JP2004359087A - プロペラシャフト部品およびプロペラシャフト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロペラシャフト1は、一方端30aと他方端とを有し、一方端30aと他方端との間には、潤滑材70で潤滑される摺動面31aを有する第1の内径R1の第1の内部空間30iが形成されている第1の筒状体30と、第1の筒状体30の一方端30a側に設けられて第1の内部空間30iに連なる第2の内部空間60iを有する封止部材としてのダストカバー60とを備える。第2の内部空間60iは、第1の内径R1よりも大きい第2の内径R2を有する。
第1の筒状体30には、ダストカバー60に係合する係合部としてのフランジ部33が設けられている。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、プロペラシャフト部品およびプロペラシャフトに関し、特に自動車等の動力伝達系に使用されるプロペラシャフト部品およびプロペラシャフトに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、プロペラシャフトは、たとえば特開平8−232969号公報(特許文献1)、特公平6−65887号公報(特許文献2)に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−232969号公報
【0004】
【特許文献2】
特公平6−65887号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来のプロペラシャフトでは、プロペラシャフトを構成する部品がその長さ方向に摺動して長さが変化すると、その摺動部分で潤滑不良が起こる可能性があり、プロペラシャフトの信頼性が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、この発明は上述のような問題点を解決するためになされたものであり、信頼性の高いプロペラシャフト部品およびプロペラシャフトを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の1つの局面に従ったプロペラシャフト部品は、一方端と他方端とを有し、一方端と他方端との間には、潤滑材で潤滑される摺動面を有する第1の内径の第1の内部空間が形成されている筒状体と、筒状体の一方端側に設けられて第1の内部空間に連なる第2の内部空間を有する封止部材とを備える。第2の内部空間は、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する。
【0008】
このように構成されたプロペラシャフト部品では、第2の内部空間が第1の内部空間の内径よりも大きい第2の内径を有するので、第2の内部空間に潤滑材が溜まりやすくなる。そのため、この潤滑材で摺動面が潤滑されるので、プロペラシャフト部品の信頼性を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、第2の内部空間の内径は、第1の内部空間に近づくにつれて大きくなる。この場合、封止部材の内周面がテーパー形状となるため、封止部材が回転すると、内周面に付着した潤滑材が第1の内部空間に向かって移動する。その結果、第1の内部空間を規定する摺動面を潤滑材で潤滑することができる。
【0010】
好ましくは、第2の内部空間を規定する封止部材の内周面には、螺旋形状が形成されている。この場合、封止部材が回転すると、内周面に付着した潤滑材が第1の内部空間に向かって移動する。その結果、第1の内部空間を規定する摺動面を潤滑材で潤滑することができる。
【0011】
好ましくは、プロペラシャフト部品は、封止部材が回転すると第2の内部空間内の潤滑材が第1の内部空間へ向かって移動するように潤滑材を案内する案内部材をさらに備える。この場合、封止部材が回転すると、案内部材に付着した潤滑材が第1の内部空間に向かって移動する。その結果、第1の内部空間を規定する摺動面を潤滑材で潤滑することができる。
【0012】
この発明の1つの局面に従ったプロペラシャフトは、上述のいずれかのプロペラシャフト部品と、筒状体の内部空間に摺動可能に嵌まり合い、潤滑材で摺動面が潤滑される部分を有する棒状体とを備える。第1の内部空間を規定する筒状体の摺動面と、棒状体の摺動面とには、互いに噛み合うスプライン歯が形成されている。
【0013】
このように構成されたプロペラシャフトでは、第2の内部空間に潤滑材が溜まるため、この潤滑材により、筒状体の摺動面と棒状体の摺動面とが確実に潤滑される。
【0014】
この発明の別の局面に従ったプロペラシャフトは、一方端と他方端とを有し、一方端と他方端との間に第1の内径の第1の内部空間が形成されている筒状体と、筒状体の内部空間に摺動可能に他方端側から嵌まり合い、潤滑材で摺動面が潤滑される部分を有する棒状体とを備える。第1の内部空間を規定する筒状体の摺動面と、棒状体の摺動面とには、互いに噛み合うスプライン歯が形成されており、棒状体のスプライン歯には、複数のディンプルが形成されている。
【0015】
このように構成されたプロペラシャフトでは、スプライン歯にディンプルが形成されているため、このディンプルに潤滑材が溜まりやすくなる。その結果、摺動面に確実に潤滑材を供給できるため、信頼性の高いプロペラシャフトを提供することができる。
【0016】
好ましくは、棒状体の外周面には、棒状体の延びる方向に沿って複数のスプライン歯が形成されており、複数のスプライン歯には、螺旋軌道を描くように複数のディンプルが形成されている。この場合、ディンプルが螺旋軌道を描くように配置されているため、棒状体が回転することで、ディンプル内の潤滑材が軸方向に移動し、全体を潤滑することができる。
【0017】
好ましくは、一方端側でディンプル端部はスプライン歯表面に対して第1の角度をなし、他方端側でディンプル端部はスプライン歯表面に対して第1の角度よりも小さい第2の角度をなす。この場合、一方端側の第1の角度が大きいため、ディンプルが一方端側から他方端側へ移動したときにディンプルは潤滑材を移動させやすい。ディンプルが他方端側から一方端側へ移動したときにはディンプルは潤滑材を移動させにくい。その結果、潤滑材は一方端側から他方端側へ移動しやすくなり、一方端側に潤滑材が溜まることを防止でき、信頼性の高いプロペラシャフトを提供することができる。
【0018】
好ましくは、プロペラシャフトは、筒状体の一方端側に設けられて第1の内部空間に連なる第2の内部空間を有する封止部材をさらに備え、第2の内部空間は、第1の内径よりも大きい第2の内径を有する。この場合、潤滑材が第2の空間に溜まり、この潤滑材をディンプルが掻き出すことで、摺動面の潤滑を確保でき、信頼性の高いプロペラシャフトを提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では同一または相当する部分については同一の参照符号を付し、その説明は繰返さない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に従ったプロペラシャフトの一部断面を含む側面図である。図2は、図1中のII−II線に沿った断面図である。図1および図2を参照して、プロペラシャフト1は、ユニバーサルジョイント部品50aおよび60aと、ユニバーサルジョイント部品50aに接続されてユニバーサルジョイント部品50aと一体に回転するシャフトヨーク20と、シャフトヨーク20にスライド可能に取付けられた第1の筒状体30と、第1の筒状体30に接続された第2の筒状体40と、第2の筒状体40に接続されたユニバーサルジョイント部品50bおよび60bとを備える。
【0021】
ユニバーサルジョイント部品60aおよび50aがユニバーサルジョイントを構成しており、ユニバーサルジョイント部品60aおよび50aの回転軸はさまざまに角度をなすことが可能である。ユニバーサルジョイント部品50aとシャフトヨーク20とは摩擦溶接により接続されて、摩擦溶接された部分にはフランジ部53および23が形成されている。中空の棒状体としてのシャフトヨーク20はスライディングシャフト21を有する。シャフトヨーク20およびスライディングシャフト21は中実であってもよい。スライディングシャフト21は、図2で示すように、外側(外周面)にはスプライン歯25が形成されている。棒状体としてのスライディングシャフト21の外周面には潤滑材70が塗布されている。潤滑材70はグリースにより構成され、スライディングシャフト21の摺動面を潤滑する。シャフトヨーク20には、カバー22が取付けられ、スライディングシャフト21の外表面が露出するのを防止している。
【0022】
第1の筒状体30は一方端30aから他方端30bまで延びており、その一方端30aと他方端30bとの間に円筒形状の第1の内部空間30iが形成されている。第1の筒状体30はスライディングシャフト21に対して摺動するスライディングスリーブ31を有する。スライディングスリーブ31の内表面にはスプライン歯35が形成されている。
【0023】
なお、スプライン歯35のうち1つが欠歯36となっている。スプライン歯35および25が互いに噛み合うことにより、スライディングシャフト21の回転がスプライン歯25および35を介してスライディングスリーブ31へ伝わる。欠歯36の数は図2では1つであるが、複数の欠歯36が設けられてもよい。
【0024】
欠歯36を設けるのは、第1の筒状体30とシャフトヨーク20とが互いに軸方向に摺動して長さが変化したときに、第1の内部空間30i内の空気を、欠歯36部分を介して外部へ放出するためである。すなわち、欠歯36は、外部と第1の内部空間30iとの間の空気の通路の役割を果たす。第1の内部空間30iを封止するように封止部材としてのダストカバー60が設けられている。ダストカバー60はフランジ部33に係合している。
【0025】
第2の筒状体40は摩擦溶接(突き合わせ溶接)により第1の筒状体30に接続される。なお、摩擦溶接を行なうことにより、第1の筒状体30および第2の筒状体40には、それぞれフランジ部33および43が形成されている。
【0026】
ユニバーサルジョイント部品50bと第2の筒状体40とが摩擦溶接により接合されており、摩擦溶接された部分にはフランジ部44および53が形成されている。
【0027】
図1では、ユニバーサルジョイント部品60aにエンジンからの動力が入力される。ユニバーサルジョイント部品60bから車輪への動力が出力される。これとは逆に、ユニバーサルジョイント部品60bへエンジンからの動力が入力されて、ユニバーサルジョイント部品60aから車輪への動力が出力されてもよい。
【0028】
実施の形態1に従ったプロペラシャフト部品は、一方端30aと他方端30bとを有し、一方端30aと他方端30bとの間に第1の内部空間30iが形成されている第1の筒状体30と、第1の筒状体30の一方端30a側に係合して、第1の内部空間30iを封止する封止部材としてのダストカバー60とを備える。第1の筒状体30には、ダストカバー60に係合する係合部としてのフランジ部33が設けられている。
【0029】
プロペラシャフト1は、上記のプロペラシャフト部品と、第1の内部空間30iに摺動可能に嵌まりあってプロペラシャフト部品と一体となって回転する棒状体としてのシャフトヨーク20とを備える。
【0030】
図3は、軸方向に伸縮するプロペラシャフトを示す一部断面を含む側面図である。図3の(a)は伸びたプロペラシャフトを示し、図3の(b)は縮んだプロペラシャフトを示す。図3で示すように、プロペラシャフト1は軸方向に伸縮することが可能である。この場合、スライディングスリーブ31とスライディングシャフト21が互いに摺動することで、全体の長さが調節される。なお、このようにプロペラシャフト1に伸縮機能を設けるのは、通常自動車が走行すると、リアアクスルが車体の進行方向に移動し、このリアアクスルの移動をプロペラシャフト1で吸収するためである。図3で示すようにプロペラシャフト1が軸方向に伸縮すると、第1の内部空間30i内の空気が外部へ放出され、または第1の内部空間30iへ外部から空気が流入する。このとき、図2で示した欠歯36の部分を空気が通過する。プロペラシャフト1の伸縮量は特に制限されるものではなく、その車種に応じて適宜設定される。
【0031】
図4は、図1中のIVで囲んだ部分を拡大して示す断面図である。図4を参照して、第1の筒状体30の一方端30a近傍には、フランジ部33が設けられている。フランジ部33において、第1の内部空間30iの内径はR1であり、その近傍部分の内径R2よりも小さくなっている。このため、ダストカバー60はフランジ部33に引っ掛かり外側へ抜けるのを防止することができる。フランジ部33は「T」字状(錨状)であり、外側および内側へ張り出した構造となっている。フランジ部33での第1の内部空間30iの内径は、フランジ部33近傍での第1の内部空間30iの内径よりも小さい。
【0032】
プロペラシャフト部品は、一方端30aと他方端30bとを有し、一方端30aと他方端30bとの間には、潤滑材70で潤滑される摺動面31aを有する第1の内径R1の第1の内部空間30iが形成されている第1の筒状体30と、第1の筒状体30の一方端30a側に設けられて第1の内部空間30iに連なる第2の内部空間60iを有する封止部材としてのダストカバー60とを備える。第2の内部空間60iは、第1の内径R1よりも大きい第2の内径R2を有する。
【0033】
第2の内径R2が大きいために、第2の内部空間60iには潤滑材70が溜まる。この潤滑材70にスライディングシャフト21が接触して、スライディングシャフト21の摺動面21aが潤滑される。
【0034】
次に、図1から図3で示すプロペラシャフトの第1の筒状体30と第2の筒状体40の接合方法について説明する。まず、第1の筒状体30の内部空間30i内にダストカバー60を挿入する。次に、第1の筒状体30と第2の筒状体40の端部同士を接触させる。この状態で、第1の筒状体30に対して第2の筒状体40を回転させる。回転により、第1の筒状体30と第2の筒状体40との接触面で摩擦熱が生じる。この摩擦熱が第1の筒状体30と第2の筒状体40の端部を溶融させ、溶融した端部同士が互いに固相拡散することにより接合される。
【0035】
また、接合過程において、それぞれの端部に力が加えられ、さらに溶融によりそれらを構成する材質が内部および外部へ移動することにより、図3で示されるフランジ部33および43が形成される。このようにして第1および第2の筒状体30および40が接合される。すなわち、フランジ部33は第1および第2の筒状体30および40を摩擦溶接することで形成される。
【0036】
なお、第1および第2の筒状体30および40の接合方法は、摩擦溶接に限られず、電気溶接またはガス溶接などの、外部からの熱を加える溶接としてもよい。
【0037】
さらに、第1の筒状体30に第2の筒状体40をかしめて固定してもよい。また、第1および第2の筒状体30および40をボルトやリベットなどの締結手段を用いて接合してもよい。
【0038】
このように構成された、この発明の実施の形態1に従ってプロペラシャフト1では、第2の内部空間60iに潤滑材(グリース)70が溜まる。スライディングシャフト21がスライドしたときに潤滑材70がスライディングシャフト21に付着する。この潤滑材70により、摺動面21aおよび31aが潤滑される。その結果、摺動面21aおよび31aに潤滑材70を供給することで、信頼性の高いプロペラシャフトを提供することができる。また、係合部としてのフランジ部33を設け、このフランジ部33によりダストカバー60を係合させているため、ダストカバー60の脱落を防止できる。その結果、信頼性の高いプロペラシャフトを提供することができる。また、フランジ部33を形成する工程は、第1の筒状体30と第2の筒状体40とを摩擦溶接する工程でフランジ部33が形成されるため、フランジ部33を形成するために新たに別の工程を設ける必要がない。その結果、製造工程の増加を抑えて信頼性の高いプロペラシャフト部品を提供することができる。
【0039】
(実施の形態2)
図5は、この発明の実施の形態2に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。図5を参照して、この発明の実施の形態2に従ったプロペラシャフト1では、ダストカバー60がテーパー形状となっている点で、実施の形態1に従ったプロペラシャフト1と異なる。第2の内部空間60iの内径は、第1の内部空間30iに近づくにつれて大きくなる。
【0040】
このように構成された、この発明の実施の形態2に従ったプロペラシャフト1でも、実施の形態1に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。さらに、プロペラシャフト1が回転したときに、潤滑材70は第1の内部空間30iへ近づく方向に移動するため、摺動面21aおよび31aをより確実に潤滑することができる。
【0041】
(実施の形態3)
図6は、この発明の実施の形態3に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。図6を参照して、この発明の実施の形態3に従ったプロペラシャフト1では、ダストカバー60にねじ山61が設けられている点で、実施の形態1に従ったプロペラシャフトと異なる。
【0042】
実施の形態3では、第2の内部空間60iを規定する封止部材としてのダストカバー60の内周面には、螺旋形状としてのねじ山61が形成されている。ねじ山61は、ねじ溝で置き換えられてもよい。車両が前進する方向にプロペラシャフト1が回転すると、ねじ山61に沿って潤滑材70がスライディングシャフト21に向かって移動するようにねじ山61が設けられている。
【0043】
このように構成された、この発明の実施の形態3に従ったプロペラシャフト1でも、実施の形態1に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。さらに、プロペラシャフト1が回転したときに、潤滑材70は第1の内部空間30iへ近づく方向に移動するため、摺動面21aおよび31aをより確実に潤滑することができる。
【0044】
(実施の形態4)
図7は、この発明の実施の形態4に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。図7を参照して、この発明の実施の形態4に従ったプロペラシャフト1では、ダストカバー60に取囲まれるようにスリンガー62が設けられている点で、実施の形態1に従ったプロペラシャフト1と異なる。ダストカバー60が回転すると第2の内部空間60i内の潤滑材70が第1の内部空間30iへ向かって移動するように潤滑材70を案内する案内部材がスリンガー62である。
【0045】
このように構成された、この発明の実施の形態4に従ったプロペラシャフト1でも、実施の形態1に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。さらに、プロペラシャフト1が回転したときに、潤滑材70はスリンガー62に案内されて第1の内部空間30iへ近づく方向に移動するため、摺動面21aおよび31aをより確実に潤滑することができる。
【0046】
(実施の形態5)
図8は、この発明の実施の形態5に従ったプロペラシャフトの一部断面を含む側面図である。図9は、図8で示すシャフトヨーク20の斜視図である。図8および図9を参照して、この発明の実施の形態5に従ったプロペラシャフト1では、スプライン歯25にディンプル25uが設けられている。図8のII−II線に沿った断面図は、図2で示される。
【0047】
この発明の実施の形態5に従ったプロペラシャフト1は、一方端30aと他方端30bとを有し、一方端30aと他方端30bとの間に第1の内部空間30iが形成されている第1の筒状体30と、第1の筒状体30の内部空間30iに摺動可能に他方端30b側から嵌まり合い、潤滑材70で摺動面21aが潤滑される部分を有する棒状体としてのシャフトヨーク20とを備える。第1の内部空間30iを規定する第1の筒状体30の摺動面31aと、シャフトヨーク20の摺動面21aとには、互いに噛み合うスプライン歯25および35が形成されており、スプライン歯25には、複数のディンプル25uが形成されている。
【0048】
ディンプル25uは、ほぼ同間隔を隔てて設けられているが、複数のディンプル25uが不等間隔で設けられていてもよい。ディンプルは、円形、楕円形、台形、長方形等のさまざまな形状とされることが可能である。この実施の形態5では、実施の形態1から4と異なり、第1の内部空間30iの内径と第2の内部空間60iの大小関係は特に制限されるものではなく、第1の内部空間30iの内径が第2の内部空間の内径よりも大きくても、小さくてもよい。
【0049】
このように構成された、実施の形態5に従ったプロペラシャフト1では、スプライン歯25にディンプル25uが存在するために、このディンプル25uが潤滑材の溜まり場(グリス溜り)となる。その結果、摺動面21aおよび31aが常に潤滑材70で潤滑されるので、信頼性の高いプロペラシャフト1を提供することができる。
【0050】
さらに、ディンプル25uは、第2の内部空間60iに溜まった潤滑材70を掻き出すことができるため、潤滑材70を循環させることができる。
【0051】
(実施の形態6)
図10は、この発明の実施の形態6に従ったプロペラシャフトで用いられるシャフトヨークの斜視図である。図10を参照して、この発明の実施の形態6に従ったシャフトヨーク20ではスプライン歯25に螺旋軌道を描くように複数のディンプル25uが設けられている点で、実施の形態5に従ったシャフトヨーク20と異なる。螺旋の向きは、車両が前進するようにシャフトヨーク20が回転すると、潤滑材が他方端30b側へ移動する向きであることが好ましい。
【0052】
このように構成されたシャフトヨーク20を用いれば、シャフトヨーク20の回転により潤滑材70を軸方向に移動させることができ、さらに潤滑材を効率よく循環させることができる。
【0053】
(実施の形態7)
図11は、この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフトで用いられるスプライン歯の断面図である。図11を参照して、実施の形態7では、ディンプル25uの角度が左右で異なる。すなわち、一方端30a側でディンプル25uの端部はスプライン歯25の表面に対して第1の角度θ1をなし、他方端30b側でディンプル25uの端部はスプライン歯25の表面に対して第1の角度θ1よりも小さい第2の角度θ2をなす。
【0054】
図12は、ディンプルの斜視図である。図12の(A)は、実施の形態6のディンプルの斜視図であり、図12の(B)は、実施の形態7のディンプルの斜視図である。図12の(A)を参照して、実施の形態6では、ディンプル25uの左右の角度はほぼ等しいのに対して、実施の形態7では、ディンプルの左右の角度は、非対称となっている。
【0055】
図13は、この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。図13を参照して、この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフト1では、スプライン歯25に、左右非対称形状のディンプルが形成されている。
【0056】
図14から図16は、図13で示すディンプルの作用を説明するために示す断面図である。図14から図16を参照して、スプライン歯25が矢印で示されるように、ダストカバー側へ挿入されるときには、ディンプル25uは、多くの潤滑材70を移動させない。これは、図11で示されるように、他方端30b側の角度θ2が小さいためである。これに対して、スプライン歯25が他方端30b側へ移動する場合には、角度θ1が大きいために、ディンプル25uに潤滑材70が引っかかり、潤滑材70が第2の内部空間60iから出されることになる。
【0057】
このように構成された、この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフト1では、実施の形態5に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。
【0058】
さらに、ディンプル25uが左右非対称形状であるため、第2の内部空間60iから潤滑材70を掻き出すことができ、第2の内部空間60iに潤滑材70が溜まりすぎることを防止できる。
【0059】
(実施の形態8)
図17は、この発明の実施の形態8に従ったプロペラシャフトで用いられるスプライン歯の斜視図である。図18は、図17中のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。図17および図18を参照して、この発明の実施の形態8に従ったスプライン歯25には、円形のディンプル25uが形成されている点で、実施の形態6に従ったスプライン歯25と異なる。実施の形態6および7では、ディンプル25uがスプライン歯25を横切っていたが、実施の形態8では、ディンプル25uはスプライン歯25を横切っていない。複数のディンプル25uは千鳥状に配置されているが、この配置に限られず、一直線上にディンプルが配置されていてもよい。
【0060】
このように構成されたスプライン歯25を備えたプロペラシャフトでは、実施の形態5に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。
【0061】
(実施の形態9)
図19は、この発明の実施の形態9に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。図19を参照して、この発明の実施の形態9に従ったプロペラシャフト1は、実施の形態1と7のプロペラシャフトを組み合わせた構造を有する。すなわち、プロペラシャフト1は、第1の筒状体30の一方端30a側に設けられて第1の内部空間30iに連なる第2の内部空間60iを有する封止部材としてのダストカバー60をさらに備える。第2の内部空間60iは、第1の内径R1よりも大きい第2の内径R2を有する。潤滑材70が第2の空間に溜まり、この潤滑材70をディンプル25uが掻き出すことで、摺動面21aおよび31aの潤滑を確保でき、信頼性の高いプロペラシャフト1となる。
【0062】
このように構成された実施の形態9に従ったプロペラシャフトでは、実施の形態1と7に従ったプロペラシャフトと同様の効果がある。なお、実施の形態1から4のいずれかと、実施の形態5から8のいずれかを組み合わせてもよい。
【0063】
以上、この発明の実施の形態について説明したが、ここで示した実施の形態はさまざまに変形することが可能である。まず、この発明で用いられるプロペラシャフトは、後輪駆動車のトランスミッションからリアデファレンシャルギアのI間で用いられるプロペラシャフトに限られず、四輪駆動車においてトランスファーからリアデファレンシャルギアの間で用いられるリアプロペラシャフトおよびトランスファーからフロントデファレンシャルギアの間で用いられるフロントプロペラシャフトのいずれにも採用することが可能である。
【0064】
また、プロペラシャフトの各部材を構成する材質としては、金属だけでなく、樹脂をも用いることができる。ただし、樹脂を用いた場合には、摩擦溶接が困難となるため、別の方法で2つの部材を接合する必要がある。
【0065】
さらに、プロペラシャフト1の端部にはユニバーサルジョイントが用いられたが、このユニバーサルジョイントを、公知の等速ジョイントに変更することも可能である。
【0066】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0067】
【発明の効果】
この発明に従えば、信頼性の高いプロペラシャフトおよびプロペラシャフト部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に従ったプロペラシャフトの一部断面を含む側面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿った断面図である。
【図3】軸方向に伸縮するプロペラシャフトを示す一部断面を含む側面図である。
【図4】図1中のIVで囲んだ部分を拡大して示す断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。
【図6】この発明の実施の形態3に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。
【図7】この発明の実施の形態4に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。
【図8】この発明の実施の形態5に従ったプロペラシャフトの一部断面を含む側面図である。
【図9】図8で示すシャフトヨーク20の斜視図である。
【図10】この発明の実施の形態6に従ったプロペラシャフトで用いられるシャフトヨークの斜視図である。
【図11】この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフトで用いられるスプライン歯の断面図である。
【図12】ディンプルの斜視図である。
【図13】この発明の実施の形態7に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。
【図14】図13で示すディンプルの作用を説明するために示す断面図である。
【図15】図13で示すディンプルの作用を説明するために示す断面図である。
【図16】図13で示すディンプルの作用を説明するために示す断面図である。
【図17】この発明の実施の形態8に従ったプロペラシャフトで用いられるスプライン歯の斜視図である。
【図18】図17中のXVIII−XVIII線に沿った断面図である。
【図19】この発明の実施の形態9に従ったプロペラシャフトの一部断面図である。
【符号の説明】
1 プロペラシャフト、20 シャフトヨーク、21 スライディングシャフト、22 カバー、25,35 スプライン歯、25u ディンプル、30 第1の筒状体、30a 一方端、30b 他方端、30i 第1の内部空間、31スライディングスリーブ、33,23,43,53 フランジ部、40 第2の筒状体、50a,50b,60a,60b、ユニバーサルジョイント部品、60 ダストカバー、60i 第2の内部空間。
Claims (9)
- 一方端と他方端とを有し、一方端と他方端との間には、潤滑材で潤滑される摺動面を有する第1の内径の第1の内部空間が形成されている筒状体と、
前記筒状体の一方端側に設けられて前記第1の内部空間に連なる第2の内部空間を有する封止部材とを備え、
前記第2の内部空間は、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する、プロペラシャフト部品。 - 前記第2の内部空間の内径は、前記第1の内部空間に近づくにつれて大きくなる、請求項1に記載のプロペラシャフト部品。
- 前記第2の内部空間を規定する前記封止部材の内周面には、螺旋形状が形成されている、請求項1に記載のプロペラシャフト部品。
- 前記封止部材が回転すると前記第2の内部空間内の潤滑材が前記第1の内部空間へ向かって移動するように潤滑材を案内する案内部材をさらに備えた、請求項1に記載のプロペラシャフト部品。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のプロペラシャフト部品と、
前記筒状体の内部空間に摺動可能に嵌まり合い、潤滑材で摺動面が潤滑される部分を有する棒状体とを備え、
前記第1の内部空間を規定する前記筒状体の摺動面と、前記棒状体の摺動面とには、互いに噛み合うスプライン歯が形成されている、プロペラシャフト。 - 一方端と他方端とを有し、一方端と他方端との間に第1の内径の第1の内部空間が形成されている筒状体と、
前記筒状体の内部空間に摺動可能に他方端側から嵌まり合い、潤滑材で摺動面が潤滑される部分を有する棒状体とを備え、
前記第1の内部空間を規定する前記筒状体の摺動面と、前記棒状体の摺動面とには、互いに噛み合うスプライン歯が形成されており、
前記棒状体のスプライン歯には、複数のディンプルが形成されている、プロペラシャフト。 - 前記棒状体の外周面には、前記棒状体の延びる方向に沿って複数の前記スプライン歯が形成されており、前記複数のスプライン歯には、螺旋軌道を描くように複数の前記ディンプルが形成されている、請求項6に記載のプロペラシャフト。
- 前記一方端側で前記ディンプル端部は前記スプライン歯表面に対して第1の角度をなし、他方端側で前記ディンプル端部は前記スプライン歯表面に対して前記第1の角度よりも小さい第2の角度をなす、請求項6または7に記載のプロペラシャフト。
- 前記筒状体の一方端側に設けられて前記第1の内部空間に連なる第2の内部空間を有する封止部材をさらに備え、
前記第2の内部空間は、前記第1の内径よりも大きい第2の内径を有する、請求項6から8のいずれか1項に記載のプロペラシャフト。
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JP2003159349A JP2004359087A (ja) | 2003-06-04 | 2003-06-04 | プロペラシャフト部品およびプロペラシャフト |
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US7963852B2 (en) | 2005-10-07 | 2011-06-21 | Jtekt Corporation | Spline shaft |
US8092314B2 (en) | 2006-09-13 | 2012-01-10 | Jtekt Corporation | Power transmission structure |
-
2003
- 2003-06-04 JP JP2003159349A patent/JP2004359087A/ja active Pending
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