JPH0866774A - プラズマキーホール溶接方法 - Google Patents

プラズマキーホール溶接方法

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JPH0866774A
JPH0866774A JP20752494A JP20752494A JPH0866774A JP H0866774 A JPH0866774 A JP H0866774A JP 20752494 A JP20752494 A JP 20752494A JP 20752494 A JP20752494 A JP 20752494A JP H0866774 A JPH0866774 A JP H0866774A
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JP
Japan
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welding
plasma
pipe
peripheral surface
surface side
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Application number
JP20752494A
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English (en)
Inventor
Fumito Yoshino
文人 芳野
Noriaki Okubo
典昭 大久保
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SHINKO PLANT KENSETSU KK
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
SHINKO PLANT KENSETSU KK
Kobe Steel Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 プラズマキーホール全姿勢溶接を安定して実
施することができ、高品質の溶接部を得ることができる
プラズマキーホール溶接方法を提供する。 【構成】 水平又は傾斜姿勢で突き合わされたパイプ
を、このパイプの外面側及び内面側から一部づつプラズ
マキーホール溶接により全周溶接するプラズマキーホー
ル溶接する。そして、溶接線上の位置を時計表示した場
合に、パイプの外周面側からの溶接の開始点を9時半〜
11時半、終了点を3時半〜5時半に設定し、時計回り
に溶接を進行する。また、パイプの内周面側からの溶接
の開始点を9時半〜11時半、終了点を3時半〜5時半
に設定し、反時計回りに溶接を進行する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、被溶接材が水平姿勢又
は傾斜姿勢で突き合わされたパイプであり、このような
パイプを円周状の溶接線に沿ってプラズマキーホール溶
接する方法に関し、パイプの内周面側と外周面側とから
夫々溶接線の略半分の領域を溶接し、各内周面側の溶接
及び外周面側の溶接の開始点及び終了点を特定し、ガス
種の条件、プラズマアーク電流及び/又はプラズマガス
流量の増減鼓動(周期的変動)等による溶接安定化を図
ったプラズマキーホール溶接方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、水平姿勢又は傾斜姿勢で突き合わ
されたパイプを固定した状態で、円周状の溶接線に沿っ
てプラズマ溶接する場合は、主としてパイプの外側に溶
接台車を配置し、外周面側から溶接が実施されていた。
【0003】このように、パイプの外周面側からプラズ
マキーホール溶接した場合、パイプ内面の溶接部には何
も処理を加えておらず、内面に形成されるビード形状に
は一般的に修正を加えていない。このような外面片側か
らのみのプラズマキーホール溶接では、従来、実用化さ
れた板厚は高々約6mmである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のプラズマキーホール溶接方法では、パイプ外周
面との間にのみプラズマを生起して溶接するので、以下
に示す問題点がある。 先ず、外面側のみからプラズマキーホール溶接する
従来方法により、板厚が厚いパイプを全周溶接した場
合、溶接開始点においてプラズマアークの乱れが発生
し、溶け落ちが誘発されるという難点がある。
【0005】この要因を図15を参照して説明する。先
ず、図15(a)に示すように、溶接トーチ1からパイ
プ3の外周面にプラズマアーク2を生起して、溶接を開
始する。これにより、溶融プール4が生成するが、この
溶接開始直後から、図15(c)に示すようにプラズマ
アーク2がパイプ3を貫通してキーホールが形成される
までの間に、短い時間とはいえ移行時間を必要とするた
め、その経過段階で、図15(b)に示すように、形成
途中のキーホール及び溶融プール4に悪影響を及ぼす。
この悪影響は、図15(c)に示すように、プラズマア
ーク貫通時に主に溶融プール4の溶け落ち5となって現
れる。この溶融プールの溶け落ち5は、下向き姿勢のと
きに顕著に発生する。 次に、パイプ外面からのみのプラズマ溶接方法にお
いて、板厚を大きくした場合、溶接開始点と終了点とを
重ね溶接するときに、プラズマアークの乱れが発生し、
内部欠陥及び溶け落ち等の悪影響が発生する。
【0006】この要因を図16を参照して説明する。図
16は溶接線に沿う方向のパイプの断面を示す。溶接ト
ーチ1は図中矢印にて示す方向に進行する。そして、こ
の進行方向の前方には、溶接開始時に既に形成された溶
接ビード6が存在する。溶接トーチ1の進行方向の後方
には、溶融プール4が生起されている。
【0007】図17乃至19は溶接トーチ1が更に進行
して、まさに重ね溶接が行われようとしている状態を示
す。即ち、全周溶接を行った後、溶接開始点と終了点が
合致して重ね溶接が始まると、図17に示すように、プ
ラズマアーク2が溶接ビード6に接触し、溶接の進行と
共に、図17乃至図19に示すように、この接触領域A
が増加していく。このように、重ね溶接が進む程、溶接
条件としては悪条件側へ移行する結果となる。 更に、溶接開始点でキーホール溶接を開始する時、
溶接を安定して行うために通常の非消耗電極溶接(TI
G溶接)と同様、開始からキーホール形成まで溶接トー
チを固定しておく方が、キーホール形成までの時間が短
くてすむ。
【0008】しかし、溶接トーチを固定した場合、非消
耗電極溶接(TIG溶接)と大きく異なることは、図2
0に示すように、溶融プール4が溶接トーチ1及びプラ
ズマアーク2を中心に同心上に形成されるので、図21
に示すように、この溶接開始時の状態から、いずれかの
方向に溶接トーチ1を動かそうとした場合、いずれの方
向に移動させる場合も、プラズマアーク2は溶融プール
4を跨ぐこととなり、溶融プール4の飛散・溶け落ちを
誘発してしまうという難点がある。なお、図21におい
て、符号7はキーホールである。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、プラズマキーホール全姿勢溶接を安定して
実施することができ、高品質の溶接部を得ることができ
るプラズマキーホール溶接方法を提供することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプラズマキ
ーホール溶接方法は、水平又は傾斜姿勢で突き合わされ
たパイプを、このパイプの外面側及び内面側から一部づ
つプラズマキーホール溶接により全周溶接するプラズマ
キーホール溶接方法において、溶接線上の位置を時計表
示した場合に、パイプの外周面側からの溶接の開始点を
9時半〜11時半、終了点を3時半〜5時半に設定し、
時計回りに溶接を進行することを特徴とする。
【0011】また、パイプの内周面側からの溶接は、そ
の開始点を9時半〜11時半、終了点を3時半〜5時半
に設定し、反時計回りに溶接を進行することを特徴とす
る。
【0012】なお、パイプをその軸方向の一方の端部か
ら、突き合わせ端部をみた場合に、パイプ外周面側から
の溶接は、その溶接開始点を9時半〜11時半、溶接終
了点を3時半〜5時半にして時計方向に溶接を進行する
ものであり、この溶接態様を、パイプの他端部から見た
場合は、その溶接開始点は時計表示で12時半〜2時半
になり、溶接終了点は6時半〜8時半になり、溶接進行
方向は反時計方向になる。いずれにしても、溶接開始点
及び終了点は、溶接進行方向との兼ね合いで決まるもの
である。パイプ内周面側の溶接の場合も、その溶接開始
点、溶接終了点及び進行方向は、同様にして決められ
る。
【0013】
【作用】本発明においては、パイプの全周を溶接する場
合に、パイプの外側に配置した溶接トーチと、パイプの
内側に配置した溶接トーチとを使用して、好ましくは若
干の重なり部を設けてパイプ全周の略半分づつを各溶接
トーチによりプラズマキーホール溶接する。この場合
に、本発明においては、パイプ外周面側からのプラズマ
キーホール溶接は、時計表示で9時半〜11時半の位置
から溶接を開始し、時計方向に溶接を進行し、3時半〜
5時半の位置で溶接を終了する。一方、パイプ内周面側
からのプラズマキーホール溶接は、時計表示で9時半〜
11時半の位置で溶接を開始し、反時計方向に溶接を進
行し、3時半〜5時半の位置で溶接を終了する。このよ
うにすることにより、立向き溶接となる姿勢では、殆ど
の領域で下進溶接となり、立向き上進溶接が極力回避さ
れる。これにより、プラズマキーホール溶接を実施して
いる際の溶融プールの垂れ落ちを抑制することができ
る。また、溶接開始及び重ね溶接を安定した状態で行う
ことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明について詳細に説明する。図1
は本発明の実施例方法を示す模式図である。パイプ10
は水平に設置され、パイプ10の外側に溶接台車11が
配設され、その内側に溶接台車12が配設されている。
即ち、パイプの外側と内側とに各1台の溶接台車が配設
され、パイプの周方向に延びる開先線に沿って移動でき
るようになっている。なお、本実施例はパイプの外側と
内側とに各1台の台車を設けたものであるが、夫々複数
台の溶接台車を設けて、溶接することとしても良い。
【0015】図示例で、外側の台車11は、時計表示の
9時半〜11時半の位置にある溶接開始点Aから溶接を
開始し、時計廻りに進行する。そして、3時半〜5時半
の位置にある溶接終了点Bにて溶接を終了する。
【0016】一方、パイプ10の内側の台車12は、9
時半〜11時半の位置にある溶接開始点Cから溶接を開
始し、反時計廻りに進行する。そして、3時半〜5時半
の位置にある溶接終了点Dにて溶接を終了する。
【0017】溶接開始点Aは溶接開始点Cよりも9時に
近い位置にあり、弧ACの部分でパイプの外側と内側と
から重ね溶接がなされ、この領域が溶接開始時の重ね溶
接領域13となる。一方、溶接終了点Bは溶接終了点D
よりも6時に近い位置にあり、弧BDの部分でパイプの
外側と内側とから重ね溶接がなされる。この領域が溶接
終了時の重ね溶接領域14となる。
【0018】本実施例方法においては、外側の溶接台車
11が溶接開始点Aから溶接を開始し、時計方向に移動
する。次に、この外側の台車11が内側台車用の溶接開
始点Cを過ぎた後、内側の溶接台車12が溶接開始点C
から溶接を開始し、外面側の台車が溶接していた領域1
3を重ね溶接を行いながら、反時計廻りに溶接を行う。
外側の台車は、時計廻りに溶接を行いながら、3時半〜
5時半の位置の溶接終了点Bで溶接を終了する。内側の
台車12は、反時計廻りに溶接を行いながら、外側の溶
接台車11が溶接した領域14に達した時点で重ね溶接
を実施した後、溶接終了点14にて溶接を終了する。こ
れら外側及び内側各々の溶接台車はどちらから溶接を開
始しても良いが、内側台車を先にスタートさせ、その後
外側台車の溶接を開始した方が良好な重ね部が得られや
すい。同様に溶接終了時にも、先に外側台車にて溶接を
終了し、その後内側台車にて重ね部を溶接終了させた方
が良好な重ね部が得られ易い。
【0019】この方法にて溶接を実施した場合、次の点
で極めて有効である。図2は外側台車11が溶接を開始
した時点を示す模式図である。外面溶接台車11が溶接
開始する位置を9時半〜11時半に限定することによ
り、図2に示すように、キーホール形成までの移行時間
中にしばしば発生した乱れ等の有害因子を排除できる。
即ち、図2に示すように、9時半〜11時半の位置にお
ける溶接姿勢では、トーチ21からパイプ10にプラズ
マアーク22を生起させ、溶融プール23を形成する
と、12時での姿勢(下向き姿勢)に比して、溶融プー
ル22が、キーホール形成部の後方に溜まる。即ち、プ
ラズマアーク22が移動する方向の前方に溶融プール2
3が溜まることはない。そのため、プラズマアーク部の
前方は溶融プールが溜まらず、アークの貫通を阻害する
要因が少ないので、前述の従来の欠点(項)である溶
接開始からキーホール形成までの経過時間を短くできる
と共に、同じく従来技術の欠点(項)である溶接開始
時にトーチを固定することにより発生する悪影響が解消
される。
【0020】また、この姿勢から溶接開始すると、図3
に示すような良好な溶接ビードの縦断面形状を得られや
すくなり、後述する重ね溶接などでも非常に有効とな
る。即ち、溶接ビードの縦断面形状と重ね溶接の関係
は、図3の(a)に示すように、12時姿勢の時、従来
技術の欠点項が存在する。このような溶接条件では、
キーホール形成するまで時間がかかるため、形成された
溶接断面形状は図3(a)に示すようになり、先に外側
を溶接し、その後内面から重ね溶接する場合に、ノーキ
ーホール溶接からキーホール溶接までの時間が長大であ
り、プラズマアーク自体の巻き込みによる内部欠陥等が
発生しやすいという難点がある。
【0021】一方、図3(b)に示すように、9時半か
ら11時半の溶接開始にて、従来技術の欠点項は解消
されたので、キーホール形成を早く強くすることが可能
となり、結果的に溶接開始点からアップスロープまでの
エリアが短くなり、重ね溶接部での欠陥の発生を抑え、
かつビード形状も良好にすることができる。
【0022】また、図4に示すように、この溶接終了点
における溶接姿勢が3時半〜5時半の場合は、形成され
ている溶融プール23は、プラズマアーク22によって
常に保持されているので、溶接トーチ21を移動させな
がらプラズマアーク22のみ段階的に弱くしていって
も、溶融プール23は乱れることもなく、その結果、適
当な傾斜がついた溶接ビードの断面形状が得られる。
【0023】図5は溶接を終了する溶接終了点を3時半
〜5時半の位置に限定したとき、プラズマアークを瞬時
に消失させた場合と、段階的に弱くしていった場合との
ビード断面形状を比較する図である。図5の(a)はプ
ラズマアークを瞬時に消失した場合のビード24の断面
形状を示し、(b)はプラズマアークを段階的に弱くし
ていった場合のビード24の断面形状を示す。また、
(c)は(a)の断面形状の場合に、パイプ内側の溶接
台車により重ね溶接した場合の外側台車による溶接ビー
ド24と、内側台車による溶接ビード25を示す図であ
る。同じく(d)は(b)の断面形状の場合に、パイプ
内側の溶接台車により重ね溶接した場合のビード24、
25を示す図である。この図5に示すように、プラズマ
アークを瞬時に消失した場合は、板厚と溶接ビード厚さ
の差が生じ易く(c)に示すように、溶接ビード24と
溶接ビード25との境に溶け残り等の溶接欠陥26が発
生しやすい。
【0024】重ね溶接に対し図4で得られた断面形状
と、それ以外に得られた断面形状との違いを、図5に示
す。図5は、一例として12時での重ね溶接と3時半〜
5時半での重ね溶接とを比較したものである。図5の
(a)は12時で形成された場合のビード24の断面形
状を示し、(b)は3時半から5時半で形成された場合
のビード24の断面形状を示す。
【0025】外面溶接台車11が溶接終了後、内側溶接
台車12が溶接終了する溶接終了点Bを3時半〜5時半
の位置に限定することにより、図5(b)、(d)に示
すような溶接終了工程となり、良好な重ね溶接が得易く
なり、有用な溶接ビードの縦断面形状が得られやすい。
【0026】図6はパイプ外側の溶接台車11が溶接を
開始する時点を示す模式図である。外側溶接台車11が
溶接を開始する溶接開始点Aを9時半〜11時半の位置
に限定することにより、図6に示すように、重ね溶接に
見られる不安定さと、内部欠陥混入などの問題点を解消
できる。
【0027】図6の(a)に示すように、内面溶接台車
12が既に溶接完了して溶接ビード24が形成されてい
る領域にて溶接トーチ31からプラズマアーク32を生
起させ、非プラズマキーホール溶接を行うことで溶け落
ちない程度の溶融プール33を十分成長させる。次い
で、(b)に示すように、内面溶接台車12がキーホー
ルを形成した地点に到達した時、外面溶接台車11に搭
載されている溶接トーチ31のプラズマアーク32を強
くし、キーホールを一気に形成させる。前述の通り地点
Aでの断面形状は、非常に小さい傾斜で抑えられている
ので、外面からのプラズマアーク32を阻害しにくい形
状となっている。
【0028】溶接開始点として9時(90°上進姿勢)
近傍の場所が不都合な理由は、この位置では形成される
溶融プールに対し重力が丁度溶融プールの面に90度の
方向にかかるため、実際上、重力がパイプ内側に向かっ
て作用しない点にある。その結果、溶融プールにおい
て、パイプ外側の部分と内側の部分とを比較すると、溶
融金属が多量に存在するパイプ外面側に溶融プールが流
れ出してしまう。このため、溶接開始点として9時の位
置を採ることはできない。
【0029】特に、プラズマキーホール溶接において
は、立向き上進溶接と上向き溶接の場合に溶接能率が低
下し、溶接欠陥が発生しやすくなる。このため、この立
向き上進溶接と上向き溶接の溶接姿勢を極力避ける方が
好ましい。また前述のようにビード重ね部においては最
終溶接はこれらの溶接姿勢に近い姿勢での溶接は極力避
けた方が良好な結果が得られ易く、このため外側台車に
よる溶接開始及び内側台車による溶接終了が必ず最後に
なるように外側台車と内側台車との走行距離を調整する
方が良い。
【0030】図1に示すように、溶接開始点と重ね溶接
の姿勢を限定するだけも、良好な溶接結果が得られる
が、更に溶接を安定させるため、溶接開始時又は重ね溶
接時に、プラズマガス種をArのみではなく、Ar+H
eの混合ガスを使用することが好ましい。
【0031】図7はこのようにプラズマガス種を変更す
ることができる装置を示す模式図である。溶接電源46
内には、制御器45と、ミキサ43と、流量調整機能付
きのバルブ44とが配置されており、アルゴンボンベ4
1がミキサ43に接続され、ヘリウムボンベ42がバル
ブ44を介してミキサ43に接続されている。バルブ4
4の開閉及び開度は制御器45により制御される。ミキ
サ43からのガスは、溶接トーチ40に供給され、プラ
ズマの生起にに使用される。そして、バルブ44を閉に
したときは、アルゴンガスのみが溶接トーチ40に供給
され、バルブ44を開にしたときは、アルゴンガスとヘ
リウムガスとがミキサ43にて混合され、この混合ガス
が溶接トーチ40に供給される。このプラズマガス中の
Heガスの混合比はバルブ44の開度を調整することに
より、0乃至100%の範囲で調節することができる。
【0032】この図7に示すように、溶接開始時又は重
ね溶接時に、プラズマガス種をArガス単独ではなく、
Ar+Heの混合ガスを使用することにより、キーホー
ル形成時の経過途中で起る乱れ等の有害な挙動を更に抑
えることが可能となる。
【0033】Arガス中にHeガスを混合すると、プラ
ズマアークの焦点が広がり、極めてソフトな溶接が得ら
れる。プラズマアークの広がり具合は、Heの混合割合
に比例しているため、この特性を活かし、溶接開始から
キーホール形成まで又はキーホール溶接から溶接終了ま
でのように、溶接条件が特異となる箇所でこの混合ガス
を使用すると、乱れがない連続した溶接が得られる。
【0034】また、上述の特異な箇所にて、溶接電流及
び/又はプラズマガス流量を、周期的に変動させ、その
溶接電流値及び/又はプラズマガス流量値をパルス状に
変動させることにより、安定したプラズマ溶接が得られ
る。
【0035】更に、プラズマアークの排出を良くするた
めには、被溶接材に1〜4mm程度のギャップを設ける
ことが有効である。このギャップの幅を平均化するため
に溶接トーチの反対側に一定幅のスペーサーを保持して
溶接すると更に効果的である。また、刻々と変化する溶
接姿勢に対して、絶えずアーク長を一定に(溶接電圧4
0V以下)するためのアーク長自動制御機構を併用する
と、更に安定して溶接を行うことができる。
【0036】次に、本実施例方法によりパイプをプラズ
マキーホール溶接し、その溶接品質等を評価した結果に
ついて説明する。
【0037】下記表1は外側溶接台車における溶接開始
点において、溶接部評価と溶接開始姿勢とを比較するも
のである。
【0038】
【表1】
【0039】表1より、9時では外面から溶融プールが
溶け落ち、12時では内面に若干の溶け落ちが発生する
ため、溶接開始範囲は9時半〜11時半であることが必
要であり、その中でも推奨できる姿勢は10時半(45
度)である。
【0040】下記表2は、外側溶接台車における溶接終
了点において、溶接部評価と溶接開始姿勢を比較するも
のである。
【0041】
【表2】
【0042】表2により、外面溶接台車の溶接終了点と
しては、3時〜5時半が良好であり、最も推奨できる姿
勢は4時半(45度)である。
【0043】しかし、3時の終了点の採用は、内面と外
面との溶接時間差と溶接量の違いからくる溶接歪み等の
問題があり、実用面では3時半〜5時半が良好である。
【0044】図8は、溶接開始から定常溶接までの過程
を、横軸に時間をとり、縦軸にプラズマガス中のHe濃
度と、溶接電流と、溶接速度とをとって表したグラフ図
である。
【0045】図8に示すように、溶接スタート直後のH
e混合比は50%以下となるよう制御する。これは、H
e混合比が多いとアークの失火現象を起こしやすいため
の配慮である。0.5s経過時点からHe混合比を上昇
させ、ほぼ100%までにする。これにより、プラズマ
アークを広げ、Arと比して広い範囲で溶融プールを短
時間に作ることができるよう調整する。
【0046】更に、この間は溶接速度は0cpmとし、
一点に集中し易くなるように調整している。この段階か
ら溶接電流は、アップスロープ過程に入り、溶接電流値
までリニアに上昇していく。この過程にHe混合比を対
応させ、溶接電流の上昇に伴い、He混合比は逆に下げ
ていき、Ar混合比を増加させる。
【0047】この結果、Ar混合比を増加させていくこ
とで、キーホール深さも深くなり、板厚の貫通が無理な
く可能になる。
【0048】なお、図8に示すHe混合比の変化の方法
は一例であって、実際上、図9に示すように、その都度
種々の変化態様を使い分けていることが多い。
【0049】また、図9に示すように、いずれの場合で
もスタート直後はHe混合比を極力低くし、又は0%に
することで、アークの失火現象を防止している。
【0050】図10は定常溶接から溶接終了までの過程
を、横軸に時間をとり、縦軸に、プラズマガス中のHe
混合比と、溶接電流と、溶接速度とをとって表したグラ
フ図である。基本的には、図8の場合と同様の作用が得
られるように溶接条件を調整している。定常溶接終了
後、溶接電流がダウンスロープ過程に入った段階より、
プラズマガス中のHe混合比を徐々に増やし、全溶接終
了時にHe混合比が最大になるように調整する。これに
より、溶接終了箇所で発生するクレータ割れ及び集中ブ
ローホールという有害欠陥の防止が可能となる。
【0051】下記表3は、図9の中央の図に示したよう
に、He濃度一定の方法で溶接を行ったとき、He混合
比と溶接部欠陥との関係を示したものである。
【0052】
【表3】
【0053】表3から、この方法では、0%と100%
の両極端で裏波部及び溶接部内部に、欠陥が発生しやす
いことがわかる。
【0054】図11は、溶接開始から定常溶接までの過
程を、横軸に時間をとり、縦軸にプラズマガス中のHe
混合比と、溶接電流と、プラズマガス流量とをとって表
したグラフ図である。
【0055】図11は、溶接電流に周期的な強弱鼓動
(パルス化)を採用するような溶接方法に併せてアップ
スロープ時から溶接電流に周期的な強弱鼓動(パルス
化)を取り入れた方法を示す。
【0056】このような周期的な強弱鼓動(パルス化)
を行うことにより、定常溶接との繋がりが向上し、溶接
条件の設定範囲の拡大などに効果がある。特に、板厚1
0mm以上の肉厚溶接に対し、より効果的である。
【0057】理由として、He混合比を上げることによ
り貫通力が低下するため、板厚10mm以上の厚肉溶接
では、かえってデメリットになることが多い。しかし、
周期的に強弱鼓動(パルス化)を行うことにより、貫通
力の低下が抑制され、厚肉領域でも採用できるようにな
った。
【0058】図12は溶接開始から定常溶接までの過程
を、横軸に時間をとり、縦軸にプラズマガス中のHe混
合化と、溶接電流と、プラズマガス流量とをとって表し
たグラフ図である。図12では、プラズマガス流量に対
し、アップスロープ時から周期的な強弱鼓動(パイプ
化)を採用することにより、図11と同様な効果が期待
できる。
【0059】プラズマガス流量に周期的な強弱鼓動(パ
ルス化)を付けると、予め溶接ビードが存在するような
場所の重ね部での溶融プールの馴染性に効果がある。溶
接電流の周期的な強弱鼓動(パルス化)だけでは、ガス
量の調整範囲が狭く、溶接部内で内部欠陥(融合不良)
を起こしやすい。
【0060】同様に図13には、溶接電流に周期的な強
弱鼓動(パルス化)を採用するような溶接方法に併せて
ダウンスロープ時から溶接電流に周期的な強弱鼓動(パ
ルス化)を取り入れた方法を示す。
【0061】同様に図14には、ダウンスロープ時から
溶接電流とプラズマガス流量に周期的な強弱鼓動(パル
ス化)を取り入れた方法を示す。
【0062】下記表4は各板厚に対し、溶接条件の制御
態様の違いによる溶接品質の比較結果を示す。なお、こ
の表中、○は、溶接ビードに対して、内部欠陥、裏面ビ
ードの垂れ込み又は凹み、溶融プールのとけ落ちのいず
れも無い場合、×は、溶接ビードに対して、内部欠陥、
裏面ビードの垂れ込み又は凹み、溶融プールのとけ落ち
のいずれも有る場合を示す。
【0063】
【表4】
【0064】この表4に示すように、溶接電流及びプラ
ズマガスのいずれもパルス状に変化させた場合に、優れ
た溶接結果が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例方法を示す模式図である。
【図2】同じく、パイプ外側からの溶接の溶接開始時の
態様を示す模式図である。
【図3】同じく、パイプ外側の12時近傍のビード形成
状態を示す図である。
【図4】同じく、パイプ外側からの溶接の溶接終了時の
態様を示す模式図である。
【図5】同じく、パイプ内側からの溶接により重ね溶接
した場合の態様を示す模式図である。
【図6】同じく、パイプ内側からの溶接の溶接開始時の
態様を示す模式図である。
【図7】プラズマガスとして混合ガスを使用する場合の
装置を示すブロック図である。
【図8】溶接条件を示すグラフ図である。
【図9】溶接条件を示すグラフ図である。
【図10】溶接条件を示すグラフ図である。
【図11】溶接条件を示すグラフ図である。
【図12】溶接条件を示すグラフ図である。
【図13】溶接条件を示すグラフ図である。
【図14】溶接条件を示すグラフ図である。
【図15】従来のプラズマキーホール溶接方法を示す模
式図である。
【図16】従来のプラズマキーホール溶接におけるビー
ド及び溶融プールの形成態様を示す図である。
【図17】従来のプラズマキーホール溶接における重ね
溶接を示す図である。
【図18】従来のプラズマキーホール溶接における重ね
溶接を示す図である。
【図19】従来のプラズマキーホール溶接における重ね
溶接を示す図である。
【図20】従来のプラズマキーホール溶接の欠点を示す
図である。
【図21】同じく、従来のプラズマキーホール溶接の欠
点を示す図である。
【符号の説明】 1、21、31、40:溶接トーチ 2、22、32:プラズマアーク 3、10:パイプ 4、23、33:溶融プール 11:外側台車 12:内側台車 24、25:ビード 41、42:(Ar,He)ガスボンベ 43:ミキサ

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水平又は傾斜姿勢で突き合わされたパイ
    プを、このパイプの外面側及び内面側から一部づつプラ
    ズマキーホール溶接により全周溶接するプラズマキーホ
    ール溶接方法において、溶接線上の位置を時計表示した
    場合に、パイプの外周面側からの溶接の開始点を9時半
    〜11時半、終了点を3時半〜5時半に設定し、時計回
    りに溶接を進行することを特徴とするプラズマキーホー
    ル溶接方法。
  2. 【請求項2】 パイプの内周面側からの溶接の開始点を
    9時半〜11時半、終了点を3時半〜5時半に設定し、
    反時計回りに溶接を進行することを特徴とする請求項1
    に記載のプラズマキーホール溶接方法。
  3. 【請求項3】 パイプの外面側と内面側に夫々1台以上
    の溶接台車を配置し、パイプの外周面側からの溶接と内
    周面側からの溶接とを同時に実施することを特徴とする
    請求項1又は2に記載のプラズマキーホール溶接方法。
  4. 【請求項4】 溶接開始時にはパイプの内周面側から先
    に溶接を開始し、溶接終了時にパイプの外周面側が先に
    溶接終了するよう外側の溶接長を内側よりも常に短くす
    ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記
    載のプラズマキーホール溶接方法。
  5. 【請求項5】 プラズマガス種は、純アルゴン、アルゴ
    ンとヘリウムの混合ガス又は純ヘリウムガスであること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のプ
    ラズマキーホール溶接方法。
  6. 【請求項6】 溶接開始点及び溶接終了点においては、
    パイプ内周面側からの溶接と、外周面側からの溶接とを
    重ねて溶接することを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れか1項に記載のプラズマキーホール溶接方法。
  7. 【請求項7】 パイプの外周面及び内周面側から単独で
    溶接する領域と、外周面側及び内周面側から重ねて溶接
    する領域とにおいて、使用するプラズマガス種を相違さ
    せることを特徴とする請求項6に記載のプラズマキーホ
    ール溶接方法。
  8. 【請求項8】 プラズマアーク電流及びプラズマガス流
    量を両方同時に、又はプラズマガス流量を単独で、周期
    的に変動させることを特徴とする請求項1乃至7のいず
    れか1項に記載のプラズマキーホール溶接方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1980354A1 (de) 2007-04-12 2008-10-15 Linde Aktiengesellschaft Verfahren zum Plasma-Stichlochschweißen
WO2008125275A1 (de) * 2007-04-12 2008-10-23 Linde Aktiengesellschaft Verfahren zum plasma-stichlochschweissen
WO2008125276A1 (de) * 2007-04-12 2008-10-23 Linde Aktiengesellschaft Verfahren zum plasma-stichlochschweissen
FR2959949A1 (fr) * 2010-05-12 2011-11-18 Air Liquide Procede de soudage circulaire ou longitudinal de tube
JP2020006378A (ja) * 2018-07-03 2020-01-16 株式会社神戸製鋼所 溶接設計支援用データベースの生成方法、溶接設計支援方法、及びプログラム

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