JP2002178153A - 極厚鋼の狭開先多層盛りアーク溶接方法 - Google Patents
極厚鋼の狭開先多層盛りアーク溶接方法Info
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- JP2002178153A JP2002178153A JP2000376065A JP2000376065A JP2002178153A JP 2002178153 A JP2002178153 A JP 2002178153A JP 2000376065 A JP2000376065 A JP 2000376065A JP 2000376065 A JP2000376065 A JP 2000376065A JP 2002178153 A JP2002178153 A JP 2002178153A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 簡易な溶接装置を用いて開先壁面近傍での融
合不良等による溶接欠陥を抑制できる溶接能率および溶
接品質に優れた狭開先多層盛りアーク溶接方法を提供す
る。 【解決手段】 各溶接パスの溶接線を分割することによ
り複数の溶接区分を形成し、その溶接区分毎に溶接トー
チを用いて開先内の底部から上部へ順次一層づつ溶接区
分長さの溶接を繰り返し行うとともに、隣接する溶接ビ
ードまたはタブ材がない側の当該溶接パスの溶接ビード
端部を、その溶接ビード端部とその直下にある前溶接パ
スの溶接ビード端部がなす直線が溶接線に対して傾斜角
をもつように調整することを特徴とする極厚鋼板の狭開
先多層盛りアーク溶接方法。
合不良等による溶接欠陥を抑制できる溶接能率および溶
接品質に優れた狭開先多層盛りアーク溶接方法を提供す
る。 【解決手段】 各溶接パスの溶接線を分割することによ
り複数の溶接区分を形成し、その溶接区分毎に溶接トー
チを用いて開先内の底部から上部へ順次一層づつ溶接区
分長さの溶接を繰り返し行うとともに、隣接する溶接ビ
ードまたはタブ材がない側の当該溶接パスの溶接ビード
端部を、その溶接ビード端部とその直下にある前溶接パ
スの溶接ビード端部がなす直線が溶接線に対して傾斜角
をもつように調整することを特徴とする極厚鋼板の狭開
先多層盛りアーク溶接方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製橋梁の桁や建
築構造物の柱等に用いられる板厚が30mm以上あるい
は50mm以上の極厚鋼板またはH形鋼を突き合わせ溶
接する際に、主に適用される10〜20mm程度の狭開
先幅で溶接を行う狭開先溶接方法に関する。
築構造物の柱等に用いられる板厚が30mm以上あるい
は50mm以上の極厚鋼板またはH形鋼を突き合わせ溶
接する際に、主に適用される10〜20mm程度の狭開
先幅で溶接を行う狭開先溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築構造物の大型化・高層化の進展に伴
い、それに使用される鉄骨の極厚化が進んでいる。極厚
鋼板の多くは、現地での溶接が要求されるため、現場施
工条件の変動要因に影響されない信頼性の高い溶接技術
の開発が求められている。
い、それに使用される鉄骨の極厚化が進んでいる。極厚
鋼板の多くは、現地での溶接が要求されるため、現場施
工条件の変動要因に影響されない信頼性の高い溶接技術
の開発が求められている。
【0003】従来の一般的な鋼材の突き合わせ溶接とし
ては、図5に示すように被溶接材1a、1bの突き合わ
せ部に開き角γが30〜60°程度の開先2を形成し、
溶接トーチを用いて、その開先内の底部から上部かけて
一層づつ溶接線方向4に沿った溶接を繰り返して複層溶
接ビード3を形成する多層盛りアーク溶接が多用されて
いる。
ては、図5に示すように被溶接材1a、1bの突き合わ
せ部に開き角γが30〜60°程度の開先2を形成し、
溶接トーチを用いて、その開先内の底部から上部かけて
一層づつ溶接線方向4に沿った溶接を繰り返して複層溶
接ビード3を形成する多層盛りアーク溶接が多用されて
いる。
【0004】しかし、このような広い開先角で多層盛り
アーク溶接する方法では、被溶接材の板厚の増加ととも
に、開先断面積が急激に増加し溶接パス回数が増加する
(例えば、板厚100mmの極厚鋼板では数十パスもの
多層盛りが必要となる)ため、溶接能率が著しく低下す
るという問題が生じる。
アーク溶接する方法では、被溶接材の板厚の増加ととも
に、開先断面積が急激に増加し溶接パス回数が増加する
(例えば、板厚100mmの極厚鋼板では数十パスもの
多層盛りが必要となる)ため、溶接能率が著しく低下す
るという問題が生じる。
【0005】このような極厚鋼板の多層盛りアーク溶接
時の溶接能率の低下を改善策の一つとして、図6に示す
ように被溶接材1a、1bの突き合わせ部に開先角γが
0〜5°程度の狭い開先2を形成することにより開先断
面積を小さくして溶接する狭開先多層盛りアーク溶接法
が知られている。
時の溶接能率の低下を改善策の一つとして、図6に示す
ように被溶接材1a、1bの突き合わせ部に開先角γが
0〜5°程度の狭い開先2を形成することにより開先断
面積を小さくして溶接する狭開先多層盛りアーク溶接法
が知られている。
【0006】しかしながら、狭開先多層盛りアーク溶接
法では、溶接トーチ5の先端部に設けられている溶接チ
ップ6が開先壁面7に接触しやすくなり、これを防ぐた
めには必然的に溶接トーチ5および溶接ワイヤ8の揺動
範囲9が制限されるために、溶接ワイヤ8から発する溶
接アーク10が開先壁面7近傍に届き難くなる。その結
果、開先壁面7の近傍で溶接金属との融合不良等による
溶接欠陥11が発生しやすくなるという問題が生じる。
例えば、溶接時に当該溶接パス12の下層の下地ビード
が溶融金属の偏り等で不整ビード13となった状態で、
当該溶接パス12の溶接を行う場合には、当該溶接パス
12の溶融金属が下層の不整ビード13の角部に溶け込
まれずに融合不良による溶接欠陥11が発生する。
法では、溶接トーチ5の先端部に設けられている溶接チ
ップ6が開先壁面7に接触しやすくなり、これを防ぐた
めには必然的に溶接トーチ5および溶接ワイヤ8の揺動
範囲9が制限されるために、溶接ワイヤ8から発する溶
接アーク10が開先壁面7近傍に届き難くなる。その結
果、開先壁面7の近傍で溶接金属との融合不良等による
溶接欠陥11が発生しやすくなるという問題が生じる。
例えば、溶接時に当該溶接パス12の下層の下地ビード
が溶融金属の偏り等で不整ビード13となった状態で、
当該溶接パス12の溶接を行う場合には、当該溶接パス
12の溶融金属が下層の不整ビード13の角部に溶け込
まれずに融合不良による溶接欠陥11が発生する。
【0007】従来から、このような極厚鋼材を狭開先で
多層盛りアーク溶接する際の融合不良等の問題を改善す
る技術が種々提案されている。
多層盛りアーク溶接する際の融合不良等の問題を改善す
る技術が種々提案されている。
【0008】例えば、特開昭53−81453号公報に
は、ワイヤ送給管が溶接トーチの中を貫通し軸を中心に
回転可能なように設け、その先端にワイヤ送給管の中心
軸に対して傾斜しているワイヤ導出孔を持つ溶接ノズル
を取り付けた消耗電極式狭開先アーク溶接装置について
記載されている。そして、その溶接装置のワイヤ送給管
およびその先端の溶接ノズルをワイヤ送給管の中心軸の
周りに回転させることにより、溶接ノズルの軸に対して
偏向したワイヤ導出孔から導出した溶接ワイヤから発生
する溶接アークの先端位置の移動範囲を開先幅方向で拡
張させ、開先壁面近傍の融合不良による溶接欠陥を抑制
する方法が開示されている。
は、ワイヤ送給管が溶接トーチの中を貫通し軸を中心に
回転可能なように設け、その先端にワイヤ送給管の中心
軸に対して傾斜しているワイヤ導出孔を持つ溶接ノズル
を取り付けた消耗電極式狭開先アーク溶接装置について
記載されている。そして、その溶接装置のワイヤ送給管
およびその先端の溶接ノズルをワイヤ送給管の中心軸の
周りに回転させることにより、溶接ノズルの軸に対して
偏向したワイヤ導出孔から導出した溶接ワイヤから発生
する溶接アークの先端位置の移動範囲を開先幅方向で拡
張させ、開先壁面近傍の融合不良による溶接欠陥を抑制
する方法が開示されている。
【0009】また、特昭開60−21181号公報で
は、高周波誘導加熱コイルを用いて溶接ワイヤを加熱・
軟化させた後、曲げ癖を加えて屈曲ワイヤとし、屈曲ワ
イヤを送給することにより開先内での溶接アークを揺動
させながら溶接し、これにより開先壁面への溶接金属の
溶け込みを向上させることが開示されている。
は、高周波誘導加熱コイルを用いて溶接ワイヤを加熱・
軟化させた後、曲げ癖を加えて屈曲ワイヤとし、屈曲ワ
イヤを送給することにより開先内での溶接アークを揺動
させながら溶接し、これにより開先壁面への溶接金属の
溶け込みを向上させることが開示されている。
【0010】これらの溶接アークを開先内で揺動させる
溶接方法は、特定の開先条件では、開先壁面近傍での融
合不良を防止することができ良好な溶接品質を確保する
ことができる。しかしながら、開先壁面での開先幅方向
への溶け込み深さ(図6の14)が1mm程度と小さい
ため、現場で溶接する際の外乱要因により開先条件や溶
接ワイヤ送給条件が変動した場合には融合不良等の溶接
欠陥が発生しやすい。また、これらの方法では、いずれ
もトーチ回転機構や溶接ワイヤの屈曲機構等の複雑な機
構を備えた溶接装置を用いるため、それらの溶接装置の
操作性やメインテナンス性に難がある。
溶接方法は、特定の開先条件では、開先壁面近傍での融
合不良を防止することができ良好な溶接品質を確保する
ことができる。しかしながら、開先壁面での開先幅方向
への溶け込み深さ(図6の14)が1mm程度と小さい
ため、現場で溶接する際の外乱要因により開先条件や溶
接ワイヤ送給条件が変動した場合には融合不良等の溶接
欠陥が発生しやすい。また、これらの方法では、いずれ
もトーチ回転機構や溶接ワイヤの屈曲機構等の複雑な機
構を備えた溶接装置を用いるため、それらの溶接装置の
操作性やメインテナンス性に難がある。
【0011】このように従来の狭開先アーク溶接方法
は、溶接能率に優れているものの、現地溶接での外乱要
因などにより溶接品質上の信頼性が低いという問題があ
った。
は、溶接能率に優れているものの、現地溶接での外乱要
因などにより溶接品質上の信頼性が低いという問題があ
った。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術の問題
点に鑑みて、本発明は、極厚鋼材の狭開先多層盛りアー
ク溶接方法において、簡易な溶接装置を用いて開先壁面
近傍での融合不良等による溶接欠陥を抑制できる溶接能
率および溶接品質に優れた狭開先多層盛りアーク溶接方
法を提供することを目的とする。
点に鑑みて、本発明は、極厚鋼材の狭開先多層盛りアー
ク溶接方法において、簡易な溶接装置を用いて開先壁面
近傍での融合不良等による溶接欠陥を抑制できる溶接能
率および溶接品質に優れた狭開先多層盛りアーク溶接方
法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するものであり、その要旨とするところは、以下の通
りである。
決するものであり、その要旨とするところは、以下の通
りである。
【0014】(1) 被溶接材に狭い開先幅の開先を形
成し、溶接トーチを用いて開先内を底部から上部へ順次
一層づつ各溶接パスの溶接線に沿った溶接を繰り返すこ
とによってなされる極厚鋼材の狭開先多層盛りアーク溶
接方法において、前記の各溶接パスの溶接線を分割する
ことにより複数の溶接区分を形成し、その溶接区分毎に
溶接トーチを用いて開先内の底部から上部へ順次一層づ
つ溶接区分長さの溶接を繰り返し行うとともに、隣接す
る溶接ビードまたはタブ材がない側の当該溶接パスの溶
接ビード端部を、その溶接ビード端部とその直下にある
前溶接パスの溶接ビード端部がなす直線が溶接線に対し
て傾斜角をもつように調整することを特徴とする極厚鋼
板の狭開先多層盛りアーク溶接方法。
成し、溶接トーチを用いて開先内を底部から上部へ順次
一層づつ各溶接パスの溶接線に沿った溶接を繰り返すこ
とによってなされる極厚鋼材の狭開先多層盛りアーク溶
接方法において、前記の各溶接パスの溶接線を分割する
ことにより複数の溶接区分を形成し、その溶接区分毎に
溶接トーチを用いて開先内の底部から上部へ順次一層づ
つ溶接区分長さの溶接を繰り返し行うとともに、隣接す
る溶接ビードまたはタブ材がない側の当該溶接パスの溶
接ビード端部を、その溶接ビード端部とその直下にある
前溶接パスの溶接ビード端部がなす直線が溶接線に対し
て傾斜角をもつように調整することを特徴とする極厚鋼
板の狭開先多層盛りアーク溶接方法。
【0015】(2) 前記溶接区分長さを50〜150
mmとし、かつ前記傾斜角を30〜60°とすることを
特徴とする上記(1)に記載の極厚鋼板の狭開先多層盛
りアーク溶接方法。
mmとし、かつ前記傾斜角を30〜60°とすることを
特徴とする上記(1)に記載の極厚鋼板の狭開先多層盛
りアーク溶接方法。
【0016】
【発明の実施の形態】一般に狭開先多層盛りアーク溶接
法では、図7に示すように、被溶接材1aの突き合わせ
部に10〜20mm程度の狭い開先幅の開先を形成し、
溶接トーチ5を用いて、開先内の底部から上部かけて順
番に一層づつ溶接線15の全長に亘る溶接を繰り返すこ
とによる多層盛り溶接を行う。この際に、先に述べたよ
うに開先幅が狭いために開先幅方向での溶接トーチ5お
よび溶接ワイヤ8の揺動範囲9が制限され、開先壁面7
の近傍で入熱不足による溶融金属の融合不良が発生しや
すくなる。また、各溶接パス毎に溶接線15の全長を溶
接するために、溶接線15が長くなるほど、当該溶接パ
ス12の下層の下地ビード16が冷却されやすくなり、
その結果、溶接時に入熱不足により開先壁面7への溶け
込み深さが浅くなるため、開先壁面7の近傍での融合不
良等による溶接欠陥の発生を助長することとなる。従来
法として知られている曲げ癖を付与した溶接ワイヤの使
用や溶接トーチの揺動等の方法では、開先壁面への溶け
込み深さが1mm程度と小さいため、このような溶接線
15の長大化などの開先条件が変わった場合の開先壁面
付近の融合不良等による溶接欠陥の発生を抑制すること
は困難であり、良好な溶接品質を安定して得ることは困
難であった。
法では、図7に示すように、被溶接材1aの突き合わせ
部に10〜20mm程度の狭い開先幅の開先を形成し、
溶接トーチ5を用いて、開先内の底部から上部かけて順
番に一層づつ溶接線15の全長に亘る溶接を繰り返すこ
とによる多層盛り溶接を行う。この際に、先に述べたよ
うに開先幅が狭いために開先幅方向での溶接トーチ5お
よび溶接ワイヤ8の揺動範囲9が制限され、開先壁面7
の近傍で入熱不足による溶融金属の融合不良が発生しや
すくなる。また、各溶接パス毎に溶接線15の全長を溶
接するために、溶接線15が長くなるほど、当該溶接パ
ス12の下層の下地ビード16が冷却されやすくなり、
その結果、溶接時に入熱不足により開先壁面7への溶け
込み深さが浅くなるため、開先壁面7の近傍での融合不
良等による溶接欠陥の発生を助長することとなる。従来
法として知られている曲げ癖を付与した溶接ワイヤの使
用や溶接トーチの揺動等の方法では、開先壁面への溶け
込み深さが1mm程度と小さいため、このような溶接線
15の長大化などの開先条件が変わった場合の開先壁面
付近の融合不良等による溶接欠陥の発生を抑制すること
は困難であり、良好な溶接品質を安定して得ることは困
難であった。
【0017】そこで、本発明者らは、狭開先多層盛りア
ーク溶接法において、特に開先壁面近傍での溶け込み深
さの拡大を図り良好な溶接品質を安定して得られる方法
を鋭意検討した。
ーク溶接法において、特に開先壁面近傍での溶け込み深
さの拡大を図り良好な溶接品質を安定して得られる方法
を鋭意検討した。
【0018】その結果、狭開先多層盛りアーク溶接時の
各溶接バスの溶接長を調整することにより、当該溶接パ
スの下層の下地ビードの冷却を抑制し、下地ビードの保
有熱を利用することにより当該溶接パスの溶接時の入熱
量を向上させ、よって開先壁面付近での溶け込み深さを
拡大できることが判った。
各溶接バスの溶接長を調整することにより、当該溶接パ
スの下層の下地ビードの冷却を抑制し、下地ビードの保
有熱を利用することにより当該溶接パスの溶接時の入熱
量を向上させ、よって開先壁面付近での溶け込み深さを
拡大できることが判った。
【0019】本発明は、この知見を基になされたもので
あり、従来のような溶接ワイヤの曲げ癖を付与するため
の機能またはトーチの回転、揺動したりするための機能
等の複雑な機能を用いず、簡便な溶接装置を用いて良好
な溶接効率とともに溶接品質に優れた極厚鋼材の狭開先
多層盛りアーク溶接を実現可能となる。
あり、従来のような溶接ワイヤの曲げ癖を付与するため
の機能またはトーチの回転、揺動したりするための機能
等の複雑な機能を用いず、簡便な溶接装置を用いて良好
な溶接効率とともに溶接品質に優れた極厚鋼材の狭開先
多層盛りアーク溶接を実現可能となる。
【0020】本発明の詳細を図1および図2を用いて説
明する。
明する。
【0021】図1に本発明の極厚鋼板の狭開先溶接方法
の概略図を示す。
の概略図を示す。
【0022】本発明は、被溶接材1aに狭い開先幅の開
先を形成し、溶接トーチ5を用いて、開先内を底部から
上部へ順次一層づつ溶接方向4に沿った溶接を繰り返す
ことによりなされる多層盛り溶接において、各溶接パス
の溶接線15を分割することにより複数の溶接区分を形
成し、その溶接区分毎に開先内の底部から上部へ順次一
層づつ溶接区分長さLの溶接を繰り返し行うものであ
る。
先を形成し、溶接トーチ5を用いて、開先内を底部から
上部へ順次一層づつ溶接方向4に沿った溶接を繰り返す
ことによりなされる多層盛り溶接において、各溶接パス
の溶接線15を分割することにより複数の溶接区分を形
成し、その溶接区分毎に開先内の底部から上部へ順次一
層づつ溶接区分長さLの溶接を繰り返し行うものであ
る。
【0023】また、溶接区分毎に開先内の底部から上部
へ順次多層盛り溶接を行う場合、例えば、図1の前溶接
パス18の溶接終了点F1と当該溶接パス17の溶接開
始点S2、さらに当該溶接パス17の溶接終了点F2と
次溶接パス19の溶接開始点S3がそれぞれ折り返し点
として各溶接パスの溶接方向の向きを交互に変えながら
連続的に溶接するとともに、隣接する溶接ビードがない
側(フリー側)の当該溶接パス17の溶接ビード端部
(ここでは溶接終了点F2)を、その当該溶接パス17
の溶接ビード端部(ここでは溶接終了点F2)とその直
下にある前溶接パス18の溶接ビード端部(ここでは溶
接開始点S1)がなす直線(ここでは、直線F2−S
1)が溶接線15に対して傾斜角度αをもつように調整
する。
へ順次多層盛り溶接を行う場合、例えば、図1の前溶接
パス18の溶接終了点F1と当該溶接パス17の溶接開
始点S2、さらに当該溶接パス17の溶接終了点F2と
次溶接パス19の溶接開始点S3がそれぞれ折り返し点
として各溶接パスの溶接方向の向きを交互に変えながら
連続的に溶接するとともに、隣接する溶接ビードがない
側(フリー側)の当該溶接パス17の溶接ビード端部
(ここでは溶接終了点F2)を、その当該溶接パス17
の溶接ビード端部(ここでは溶接終了点F2)とその直
下にある前溶接パス18の溶接ビード端部(ここでは溶
接開始点S1)がなす直線(ここでは、直線F2−S
1)が溶接線15に対して傾斜角度αをもつように調整
する。
【0024】以上のように、本発明では、各溶接パスの
溶接線15を分割することにより複数の溶接区分を形成
し、その溶接区分毎に開先内の底部から上部へ順次一層
づつ溶接区分長さLの溶接を繰り返し行うことにより、
溶接線15の長さ(開先長さ)の長大化に伴う当該溶接
パス17下層の下地ビード16(前溶接パス18の溶接
ビード)の冷却およびそれによる当該溶接パス17溶接
時の入熱不足を抑制でき、開先壁面付近での溶け込み深
さを拡大し、開先壁面付近の融合不良等の溶接欠陥の発
生が少ない良好溶接品質を安定して得ることができる。
また、各溶接区分においてフリー側の各溶接ビードの端
部を通る直線と溶接線15がなす傾斜角度αが所定角度
となるようにすることにより、各溶接区分毎に多層盛り
溶接する際にフリー側の各溶接ビード端部にセラミック
ス等の当て材を設置しなくても溶接時の溶接金属の垂れ
を防ぐことができ、かつ隣り合う溶接ビードとの継ぎ部
の融合不良などの溶接欠陥を防止することができる。
溶接線15を分割することにより複数の溶接区分を形成
し、その溶接区分毎に開先内の底部から上部へ順次一層
づつ溶接区分長さLの溶接を繰り返し行うことにより、
溶接線15の長さ(開先長さ)の長大化に伴う当該溶接
パス17下層の下地ビード16(前溶接パス18の溶接
ビード)の冷却およびそれによる当該溶接パス17溶接
時の入熱不足を抑制でき、開先壁面付近での溶け込み深
さを拡大し、開先壁面付近の融合不良等の溶接欠陥の発
生が少ない良好溶接品質を安定して得ることができる。
また、各溶接区分においてフリー側の各溶接ビードの端
部を通る直線と溶接線15がなす傾斜角度αが所定角度
となるようにすることにより、各溶接区分毎に多層盛り
溶接する際にフリー側の各溶接ビード端部にセラミック
ス等の当て材を設置しなくても溶接時の溶接金属の垂れ
を防ぐことができ、かつ隣り合う溶接ビードとの継ぎ部
の融合不良などの溶接欠陥を防止することができる。
【0025】図2には、本発明法を用いて各溶接区分毎
に多層盛り溶接する際の各溶接区分における溶接長(溶
接区分長さL)および各溶接ビード端部がなす傾斜角度
αと溶接欠陥の発生状況との関係を示す。
に多層盛り溶接する際の各溶接区分における溶接長(溶
接区分長さL)および各溶接ビード端部がなす傾斜角度
αと溶接欠陥の発生状況との関係を示す。
【0026】溶接区分長さLが150mmを超えると当
該溶接パス下層の下地ビードが冷却され、当該溶接時に
入熱不足となり開先壁面付近に溶融金属の融合不良によ
る溶接欠陥が発生し、また、溶接区分長さLが50mm
未満になると、当該溶接パス下層の下地ビードの温度が
高すぎるために当該溶接時に溶融金属の垂れが生じる。
該溶接パス下層の下地ビードが冷却され、当該溶接時に
入熱不足となり開先壁面付近に溶融金属の融合不良によ
る溶接欠陥が発生し、また、溶接区分長さLが50mm
未満になると、当該溶接パス下層の下地ビードの温度が
高すぎるために当該溶接時に溶融金属の垂れが生じる。
【0027】また、当該溶接区分のフリー側(隣接する
溶接ビードがない側)の各溶接ビード端部がなす傾斜角
度αが60°を超えると、溶接時に溶融金属の垂れが生
じ、傾斜角度αが30°未満となると、隣り合う溶接ビ
ードとの継ぎ部で溶接欠陥が発生する。
溶接ビードがない側)の各溶接ビード端部がなす傾斜角
度αが60°を超えると、溶接時に溶融金属の垂れが生
じ、傾斜角度αが30°未満となると、隣り合う溶接ビ
ードとの継ぎ部で溶接欠陥が発生する。
【0028】以上の理由から、本発明では、溶接区分毎
に開先内の底部から上部へ順次多層盛り溶接を行う場合
の各溶接区分の溶接区分長さLを50〜150mmと
し、各溶接区分のフリー側(隣接する溶接ビードがない
側)の各溶接ビード端部がなす傾斜角度αを30〜60
°にそれぞれ規定する。
に開先内の底部から上部へ順次多層盛り溶接を行う場合
の各溶接区分の溶接区分長さLを50〜150mmと
し、各溶接区分のフリー側(隣接する溶接ビードがない
側)の各溶接ビード端部がなす傾斜角度αを30〜60
°にそれぞれ規定する。
【0029】
【実施例】鋼種SM490の板厚100mm、板幅50
0mmの鋼材の突き合わせ部に開先を形成し、開先部を
ワイヤ径がφ1.6mmの60kg鋼用のソリッドワイ
ヤ(YGW23)を用い、80%Ar−20%CO2の
混合ガスによりシールドして本発明法と従来法により多
層盛りアーク溶接を行った。
0mmの鋼材の突き合わせ部に開先を形成し、開先部を
ワイヤ径がφ1.6mmの60kg鋼用のソリッドワイ
ヤ(YGW23)を用い、80%Ar−20%CO2の
混合ガスによりシールドして本発明法と従来法により多
層盛りアーク溶接を行った。
【0030】従来法としては、開先角度40°の広い開
先で溶接パス回数が約80パスの広開先多層盛りアーク
溶接と開先角度5°の狭い開先で曲げ癖を付与した溶接
ワイヤを用いた狭開先多層盛りアーク溶接を行った。こ
れら従来法は図7に示すように開先内を底部から上部へ
順次一層づつ溶接線に沿った溶接を繰り返すことによっ
て多層盛り溶接を行った。
先で溶接パス回数が約80パスの広開先多層盛りアーク
溶接と開先角度5°の狭い開先で曲げ癖を付与した溶接
ワイヤを用いた狭開先多層盛りアーク溶接を行った。こ
れら従来法は図7に示すように開先内を底部から上部へ
順次一層づつ溶接線に沿った溶接を繰り返すことによっ
て多層盛り溶接を行った。
【0031】本発明法の実施例の溶接手順を図3および
図4を用いて詳細に説明する。
図4を用いて詳細に説明する。
【0032】(溶接準備工程) 1)開先は開先角度5°のI形開先とし、開先幅が15
mmとなるように被溶接材を固定する。 2)開先裏面にセラミックス製の裏当て材20を固定す
る。 3)開先側面にセラミックス製のタブ材21a、21b
を固定する。
mmとなるように被溶接材を固定する。 2)開先裏面にセラミックス製の裏当て材20を固定す
る。 3)開先側面にセラミックス製のタブ材21a、21b
を固定する。
【0033】(溶接工程) 4)溶接装置をセットする。溶接装置は、溶接方向(開
先長さ方向)、開先幅方向、板厚方向の3つの移動軸を
持つ3軸制御ロボットにより溶接トーチの揺動条件や溶
接電流および電圧条件をプリセットで設定できる機能を
有する。
先長さ方向)、開先幅方向、板厚方向の3つの移動軸を
持つ3軸制御ロボットにより溶接トーチの揺動条件や溶
接電流および電圧条件をプリセットで設定できる機能を
有する。
【0034】5)開先内の第1層(初層)である裏波溶
接W1を行う。裏波溶接W1は、溶接ビード形状を良好
に整えるために溶接区分を行わず通常の溶接線全長の1
パス溶接を行った。溶接条件は、溶接電流は250
(A)、溶接速度は30(cm/min)とした。
接W1を行う。裏波溶接W1は、溶接ビード形状を良好
に整えるために溶接区分を行わず通常の溶接線全長の1
パス溶接を行った。溶接条件は、溶接電流は250
(A)、溶接速度は30(cm/min)とした。
【0035】6)一方のタブ材21b側の溶接区分W2
を開先内の底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の
向きを交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶
接区分W2での溶接折り返し位置は、一方がタブ材21
bの壁面、他方がフリー側の各溶接パスの溶接ビード端
部(各溶接パスの溶接開始点または終了点)となる。溶
接条件は、図4(a)に示すように溶接トーチの後退角
度βを15°とし、溶接電流は、フリー側の折り返し位
置(溶接ビード端部位置)のみ溶融金属の垂れを防止す
るために250(A)と低くし、その他は350(A)
の一定の溶接電流で溶接した。また、フリー側の各溶接
パスの折り返し位置(溶接ビード端部)を通る直線と溶
接線とがなす角度である傾斜角度αは20〜70°の範
囲で変化させ、本発明の範囲内(30〜60°)とその
範囲外(20°、70°)で溶接結果の比較を行った。
を開先内の底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の
向きを交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶
接区分W2での溶接折り返し位置は、一方がタブ材21
bの壁面、他方がフリー側の各溶接パスの溶接ビード端
部(各溶接パスの溶接開始点または終了点)となる。溶
接条件は、図4(a)に示すように溶接トーチの後退角
度βを15°とし、溶接電流は、フリー側の折り返し位
置(溶接ビード端部位置)のみ溶融金属の垂れを防止す
るために250(A)と低くし、その他は350(A)
の一定の溶接電流で溶接した。また、フリー側の各溶接
パスの折り返し位置(溶接ビード端部)を通る直線と溶
接線とがなす角度である傾斜角度αは20〜70°の範
囲で変化させ、本発明の範囲内(30〜60°)とその
範囲外(20°、70°)で溶接結果の比較を行った。
【0036】7)溶接区分W3、W4の順に、それぞれ
開先内底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の向き
を交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶接区
分W3およびW4での溶接折り返し位置は、一方が隣接
する溶接区分(W3の場合はW2、W4の場合はW3)
側の各溶接パスの溶接ビード端部、他方がフリー側の各
溶接パスの溶接ビード端部となる。溶接条件は、図4
(a)に示すように溶接トーチの後退角度βを15°と
し、溶接電流は、フリー側の折り返し位置(溶接ビード
端部位置)のみ溶融金属の垂れを防止するために250
(A)と低くし、既に溶接した溶接区分に隣接する側の
折り返し位置(溶接ビード端部位置)では隣接する溶接
区分の溶接ビード端部との継ぎ目の溶け込み深さ拡大を
図るために溶接電流300(A)で3秒の溶接トーチを
そのまま保持し、その他は350(A)の一定の溶接電
流で溶接した。また、フリー側の各溶接パスの折り返し
位置(溶接ビード端部)がなす傾斜角度αは上記7)と
同様の理由で20〜70°の範囲で変化させた。
開先内底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の向き
を交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶接区
分W3およびW4での溶接折り返し位置は、一方が隣接
する溶接区分(W3の場合はW2、W4の場合はW3)
側の各溶接パスの溶接ビード端部、他方がフリー側の各
溶接パスの溶接ビード端部となる。溶接条件は、図4
(a)に示すように溶接トーチの後退角度βを15°と
し、溶接電流は、フリー側の折り返し位置(溶接ビード
端部位置)のみ溶融金属の垂れを防止するために250
(A)と低くし、既に溶接した溶接区分に隣接する側の
折り返し位置(溶接ビード端部位置)では隣接する溶接
区分の溶接ビード端部との継ぎ目の溶け込み深さ拡大を
図るために溶接電流300(A)で3秒の溶接トーチを
そのまま保持し、その他は350(A)の一定の溶接電
流で溶接した。また、フリー側の各溶接パスの折り返し
位置(溶接ビード端部)がなす傾斜角度αは上記7)と
同様の理由で20〜70°の範囲で変化させた。
【0037】8)他方のタブ材21a側の溶接区分W5
を開先内の底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の
向きを交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶
接区分W5での溶接折り返し位置は、一方がタブ材21
aの壁面、他方が隣接する溶接区分W4側の各溶接パス
の溶接ビード端部となる。溶接条件は、図5(c)に示
すように溶接トーチを垂直(後退角度β:0°)とし、
既に溶接した溶接区分W4に隣接する側の折り返し位置
(溶接ビード端部位置)では隣接する溶接区分の溶接ビ
ード端部との継ぎ目の溶け込み深さ拡大を図るために溶
接電流300(A)で3秒の溶接トーチをそのまま保持
し、その他は350(A)の一定の溶接電流で溶接し
た。
を開先内の底部から上部の方へ順次1層ずつ溶接方向の
向きを交互に変えながら繰り返し溶接する。ここで、溶
接区分W5での溶接折り返し位置は、一方がタブ材21
aの壁面、他方が隣接する溶接区分W4側の各溶接パス
の溶接ビード端部となる。溶接条件は、図5(c)に示
すように溶接トーチを垂直(後退角度β:0°)とし、
既に溶接した溶接区分W4に隣接する側の折り返し位置
(溶接ビード端部位置)では隣接する溶接区分の溶接ビ
ード端部との継ぎ目の溶け込み深さ拡大を図るために溶
接電流300(A)で3秒の溶接トーチをそのまま保持
し、その他は350(A)の一定の溶接電流で溶接し
た。
【0038】9)最終層の仕上げ溶接W6を行う。溶接
ビード外観を美しく仕上げるために、溶接線全長を1パ
スで溶接し最終層に化粧ビードを形成する。溶接条件
は、溶接電流300(A)、溶接速度30(cm/mi
n)とした。
ビード外観を美しく仕上げるために、溶接線全長を1パ
スで溶接し最終層に化粧ビードを形成する。溶接条件
は、溶接電流300(A)、溶接速度30(cm/mi
n)とした。
【0039】表1に、溶接手法として上述のような従来
法と本発明を用いて溶接を行った場合の溶接条件と試験
結果を示す。表1において、試験No.8、9は溶接手
法として従来法を用いた比較例、試験No.1〜3は溶
接手法として本発明法を用いて本発明の範囲内の溶接条
件で行った発明例、試験No.4〜7は溶接手法として
本発明法を用いて本発明の範囲外の溶接条件で行った比
較例をそれぞれ示す。なおあ、表1に示す溶接区分の長
さは、上述の図3に示す溶接区分W3およびW4の平均
長さとし、タブ材20a、20b側に隣接する溶接区分
W2およびW5の長さは溶接線全長(500mm)とな
るように調整した。
法と本発明を用いて溶接を行った場合の溶接条件と試験
結果を示す。表1において、試験No.8、9は溶接手
法として従来法を用いた比較例、試験No.1〜3は溶
接手法として本発明法を用いて本発明の範囲内の溶接条
件で行った発明例、試験No.4〜7は溶接手法として
本発明法を用いて本発明の範囲外の溶接条件で行った比
較例をそれぞれ示す。なおあ、表1に示す溶接区分の長
さは、上述の図3に示す溶接区分W3およびW4の平均
長さとし、タブ材20a、20b側に隣接する溶接区分
W2およびW5の長さは溶接線全長(500mm)とな
るように調整した。
【0040】表1に示すように、溶接手法として本発明
法を用いる(試験No.1〜7)ことにより従来法を用
いた場合(試験No.8、9)に比べて溶接時間は、大
幅に短縮可能となる。また、本発明の溶接法は試験N
o.9の従来法の狭開先溶接法に比べて高溶接電流で高
溶着量溶接を行うことができるため従来の狭開先溶接法
によりさらなる時間短縮が可能となる。
法を用いる(試験No.1〜7)ことにより従来法を用
いた場合(試験No.8、9)に比べて溶接時間は、大
幅に短縮可能となる。また、本発明の溶接法は試験N
o.9の従来法の狭開先溶接法に比べて高溶接電流で高
溶着量溶接を行うことができるため従来の狭開先溶接法
によりさらなる時間短縮が可能となる。
【0041】溶接品質に関しては、溶接部の超音波探傷
試験を行った結果、本発明法を用いて本発明の範囲内の
溶接条件で行った試験No.1〜3の発明例は、従来法
の広開先溶接の試験No.8の比較例と同様に溶接欠陥
はなく、引っ張り試験の結果も母材破断し母材と同等の
引っ張り強度を確保できた。一方、従来法の狭開先溶接
の試験No.9の比較例では開先壁面近傍の一部に融合
不良による溶接欠陥が発生し、引っ張り試験の結果、溶
接部で破断した。
試験を行った結果、本発明法を用いて本発明の範囲内の
溶接条件で行った試験No.1〜3の発明例は、従来法
の広開先溶接の試験No.8の比較例と同様に溶接欠陥
はなく、引っ張り試験の結果も母材破断し母材と同等の
引っ張り強度を確保できた。一方、従来法の狭開先溶接
の試験No.9の比較例では開先壁面近傍の一部に融合
不良による溶接欠陥が発生し、引っ張り試験の結果、溶
接部で破断した。
【0042】また、溶接手法として本発明法を用いた
が、溶接区分長さLが200mmと本発明範囲より長い
試験No.4の比較例では、溶接時の当該溶接パス下層
の下地ビードの冷却によって溶接ビードの積層間に融合
不良が生じ、溶接区分長さLが30mmと本発明範囲よ
り短い試験No.5の比較例では、溶接時に溶融金属の
冷却、凝固の遅れにより溶接折り返し位置(溶接ビード
端部位置)で溶融金属が垂れたため溶接を中断した。
が、溶接区分長さLが200mmと本発明範囲より長い
試験No.4の比較例では、溶接時の当該溶接パス下層
の下地ビードの冷却によって溶接ビードの積層間に融合
不良が生じ、溶接区分長さLが30mmと本発明範囲よ
り短い試験No.5の比較例では、溶接時に溶融金属の
冷却、凝固の遅れにより溶接折り返し位置(溶接ビード
端部位置)で溶融金属が垂れたため溶接を中断した。
【0043】また、溶接手法として本発明法を用いた
が、傾斜角αが70°と本発明範囲より大きい試験N
o.6の比較例では、溶接折り返し位置で溶接時に溶融
金属が垂れたため溶接中断となり、傾斜角αが20°と
本発明範囲より小さい試験No.7の比較例では、隣接
する溶接区分の隣り合う溶接継ぎ部に融合不良が生じ
た。
が、傾斜角αが70°と本発明範囲より大きい試験N
o.6の比較例では、溶接折り返し位置で溶接時に溶融
金属が垂れたため溶接中断となり、傾斜角αが20°と
本発明範囲より小さい試験No.7の比較例では、隣接
する溶接区分の隣り合う溶接継ぎ部に融合不良が生じ
た。
【0044】一方、本発明法を用い本発明の範囲内の溶
接条件で行った試験No.1〜3の本発明例はいずれも
溶接欠陥の発生がなく、溶接時の溶融金属の垂れによる
溶接中断などの溶接障害もなく、従来法よりも短時間で
効率的な溶接ができた。
接条件で行った試験No.1〜3の本発明例はいずれも
溶接欠陥の発生がなく、溶接時の溶融金属の垂れによる
溶接中断などの溶接障害もなく、従来法よりも短時間で
効率的な溶接ができた。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上のように、本発明は、板厚が30m
m以上あるいは50mm以上の極厚鋼板の狭開先での多
層盛りアーク溶接法において、従来の課題であった開先
壁面近傍での溶け込み深さの拡大を可能とし、溶接現場
での開先幅変動や溶接ワイヤの狙い位置ずれ等の溶接条
件に外乱が生じた場合でも、溶接欠陥のない信頼性の高
い溶接を可能とする。
m以上あるいは50mm以上の極厚鋼板の狭開先での多
層盛りアーク溶接法において、従来の課題であった開先
壁面近傍での溶け込み深さの拡大を可能とし、溶接現場
での開先幅変動や溶接ワイヤの狙い位置ずれ等の溶接条
件に外乱が生じた場合でも、溶接欠陥のない信頼性の高
い溶接を可能とする。
【0047】また、従来の狭開先多層盛りアーク溶接の
ように複雑な装置機構や高精度な制御機構を用いなくて
も溶接品質を向上できるため、溶接装置の操作性やメイ
ンテナンス性を良好に維持することができる。したがっ
て、本発明により狭開先多層盛りアーク溶接法の溶接断
面積の低減のメリットを活かしつつ、さらに従来よりも
溶接品質を維持した高溶接電流による高溶着量での高能
率多層盛りアーク溶接が可能となり、建築鉄骨等の現地
溶接の工期短縮、コスト縮減に大きく寄与できる。
ように複雑な装置機構や高精度な制御機構を用いなくて
も溶接品質を向上できるため、溶接装置の操作性やメイ
ンテナンス性を良好に維持することができる。したがっ
て、本発明により狭開先多層盛りアーク溶接法の溶接断
面積の低減のメリットを活かしつつ、さらに従来よりも
溶接品質を維持した高溶接電流による高溶着量での高能
率多層盛りアーク溶接が可能となり、建築鉄骨等の現地
溶接の工期短縮、コスト縮減に大きく寄与できる。
【図1】本発明の極厚鋼板の狭開先多層盛りアーク溶接
方法の概略を示す図である。
方法の概略を示す図である。
【図2】本発明法を用いた場合の溶接区分長さ(溶接
長)および溶接ビード端部の傾斜角度と溶接欠陥の発生
状況との関係を示す図である。
長)および溶接ビード端部の傾斜角度と溶接欠陥の発生
状況との関係を示す図である。
【図3】本発明法を用いて極厚鋼板の溶接を行った実施
例を示す図である。
例を示す図である。
【図4】本発明法を用いて極厚鋼板の溶接を行った実施
例の溶接トーチ揺動条件を示す図である。
例の溶接トーチ揺動条件を示す図である。
【図5】従来法である広開先での多層盛りアーク溶接法
における溶接部断面を示す図である。
における溶接部断面を示す図である。
【図6】従来法である狭開先での多層盛りアーク溶接法
における溶接部断面を示す図である。
における溶接部断面を示す図である。
【図7】従来溶接法の溶接ビードの積層方法を示す図で
ある。
ある。
1a、1b 被溶接材(極厚鋼板) 2 開先 3 複層溶接ビード 4 溶接線方向 5 溶接トーチ 6 溶接チップ 7 開先壁面 8 溶接ワイヤ 9 揺動範囲 10 溶接アーク 11 溶接欠陥 12 当該溶接パス 13 不整ビード 14 開先壁面への溶け込み深さ 15 溶接線 16 下地ビード 17 当該溶接パス 18 前溶接パス 19 次溶接パス 20 裏当て材 21a、21b タブ材 α 溶接ビード端部の傾斜角度 β 溶接トーチの後退角度(進行方向に対する角度) γ 開先角度 g 開先間隔 L 溶接区分長さ(各溶接区分の溶接長) W1 裏波溶接部 W2〜W5 溶接区分 W6 仕上げ溶接部 F1 前溶接パスの溶接終了点 F2 当該溶接パスの溶接終了点 S1 前溶接パスの溶接開始点 S2 当該溶接パスの溶接開始点 S3 次溶接パスの溶接開始点
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 印牧 慶浩 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 4E001 AA03 BB12 CA01 DA01 DD02 DD04 DF06 EA01 EA03 EA08 EA09 EA10 4E081 YB05 YR02 YX08 YX12 YX13 YX17 YY12
Claims (2)
- 【請求項1】 被溶接材に狭い開先幅の開先を形成し、
溶接トーチを用いて開先内を底部から上部へ順次一層づ
つ各溶接パスの溶接線に沿った溶接を繰り返すことによ
ってなされる極厚鋼材の狭開先多層盛りアーク溶接方法
において、前記の各溶接パスの溶接線を分割することに
より複数の溶接区分を形成し、その溶接区分毎に溶接ト
ーチを用いて開先内の底部から上部へ順次一層づつ溶接
区分長さの溶接を繰り返し行うとともに、隣接する溶接
ビードまたはタブ材がない側の当該溶接パスの溶接ビー
ド端部を、その溶接ビード端部とその直下にある前溶接
パスの溶接ビード端部がなす直線が溶接線に対して傾斜
角をもつように調整することを特徴とする極厚鋼板の狭
開先多層盛りアーク溶接方法。 - 【請求項2】 前記溶接区分長さを50〜150mmと
し、かつ前記傾斜角を30〜60°とすることを特徴と
する請求項1に記載の極厚鋼板の狭開先多層盛りアーク
溶接方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000376065A JP2002178153A (ja) | 2000-12-11 | 2000-12-11 | 極厚鋼の狭開先多層盛りアーク溶接方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000376065A JP2002178153A (ja) | 2000-12-11 | 2000-12-11 | 極厚鋼の狭開先多層盛りアーク溶接方法 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002178153A true JP2002178153A (ja) | 2002-06-25 |
Family
ID=18844981
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000376065A Withdrawn JP2002178153A (ja) | 2000-12-11 | 2000-12-11 | 極厚鋼の狭開先多層盛りアーク溶接方法 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2002178153A (ja) |
Cited By (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104933287A (zh) * | 2014-03-19 | 2015-09-23 | 株式会社大亨 | 计算装置 |
| CN107695555A (zh) * | 2017-11-21 | 2018-02-16 | 辽宁忠旺特种车辆制造有限公司 | 铝合金罐车防波板加强筋焊接工艺 |
| CN112406441A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-02-26 | 安联(郑州)工程机械有限公司 | 一种焊接式导向臂商用车空气悬架及其焊接方法 |
-
2000
- 2000-12-11 JP JP2000376065A patent/JP2002178153A/ja not_active Withdrawn
Cited By (5)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| CN104933287A (zh) * | 2014-03-19 | 2015-09-23 | 株式会社大亨 | 计算装置 |
| JP2015178119A (ja) * | 2014-03-19 | 2015-10-08 | 株式会社ダイヘン | 算出装置 |
| CN104933287B (zh) * | 2014-03-19 | 2021-05-07 | 株式会社大亨 | 计算装置 |
| CN107695555A (zh) * | 2017-11-21 | 2018-02-16 | 辽宁忠旺特种车辆制造有限公司 | 铝合金罐车防波板加强筋焊接工艺 |
| CN112406441A (zh) * | 2020-11-27 | 2021-02-26 | 安联(郑州)工程机械有限公司 | 一种焊接式导向臂商用车空气悬架及其焊接方法 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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