JP3701524B2 - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電動パワーステアリング装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ステアリングハンドルの操舵力を軽減して快適な操舵感を与えるために、電動パワーステアリング装置が多用されてきた。この種の電動パワーステアリング装置には、ステアリングハンドルによる操舵トルクを、第1ラックアンドピニオン機構に伝達するとともに、操舵トルクに応じて電動機が発生した補助トルクを、第2ラックアンドピニオン機構に伝達し、これらの第1・第2ラックアンドピニオン機構を介して、操舵輪を操舵するようにしたものがあり、例えば、例えば特開昭61−160359号「パワーステアリング装置」(以下、「従来の技術」と言う。)が知られている。
【0003】
上記従来の技術は、同公報の図面に示される通り、左右の車輪45,45(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)を操舵するサイドロッド42にラック43を設け、このラック43に2個のピニオン40,44を噛み合わせるというものである。ラック43には、ハンドル1による操舵トルクをピニオン40を介して伝達するとともに、操舵トルクに応じて駆動モータ25が発生した補助トルクをピニオン44を介して伝達することになる。ラック43並びにサイドロッド42は、操舵トルクに補助トルクを加えた複合トルクにより、車輪45,45を操舵することができる。
このように、操舵トルクを伝達するラックアンドピニオン機構と、補助トルクを伝達するラックアンドピニオン機構とを分離したので、各ラックアンドピニオン機構は、一体型ラックアンドピニオン機構に比べて小さい強度ですむ。
【0004】
ところで、自動車のステアリング装置は、一般に操舵輪の最大操舵角を制限するためのストッパ機構を備えている。
具体的には、ストッパ機構は、ラック43をスライド可能に収容したハウジング(図示せず)の長手方向両端部にラックエンドストッパ(図示せず)を取付け、また、ラック43の両端部にボールジョイント(図示せず)を取付けたものである。ラック43が所定量だけスライドすると、ボールジョイントがラックエンドストッパに当る。このようにラック43の移動量を規制することで、車輪45,45の最大操舵角を制限することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術において、ラック43は所定量だけスライドしたときに、ストッパ機構によって移動が規制される。ラック43が停止するので、減速比の2乗に比例した駆動モータ25の慣性によるトルクがピニオン44に入力され、通常の操作時に比べて大きな補助トルクが作用する。このときの補助トルクは、操舵トルクよりも極めて大きい最大補助トルクである。
従って、補助トルクを伝達するラックアンドピニオン機構(ラック43とピニオン44との組合せ構造)は、最大補助トルクを勘案した大きな強度を要する。強度を高めるには、ラック43並びにピニオン44のモジュールを大きくしたり、高級な材料を使用することが考えられる。しかし、ラックアンドピニオン機構が大型になったり、高価格になるので、改良の余地がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、操舵トルクを伝達するラックアンドピニオン機構と、補助トルクを伝達するラックアンドピニオン機構とを分離した電動パワーステアリング装置において、電動機の慣性による大トルクが入力されても十分な強度と耐久性を有するラックアンドピニオン機構を備えた、電動パワーステアリング装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、ステアリングハンドルによる操舵トルクを、第1ラックアンドピニオン機構に伝達するとともに、操舵トルクに応じて電動機が発生した補助トルクを、歯車式減速機構を介して第2ラックアンドピニオン機構に伝達するものであって、第1ラックアンドピニオン機構のラックを形成したラック軸が、第2ラックアンドピニオン機構のラックを形成したラック軸を兼ね、このラック軸によって操舵輪を操舵するようにした電動パワーステアリング装置において、第2ラックアンドピニオン機構だけが、ピニオン並びにラックをはすば歯車とし、はすば歯車の歯形を、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面が、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面であり、少なくとも他方の歯車の歯元の面が、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面である、円弧歯形としたことを特徴とする。
【0008】
補助トルクを伝達する、第2ラックアンドピニオン機構だけ、ピニオン並びにラックを、特に、すぐば歯車に且つ円弧歯形にして強度を高めた。第2ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックは、はすば歯車であるから、すぐば歯車(平歯車)よりも大きい補助トルクを伝達することができる。さらに、第2ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックは、円弧歯形であるから、インボリュート歯形よりも表面疲れ強さ、曲げ強さ、曲げ疲れ強さが大きい。このため、電動機の補助トルクが通常の操作時より大きい場合であっても、十分に伝達することができる。
第1ラックアンドピニオン機構は、運転者の操舵トルクを伝達するだけのものであるから、ラック軸が停止したときであっても、通常の操作時に比べて操舵トルクがそれほど大きくならないので、強度を高める必要はそれほどない。
【0009】
さらに請求項は、第2ラックアンドピニオン機構の、はすば歯車をなすピニオンのねじれ角を、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とする。
【0010】
操舵輪を左又は右へ最大操舵角まで操舵して、ラック軸がラックエンドストッパに衝突したとき、すなわち、ラック軸が移動終端まで移動したとき、第2ラックアンドピニオン機構のラックは即時に停止する。このときのトルクは、静トルクではなく衝撃トルクであるから、通常の操舵時よりも極めて大きい。しかし、はすば歯車のねじれ角が、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲にあるから、このときには、ピニオンにスラストが作用しない。一方、ラックが左又は右の移動終端で停止していない通常の状態にあるときには、第2ラックアンドピニオン機構のピニオンに作用するスラストは、極めて小さい。
【0011】
請求項は、歯車式減速機構を、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造とし、これらの駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面のいずれか一方又は両方を、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆するとともに、駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせたことを特徴とする。
ここで、「低摩擦剤からなる被膜層にて被覆する」ことには、低摩擦剤にてコーティングしたり低摩擦剤を含浸させることを含む。
【0012】
駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせた。このため、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いのガタが無い。ガタが無いので、電動機の慣性による衝撃トルクが、駆動ギヤの歯面から従動ギヤの歯面に作用することはない。従って、請求項3によれば、歯車式減速機構の耐久性をより一層高めることができる。
さらには、駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面のいずれか一方又は両方を、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆した。駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面との間の滑り面の摩擦係数を、低摩擦剤にて低減させる。従って、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いのガタが無いにもかかわらず、動力伝達効率を高めることができる。
【0013】
請求項は、電動機と歯車式減速機構との間にトルクリミッタを介在させたことを特徴とする。
【0014】
所定以上のトルクをトルクリミッタにてカットすることで、電動機から歯車式減速機構へ伝達する補助トルクを制限する。ラック軸がラックエンドストッパに衝突したときに、負荷側から電動機へ逆トルクがかかる。しかし、この逆トルクが過大であればトルクリミッタで伝達させないので、電動機に過大な逆トルクがかかる心配はない。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図である。
電動パワーステアリング装置10は、車両のステアリングハンドル11から操舵輪(車輪)21,21に至るステアリング系22に介在した操舵機構23と、この操舵機構23に補助トルクを加える補助トルク機構24とからなる。
【0016】
詳しくは、電動パワーステアリング装置10は、ステアリングハンドル11にステアリングシャフト12及び自在軸継手13,13を介して、操舵機構23の入力軸31を連結し、入力軸31に第1ラックアンドピニオン機構32を連結し、第1ラックアンドピニオン機構32に左右のタイロッド37,37を介して左右の操舵輪21,21を連結したものである。
第1ラックアンドピニオン機構32は、入力軸31に設けた第1ピニオン33と、第1ピニオン33に噛み合うための第1ラック34を設けたラック軸35とからなる。
【0017】
補助トルク機構24は、ステアリングハンドル11で発生したステアリング系22の操舵トルクを検出する操舵トルクセンサ70と、操舵トルクセンサ70の検出信号に基づき制御信号を発生する制御手段81と、制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを発生する電動機82と、電動機82にトルクリミッタ90及び歯車式減速機構110を介して連結した第2ラックアンドピニオン機構132とからなる。操舵トルクセンサ70は、操舵機構23に取付けたものである。
【0018】
第2ラックアンドピニオン機構132は、ピニオン軸131に設けた第2ピニオン133と、第2ピニオン133に噛み合う第2ラック134とからなる。第2ラック134は、第1ラックアンドピニオン機構32のラック軸35に設けたものである。すなわち、第1ラックアンドピニオン機構32のラック軸35が、第2ラックアンドピニオン機構132のラック軸を兼ねる。
【0019】
このような電動パワーステアリング装置10によれば、運転者がステアリングハンドル11を操舵することにより発生した操舵トルクを、入力軸31及び第1ラックアンドピニオン機構32を介して、ラック軸35に伝達することができる。
さらには、操舵トルクを操舵トルクセンサ70で検出し、この検出信号に基づき制御手段81で制御信号を発生し、この制御信号に基づき操舵トルクに応じた補助トルクを電動機82で発生し、補助トルクをトルクリミッタ90、歯車式減速機構110、ピニオン軸131及び第2ラックアンドピニオン機構132を介して、ラック軸35に伝達することができる。
従って、運転者の操舵トルクに電動機82の補助トルクを加えた複合トルクによって、ラック軸35及び左右のタイロッド37,37を介して、左右の操舵輪21,21を操舵することができる。
【0020】
図2(a),(b)は本発明に係る操舵トルクセンサの原理図である。
操舵トルクセンサ70は、鉄鋼材のように磁歪特性を有する入力軸31にトルクが作用したときに、このトルクに応じて生じる磁歪効果を電気コイルにて電気磁気的に検出する、磁歪式トルクセンサである。このような磁歪式トルクセンサは、特開平6−221940号公報「磁歪式トルクセンサ」に示されるように、公知のセンサである。以下、操舵トルクセンサ70の概要について説明する。
【0021】
(a)に示す操舵トルクセンサ70は、概ね8の字状に形成した励磁コイル71と、励磁コイル71とほぼ同様の大きさで概ね8の字状に形成した検出コイル72とを、ほぼ同心上に互いに略直交させて重ね、これらの励磁・検出コイル71,72を1組の磁気ヘッド73として、入力軸31の外周面の近傍に配置したものである。この場合、励磁コイル71をなす8の字状の直線部分を、入力軸31の外周にほぼ平行又は軸方向にほぼ平行にして配置する。74は励磁電圧供給源、75は出力電圧増幅器である。
【0022】
励磁電圧供給源74から励磁コイル71に20〜100kHz程度の高周波数の交流電圧(励磁電圧)を供給すれば、トルクに基づく入力軸31の磁歪効果に対応して、検出コイル72にて励磁電圧と同じ周波数の交流電圧(出力電圧)を得ることができる。
出力電圧は、入力軸31に作用するトルクの方向によって、励磁電圧と同相又は逆相になる。このときの出力電圧の振幅は、トルクの大きさに比例する。従って、励磁電圧の位相を基準として、出力電圧を同期整流すれば、トルクの大きさと方向を検出することができる。
【0023】
出力電圧は出力電圧増幅器75にて増幅され、操舵トルクセンサ70の検出信号として、制御手段81に発することになる。
なお、入力軸31の磁化力が小さければ、励磁コイル71と検出コイル72の巻数を増し、これらの励磁・検出コイル71,72を1巻ずつ交互に配列することで、対応すればよい。
【0024】
(b)に示す操舵トルクセンサ70は、励磁・検出コイル71,72からなる磁気ヘッド73を2組準備し、これら2組の磁気ヘッド73,73を、入力軸31の外周面の近傍に且つ入力軸31の軸線の対称位置に配置したものである。そして、出力電圧増幅器75で、検出コイル72,72からの出力電圧の差を増幅することにより、環境温度の変化に対してあまり変化しない操舵トルク信号を得ることができる。
【0025】
上記(a)や(b)の操舵トルクセンサ70を採用することにより、従来の電動パワーステアリング装置において操舵トルクを検出する場合のように、入力軸31を長手方向に二分割して、これら分割軸間をトーションバーにて連結する必要がない。従って、入力軸31を簡素な構成にすることができるとともに、入力軸31を十分に長く設定することができる。
しかも、図1に示す入力軸31に設けた第1ピニオン33を加工する場合に、入力軸31を加工機械にセッテイングすることが容易であり、加工精度を一層高めることができる。加工精度が高まると、第1ピニオン33と第1ラック34との噛み合い精度も高まる。この結果、第1ラックアンドピニオン機構32の動力伝達効率を高めることができる。
【0026】
図3は本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図であり、左端部及び右端部を断面して表したものである。この図は、電動パワーステアリング装置30のラック軸35を、車幅方向(図左右方向)に延びるハウジング41に軸方向へスライド可能に収容したことを示す。
ラック軸35は、ハウジング41から突出した長手方向両端にボールジョイント36,36をねじ結合し、これらのボールジョイント36,36に左右のタイロッド37,37を連結した軸である。ハウジング41は、図示せぬ車体に取付けるためのブラケット42,42を備えるとともに、長手方向両端部にストッパ43,43を取付けたものである。
【0027】
ラック軸35が右へ所定量だけスライドすると、左のボールジョイント36の当接端面(ラックエンド)38がストッパ43に当る。ラック軸35が左へ所定量だけスライドすると、右のボールジョイント36の当接端面(ラックエンド)38がストッパ43に当る。このようにしてラック軸35の移動量を規制することで、左右の操舵輪21,21(図1参照)の最大操舵角を制限することができる。すなわち、ラック軸35が移動終端まで移動したときに、左右の操舵輪21,21の操舵角は最大になる。
図中、44,44はダストシール用ブーツである。
【0028】
図4は図3の4−4線断面図であり、操舵機構23の縦断面構造を示す。
操舵機構23は、入力軸31、第1ラックアンドピニオン機構32、操舵トルクセンサ70をハウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口をリッド45で塞いだものである。操舵トルクセンサ70は、ハウジング41又はリッド45に取付けたものである。
【0029】
ハウジング41は、入力軸31の下端部及び長手中央部を、上下2個の軸受51,52を介して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであり、第1ラックガイド60を備える。53はリッド取付ボルト、54は止め輪である。
【0030】
入力軸31は、下部に第1ピニオン33を一体に形成し、さらに下端部にねじ部55を形成するとともに、上端部をリッド45から外方へ突出したピニオン軸である。第1ラック34は、ラック軸35に一体に形成したものである。ねじ部55にナット56をねじ込むことで、入力軸31の長手方向(軸方向)の移動を規制することができる。57は袋ナット、58はオイルシールである。
【0031】
第1ラックガイド60は、第1ラック34と反対側からラック軸35に当てるガイド部61と、このガイド部61を圧縮ばね62を介して押す調整ボルト63とからなる。このような第1ラックガイド60によれば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト63にて、圧縮ばね62を介してガイド部61を適切な押圧力で押すことで、ガイド部61で第1ラック34に予圧を与えて、第1ラック34を第1ピニオン33に押し付けることができる。64はラック軸35の背面を滑らせる当て部材、65はロックナットである。
【0032】
ところで、上記操舵トルクセンサ70については、次のような構成にすることができる。すなわち、入力軸31に、作用トルクに応じて磁歪特性が変化する強磁性体膜77を所定幅で全周にわたって設け、この強磁性体膜77に対向して、上記図2に示す励磁・検出コイル71,72を配置する。入力軸31を介して強磁性体膜77にトルクが作用したときに、このトルクに応じて強磁性体膜77に生じる磁歪効果を、検出コイル72にて電気磁気的に検出することができる。強磁性体膜77は、例えば、入力軸31に気相メッキ法で形成したNi−Fe系の合金膜である。
【0033】
図5は図3の5−5線断面図であり、補助トルク機構24の縦断面構造を示す。
補助トルク機構24は、トルクリミッタ90(図1参照)、歯車式減速機構110、ピニオン軸131、第2ラックアンドピニオン機構132をハウジング41に収納し、このハウジング41の上部開口をリッド46で塞いだものである。ハウジング41は、ピニオン軸131の下端部及び長手中央部を、上下2個の軸受151,152を介して回転可能に支承することで、縦置きにセットしたものであり、第2ラックガイド160を備える。153はリッド取付ボルト、154は止め輪である。
【0034】
ピニオン軸131は、下部に第2ピニオン133を一体に形成し、さらに下端部にねじ部155を形成したものである。第2ラック134は、ラック軸35に一体に形成したものである。ねじ部155にナット156をねじ込むことで、ピニオン軸131の長手方向(軸方向)の移動を規制することができる。157は袋ナット、159はスペーサである。
【0035】
第2ラックガイド160は、第2ラック134と反対側からラック軸35に当てるガイド部161と、このガイド部161を圧縮ばね162を介して押す調整ボルト163とからなる。このような第2ラックガイド160によれば、ハウジング41にねじ込んだ調整ボルト163にて、圧縮ばね162を介してガイド部161を適切な押圧力で押すことで、ガイド部161で第2ラック134に予圧を与えて、第2ラック134を第2ピニオン133に押し付けることができる。164はラック軸35の背面を滑らせる当て部材、165はロックナットである。
【0036】
図6は図5の6−6線断面図であり、電動機82とトルクリミッタ90と歯車式減速機構110とピニオン軸131との関係を示す。
電動機82は、出力軸83を横向きにしてハウジング41に取付け、ハウジング41内に出力軸83を延したものである。
【0037】
歯車式減速機構110は、電動機82で発生した補助トルクをピニオン軸131に伝達するトルク伝達手段であって、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造である、ウォームギヤ機構からなる。詳しくは、歯車式減速機構110は、電動機82の出力軸83にトルクリミッタ90を介して連結した伝動軸111と、伝動軸111に形成したウォーム(駆動ギヤ)112と、ウォーム112に噛み合うとともにピニオン軸131に結合したウォームホイール(従動ギヤ)113とからなる。電動機82の補助トルクを、ピニオン軸131を介して第2ラックアンドピニオン機構132(図1参照)に伝達することができる。
【0038】
本発明は、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面との、いずれか一方又は両方を、表面処理することによって、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆したことを特徴とする。低摩擦剤からなる被膜層にて被覆するには、例えば、低摩擦剤にてコーティングしたり低摩擦剤を含浸させる。低摩擦剤にて、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面との間の、滑り面の摩擦係数を所定値まで低減させることにより、動力伝達効率を高めることができる。
低摩擦剤としては、例えば、ポリテトラフルエチレン(略記;PTFE、登録商標;テフロン)等のフッ素樹脂がある。フッ素樹脂は摩擦係数が極めて小さい。
【0039】
上記低摩擦剤を用いる表面処理方法としては、次の第1表面処理方法や第2表面処理方法がある。
(1)第1表面処理方法は、ウォーム112やウォームホイール113の材質を機械構造用炭素鋼鋼材(JIS-G-4051)等の鉄鋼とし、所定の処理液中でウォーム112の歯面やウォームホイール113の歯面に無電解ニッケルとPTFEを共析させ、被膜の中にPTFEを容積比で10〜30%まで均一に含ませ、被膜生成後に熱処理(約400℃で焼成)を施すことで、歯面に無電解ニッケルとPTFEの被膜を強固に密着させる処理方法である。被膜の厚みは5〜20μmである。この第1表面処理方法は、アルバックテクノ(株)の「ニフグリップ(登録商標)」として知られている。
【0040】
(2)第2表面処理方法は、ウォーム112やウォームホイール113の材質を機械構造用炭素鋼鋼材(JIS-G-4051)等の鉄鋼とし、ウォーム112の歯面やウォームホイール113の歯面に、無電解メッキ法にてニッケル・リンの多孔性被膜を形成し、この多孔性被膜にPTFEを含浸させ、その後に、熱処理(約400℃で焼成)を施すことで、歯面に被膜を強固に密着させる処理方法である。歯面に密着した被膜は、粒子状に析出したニッケル・リンの多孔性被膜にPTFEを含浸させたものであり、厚みは5〜20μmである。この第2表面処理方法は、アルバックテクノ(株)の「ニダックス(登録商標)」として知られている。
【0041】
伝動軸111は、出力軸83と同心上に配置し、2個の軸受114,115を介してハウジング41にて回転可能に支承した軸である。ハウジング41は、出力軸83に近い位置にある第1軸受114を軸方向移動不能に取付け、出力軸83から遠い位置にある第2軸受115を軸方向移動可能に嵌合したものである。さらには、第2軸受115の外輪の端面を、板ばね116を介して調整ボルト117で出力軸83側に押している。調整ボルト117と薄板円盤状の板ばね116の押圧力にて、第1・第2軸受114,115に予圧を与えることで、伝動軸111の軸方向の遊びがないように調整する、すなわち、ガタ取りすることができる。しかも、ウォーム112の軸方向変位を調整して、ウォーム112とウォームホイール113の噛み合いを、適切な摩擦を保ちつつガタが無いように調整することができる。
また、板ばね116の弾性力により、伝動軸111の軸方向の熱膨張等を吸収することができる。118はロックナット、119は止め輪である。
【0042】
ところで、本発明は、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせたことを特徴とする。バックラッシを無くする構成としては、例えば、次の(1)〜(4)の組合せからなる。
(1)ウォーム112を金属製品にするとともに、その歯面を上記低摩擦剤からなる被膜層にて被覆する。
(2)ウォームホイール113を樹脂製品にする。
(3)ウォーム112の中心O1からウォームホイール113の中心O2までの距離Xを、所定の理論値(基準値)に設定する。
(4)ウォーム112の基準ピッチ円直径d1又はウォームホイール113の基準ピッチ円直径d2を、所定の理論値(基準値)よりも若干大きく設定する。
【0043】
歯車式減速機構110を組立たときに、基準ピッチ円直径d1又はd2が大きい分だけ、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面とを、予圧を付加して噛み合わせることになる。この結果、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面との間のバックラッシ(噛み合い隙間)が無くなるので、噛み合いのガタが無くなる。噛み合いのガタが無いので、電動機82の慣性による衝撃トルクが、ウォーム112の歯面からウォームホイール113の歯面に作用することはない。従って、歯車式減速機構110の耐久性が、より一層高まる。
【0044】
但し、バックラッシが無いので、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面との間の噛み合い抵抗(フリクション)が増す。この点を解消するために、ウォーム112の歯面を上記低摩擦剤からなる被膜層にて被覆した。この結果、低摩擦剤にて、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面との間の、滑り面の摩擦係数を低減させることができる。従って、ウォーム112とウォームホイール113の噛み合いのガタが無いように調整したにもかかわらず、各ギヤ112,113の歯面同士の摩擦を適切に保って、動力伝達効率を高めることができる。
【0045】
図7は本発明に係るトルクリミッタの断面図である。
本発明は、電動機82と歯車式減速機構110との間にトルクリミッタ90を介在させたことを特徴とする。トルクリミッタ90は、電動機82の出力軸83にセレーション結合したインナ部材91を、伝動軸111にセレーション結合した筒状のアウタ部材93に嵌合したトルク制限機構である。
【0046】
インナ部材91は外周面92を、伝動軸111の先端に向って先細りテーパとした雄部材である。アウタ部材93は内周面94を、インナ部材91の外周面92が嵌合するべく先広がりテーパとした雌部材である。テーパ状の外周面92をテーパ状の内周面94に嵌合し、インナ部材91の後端面95を皿ばね96で弾発しつつ止め輪97で抜け止めすることで、トルクリミッタ90を組立ることができる。101はスペーサ、102はワッシャ、103は皿ばねである。
【0047】
皿ばね96の弾発力で、外周面92を内周面94に押し付けて予圧を与えることにより、外周面92を内周面94に所定の摩擦力を有して、連結することができる。このようなトルクリミッタ90であるから、所定の摩擦力を上回る大きなトルクが作用すると、外周面92と内周面94との間がスリップする。この結果、電動機82から歯車式減速機構110へ伝達する補助トルクを制限、すなわち、オーバートルクをカットすることができる。負荷側から電動機82へかかる逆トルクが過大であればトルクリミッタ90で伝達させないので、電動機82に過大な逆トルクがかかる心配はない。
【0048】
さらには、インナ部材91をアウタ部材93にテーパにて嵌合したので、両者の組立精度は高く、心合せも容易である。従って、出力軸83に対する伝動軸111の組立精度は高く、心合せも容易である。
また、比較的高速回転する電動機82と歯車式減速機構110との間に、トルクリミッタ90を介在させたので、トルクリミッタ90が小さくてすみ、トルクリミッタ90の小型化、低コスト化を図ることができる。小型のトルクリミッタ90であるから配置スペースが少なくてすむので、ハウジング41に収納することが容易である。
【0049】
図8(a)〜(d)は本発明に係る第2ラックアンドピニオン機構の構成図である。なお、理解を容易にするために、第2ラック134よりも図手前側に第2ピニオン133を配置して表した。L1は第2ピニオンの中心線、L2はラック軸の中心線、L3は第2ラックの歯面に直角な線である。
なお、図8及び図9においては、第2ピニオンの中心線L1がラック軸の中心線L2に直交する場合について、説明する。
【0050】
(a)は、第2ラックアンドピニオン機構132の第2ピニオン133並びに第2ラック134を「はすば歯車(ヘリカルギヤ)」としたことを示す。すなわち、第2ピニオン133は、はすばピニオンであり、第2ラック134は、はすばラックである。
例えば、第2ピニオン133をなす「はすば歯車」とは、(b)に示すように、基準ピッチ面となる円筒133aの周面と歯面133bとの交線である、歯すじ133cが、所定のねじれ角θを有したつる巻線である、円筒歯車を言う。「ねじれ角θ」とは、つる巻線133dとつる巻線133dを考える円筒133aの母線133eとのなす、鋭角θを言う。
【0051】
(c)は、第2ラック134をなす「はすば歯車」の部分拡大斜視図であり、はすば歯車のねじれ角が、第2ピニオン133をなす「はすば歯車」のねじれ角θと同一であることを示す。
本発明は、第2ピニオン133並びに第2ラック134をなす、はすば歯車のねじれ角θを、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とする。その理由については後述する。
【0052】
(d)は、第2ピニオン133並びに第2ラック134をなす「はすば歯車」の歯形の拡大断面図であり、はすば歯車の歯形が円弧歯形であることを示す。
円弧歯形の歯車については、「[新しい歯車とその応用]円弧歯形歯車」(機械設計・第26巻第3号(1982年3月号)第47頁〜第51頁、日刊工業新聞社発行)の文献等によって知られている。以下、円弧歯形の概要について説明する。
【0053】
円弧歯形の歯車とは、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車の歯元の面を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする円弧面に形成した、円弧歯形を有する歯車であって、W/N歯車とも言う。円弧歯形の歯車には、対称形の円弧歯形と非対称形の円弧歯形がある。
ここで、歯元の面とは、歯底曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の部分であり、歯末の面とは、歯先曲面と基準ピッチ線Piとの間にある歯面の部分である。
【0054】
第2ピニオン133において、対称形の円弧歯形とは、(d)に示すように、歯末の面133fを円弧面に形成するとともに歯元の面133gも円弧面に形成、すなわち、歯末の面133fと歯元の面133gとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第3種やシンマーク歯車がある。rは円弧面の半径である。
第2ラック134における、対称形の円弧歯形も、上記第2ピニオン133における対称形の円弧歯形と同一であって、歯末の面134aと歯元の面134bとを、基準ピッチ線Piに対してほぼ点対称形の円弧面に形成したものである。
【0055】
一方、非対称形の円弧歯形とは、1組の歯車のうち、一方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯末円弧だけで形成し、他方の歯車の歯を、基準ピッチ線Pi上をほぼ中心とする歯元円弧だけで形成した円弧歯形であり、例えば、ノビコフ歯車第1,2種やサーカーク歯車がある。
本発明においては、はすば歯車の歯形を、対称形の円弧歯形にすることが、より好ましい。
【0056】
インボリュート歯形の正面歯形は、凸歯面と凸歯面との噛み合いである。これに対して本発明は、はすば歯車の歯形を円弧歯形にした。円弧歯形の正面歯形は、凹歯面と凸歯面との噛み合いである。歯すじ方向の相対曲率半径が大きいので、負荷が作用したときには、接触線が大きな面積を有した領域となる。一般に、円弧歯形の強度はインボリュート歯車に比べて、表面疲れ強さが6〜7倍、曲げ強さが1.5〜1.6倍、曲げ疲れ強さが1.5〜1.6倍である。
【0057】
第2ピニオン133並びに第2ラック134を上述の円弧歯形のはすば歯車にしたことにより、これらの歯車の強度をより一層高めることができ、例えば、次のようなときに効果を発揮する。
左右の操舵輪を最大操舵角まで操舵したとき、すなわち、図3においてラック軸35が移動終端まで移動したとき、左のボールジョイント36がストッパ43に当ったり、右のボールジョイント36がストッパ43に当たることで、第2ラック134(図1参照)は即時に停止する。このとき、通常の操舵時よりも極めて大きなトルクが、第2ピニオン133(図1参照)と第2ラック134とに作用する。このような場合であっても、強度を高めた第2ピニオン133並びに第2ラック134は、大トルクを十分に受けることができる。
【0058】
図9(a)〜(c)は本発明に係る第2ラックアンドピニオン機構の概念図である。
(a)は、第2ピニオン133を回転させることで、第2ラック134を図左方向に移動させたことを示す。左右の操舵輪を右へ最大操舵角まで操舵したとき、すなわち、ラック軸35が移動終端まで移動したとき、右のボールジョイント36がストッパ43に当たることで、第2ラック134は即時に停止する。このときのトルクは、衝撃トルクであるので、通常の操舵時よりも極めて大きい最大トルクである。
【0059】
(b)は、第2ピニオン133の歯面で第2ラック134の歯面を図左方向に押している状態を示した模式図である。(c)は、(b)を更に模式的に示した図であり、第2ラック134の歯面を斜辺Dとする直角三角形を、△ABCとして表した。
(b)及び(c)において、斜辺Dの傾斜角は、はすば歯車のねじれ角θと同一のθである。斜辺Dを第2ピニオン133の歯Eで押す力はW0であり、この力W0は第2ピニオン133のピッチ円上の円周方向に作用する力(第2ピニオン133の回転力)に相当する。従って、力W0は線ABに直角方向に働く。
【0060】
移動終端で停止した状態の第2ラック134を、第2ピニオン133で更に押した場合には、歯Eは斜辺D上を点A方向へ滑って移動しようとする。斜辺Dと歯Eとの間に働く直圧力、すなわち、第2ピニオン133の歯面と第2ラック134の歯面との間に働く直圧力(歯面に直角に働く力)W1は、
1=W0×cosθ ・・・・・・(1)
斜辺Dに平行に働く力(第2ラック134の歯面に平行に働く力)W2は、
2=W0×sinθ ・・・・・・(2)
【0061】
また、力W2によって、歯Eが斜辺D上を点A方向へ滑って移動しないように、線ABと平行な力P0で支える必要がある。この支える力P0は第2ピニオン133に働くスラストであり、力P0の方向は力W0の方向と直交する。支える力P0の分力は、斜辺Dに直角な分力P1と斜辺Dに平行な分力P2とであり、次式で表すことができる。
1=P0×sinθ ・・・・・・(3)
2=P0×cosθ ・・・・・・(4)
【0062】
斜辺Dに直角な方向の力の成分の総和、すなわち、複合直圧力Rは直圧力W1と分力P1の和であるから、これを次式で表すと、
R=W1+P1 ・・・・・・(5)
第2ピニオン133の歯面と第2ラック134の歯面との間の最大摩擦力をFとしたとき、最大摩擦力Fの大きさは複合直圧力Rに比例する。
これを次式で表すと、
F=μ×R ・・・・・・(6)
但し、μは、はすば歯車としての第2ピニオン133の歯面と第2ラック134の歯面との間の、摩擦係数である。摩擦係数μに対応する、はすば歯車の摩擦角をρとすれば、
μ=tanρ ・・・・・・(7)
力W2によって、歯Eが斜辺D上を点A方向へ滑って移動しようとするので、摩擦力Fは力W2の方向と逆向きに働く。
【0063】
斜辺Dに平行な3つの力F、W2、P2は次式の関係にある。
2=W2−F ・・・・・・(8)
(8)式に(1)〜(6)式を代入すると、
Figure 0003701524
(9)式を整理すると、
0(cosθ+μ×sinθ)=W0(sinθ−μ×cosθ) ・・・・・・(10)
0=W0(sinθ−μ×cosθ)/(cosθ+μ×sinθ) ・・・・・・(11)
(11)式に(7)式を代入すると、
【0064】
【数1】
Figure 0003701524
【0065】
上記(12)式から明らかなように、θ=ρのときにはP0=0となる。また、θ<ρのときにはP0<0となる。従って、第2ラック134が停止した状態では、第2ピニオン133に大きなトルクが作用しても、第2ピニオン133にスラスト、すなわち、力P0が働くことはない。これが、はすば歯車のねじれ角θを、はすば歯車の摩擦角ρを越えない範囲(0°<θ≦ρ)に設定したことの、理由である。
【0066】
一方、第2ラック134が左又は右の移動終端で停止していない、通常の状態にあるとき、第2ピニオン133で第2ラック134を左又は右へ駆動する場合には、斜辺Dを第2ピニオン133の歯Eで押す力は、力W0よりも極めて小さい力である。この小さい力に応じたスラストが第2ピニオン133に働くことになる。
このように、第2ピニオン133に作用するスラストを、極めて小さなものに抑制することができる。
【0067】
次に、ピニオン軸131を傾けて取付けた場合の、第2ピニオン133に作用するスラストについて、図10に基づき説明する。
図10(a),(b)は本発明に係るラックアンドピニオン機構の変形概念図である。
(a)は、ラック軸35の中心線L2に直交する直線を基準線Sとしたとき、この基準線Sから図左へ、ピニオン軸131を傾き角αだけ傾けた場合を示す。
(b)は、基準線Sから図右へ、ピニオン軸131を傾き角αだけ傾けた場合を示す。
【0068】
ここで、はすば歯車としての第2ラック134のねじれ角をβとする。(a)の第2ラック134のねじれ角はβ=θ+αであり、(b)の第2ラック134のねじれ角はβ=θ−αである。しかし、第2ピニオン133のねじれ角θは、ピニオン軸131の傾き角αにかかわらず、一定である。第2ピニオン133のねじれ角θが常に一定であるから、第2ピニオン133に働くスラストP0も一定であり、上記(12)式で表すことができる。
上述のように、第2ピニオン133のねじれ角θについては、はすば歯車の摩擦角ρを越えない範囲(0°<θ≦ρ)に設定してある。従って、ピニオン軸131の傾き角αにかかわらず、第2ラック134が停止した状態では、第2ピニオン133に大きなトルクが作用しても、第2ピニオン133にスラスト、すなわち、力P0が働くことはない。
【0069】
以上をまとめると、第2ピニオン133並びに第2ラック134をはすば歯車としたので、すぐば歯車(平歯車)に比べて、比較的大きいトルクを伝達することができる。この結果、第2ラックアンドピニオン機構132を小型にすることができる。
しかも、はすば歯車としての第2ピニオン133のねじれ角θを、はすば歯車の摩擦角ρを越えない範囲に設定したので、第2ピニオン133に作用するスラストは、第2ラック134が左又は右の移動終端で停止していない、通常の状態にあるときの小さい力だけである。このため、図9(a)のピニオン軸131や図10(a),(b)のピニオン軸131に作用するスラストは小さく、ピニオン軸131を支承した軸受151,152や、ピニオン軸131に連結した歯車式減速機構110(図5参照)に、作用するスラストも小さい。
従って、はすば歯車を採用したにもかかわらず、歯車式減速機構110、ピニオン軸131、軸受151,152の強度を高める必要がなく、これらの部材を小型にすることができるとともに、安価にすることができる。
【0070】
図11は本発明に係る歯車式減速機構の変形例図(その1)であり、歯車式減速機構110における伝動軸111の支持構造の変形例を示す。
変形例の支持構造は、伝動軸111を第1・第2軸受114,115並びに偏心スリーブ171を介して、ハウジング41にて支承したことを特徴とする。詳しくは、偏心スリーブ171は、ハウジング41の孔に回転可能に嵌合した管状スリーブであり、この管状スリーブの内部の孔に第1・第2軸受114,115を嵌合し、これらの第1・第2軸受114,115を介して伝動軸111を回転可能に支承したものである。ハウジング41に偏心スリーブ171をリング状ボルト172にて軸方向に押し付けることで、ハウジング41に偏心スリーブ171を摩擦力で固定することができる。
【0071】
図12は本発明に係る歯車式減速機構の変形例図(その2)であり、上記図11の12−12線断面における、ウォーム112とウォームホイール113と偏心スリーブ171との関係を表したものである。
この図は、偏心スリーブ171の中心O3に対して、ウォーム112の中心O1(伝動軸111の中心O1)が、上又は下へ偏心量δだけ偏心していることを示す。偏心スリーブ171の偏心した位置で伝動軸111を支承するので、偏心スリーブ171を回転させると、ウォーム112の中心O1が中心O2に接・離するように移動する。この結果、ウォーム112の中心O1からウォームホイール113の中心O2までの距離Xが変わる。このため、偏心スリーブ171を回転させるだけで、ウォームホイール113に対するウォーム112のバックラッシを容易に調整することができる。なお、この変形例においても、ウォーム112を金属製品にするとともに、その歯面を上記低摩擦剤からなる被膜層にて被覆し、また、ウォームホイール113を樹脂製品にすることが好ましい。
【0072】
従って、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせ調整し、更に、ウォーム112の歯面とウォームホイール113の歯面とを、予圧を付加して噛み合わせることができる。バックラッシが無くなるので、ウォーム112とウォームホイール113との噛み合いのガタが無くなる。噛み合いのガタが無いので、電動機82(図11参照)の慣性による衝撃トルクが、ウォーム112の歯面からウォームホイール113の歯面に作用することはない。従って、変形例においても、歯車式減速機構110の耐久性が、より一層高まる。
【0073】
このような歯車式減速機構110の噛み合わせ調整作業は、次の手順による。
(1)上記図11において、電動機82及びリング状ボルト172を外した状態で、偏心スリーブ171を工具で徐々に回転させる。この結果、伝動軸111の中心O1が移動するので、ウォームホイール113に対するウォーム112のバックラッシを調整することができる。
(2)調整完了後にリング状ボルト172を締めて、ハウジング41に偏心スリーブ171を摩擦力で固定する。
(3)電動機82に組込んだ状態のトルクリミッタ90を、ハウジング41内に挿入して、伝動軸111に嵌合させる。
(4)ハウジング41に電動機82をボルト173にて取付けて、作業を完了する。なお、電動機82のボルト孔174は、通常のボルト孔径よりも大きい孔である。従って、電動機82の出力軸83の中心を伝動軸111の中心O1に容易に合せることができる。
【0074】
なお、上記実施の形態において、トルクリミッタ90は、摩擦式トルクリミッタに限定されるものではない。
また、歯車式減速機構110は、ウォームギヤ機構に限定されるものではなく、例えば、ベベルギヤ機構や平歯車機構であってもよい。
さらには、ラック軸35に形成した第2ラック134を延長して、第1ラック34を兼ねてもよい。その場合の第1ピニオン33並びに第1ラック34は、第2ピニオン133並びに第2ラック134と同一の、はすば歯車で且つ円弧歯形である。
【0075】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、操舵トルクを第1ラックアンドピニオン機構を介して単一のラック軸に伝達するとともに、補助トルクを第2ラックアンドピニオン機構を介して前記ラック軸に伝達し、このラック軸によって操舵輪を操舵するようにした電動パワーステアリング装置において、特に、第2ラックアンドピニオン機構のピニオン並びにラックをはすば歯車としたので、すぐば歯車(平歯車)よりも大きい補助トルクを伝達することができる。
さらには、第2ラックアンドピニオン機構だけ、はすば歯車の歯形を、特に、円弧歯形としたので、歯車の強度をより一層高めることができる。従って、補助トルクが通常の操作時よりも大きい場合であっても、この大きい補助トルクを、第2ラックアンドピニオン機構の大強度のピニオン並びにラックで、十分に伝達することができる。
このようなことから、電動機の慣性による大きな負荷トルクに対して十分な強度と耐久性を有する第2ラックアンドピニオン機構を備えた電動パワーステアリング装置を、小型で安価にすることができる。
しかも、第1ラックアンドピニオン機構は、運転者の操舵トルクを伝達するだけのものであるから、ラック軸が停止したときであっても、通常の操作時に比べて操舵トルクがそれほど大きくならないので、強度をほとんど高める必要がない。
【0076】
さらに請求項は、第2ラックアンドピニオン機構の、はすば歯車をなすピニオンのねじれ角を、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したので、ラックが左又は右の移動終端で停止したときには、ピニオンにスラストが作用しない。一方、ラックが左又は右の移動終端で停止していない通常の状態にあるときには、第2ラックアンドピニオン機構のピニオンに作用するスラストは、極めて小さい。このため、ピニオン軸に作用するスラストは小さく、ピニオン軸を支承した軸受やピニオン軸に連結した歯車式減速機構に作用する、スラストも小さい。従って、はすば歯車を採用したにもかかわらず、ピニオン軸、軸受、歯車式減速機構の強度を高める必要がなく、これらの部材を小型にすることができるとともに、安価にすることができる。
【0077】
請求項は、歯車式減速機構の駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせたので、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いのガタを無くすることができる。ガタが無いので、電動機の慣性による衝撃トルクが、駆動ギヤの歯面から従動ギヤの歯面に作用することはない。従って、歯車式減速機構の耐久性を、より一層高めることができる。
さらには、駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面のいずれか一方又は両方を、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆することによって、駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面との間の滑り面の摩擦係数を、低摩擦剤にて低減させることができる。従って、駆動ギヤと従動ギヤの噛み合いのガタが無いにもかかわらず、歯車式減速機構の動力伝達効率を高めることができる。
【0078】
請求項は、電動機と歯車式減速機構との間にトルクリミッタを介在させたので、所定以上のトルクをトルクリミッタにてカットすることにより、電動機から歯車式減速機構へ伝達する補助トルクを制限することができる。従って、ラック軸がラックエンドストッパに衝突したときに、負荷側から電動機へかかる逆トルクが過大であればトルクリミッタで伝達させないので、電動機に過大な逆トルクがかかる心配はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の模式図
【図2】本発明に係る操舵トルクセンサの原理図
【図3】本発明に係る電動パワーステアリング装置の全体構成図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】図3の5−5線断面図
【図6】図5の6−6線断面図
【図7】本発明に係るトルクリミッタの断面図
【図8】本発明に係る第2ラックアンドピニオン機構の構成図
【図9】本発明に係る第2ラックアンドピニオン機構の概念図
【図10】本発明に係る第2ラックアンドピニオン機構の変形概念図
【図11】本発明に係る歯車式減速機構の変形例図(その1)
【図12】本発明に係る歯車式減速機構の変形例図(その2)
【符号の説明】
10…電動パワーステアリング装置、21…操舵輪、31…入力軸、32…第1ラックアンドピニオン機構、33…第1ピニオン、34…第1ラック、35…ラック軸、70…操舵トルクセンサ、82…電動機、90…トルクリミッタ、110…歯車式減速機構、112…駆動ギヤ(ウォーム)、113…従動ギヤ(ウォームホイール)、131…ピニオン軸、132…第2ラックアンドピニオン機構、133…第2ピニオン、133f…歯末の面、133g…歯元の面、134…第2ラック、134a…歯末の面、134b…歯元の面、171…偏心スリーブ、Pi…基準ピッチ線、θ…はすば歯車のねじれ角、ρ…はすば歯車の摩擦角。

Claims (3)

  1. ステアリングハンドルによる操舵トルクを、第1ラックアンドピニオン機構に伝達するとともに、前記操舵トルクに応じて電動機が発生した補助トルクを、歯車式減速機構を介して第2ラックアンドピニオン機構に伝達するものであって、前記第1ラックアンドピニオン機構のラックを形成したラック軸が、前記第2ラックアンドピニオン機構のラックを形成したラック軸を兼ね、このラック軸によって操舵輪を操舵するようにした電動パワーステアリング装置において、
    前記第2ラックアンドピニオン機構だけが、ピニオン並びにラックは、はすば歯車であり、このはすば歯車の歯形は、1組の歯車のうち、少なくとも一方の歯車の歯末の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面に形成し、少なくとも他方の歯車の歯元の面を、基準ピッチ線上をほぼ中心とする円弧面に形成した、円弧歯形であり、
    前記第2ラックアンドピニオン機構の、はすば歯車をなすピニオンのねじれ角を、はすば歯車の摩擦角を越えない範囲に設定したことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記歯車式減速機構は、駆動ギヤと従動ギヤの組合せ構造であり、これらの駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面のいずれか一方又は両方を、低摩擦剤からなる被膜層にて被覆するとともに、駆動ギヤの歯面と従動ギヤの歯面とを、バックラッシが無いように噛み合わせたことを特徴とする請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 前記電動機と前記歯車式減速機構との間にトルクリミッタを介在させたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電動パワーステアリング装置。
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