外周面に対向して、概ね8の字状の励磁コイル71を配置し、この励磁コイル71に概ね8の字状の検出コイル72を90゜位相を変えた状態で重ね合わせた。この場合、励磁コイル71をなす8の字状の直線部分を、入力軸31の外周にほぼ平行又は軸方向にほぼ平行にして配置する。74は励磁電圧供給源、75は出力電圧増幅器である。
【0017】
励磁電圧供給源74から励磁コイル71に20〜100kHz程度の高周波数の交流電圧(励磁電圧)を供給すれば、トルクに基づく入力軸31の磁歪効果に対応して、検出コイル72にて励磁電圧と同じ周波数の交流電圧(出力電圧)を得ることができる。
出力電圧は、入力軸31に作用するトルクの方向によって、励磁電圧と同相又は逆相になる。このときの出力電圧の振幅は、トルクの大きさに比例する。従って、励磁電圧の位相を基準として、出力電圧を同期整流すれば、トルクの大きさと方向を検出することができる。
出力電圧は出力電圧増幅器75にて増幅され、操舵トルクセンサ70の検出信号として、制御手段81に発することになる。
【0018】
(b)に示す操舵トルクセンサ70は、励磁・検出コイル71,72からなる磁気ヘッド73を2組準備し、これら2組の磁気ヘッド73,73を、入力軸31の外周面の近傍に且つ入力軸31の軸線の対称位置に配置したものである。そして、出力電圧増幅器75で、検出コイル72,72からの出力電圧の差を増幅することにより、入力軸31と磁気ヘッド73,73との間の間隙の変化や環境温度の変化に対してあまり変化しない操舵トルク信号を得ることができる。
【0019】
上記(a)や(b)の操舵トルクセンサ70を採用することにより、従来の電動パワーステアリング装置において操舵トルクを検出する場合のように、入力軸31を長手方向に二分割して、これら分割軸間をトーションバーにて連結する必要がない。従って、入力軸31を簡素な構成にすることができるとともに、入力軸31を十分に長く設定することができる。
しかも、図1に示す入力軸31に設けたピニオン33を加工する場合に、入力軸31を加工機械にセッテイングすることが容易であり、加工精度を一層高めることができる。加工精度が高まると、ピニオン33とラック34との噛み合い精度も高まる。この結果、ラックアンドピニオン機構32の動力伝達効率を高めることができる。
【0020】
図3は本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面して表したものである。この図は、電動パワーステアリング装置10のラック軸35を、車幅方向(図左右方向)に延びるハウジング41に軸方向へスライド可能に収容したことを示す。
ラック軸35は、ハウジング41から突出した長手方向両端にボールジョイント36,36をねじ結合し、これらのボールジョイント36,36に左右のタイロッド37,37を連結した軸である。ハウジング41は、図示せぬ車体に取付けるためのブラケット42,42を備える。43,43はダストシール用ブーツである。
【0021】
図4は本発明に係るラック軸周りの平面断面図である。
ハウジング41は、長手方向一端部の第1軸受44と他端部のピニオン33及び後述するラックガイドを介してラック軸35を軸長手方向へスライド可能に収容するものである。38Aは、ラック軸35のうち第1軸受44にて支承される支承部である。
なお、ハウジング41のピニオン33に近い側の端部(他端部)に設けられた第2軸受45は、ラック軸35と若干の隙間δを有しており、ラック軸35を支承していない。
【0022】
第1・第2軸受44,45は、長手方向端部にストッパ44a,45aを設けたものである。ラック軸35が左へ所定量だけスライドすると、右のボールジョイント36の当接端面(ラックエンド)36aがストッパ44aに当る。ラック軸35が右へ所定量だけスライドすると、左のボールジョイント36の当接端面(ラックエンド)36aがストッパ45aに当る。このようにしてラック軸35の移動量を規制することで、左右の操舵輪21,21(図1参照)の最大操舵角を制限することができる。すなわち、ラック軸35が移動終端まで移動したときに、左右の操舵輪21,21の操舵角は最大になり、このとき46,46は緩衝材となる。
【0023】
図5は図3の5−5線断面図であり、電動パワーステアリング装置10の縦断面構造を示す。
電動パワーステアリング装置10は、入力軸31、ラックアンドピニオン機構32、操舵トルクセンサ70、トルクリミッタ90(図1参照)、歯車式減速機構110をハウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口をリッド47で塞いだものである。操舵トルクセンサ70は、ハウジング41又はリッド47に取付けたものである。
【0024】
ハウジング41は、入力軸31の下端部及び長手中央部を回転可能に支承するための上下2個の軸受51,52と、ラックガイド60とを備える。53はリッド取付ボルト、54は止め輪である。
【0025】
入力軸31は、下部にピニオン33を一体に形成し、さらに下端部にねじ部55を形成するとともに、上端部をリッド47から外方へ突出したピニオン軸である。ねじ部55にナット56をねじ込み、袋ナット57を介して軸受51の外輪をハウジング41に固定することにより、入力軸31の長手方向(軸方向)の移動を規制することができる。58はオイルシール、59はスペーサである。
【0026】
ラック34は、ラック軸35に一体に形成したものである。ラックガイド60は、ラック34の反対側からラック軸35に当てるガイド部61と、このガイド部61を圧縮ばね62を介して押す調整ボルト63とからなる。このようなラックガイド60によれば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト63にて、圧縮ばね62を介してガイド部61を適切な押圧力で押すことで、ガイド部61でラック34に予圧を与えて、ラック34をピニオン33に押し付けることができる。64はラック軸35の背面を滑らせる当て部材、65はロックナットである。
【0027】
ところで、上記操舵トルクセンサ70については、次のような構成にすることができる。すなわち、入力軸31に、作用トルクに応じて磁歪特性が変化する磁歪膜77を所定幅で全周にわたって設け、この磁歪膜77に対向して、上記図2に示す励磁・検出コイル71,72を配置する。入力軸31を介して磁歪膜77にトルクが作用したときに、このトルクに応じて磁歪膜77に生じる磁歪効果を、検出コイル72にて電気磁気的に検出することができる。磁歪膜77は、例えば、入力軸31に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金膜からなる、強磁性体膜である。
【0028】
図6は図5の6−6線断面図であり、入力軸31と電動機82とトルクリミッタ90と歯車式減速機構110との関係を示す。
電動機82は、回転センサにレゾルバを有したブラシレスモータであり、出力軸83を横向きにしてハウジング41に取付け、ハウジング41内に出力軸83を延したものである。
【0029】
歯車式減速機構110は、電動機82で発生した補助トルクを入力軸31に伝達するトルク伝達手段であって、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造である、ウォームギヤ機構からなる。詳述すると、歯車式減速機構110は、電動機82の出力軸83にトルクリミッタ90を介して連結した伝動軸111と、伝動軸111に形成したウォーム112と、ウォーム112に噛み合うとともに入力軸31に結合したウォームホイール113とからなる。電動機82の補助トルクを、大きな減速比にて倍力して入力軸31を介してラックアンドピニオン機構32(図1参照)に伝達することができる。
【0030】
伝動軸111は、出力軸83と同心上に配置し、2個の軸受114,115を介してハウジング41にて回転可能に支承した軸である。ハウジング41は、出力軸83に近い位置にある第1軸受114を軸方向移動不能に取付け、出力軸83から遠い位置にある第2軸受115を軸方向移動可能に嵌合したものである。さらには、第2軸受115の外輪の端面を、板ばね116を介して調整ボルト117で出力軸83側に押している。調整ボルト117と薄板円盤状の板ばね116の押圧力にて、第1・第2軸受114,115に予圧を与えることで、伝動軸111の軸方向の遊びがないように調整する、すなわち、ガタ取りすることができる。しかも、ウォーム112の軸方向変位を調整して、ウォーム112とウォームホイール113の噛み合いを、適切な摩擦を保ちつつガタが無いように調整することができる。
また、板ばね116の弾性力により、伝動軸111の軸方向の熱膨張等を吸収することができる。118はロックナット、119は止め輪である。
【0031】
図7は本発明に係るトルクリミッタの断面図である。
本発明は、電動機82と歯車式減速機構110との間にトルクリミッタ90を介在させたことを特徴とする。トルクリミッタ90は、電動機82の出力軸83にセレーション結合したインナ部材91を、伝動軸111にセレーション結合した筒状のアウタ部材93に嵌合したトルク制限機構である。
【0032】
インナ部材91は外周面92を、伝動軸111の先端に向って先細りテーパとした雄部材である。アウタ部材93は内周面94を、インナ部材91の外周面92が嵌合するべく先広がりテーパとした雌部材である。テーパ状の外周面92をテーパ状の内周面94に嵌合し、インナ部材91の後端面95を皿ばね96で弾発しつつ止め輪97で抜け止めすることで、トルクリミッタ90を組立ることができる。101はスペーサ、102はワッシャ、103は皿ばねである。
【0033】
皿ばね96の弾発力で、外周面92を内周面94に押し付けて予圧を与えることにより、外周面92を内周面94に所定の摩擦力を有して、連結することができる。このようなトルクリミッタ90であるから、所定の摩擦力を上回る大きなトルクが作用すると、外周面92と内周面94との間がスリップする。この結果、電動機82から歯車式減速機構110へ伝達する補助トルクを制限、すなわち、オーバートルクをカットすることができる。従って、電動機82に過大なトルクが発生することはなく、また、負荷側に過大なトルクが伝わることもない。
【0034】
さらには、インナ部材91をアウタ部材93にテーパにて嵌合したので、両者の組立精度は高く、心合せも容易である。従って、出力軸83に対する伝動軸111の組立精度は高く、心合せも容易である。
また、比較的高速回転する電動機82と歯車式減速機構110との間に、トルクリミッタ90を介在させたので、トルクリミッタ90が小さくてすみ、トルクリミッタ90の小型化、低コスト化を図ることができる。小型のトルクリミッタ90であるから配置スペースが少なくてすむので、ハウジング41に収納することが容易である。
【0035】
図8(a),(b)は本発明に係るラック軸の構成図であって、(a)はラック軸35の斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
(a)に示すように、ラック軸35は直径D1の丸棒であって、長手途中にラック34を形成したものである。より具体的にはラック軸35に、図4に示す第1軸受44を介してハウジング41に支承される支承部38Aと、ラック34を形成するラック形成部39とを設けた。ラック形成部39の長さMは、操舵輪21,21(図1参照)を左右に最大操舵角だけ操舵するために所定量だけスライド可能な長さである。R1はラック軸35の支承部38Aにおける中心である。
【0036】
本発明は(b)に示すように、ラック軸35に形成したラック34の歯幅W1を、支承部38Aの径D1よりも大きく設定したことを特徴とする(W1>D1)。ラック形成部39は、ラック形成面を平坦にした略半円状断面を呈するとともに、歯幅W1を大きくした分に見合うだけ肉厚T1を小さくしたものである。肉厚T1は、ラック34の歯先からラック軸35の背面までの厚みであり、当然のことながら、径D1よりも小さい(T1<D1)。このように、ラック軸35のうちラック34の歯幅W1だけを大きくしたので、ラック軸35の重量を抑制することができる。ラック軸35の製造方法は、例えば鍛造による。
【0037】
図9(a)〜(c)は本発明に係るラック軸の製造手順図であり、ラック軸35を鍛造にて製造した場合の軸断面を示す。
ラック軸35を製造するには、先ず(a)において、鉄鋼材からなる丸棒35Aのうち、ラックを形成する部分39のみを想像線にて示す略半円断面形状になるまで鍛造で成形する。丸棒35Aのうち、ラックを形成する部分39の背面39aから後部までの断面積A1は、ラックを形成する部分39の突出した下部39b又は上部39cの断面積A2に概ね相当する。すなわち、ラックを形成する部分39を幅W0に鍛造することによって、断面積A1と断面積A2とが概ね同一になり、その結果、厚みT2が定まる。
従って、実線にて示す丸棒35Aの断面積に対して、想像線にて示すラックを形成する部分39の断面積はほとんど同一であり、ラックを形成する部分39の幅W0が丸棒35Aの径より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重量はほとんど変わらない。
【0038】
鍛造によって得られた、ラックを形成する部分39の断面形状を(b)に示す。
その後、(c)において、ラックを形成する部分39の全表面を切削加工により滑らかにするとともに、平坦面(ラック形成面)39dに歯切盤による切削加工や転造加工等でラック34を形成して、作業を完了する。
【0039】
図10(a)〜(d)は本発明に係るラックアンドピニオン機構の構成図である。なお、理解を容易にするために、ラック34よりも図手前側にピニオン33を配置して表した。L1はピニオンの中心、R2はラックの歯面に直角な線である。
【0040】
(a)は、ラックアンドピニオン機構32のピニオン33並びにラック34を「はすば歯車(ヘリカルギヤ)」としたことを示す。すなわち、ピニオン33は、はすばピニオンであり、ラック34は、はすばラックである。
例えば、ピニオン33をなす「はすば歯車」とは、(b)に示すように、基準ピッチ面となる円筒33aの周面と歯面33bとの交線である、歯すじ33cが、所定のねじれ角θを有したつる巻線である、円筒歯車を言う。「ねじれ角θ」とは、つる巻線33dとつる巻線33dを考える円筒33aの母線33eとのなす、鋭角θを言う。
【0041】
(c)は、ラック34をなす「はすば歯車」の部分拡大斜視図であり、はすば歯車のねじれ角が、ピニオン33をなす「はすば歯車」のねじれ角θと同一であることを示す。
本発明は、ピニオン33並びにラック34をなす、はすば歯車のねじれ角θを、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とする。その理由については後述する。
【0042】
(d)は、ピニオン33並びにラック34をなす「はすば歯車」の歯形の拡大断面図であり、はすば歯車の歯形が円弧歯形であることを示す。
円弧歯形の歯車については、「[新しい歯車とその応用]円弧歯形歯車」(機械設計・第26巻第3号(1982年3月号)第47頁〜第51頁、日刊工業新聞社発行)の文献等によって知られている。以下、円弧歯形の概要について説明する。
【0043】
円弧歯形の歯車とは、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車の歯元の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする円弧面に形成した、円弧歯形を有する歯車であって、W/N歯車とも言う。円弧歯形の歯車には、対称形の円弧歯形と非対称形の円弧歯形がある。
ここで、歯元の面とは、歯底曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の部分であり、歯末の面とは、歯先曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の部分である。
【0044】
ピニオン33において、対称形の円弧歯形とは、(d)に示すように、歯末の面33fを円弧面に形成するとともに歯元の面33gも円弧面に形成、すなわち、歯末の面33fと歯元の面33gとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第3種やシンマーク歯車がある。rは円弧面の半径である。
ラック34における、対称形の円弧歯形も、上記ピニオン33における対称形の円弧歯形と同一であって、歯末の面34aと歯元の面34bとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成したものである。
【0045】
一方、非対称形の円弧歯形とは、1組の歯車のうち、一方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯末円弧だけで形成し、他方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯元円弧だけで形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第1,2種やサーカーク歯車がある。
本発明においては、はすば歯車の歯形を、対称形の円弧歯形にすることが、より好ましい。
【0046】
インボリュート歯形の正面歯形は、凸歯面と凸歯面との噛み合いである。これに対して本発明は、はすば歯車の歯形を円弧歯形にした。円弧歯形の正面歯形は、凹歯面と凸歯面との噛み合いである。歯すじ方向の相対曲率半径が大きいので、負荷が作用したときには、接触線が大きな面積を有した領域となる。一般に、円弧歯形の強度はインボリュート歯車に比べて、表面の面圧が減少するので表面疲れ強さが6〜7倍、また、曲げ強さが1.5〜1.6倍、曲げ疲れ強さが1.5〜1.6倍である。
【0047】
ピニオン33並びにラック34を上述の円弧歯形のはすば歯車にしたことにより、これらの歯車の強度をより一層高めることができ、例えば、次のようなときに効果を発揮する。
左右の操舵輪を最大操舵角まで操舵したとき、すなわち、図4においてラック軸35が移動終端まで移動したとき、左のボールジョイント36がストッパ45aに当ったり、右のボールジョイント36がストッパ44aに当たることで、ラック34(図1参照)は即時に停止する。このとき、通常の操舵時よりも、モータの慣性トルクにより極めて大きなトルクが、ピニオン33(図1参照)とラック34とに作用する。このような場合であっても、強度を高めたピニオン33並びにラック34は、大トルクを十分に受けることができる。
【0048】
次に、上記構成のラック軸35の作用を、図8及び図11に基づき説明する。
図11(a)〜(c)はラック軸の比較例図である。
(a)に示す比較例のラック軸35xは、図示せぬハウジングにて支承される支承部38xと、ラック34xを形成するラック形成部39xとを設けた、ストレート状の丸棒である。支承部38xは直径D1の円形断面を呈する。Mはラック形成部39xの長さ、R1は円形断面の中心である。
【0049】
(b)は上記(a)のb−b線断面図であって、更にラック34xにピニオン33xを噛み合わせた状態を示す。この図は、ラック形成部39xの軸直角断面を上記支承部38xと同径の円形断面とし、この円形断面の中心R1からラック34xの基準ピッチ線Piまでの距離Zを所定寸法に設定したときに、この所定寸法によってラック34xの歯幅W2が自ずから定まることを示す。当然のことながら、歯幅W2は支承部38xの直径D1よりも小さい(W2<D1)。
ピニオン33xのピッチ円直径はd2、ピニオン33xの中心L1からラック軸35xの中心R1までの距離はY1である。
【0050】
ここで、(b)に示すラック形成部39xの軸直角断面において、ラック34xの基準ピッチ線Piを通るラック歯幅方向の両端位置を点O1及び点O2とし、また、点O2を通り基準ピッチ線Piに直角な直線とラック形成部39xの外周面(円弧)との交点を点O3とする。点O3は点O1と円形断面の中心R1とを通る直線と交わる。この結果、点O1,点O2,O3からなる△O123は直角三角形である。O12間の距離はW2、O23間の距離は2×Z、O13間の距離はD1である。
(c)は上記(b)に示す直角三角形△O123を取り出して表したものである。直角三角形△O123の各辺の寸法関係は、次の(1)式の通りでありる。従って、
【0051】
【数1】
Figure 0004234867
【0052】
これに対して、上記図8(b)に示す本発明は上述のように、ラック34の歯幅W1が支承部38Aの径D1よりも大きい(W1>D1)。本発明の支承部38Aの径D1が、上記図10に示す比較例の支承部38xの径D1と同一であるとすれば、本発明のラック34の歯幅W1は上記比較例のラック34xの歯幅W2よりも大きい(W1>W2)。
【0053】
以上の説明をまとめると、本発明は上記図8(b)において、ラック形成部39の軸直角断面を、支承部38Aにおける中心R1と同心で、且つ、支承部38Aと同径(直径D1)の円形断面と仮定し、この円形断面の中心R1からラック34の基準ピッチ線Piまでの距離Zを所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まるラック34の仮定の歯幅W2よりも実際のラック34の歯幅W1が大きくなるように、ラック形成部39を形成したことになる。この実施の形態においては、本発明の歯幅W1を比較例の歯幅W2のほぼ1.5倍に設定した。
【0054】
このように、ラック34の歯幅W1を大きく設定したので、ラック34の機械的強度(曲げ強さや面圧強さ)は大幅に高まる。一方、ラック軸35のうちラック34が無い部分は、操舵輪を操舵するべくスライドする機能が必要であることに着目して、従来と同様の剛性を有するものであればよい。このため、ラック軸35のうちラック34の歯幅W1だけを大きく設定し、その分だけ肉厚T1を小さくした。ピッチ円直径d2及び距離Y1が一定であり、しかも、肉厚T1がラック軸35の径D1より小さいので、ラック34を形成する部分39は、ラック軸の中心R1からピニオン33側へ偏位したものである。
この結果、ラック軸35の断面積に対して、ラックを形成する部分39の断面積はほとんど同一であり、ラックを形成する部分39の幅W1がラック軸35の径D1より大きいにもかかわらず、ラック軸35の重量はほとんど変わらない。このため、ラック軸35の重量を抑制することができる。
【0055】
以上の説明から明らかなように、ラック34の歯幅W1を大きく設定したことにより、ラック軸35の重量を抑制しつつ、ピニオン33並びにラック34の機械的強度(曲げ強さや面圧強さ)を高めることができる。
なお、ラック34と反対側からラックガイド60(図4参照)にてピニオン33側へ押しているので、肉厚T1が小さいことによる、ラック軸35の曲げ剛性については実質的に影響が無い。
【0056】
次に、電動パワーステアリング装置の変形例について、図12〜図17に基づき説明する。なお、上記図1〜図10の構成と同じ構成については同一符号を付し、その説明を省略する。
図12(a),(b)は本発明に係る電動パワーステアリング装置(第1変形例)のラック軸の構成図であり、(a)はラック軸35の斜視図、(b)は(a)のb−b線断面図である。
【0057】
第1変形例のラック軸35は丸棒であって、長手途中をラック形成部39Aとし、このラック形成部39Aを大径に形成したことを特徴とする。より具体的にはラック軸35に、ハウジング41(図4参照)にて支承される小径の支承部38Aと、ラック34を形成する大径のラック形成部39Aとを設けた。支承部38Aの直径D1はラック形成部39Aの直径D2よりも小さい(D1<D2)。ラック軸の中心R1は、支承部38Aの中心とラック形成部39Aの中心を通る。
【0058】
(b)に示すように、ラック形成部39Aは一部に平坦なラック形成面39eを形成し、このラック形成面39eにラック34を形成したものである。ラック34の歯幅W3は支承部38Aの径D1よりも小さい(W3<D1)。このように、ラック軸35のうちラック形成部39Aだけを大きくしたので、ラック軸35の重量を抑制することができる。ラック軸35の製造方法は、例えば鍛造による。
【0059】
以上の説明をまとめると、本発明は上記図12(b)において、ラック形成部39Aの軸直角断面を支承部38Aと同径(直径D1)の円形断面と仮定し、この円形断面の中心R1からラック34の基準ピッチ線Piまでの距離Zを所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まるラック34の仮定の歯幅W2よりも実際のラック34の歯幅W3が大きくなるように、ラック形成部39Aを形成したことになる(W2<W3)。
従って、第1変形例の電動パワーステアリング装置においても、ラック34の歯幅W3を大きく設定したことにより、ラック軸35の重量を抑制しつつ、ピニオン33(図5参照)並びにラック34の機械的強度(曲げ強さや面圧強さ)を高めることができる。
【0060】
図13は本発明に係る電動パワーステアリング装置(第2変形例)の模式図である。
第2変形例の電動パワーステアリング装置200は、操舵機構23の第1ラックアンドピニオン機構232と補助トルク機構24の第2ラックアンドピニオン機構332とに、分離したことを特徴とする。
第1ラックアンドピニオン機構232は、入力軸31に設けた第1ピニオン233と、第1ピニオン233に噛み合うための第1ラック234を設けたラック軸235とからなる。第1ピニオン233並びに第1ラック234は、操舵トルクのみを伝達するものであるから伝達トルクは小さく、従来からのインボリュート歯形でよい。
【0061】
第2変形例における補助トルク機構24は、歯車式減速機構110にピニオン軸331を介して第2ラックアンドピニオン機構332を連結したものである。
第2ラックアンドピニオン機構332は、ピニオン軸331に設けた第2ピニオン333と、第2ピニオン333に噛み合う第2ラック334とからなる。第2ラック334は、第1ラックアンドピニオン機構232のラック軸235に設けたものである。すなわち、第1ラックアンドピニオン機構232のラック軸235が、第2ラックアンドピニオン機構332のラック軸を兼ねる。
【0062】
このような電動パワーステアリング装置200によれば、運転者がステアリングハンドル11を操舵することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及び第1ラックアンドピニオン機構232を介して、ラック軸235に伝達することができる。
さらには、操舵トルクを操舵トルクセンサ70で検出し、この検出信号に基づき制御手段81で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で発生し、補助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速機構110、ピニオン軸331及び第2ラックアンドピニオン機構332を介して、ラック軸235に伝達することができる。
従って、運転者の操舵トルクに電動機82の補助トルクを加えた複合トルクによって、ラック軸235及び左右のタイロッド37,37を介して、左右の操舵輪21,21を操舵することができる。
【0063】
図14は本発明に係る電動パワーステアリング装置(第2変形例)の全体構成図であり、操舵機構23と補助トルク機構24とをハウジング41に並列にして取付けたことを示す。
【0064】
図15は図14の15−15線断面図であり、操舵機構23の縦断面構造を示す。
第2変形例の操舵機構23は、入力軸31、操舵トルクセンサ70、第1ラックアンドピニオン機構232をハウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口をリッド47で塞いだものである。ハウジング41は縦置きにセットしたものであり、第1ラックガイド260を備える。
【0065】
第1ラックガイド260は、第1ラック234と反対側からラック軸235に当てるガイド部261と、このガイド部261を圧縮ばね262を介して押す調整ボルト263とからなる。このような第1ラックガイド260によれば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト263にて、圧縮ばね262を介してガイド部261を適切な押圧力で押すことで、ガイド部261で第1ラック234に予圧を与えて、第1ラック234を第1ピニオン233に押し付けることができる。264はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、265はロックナットである。
【0066】
図16は図14の16−16線断面図であり、補助トルク機構24の縦断面構造を示す。
補助トルク機構24は、トルクリミッタ90(図13参照)、歯車式減速機構110、ピニオン軸331、第2ラックアンドピニオン機構332をハウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口をリッド48で塞いだものである。
ハウジング41は、ピニオン軸331の下端部及び長手中央部を、上下2個の軸受351,352を介して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであり、第2ラックガイド360を備える。353はリッド取付ボルト、354は止め輪である。
【0067】
ピニオン軸331は、下部に第2ピニオン333を一体に形成し、さらに下端部にねじ部355を形成したものである。第2ラック334は、ラック軸235に一体に形成したものである。このような第2ピニオン333並びに第2ラック334は「はすば歯車」であり、はすば歯車の歯形が円弧歯形である。この点は、上記ピニオン33並びにラック34と同様の構成であり、詳細な説明を省略する。
ねじ部55にナット56をねじ込み、袋ナット357を介して軸受351の外輪をハウジング41に固定することにより、ピニオン軸331の長手方向(軸方向)の移動を規制することができる。357は袋ナット、359はスペーサである。
【0068】
第2ラックガイド360は、第2ラック334と反対側からラック軸235に当てるガイド部361と、このガイド部361を圧縮ばね362を介して押す調整ボルト363とからなる。このような第2ラックガイド360によれば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト363にて、圧縮ばね362を介してガイド部361を適切な押圧力で押すことで、ガイド部361で第2ラック334に予圧を与えて、第2ラック334を第2ピニオン333に押し付けることができる。364はラック軸235の背面を滑らせる当て部材、365はロックナットである。
【0069】
なお、この図のX−X線断面の構成は、上記図5に示す電動機82とトルクリミッタ90と歯車式減速機構110との関係からなる構成と同一であるので省略する。但し変形例においては、上記図5に示す入力軸31がピニオン軸331に代る。
【0070】
図17(a)〜(d)は本発明に係るラック軸(第2変形例)の構成図であって、(a)はラック軸235の正面図、(b)はラック軸235の平面図、(c)は(a)のc−c線断面図、(d)は(a)のd−d線断面図である。
(a),(b)に示すように、第2変形例のラック軸235は直径D1の丸棒であって、長手途中に第1ラック234並びに第2ラック334を形成したものである。より具体的にはラック軸235に、図4のハウジング41にて第1・第2軸受44,45を介して支承される支承部238Aと、第1ラック234を形成する第1ラック形成部239と、第2ラック334を形成する第2ラック形成部339とを設けた。
第1・第2ラック形成部239,339の長さMは、操舵輪21,21(図13参照)を左右に最大操舵角だけ操舵するために所定量だけスライド可能な長さである。R1はラック軸の中心、P1は第1ピニオンの中心、P2は第2ピニオンの中心である。
【0071】
(c)は、丸棒からなるラック軸235のうち、第1ピニオンと対向する面にラック軸の中心R1から所定寸法Y3だけ離れた平坦面235aを形成し、この平坦面235aに第1ラック234を形成したことを示す。具体的には、第1ラック形成部239の軸直角断面を上記支承部238Aと同径(直径D1)の円形断面とし、この円形断面の中心R1から第1ラック234の基準ピッチ線Piまでの距離Zを所定寸法に設定した。この距離Zによって第1ラック234の歯幅W2が定まる。第1ラック234の歯幅W2はラック軸235の径D1よりも小さい(W2<D1)。
【0072】
(d)は、第2ラック334の歯幅W1を支承部238Aの径D1よりも大きく設定したことを特徴とする(W1>D1)。(d)に示す第2ラック334や第2ラック形成部339の断面構造は、上記図8(b)に示すラック34やラック形成部39の断面構造と同一である。
すなわち、(c)の第1ラック234の歯幅W2よりも(d)の第2ラック334の歯幅W1を大きくした。具体的には、第2ラック形成部339の軸直角断面を支承部238Aと同径(直径D1)の円形断面と仮定し、この円形断面の中心R1から第2ラック334の基準ピッチ線Piまでの距離Zを所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まる第2ラック334の仮定の歯幅W2よりも実際の第2ラック334の歯幅W1が大きくなるように、第2ラック形成部339を形成した。ラック軸235の製造方法は、例えば鍛造による。
【0073】
以上をまとめると、第2変形例の電動パワーステアリング装置200においても、第2ラック334の歯幅W1を大きく設定したことにより、ラック軸235の重量を抑制しつつ、第2ピニオン333(図16参照)並びに第2ラック334の機械的強度(曲げ強さや面圧強さ)を高めることができる。
【0074】
なお、上記実施の形態並びに第1・第2変形例において、トルクリミッタ90は、摩擦式トルクリミッタに限定されるものではない。
また、歯車式減速機構110は、ウォームギヤ機構に限定されるものではなく、例えば、ベベルギヤ機構や平歯車機構であってもよい。
さらにまた、上記変形例において、ラック軸235に形成した第2ラック334を延長して、第1ラック234を兼ねてもよい。その場合の第1ピニオン233並びに第1ラック234は、第2ピニオン333並びに第2ラック334と同一の、はすば歯車で且つ円弧歯形である。
さらには、請求項1において、ラックアンドピニオン機構32のピニオン33並びにラック34や、第2ラックアンドピニオン機構332の第2ピニオン333並びに第2ラック334は、インボリュート歯形でもよい。
【0075】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、ラック軸に第1軸受を介してハウジングに支承される支承部とラックを形成するラック形成部とを設け、このラック形成部の軸直角断面を支承部と同径の円形断面と仮定し、この円形断面の中心からラックの基準ピッチ線までの距離を所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まるラックの歯幅よりも実際のラックの歯幅が大きくなるように、ラック形成部を形成したので、ラックの曲げ強さや面圧強さを高めることができる。ラック軸のうちラックが無い部分は、操舵輪を操舵するべくスライドするだけであるから、従来と同様の剛性を有するものであればよい。従って、ラック軸のうちラックの歯幅だけを大きくすればよいので、ラック軸の重量を抑制し且つ小型にしつつ、ピニオン並びにラックの曲げ強さや面圧強さを、より一層高めることができる。
さらに、請求項1では、ラックは、ラック軸における一端部と他端部との間に形成されており、第1軸受に支承される支承部は、ラック軸の一端部に形成されており、ラック軸の他端部は、ハウジングに設けた第2軸受の中に、隙間を有して通されている。
【0076】
請求項2は、ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックをはすば歯車とし、はすば歯車の歯形を円弧歯形としたので、歯車の強度をさらに高めることができる。従って、運転者の操舵トルクに電動機の補助トルクを加えた複合トルクが、通常の操作時よりも大きい場合であっても、大きいトルクを十分に伝達することができる。このようなことから、電動パワーステアリング装置において、電動機の慣性による負荷トルクに対して十分な強度を有するラックアンドピニオン機構を小型で軽量にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図
【図2】本発明に係る操舵トルクセンサの原理図
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図4】本発明に係るラック軸周りの平面断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係るトルクリミッタの断面図
【図8】本発明に係るラック軸の構成図
【図9】本発明に係るラック軸の製造手順図
【図10】本発明に係るラックアンドピニオン機構の構成図
【図11】ラック軸の比較例図
【図12】本発明に係る電動パワーステアリング装置(第1変形例)のラック軸の構成図
【図13】本発明に係る電動パワーステアリング装置(第2変形例)の模式図
【図14】本発明に係る電動パワーステアリング装置(第2変形例)の全体構成図
【図15】図14の15−15線断面図
【図16】図14の16−16線断面図
【図17】本発明に係るラック軸(第2変形例)の構成図
【符号の説明】
10,200…電動パワーステアリング装置、21…操舵輪(車輪)、31…入力軸、32…ラックアンドピニオン機構、33…ピニオン、33f…歯末の面、33g…歯元の面、34…ラック、34a…歯末の面、34b…歯元の面、35…ラック軸、38A,238A…支承部、39,39A,239,339…ラック形成部、41…ハウジング、82…電動機、235…ラック軸、331…ピニオン軸、332…ラックアンドピニオン機構(第2ラックアンドピニオン機構)、333…ピニオン(第2ピニオン)、334…ラック(第2ラック)、D1…ラック軸の径、Pi…基準ピッチ線、R1…ラック軸の中心(円形断面の中心)、W1…ラックの歯幅、Z…円形断面の中心からラックの基準ピッチ線までの距離。

Claims (2)

  1. 電動機で操舵トルクに応じた補助トルクを発生し、この補助トルクをラックアンドピニオン機構に伝達し、このラックアンドピニオン機構のラック軸によって操舵輪を操舵するようにした電動パワーステアリング装置において、
    前記ラック軸に第1軸受を介してハウジングに支承される支承部とラックを形成するラック形成部とを設け、このラック形成部の軸直角断面を前記支承部と同径の円形断面と仮定し、この円形断面の中心からラックの基準ピッチ線までの距離を所定寸法に設定したときに、この所定寸法によって定まるラックの歯幅よりも実際のラックの歯幅が大きくなるように、前記ラック形成部を形成し
    前記ラックは、前記ラック軸における一端部と他端部との間に形成されており、
    前記第1軸受に支承される前記支承部は、前記ラック軸の一端部に形成されており、
    前記ラック軸の他端部は、前記ハウジングに設けた第2軸受の中に、隙間を有して通されている、ことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックは、はすば歯車であり、このはすば歯車の歯形は、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車の歯元の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面に形成した、円弧歯形であることを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
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