JPH07266039A - 鋼管の円周自動溶接方法 - Google Patents
鋼管の円周自動溶接方法Info
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- JPH07266039A JPH07266039A JP6397794A JP6397794A JPH07266039A JP H07266039 A JPH07266039 A JP H07266039A JP 6397794 A JP6397794 A JP 6397794A JP 6397794 A JP6397794 A JP 6397794A JP H07266039 A JPH07266039 A JP H07266039A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】本発明は、ラインパイプの現地溶接の鋼管の中
継ぎ溶接において、溶接欠陥の発生の少ない円周自動溶
接法を提供する。 【構成】 鋼管の現地溶接におけるオシレート条件を規
定する。特に積層溶接部の開先形状を限定し、各層毎の
開先幅に対するワイヤーの振動幅を設定し、且つ、90
〜120回/分の振動数でオシレートを行いながら振り
分けなしで溶接欠陥を少なくするガスシールドアーク自
動溶接方法。
継ぎ溶接において、溶接欠陥の発生の少ない円周自動溶
接法を提供する。 【構成】 鋼管の現地溶接におけるオシレート条件を規
定する。特に積層溶接部の開先形状を限定し、各層毎の
開先幅に対するワイヤーの振動幅を設定し、且つ、90
〜120回/分の振動数でオシレートを行いながら振り
分けなしで溶接欠陥を少なくするガスシールドアーク自
動溶接方法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は原油、天然ガスなどの輸
送手段としてのラインパイプの敷設現地における鋼管の
中継ぎ溶接であって、溶接欠陥の発生の少ない鋼管の円
周自動ガスシールドアーク溶接法に関するものである。
送手段としてのラインパイプの敷設現地における鋼管の
中継ぎ溶接であって、溶接欠陥の発生の少ない鋼管の円
周自動ガスシールドアーク溶接法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】世界の原油、天然ガスの枯渇傾向及びそ
れに伴なう採掘環境の変化によって、海上、陸上を問わ
ず上記ラインパイプの敷設は増加し、その敷設距離も近
距離から長距離になる傾向にある。一方、敷設に要する
期間もコストの観点から短縮することが期待され、とり
わけ現地での鋼管同士の中継ぎ溶接に要する時間の短縮
化が最も大きな課題である。このことは短時間での中継
ぎ溶接を可能とすることによって一日当たりの中継ぎ溶
接数を多くすることができ、長距離ラインパイプの工事
が敷設期間を大幅に短縮可能となり、その結果ラインパ
イプの敷設コストを低減することが可能となる。そのた
め、現地における中継ぎの溶接方法は各施工企業がそれ
ぞれ独特の方法を採用している。
れに伴なう採掘環境の変化によって、海上、陸上を問わ
ず上記ラインパイプの敷設は増加し、その敷設距離も近
距離から長距離になる傾向にある。一方、敷設に要する
期間もコストの観点から短縮することが期待され、とり
わけ現地での鋼管同士の中継ぎ溶接に要する時間の短縮
化が最も大きな課題である。このことは短時間での中継
ぎ溶接を可能とすることによって一日当たりの中継ぎ溶
接数を多くすることができ、長距離ラインパイプの工事
が敷設期間を大幅に短縮可能となり、その結果ラインパ
イプの敷設コストを低減することが可能となる。そのた
め、現地における中継ぎの溶接方法は各施工企業がそれ
ぞれ独特の方法を採用している。
【0003】図3(a)〜(d)は、代表的な鋼管の現
地での中継ぎ溶接用の開先形状を示し、表1にこの開先
形状を用いた溶接方法及び各溶接法別の40インチ外
径、管厚み0.625インチを500km施工した場合の
溶接施工の時間比較例を示す。
地での中継ぎ溶接用の開先形状を示し、表1にこの開先
形状を用いた溶接方法及び各溶接法別の40インチ外
径、管厚み0.625インチを500km施工した場合の
溶接施工の時間比較例を示す。
【表1】 (a)はAPI規格開先形状に対するハイセルローズ系
の手溶接、(b)は同種の開先形状に対してフラックス
入りワイヤー(ノンガスワイヤーあるいはセルフシール
ドワイヤーともいわれる)を用いた半自動溶接の例を示
すものである。しかしこの開先形状では開先断面積が大
きいためトータル・マン・アワーが多くなり、施工能率
があまり良好とはいえない。また本溶接法は溶接者の技
量にその溶接品質が左右されるため多くの実績を有する
ものの熟練溶接者の確保が困難な昨今では特別な仕様が
ない限り減少する傾向はさけられない状況にある。
の手溶接、(b)は同種の開先形状に対してフラックス
入りワイヤー(ノンガスワイヤーあるいはセルフシール
ドワイヤーともいわれる)を用いた半自動溶接の例を示
すものである。しかしこの開先形状では開先断面積が大
きいためトータル・マン・アワーが多くなり、施工能率
があまり良好とはいえない。また本溶接法は溶接者の技
量にその溶接品質が左右されるため多くの実績を有する
ものの熟練溶接者の確保が困難な昨今では特別な仕様が
ない限り減少する傾向はさけられない状況にある。
【0004】一方、施工能率の向上と熟練度をそれほど
必要としない中継ぎ溶接方法としてガスシールドアーク
溶接による自動溶接法の採用されるケースが増加してい
る。この方法は鋼管の円周方向に走行可能な溶接台車、
更にその上に溶接電極を搭載し、溶接条件を予めセット
することによって自動溶接が可能な方法である。この方
法の特徴は自動溶接が可能なためにAPIの開先形状よ
りも断面積を大幅に小さくできるため、(c)及び
(d)に示すように初層裏波溶接部の突合せ開先形状は
別として特に積層溶接部の突合せ開先形状は、その角度
も小さく、また開先幅も極力狭くすることが可能であ
る。しかし、現地溶接は特にはそれ自体が小入熱の多層
溶接であること、更に溶接が内層側から外層側となるに
したがって開先幅が徐々に広くなることから、開先形状
と各層に適した溶接条件、例えば電流、電圧はもちろん
のこと、オシレート有無及び条件、振り分け有無などの
判断によっては溶込底部の隅部や開先の溶込壁部に融合
不良などの溶接欠陥を発生しやすいという問題がある。
必要としない中継ぎ溶接方法としてガスシールドアーク
溶接による自動溶接法の採用されるケースが増加してい
る。この方法は鋼管の円周方向に走行可能な溶接台車、
更にその上に溶接電極を搭載し、溶接条件を予めセット
することによって自動溶接が可能な方法である。この方
法の特徴は自動溶接が可能なためにAPIの開先形状よ
りも断面積を大幅に小さくできるため、(c)及び
(d)に示すように初層裏波溶接部の突合せ開先形状は
別として特に積層溶接部の突合せ開先形状は、その角度
も小さく、また開先幅も極力狭くすることが可能であ
る。しかし、現地溶接は特にはそれ自体が小入熱の多層
溶接であること、更に溶接が内層側から外層側となるに
したがって開先幅が徐々に広くなることから、開先形状
と各層に適した溶接条件、例えば電流、電圧はもちろん
のこと、オシレート有無及び条件、振り分け有無などの
判断によっては溶込底部の隅部や開先の溶込壁部に融合
不良などの溶接欠陥を発生しやすいという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記した従来
の問題点を解決すべくなされたものであって、ラインパ
イプの敷設現場などにおいて、鋼管同士の中継ぎ溶接に
際し、溶接欠陥の発生の少ない円周自動溶接法を提供す
ることを目的とするものである。
の問題点を解決すべくなされたものであって、ラインパ
イプの敷設現場などにおいて、鋼管同士の中継ぎ溶接に
際し、溶接欠陥の発生の少ない円周自動溶接法を提供す
ることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、以下の構成を要旨とする。 (1)鋼管の相対する管端面同士を中継ぎ溶接するライ
ンパイプの現地溶接において、その突合せ開先の形状が
ルートギャップ0.5〜1.0mm、ルートフェース厚み
0.5〜1.5mm、ルート部裏波溶接部の角度が80〜
100度、該角度で扇状となる頂部の突合せ開先幅が5
〜7mm、更に外表面の突合せ開先幅が10〜12mmとな
るような現地溶接用開先に対して外面側から初層裏波
(ルートパス)溶接、次に最終層前までの積層(フィラ
ーパス)溶接、更に最終層の(キャップパス)溶接する
ことを特徴とする鋼管の円周自動ガスシールドアーク溶
接法。及び、(2)積層溶接において、ワイヤーを該開
先底部の開先幅よりも1.0〜3.0mm少ないオシレー
ト振り幅で、且つ90〜120回/分の振動数でオシレ
ートを行いながら振り分けなしでガスシールドアーク溶
接することを特徴とする前記(1)記載の鋼管の円周自
動ガスシールドアーク溶接法。
するために、以下の構成を要旨とする。 (1)鋼管の相対する管端面同士を中継ぎ溶接するライ
ンパイプの現地溶接において、その突合せ開先の形状が
ルートギャップ0.5〜1.0mm、ルートフェース厚み
0.5〜1.5mm、ルート部裏波溶接部の角度が80〜
100度、該角度で扇状となる頂部の突合せ開先幅が5
〜7mm、更に外表面の突合せ開先幅が10〜12mmとな
るような現地溶接用開先に対して外面側から初層裏波
(ルートパス)溶接、次に最終層前までの積層(フィラ
ーパス)溶接、更に最終層の(キャップパス)溶接する
ことを特徴とする鋼管の円周自動ガスシールドアーク溶
接法。及び、(2)積層溶接において、ワイヤーを該開
先底部の開先幅よりも1.0〜3.0mm少ないオシレー
ト振り幅で、且つ90〜120回/分の振動数でオシレ
ートを行いながら振り分けなしでガスシールドアーク溶
接することを特徴とする前記(1)記載の鋼管の円周自
動ガスシールドアーク溶接法。
【0007】更に本発明において、鋼管を中継ぎ溶接す
るに際しては以下の条件を採用することが好ましい。即
ち、オシレート方法はワイヤーを平行に移動するよりも
振子型にする方がアークの安定性及び開先内の底部や開
先壁部の融合不良欠陥の発生防止の観点から好ましい。
溶接チップ先端からのワイヤー突き出し長さは短すぎて
も、長すぎてもアークの安定性が劣るため15〜20mm
程度の長さにすることが好ましい。オシレート振り幅の
中心位置は開先幅の中心位置となるようにすることが融
合不良欠陥などのない良品質な溶接部を得るために好ま
しい。オシレート振り幅の設定は、突合せ開先形状の幾
何学的な計算法によっても可能であるが、溶接熱による
開先収縮が生ずるためそのつど開先幅を測定して設定し
た方が好ましい。ワイヤーオシレートの振り幅はオシレ
ートさせた状態で左右のワイヤー中心間距離を測定しな
がら設定することが好ましい。
るに際しては以下の条件を採用することが好ましい。即
ち、オシレート方法はワイヤーを平行に移動するよりも
振子型にする方がアークの安定性及び開先内の底部や開
先壁部の融合不良欠陥の発生防止の観点から好ましい。
溶接チップ先端からのワイヤー突き出し長さは短すぎて
も、長すぎてもアークの安定性が劣るため15〜20mm
程度の長さにすることが好ましい。オシレート振り幅の
中心位置は開先幅の中心位置となるようにすることが融
合不良欠陥などのない良品質な溶接部を得るために好ま
しい。オシレート振り幅の設定は、突合せ開先形状の幾
何学的な計算法によっても可能であるが、溶接熱による
開先収縮が生ずるためそのつど開先幅を測定して設定し
た方が好ましい。ワイヤーオシレートの振り幅はオシレ
ートさせた状態で左右のワイヤー中心間距離を測定しな
がら設定することが好ましい。
【0008】以下本発明を詳細に説明する。図1に本発
明の開先形状を示す。通常、UOEなどで製造される鋼
管は長手シーム方向の内外面を両面1パス潜弧溶接法な
どで溶接された後、拡管矯正機(通常Expともいう)
で全長にわたって真円度の良好な形状にされる。その後
更に、鋼管の両管端部は鋼管の敷設現地での鋼管同士の
中継ぎ溶接を前提とした現地溶接用の開先が各管端毎に
管端開先加工機で加工される。この管端の開先形状は、
(ア)ラインパイプの工事の発注元が規格によって指定
を行うケース、(イ)工事の受注側が自動溶接法を採用
するためにその自動溶接に適合した開先形状を工事の発
注元が指定してくるケース、(ウ)更には鋼管の製造元
がラインパイプの敷設現場での現地溶接性を考慮した鋼
管の利用加工技術として独自の開先形状を提示するケー
スなどがあり、特に最近では、前述したような現地での
熟練溶接者の不足や溶接施工能率を重視する観点から、
(ウ)のケースに対応した技術の開発が積極的に行われ
るようになってきている。
明の開先形状を示す。通常、UOEなどで製造される鋼
管は長手シーム方向の内外面を両面1パス潜弧溶接法な
どで溶接された後、拡管矯正機(通常Expともいう)
で全長にわたって真円度の良好な形状にされる。その後
更に、鋼管の両管端部は鋼管の敷設現地での鋼管同士の
中継ぎ溶接を前提とした現地溶接用の開先が各管端毎に
管端開先加工機で加工される。この管端の開先形状は、
(ア)ラインパイプの工事の発注元が規格によって指定
を行うケース、(イ)工事の受注側が自動溶接法を採用
するためにその自動溶接に適合した開先形状を工事の発
注元が指定してくるケース、(ウ)更には鋼管の製造元
がラインパイプの敷設現場での現地溶接性を考慮した鋼
管の利用加工技術として独自の開先形状を提示するケー
スなどがあり、特に最近では、前述したような現地での
熟練溶接者の不足や溶接施工能率を重視する観点から、
(ウ)のケースに対応した技術の開発が積極的に行われ
るようになってきている。
【0009】本発明は(ウ)にかかわるもので、その特
徴とするところは、第一に現地溶接用の突合せ開先形状
を前記の通りとしたことである。特に初層溶接後の多層
溶接となる積層溶接部の開先幅を5〜7mm、外表面の開
先幅は10〜12mmの範囲とした。その理由は、積層溶
接部の底部の開先幅が上記の範囲未満の場合は開先幅が
狭すぎて溶接ビードが梨型ビードの形状となりやすく、
溶接金属に凝固割れなどの欠陥が発生しやすくなる。ま
た7mm超の場合は凝固割れの観点からは有利となるが、
開先幅が広くなるに従い開先断面積も大きくなるため溶
接積層数が増加して能率が極端に低くなる。一方、上部
の開先幅を上記の範囲とした理由は、10mm未満の場合
は底部の開先幅との差が少なくなりすぎるために開先の
壁が垂直に近くなり、壁に融合不良欠陥の発生が多くな
りやすい。また12mm超の場合になると、オシレートの
振り幅を広くする必要が生ずるために溶接能率が低くな
るからである。
徴とするところは、第一に現地溶接用の突合せ開先形状
を前記の通りとしたことである。特に初層溶接後の多層
溶接となる積層溶接部の開先幅を5〜7mm、外表面の開
先幅は10〜12mmの範囲とした。その理由は、積層溶
接部の底部の開先幅が上記の範囲未満の場合は開先幅が
狭すぎて溶接ビードが梨型ビードの形状となりやすく、
溶接金属に凝固割れなどの欠陥が発生しやすくなる。ま
た7mm超の場合は凝固割れの観点からは有利となるが、
開先幅が広くなるに従い開先断面積も大きくなるため溶
接積層数が増加して能率が極端に低くなる。一方、上部
の開先幅を上記の範囲とした理由は、10mm未満の場合
は底部の開先幅との差が少なくなりすぎるために開先の
壁が垂直に近くなり、壁に融合不良欠陥の発生が多くな
りやすい。また12mm超の場合になると、オシレートの
振り幅を広くする必要が生ずるために溶接能率が低くな
るからである。
【0010】図2は上記突合せ開先形状での積層溶接時
における特定の深さ部位での開先幅と本発明法によるワ
イヤーのオシレート振り幅の設定例を示す。本発明では
このように開先の特定深さ部位の開先幅よりも1.0〜
3.0mm少ないオシレート振り幅で(以下幅差とい
う)、且つ90〜120回/分の振動数でオシレートを
行いながら振り分けなしでガスシールドアーク溶接する
ことを第二の特徴とする。この方法は、本発明者らが開
先幅に対するオシレート条件を溶接欠陥の観点から検討
した結果見出したもので、上記条件の範囲内において積
層溶接での発生欠陥が最も少なかった。
における特定の深さ部位での開先幅と本発明法によるワ
イヤーのオシレート振り幅の設定例を示す。本発明では
このように開先の特定深さ部位の開先幅よりも1.0〜
3.0mm少ないオシレート振り幅で(以下幅差とい
う)、且つ90〜120回/分の振動数でオシレートを
行いながら振り分けなしでガスシールドアーク溶接する
ことを第二の特徴とする。この方法は、本発明者らが開
先幅に対するオシレート条件を溶接欠陥の観点から検討
した結果見出したもので、上記条件の範囲内において積
層溶接での発生欠陥が最も少なかった。
【0011】以下、具体的にその設定方法を記述する。
まず開先の中心にオシレートの中心を合せた後溶接チッ
プの先端が適正なワイヤーエクステンションを確保でき
る位置まで溶接トーチ高さを調整する。次にインチング
によりワイヤーを送給し、ワイヤーの先端が前層ビード
に当たる直前のところで送給を止める。更にオシレート
を稼働させ、前層のビード部直上の開先幅とオシレート
されたワイヤー先端の中心間距離との幅差が1.0〜
3.0mmの範囲となるようオシレート幅の設定を終了す
る。幅差を上記の範囲とした理由は、幅差が1.0mm未
満の場合は溶接アークが開先の壁に偏向する傾向が強く
なり極端な場合はアークが不安定となり、底部に融合不
良欠陥が多く発生する。また逆に幅差が3.0mmを超え
ると開先の壁側に対するアークの作用が不足し開先の底
の隅部に融合不良欠陥が生じやすくなる。
まず開先の中心にオシレートの中心を合せた後溶接チッ
プの先端が適正なワイヤーエクステンションを確保でき
る位置まで溶接トーチ高さを調整する。次にインチング
によりワイヤーを送給し、ワイヤーの先端が前層ビード
に当たる直前のところで送給を止める。更にオシレート
を稼働させ、前層のビード部直上の開先幅とオシレート
されたワイヤー先端の中心間距離との幅差が1.0〜
3.0mmの範囲となるようオシレート幅の設定を終了す
る。幅差を上記の範囲とした理由は、幅差が1.0mm未
満の場合は溶接アークが開先の壁に偏向する傾向が強く
なり極端な場合はアークが不安定となり、底部に融合不
良欠陥が多く発生する。また逆に幅差が3.0mmを超え
ると開先の壁側に対するアークの作用が不足し開先の底
の隅部に融合不良欠陥が生じやすくなる。
【0012】次に上記開先形状に対してそのオシレート
回数は90〜120回/分の範囲とする。オシレート回
数を上記の範囲とした理由は、回数が90回/分未満の
場合ではオシレート毎に形成されるビード同士がお互い
に独立して形成される傾向が強まり健全な中継ぎ溶接ビ
ード形状を確保することが困難となる。また逆に120
回/分超ではアーク点の移動が速くなりすぎるために溶
接スパッターの飛散が激しくなるとともに、アーク点直
下の部分が十分に溶融されないために融合不良欠陥も助
長される傾向が強くなる。更に振り分けなしとした理由
は、振り分け溶接の場合にはどの層から又はどの程度の
オシレート条件を適用したらよいか溶接施工者が判断に
困るからである。その点本発明法によれば開先幅を測定
することによってオシレート条件が設定可能となり溶接
熟練者の勘をあまり必要としない現地溶接施工ができる
方法である。
回数は90〜120回/分の範囲とする。オシレート回
数を上記の範囲とした理由は、回数が90回/分未満の
場合ではオシレート毎に形成されるビード同士がお互い
に独立して形成される傾向が強まり健全な中継ぎ溶接ビ
ード形状を確保することが困難となる。また逆に120
回/分超ではアーク点の移動が速くなりすぎるために溶
接スパッターの飛散が激しくなるとともに、アーク点直
下の部分が十分に溶融されないために融合不良欠陥も助
長される傾向が強くなる。更に振り分けなしとした理由
は、振り分け溶接の場合にはどの層から又はどの程度の
オシレート条件を適用したらよいか溶接施工者が判断に
困るからである。その点本発明法によれば開先幅を測定
することによってオシレート条件が設定可能となり溶接
熟練者の勘をあまり必要としない現地溶接施工ができる
方法である。
【0013】
【実施例】鋼管厚み25.4mm、鋼管外径24インチ、
管長さ300mm材の管端に現地溶接用の突合せ開先形状
として表2に示す形状の試験体を用い、表3に示す溶接
材料、条件の組合せで中継ぎ溶接試験を実施した。開先
の突合せ隙間(ルートギャップ)は初層の良好な裏波ビ
ードを得るためにすべて0.5〜1.0mmになるように
管内面側から拘束板で管体を拘束した。また裏波溶接部
には全周にわたって裏波形状を加工した銅製の裏当金を
拘束板との隙間にクサビで固定した。更にその管体の試
験体を現地溶接試験用のポジショナーにセットし、管体
は水平に固定してMAG用の溶接トーチを円周方向に回
転させながら溶接試験を実施した。用いた溶接電源は直
流の棒プラス、パルス無しであり、ワイヤーのオシレー
ト機構はすべて両端停止時間ゼロとして試験した。
管長さ300mm材の管端に現地溶接用の突合せ開先形状
として表2に示す形状の試験体を用い、表3に示す溶接
材料、条件の組合せで中継ぎ溶接試験を実施した。開先
の突合せ隙間(ルートギャップ)は初層の良好な裏波ビ
ードを得るためにすべて0.5〜1.0mmになるように
管内面側から拘束板で管体を拘束した。また裏波溶接部
には全周にわたって裏波形状を加工した銅製の裏当金を
拘束板との隙間にクサビで固定した。更にその管体の試
験体を現地溶接試験用のポジショナーにセットし、管体
は水平に固定してMAG用の溶接トーチを円周方向に回
転させながら溶接試験を実施した。用いた溶接電源は直
流の棒プラス、パルス無しであり、ワイヤーのオシレー
ト機構はすべて両端停止時間ゼロとして試験した。
【0014】溶接はまず初層の裏波(ルートパス)溶接
をすべての試験体とも同一の溶接条件で行い、次に積層
(フィラーパス)溶接では各試験体の各層の溶接毎に前
層のビード直上の開先幅の実測を行い、開先幅に対する
オシレートの振り幅とオシレートの回数を設定して溶接
を実施した。この場合、同一試験体に対するオシレート
の振り幅は各層の開先幅と幅差が一定となるように、ま
たオシレート回数も同一試験体の場合は一定に条件に設
定して溶接した。なお、オシレート無しも比較のため一
部試験した。溶接はすべて6時位置からの上進溶接とし
た。積層溶接後、最終層(キャップパス)の溶接を同一
溶接条件で実施した。なお上記の溶接はすべて振り分け
なしの溶接とした。試験溶接後、中継ぎ溶接部のX線検
査及び溶接金属の側曲げ試験を実施して溶接結果を評価
した。
をすべての試験体とも同一の溶接条件で行い、次に積層
(フィラーパス)溶接では各試験体の各層の溶接毎に前
層のビード直上の開先幅の実測を行い、開先幅に対する
オシレートの振り幅とオシレートの回数を設定して溶接
を実施した。この場合、同一試験体に対するオシレート
の振り幅は各層の開先幅と幅差が一定となるように、ま
たオシレート回数も同一試験体の場合は一定に条件に設
定して溶接した。なお、オシレート無しも比較のため一
部試験した。溶接はすべて6時位置からの上進溶接とし
た。積層溶接後、最終層(キャップパス)の溶接を同一
溶接条件で実施した。なお上記の溶接はすべて振り分け
なしの溶接とした。試験溶接後、中継ぎ溶接部のX線検
査及び溶接金属の側曲げ試験を実施して溶接結果を評価
した。
【0015】表4に評価結果をまとめて示す。溶接欠陥
長さ率は溶接線の全長に対するX線フィルム上の欠陥の
総長さの割合で示した。また側曲げ試験はJIS法に準
拠して実施し、特に問題のないものはOK、曲げ表面部
に溶接欠陥を起点とする開口部の観察されたものはNO
で示した。
長さ率は溶接線の全長に対するX線フィルム上の欠陥の
総長さの割合で示した。また側曲げ試験はJIS法に準
拠して実施し、特に問題のないものはOK、曲げ表面部
に溶接欠陥を起点とする開口部の観察されたものはNO
で示した。
【0016】比較材としてフィラーパスの全層をオシレ
ート無しで溶接した記号Gは最も溶接欠陥長さ率が高
く、曲げ試験においても大きな開口を呈した。溶接欠陥
はそのほとんどが融合不良欠陥で特にフィラーパスの3
層目以降では同断面の左右の開先隅部にも観察された。
このことは開先幅の広がりに対するオシレート無し溶接
での限界があることを示している。
ート無しで溶接した記号Gは最も溶接欠陥長さ率が高
く、曲げ試験においても大きな開口を呈した。溶接欠陥
はそのほとんどが融合不良欠陥で特にフィラーパスの3
層目以降では同断面の左右の開先隅部にも観察された。
このことは開先幅の広がりに対するオシレート無し溶接
での限界があることを示している。
【0017】またオシレート有でも幅差が0.0mm、オ
シレート回数が60回/分の記号Hは開先の壁とオシレ
ートによるワイヤーとの距離が近すぎるためにアークが
開先の壁側に引き寄せられ、その結果かえって開先の隅
部分に融合不良欠陥の発生が頻発した。更にオシレート
回数が60回/分と遅いため、オシレート毎のビード谷
間に溶接欠陥が発生した。その傾向は120回/分と速
くすることによって記号Iは改善はみられるものの依然
として幅差が0.0mmでは融合不良欠陥は皆無とはなら
なかった。
シレート回数が60回/分の記号Hは開先の壁とオシレ
ートによるワイヤーとの距離が近すぎるためにアークが
開先の壁側に引き寄せられ、その結果かえって開先の隅
部分に融合不良欠陥の発生が頻発した。更にオシレート
回数が60回/分と遅いため、オシレート毎のビード谷
間に溶接欠陥が発生した。その傾向は120回/分と速
くすることによって記号Iは改善はみられるものの依然
として幅差が0.0mmでは融合不良欠陥は皆無とはなら
なかった。
【0018】また幅差が1.0mmで且つオシレート回数
が60回/分の記号Jは開先の隅部分の欠陥はやや減少
傾向を示したが、オシレート回数が遅いためにビード間
の谷間に欠陥が認められた。一方、幅差が2.0mmでオ
シレート回数が150回/分の記号Kはオシレート回数
が速すぎるためスパッターの発生が多く且つアーク点の
移動が速すぎるために溶接が不安定となり溶接欠陥が散
発傾向を示した。更に幅差が3.0mm、オシレート回数
60回/分の記号Lはオシレート回数が遅いことによっ
て記号Jと同様な結果が得られた。幅差が4.0mm、オ
シレート回数90回/分の記号Mはオシレート回数起因
による欠陥は認められないが、オシレートの幅差を4.
0mmに設定したため、つまり開先の壁とオシレートによ
るワイヤーとの距離が大きくなりすぎたために隅部に融
合不良欠陥が発生した。
が60回/分の記号Jは開先の隅部分の欠陥はやや減少
傾向を示したが、オシレート回数が遅いためにビード間
の谷間に欠陥が認められた。一方、幅差が2.0mmでオ
シレート回数が150回/分の記号Kはオシレート回数
が速すぎるためスパッターの発生が多く且つアーク点の
移動が速すぎるために溶接が不安定となり溶接欠陥が散
発傾向を示した。更に幅差が3.0mm、オシレート回数
60回/分の記号Lはオシレート回数が遅いことによっ
て記号Jと同様な結果が得られた。幅差が4.0mm、オ
シレート回数90回/分の記号Mはオシレート回数起因
による欠陥は認められないが、オシレートの幅差を4.
0mmに設定したため、つまり開先の壁とオシレートによ
るワイヤーとの距離が大きくなりすぎたために隅部に融
合不良欠陥が発生した。
【0019】それに対して幅差を1.0〜3.0mm、且
つオシレート回数を90〜120回/分とした本発明方
法による記号A〜記号F材は、融合不良欠陥の発生も全
くなくまた側曲げ試験結果も良好であった。
つオシレート回数を90〜120回/分とした本発明方
法による記号A〜記号F材は、融合不良欠陥の発生も全
くなくまた側曲げ試験結果も良好であった。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によればラ
インパイプなどの敷設現場において溶接欠陥の少ない中
継ぎ溶接部を安定して得ることができる。
インパイプなどの敷設現場において溶接欠陥の少ない中
継ぎ溶接部を安定して得ることができる。
【図1】本発明による開先形状を示す。
【図2】積層溶接時における特定の深さ部位での開先幅
と本発明によるワイヤーのオシレート振り幅の設定方法
を示す図。
と本発明によるワイヤーのオシレート振り幅の設定方法
を示す図。
【図3】(a),(b),(c),(d)は代表的な鋼
管中継ぎ溶接用の開先形状を示す。
管中継ぎ溶接用の開先形状を示す。
フロントページの続き (72)発明者 木本 勇 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内
Claims (2)
- 【請求項1】 鋼管の相対する管端面同士を中継ぎ溶接
するラインパイプの現地溶接での突合せ開先の形状にお
いて、ルート部裏波溶接部で扇状となる頂部の突合せ開
先幅が5〜7mm、更に外表面の突合せ開先幅が10〜1
2mmとなるような現地溶接用開先に対して外面側から初
層裏波(ルートパス)溶接、次に最終層前までの積層
(フィラーパス)溶接、更に最終層の(キャップパス)
溶接することを特徴とする鋼管の円周自動ガスシールド
アーク溶接法。 - 【請求項2】 積層溶接において、ワイヤーを該開先底
部の開先幅よりも1.0〜3.0mm少ないオシレート振
り幅で、且つ90〜120回/分の振動数でオシレート
を行いながら振り分けなしでガスシールドアーク溶接す
ることを特徴とする請求項1記載の鋼管の円周自動ガス
シールドアーク溶接法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6397794A JPH07266039A (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 鋼管の円周自動溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6397794A JPH07266039A (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 鋼管の円周自動溶接方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07266039A true JPH07266039A (ja) | 1995-10-17 |
Family
ID=13244859
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6397794A Withdrawn JPH07266039A (ja) | 1994-03-31 | 1994-03-31 | 鋼管の円周自動溶接方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07266039A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1177299A (ja) * | 1997-09-12 | 1999-03-23 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 金属管の溶接方法 |
JP2010253511A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 固定鋼管の円周溶接方法 |
CN103048055A (zh) * | 2012-12-19 | 2013-04-17 | 上海锅炉厂有限公司 | 一种外表面带半u形温度测点套管座结构及焊接工艺 |
CN103586566A (zh) * | 2013-10-23 | 2014-02-19 | 中国石油天然气集团公司 | 双金属复合管半自动氩弧焊接方法 |
JP2021065902A (ja) * | 2019-10-23 | 2021-04-30 | 株式会社ダイヘン | 多層盛り溶接方法 |
-
1994
- 1994-03-31 JP JP6397794A patent/JPH07266039A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH1177299A (ja) * | 1997-09-12 | 1999-03-23 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 金属管の溶接方法 |
JP2010253511A (ja) * | 2009-04-24 | 2010-11-11 | Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd | 固定鋼管の円周溶接方法 |
CN103048055A (zh) * | 2012-12-19 | 2013-04-17 | 上海锅炉厂有限公司 | 一种外表面带半u形温度测点套管座结构及焊接工艺 |
CN103586566A (zh) * | 2013-10-23 | 2014-02-19 | 中国石油天然气集团公司 | 双金属复合管半自动氩弧焊接方法 |
CN103586566B (zh) * | 2013-10-23 | 2015-11-18 | 中国石油天然气集团公司 | 双金属复合管半自动氩弧焊接方法 |
JP2021065902A (ja) * | 2019-10-23 | 2021-04-30 | 株式会社ダイヘン | 多層盛り溶接方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20010605 |