JP2020034076A - 車両用動力伝達装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クリープ摩擦の発生を好適に抑制することができる車両用動力伝達装置を提供すること。【解決手段】車両用動力伝達装置1は、ケース11と、ケース11内に収容されるリダクション軸12と、リダクション軸12の外周面に外嵌される内輪21aとケース11に内嵌される外輪21bとを備える軸受21と、を有し、軸受21によりリダクション軸12をケース11に回転自在に支持するものであり、外輪21bの外周面は、ケース11にすきま嵌めされ、外輪21bの外周面がすきま嵌めされるケース11の内周面11aには、一端がケース11内に開口する潤滑溝11bが形成され、潤滑溝11bは、リダクション軸12の軸方向に対して、車両前進走行時に外輪21bの外周面が摺動する方向に傾斜して形成されている。【選択図】図1
Description
本発明は、車両用動力伝達装置に関する。
車両用動力伝達装置において、動力伝達軸の外周面に外嵌される内輪とケースに内嵌される外輪とを備える軸受により、動力伝達軸をケースに回転自在に支持する支持構造が知られている(例えば特許文献1)。
ここで、外輪の外周面がケースにすきま嵌めされていると、外輪の連れ回りにより、外輪の外周面とケースとの嵌め合い部においてクリープ摩擦が発生する。前記した特許文献1では、こうしたクリープ摩擦の発生を抑制するために、ケースの嵌め合い部に潤滑溝を設けることが開示されている。
しかしながら、特許文献1で開示されている支持構造では、例えば潤滑溝の一端側がケース内に開口され、この開口から潤滑溝に潤滑油を供給する場合、潤滑油が潤滑溝の他端側まで行き届きにくいという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、クリープ摩擦の発生を好適に抑制することができる車両用動力伝達装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両用動力伝達装置は、ケースと、前記ケース内に収容される動力伝達軸と、前記動力伝達軸の外周面に外嵌される内輪と前記ケースに内嵌される外輪とを備える軸受と、を有し、前記軸受により前記動力伝達軸を前記ケースに回転自在に支持する車両用動力伝達装置であって、前記外輪の外周面は、前記ケースにすきま嵌めされ、前記外輪の外周面がすきま嵌めされる前記ケースの内周面には、一端が前記ケース内に開口する潤滑溝が形成され、前記潤滑溝は、前記動力伝達軸の軸方向に対して、車両前進走行時に前記外輪の外周面が摺動する方向に傾斜して形成されていることを特徴とする。
これにより、本発明に係る車両用動力伝達装置は、潤滑溝が、動力伝達軸の軸方向に対して、車両前進走行時に外輪の外周面が摺動する方向に傾斜して形成されているため、潤滑油を潤滑溝の他端側まで行き届かせることができる。
本発明に係る車両用動力伝達装置によれば、潤滑油を潤滑溝の他端側まで行き届かせることができ、軸受の外輪とケースとの嵌め合い部における潤滑油の量を増やすことができるため、当該嵌め合い部におけるクリープ摩擦の発生を好適に抑制することができる。
本発明の実施形態に係る車両用動力伝達装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
本実施形態に係る車両用動力伝達装置1は、例えばハイブリッド車両に搭載され、図1に示すように、ケース11と、リダクション軸(動力伝達軸)12と、第二電動機MG2のロータ軸13と、リダクションギヤ16と、カウンタドリブンギヤ17と、軸受(例えば玉軸受)21,22,23,24と、を備えている。
ケース11内には、潤滑油が注入されている。また、ケース11内には、リダクション軸12およびロータ軸13が収容されている。リダクション軸12とロータ軸13とは、スプライン嵌合部15を介して接続されている。リダクション軸12には、斜歯からなるリダクションギヤ16が設けられている。このリダクションギヤ16は、図示しないカウンタ軸に形成されているカウンタドリブンギヤ17と噛み合っている。これにより、リダクション軸12と図示しないカウンタ軸とは、リダクションギヤ16およびカウンタドリブンギヤ17から構成されるギヤ対(斜歯歯車)を介して、動力伝達可能に接続されている。
リダクション軸12の軸方向の両端には、それぞれ軸受21,22が設けられている。これにより、リダクション軸12は、軸受21,22によって、ケース11に対して軸心C周りに回転可能に支持されている。
ロータ軸13の軸方向の両端には、それぞれ軸受23,24が設けられている。これにより、ロータ軸13は、軸受23,24によって、ケース11に対して軸心C周りに回転可能に支持されている。
軸受21は、具体的には、リダクション軸12の外周面に外嵌される内輪21aと、ケース11の内周面11aに内嵌される外輪21bと、を備えている。また、軸受22は、具体的には、リダクション軸12の外周面に外嵌される内輪22aと、ケース11の内周面11aに内嵌される外輪22bと、を備えている。また、図1では符号を省略したが、軸受23,24についても軸受21,22と同様に、ロータ軸13の外周面に外嵌される内輪と、ケース11の内周面11aに内嵌される外輪と、を備えている。
ここで、軸受21,22の外輪21b,22bの外周面は、ケース11にすきま嵌めされている。そして、これら外輪21b,22bの外周面がすきま嵌めされるケース11の内周面11aには、一端がケース11内に開口する潤滑溝が形成されている。
以下、軸受21の外輪21bがすきま嵌めされているケース11の内周面11aにおける潤滑溝の構成について、図2〜図5を参照しながら説明する。図2は、図1のX−X線断面の一部を抜き出して模式的に示した図である。同図において、軸受21は輪郭のみを図示し、リダクション軸12は図示を省略している。
潤滑溝11bは、ケース11の内周面11aの二カ所に所定深さで設けられている。これら二つの潤滑溝11bは、軸心Cに対して回転対称となる位置にそれぞれ設けられている。潤滑溝11bは、より具体的には図3に示すように、面圧の上昇を避けるために、リダクション軸12における負荷圏を避けた位置に設けられている。
ケース11の内周面11aの上側および下側に形成された潤滑溝11bは、各ギヤの噛み合い時に飛散する潤滑油を引き込むための溝として機能する。また、ケース11の内周面11aの上側に形成された潤滑溝11bは、軸受21の外輪21bとケース11との嵌め合い部(図2のD部参照)でクリープ摩擦が発生した際に生じる摩擦粉等の異物を、外部へと抜くための溝(空気抜け溝)としても機能する。ケース11の内周面11aの上側および下側に潤滑溝11bを設けることにより、下側の潤滑溝11bから導入された潤滑油が嵌め合い部に浸透し、上側まで吸い上がりやすくなる。また、下側から上側へと吸い上げられた摩擦粉等の異物を、スムーズに外部に排出することができる。
図4は、図2に示した軸受21の外輪21bに対して、矢視A方向から見た潤滑溝11bの形状を投影したものを示している。また、図5は、図2に示した軸受21の外輪21bに対して、矢視B方向から見た潤滑溝11bの形状を投影したものを示している。図4および図5において、潤滑溝11bの投影像はドットハッチングで図示している。
潤滑溝11bは、図4および図5に示すように、リダクション軸12の軸方向に対して、車両前進走行時に軸受21の外輪21bの外周面が摺動する方向に傾斜して形成されている。また、潤滑溝11bは、軸受21の一端側21cから他端側21dにわたって形成されている。このように、潤滑溝11bを、リダクション軸12の軸方向に対して、車両前進走行時に外輪21b,22bの外周面が摺動する方向に傾斜して形成することにより、潤滑油を潤滑溝11bの他端側まで行き届かせることができる。
また、前記した潤滑溝11bに代えて、図6および図7に示すような潤滑溝11Abをケース11の内周面11aに設けてもよい。図6は、図2に示した軸受21の外輪21bに対して、矢視A方向から見た潤滑溝11Abの形状を投影したものを示している。また、図7は、図2に示した軸受21の外輪21bに対して、矢視B方向から見た潤滑溝11Abの形状を投影したものを示している。図6および図7において、潤滑溝11Abの投影像はドットハッチングで図示している。
潤滑溝11Abは、図6および図7に示すように、リダクション軸12の軸方向に対して、車両前進走行時に軸受21の外輪21bの外周面が摺動する方向に傾斜して形成されている。また、潤滑溝11Abは、軸受21の他端側21dから外輪21bの幅の途中まで形成されている。このように、潤滑溝11Abを外輪21bの幅の途中まで形成することにより、ケース11の内周面11aと外輪21bとの間に介在する潤滑油を留めることができ、潤滑油が軸受21の外に流れ出て潤滑不足となることを抑制することができる。
以上説明したような本実施形態に係る車両用動力伝達装置1によれば、軸受21(22)の外輪21b(22b)とケース11の内周面11aとの嵌め合い部(図2のD部参照)における潤滑油の量を増やすことができるため、当該嵌め合い部におけるクリープ摩擦の発生を好適に抑制することができる。
以上、本発明に係る車両用動力伝達装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変等したものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
例えば、前記した実施形態において、潤滑溝11b,11Abは、ケース11の内周面11aの上側と下側にそれぞれ設けられていたが、潤滑溝11b,11Abを、ケース11の内周面11aの上側と下側のいずれか一方にのみ設けてもよい。
また、前記した実施形態では、軸受21の外輪21bがすきま嵌めされているケース11の内周面11aにおける潤滑溝11b(11Ab)について説明したが、軸受22の外輪22bがすきま嵌めされているケース11の内周面11aにおいても、潤滑溝11b(11Ab)を形成してもよい。
1 車両用動力伝達装置
11 ケース
11a 内周面
11b,11Ab 潤滑溝
12 リダクション軸(動力伝達軸)
13 ロータ軸
15 スプライン嵌合部
16 リダクションギヤ
17 カウンタドリブンギヤ
21,22,23,24 軸受
21a,22a 内輪
21b,22b 外輪
21c 一端側
21d 他端側
C 軸心
MG2 第二電動機
11 ケース
11a 内周面
11b,11Ab 潤滑溝
12 リダクション軸(動力伝達軸)
13 ロータ軸
15 スプライン嵌合部
16 リダクションギヤ
17 カウンタドリブンギヤ
21,22,23,24 軸受
21a,22a 内輪
21b,22b 外輪
21c 一端側
21d 他端側
C 軸心
MG2 第二電動機
Claims (1)
- ケースと、前記ケース内に収容される動力伝達軸と、前記動力伝達軸の外周面に外嵌される内輪と前記ケースに内嵌される外輪とを備える軸受と、を有し、前記軸受により前記動力伝達軸を前記ケースに回転自在に支持する車両用動力伝達装置であって、
前記外輪の外周面は、前記ケースにすきま嵌めされ、
前記外輪の外周面がすきま嵌めされる前記ケースの内周面には、一端が前記ケース内に開口する潤滑溝が形成され、
前記潤滑溝は、前記動力伝達軸の軸方向に対して、車両前進走行時に前記外輪の外周面が摺動する方向に傾斜して形成されていることを特徴とする車両用動力伝達装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018160551A JP2020034076A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 車両用動力伝達装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018160551A JP2020034076A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 車両用動力伝達装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2020034076A true JP2020034076A (ja) | 2020-03-05 |
Family
ID=69667577
Family Applications (1)
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JP2018160551A Pending JP2020034076A (ja) | 2018-08-29 | 2018-08-29 | 車両用動力伝達装置 |
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JP (1) | JP2020034076A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023112801A1 (ja) * | 2021-12-15 | 2023-06-22 | 株式会社アイシン | 駆動装置 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5774659U (ja) * | 1980-10-27 | 1982-05-08 | ||
JP2018119580A (ja) * | 2017-01-24 | 2018-08-02 | Ntn株式会社 | クリープ防止転がり軸受 |
-
2018
- 2018-08-29 JP JP2018160551A patent/JP2020034076A/ja active Pending
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