JP5236566B2 - 固定鋼管の円周溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固定鋼管、すなわちパイプライン等の敷設のため軸が水平な位置で保持された鋼管の円周溶接方法に係り、特にフラックス入りワイヤを用いて溶接欠陥のない健全な溶接部を得ることができる固定鋼管の円周溶接方法に関する。
水、天然ガスおよび石油等を遠隔地まで輸送するパイプラインおよび近接地を結ぶ配管設備は広く利用されており、鋼管製の管材は必要不可欠である。このような鋼材は使用目的によって種々の材料があるが、鋼管、特に炭素鋼からなる鋼管が最も多く使用されている。
鋼管の敷設工事の際には、突合せて固定されている2本の鋼管の端面同士を接合する円周溶接が必要である。円周溶接はたとえば円周の下端から上端まで半円周ずつ振り分けて溶接する場合、溶接の進行と共に上向、立向上進、さらに下向というように連続的に溶接姿勢が変化するので、このような姿勢の変化に対処できる溶接条件の採用が必要である。
このような固定鋼管の円周溶接としては、ソリッドワイヤを用いたガスシールドアーク溶接方法がある。例えば特開2000−218391号公報(特許文献1)に特定された成分を有するソリッドワイヤで溶接トーチを揺動しながら1層1パスの多層盛溶接する技術の記載がある。また、特開平10−216934号公報(特許文献2)には、特定成分のソリッドワイヤを用い溶接トーチの揺動なしで1層1パスの下進姿勢溶接で多層盛溶接を行う技術の開示がある。
これら引用文献1および引用文献2に記載のようにソリッドワイヤを用いて溶接した場合、特に上向姿勢および立向上進姿勢溶接部において溶融メタルが垂れやすくなる。また、開先角度が狭い(5〜30°)V開先であるので1層1パスの多層盛溶接においては開先壁面側に融合不良を生じやすくなる。
一方、フラックス入りワイヤを用いた固定鋼管の円周溶接においては、溶接時にワイヤ中に添加した高融点のスラグ剤が溶接金属よりも先に凝固して溶接金属を保持するので、上進姿勢溶接で溶融メタルの垂れが発生し難い溶接が可能となる。例えば、フラックス入りワイヤを用いた固定鋼管の円周溶接技術の開示が特開平11−129068号公報(特許文献3)にある。特許文献3の記載技術は、フラックス入りワイヤを用いて開先角度の狭い(10〜40°)V型の開先部を開先端部に沿って上進姿勢の振分で1層2パスの多層盛溶接をするというものである。しかし、特許文献3の技術においても開先壁面側に生じる融合不良やスラグ巻き込み欠陥を防止することはできないという問題があった。
特開2000−218391号公報 特開平10−216934号公報 特開平11−129068号公報
本発明は、ビード外観が良好で融合不良やスラグ巻き込みなどの溶接欠陥のない健全な溶接部を得ることができる固定鋼管の円周溶接方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、固定鋼管の円周溶接方法において、1層1パスの準備溶接とこれに続けて1層複数パスの本溶接を行なうものであり、前記本溶接はフラックス入りワイヤを用いて、溶接電流150〜280A、溶接速度15〜25cm/minで上進姿勢多層盛溶接として、開先壁面側のビードの積層は溶接トーチを板厚方向から開先壁面に対向する方向に15〜25°傾斜して前層ビードの止端部をワイヤ狙い位置として溶接し、開先内部側のビード積層は溶接トーチを板厚方向として前パスのビード止端部をワイヤ狙い位置として溶接し、同一層の最終パスは前パスのビードの止端部と他方のビードの止端部との間をワイヤ狙い位置として溶接することを特徴とする固定鋼管の円周溶接方法である。
ここにおいて、下層が60〜80°の広開先角度で上層が15〜25°の狭開先角度の2段開先を設け、前記準備溶接は初層または初層と2層はソリッドワイヤを用いTIGまたは消耗電極式ガスシールドアーク溶接で裏波溶接を行ない、さらに前記広開先角度の部分に対しフラックス入りワイヤを用いて溶接トーチを揺動して1層1パスの溶接を少なくとも1層行うものであることも特徴とする。
またフラックス入りワイヤは、ワイヤ全質量に対し質量%で、フラックスに、TiO:2.5〜7.5%、SiO:0.2〜0.9%、ZrO:0.05〜0.5%を含み、かつ鋼製外皮とフラックスの一方または両方に、AlとAlのAl換算値の合計:0.02〜0.9%を含有し、残部は、鋼製外皮のFe、鉄粉、合金剤、脱酸剤、アーク安定剤および不可避不純物であることも特徴とする。
本発明の固定鋼管の円周溶接方法によれば、ビード外観が良好で融合不良やスラグ巻き込みなどの溶接欠陥のない健全な溶接部を得ることができる。また、補修溶接をする必要がないので高能率な溶接が可能となる。
(a)は固定鋼管の円周継手の形状例を示す側面図であり、(b)はその溶接姿勢を説明する断面図である。 開先壁面側の溶接における溶接トーチの傾斜を示す断面図である。 図2に示す開先壁面と対向する開先壁面側の溶接における溶接トーチの傾斜を示す断面図である。 開先内部側の溶接におけるワイヤ狙い位置を示す断面図である。 層内の最終パスにおけるワイヤ狙い位置を示す断面図である。 次層の開先壁面側の溶接における溶接トーチの傾斜を示す断面図である。 最終層の積層を示す断面図である。 初層の裏波溶接ビードおよび次層の溶接トーチを揺動して1層1パスの溶接をする状況を示す断面図である。
本発明者らは、前記課題を解決するために固定鋼管の円周溶接方法について詳細に検討した。その結果、フラックス入りワイヤを用いて特定の溶接条件で上進姿勢の多層盛溶接をすることとした。そのさい開先壁面側の溶接におけるワイヤ狙い位置、開先内部側の溶接におけるワイヤ狙い位置、下層部の溶接方法および開先形状、さらにフラックス入りワイヤの成分組成を限定することによって融合不良やスラグ巻き込みなどの欠陥のない健全な溶接部が得られることを見出した。
本発明の固定鋼管の円周溶接は、初層溶接を含む数層からなる1層1パスの準備溶接と、これに続く1層複数パスの本溶接とを行なう。本溶接は多層盛溶接であって溶接継手断面の多くの部分を占める。以下、本溶接について溶接施工条件を限定した理由を詳細に説明する。
まず、図1(a)に示す固定鋼管1の円周開先2の溶接をフラックス入りワイヤを用いて図1(b)に示すように溶接トーチ3を鋼管1の円周方向に対して垂直にして上進姿勢多層盛溶接をする。これによって、フラックス入りワイヤ中に添加した高融点のスラグ剤が溶接金属よりも先に凝固して溶接金属を保持するので、上進姿勢溶接で溶融メタルの垂れが発生し難い溶接が可能となる。なお下進姿勢溶接を採用した場合、溶融スラグが溶接金属より先行してビード外観が不良でスラグ巻き込み欠陥も生じる。
溶接電流は、開先壁面側への溶け込みを得ることと溶融メタルが垂れないように150〜280Aとする。溶接電流が150A未満であると、特に開先壁面を十分に溶かすことができず、融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなり、また溶接能率が悪くなる。一方、溶接電流が280Aを超えると溶融メタルが垂れてビード外観が不良になるとともに、次層でこれを十分溶かしきれず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。
溶接速度は、開先壁面側への溶け込みを得ることと溶融メタルが垂れないように15〜25cm/minとする。溶接速度が15cm/min未満であると、溶融メタルが垂れてビード外観が不良になるとともに、次層でこれを十分溶かしきれず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。一方、溶接速度が25cm/minを超えると、特に開先壁面を十分に溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。
なお、ワイヤ径は上進姿勢多層盛溶接におけるアークの安定性およびビード外観から1.2mmまたは1.4mmとすることが好ましい。
また開先形状は、図2の開先断面図に示すように下層の開先角度αが60〜80°の広開先角度で、上層の開先角度βが15〜25°の狭開先角度の2段開先とする。下層の開先角度αが60°未満であると、準備溶接における初層の裏波溶接で裏ビードの形成が不均一となる。一方、下層の開先角度αが80°を超えると準備溶接においてフラックス入りワイヤを用いて溶接トーチを揺動して1層1パスの溶接をする時に溶融メタルが垂れやすくなる。上層の開先角度βが15°未満であると、開先壁面を十分に溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。また、上層の開先角度βが25°を超えると、開先断面積が広くなって溶接能率が悪くなる。
図2および図3に示すようにまず両方の開先壁面側の溶接を行なうが、開先壁面側のビードの積層は溶接トーチ3を板厚方向からの傾斜角度θとして開先壁面に対向する方向に15〜25°傾斜させ、前層ビードの止端部(趾端部)4をワイヤ狙い位置として溶接する。溶接トーチの傾斜角度θが15°未満であると、開先壁面を十分に溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。一方、溶接トーチの傾斜角度θが25°を超えると、溶接ビードが開先壁面に片寄ったビードとなり次のパスで十分にビードの止端部を溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。
なお、ワイヤ狙い位置は、前層ビード止端部4から開先内面側に2mm以内であることが開先壁面を十分に溶かせるので好ましく、2mmを超えると同一層のビード間で凹凸が生じて欠陥が発生するおそれがある。またワイヤ狙い位置が前パスのビード上になると開先壁面側のビード止端部に溶込み不良の欠陥が発生するおそれがある。
次に、図4に示すように、開先内部側のビード積層は溶接トーチ3を板厚方向として開先内部側のビード止端部5をワイヤ狙い位置として溶接する。これによって、開先内部側のビード止端部を十分に溶かすことができるとともに当該同一層全体のビード外観が良好になる。ワイヤ狙い位置が開先内部側のビード止端部5から開先壁面側のビード9側になると、凸ビードになってビード外観が不良になるとともに、次パスで該パスのビード止端部を溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。一方、ワイヤ狙い位置が開先内部側のビード止端部5から開先内部側になると、開先壁面側のビード9と該パスのビード止端部との間が凹状となり、次層の溶接において該凹部を溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。なお、開先内部側の溶接が3パス以上の場合は、次パスのワイヤ狙い位置を前パスのビード止端部として溶接する。
図5に示すように、同一層の最終パスの溶接は前パスビード10のビード止端部と他方のビードすなわち開先壁面側ビード11のビード止端部との間6をワイヤ狙い位置として溶接する。これによって前パスビードのビード止端部と開先壁面側ビードのビード止端部とを十分に溶かすことができるとともに当該同一層全体のビード外観が良好になる。同一層の最終パスのワイヤ狙い位置が前パスビードのビード止端部と開先壁面側ビードのビード止端部との間6からずれると、ずれた方向と反対側のビード止端部を十分溶かすことができず融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。
なお、たとえば同一層内の溶接パス数が5パスになる場合は、3パス目の溶接後、対向する開先壁面側ビードの開先内部側ビード止端部をワイヤ狙い位置として4パス目の溶接を行なう。そして同一層の最終パスの溶接となる5パス目は、3パス目のビード止端部と4パス目のビード止端部との間をワイヤの狙い位置として溶接すればよい。
次に図6に示すように、次層の開先壁面側の溶接は、溶接トーチ3を板厚方向から開先壁面に対向する方向に15〜25°傾斜して、前層ビードの止端部4をワイヤ狙い位置として行なう。さらに対向する開先壁面側の溶接、開先内部側の溶接、同一層の最終パスの溶接をして次層の溶接をする。また最終層は溶接トーチを板厚方向とし、順に前パスのビード止端部をワイヤ狙い位置として開先端部から溶接して、図7に示すようにビードを積層する。
以上が本溶接の溶接条件であるが、準備溶接は以下のように行なう。
初層または初層と2層目の溶接は、ソリッドワイヤを用いてTIGまたは消耗電極式ガスシールドアーク溶接で裏波溶接を行うことによって高能率に行なえる。消耗電極式ガスシールドアーク溶接で初層溶接を行う場合は、開先裏面に銅製裏当材を当てて裏波溶接を行う。なお、初層の溶接にフラックス入りワイヤを用いると、生成したスラグによって裏波ビードが不均一になり開先内面のスラグ剥離性も悪くなる。
図8に示すように、ソリッドワイヤを用いてTIGまたは消耗電極式ガスシールドアーク溶接で裏ビード7を形成した後、次層の広開先角度部の溶接はフラックス入りワイヤを用いて溶接トーチを揺動して1層1パスの溶接を少なくとも1層行う。広開先角度であるので開先面を十分に溶かすことができ融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じることがない。揺動なしで溶接すると開先角度が広いので凸状のビードになりやすい。なお揺動は開先幅方向の往復動で良く、揺動幅は5〜10mm程度とする。
以下、本発明の固定管の円周溶接に用いるフラックス入りワイヤの成分組成として特に好ましいものの限定理由を述べる。なお成分量はワイヤ全質量に対する質量%である。
TiOは、アーク安定剤であるとともに、スラグ剤の主成分である。溶接時に溶接金属を被包して大気から遮断するとともに、適度な粘性により溶接金属のビード形状を適正に保ち溶融メタルの垂れを防止する。TiOが2.5質量%(以下、%という)では、特に上向姿勢および立向姿勢溶接部で溶融メタルの垂れが生じやすくなる。一方、7.5%を超えると、スラグ量が過剰となりスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。したがって、TiOは2.5〜7.5%とする。
SiOは、溶融スラグの粘性を高めスラグ被包性を向上させる。SiOが0.2%未満であると、スラグの粘性が不足してスラグ被包性が不十分となり溶融メタルの垂れが生じやすくなる。一方、SiOが0.9%を超えると、溶融スラグの粘性が過剰となりスラグ剥離性が不良でビード形状が凸状となり融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。したがって、SiOは0.2〜0.9%とする。
ZrOは、溶融スラグの粘性および凝固温度を調整し、スラグ被包性を高める作用を有する。ZrOが0.05%未満であると、その効果が不十分で溶融メタルの垂れが生じやすくなる。一方、ZrOが0.5%を超えると、ビード形状が凸状となり融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。したがって、ZrOは0.05〜0.5%とする。
AlおよびAlは、ZrOと同様に溶融スラグの粘性および凝固温度を調整し、スラグ被包性を高める作用を有する。AlとAlのAl換算値の合計が0.05%未満であると、その効果が不十分で溶融メタルの垂れが生じやすくなる。一方、AlとAlのAl換算値の合計が0.7%を超えると、ビード形状が凸状となり融合不良やスラグ巻き込み欠陥が生じやすくなる。したがって、AlとAlのAl換算値の合計は0.05〜0.7%とする。
本発明に用いるフラックス入りワイヤは、前記成分の他、アークを安定にしスラグ剥離性を改善するためにフラックスにワイヤ全質量当り鉄粉:12%以下、Na化合物およびK化合物のNaおよびK換算値の合計:0.2%以下、弗素化合物のF換算値:0.15%以下、金属BiおよびBi酸化物のBi換算値:0.03%以下を使用できる。また、溶接金属の機械的性能を得るために脱酸剤として鋼製外皮およびフラックス成分との合計でC:0.04〜0.12%、Si:0.3〜1.0%、Mn:1.0〜3.5%の範囲で含有する。
また、溶接時のシールドガスは、アークの安定性とスパッタ発生の抑制のためにAr−5〜25%COの混合ガスであることが好ましい。
以下、実施例により本発明の効果をさらに詳細に説明する。
外径735mm、板厚31.8mmの鋼管を、ルートフェイス2mm、ギャップ3mm、広開先角度部高さを鋼管内面から20mm、狭開先角度部高さを鋼管表面から11.8mmとして、ガスシールドアーク自動溶接装置で表1に示す開先角度、溶接施工条件で表2に示すワイヤNo.W1のフラックス入りワイヤを用いて上進姿勢で多層盛溶接をした。シールドガスはAr−20%COの混合ガスとした。
なお予備溶接は、初層と2層目はJIS Z3316 TGT50のワイヤ径1.2mmのソリッドワイヤを用いてTIG溶接(溶接電流:90〜120A、シールドガス:100%Ar)で裏波溶接を行った。次いで表2に示すワイヤNo.W1のフラックス入りワイヤを用いて溶接トーチを揺動幅5〜10mmで揺動し、溶接電流200A、溶接速度18cm/minの溶接条件で2層の1層1パス盛の溶接を全ての試験No.の試料について行った。
Figure 0005236566
Figure 0005236566
溶接時の溶融メタルの垂れおよびビード外観を調べ、溶接後X透過試験で溶接欠陥の有無を調べた。その結果を表3に示す。表1および表3中試験No.1〜8が本発明例、試験No.9〜17は比較例である。
Figure 0005236566
本発明例である試験No.1〜8は、下層の開先角度、上層の開先角度、溶接電流、溶接速度、開先壁面側溶接のトーチ角度、開先内部側溶接のワイヤ狙い位置および層内最終パスのワイヤ狙い位置が適正であるので、溶融メタルの垂れがなく、ビード外観が良好で、融合不良やスラグ巻き込み欠陥がないなど極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.9は、下層の開先角度が狭いので初層の裏波ビードが不均一であった。また、溶接電流が低いので開先壁面側に欠陥が生じた。
試験No.10は溶接電流が高いので、また試験No.11は溶接速度が遅いので、いずれも溶融メタルが垂れて同一層のビード間で凹凸となり、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.12は溶接速度が早いので、また試験No.13は開先壁面側の溶接時に溶接トーチの傾斜が小さいので、いずれも開先壁面側に欠陥が生じた。
試験No.14は、開先壁面側の溶接時に溶接トーチの傾斜が大きいので開先壁面に片寄ったビードで、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.15は、開先内部側の溶接でワイヤの狙い位置が前パスのビード上であるので凸ビードとなり、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.16は、下層の開先角度が広いので1層1パスの揺動溶接部で溶融メタルが垂れた。また、開先内部側の溶接でワイヤの狙い位置が前パスのビード止端部から次パス側であるので同一層のビード間で凹凸となり、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.17は、同一層内最終パスのワイヤ狙い位置が前パスビード上であるので開先壁面側のビード止端部に欠陥が生じた。また、上層の開先角度が狭いので開先壁面との間にも欠陥が生じた。
表2に示すワイヤ径1.2mmの各種フラックス入りワイヤを用いて、表1の試験No.1に示す開先形状および溶接施工条件で溶接した。その他の条件は実施例1と同一とした。溶接時の溶融メタルの垂れ、スラグ剥離性およびビード外観を調べ、溶接後X透過試験で溶接欠陥の有無を調べた。その結果を表4に示す。表4中試験No.18〜21の本発明例とあるのは本発明において特に好ましいとする成分組成のもの、試験No.22〜25の比較例とあるのは上記成分組成から外れたものである。
Figure 0005236566
本発明例である試験No.18〜22は、用いたフラックス入りワイヤのワイヤNo.W1〜W4のTiO、SiO、ZrOおよびAlとAlのAl換算値の合計が適量で、開先形状および溶接施工条件も適正であるので、溶融メタルの垂れがなく、スラグ剥離性およびビード外観が良好で、融合不良やスラグ巻き込み欠陥がないなど極めて満足な結果であった。
比較例中試験No.22は、用いたワイヤNo.W5のTiOが少ないので溶融メタルの垂れが生じた。また、ZrOが多いので凸ビードとなり、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.23は、用いたワイヤNo.W6のAlとAlのAl換算値の合計が少ないので溶融メタルの垂れが生じた。また、TiOが多いので溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.24は、用いたワイヤNo.W7のSiOが少ないので溶融メタルの垂れが生じた。また、AlとAlのAl換算値の合計が多いので凸ビードとなり、溶接金属中央部に欠陥が生じた。
試験No.25は、用いたワイヤNo.W8のZrOが少ないので溶融メタルの垂れが生じた。また、SiOが多いので凸ビードとなり、スラグ剥離性が不良で溶接金属中央部に欠陥も生じた。
1 固定鋼管
2 円周開先
3 溶接トーチ
4 前層ビードの止端部
5 開先壁面側のビード止端部
6 前パスのビード止端部と開先壁面側のビード止端部との間
7 裏ビード

Claims (3)

  1. 固定鋼管の円周溶接方法において、1層1パスの準備溶接とこれに続けて1層複数パスの本溶接を行なうものであり、前記本溶接はフラックス入りワイヤを用いて、溶接電流150〜280A、溶接速度15〜25cm/minで上進姿勢多層盛溶接として、開先壁面側のビードの積層は溶接トーチを板厚方向から開先壁面に対向する方向に15〜25°傾斜して前層ビードの止端部をワイヤ狙い位置として溶接し、開先内部側のビード積層は溶接トーチを板厚方向として前パスのビード止端部をワイヤ狙い位置として溶接し、同一層の最終パスは前パスのビードの止端部と他方のビードの止端部との間をワイヤ狙い位置として溶接することを特徴とする固定鋼管の円周溶接方法。
  2. 下層が60〜80°の広開先角度で上層が15〜25°の狭開先角度の2段開先を設け、前記準備溶接は初層または初層と2層はソリッドワイヤを用いTIGまたは消耗電極式ガスシールドアーク溶接で裏波溶接を行ない、さらに前記広開先角度の部分に対しフラックス入りワイヤを用いて溶接トーチを揺動して1層1パスの溶接を少なくとも1層行うものであることを特徴とする請求項1に記載の固定鋼管の円周溶接方法。
  3. フラックス入りワイヤは、ワイヤ全質量に対し質量%で、フラックスに、TiO:2.5〜7.5%、SiO:0.2〜0.9%、ZrO:0.05〜0.5%を含み、かつ鋼製外皮とフラックスの一方または両方に、AlとAlのAl換算値の合計:0.02〜0.9%を含有し、残部は、鋼製外皮のFe、鉄粉、合金剤、脱酸剤、アーク安定剤および不可避不純物であることを特徴とする請求項1または2に記載の固定鋼管の円周溶接方法。
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